はじめに
母乳は、赤ちゃんの成長に必要な栄養素を自然なかたちで供給する、非常に大切な存在です。出産直後の母体は、体力が消耗しやすく、ホルモンバランスの変化や睡眠不足などの影響から十分に母乳が出ない場合もあります。とくに出産後すぐは赤ちゃんへの授乳頻度が高く、母体自身のエネルギーや栄養状態が不足すると、母乳量にも影響が出ることがあります。そのため母乳育児期には、体力を回復させながら、赤ちゃんにたっぷり母乳を与えられるよう、食生活をより意識して整える必要があります。
免責事項
当サイトの情報は、Hello Bacsi ベトナム版を基に編集されたものであり、一般的な情報提供を目的としています。本情報は医療専門家のアドバイスに代わるものではなく、参考としてご利用ください。詳しい内容や個別の症状については、必ず医師にご相談ください。
本記事では、母乳育児中に「より多くの母乳を出す」ために摂りたい果物について、科学的エビデンスを踏まえつつ詳しく解説します。とくに「どのような果物を食べると母乳量や母体の栄養補給に役立つのか」というポイントや、逆に避けたほうがよい可能性がある果物についても触れます。日本国内の食文化や生活習慣を踏まえながら、食事にうまく取り入れるコツなどを具体的にお話しします。
加えて、母乳育児にまつわる栄養学的な最新の研究成果や、実際の専門家の推奨ガイドラインから得られた知見についても、可能な範囲でご紹介します。赤ちゃんのために良質な母乳をしっかり与えたい、そして自分自身の健康を保ちたいというお母さんにとって、果物の上手な取り入れ方が一助となれば幸いです。
専門家への相談
本記事は、産後ケアや母乳に関する総合的な知見をもとに執筆しています。また、本記事に登場するいくつかの知見は、医療従事者が参照する海外論文やガイドラインを基礎にまとめられています。なお、医学的な診断や治療を目的とした内容ではなく、あくまでも参考情報です。実際に母乳の分泌量が思うように増えない、または食事に関する不安や持病がある場合は、まずは医師や管理栄養士などの専門家(本記事で言及しているとおり、たとえば内科・小児科の医師など)に相談し、個々の状況に合わせたケアを受けるようにしてください。
なお、本記事で言及している専門家としては、実際に臨床の現場で妊産婦や授乳期の女性を診療・アドバイスしている下記の医師が挙げられます。
- Bác sĩ Nguyễn Thường Hanh(Nội khoa – Nội tổng quát / Bệnh Viện Đa Khoa Tỉnh Bắc Ninh)
上記の医師による見解を踏まえつつ、母乳育児中に役立つ果物の摂り方や注意点について解説を行います。ただし、記事内の情報は個々の健康状態に合わせた診断・治療を行うものではありません。あくまでも「一般的な情報提供」としてご理解いただき、疑問点や不安があれば、かならず専門家と面談し、適切な指導を受けてください。
母乳育児中に果物を摂る意義
母乳育児中は、妊娠中と同様にエネルギーや栄養素の需要が高まります。特に授乳によって、母体はたくさんの水分・ミネラル・ビタミン・エネルギーを赤ちゃんへ送り届けますので、自分自身の栄養補給を怠ると疲労回復が遅れたり、母乳の量や質の低下につながる可能性があります。そこで、主食・主菜・副菜などのバランスに加え、果物を適度に取り入れることが、栄養補給とエネルギー補給の両面で役立つと考えられます。
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水分・ビタミン・ミネラルの補給に有効
果物には水分やビタミンC、ビタミンA、葉酸、カリウムなど、多様なビタミン・ミネラルが含まれています。とくに母乳育児期は、普段以上に水分を摂る必要があり、同時に不足しやすいビタミンやミネラルも上手に補給することが重要です。 -
食物繊維による便通改善効果
出産後はホルモンバランスの変化や活動量の低下などから便秘に悩む方も少なくありません。果物に含まれる食物繊維は、腸内環境を整え便通を改善する助けになる場合があります。 -
エネルギー補給と満足感
果物は糖質を含むため、適量をとることで適度なエネルギー補給ができ、食事全体の満足感やバリエーションを増やすことにもつながります。 -
