二の腕や太ももの外側に、放っておいても消えない細かいブツブツやザラザラが続いていて、「人に見られるのが恥ずかしい」「スクラブでこすっても全然良くならない」と悩んでいませんか。 日本では「さめ肌」「とり肌」「二の腕のブツブツ」と呼ばれることも多いこの状態は、医学的には「毛孔性苔癬(もうこうせいたいせん)」または「毛孔性角化症」と呼ばれる皮膚の状態です。
毛孔性苔癬は、毛穴の出口まわりに角質(ケラチン)がたまり、細かいブツブツができて肌がザラつく病気です。 世界の文献では、思春期〜若年成人の50〜80%、成人全体でも約40%にみられるとされるほど、ごく一般的な状態です1。 日本の調査や皮膚科医の報告でも、「日本人の4人に1人程度」といった数字が紹介されています1112。
多くの人にとって命に関わるものではなく、将来がんになったり、他人にうつったりする病気ではありません。 一方で、長く続く見た目の悩みや「人に見せたくない」という気持ちから、学校・職場・プールや温泉など、日常生活の中で大きな負担になっている方も少なくありません。
本記事では、日本や海外のガイドライン、総説論文、ランダム化比較試験(RCT)などの信頼できる一次情報をもとに、毛孔性苔癬の原因・メカニズム・症状・経過・治療法・セルフケア、そして心のケアまで、できるだけ丁寧に解説します123。 読み進めることで、「そもそも自分のブツブツは毛孔性苔癬なのか」「病院に行くべきタイミングはいつか」「自宅で今日から何を始めればよいか」が具体的にイメージできるようになることを目指しています。
なお、ここでお伝えする内容はあくまで一般的な情報であり、すでに治療中の方や、他の皮膚病が疑われる方は、自己判断で治療方針を変えず、必ず担当の医師や医療専門職に相談してください。
Japanese Health(JHO)編集部とこの記事の根拠について
Japanese Health(JHO)は、健康と美容に関する情報を提供するオンラインプラットフォームです。膨大な医学文献や公的ガイドラインを整理し、日常生活で活用しやすい形でお届けすることを目指しています。
本記事の内容は、毛孔性苔癬(毛孔性角化症)に関する国内外の教科書的総説やシステマティックレビュー、ランダム化比較試験、そして日本皮膚科学会などの公的な資料を中心に、以下のような一次情報源に基づいて、JHO編集部がAIツールのサポートを受けつつ、最終的には人の目で一つひとつ確認しながら作成しています12310。
- 厚生労働省・自治体・公的研究機関:乾燥肌や高齢者のスキンケアなどに関する資料、統計資料など、日本人向けの公式情報を優先して参照しています。
- 国内外の医学会ガイドライン・査読付き論文:日本皮膚科学会の乾燥肌ガイドラインや、NCBI Bookshelfの総説、American Journal of Clinical Dermatology や Br J Dermatol などの査読付き論文をもとに、毛孔性苔癬の病態や治療選択肢を整理しています1238910。
- 教育機関・医療機関・医師会による一次資料:徳島県医師会などが公開している毛孔性苔癬の解説ページや、日本の皮膚科クリニックが提供する患者向け解説を参考に、日本人に多い悩み方や表現を把握しています111215。
AIツールは、文献の要約や構成案作成の「アシスタント」として活用していますが、公開前には必ずJHO編集部が原著資料と照合し、重要な記述を一つひとつ確認しながら、事実関係・数値・URLの妥当性を検証しています。
私たちの運営ポリシーや編集プロセスの詳細は、運営者情報(JapaneseHealth.org)をご覧ください。
要点まとめ
