「コレステロールの正常値はどれくらいですか?」この問いは、健康に関心を持つ多くの人々が抱く疑問です。しかし、現代医学の観点からの答えは、意外なものかもしれません。それは、「すべての人に当てはまる単一の『正常値』は存在しない」という事実です。理想的なコレステロール値という概念は、もはや固定された基準値を超えて進化しています。個人の「目標とすべき」あるいは「健康的な」コレステロール値は、年齢、性別、血圧、喫煙状況、そして糖尿病のような他の疾患の有無を含む、その人の総合的な心血管リスクプロファイルに完全に依存します。12
日本においてこの問題を深く理解する必要性は、極めて高いと言えます。最新の「令和5年 国民健康・栄養調査」によると、総コレステロール値が240 mg/dL以上という高い値を示す成人が、女性で23.1%、男性で10.1%にものぼります。3 特に女性では人口の約4分の1近くに達するこの高い割合は、これが重大な公衆衛生上の課題であり、国民からの正しい知識と関心が求められていることを示唆しています。4 一方で、検査票に並ぶ数字や「基準範囲」だけを見て一喜一憂し、本当に大切な「将来の心筋梗塞や脳卒中のリスク」という観点が抜け落ちてしまうケースも少なくありません。
最も正確で信頼性の高い情報を提供するため、本稿では日本の医学におけるゴールドスタンダード、すなわち日本動脈硬化学会(JAS)が発行した「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」を基盤とします。5 このガイドラインを深く掘り下げることで、なぜコレステロール管理が個別化されたプロセスであるのかを解き明かし、心血管の健康を守るためのエビデンスに基づいた道筋を示します。同時に、最新の国内外ガイドラインや疫学研究も参考にしながら、「健診の結果をどう解釈し、明日から何を変えていけばよいのか」という実践的な視点も丁寧に整理していきます。
要点まとめ
- コレステロールには、すべての人に共通する単一の「正常値」は存在しません。目標値は個々の心血管リスクに応じて個別化されます。
- 脂質異常症の診断と管理は、日本動脈硬化学会の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」に基づいて行われます。
- リスク評価には、糖尿病や慢性腎臓病などの併存疾患の有無や、「久山町研究スコア」が用いられ、低・中・高リスクに分類されます。
- 治療の基本は、魚や野菜、大豆製品を豊富に含む日本食パターンのような健康的な食事、定期的な運動、禁煙といった生活習慣の改善です。
- 心筋梗塞などの既往歴がある場合(二次予防)は、再発防止のためにさらに厳格なコレステロール管理(例:LDL-C 100 mg/dL未満、超高リスクでは70 mg/dL未満)が求められます。
- 健診結果の「高め」「要注意」という一言だけで判断せず、主治医と一緒に10年先、20年先の心血管リスクを見据えた目標値を確認することが大切です。
本記事は、JHO(JapaneseHealth.org)編集委員会が、厚生労働省、日本動脈硬化学会(JAS)、日本循環器学会、世界保健機関(WHO)などの信頼できる公的機関・専門学会の情報や査読付き論文に基づいて作成しました。
ここで紹介する内容は、日本で暮らす方が自分の検査結果を理解し、医師との対話を深めるための「基礎知識」です。最終的な診断や治療方針は、必ず主治医や専門の医療機関と相談して決めてください。
コレステロール目標値の考え方
健康診断で「総コレステロールが高めです」と言われても、検査票には1本の基準線しか載っておらず、「結局、自分は本当に危ないのか」「どこまで下げればいいのか」が分からず不安になってしまう方は少なくありません。さらに、インターネットや雑誌を見ると別々の「正常値」が書かれていて、何を信じれば良いのか混乱してしまうことも多いでしょう。「とりあえず数字さえ下がれば大丈夫なのか」というモヤモヤを抱えたまま検査結果を見ている方もいるかもしれません。
