はじめに
朝起きると、もう少し寝ていたいという気持ちと、健康のために早起きして運動したいという思いとで、誰もが葛藤した経験があるのではないでしょうか。特に仕事や家事、子育てで忙しい方は、早朝にジムへ行ったりウェアやシューズを準備して外に出かけたりすることが負担に感じられることも多いと思います。しかし、実は布団から出ることなく「ベッドの上」でできる運動がいくつもあるのです。これらの運動を少し工夫して継続すれば、筋力や柔軟性を高めたり、体脂肪を燃焼したりといったメリットを得られる可能性があります。そこで本記事では、朝起きたときにベッドの上で気軽に取り組める簡単なエクササイズを中心に、それぞれの狙いややり方のコツ、そして体にどのような影響が期待できるかを、詳しくご紹介していきます。
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当サイトの情報は、Hello Bacsi ベトナム版を基に編集されたものであり、一般的な情報提供を目的としています。本情報は医療専門家のアドバイスに代わるものではなく、参考としてご利用ください。詳しい内容や個別の症状については、必ず医師にご相談ください。
専門家への相談
本記事の内容は、主に海外の公共機関や研究機関が提供する情報、および公的に信頼できる文献をもとにしています。さらに、運動が健康に及ぼす影響を明らかにした近年の研究結果も取り入れながら、可能な限り正確かつ実践しやすいようにまとめています。ただし、一人ひとりの体質や健康状態、生活スタイルには個人差がありますので、気になる症状がある方、慢性疾患の治療中の方、妊娠中や産後間もない方などは、実際に本記事のエクササイズを始める前に医師や理学療法士などの専門家へ相談することをおすすめします。
以下では「10種類のベッド上エクササイズ」を中心に、朝起きて布団やベッドの上で実践できる運動の手順や注意点を詳しく解説します。時間をかけて取り組むほど効果が高まることが多いですが、もし時間がない方は1種目や2種目だけでも構いません。とにかく続けていくことが大切ですので、無理のない範囲で取り入れてみてください。
1. ブリッジ(ハーフブリッジ)
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狙い・効果
このエクササイズは、主にお尻(臀筋)やお腹まわり(腹筋)を鍛えることができます。朝の硬くなった筋肉を目覚めさせながら、体幹部全体を安定させる助けにもなります。 -
やり方
- ベッドの上に仰向けに寝ます。両腕は体のわきに伸ばし、手のひらは下向き。
- 両膝を立て、足は腰幅ほどに開きます。
- ゆっくりとお尻を持ち上げていき、肩・腰・膝が一直線になるように意識しましょう。
- 腹筋を軽く引き締めながら、30秒ほどキープします(慣れないうちは10秒ほどから始めてもかまいません)。
- ゆっくりと元の体勢に戻り、これを3回ほど繰り返します。
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ポイント
ブリッジの姿勢では、お尻や太ももの裏側に刺激が入っている感覚を大切にしてください。上げ下げを急ぐよりも、キープ中に姿勢を保つことが重要です。慣れてきたら片足を軽く浮かせて負荷を高めるのも効果的ですが、腰を痛めないよう十分注意してください。
2. 仰向けで片脚を上げ下げするエクササイズ
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狙い・効果
太ももの前側や股関節まわり、腹筋にも刺激が入り、特に太ももや下腹部の引き締めを期待できます。 -
やり方
- ベッドに仰向けになり、両腕は体のわきに伸ばして手のひらを下に向けます。
- 両脚を伸ばした状態で、まずは右脚をゆっくり90度近くまで持ち上げます。
- 1~2秒キープしたら、ゆっくりと脚を下ろし、元の位置へ戻します。
- 同じように左脚を上げ下げします。
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目安
各脚10回ずつ行いましょう。慣れてきたら、上げるときに息を吐き、下ろすときに息を吸うことを意識すると、体幹部の安定に役立ちます。 -
注意点
腰が反りやすい方は、腰を痛めないように腹筋を軽く締めつつ、無理のない角度まで上げるようにしてください。
3. うつぶせで片脚を上げ下げするエクササイズ
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狙い・効果
うつぶせになって片脚を持ち上げることで、お尻(臀筋)と腰部(脊柱起立筋)を中心に鍛えられます。座り仕事が多い方にも有益ですが、腰痛の既往がある方は注意が必要です。 -
やり方
- ベッドの上でうつぶせになります。両腕は体のわきに伸ばしてリラックス。
- 両脚を伸ばした状態で、まず右脚を30〜60度ほど上げます。