- 毛孔性苔癬(毛孔性角化症)は、毛穴の出口のまわりに角質(ケラチン)がたまって、二の腕や太ももなどに細かいブツブツ・ザラザラが生じる、ごく一般的な皮膚の状態です。世界では人口の約40%、思春期では50〜80%にみられると報告されています1。
- 原因は、角質のたまりやすい体質(角化異常)と、乾燥・アトピー素因・遺伝などが重なった結果と考えられており、細菌やウイルスによる感染症ではありません。そのため、家族や友人、パートナーに「うつる」ことはありません1911。
- 多くの場合、思春期に最も目立ち、30〜40代以降に自然に目立たなくなる傾向がありますが、完全にゼロになるとは限りません。治療やセルフケアの目的は「ツルツルに治す」よりも、「ザラザラを目立ちにくくし、日常生活で困らないレベルまで整える」ことです18。
- 基本のケアは、「優しく洗う」「しっかり保湿する」「適切な角質ケア(尿素・AHA・BHAなど)を取り入れる」の3本柱です。日本皮膚科学会の乾燥肌ガイドラインでも、保湿剤によるバリア機能のサポートが重要とされています10。
- 外用レチノイド(ビタミンA誘導体)や各種レーザー治療(Nd:YAGレーザー、ダイオードレーザー、フラクショナルCO2レーザーなど)には、ザラつきや赤みを改善させる効果が報告されていますが、多くは自費診療であり、痛みや色素沈着などの副作用もありうるため、メリットとデメリットを理解したうえで選ぶことが大切です234567。
- 子どもの頬や二の腕のブツブツ、妊娠中・授乳中のケアでは、使用できる薬や成分に制限がある場合があります。自己判断で強いピーリング剤やレチノイドを使うのではなく、必要に応じて皮膚科や小児科に相談しましょう1210。
- 見た目の悩みや「人に見せたくない」という気持ちは、とても自然なものです。一人で抱え込まず、セルフケアの工夫や医療機関での相談を通じて、「自分の肌とどう付き合っていくか」を一緒に考えていきましょう。
「自分の二の腕のブツブツは毛孔性苔癬なのか、それとも別の病気なのか」「スクラブでこすっているのに全然よくならない」「レーザー治療を受けるべきか迷っている」――そんな不安や疑問を感じている方は少なくありません。
この記事では、まず毛孔性苔癬とはどのような状態か、そのメカニズムや体質的な要因を整理しながら、日常生活の中で悪化させやすい習慣と、今日からできるセルフケアのポイントを解説します。
そのうえで、外用薬やレーザー治療など専門的な治療の選択肢や、それぞれのメリット・デメリット、保険診療と自費診療の違い、受診の目安などを段階的に紹介していきます。必要に応じて、JHOトップページの総合ガイドや、関連する詳細解説にも自然な文脈で橋渡ししながら、「自分の状態をどのように理解し、いつどこで誰に相談すべきか」をイメージしやすくすることを目指します。
読み進めるうちに、「とりあえず今はセルフケアを続けて様子を見るのか」「一度皮膚科で相談してみるのか」「将来レーザー治療なども検討するのか」といった判断がしやすくなるように構成しています。
第1部:毛孔性苔癬の基本と日常生活の見直し
まずは、毛孔性苔癬とはどのような状態かという基本と、日常生活の中で悪化させやすい習慣について整理します。 「病気」という言葉に抵抗がある方もいるかもしれませんが、ここでは、身体の仕組みとして何が起きているのかを知ることから始めてみましょう。
1.1. 毛孔性苔癬とは?症状とよくある呼び方
毛孔性苔癬(もうこうせいたいせん)とは、毛穴の出口のまわりに角質(ケラチン)が異常にたまり、小さな硬いブツブツが多数できる皮膚の状態です。 英語では keratosis pilaris と呼ばれ、「follicular keratosis(毛孔性角化症)」という名前で説明されることもあります1。
