最速で治す!瞼の腫れ対策法公開
眼の病気

最速で治す!瞼の腫れ対策法公開

はじめに

まぶたにできる「霰粒腫(さんりゅうしゅ)」は、比較的よく見られる症状の一つです。まぶたの皮脂腺が詰まることによって引き起こされるもので、最初は軽度の腫れとわずかな赤みが生じ、数日後には硬くなる場合があります。多くは痛みを伴わないため、しばしば「麦粒腫(ばくりゅうしゅ)」と混同されがちですが、この2つは全く異なる原因で生じる症状です。麦粒腫が細菌などによる感染が主な原因で、腫れや痛みが強いケースが多いのに対し、霰粒腫は皮脂腺の詰まりが中心となるため、大きく腫れても痛みが目立たないことが特徴的です。ただし、腫れの程度によってはまばたきがしにくくなったり、視界がかすむ場合もあるため、軽視せずに適切な対処やケアを行うことが大切です。

免責事項

当サイトの情報は、Hello Bacsi ベトナム版を基に編集されたものであり、一般的な情報提供を目的としています。本情報は医療専門家のアドバイスに代わるものではなく、参考としてご利用ください。詳しい内容や個別の症状については、必ず医師にご相談ください。

本記事では、霰粒腫と麦粒腫を区別するためのポイントや、霰粒腫に対する自宅ケアから医療機関で行われる処置までを詳しく解説します。多くの場合、霰粒腫は良性で自然治癒する可能性がありますが、必要に応じて医師による治療が推奨されるケースもあります。ここでは、その具体的な方法と注意点を整理し、さらに国内外の新しい研究や専門家の見解も織り交ぜながら、より深く理解できるようにまとめました。

専門家への相談

霰粒腫に関しては、眼科をはじめとする医療専門家や複数の医学文献が情報源として非常に重要です。本記事では、実際に世界的に参照される複数の医学サイト(後述の文献参照)や論文をもとに情報を整理しています。しかし、まぶたの腫れが尋常ではないほど大きい、痛みが増してきた、視界に大きく影響するなどの症状がある場合は、必ず医師(眼科専門医など)に相談してください。本記事はあくまでも参考情報であり、個別の診断や治療を行うものではありません。

霰粒腫とは何か?

霰粒腫は、まぶたの裏側にあるマイボーム腺(皮脂腺)の出口が詰まって皮脂がたまり、慢性的な肉芽腫(にくげしゅ)を形成する状態を指します。初期には軽い赤みと腫れが出る場合がありますが、数日から1週間ほど経過すると、触れると硬いしこりのようになり、痛みはあまり伴いません。まぶたの外側に膨らむケースもあれば、内側に向かって膨らむケースもあります。

  • 霰粒腫と麦粒腫の違い
    麦粒腫は細菌感染によってまぶたが腫れ上がり、押すと強い痛みを感じたり、表面に膿がたまったりすることが多いのに対し、霰粒腫は痛みが少なく、まぶたの奥に硬いしこりができるのが典型的です。また、麦粒腫は基本的に感染症の一種であり、感染を起こした部位(まつ毛の毛根や皮脂腺など)の炎症が顕著です。一方、霰粒腫は外部からの細菌感染よりも、皮脂腺の排出口が詰まって炎症や肉芽腫が形成されることが主な原因といえます。
  • 発症しやすい人
    皮脂分泌が多い人や、まぶたに慢性的な炎症(慢性のマイボーム腺炎やまぶたの縁(えん)の慢性炎症など)がある人、また脂漏性皮膚炎・酒さ(しゅさ)などの皮膚疾患を持つ人は霰粒腫が繰り返し発症しやすいとされています。さらに、花粉症などで目を頻繁にこする習慣がある場合も、皮脂腺やまぶたの環境が乱れ、霰粒腫が起こりやすいともいわれます。

主な症状とチェックポイント

霰粒腫が疑われる場合、以下のような症状がみられることが多いです。

  • まぶたが軽度に赤みを帯びて腫れるが、痛みはほとんどない
  • 腫れが徐々に大きくなるが、数日すると硬くなる
  • まばたき時にわずかな違和感(ゴロゴロ感)がある
  • まぶたの内側をめくると、赤または灰色がかった部分が見える場合がある
  • 大きさによっては視野がかすんだり、まぶたが重たい感覚になることも
  • まれに、腫れが角膜に圧迫を加え、屈折異常(乱視など)や一時的な視力低下を引き起こすことがある

進行具合や体質によって症状には個人差がありますが、大きな痛みがなかったり、発赤や熱感が少ない一方で、数週間以上も腫れが引かないなどの特徴が見られます。

自宅ケアのポイント

霰粒腫の多くは、軽症であれば数週間のうちに自然治癒が期待できます。ただし、まぶたの皮脂腺が詰まる原因を考えながらケアを行うと、治りが早くなったり再発予防につながるとされています。以下のような対策を意識するとよいでしょう。