この記事で伝えられているように、大切なのは「すべての人に共通する正常値」ではなく、「あなたの心血管リスクに応じた目標値」を知ることです。年齢・性別・血圧・喫煙・糖尿病や腎臓病の有無などを踏まえて総合的に判断することで、初めて本当に意味のあるコレステロール管理ができます。心臓や脳の病気全体の流れを理解しておくと、この考え方がぐっとイメージしやすくなるので、まずは心血管疾患全体を俯瞰できる心血管疾患の総合ガイドも併せて確認しておくと安心です。
コレステロールに「一律の正常値がない」背景には、脂質異常症そのものが心筋梗塞や脳卒中だけでなく、認知症や脂肪肝など幅広い病気の土台になるという事実があります。そのため、日本動脈硬化学会のガイドラインでは、LDL-CとNon-HDL-Cを中心に、糖尿病・慢性腎臓病・末梢動脈疾患の有無や久山町研究スコアなどを使って低リスク・中リスク・高リスクに分け、それぞれで目標値を変える仕組みになっています。脂質異常症がどのように全身の臓器へ影響し、なぜリスクに応じた管理が必要になるのかは、脂質異常症の全貌で詳しく整理されています。
目標値を考えるうえでの第一歩は、「今の自分の脂質プロファイルを正しく読み解く」ことです。総コレステロールだけでなく、LDL-C・HDL-C・トリグリセリド(中性脂肪)・Non-HDL-Cがそれぞれ何を意味し、自分がどのリスク群に入るのかを理解することで、初めて「どこまで下げるべきか」という具体的なゴールが見えてきます。そのうえで、魚や野菜・大豆製品・未精製穀物を中心とした日本型の食事パターンに整え、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸、過剰な糖分を減らしていくことが、すべてのリスク群に共通する土台となります。こうした食事の整え方を段階的に実践するための具体的なポイントは、脂質異常症の食事療法 完全ガイドで詳しく解説されています。
生活習慣の見直しを続けても、ガイドラインで定められた目標値に届かない場合や、もともとのリスクが高い場合には、薬物療法が重要な「第二のステップ」になります。スタチンを中心とした薬によってLDL-Cをどの程度下げるか、必要に応じてエゼチミブや新しい注射薬を組み合わせるかといった判断は、一次予防か二次予防か、そしてあなたのリスクレベルによって変わります。「薬=一生やめられない」というイメージだけで怖がるのではなく、心筋梗塞や脳卒中をどれだけ減らせるかという観点で、脂質異常症の薬物療法の内容も参考にしながら、主治医と具体的な治療方針を相談していきましょう。
一方で、「検査の基準範囲に入ったからもう安心」と自己判断して薬を中断したり、サプリメントや特定保健用食品だけに頼ってしまうのは危険です。特に、心筋梗塞や脳卒中を経験した二次予防の方や、糖尿病・家族性高コレステロール血症などを抱える方では、ガイドラインで推奨されるLDL-Cの目標値がより厳しく設定されています。食事・運動・トクホなどをどう位置づけるか、どこまで薬を併用すべきかといった「現実的な付き合い方」は、脂質異常症(高コレステロール)完全ガイドも参考にしながら、必ず医師と一緒に整理していくことが大切です。
コレステロール管理は、「この数字が正常かどうか」を当てるクイズではなく、「自分の将来の心筋梗塞や脳卒中のリスクを、どこまで下げられるか」を考える長期的なプロジェクトです。この記事で紹介されているJASガイドラインの考え方を手がかりに、主治医と一緒にあなた自身のリスクと目標値を整理し、今日からできる生活習慣の修正と、必要に応じた薬物療法を組み合わせていきましょう。「自分にとっての適切な目標値」が見えてくるほど、不安は少しずつ「行動に変えられる安心感」へと変わっていきます。
脂質検査パネルの解読:「善玉」「悪玉」以上の意味
コレステロール管理に関する推奨を理解するためには、まず血液脂質検査の主要な指標が何を意味するのかを把握する必要があります。「善玉コレステロール」や「悪玉コレステロール」という言葉は単なる簡略化された表現であり、その生物学的な役割ははるかに複雑です。ここでは、健診票に並ぶ主な項目について、少し踏み込んで整理してみましょう。
LDL-C (低密度リポタンパク質コレステロール)