典型的には、次のような特徴があります12。
- 直径0.5〜2 mmほどの小さなブツブツ(丘疹)が、毛穴に一致して多数みられる。
- 触ると紙やすりや鳥肌のようなザラザラした感触がある。
- 色は皮膚と同じ色〜やや赤み・茶色を帯びることが多く、かゆみはないか、あっても軽い。
- 両側の二の腕外側、太もも、お尻、肩周りに多く、子どもでは頬にみられることもある。
日本では、「さめ肌」「とり肌」「二の腕のブツブツ」「二の腕ザラザラ」といった日常的な言い方で呼ばれることが多く、本人や家族は長年「体質だから仕方ない」と思っているケースも少なくありません1112。 実際には、保湿や角質ケアである程度改善できることが多く、医学的な名称を知ることで情報にアクセスしやすくなるというメリットもあります。
1.2. どれくらい多い?日本と世界の頻度
毛孔性苔癬は、世界的にみても非常に頻度の高い皮膚疾患のひとつです。 NCBI Bookshelf の総説によると、全人口の約40%に毛孔性苔癬がみられ、特に思春期では50〜80%とされています1。 成人でも約40%に認められるという報告もあり、「珍しい病気」では決してありません。
日本では全国規模の大規模統計は限られていますが、徳島県医師会が紹介している資料では、地域の調査で小学校高学年の約20%、皮膚科外来患者の約44%に毛孔性苔癬様の所見がみられたとされています11。 また、国内の皮膚科クリニックの解説では、「日本人の4人に1人程度」「特に思春期〜20代で多い」といった表現がよく使われています1215。
このように、日本でも決して珍しいものではなく、「自分だけが特別おかしい」というわけではありません。 それでも、プールや温泉で人の視線が気になったり、半袖の服を避けたりと、日常生活への影響は人それぞれ異なります。 本記事では、「よくあることだから大したことはない」と済ませるのではなく、一人ひとりの悩みに寄り添いながら解説していきます。
1.3. 悪化させてしまうNG習慣と、見直したい日常ケア
毛孔性苔癬の根本には体質的な要因がありますが、日常生活の中の「ちょっとした習慣」がザラザラを悪化させてしまうこともよくあります。 日本皮膚科学会の乾燥肌(皮脂欠乏症)ガイドラインや、日本の製薬企業・皮膚科クリニックの解説では、次のような習慣が問題となりやすいとされています10121415。
- 熱いお湯で長時間入浴する:40℃を超える熱いお湯に長くつかると、皮脂や天然保湿因子が流れ出てしまい、乾燥が進みます。
- ナイロンタオルやボディブラシで強くこする:一時的には「ツルツルになった」感覚があっても、角質層や皮膚バリアを傷つけ、かえってザラザラや色素沈着が悪化することがあります。
- 洗浄力の強いボディソープをたっぷり使う:さっぱりとした洗い上がりを好むあまり、脱脂しすぎてしまい、乾燥と刺激に弱い肌になります。
- 入浴後すぐに保湿をしていない:お風呂あがりに何もしない、もしくは乾いてから少量だけ塗る習慣では、保湿効果が十分に得られません。
- タイトな服でこすれやすい:二の腕や太ももにぴったりとした服を頻繁に着ると、摩擦によってブツブツが目立ちやすくなります。
逆に言えば、「熱すぎないお湯」「やわらかいタオルや手でなで洗い」「洗浄力マイルドなボディソープ」「入浴直後のしっかり保湿」「摩擦の少ない服」といったポイントを意識するだけでも、肌の状態が少しずつ変わっていくことがあります。 具体的な方法は、第4部の「改善アクションプラン」で詳しく紹介します。
| こんな症状・状況はありませんか? | 考えられる主な背景・原因カテゴリ |
|---|---|
