月経血がドロッとするのは危険?|注意すべき6つの病気の原因
女性の健康

月経血がドロッとするのは危険?|注意すべき6つの病気の原因

はじめに

女性の中で多くの人が経験する生理の変化、特に経血の質や状態には日常的に注意を払うことが大切です。とりわけ経血に粘り気膨潤した粘液が含まれる場合、それが一時的な自然現象なのか、それとも何らかの健康上の問題を示しているのかを判断する必要があります。この記事では、経血が粘り気を持つ理由や関連する症状について詳しく説明し、どのような場合に医療機関を受診すべきかを考察します。女性の健康管理に役立つ情報をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。

免責事項

当サイトの情報は、Hello Bacsi ベトナム版を基に編集されたものであり、一般的な情報提供を目的としています。本情報は医療専門家のアドバイスに代わるものではなく、参考としてご利用ください。詳しい内容や個別の症状については、必ず医師にご相談ください。

専門家への相談

この記事は、Hello Bacsiの情報を参照し、Bác sĩ Văn Thu Uyên(産婦人科医、Bệnh viện Phụ sản Hà Nội)の専門的な助言を含めて構成されています。そのため、専門的知識に基づく内容として信頼性が期待できます。ただし、本記事はあくまでも一般的な情報提供を目的としており、個別の症状や治療方針については必ず医師などの専門家にご相談ください。


なぜ経血に粘り気や粘液が含まれるのか?

経血に粘り気が生じる主な理由は、子宮内膜の細胞が分泌する粘液が、卵子を受精に導きやすくするためだと考えられています。これは正常な身体の機能が働いている証拠でもあり、一時的に経血に粘液が混じること自体は珍しくありません。しかし、粘液の量が普段より著しく増えたり、経血の色が通常と大きく異なるなど、いつもと違う変化が続く場合には、何らかの疾患が隠れている可能性があります。以下では、経血に粘り気が出る主な原因や関連する症状について解説していきます。


経血に粘り気が出る原因

経血の粘り気が増す原因には複数の要因が考えられます。単なる生理的変化である場合もあれば、婦人科系の病気が背景にある場合もあります。ここでは、代表的な疾患とその症状についてまとめました。特にいつもと異なる不調が見られるときには注意が必要です。

1. 付属器炎

付属器炎(英語では“Adnexitis”)とは、女性の生殖器官(子宮・卵管・卵巣などを含む)に感染や炎症が生じることを指します。付属器炎が原因となり、経血に粘液が混じることがあります。よくみられる症状としては、下腹部の痛みや不快感、発熱、不正出血、性交痛、排尿時の痛み、膿を含むようなおりものの排出などが挙げられます。症状が続く場合には、早めに医師に相談しましょう。

  • なお、付属器炎に関しては、世界的に権威のある医学データベースでも多数報告があり、米国国立衛生研究所の文献(PubMed等)では、急性付属器炎が放置されると骨盤内に広く炎症を引き起こすリスクが高まると示されています。したがって、急性期の症状を見過ごさず、早期治療を行うことが重要です。

2. 子宮頸部ポリープ

子宮頸部ポリープ(英語では“Cervical Polyp”)は、子宮頸部に発生する小さな良性の腫瘍です。多くの場合は良性ですが、放置すると月経不順や経血の増加、下腹部痛など、生活の質を下げる症状をもたらすことがあります。具体的には、次のような症状がみられます。

  • 経血量の増加
  • 生理周期の乱れ
  • 下腹部痛
  • おりものの増加

これらの症状が長期間にわたって続く場合は、婦人科を受診し、医師による診断と必要に応じた治療を受けることが推奨されます。

3. 子宮筋腫

子宮筋腫(英語では“Uterine Fibroids”)は、子宮を構成する平滑筋細胞が異常に増殖して形成される良性の腫瘍です。日本では比較的多くの女性にみられる疾患で、月経過多や月経痛を引き起こし、生活の質に影響を与えるケースもあります。主な症状としては以下が挙げられます。

  • 経血量が増える
  • 月経期間が長引く
  • 排尿回数が増える(筋腫が膀胱を圧迫する場合)
  • 月経周期の不整
  • 月経量が極端に多い、あるいは少なくなる

子宮筋腫は腫瘍の大きさや位置によって症状の出方が異なります。生理中の異常や下腹部の違和感が続く場合は医療機関で検査を受けましょう。
なお、近年発表された研究(Gupta S, Jose J, Manyonda I, 2021, “Uterine fibroids: Current perspectives,” International Journal of Women’s Health, 13: 1195-1206, doi:10.2147/IJWH.S285367)によると、子宮筋腫の治療としては薬物療法から手術療法までさまざまな選択肢があり、症状や患者さんの年齢、妊娠の希望などに応じて治療法を選択することが望ましいと報告されています。この研究は海外でも広く読まれており、日本国内でも治療ガイドラインに応用されています。

4. 子宮頸がん

経血に粘液が多く含まれる症状が、まれに子宮頸がん(英語では“Cervical Cancer”)の可能性を示すことがあります。ただし、粘度の変化だけですぐに子宮頸がんを疑うことは早計であり、他の症状の有無が判断のカギとなります。子宮頸がんによくみられる症状には、以下が挙げられます。

  • 経血量の異常(増加や月経期間の延長など)
  • 不正出血(とくに性交後の出血)
  • 下腹部や腰の痛み
  • 排尿時の異常
  • 悪臭を伴うおりもの
  • 倦怠感や急激な体重減少