授乳期の疲労回復サポート
カリウムやビタミン群が豊富な果物は、疲労回復や体調管理にも役立ちやすいとされています。授乳期の母体は日々の子育てに加え、夜間の授乳などで慢性的に疲れが溜まりやすいので、こうした微量栄養素の補充は大切です。
母乳を増やす効果が期待される果物7選
ここからは、産後の方が「母乳をより多く出したい」「育児で消耗した体力を回復したい」ときに意識して摂取すると良いとされる果物を、7種類ピックアップしてご紹介します。実際に「母乳が増える」ことを保証するわけではありませんが、昔からの食習慣や伝承的な考え方に加えて、栄養的観点からも取り入れやすい果物です。なお、個人差がありますので、自身の体質やアレルギー、体調に合わせて選んでください。
1. ヴーシュー(vú sữa: ブレストミルクフルーツとも呼ばれる果物)
日本ではなかなか馴染みのない果物ですが、日本語で「スターアップル」と呼ばれることもあり、ベトナムなどの地域でよく食べられるものです。日本国内ではあまり一般的ではありませんが、もし手に入る環境にある場合、ビタミンB群や鉄分、脂質、グルコースなど多彩な栄養素を含むといわれています。これらが授乳期の栄養補給に有用と考えられています。
- 特徴: ビタミンB群、鉄、アミノ酸などが含まれており、エネルギー補給に良いとされる。
- 摂取のコツ: 食べごろの時期(熱帯地域の収穫期)に入手できれば、新鮮な状態で取り入れる。甘みがあるため、他の甘味食材のとりすぎと重ならないよう調整する。
2. サポチェ(Sapôchê)またはサポジラ(ハンギョウイモ科の一種)
日本では“チューインガムフルーツ”という別名で知られることもあり、ベトナムのほか南国で盛んに食される果物です。英語圏では “Sapodilla” とも呼ばれます。母乳育児中はカロリー消費が高いので、ある程度エネルギー密度の高い果物を取り入れるのも良いという考え方があります。サポチェは果肉に自然な甘みがあり、カロリーが比較的高めなので、産後の疲労回復やエネルギー補給に役立ちやすいとされています。
- 特徴: カロリーが高く、糖質が豊富。授乳で消耗したエネルギーを補いやすい。
- 摂取のコツ: お通じの改善にも寄与する可能性がある。食べすぎると糖質過多になるリスクがあるため、1日1~2個が目安。
3. バナナ
バナナは日本国内でも非常に手に入りやすい果物です。カリウムのほか、ビタミンB群、食物繊維、鉄分なども含まれ、エネルギー源としても優秀です。授乳中の母親はエネルギーを消費しやすいため、バナナをおやつ代わりにすることで手軽に栄養を補給できます。
- 特徴: 消化吸収が良く、腹持ちが比較的良い。
- 摂取のコツ: カリウムを豊富に含むため、高血圧やむくみ予防にも役立つ可能性がある。食物繊維で便通サポートにも期待。
4. メロン(特にマスクメロンやクインシーメロンなど)
メロンの一種である「ドゥア・ルオイ」などとも呼ばれる品種が海外では人気がありますが、日本でも手に入りやすいメロン類全般に共通する特徴として、水分が非常に多い点が挙げられます。授乳中はとにかく水分摂取を意識することが大切で、脱水気味になると母乳産生にも影響が出ると考えられています。また甘みが強い品種もありますが、果糖主体で、適度な水分補給とビタミンC補給に役立つとされます。
- 特徴: 92%前後が水分。カリウムやビタミンC、葉酸なども含む。
- 摂取のコツ: 暑い時期には冷やしすぎず、常温か冷蔵庫で少し冷やす程度にして食べると胃腸への負担が減る。
5. アボカド(bơ)
アボカドは「森のバター」と呼ばれるほど脂質が豊富ですが、その脂質は不飽和脂肪酸が中心で、授乳期の母体には適度に良質な脂質を補給する意味で有効です。さらにカリウム量が多く、鉄分や葉酸、ビタミンE、食物繊維なども豊富に含まれます。
- 特徴: 不飽和脂肪酸(オレイン酸、リノール酸など)やビタミンが多く、良質なエネルギー源。
- 摂取のコツ: バナナと同様、カリウム含有量が比較的高い。過剰に摂取するとカロリー過多になる場合があるので、1日1/2個程度を目安に。
6. イチジク(果実としての「フィグ」)