一般的に「悪玉コレステロール」と呼ばれるLDL-Cは、実際には肝臓から体内の各細胞へコレステロールを運ぶ「輸送分子」であり、細胞膜の構築やホルモンの生成といった生命維持に不可欠な機能に関与しています。しかし、血中のLDL-C濃度が過剰になると、それらは蓄積し、酸化され、動脈壁に侵入しやすくなります。このプロセスがアテローム性動脈硬化(プラーク形成)の引き金となり、血管を狭く、硬くさせ、心筋梗塞や脳卒中といった心血管疾患の根本原因となります。そのため、LDL-Cは動脈硬化性疾患の予防および治療における主要な管理目標とされています。6
日本のガイドラインでは、LDL-Cが140 mg/dL以上で「高LDLコレステロール血症」を疑い、120〜139 mg/dLは「境界域」として早期からの注意が促されます(詳細は後述の表を参照)。健診票で「要観察」「要精査」とコメントされている場合は、単に数字を下げるだけでなく、自分がどのリスク群に入るのかを医師と一緒に確認することが大切です。1
HDL-C (高密度リポタンパク質コレステロール)
「善玉コレステロール」として知られるHDL-Cは、「清掃チーム」のような役割を果たします。その主な機能は「コレステロール逆転送系」と呼ばれるプロセスを実行すること、すなわち動脈壁のプラークを含む組織から余分なコレステロールを回収し、肝臓へ戻して処理・排泄させることです。高いHDL-C値は心血管保護因子と見なされます。逆に、低いHDL-C値(40 mg/dL未満)はリスク因子とされ、脂質異常症の診断基準の一つとなっています。7
HDL-Cは単独で「高ければ高いほどよい」と考えられがちですが、近年の研究では、極端に高い値が必ずしも追加の保護効果を意味しない可能性も指摘されています。そのため、「HDLだけ高いから安心」と自己判断するのではなく、LDL-Cやトリグリセリド、血圧、喫煙など他の因子と合わせて総合的に評価する視点が重要です。
トリグリセリド (TG – 中性脂肪)
トリグリセリドは血中に存在するもう一つの脂肪であり、体の主要なエネルギー貯蔵源および供給源として機能します。JASガイドライン2022年版における重要な更新点の一つは、従来の空腹時トリグリセリド(空腹時TG)に加え、食後トリグリセリド(随時TG)が診断基準に導入されたことです。5 この変更は、人は一日の大半を食後の状態で過ごしており、食後に持続する高トリグリセリド血症もまた、心血管疾患の独立したリスク因子であるという重要な医学的認識を反映しています。日本の疫学研究では、食後の高いTG値が心血管イベントを予測する能力を持つことが示されており、この指標を測定することで、これまで見逃されていた可能性のあるリスクを持つ患者群を特定するのに役立ちます。1
健診の結果に「空腹時採血かどうか」の記載がある場合は、その違いも確認しておきましょう。食後(随時)の値が高めに出ている場合には、食習慣やアルコールの摂取状況、体重の変化などを丁寧に振り返ることが、リスク低減への第一歩になります。
Non-HDL-C
これは臨床現場でますます重要視されている指標です。Non-HDL-Cは、総コレステロール値からHDL-C値を引くという単純な計算式(Non-HDL-C = 総コレステロール – HDL-C)で算出されます。この指標は、LDL-C、VLDL-C(超低密度リポタンパク質コレステロール)、IDL-C(中間密度リポタンパク質コレステロール)を含む、血中のすべての動脈硬化惹起性リポタンパク質の総濃度を表します。Non-HDL-Cは、特にトリグリセリド値が高い患者のリスク評価に有用です。なぜなら、このような状況では従来のLDL-C計算式が不正確になる可能性があるためです。これはLDL-Cの目標達成後における、第二の管理目標と位置づけられています。8
健診結果ではNon-HDL-Cが別項目として印字されていない場合もありますが、「総コレステロール − HDL-C」で自分でも計算できます。LDL-CだけでなくNon-HDL-Cの値にも注目することで、より全体像に近いリスク評価が可能になります。
日本の基準:脂質異常症の診断
ここで強調すべき重要な点は、以下の表にある数値は脂質異常症の状態をスクリーニングし、診断するための基準(スクリーニング基準)であるということです。これらはすべての人に適用される治療目標ではありません。専門家が警告するように、「治療基準と診断基準は異なります」。1 診断はあくまで第一歩であり、治療目標は後述する包括的なリスク評価に基づいて個別化されます。
