免責事項
当サイトの情報は、Hello Bacsi ベトナム版を基に編集されたものであり、一般的な情報提供を目的としています。本情報は医療専門家のアドバイスに代わるものではなく、参考としてご利用ください。詳しい内容や個別の症状については、必ず医師にご相談ください。
はじめに
日常的な食事内容は、全身の健康だけでなく、男性の性機能にも大きく影響すると考えられています。とくに射精のタイミングをうまくコントロールできず、性的満足度が下がる「早漏」(早期射精)の症状に悩む方も多く、食生活の見直しがサポートになるケースがあります。本記事では、早漏の主な原因や背景をふまえつつ、日々の食事で積極的に取り入れるとよいとされる食材や、控えたほうがよいとされる食品などを詳しくご紹介します。さらに、最新の研究知見や注意点も交えながら、より深く理解していただけるよう解説します。
専門家への相談
本記事の内容は、医学・栄養学の先行研究や医療従事者による情報をもとに作成しています。また、本記事においては、医療・医薬分野の知識を有するThạc sĩ – Dược sĩ – Giảng viên Lê Thị Mai(Dược · Đại học Nguyễn Tất Thành)による専門的視点が反映されています。ただし、具体的な診療や個別の治療方針については、必ず専門の医師・薬剤師などにご相談ください。
早漏(早期射精)とは何か
早漏(早期射精)は、性交渉開始の前後、あるいは極めて短時間で射精に達してしまい、本人やパートナーが性的満足を得にくくなる状態を指します。原因としては、勃起機能障害や精神的ストレス、長期間の不安、過度なマスターベーション習慣、前立腺炎や尿道炎といった泌尿生殖器系の炎症など、さまざまな要素が複合的に関わることがあります。日本国内でも比較的よく見られる悩みのひとつですが、恥ずかしさから放置されることも多いようです。
最近では、性機能関連の臨床ガイドラインや学会の推奨事項が充実してきており、早漏の定義や診断基準、治療の方向性がより明確になっています。たとえば2023年にBurnett ALらが発表したアメリカ泌尿器科学会(AUA)のガイドラインでは、症例ごとの治療薬や行動療法、パートナーとのコミュニケーションの重視などが具体的に言及されています(The Journal of Urology, 2023, 210(1), 31-43, doi:10.1097/JU.0000000000003119)。このように、早漏はただの“体質”ではなく、適切な情報とサポートによって改善が見込める性機能トラブルのひとつです。
早漏改善に役立つとされる食材10選
早漏を改善するには、ホルモンバランスや血流、勃起機能などを総合的に整えることが重要だと考えられています。ここでは、血液循環やテストステロン(男性ホルモン)の分泌、ストレスの軽減などに寄与するとされる主な食材を10種類ご紹介します。食生活の改善は医療機関での治療を補完する意味合いもあり、複数の面からアプローチすると、より効果的な場合があります。
1. ニンジン(カロット)
ニンジンに豊富に含まれるβカロテンや抗酸化物質は、血流を良好に保つ働きがあるとされます。血流が下半身に十分に行き渡ることで勃起機能のサポートが期待され、早漏のリスク軽減につながる可能性があります。とくにニンジンジュースにすると手軽に摂取できるため、継続しやすい方法のひとつとしておすすめです。
2. バナナ
バナナはカリウムやマグネシウムなどを豊富に含む果物です。カリウムは体内の水分調整や血圧コントロールに関与し、十分な血液循環を支える助けとなります。一方、マグネシウムは精子の移動や射精制御にも関連する可能性が指摘されており、バナナを日常的に食べることで性機能向上に役立つかもしれません。食物繊維やビタミンC、ビタミンB6なども含まれ、全身の健康にも寄与します。
3. ナッツ類(アーモンド、カシューナッツなど)
ナッツ類、とくにアーモンドやカシューナッツ、クルミなどには、亜鉛やマグネシウム、ビタミンEなどが多く含まれます。亜鉛は男性ホルモンであるテストステロンの生成に深く関わるため、性欲や勃起機能にポジティブな影響をもたらす可能性があります。カシューナッツ28gあたりには、1日の推奨量に対して約20%のマグネシウム、25%の亜鉛が含まれ、日々の摂取源としても適度です。ナッツ類には不飽和脂肪酸も豊富で、動脈硬化の予防や血中コレステロールの改善、心血管疾患リスクの軽減といった点でもメリットがあります。