| 子どものころから、二の腕の外側に細かいブツブツがずっとある | 毛孔性苔癬の体質(遺伝・角質のたまりやすさ)18 |
| 冬になると特にザラザラが目立ち、かゆみも出やすい | 乾燥・皮膚バリアの低下、暖房や熱いお湯の影響110 |
| ナイロンタオルで強くこすらないと、汚れが落ちた気がしない | 過度な摩擦による角質層のダメージ、色素沈着の悪化1014 |
| アトピー性皮膚炎や喘息、花粉症などがあり、肌がもともと乾燥しやすい | アトピー素因と関連したバリア機能の弱さ、毛孔性苔癬との併存19 |
| 最近、ダイエットや仕事の忙しさで栄養バランスや睡眠が乱れている | 全身状態の変化による肌のコンディション低下(乾燥、血行不良など) |
| ブツブツをつい爪でつぶしたり、つまんだりしてしまう | 炎症・色素沈着・小さな傷の原因になり、見た目の悪化を招きやすい |
第2部:身体の内部要因 — 角質・遺伝・アトピー体質との関係
生活習慣を見直しても、毛孔性苔癬そのものの「体質」が変わるわけではありません。 ここでは、体の中でどのようなメカニズムが働いてブツブツができるのか、遺伝やアトピー体質との関係について整理します。
2.1. 角質(ケラチン)が毛穴にたまる仕組み
毛孔性苔癬の中心的な異常は、毛穴の出口まわり(毛包漏斗部)で起こる「角化異常」です。 皮膚の一番外側には、角質細胞がレンガのように積み重なった角質層があり、その役割は外からの刺激から体を守り、水分を保つことです。 通常は古い角質が自然にはがれ落ちていきますが、毛孔性苔癬では、この角質の入れ替わりがうまくいかず、毛穴の出口に角質が栓のようにたまりやすくなります12。
2020年以降の総説では、この角質の栓(角栓)が毛孔をふさぎ、その周囲に軽い炎症反応が生じることで、固くザラザラした小さな丘疹と、軽い赤みや色素沈着が生じると説明されています23。 また、一部の研究では、表皮バリア機能の指標である経表皮水分蒸散量(TEWL)の変化や、角質水分量の低下が報告されており、乾燥肌との関連も示唆されています410。
2.2. 遺伝と家族内発症
毛孔性苔癬は「家族内で似た肌質がみられることが多い」という特徴があり、いくつかの研究では常染色体優性遺伝のパターンが示唆されています18。 たとえばタイのランダム化比較試験では、50人の毛孔性苔癬患者のうち約67%に家族歴があったと報告されています4。 また、イギリスの研究では、アトピー性皮膚炎や魚鱗癬(いわゆる「うろこ状の乾燥肌」)を持つ家族に毛孔性苔癬が多いことが示されています89。
具体的な原因遺伝子はまだ完全には解明されていませんが、皮膚のバリア機能に重要な役割をもつ フィラグリン(filaggrin) 遺伝子の変化と関連している可能性が指摘されています12。 ただし、「親が毛孔性苔癬だから必ず子どももなる」というわけではなく、遺伝と環境(乾燥、生活習慣など)の組み合わせで現れ方が変わると考えられています。
2.3. アトピー素因や他の皮膚疾患との関係
毛孔性苔癬は、アトピー性皮膚炎や喘息、アレルギー性鼻炎などの「アトピー素因」をもつ人に多いことが、古くから指摘されています。 Br J Dermatol に掲載された研究では、アトピー性皮膚炎や常染色体優性魚鱗癬の患者では、毛孔性苔癬や掌蹠のしわの強調(accentuated palmoplantar markings)が、対照群よりも有意に高頻度でみられたと報告されています9。
これらの疾患は、いずれも皮膚バリア機能の弱さや乾燥、軽い炎症が背景にある点で共通しています。 そのため、アトピー性皮膚炎を持つ方が二の腕のブツブツでも悩んでいることは珍しくありません。 一方で、アトピー性皮膚炎の「かゆくて赤い湿疹」と、毛孔性苔癬の「かゆみの少ないザラザラ」は、治療のアプローチが異なるため、医療機関では両方を区別して考える必要があります12。