以下の表は、日本の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」に基づく、脂質異常症の正式な診断基準をまとめたものです。8
| 脂質異常症のタイプ | 指標 | 基準値 (mg/dL) |
|---|---|---|
| 高LDLコレステロール血症 | LDL-C | ≥140 |
| 境界域高LDLコレステロール血症 | LDL-C | 120–139 |
| 低HDLコレステロール血症 | HDL-C | <40 |
| 高トリグリセリド血症 | トリグリセリド(空腹時) | ≥150 |
| トリグリセリド(随時) | ≥175 | |
| 高non-HDLコレステロール血症 | Non-HDL-C | ≥170 |
| 境界域高non-HDLコレステロール血症 | Non-HDL-C | 150–169 |
注:「空腹時」は10時間以上の絶食後を指す。「随時」は空腹時であることが確認できない任意の時点を指す。9
この表における重要な概念は、LDL-CおよびNon-HDL-Cに対する「境界域」の存在です。8 この領域に指標がある人は、完全に正常とは見なされませんが、まだ疾患の診断基準には達していません。これは重要な「黄信号」、すなわち早期警告です。これらの個人に対しては、喫煙、高血圧、家族歴といった他のリスク因子を慎重に検討し、次の介入ステップを決定することが極めて重要になります。5 この境界域の存在こそが、単一のコレステロール指標だけでは臨床判断を下すには不十分であり、個別化されたリスク層別化の必要性へと自然につながる論理的な橋渡しとなるのです。
また、脂質異常症は他の病気(甲状腺機能低下症、ネフローゼ症候群、薬剤の影響など)が原因となっている場合もあります。そのため、「コレステロールが高い=すぐ薬」という単純な話ではなく、まずは問診や追加検査によって背景に隠れた病気がないかを確認し、そのうえで生活習慣と薬物療法のバランスを考えることが推奨されます。6
検査結果をどう読み、医師とどう話し合うか
健診結果を受け取ったとき、多くの人は「基準範囲」や「H/L」の記号だけに目が行きがちです。しかし、本当に大切なのは、「今の数値が将来の心筋梗塞や脳卒中のリスクとどう関係しているのか」「これから何をどの順番で変えていけばよいのか」を主治医と一緒に整理することです。
健診票でまず確認したいポイント
- 採血が「空腹時」か「随時」か
- LDL-C、HDL-C、トリグリセリド、Non-HDL-Cのそれぞれの値
- 血圧、血糖値(空腹時血糖、HbA1c)、尿蛋白の有無
- 喫煙の有無、家族に若い年齢で心筋梗塞・脳卒中を起こした人がいるかどうか
これらをまとめて持参し、診察時に「自分はJASガイドラインで言うと、低リスク・中リスク・高リスクのどこに当てはまりそうか」「どのくらいの期間で、どこまで数値を下げることを目標にすべきか」を確認すると、治療方針がぐっとイメージしやすくなります。1
数値は一度で決めつけない:再検査と経過観察
コレステロール値は、前日の食事内容や体調、採血時間によってある程度変動します。そのため、単回の検査結果だけで診断を確定するのではなく、医師は必要に応じて再検査や経過観察を行います。特に境界域の値の場合は、「数か月後に再検査し、生活習慣の見直しがどの程度反映されるか」を確認するステップが設けられることが一般的です。8
診察で医師に質問したい例
- 「自分の10年以内の心筋梗塞・脳卒中リスクは、おおよそどのくらいと考えられますか?」
- 「JASのリスク分類では、どのグループに近いでしょうか?」
- 「生活習慣だけで様子を見る期間はどのくらいで、その間にどの程度の変化が期待できますか?」
- 「薬を始めるとしたら、どの薬をどのくらいの期間使う可能性がありますか?メリットとリスクを教えてください。」
このような具体的な質問を用意しておくと、短い診察時間の中でも、自分にとって本当に必要な情報を取りこぼしにくくなります。
問題の核心:リスクに応じたコレステロール目標の個別化