4. 赤身肉(豚肉、牛肉、ラム肉など)
赤身肉は亜鉛やマグネシウム、鉄分、ビタミンB群、クレアチンなどを比較的豊富に含み、男性の筋肉量維持やエネルギー代謝をサポートします。ただし、赤身肉の過剰摂取は生活習慣病や心血管リスクを高めるとの報告もあるため、1週間あたり350~500g程度を上限とし、残りのタンパク質は魚介類や鶏肉、大豆製品などで補うことが推奨されます。実際、World Cancer Research Fundのガイドラインでも、赤身肉や加工肉の摂取量を控えめにするよう勧告しています(Limit red and processed meat、アクセス日: 14/10/2022)。
5. アボカド
アボカドはマグネシウム、カリウム、ビタミンK、ビタミンB群などを幅広く含有する栄養価の高い食材です。1個あたり約58mgのマグネシウムが含まれるとされ、血流改善やホルモンバランスのサポートに寄与すると考えられています。さらに食物繊維や不飽和脂肪酸も豊富で、体内の炎症抑制や心血管の健康維持、満腹感の持続などに役立ちます。結果的に肥満や代謝異常の予防につながり、性機能にもプラスになる可能性があります。
6. ダークチョコレート(カカオ70%以上)
カカオ70%以上のダークチョコレートには亜鉛やマグネシウムが多く含まれ、テストステロン分泌や勃起機能を補助するうえでの栄養源として期待されています。一般的な100gのダークチョコレートには3.3mg程度の亜鉛が含まれ、1日に必要な亜鉛摂取量の約30%をカバーできるという報告もあります。ただしカロリーは高めなので、1日25~30g程度までを目安に適度に楽しむのが望ましいでしょう。
7. カキ(牡蠣)
牡蠣には9種類の必須アミノ酸や亜鉛が多く含まれ、テストステロン値の維持に寄与すると考えられています。さらに亜鉛は白血球の生成や免疫機能の維持にも重要なミネラルで、性行為や日常生活での体力・活力に影響を与える可能性があります。新鮮な牡蠣を調理する際は、加熱不足による食中毒予防にも留意して摂取してください。
8. サーモン(その他青魚など)
サーモンやサバ、ニシンなどの青魚は、オメガ3系脂肪酸や良質なタンパク質を多く含むことで知られています。オメガ3系脂肪酸は血管の健康維持や炎症の抑制に寄与し、結果的に下半身への血流が改善されやすくなります。勃起持続力や性的パフォーマンスに関して良い作用が期待される一方、魚全般に含まれるビタミンDもホルモン調整や筋骨格の健康に大切です。
9. 全粒穀物(オーツ麦、玄米など)
オーツ麦、玄米、トウモロコシ、ライ麦などの全粒穀物は、豊富な食物繊維やビタミン、ミネラルを含むうえに、血糖値や血中脂質のコントロールにも寄与します。血糖値の乱高下はホルモンバランスを崩しやすく、長期的に見ると性欲や勃起機能にも悪影響を及ぼす可能性があるため、全粒穀物を積極的に取り入れることで安定したコンディションを保ちやすくなります。
10. ザクロ
ザクロには、オメガ5として知られる「プニク酸(punicic acid)」が豊富に含まれ、抗炎症作用やコレステロール低減作用が注目されています。これにより、循環器系のリスク低減や血流の改善が期待でき、勃起力や射精コントロールに良い影響をもたらす可能性があります。
早漏の人が控えたい食品
性的興奮度やホルモンバランスは食習慣とも密接に関わっています。極端な高血糖や過剰なカロリー摂取はテストステロン値を下げたり、血管機能を損ないやすくしたりするため、以下のような食品は控えめにしたほうがよいと考えられています。
- 糖質の多い食品:白いパン、精白米、ジャガイモなどは血糖値を急激に上昇させ、ホルモンバランスを乱す一因になりかねません。
- ファストフード類:ハンバーガー、ピザ、フライドチキンなどは飽和脂肪酸やトランス脂肪酸が多く、血管を傷つけるリスクや肥満を助長するリスクがあるとされます。
- アルコール類とエナジードリンク:適量の飲酒はストレス緩和になる場合もありますが、過度な飲酒は勃起障害につながる可能性があり、エナジードリンクは過剰摂取で心拍数や血圧に影響が出る恐れがあります。
食事以外の視点から考える早漏対策