- 数秒キープし、ゆっくりと元の位置へ戻します。
- 左脚も同様に行います。
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目安
各脚10回ずつを目安に進めましょう。腰に負担がかかりやすい動作ですので、特に腰を痛めやすい方や慢性腰痛がある方は、痛みや違和感があればすぐ中止してください。
4. プランク(前腕を床につけるタイプ)
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狙い・効果
いわゆる「体幹トレーニング」の代表的な種目で、腹筋・背筋・肩周り・お尻・太ももなど、全身の筋肉をバランスよく鍛えられます。脂肪燃焼や姿勢改善にも効果が期待されます。 -
やり方
- うつぶせの状態から、両前腕をベッドにつきます。肘は肩の真下に来るようにセット。
- つま先をベッドにつけたら、腹筋と背筋を意識して体を持ち上げ、頭からかかとまで一直線をキープします。
- 20秒ほどキープしたら、ゆっくりと下ろして一度休憩し、3回ほど繰り返します。
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バリエーション
片脚を浮かせてキープすると、さらにお腹や背筋に強い刺激を与えられます。ただし体がねじれやすくなるので、腰への負担には要注意です。
5. プッシュアップ(ベッド上の腕立て伏せ)
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狙い・効果
上半身の筋力(胸、腕、肩、体幹)を総合的に強化する種目で、全身のカロリー消費にも寄与します。プランク同様に体幹が安定し、姿勢改善にも役立ちます。 -
やり方(基本)
- ベッドの上で膝をつき、両手は肩幅より少し広めに置きます。
- 背中が反ったり丸まったりしないように腹筋を締め、上半身をコントロールしながら肘を曲げます。
- 胸が軽くベッドに近づいたら、ゆっくりと押し上げて元の姿勢に戻ります。
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やり方(難易度を上げる場合)
足を伸ばしてつま先をベッドにつけ、体全体を一直線に保ったまま腕立て伏せを行います。
回数は体力に応じて、無理のない範囲で行いましょう。
6. サイドプランク・ツイスト(Side Plank with Twist)
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狙い・効果
体を横向きにして行う「サイドプランク」のバリエーションです。くびれのあるウエストや体幹の強化、バランス感覚の向上などが期待でき、腹斜筋への刺激が大きいのも特徴です。 -
やり方
- 右半身を下にして横向きに寝ます。右肘を肩の真下に置き、体を横に支える姿勢へ。
- 右足と左足は縦に揃え、腰やお尻が床(ベッド)につかないように上げ、頭からかかとまで一直線にします。
- 腹筋やお尻に力を入れてキープしながら、左手を上に伸ばしてから、胴体をやや回転させるイメージで左腕を体の下へ差し込みます。
- 再度左腕を天井方向に戻し、サイドプランクの姿勢へ戻ります。
- 30秒ほど繰り返したら、反対側(左肘を支点とする)でも同様に行います。
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注意点
初めての方はサイドプランク自体が難しい場合があるので、腰や肩を痛めないように無理のない範囲で行いましょう。
7. 片脚を引き寄せるサイドレッグリフト(Leg Lift with Knee-in)
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狙い・効果
横向きでのレッグリフトに、膝を曲げて腹部へ引き寄せる動きを加えたものです。お尻・腰横(中臀筋や外腹斜筋)を重点的に引き締め、姿勢やバランスの向上を期待できます。 -
やり方
- 横向きに寝て、下側の膝は曲げておきます(例:右側を下にした場合、右膝は後ろ側へ軽く曲げる)。頭は右手で支えるか、まくら代わりにしても構いません。
- 上側(左脚)をまっすぐ伸ばし、ゆっくりと上に持ち上げます。
- そのまま膝を曲げて腹部に引き寄せます。
- 再度伸ばしてゆっくり下ろします。
- 30秒ほど繰り返したら、反対側でも同じ動きを行います。
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ポイント
お尻や太もも外側にしっかり力が入っている感覚が重要です。勢いで脚を振り回さず、ゆっくりとコントロールしましょう。
8. ジャックスプリット(Jack Split)
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狙い・効果