2.4. 年齢・季節・体型などその他のリスク要因
毛孔性苔癬の症状は、年齢や季節、体型などによっても変化します。
- 年齢:多くの研究で、毛孔性苔癬は幼少期〜思春期に発症し、10代で最も目立ち、その後徐々に軽くなる傾向が報告されています18。
- 季節:冬の乾燥した季節や、エアコンで乾燥した室内では、肌の水分が奪われやすく、ザラザラや赤みが目立ちやすくなります110。
- 体型・代謝:一部の研究では、肥満や代謝症候群と角化症との関連が示唆されていますが、毛孔性苔癬に特化した強いエビデンスはまだ十分ではありません2。
「太ったら急にブツブツが増えた」「ダイエット後に肌質が変わった」といった変化がある場合でも、必ずしも毛孔性苔癬だけが原因とは限りません。 生活習慣病やホルモンバランスの変化が隠れていることもあるため、心配な場合は内科や婦人科などでの相談も検討しましょう。
第3部:専門的な診断が必要な疾患 ― 似ている病気との違いと受診の目安
二の腕のブツブツがすべて毛孔性苔癬とは限りません。 ニキビ、毛嚢炎、乾癬、薬疹など、「よく似ているけれど治療法が違う」病気も数多くあります。 ここでは、代表的な鑑別疾患と、どのような場合に早めの受診が必要になるのかを整理します。
3.1. ニキビ・毛嚢炎との違い
特に思春期〜若年成人では、ニキビ(尋常性ざ瘡)や毛嚢炎との区別がよく問題になります。 ニキビは顔や胸、背中など皮脂の多い部位にできやすく、白ニキビ・黒ニキビ・赤ニキビ・膿を持った黄ニキビなど、さまざまな段階があります。 一方、毛孔性苔癬は、二の腕や太ももなど、比較的皮脂の少ない部位に左右対称に広がるのが特徴です12。
- 毛孔性苔癬:小さく硬いザラザラ、色は皮膚色〜わずかな赤み、痛みや強いかゆみは少ない。
- ニキビ(ざ瘡):白〜黒いコメド、赤く腫れた丘疹、膿をもつこともあり、触ると痛いことが多い。
- 毛嚢炎:毛穴に一致した赤いブツブツで、中心に膿点がみえることが多く、触ると痛い・熱っぽい。
「赤く痛い」「膿がたまっている」「急に数が増えた」といった場合は、毛孔性苔癬だけでなく、感染症やニキビの悪化が隠れている可能性があるため、皮膚科での診察をおすすめします。
3.2. 乾癬・魚鱗癬・毛孔性紅色粃糠疹など、他の角化症との違い
同じ「角質のトラブル」でも、乾癬(かんせん)や魚鱗癬、毛孔性紅色粃糠疹など、全身状態や治療方針が大きく異なる病気も存在します12。
- 乾癬:肘や膝、頭皮などに赤く盛り上がった境界明瞭な紅斑ができ、その上に銀白色の鱗屑(フケのようなもの)が厚く付着する。
- 魚鱗癬:全身の皮膚が乾燥し、魚のうろこのような大きめの角質がポロポロとはがれる。生まれつき〜幼少期から続くことが多い。
- 毛孔性紅色粃糠疹:毛孔性苔癬に似たブツブツが、全身の紅斑や鱗屑とともに広がる、比較的まれな疾患。
これらの病気は、内臓疾患や関節の症状と関連する場合もあり、治療には免疫を調整する薬などが必要になることがあります。 「全身に広がる」「赤みや痛み、皮が大きくむける」「爪や関節にも症状がある」といった場合は、自己判断せず、早めに皮膚科を受診しましょう。
3.3. 危険なサイン ― 毛孔性苔癬ではない可能性が高いケース
毛孔性苔癬そのものは命に関わる病気ではありませんが、似た見た目の中に、早期対応が必要な病気が紛れていることがあります。 次のような場合は、「単なる毛孔性苔癬」と決めつけず、早めの受診を検討してください。
- ブツブツが急に増えた、短期間で全身に広がってきた。
- 強い痛み・熱感があり、触るとズキズキする。