ここが、「私のコレステロール値は、いくつであるべきか?」という中心的な問いに答える核心部分です。答えは、各個人の心血管リスクのレベルに基づいて脂質管理目標を設定することにあります。JASガイドライン2022年版では、この管理を主に「一次予防」と「二次予防」の二つのグループに分けています。
A. 一次予防
一次予防は、アテローム性動脈硬化による心血管イベント(心筋梗塞、脳卒中など)の既往歴がない人々を対象とします。このグループの目標は、病気の発症と進行を未然に防ぐことです。JAS 2022のリスク層別化プロセスは以下のように行われます。
- 高リスク病態の特定:以下のいずれかの疾患を持つ個人は、自動的に高リスク群に分類されます。
- 糖尿病
- 慢性腎臓病 (CKD)
- 末梢動脈疾患 (PAD)5
- 久山町研究スコアの使用:上記の病態がない人々に対しては、医師はこのスコアを用いて、今後10年間の動脈硬化性心血管疾患の発症リスクを推定します。スコアに基づき、患者は低リスク、中リスク、または高リスクに分類されます。5
JAS 2022の重要な改善点の一つは、従来の吹田スコアから久山町研究スコアへ変更したことです。主な理由は、久山町研究スコアが、欧米人と比較して日本人で比較的発生率が高いアテローム血栓性脳梗塞のリスクも評価に含んでいるためです。この変更は、国内の人口の疫学的特徴に最も適合するように評価ツールを洗練させようとする、日本の医学界の努力を示しています。510
リスク分類に基づき、脂質管理目標は以下のように定められます。
| リスク分類 | LDL-C目標値 (mg/dL) | Non-HDL-C目標値 (mg/dL) | 治療方針 |
|---|---|---|---|
| 低リスク | <160 | <190 | 生活習慣の改善が中心。LDL-Cが180以上の場合、薬物療法を考慮。 |
| 中リスク | <140 | <170 | 生活習慣の改善を行い、その上で薬物療法を考慮。 |
| 高リスク | <120 | <150 | 生活習慣の改善を行い、その上で薬物療法を考慮。 |
出典:JASガイドライン2022年版に基づく。8
この表は、なぜ単一の「正常値」が存在しないのかを視覚的に示しています。LDL-Cが135 mg/dLの人が低リスク群に属する場合、経過観察で十分かもしれませんが、同じLDL-C値を持つ別の人(例えば糖尿病を患っているなど)が高リスク群に属する場合、より積極的な介入が必要となります。
B. 二次予防
二次予防は、既にアテローム性動脈硬化による心血管イベントを経験した人々を対象とします。JAS 2022では、この定義が冠動脈疾患(心筋梗塞、狭心症)だけでなく、アテローム血栓性脳梗塞も含むように拡大されました。5
これらの患者では、イベント再発のリスクが非常に高くなります。そのため、現存するアテローム性プラークを安定させ、将来のイベントを防ぐために、コレステロール管理の目標ははるかに厳格になります。
- 一般的な目標: LDL-C < 100 mg/dL。8
- 超高リスク症例の目標:特にリスクが高いと見なされる患者に対しては、目標はさらに厳しくなります:LDL-C < 70 mg/dL。2 これらの症例には以下が含まれます:
- 急性冠症候群
- 家族性高コレステロール血症
- 心血管疾患を既に発症している糖尿病患者8
一次予防の目標(例:高リスクで <120 mg/dL)と二次予防の目標(<100 mg/dLまたは <70 mg/dL)との間の明確な差は、重要な医学的メッセージを伝えています。それは、イベントが発生した後にそれをコントロールするよりも、病気を未然に防ぐ方が常に容易であるということです。これは、早期のスクリーニングと介入の重要性を強調しています。
国際的視点:日本(JAS)と米国(AHA/ACC)のガイドライン比較
理解をさらに深めるために、日本のアプローチを米国心臓協会/米国心臓病学会(AHA/ACC)などの国際的なガイドラインと比較することは非常に有益です。
2018年のガイドラインに示されたAHA/ACCのアプローチには、いくつかの注目すべき違いがあります。11 絶対的なLDL-C目標値を設定する代わりに、米国のガイドラインはLDL-Cの相対的な低下率に焦点を当てています。「低ければ低いほど良い(lower is better)」が基本原則であり、高リスク患者に対して高強度スタチン療法を用いてLDL-Cを50%以上低下させるなど、特定の割合でLDL-Cを低下させることを推奨しています。12