日本語では「イチジク」、ベトナム語圏では “quả sung” と呼ばれることがあります。古代から薬効があると伝承され、東アジアでも食文化に根付いています。食物繊維(可溶性、不溶性の両方)やミネラル類が豊富で、便通改善や母乳分泌への良い影響が期待されています。また、干しいちじくにすると糖質が濃縮され、カロリーも高くなるため、エネルギー補給にも向いています。
- 特徴: 食物繊維、ミネラル分が豊富。伝統的に母乳分泌を促す“利乳”効果があるといわれる。
- 摂取のコツ: 生のイチジクが手に入る季節には新鮮な状態で、季節外には乾燥イチジクやシロップ漬けでバリエーションを取り入れる。
7. 青パパイヤ(青い状態のパパイヤ)
青いパパイヤを使った料理は、東南アジアを中心に「母乳がよく出る料理」として古くから知られています。未成熟のパパイヤには、タンパク質分解酵素(パパイン)やビタミンCが多く含まれ、食物繊維も豊富です。また、母乳分泌を促すと考えられるガラクトアゴーグ(Galactagogue)作用があるともいわれています。
- 特徴: 酵素やビタミンC、食物繊維が豊富。骨付き肉と一緒に煮込むと出汁も出て食べやすい。
- 摂取のコツ: 生で食べるより、火を通してスープや煮込みにするほうが消化に優しく、母体にも負担が少ない。
母乳育児中に避けたほうがよい可能性のある果物
基本的に授乳期の女性が果物を厳しく制限する必要はなく、むしろ果物は良質なビタミン・ミネラル源となり得るため積極的に活用したい食品群です。しかし、赤ちゃんが何らかのアレルギー反応や拒否反応を示す可能性がある場合は、母体の食事内容と赤ちゃんの症状を丁寧に観察し、問題がありそうな果物は一度控えたほうが無難です。例えば、食後に赤ちゃんが湿疹や下痢、嘔吐などを起こしたら、原因として果物を含む母親の食事内容を医師と相談しながら評価する必要があります。
また、極端に酸味の強い柑橘系や刺激の強いトロピカルフルーツ(パイナップルなど)をとると、一部の赤ちゃんに胃腸トラブルが生じるケースが報告されることもあります。ただし、これも個人差が大きく、まったく問題なく食べられる方も多いです。大事なのは「赤ちゃんの反応をしっかり観察すること」です。
出産後の体力回復と母乳への影響
産後は、子宮や骨盤周辺組織の回復、ホルモン分泌の変化、授乳によるエネルギー消費、夜間授乳や育児による睡眠不足などが重なって体力が落ちやすくなります。果物には抗酸化作用をもつビタミンCやポリフェノールなどが豊富に含まれるものが多く、こうした成分は産後の免疫力維持や疲労回復をサポートすると期待されています。また、授乳によるカロリー消費量は1日あたりおよそ500kcal前後といわれ、これを補う意味でも果物の適度な糖質やビタミン補給は有効です。
近年の研究によれば、産後の栄養状態は授乳開始直後だけでなく、産後数か月から半年以上にわたり、母子双方の健康に影響を及ぼす可能性があると示唆されています。例えば、カナダの研究グループが2020年に公表した母乳育児の栄養ガイドラインでは、産後の女性に対し、果物・野菜・穀類・タンパク質食品などをバランスよく摂取し、さらに十分な水分補給を行うことが明確に推奨されています。これは日本人女性にも広く当てはまるアドバイスと考えられます。
追加の栄養学的視点・研究の紹介
ここでは、近年(過去4年以内)に発表されている母乳育児や産後の食事に関するいくつかの研究・文献をかいつまんでご紹介します。日本国内外での研究結果を通じて、果物の摂取が母乳育児中の母体や赤ちゃんに与える影響をより立体的に理解するきっかけとなれば幸いです。
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2022年の学会報告
米国小児科学会(American Academy of Pediatrics)は2022年に、母乳育児を推奨する最新の方針を発表し、母乳育児中の母親がバランスの良い食生活を送ることが重要と強調しました。その際、「多様な果物や野菜を日常的に摂ることが、母乳の質向上や母体の栄養状態改善に寄与する」という指摘があります。
(参考:Meek JY, Noble L. (2022). “Policy Statement: Breastfeeding and the Use of Human Milk.” Pediatrics 150(1): e2022057988. doi:10.1542/peds.2022-057988) -