体を伸ばした状態から上下肢を同時に動かすため、腹筋・太ももなどの複数の筋群にアプローチできます。特に腹筋上部や下腹部、股関節まわりを効率的に刺激します。 -
やり方
- 仰向けに寝て、両腕を頭上に伸ばし、両手の親指同士を軽く合わせます。両足は揃えて伸ばし、かかとや足の裏を合わせるイメージ。
- お腹に力を入れて、手足を同時に持ち上げます。脚は「V」の字になるように横に開き、腕はその間を通すように前方へスイング。
- その後、ゆっくりと元の仰向け姿勢に戻りますが、床やベッドに完全に手足がつかない程度までコントロールしながら戻しましょう。
- これを繰り返していきます。
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注意点
腰が反りやすい動作でもあるため、常に腹筋を軽く引き締め、背骨を安定させながら行ってください。
9. シザーキック(Scissor Legs)
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狙い・効果
両脚を交互に上下させることで、腹筋下部、太ももの筋肉、股関節周りを刺激します。下腹部や脚の引き締めに効果的です。 -
やり方
- 仰向けの状態で、両腕は体のわきに伸ばし手のひらは下に向けます。
- 両脚をそろえて伸ばし、腰が反りすぎないように腹筋を締めながら、かかとを少しベッドから浮かせます。
- 右脚を斜め上方に引き上げると同時に、左脚を少し下げますが、床(ベッド)につかない位置でキープ。
- そのまま脚を交互に入れ替えるようにして動かします。
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ポイント
呼吸を止めずに、上下する脚をコントロールしましょう。下ろした脚がベッドにつかないように少し浮かせ続けることで、腹筋下部への効果が高まります。
10. ドルフィンプランク(Dolphin Plank)
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狙い・効果
前腕をついたプランクから、お尻を上に突き出す動き(ドルフィンキックに似ている動き)を加えます。腹筋、背筋、肩周り、そして骨盤まわりの柔軟性向上にもつながる総合的なエクササイズです。 -
やり方
- まず前腕をつく通常のプランク姿勢をとり、肘は肩の真下にセット。
- 頭からかかとまで一直線にし、腹筋と背筋を意識して姿勢をキープします。
- そこからお尻を上に突き上げ、かかとを軽くベッドのほうへ押し下げるようなイメージで伸びます。
- 1~2秒キープしたら再度プランクの姿勢に戻します。
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注意点
体が硬い方は、無理に高く上げすぎると首や肩を痛めやすいので、可能な範囲で行いましょう。
朝ベッドでのエクササイズを続けるコツ
朝のベッド上エクササイズは、続けやすい反面、「今日は眠いからやめてしまおう」と思えばすぐにやめられてしまう手軽さがあります。したがって、ある程度は意識的に習慣化していく工夫が必要です。たとえば起きる時間を毎日同じにする、少し早く目覚ましをセットしてエクササイズの時間を確保する、前の晩に「明日の朝はベッドで運動をしてから1日をスタートしよう」とイメージを膨らませるなど、自分に合った方法を試してみましょう。
また、起きた直後は体温が低く筋肉も硬いため、短いストレッチや軽い深呼吸を挟むとスムーズに体が目覚め、怪我の予防にもつながります。慣れてきたら動きをやや大きくしたり回数を増やしたり、片脚を浮かせるなどで段階的に負荷を上げてみてください。
朝エクササイズの時間帯に関する研究
朝に行う運動は、生活リズムや睡眠の質を整えるうえでも効果が期待されるとされています。たとえば、2021年に行われた「朝と夕方の運動が睡眠や身体機能に与える影響」についての研究では、肥満傾向のある成人を対象に、朝の運動群と夕方の運動群の身体活動量や疲労度、睡眠の質、体力の変化などを比較したところ、朝運動群では体力や睡眠の質の改善が見られたという報告もあります(PubMed: 34128447)。さらに、2022年に『Diabetes Care』誌で発表されたSavikjらの無作為化臨床試験(doi:10.2337/dc21-2266)では、肥満や耐糖能異常を持つ被験者において、朝の時間帯に運動を行うことで血糖コントロールに好影響が出る可能性が示唆されました。このように、朝の運動は1日のリズムを作りやすい点で意義があると考えられています。ただし、夜型のライフスタイルの方や不規則勤務の方など、生活パターンによっては必ずしも朝でなければいけないわけではありません。ご自身の体調や生活リズムに合わせて、無理のないタイミングを探ることが大切です。
おすすめの関連エクササイズ・参考ポイント
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お腹まわりをすっきりさせたい方に