さらに、境界域または中等度リスクの人々の治療を決定する際、AHA/ACCガイドラインは「リスク増強因子(risk-enhancing factors)」と呼ばれる洗練された概念を用います。これらは、早期心血管疾患の家族歴、慢性腎臓病、慢性炎症性疾患(関節リウマチなど)、女性における妊娠高血圧腎症の既往歴などの因子です。これらの因子の存在は、スタチンによる治療開始の決定を後押しします。1213
アプローチ方法は異なって見えるかもしれませんが、両ガイドラインは共に同じ基本原則に基づいています。すなわち、介入の程度は患者のリスクレベルに見合っていなければならない、という点です。JASのアプローチ(絶対目標値の設定)は、日本の日常的な臨床現場でより直感的で適用しやすいかもしれません。対照的に、AHA/ACCのアプローチ(相対的な低下率)は、スタチンに関するランダム化比較試験(RCTs)の結果をより厳密に反映しています。14
食事性コレステロールに関しては、国際的な見解に変化が見られます。最近のAHAの指針では、食品(卵など)からのコレステロール摂取を厳格に制限することの重要性が以前より強調されなくなりました。15 その代わり、飽和脂肪酸の削減とトランス脂肪酸の完全な排除に重点が置かれています。なぜなら、これらが血中LDL-C濃度に与える影響がはるかに大きいからです。JAS 2022ガイドラインは、食事性コレステロールを1日200mg未満に制限する推奨を維持しています。8 しかし、飽和脂肪酸の少ない食事を遵守すれば、結果的に食事性コレステロールの摂取量も自然に管理されることが多い点に留意すべきです。
女性や特定の人にとってのコレステロール管理のポイント
コレステロール管理は「一律の基準」を当てはめるのではなく、性別や年齢、既往歴によって注意点が少しずつ変わります。ここでは、特に相談が多いケースについて、ポイントを簡単に整理します。
閉経前後の女性の場合
女性は閉経の前後でホルモンバランスが大きく変化し、それに伴ってLDL-Cやトリグリセリドが上昇しやすくなることが知られています。10 「今までの健診では問題なかったのに、40〜50代になって急にコレステロールが高くなった」と驚く方も少なくありません。
- 閉経後は、同じ数値でも心血管リスクが高まりやすい
- 高血圧や糖尿病、喫煙など他の危険因子が重なると、リスクはさらに上昇する
- 体重や内臓脂肪の増加、運動不足、睡眠の質の低下も値に影響しやすい
「更年期だから仕方ない」とあきらめるのではなく、生活習慣を整えつつ、必要に応じて早めに専門医へ相談することが重要です。
家族性高コレステロール血症(FH)が疑われる場合
若い頃から非常に高いLDL-C値が続いている場合や、家族に若くして心筋梗塞や狭心症を起こした人が複数いる場合には、遺伝性の「家族性高コレステロール血症(FH)」が隠れている可能性があります。620
- LDL-Cが未治療で180〜200 mg/dL以上が続く
- 両親や兄弟姉妹に若い年齢(男性55歳未満、女性65歳未満)で心筋梗塞を起こした人がいる
このような特徴があてはまる場合には、一般的なリスクチャートだけでは十分に評価できないこともあり、専門医による精査が推奨されます。早期からの治療介入によって、将来の心血管イベントリスクを大きく下げられる可能性があります。
あなたの行動計画:生活習慣でコレステロールを管理する
生活習慣の改善は、脂質異常症のすべての予防および治療戦略の基盤です。薬物療法が必要な場合でも、健康的な生活習慣を維持することは、治療効果を最大化し、全体的なリスクを低減するために不可欠です。JASガイドライン2022年版は、具体的でエビデンスに基づいた推奨事項を提示しています。
A. 食事療法
食事療法は、血中脂質管理において中心的な役割を果たします。以下の原則は、JAS 2022ガイドラインから要約され、日本の大規模な疫学研究によって裏付けられています。日々の食事で「全部を完璧に守る」必要はありませんが、できることから少しずつ取り入れていくことが大切です。
| 栄養原則 | 具体的な推奨 |