- 膿や血の混じった分泌液が出てくる。
- 38℃以上の発熱や、全身倦怠感を伴う。
- 水ぶくれやただれ、びらん(皮がむけてジクジクした状態)がある。
- 新しく飲み始めた薬やサプリメントの後に、急に広がった。
このような症状は、薬疹、感染症、免疫性の皮膚疾患などを示していることがあり、なかには入院が必要な重症例もあります。 明らかな全身症状(発熱、息苦しさ、意識のもうろうなど)を伴う場合は、119番や救急外来の受診も含めて、すみやかに医療機関に相談してください。
3.4. 皮膚科で行われる診察と検査の流れ
毛孔性苔癬が疑われる場合、皮膚科での診察は基本的に「問診」と「視診・触診」で完結することが多く、血液検査や画像検査が必要になることはまれです12。
- 問診:いつごろからか、どの部位に出ているか、家族に同じような肌の人がいるか、かゆみや痛みの有無、普段のスキンケアや入浴習慣、持病や内服薬の有無などを確認します。
- 視診・触診:ブツブツの大きさ・色・分布、触ったときの硬さ、周囲の乾燥や赤みの有無、他の部位に似た所見がないかなどを丁寧に観察します。
- ダーモスコピー:必要に応じて、小型の拡大鏡(ダーモスコープ)で毛穴の様子を拡大して観察し、角栓や毛の状態、色素沈着のパターンなどを評価します。
- 皮膚生検:毛孔性苔癬とは考えにくい特殊な所見や、悪性疾患の可能性が否定できない場合にのみ、ごく一部の皮膚を切り取って顕微鏡で詳しく調べることがあります。
多くの場合、「毛孔性苔癬ですね。体質的なもので、保湿や角質ケアを続けると少しずつ良くなりますよ」といった説明を受け、保湿剤や角質軟化剤(尿素配合剤など)が処方されることが多いでしょう110。 自費のレーザー治療を検討する場合でも、まずは保険診療で現状を評価してもらい、必要に応じて美容皮膚科などを紹介してもらう流れが一般的です。
第4部:今日から始める改善アクションプラン ― セルフケアと医療的な選択肢
毛孔性苔癬は、短期間で劇的に「ゼロ」にするのが難しい一方で、毎日のケアや外用薬、レーザー治療などを組み合わせることで、「触ったときのザラザラがかなり気にならなくなる」レベルまで改善することも少なくありません23。 ここでは、「今夜から」「今週から」「将来的に検討する」それぞれのレベルでできることを整理します。
4.1. Level 1:今夜からできる基本のスキンケア
まずは、今日からすぐに始められる「肌に優しいケア」です。 日本皮膚科学会の乾燥肌ガイドラインや各種総説では、毛孔性苔癬に限らず、多くの皮膚トラブルで「洗いすぎないこと」「しっかり保湿すること」が強く推奨されています110。
- お湯の温度を見直す:38〜40℃程度の「ややぬるめ」を目安にし、長風呂は控えます。
- 洗うときは手のひらか柔らかいタオルで:ナイロンタオルや硬いブラシは避け、泡でなでるように優しく洗います。
- ボディソープは低刺激・保湿成分入り:敏感肌用・乾燥肌用のものを選び、「泡で出るタイプ」などを活用すると摩擦を減らせます。
- 入浴後5分以内に保湿:タオルでポンポンと水気をとったら、まだ少し湿っているうちに、二の腕や太もも全体にたっぷりと保湿剤を塗ります。
- 摩擦の少ない服を選ぶ:就寝時や長時間の外出時は、二の腕や太ももを締めつけない、やわらかい素材の衣服を選びましょう。
保湿剤としては、尿素(10〜20%)、グリセリン、セラミド、ワセリンなどを含むボディクリームやローションがよく使われます。 尿素は角質を柔らかくする効果と保湿効果の両方が期待され、乾燥肌や角化症の治療に広く用いられています2310。 ただし、濃度が高いとピリピリ感が出ることもあるため、最初は低めの濃度から試し、自分の肌に合うものを選びましょう。