  • 温湿布をする
    1日3~4回、1回10~15分ほどまぶたに温かいタオルや清潔なガーゼを当てる方法は、まぶたの血流を促進し、マイボーム腺の排出口が開きやすくなるといわれます。温湿布後は、皮脂が排出しやすいため、腫れが小さくなる期待があります。
  • まぶたの清潔を保つ
    メイクをしたまま寝たり、まぶたを汚れた手で頻繁に触れたりすると、皮脂腺が詰まりやすくなります。洗顔時に、アイメイクをしっかり落とし、まぶたを清潔に保つようにしましょう。できるだけ、再発や悪化を防ぐためにこする行為は避け、清潔なタオルを使ってやさしく拭き取るのが大事です。
  • コンタクトレンズやアイメイクを控える
    霰粒腫ができているときは、まぶたに刺激を与えるコンタクトレンズやアイメイクは極力控えましょう。これは、炎症が収まるまでの間にさらなる刺激や汚れが入って悪化するのを防ぐためです。
  • まぶたのマッサージ
    医師の指導のもとであれば、まぶたの縁を軽くマッサージして皮脂腺の排出を促す方法もあります。ただし、乱暴に押しつぶそうとしたり、無理に中身を出そうとするのは逆効果です。強い刺激によって炎症が悪化し、感染リスクが高まる恐れもあります。

医療機関での治療

自宅でのケアでは十分に改善が見られない場合や、霰粒腫が大きくなりすぎて視界を妨げる場合、あるいは長期にわたって自然に小さくならない場合は、眼科などを受診して医師の評価を受けることが望ましいです。医療機関での主な治療法としては以下があります。

  • ステロイド注射
    霰粒腫によるしこりや炎症が強い場合、局所にステロイドを注射することで炎症を抑える方法があります。ただし、ステロイド注射を行うと、注射部位の皮膚が一時的に色抜け(色素沈着の変化)を起こすことがあります。
  • 切開排膿(手術)
    局所麻酔下でしこりに小さく切開を入れ、中にたまった内容物を取り出す方法です。多くはまぶたの裏側から切開するため、表面に目立つ傷が残りにくいとされています。切開排膿後は、再び皮脂が詰まらないよう、まぶたを清潔に保つなどのケアが推奨されます。再発する場合もあるため、医師の指導のもとで経過をしっかり観察します。
  • 外用薬の使用
    抗菌薬や抗炎症薬の点眼・軟膏を使用して、二次感染の予防や炎症のコントロールを行います。特に、霰粒腫に併発して軽度の麦粒腫を疑うようなときや、まぶた全体の炎症が見られるときには、医師の判断で外用薬の使用が勧められるケースがあります。

最近の研究動向

霰粒腫の治療法に関しては、近年もさまざまな検討が行われています。たとえば2021年にDelta Journal of Ophthalmologyで公表された研究(ElTokhy M, Anwar GM. “Intralesional steroid injection in the management of chalazion.” Delta J Ophthalmol. 2021;22:196–201, doi:10.4103/djo.djo_62_21)では、霰粒腫に対するステロイドの局所注射が有効であると報告されました。研究は霰粒腫と診断された複数の患者を対象としたもので、その多くが注射後に炎症が軽快し、腫れの縮小が確認されたといいます。日本国内でも、眼科領域でステロイド局所注射の有効性を支持する小規模な報告がいくつか出ていますが、注射後の皮膚の色素変化などの注意点があり、専門医の判断が必要とされています。

霰粒腫が治った後の注意点

霰粒腫は、たとえいったん治癒したとしても、皮脂腺の詰まりやすい体質の方や、まぶたに慢性の炎症がある方では再発しやすいことが知られています。以下のような予防策を意識してみてください。

  • アイメイクやクレンジング方法の見直し
    アイシャドウやアイライナーなどを使う場合は、就寝前のクレンジングを丁寧に行い、まぶたのきわにメイク残りがたまらないようにすることが大切です。
  • 定期的なまぶたの清掃
    まぶたの縁を清潔に保つことは、マイボーム腺の機能を健やかに保つ基本になります。市販のまぶた専用洗浄剤や、医師が勧めるまぶた用シャンプーなどを用い、優しく洗い流すとよいでしょう。
  • 目をこする習慣を減らす
    アレルギーやドライアイなどで目がかゆい場合は、医師に相談して点眼薬を使うなどの対策を取り、頻繁にこすらないよう注意しましょう。こする力が強いと、まぶたの皮膚や皮脂腺にダメージが蓄積して霰粒腫が繰り返す原因になります。
  • 生活習慣の改善
    ストレスや寝不足なども含め、体調が乱れると皮脂の分泌バランスにも影響を与えます。バランスのとれた食事と十分な睡眠を確保し、肌やまぶたの状態を良好に保つよう心がけてください。

霰粒腫の経過と視力への影響

霰粒腫そのものは、基本的には良性の腫瘤です。大きく腫れあがっても、しこりが残っている間に強い痛みを生じることはまれです。しかし、あまりにも大きい場合や長期間放置する場合、まぶたが眼球を圧迫して角膜にわずかな歪みが生じ、乱視のように視力が低下する可能性があります。乱視が生じると一時的に見え方がぼやけたり、二重映りのような感覚を伴うことがありますが、多くの場合は霰粒腫が軽快するに従って改善します。霰粒腫はがんのように悪性化することは極めてまれだとされており、自然治癒した場合でも後遺症が残ることはあまりありません。

よくある疑問:霰粒腫はうつるのか?