「10種類の腹筋運動」「下腹部を徹底的に狙うレッグレイズ」などの組み合わせが推奨されています。特にブリッジやプランクは体幹全体を支える力を育むため、腹筋と組み合わせると相乗効果が期待できます。 -
カーディオ運動と合わせた有酸素運動
もし朝余裕があれば、ベッド上エクササイズで体が温まった後に軽いウォーキングやステップ運動などを数分でも取り入れると、心肺機能の向上や脂肪燃焼をさらに高めやすくなります。 -
骨盤底筋のトレーニング
骨盤周りを引き締めるエクササイズは、尿もれ予防など女性にとって特にメリットが大きいとされています。仰向けや座った姿勢で骨盤底筋を意識的に締める練習も合わせるとより効果的です。
結論と提言
朝ベッドの上で取り組める簡単なエクササイズを10種類紹介しました。お尻や腹筋、腰まわりを強化する種目が多く、短時間でも全身に刺激を入れられるように構成されています。「朝は忙しくて時間がない」「ジムまで行くのが大変」「寒い時期に布団から出るのがおっくう」という方は、まずは1~2種目から試してみると良いでしょう。続けていくうちに筋力や柔軟性の向上を感じられ、もっと体を動かしたくなるかもしれません。
特にブリッジ、プランク、サイドプランクなどは体幹をしっかり安定させるうえで重要です。また、足上げの動きやシザーキックなどは下腹部・足まわりに効果的なので、むくみやすい方や脚を引き締めたい方にもおすすめです。さらに、朝に体を動かすことは代謝を高め、1日のエネルギー消費量を底上げする可能性も示唆されています。ただし、腰や膝などに慢性的な痛みがある場合や、妊娠中・産後直後の方などは、実践前に医師や専門家に相談すると安心です。
参考文献
- Side Plank Alternatives: 5 Exercises to Try(ACE Fitness) アクセス日: 2021年11月25日
- 7 Health Benefits of Plank Exercises (+5 Plank Variations You Should Know)(Healthcorps) アクセス日: 2021年11月25日
- Effect of morning versus evening exercise training on sleep, physical activity, fitness, fatigue and quality of life in overweight and obese adults アクセス日: 2022年10月23日
- Try these stretches before you get out of bed(Harvard Health) アクセス日: 2022年10月23日
- What’s the Best Way to Lose Body Fat (and Keep It Off)?(Cleveland Clinic) アクセス日: 2022年10月23日
- Benefits of exercise(NHS) アクセス日: 2022年10月23日
- A Guide to Exercise for Beginners(HelpGuide) アクセス日: 2022年10月23日
- Savikj, M. et al. (2022). “Effect of Morning vs Evening Exercise Training on Glycemic Control and Serum Metabolites in Overweight/Obese Men: A Randomized Clinical Trial”, Diabetes Care, 45(7), 1608–1618, doi: 10.2337/dc21-2266
さらなる注意点と免責事項
- ここで紹介したエクササイズは一般的な健康情報としての提供を目的としており、医療行為や治療上のアドバイスではありません。実際に試される場合は、ご自身の体調や既往症、ライフスタイルを考慮したうえで、安全を第一に行ってください。
- 慢性的な腰痛や関節痛、心臓疾患などの持病をお持ちの方、妊娠中や産後の方、その他通院・治療中の方は、必ず事前に医師や専門家へ相談し、適切なアドバイスを受けるようにしてください。
- 記事内で示した効果やデータは個人差があり、すべての人に同じ結果が得られることを保証するものではありません。あくまで参考情報としてご活用いただき、症状の改善や目標の達成を確実に保証するものではないことをご了承ください。
朝起きてベッドから出ずに取り組めるエクササイズは、忙しい現代人にとって大変有効な方法です。まずは短い時間からでも継続し、習慣化することが重要です。安全に配慮しながら、ぜひ取り組んでみてください。何か気になる変化や痛みがあった場合は、すみやかに医療機関で相談しましょう。以上の情報が、少しでも健康維持や日々の生活の質向上に役立つことを願っています。