4.2. Level 2:市販の角質ケア(AHA・BHA・尿素)を上手に使う
保湿だけでは物足りない場合、AHA(乳酸・グリコール酸など)やBHA(サリチル酸)、尿素などを含む「角質ケア用クリーム」を取り入れると、ザラつきの改善が期待できます。 タイのランダム化比較試験では、10%乳酸クリームと5%サリチル酸クリームをそれぞれ片腕に1日2回・12週間塗布したところ、いずれも毛孔性苔癬のスコアが有意に改善し、乳酸の方がやや高い改善率(約66%)を示したと報告されています4。
一方で、AHAやBHAは濃度が高すぎると刺激が強く、赤みやヒリヒリ感、乾燥悪化の原因になることもあります。 とくに顔や子どもの肌、アトピー素因のある方では、安易な高濃度ピーリング剤の使用は避け、低濃度から様子を見るか、皮膚科で相談したうえで使うようにしましょう23。
4.3. Level 3:外用レチノイドなど、医療機関での処方治療
角質ケア・保湿を十分に行ってもなおブツブツや色素沈着が気になる場合、皮膚科では外用レチノイド(ビタミンA誘導体)が検討されることがあります。 レチノイドは、表皮のターンオーバーを促進し、毛穴の角栓を減らすことでザラつきを改善させると考えられています23。
ただし、レチノイドは赤み・乾燥・ヒリヒリ感などの刺激性があり、紫外線に対して敏感になりやすいという特徴があります。 また、妊娠中や妊娠を希望している方では、内服レチノイドだけでなく外用レチノイドの使用も避けることが推奨される場合が多いため、自己判断ではなく必ず医師と相談のうえ使用します12。
その他、ビタミンD類似薬の外用や、ステロイド外用薬を併用するケースが報告されていますが、エビデンスは限られており、基本的にはアトピー性皮膚炎など他の疾患を合併している場合に診療上判断されることが多いとされています23。
4.4. Level 4:レーザー・光治療を検討するときのポイント
「できるだけ短期間で目立たなくしたい」「ブライダルやイベントまでに少しでも改善したい」といった場合、自費診療のレーザー・光治療を提案されることがあります。 システマティックレビューでは、さまざまな種類のレーザーが毛孔性苔癬のザラつきや赤みを改善しうることが報告されていますが、研究の規模は小さく、効果の持続性や長期的な安全性についてはまだ十分なデータがあるとは言えません23。
- Nd:YAGレーザー(1064 nm):長パルスNd:YAGレーザーのランダム化比較試験では、数回の照射でザラつき・赤みともに有意な改善がみられたと報告されています7。
- ダイオードレーザー(810 nm):JAMA Dermatology に掲載された臨床試験では、数回の照射で毛孔性苔癬の質感と赤みが改善したとされますが、痛みや一時的な色素沈着が生じることもあります6。
- フラクショナルCO2レーザー:20人を対象とした研究では、片腕のみ1回照射し、12週間後に30%前後の中等度以上の改善がみられたとされています。ただし、色素沈着などのダウンタイムが問題となることがあります5。
レーザー治療は保険適用外(自費診療)であることが多く、1回あたり数千円〜数万円程度かかることも少なくありません。 また、1回で完了する例もあれば、数回の通院が必要なケースもあります。 期待できる効果と費用、痛みやダウンタイム、色素沈着などのリスクを総合的に検討し、「今の自分にとって本当に必要か」を皮膚科医と相談しながら決めていくことが大切です23。
| ステップ | アクション | 具体例 |
|---|---|---|
| Level 1:今夜からできること | 洗いすぎ・こすりすぎをやめて、保湿を徹底する | 38〜40℃のお湯で短時間入浴し、ナイロンタオルではなく手でやさしく洗う。お風呂上がり5分以内に、二の腕と太ももにたっぷり保湿剤を塗る。 |