麦粒腫(細菌感染が原因のもの)と異なり、霰粒腫は基本的に感染性ではありません。内部に細菌が増殖しているわけではなく、皮脂がたまって炎症を起こしている状態のため、他人に「うつす」可能性はほとんどないと考えられています。ただし、まぶたを清潔に保たないと二次感染を起こすリスクがゼロではありません。腫れ部分を無理につぶすと、その傷口から細菌が入って結果的に麦粒腫になってしまうリスクもあるので注意が必要です。

予後と再発リスク

霰粒腫は自然治癒が期待できるケースが多い一方で、何度も繰り返しやすい症状でもあります。特に体質的に皮脂腺の詰まりを起こしやすい方や、まぶた周辺に慢性的な炎症がある場合は再発リスクが高まる可能性があります。もし何度も再発するようであれば、早めに眼科を受診し、麦粒腫やその他のまぶたの病気の併発がないかなども含めて総合的に評価してもらうとよいでしょう。

おすすめの受診タイミング

  • 温湿布やまぶたの清潔などの自宅ケアを2週間程度続けても、まったく腫れが引かない場合
  • 腫れの部分が極端に大きく、視界に影響が出ている場合
  • 強い充血や痛み、膿などがあり、他の感染症が疑われる場合
  • もともとまぶたに慢性の炎症があり、再発を繰り返している場合

こうした状況であれば、眼科専門医に相談しましょう。切開やステロイド注射などの医療処置は、正確な診断と安全な技術が必要です。特にまぶたの皮膚は薄く、血管や神経が多く通っているため、自己判断での処置は危険を伴います。

霰粒腫に関する最新の知見と日本での適用

日本国内でも、眼科領域において霰粒腫へのステロイド注射や切開排膿といった治療は一般的に行われていますが、それぞれに利点と欠点があります。ステロイド注射は侵襲が比較的少ない一方で、色素変化のリスクがあり、切開排膿は根本的に内容物を取り除きやすいものの、術後ケアや再発予防対策が必要となる場合があります。最近では、患者の負担をさらに減らすための低侵襲な方法や、レーザーによる排膿などを試みる報告も一部で見られますが、これらの方法はまだ研究段階であり、十分な臨床データが不足していることが多いです。いずれにせよ、医師の診察を受けて、個々の状態に最も適した治療法を検討してもらうことが重要です。

まとめと提言

霰粒腫は、まぶたの皮脂腺が詰まることによって起こる良性の腫瘤です。大半のケースでは自然に小さくなり、最終的には治癒へと向かいます。しかし、まぶたへの刺激や不適切なケア、慢性的な炎症などの要因がある場合は、長期化したり、再発しやすくなったりすることがあります。自宅ケアとしては温湿布やまぶたの清潔を保つことが基本であり、症状が改善しない場合や、まぶたを大きく覆うほど腫れが進行している場合は、眼科専門医による判断が求められます。ステロイド注射や切開排膿などの治療オプションもあり、症例に応じて適切な治療法を選ぶことができます。

万が一、まぶたの腫れが長期間続いたり、痛みを伴って急速に悪化するような場合は、他の病気(麦粒腫などの感染症、あるいはごくまれですが悪性腫瘍など)の可能性も否定できませんので、早めの受診が安全です。まぶたはデリケートな部位であり、視界への影響も大きいため、自己流の処置で悪化させるリスクは避けるべきでしょう。

本記事で紹介した情報は、国内外の医療文献や専門家の知見をもとにまとめた参考情報です。個々の症状や体質によって最適なケア方法は異なりますので、気になる場合は早めに医療機関で相談することをおすすめします。

ご注意
この記事の内容はあくまでも一般的な情報提供を目的としており、専門家による個別診断・治療の代替にはなりません。まぶたの腫れや痛み、視野の異常などがある場合は、必ず医師などの専門家にご相談ください。

参考文献

本記事は、読者の皆様が霰粒腫について理解を深め、適切なセルフケアや医療機関の受診を判断するうえでの参考情報となることを目的としています。ただし、症状や体質は個人差がありますので、少しでも不安や気になることがある場合には、早めに専門家へ相談することをおすすめします。医師の診断や指導のもとであれば、より安心して症状の経過観察や再発防止に取り組めるでしょう。どうかご自身の体をいたわりながら、適切な手段を選択していただければ幸いです。

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