早漏にはメンタル面も大きく関わるため、単に食事を変えるだけでなく、下記のような側面に目を向けることも重要と考えられます。
- ストレスマネジメント:仕事や生活上のプレッシャーによって自律神経が乱れ、射精コントロールが難しくなるケースがあります。定期的な運動や十分な睡眠、趣味などでストレスを軽減していくことも大切です。
- 適度な運動:ウォーキングやランニング、筋力トレーニングなどはテストステロン値を維持しやすくし、血流改善にも役立ちます。肥満や生活習慣病の予防にも貢献します。
- パートナーとのコミュニケーション:早漏の悩みを一人で抱え込むと精神的負担が増大し、焦りや不安から症状が固定化しやすくなります。適切なタイミングでパートナーと情報を共有し、治療の方向性を相談すると良いでしょう。
参考になりうる新しい研究知見
近年は食生活と性機能の関連を評価する研究が増えており、世界的にも注目が集まっています。たとえば、2021年にZhu B, Candas Dらが発表した研究(Nutrients, 13(10), 3482, doi:10.3390/nu13103482)では、中高年男性の食生活パターンが勃起機能や性機能全般に影響を及ぼす可能性が示唆されました。野菜や果物、良質な脂質を多く含む地中海食に近いパターンの食事は、血管機能の改善に寄与し、性機能保持にメリットをもたらす可能性があると報告されています。こうした知見は日本人男性にも応用可能と考えられますが、体質や既往症によって個人差は大きいため、一律に断言することはできません。
まとめと推奨事項
- 早漏(早期射精)は、心理的要因や身体的要因が複合的に絡み合う性機能の問題であり、適切な情報とサポートにより改善が期待できると考えられています。
- 改善に役立つとされる食材としては、ニンジン、バナナ、ナッツ類、赤身肉、アボカド、ダークチョコレート、牡蠣、サーモン、全粒穀物、ザクロなどが挙げられます。主に血流増進やホルモンバランスの維持に寄与する成分を含むことが多く、一定の効果が期待されています。
- 避けたい食品としては、糖質過多・高脂肪のファストフードや菓子類、過度のアルコールなどがあり、テストステロン値の低下や代謝異常をもたらしやすいとされます。
- 食事以外にも、ストレス管理や適度な運動、パートナーとのコミュニケーションなど複数のアプローチを組み合わせることで、より効果的な改善が見込まれます。
注意点と医師への相談
本記事で紹介した方法は、あくまで一般的な情報および参考として提供するものです。体質や既往症、ライフスタイル、年齢などによって推奨される食事や治療法は異なる可能性があるため、実際に症状の改善を目指す場合には、医師や薬剤師などの専門家に相談し、自身に合ったプランを立てることが大切です。
参考文献
- How Much Meat is Too Much? アクセス日: 14/10/2022
- Limit red and processed meat アクセス日: 14/10/2022
- Premature ejaculation アクセス日: 14/10/2022
- Premature ejaculation アクセス日: 14/10/2022
- Premature ejaculation アクセス日: 14/10/2022
- Burnett AL ら: “Evaluation and Management of Premature Ejaculation: AUA Guideline.” The Journal of Urology, 2023, 210(1), 31–43. doi:10.1097/JU.0000000000003119
- Zhu B, Candas D: “Dietary Patterns and Erectile Dysfunction: A Cross-Sectional Study in Middle-Aged and Older Men.” Nutrients, 2021, 13(10), 3482. doi:10.3390/nu13103482
※本記事は一般的な情報を提供するものであり、医師や薬剤師などの資格をもつ専門家の診断・治療に代わるものではありません。症状の具体的な改善策や治療方針については、必ず医療機関に相談してください。