|---|---|
| エネルギー摂取量の管理 | 適正体重を維持する。過食を避ける。 |
| 脂質の制限 | 総エネルギーの20-25%を脂質から摂取する。 |
| 飽和脂肪酸の削減 | 総エネルギーの7%未満を飽和脂肪酸から摂取する。動物性脂肪(脂身の多い肉、バター)を控える。 |
| コレステロールの制限 | 食事性コレステロール摂取量を1日200 mg未満にする。卵黄、内臓を控える。 |
| トランス脂肪酸の排除 | 「部分水素添加油脂(partially hydrogenated oils)」を含む製品を避ける。 |
| 健康的な食品の増強 | 魚(n-3系脂肪酸が豊富)、野菜(特に葉物野菜)、大豆・大豆製品、海藻、未精製の穀物の摂取を増やす。 |
| 糖分と塩分の管理 | 甘いもの、糖分の多い清涼飲料水を控える。食塩摂取量を1日6 g未満にする。 |
| アルコールの制限 | アルコール摂取量を1日25 g未満にする。 |
出典:JASガイドライン2022年版に基づく。8
これらの推奨事項は、日本の研究によって強力に支持されています。複数のコホート研究のメタアナリシスでは、魚、大豆、野菜、緑茶の摂取量が多いことを特徴とする日本食パターンの遵守が、心血管疾患および脳卒中による死亡リスクの有意な低下と関連していることが示されました。1617 ある臨床試験では、JASが推奨する日本食パターンがLDL-Cを有意に低下させることが示されています。18 これは興味深い「逆説」を示唆しています。過去数十年にわたり日本人の平均コレステロール値は上昇しているにもかかわらず、冠動脈心疾患による死亡率は欧米諸国と比較して依然として低い水準にあります。19 これを説明する主要な仮説の一つが、伝統的な食事からの保護因子です。
実際の生活では、次のような小さな工夫から始めると続けやすくなります。
- 週に2回以上、主菜を「肉」から「魚(特に青魚)」に置き換える
- 白米だけでなく、雑穀米や玄米を取り入れてみる
- ソーセージやベーコンなど加工肉を「毎日」から「週に数回」に減らす
- マヨネーズやバターの量を「いつもの半分」にしてみる
B. 運動療法
定期的な身体活動は、脂質プロファイルの改善、血圧と体重の管理、心血管リスクの低減に役立ちます。
- 種類:速歩、軽いジョギング、水泳、サイクリングなどの有酸素運動(エアロビクス)を優先する。
- 強度:中強度以上。中強度は、心拍数と呼吸数が上がるが、会話は可能な程度の速歩に相当する。
- 頻度と時間:1日合計30分以上、できれば週のほとんどの日に行う。810
忙しくてまとまった時間が取れない場合でも、「10分×3回」を組み合わせる方法であれば実践しやすくなります。エレベーターではなく階段を使う、一駅分歩く、テレビを見ながらストレッチをするなど、日常生活に無理なく取り入れられる工夫を探してみましょう。
C. その他の生活習慣因子
- 禁煙:喫煙は最も強力な心血管リスク因子の一つです。血管壁を直接傷つけるだけでなく、HDL-C(「善玉コレステロール」)を減少させます。JAS 2022ガイドラインでは、糖尿病患者の喫煙は、より厳格なLDL-C管理(<100mg/dL)が必要となる因子とされています。5
- 適正体重の維持:過体重や肥満の人が減量すると、特にトリグリセリドとHDL-Cの脂質指標が大幅に改善する可能性があります。
- アルコールの制限:過度の飲酒は、トリグリセリドと血圧を上昇させる可能性があります。
- 睡眠とストレス:睡眠不足や慢性的なストレスは、食欲や血圧、血糖コントロールに影響し、間接的に脂質にも悪影響を及ぼします。できる範囲で休息の時間を確保し、リラックスできる習慣を持つことも大切です。
よくある質問 (FAQ)
コレステロールの「正常値」はいくつですか?
医学的には、すべての人に適用される単一の「正常値」というものは存在しません。健康的なコレステロールの目標値は、年齢、性別、喫煙の有無、高血圧や糖尿病などの他の病気の有無といった、個人の総合的な心血管リスクによって決定されます。医師と相談し、あなた自身のリスクに基づいた個別の目標値を知ることが重要です。1
LDLコレステロールが境界域(120-139 mg/dL)の場合はどうすればよいですか?