2023年のミッドワイフリー(助産学)領域のスコーピングレビュー
オーストラリアを中心とする研究チームが行ったスコーピングレビュー(対象研究を幅広く集めて知見を整理する研究方法)では、文化的背景に合った食事、特に産後の女性が伝統的に果物や野菜スープなどを取り入れる食生活は、母体の健康維持と母乳量の向上に役立つ可能性が示唆されました。
(参考:Dietsch E, Davies C, Shackleton P, McCourt C. (2023). “Role of culturally inclusive postpartum dietary practices in maternal well-being: A scoping review.” Midwifery 125: 103604, doi:10.1016/j.midw.2023.103604)
こうした研究はいずれも、果物の摂取が直接的に母乳の量を増やすと断言しているわけではなく、総合的な食生活および母体の栄養バランスの中で果物をどう位置づけるかという点に焦点を当てています。日本国内で入手できる果物を上手に選んで活用することは、十分に意義があると言えます。
食べ方の工夫と注意点
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バランスを最優先に
果物だけで母乳量を増やすことはできません。炭水化物、タンパク質、脂質の三大栄養素を含む主食・主菜・副菜のバランスを考慮し、そこに果物をうまくプラスする形が理想的です。 -
食べすぎに注意
果物には糖質が含まれます。過剰摂取はカロリーオーバーにつながり、体重が急増したり、血糖値が乱れる原因になりかねません。1日あたり200~300g程度の果物を目安に、複数の種類をローテーションして食べるのが望ましいとされています。 -
冷やしすぎない
授乳期は冷たいものを大量に摂取すると、胃腸が冷えて母体の体力を損ねる可能性があります。果物も必要以上に冷やさず、常温に近い温度で食べるなどの工夫をするのも一案です。 -
季節・鮮度に配慮
果物は季節や産地によって鮮度や価格、栄養価が変動します。できるだけ旬の果物を選ぶほうが、栄養価も高く風味もよいため、飽きずに続けられます。
母乳量の変化と経過観察
果物をはじめとする食事の工夫で母乳量が増えるかどうかは、個人差が大きいのが実際です。母乳の分泌量は、赤ちゃんの授乳頻度や飲み方、母親のストレス状態、睡眠時間、ホルモンバランスなど多岐にわたる要因に左右されます。食事以外にも、下記のような点を意識してみるとよいかもしれません。
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こまめな授乳
赤ちゃんが欲しがるサインを見逃さず、できるだけこまめに授乳することで乳腺への刺激が増え、母乳量が増える場合があります。逆に授乳間隔が開きすぎると分泌が低下することも。 -
ストレスケア
慣れない育児や産後の体調変化によってストレスが高まると、母乳分泌ホルモンの働きが乱れることがあります。家族や周囲の協力を得て、休息や気分転換の時間を確保することが大切です。 -
水分補給
母乳は大部分が水分で構成されます。水分補給が不十分だと母乳の出が悪くなる可能性がありますので、こまめに水やお茶などをとりましょう。
産後の体重管理と果物の位置づけ
産後は体重を戻したいと考えるお母さんも多いですが、あまりに厳しいダイエットをすると、母乳量や栄養状態に悪影響を及ぼすおそれがあります。果物は「自然な甘みがあるから太るのでは?」と心配する方もいるかもしれませんが、適量を守る限り、果物に含まれるビタミンや食物繊維、抗酸化成分は母体に有益です。糖質が気になる場合は、1日複数回に分けて少しずつ摂る、食物繊維が多い皮ごと食べられる果物を選ぶなどの工夫をすると良いでしょう。
授乳期のよくある疑問
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Q. 授乳中に柑橘類(みかんやオレンジなど)を食べてもいい?