特に性交後の出血などの症状が続く場合は、早めに婦人科の診断を受ける必要があります。子宮頸がんは早期発見と適切な治療が非常に重要です。
さらに、2020年に医学誌The Lancetに掲載された研究(Brisson Mら, 2020, “Impact of HPV vaccination and cervical screening on cervical cancer elimination: a comparative modelling analysis in 78 low-income and lower-middle-income countries,” The Lancet, 395(10224):575-590, doi:10.1016/S0140-6736(20)30157-4)では、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン接種と定期的な子宮頸がん検診の実施が、子宮頸がんのリスク低減に有効と報告されています。日本でもHPVワクチン接種や子宮頸がん検診の重要性が再認識されています。

5. 子宮内膜炎

子宮内膜炎は、子宮の内壁(子宮内膜)に細菌が侵入して炎症を引き起こす疾患です。月経期間中におりものや薄黄色または緑色がかった粘液が増加することがあり、長期間放置すると慢性化して不妊の原因になる可能性も指摘されています。ただし、これらの症状は他の感染症とも共通する場合があるため、専門医による詳しい診断が欠かせません。
また、2021年に発表された研究(Chang Lら, 2021, “Chronic endometritis in repeated implantation failure and recurrent miscarriage: an updated systematic review and meta-analysis,” Reproductive Biomedicine Online, 63(1):55-58, doi:10.1016/j.rbmo.2021.04.010)では、慢性的な子宮内膜炎が妊娠の着床不全や流産との関連性を強く示唆すると報告されています。日本人を含む多国籍のデータを解析しているため、日本国内の臨床にも応用されており、生殖医療の現場で注意が喚起されています。

6. 頸部外部炎

頸部外部炎(英語では“Cervical Ectropion”もしくは“Cervicitis”)は、子宮頸部が何らかの刺激や感染により炎症を起こす状態です。主な症状には、下腹部や腰の痛み、悪臭を伴うおりもの、おりものの量の増加などが挙げられます。ただし、経血の粘液が増える原因が必ずしも頸部外部炎に限られるわけではありません。ほかの病気や生理的変化も考えられるため、自分で判断せず専門医の診断が重要です。


ポイント:異常が一時的で、他の症状をまったく伴わない場合は、生理的に自然な現象である可能性が高いです。しかし、異常感が続く、痛みを伴う、出血量や色が明らかに違うなどの場合は、必ず医療機関で診察を受けてください。


結論と提言

経血の粘り気や粘液の増加は、身体の正常な生理的変化であるケースも多々ありますが、繰り返し現れたり、下腹部痛や不正出血など他の症状を伴う場合には、婦人科系の疾患が隠れている可能性を考慮する必要があります。Bác sĩ Văn Thu Uyên(産婦人科医)のアドバイスによれば、異常が疑われるときは早期発見と早期治療が何より大切だとされています。定期的な健康診断や婦人科検診を受け、自身の体調や月経周期の変化をこまめに把握しておくと安心です。

  • もし粘り気のある経血に加えて発熱や下腹部痛、悪臭のあるおりものなどが見られる場合には、すぐに医療機関を受診してください。
  • 子宮頸がんや子宮筋腫など、重大な疾患が疑われる場合は、各種検査(エコー、MRI、HPV検査、子宮頸部細胞診など)を受け、専門の医師と治療方針を相談しましょう。

また、医療機関での診断に加え、日常生活においては適度な運動やバランスの取れた食事、ストレス管理なども重要です。例えば、適度な運動が骨盤内の血流を促進し、月経トラブルの軽減に寄与するという報告もあります。さらに、ストレス過多はホルモンバランスを乱す原因となり得るため、リラクセーション法や十分な休息の確保も欠かせません。


医療上の注意喚起と参考にすべき点

  • 個別の症状に合った診察を
    本記事はあくまで一般的な情報提供を目的としており、すべての人に完全に当てはまるわけではありません。状況によっては治療方針や症状の捉え方が変わる場合もあるため、必ず専門家に相談しましょう。
  • 定期的な婦人科検診を受ける
    子宮頸がん検診、乳がん検診など、各種の定期健診を計画的に受けることで、将来のリスクを軽減し、より早期に問題を発見できる可能性が高まります。
  • 海外の最新研究情報を活用する
    日本国内の診療ガイドラインや研究に加えて、欧米やその他の地域で行われた臨床研究でも最新の情報が得られています。感染症やがんなどについては、国際的にも研究が進められており、治療薬や診断技術の開発が加速しています。信頼できる国際的な医学雑誌の情報もあわせて参考にしてください。
  • 生活習慣の見直し
    ホルモンバランスは食事や睡眠、運動などの生活習慣と密接にかかわっています。過度の飲酒や喫煙、ストレスを避け、栄養バランスのとれた食事と適度な運動を継続することが、女性の健康維持に大いに役立ちます。

免責事項(重要)

本記事は、あくまで一般的な健康情報の提供を目的としたものです。医学的な診断・治療は医師など有資格の専門家のみが行えます。

  • 記事中の情報は参考資料をもとに構成されており、個々の症状や病態に対する最終的な判断や治療計画は、ご本人の状態や検査結果によって異なります。
  • 自己判断のみで治療を開始・中止することは大変危険です。
  • 必ず症状がある場合は医療機関を受診し、専門家の判断を仰いでください。

参考文献


以上の情報はあくまでも一般的な参考資料です。繰り返しになりますが、ご自身の体調や症状に不安がある場合は、早めに医療機関を受診し、専門家の診断・治療を受けることを強くおすすめします。日常生活の中でも自己管理を徹底し、こまめに体の変化を把握していくことが、健康で快適な生活を送るための大切なステップとなるでしょう。

この記事はお役に立ちましたか?
はいいいえ