LDLコレステロールがこの範囲にある場合、それは「黄信号」と見なされます。直ちに病気と診断されるわけではありませんが、リスクが全くないわけでもありません。この段階では、医師があなたの他のリスク因子(例えば、家族歴、喫煙、高血圧など)を総合的に評価し、生活習慣の改善を始めるべきか、あるいはより詳しい検査が必要かを判断します。自己判断せず、専門家のアドバイスを求めることが不可欠です。8
食事で卵を完全に避けるべきですか?
コレステロールの数値は、測るたびに変わるのですか?
コレステロール値は、採血前日の食事内容や飲酒、体調、採血時間などによってある程度変動します。そのため、単回の検査で「少し高い」と言われた場合には、生活習慣を見直したうえで、医師の指示に従って再検査を行うことが一般的です。大きく異常な値が出た場合や、他のリスク因子が重なっている場合には、より早期に専門的な対応が必要になることもあります。
生活習慣だけでコレステロールを下げられる人と、薬が必要な人の違いは何ですか?
生活習慣だけで十分に管理できるかどうかは、もともとの心血管リスクレベルや、LDL-Cの高さ、家族歴、糖尿病や慢性腎臓病の有無などによって異なります。リスクが低く、LDL-Cの上昇が軽度であれば、まずは食事と運動を中心とした生活習慣の改善を行い、その効果を数か月単位で確認するのが一般的です。一方で、糖尿病や心筋梗塞の既往がある場合、あるいは非常に高いLDL-Cが続いている場合には、早期から薬物療法を併用することが推奨されます。5
サプリメントや特定保健用食品(トクホ)だけで治療の代わりになりますか?
サプリメントやトクホの中には、LDL-Cをわずかに低下させる可能性があるものも報告されていますが、その効果はスタチンなどの薬物療法と比較すると限定的です。特に、すでに心筋梗塞や脳卒中を経験している方や、糖尿病・家族性高コレステロール血症などの高リスクの方にとって、サプリメントだけに頼ることは危険です。これらは、あくまでもバランスの良い食事や適切な薬物療法を補う「補助的な位置づけ」として考え、自己判断で薬を中断したりしないようにしましょう。6
女性はコレステロールが高くても、男性ほど心筋梗塞にならないのですか?
一般的に、女性は閉経前には女性ホルモン(エストロゲン)の影響もあり、同年代の男性に比べて心筋梗塞の発症は少ないとされています。しかし、閉経後はLDL-Cが上昇しやすくなり、心血管リスクも高まります。10 「女性だから大丈夫」と油断するのではなく、年齢や閉経のタイミング、高血圧や糖尿病の有無などを総合的に見て対策を考えることが大切です。
結論:健やかな心臓への道
コレステロールを理解し管理することは、患者と医療専門家の間の緊密な協力が求められる、個別化された旅路です。この分析から心に留めておくべき主要な点は以下の通りです。
- 単一の「正常値」は存在しない:固定された数値を探すのではなく、あなた自身の心血管リスクプロファイルに基づいた、個別化されたコレステロール目標に焦点を当てましょう。
- 自身の危険度を理解する:最も重要なステップは、医師と話し合い、日本動脈硬化学会(JAS 2022)のガイドラインに従って正確にリスク層別化を受けることです。これが適切な治療目標を決定するための基盤となります。
- 生活習慣が基盤:魚、野菜、大豆製品が豊富な日本食スタイルの健康的な食事、定期的な運動、そして禁煙を組み合わせることは、心臓の健康を守るための最も強力で効果的な介入策です。
- 定期的な健康診断:血中脂質指標やその他のリスク因子を定期的に追跡することは、問題を早期に発見し、時機を逸せず介入するための鍵です。
- 不安を「行動に変える」:検査結果の数字に振り回されるのではなく、「将来のリスクをどこまで下げられるか」という視点を持つことで、不安は具体的な行動計画へと変えていくことができます。
最後に、検査結果を自己判断したり、非公式な情報に基づいて自己治療を行ったりすべきではありません。ここで整理した内容を、医師や医療専門家とより効果的で深い対話を行うための基礎知識として活用していただければ幸いです。それこそが、健やかな心臓を目指すための、最も科学的で持続可能な道筋なのです。
参考文献
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