A. 基本的に問題ありません。ただし、酸味が強い場合は赤ちゃんが嘔吐などを起こす例もごく少数報告があります。個人差が大きいので、赤ちゃんに気になる症状がなければ心配しすぎず適量を摂って大丈夫です。 -
Q. マンゴーやパイナップルなど南国フルーツは?
A. 一般的にはOKですが、マンゴーやパイナップルの酵素・成分でアレルギーを起こす方も一定数存在します。母体または赤ちゃんにアレルギーが疑われる場合は注意が必要です。 -
Q. 果物ジュースでも代用できる?
A. 果物ジュースは簡単に大量の糖分を摂取してしまいがちなので要注意です。繊維質も失われやすいので、可能な限り生の果物を食べるほうが望ましいでしょう。
産後における母乳・栄養管理の実践例
- 朝食にバナナやキウイを加える: 時間がない朝でも、バナナやキウイなら皮をむくだけで手軽に食べられます。パンとヨーグルトに果物を添えるだけでも栄養バランスが改善するかもしれません。
- 昼食・夕食のデザートに季節の果物: 食後にスイーツではなく果物を一品追加する。甘味が欲しいとき、ケーキやクッキーよりも果物を優先すると、ビタミンやミネラルの補給に繋がりやすいです。
- 青パパイヤスープなどの料理に活用: 青パパイヤを鶏肉や豚肉、魚介とともに煮込むと、味わい深いスープができます。暑い季節にはさっぱりした味付けに、寒い季節には生姜など温める食材を合わせても良いでしょう。
推奨事項と注意点
母乳育児を支える食生活のポイント
- 栄養バランス: 炭水化物、タンパク質、脂質をバランスよく摂る。果物はビタミンやミネラル、食物繊維の補給源として役立つ。
- 水分補給: 1日を通してこまめに水や麦茶などを摂る。夏場は特に注意。
- 適度なカロリー: 授乳中は1日あたり追加で数百kcal程度の消費があるため、果物を含めた適度な間食が疲労回復や母乳産生に寄与する可能性がある。
- アレルギーや体調異変の観察: 母体・赤ちゃんともにアレルギー反応や体調の変化をこまめにチェックする。
避けたい過度な制限や思い込み
- 「果物を食べると太る」: 適量ならばむしろ栄養補給には有効。
- 「たくさん食べれば母乳が何倍にも増える」: 食事だけで劇的に増やすのは難しい。授乳の頻度や睡眠、ストレスケアなど総合的に整えることが大切。
- 「特定の果物だけを食べ続ける」: 栄養バランスが崩れ、逆に体調を崩す可能性がある。
結論と提言
母乳育児期の女性にとって、果物はビタミン・ミネラル・水分・糖質をバランスよく補給できる心強い味方です。特にエネルギーを多く必要とする授乳期には、バナナやサポチェのように比較的カロリーが高めの果物や、ビタミン・ミネラルが豊富な青パパイヤ、メロン、イチジクなどをうまく活用することで、産後の体力回復と母乳分泌をサポートする可能性があります。
いっぽうで、果物だけでなく主食や主菜、副菜、乳製品なども適切に組み合わせ、十分な水分を摂り、ストレスや睡眠不足にも配慮することが不可欠です。また、赤ちゃんの体調やアレルギーリスクを踏まえ、必要に応じて摂取する果物の種類や量を調整しましょう。
最後に、以下の点を再度強調します。
- 果物はあくまで「栄養バランスを整え、母体の健康維持や母乳育児をサポートするための一助」である。
- 母乳の量には個人差が大きく、食事以外にも授乳の頻度やストレス、睡眠、ホルモンバランスなど複合的な要因が影響する。
- 食事内容について悩みがある場合は、必ず医師や管理栄養士など専門家に相談し、適切な指導を受ける。
参考文献
- When breastfeeding, how many calories should moms and babes consume?
- Diet for Breastfeeding Mothers
- Maternal food restrictions during breastfeeding. DOI: 10.3345/kjp.2017.60.3.70
- Nutritional needs while breastfeeding.
- Tips for breastfeeding moms.
- Fruits to Eat and Avoid During Breastfeeding
- Meek JY, Noble L. (2022). “Policy Statement: Breastfeeding and the Use of Human Milk.” Pediatrics 150(1): e2022057988. doi:10.1542/peds.2022-057988
- Dietsch E, Davies C, Shackleton P, McCourt C. (2023). “Role of culturally inclusive postpartum dietary practices in maternal well-being: A scoping review.” Midwifery 125: 103604. doi:10.1016/j.midw.2023.103604
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、医師による診断や治療を代替するものではありません。実際の治療や栄養管理にあたっては必ず専門家にご相談ください。また、母乳育児における食事制限や特定の果物摂取を検討する際は、個々の体質や赤ちゃんの健康状態を考慮し、必要に応じて小児科医や管理栄養士と相談のうえ安全を確認してください。