| Level 2:今週から試したいこと | AHA・BHA・尿素配合のクリームを取り入れる | 夜だけ、10%前後の尿素クリームや低濃度AHA/BHA配合クリームをブツブツの範囲に塗り、刺激が強くないか様子を見ながら続ける。 |
| Level 3:皮膚科で相談したいこと | 外用レチノイドや処方薬の検討 | セルフケアを数か月続けても改善が乏しい場合、皮膚科で毛孔性苔癬かどうか診断を受け、必要に応じてレチノイド外用薬や保険適用の保湿剤などの処方を受ける。 |
| Level 4:将来的に検討すること | レーザー・光治療を含めた自費診療 | 大切なイベントまでの期間や予算、ダウンタイムの許容度をふまえ、Nd:YAGレーザーやダイオードレーザー、フラクショナルCO2レーザーなどのメリット・デメリットを比較しながら検討する。 |
4.5. 子ども・妊娠中・授乳中の毛孔性苔癬で気をつけたいこと
子どもの頬や二の腕にみられる毛孔性苔癬は、多くの場合、軽い乾燥と体質に伴うもので、成長とともに目立たなくなることが少なくありません18。 ただし、かゆみが強い場合や湿疹を伴う場合、アトピー性皮膚炎など別の病気が隠れていることもあるため、小児科や皮膚科で相談すると安心です。
妊娠中・授乳中は、ホルモンバランスや血流の変化により、肌が乾燥しやすくなる時期です。 基本的には、保湿と優しい洗浄を中心としたセルフケアで様子を見ることが多く、レチノイドのような一部の外用薬は避けることが推奨されます12。 サリチル酸などの角質溶解剤についても、広範囲・高濃度での使用は控え、必要に応じて医師と相談しながら使うようにしましょう。
第5部:専門家への相談 — いつ・どこで・どのように?
毛孔性苔癬はセルフケアである程度コントロールできることも多い一方、「自己流ケアを続けても全く変わらない」「悪化している気がする」「別の病気が隠れていないか不安」と感じることもあるでしょう。 ここでは、受診を検討すべきサインと、医療機関の選び方、診察時に役立つポイントをまとめます。
5.1. 受診を検討すべき危険なサイン
- ブツブツが急激に増えた、または短期間で全身に広がってきた。
- 痛み・熱感・強いかゆみを伴い、夜も眠れないほどつらい。
- 膿や血の混じった分泌液が出たり、ジクジクしたただれがある。
- 38℃以上の発熱や全身倦怠感を伴う。
- 薬やサプリ、化粧品を変えた直後に、全身に赤い発疹が出た。
- 肌の状態だけでなく、体重減少、関節痛、息苦しさなど、全身症状も出てきた。
これらの症状は、薬疹や感染症、免疫疾患などを示すことがあり、早期の診断・治療が重要です。 強い全身症状を伴う場合は、かかりつけ医や救急外来に相談し、必要に応じて119番に連絡してください。
5.2. 症状に応じた診療科の選び方
- 基本的な窓口:皮膚科 二の腕や太もものブツブツ・ザラザラに関する相談は、まず皮膚科が基本です。毛孔性苔癬なのか、それとも別の病気なのかを見極め、適切な外用薬やセルフケアの指導を受けることができます。
- 子どもの場合:小児科+皮膚科 小さな子どもの場合は、小児科でも相談できますが、専門的な判断が必要なときは皮膚科との連携が行われます。
- 心の負担が大きい場合:心療内科・精神科 見た目の悩みから学校や職場に行けない、対人不安や抑うつが強い、といった場合は、心療内科や精神科での相談が役に立つこともあります。
- レーザー治療を検討したい場合:美容皮膚科 レーザー治療など自費診療を希望する場合は、美容皮膚科や美容クリニックが選択肢になりますが、その前に保険診療の皮膚科で現状評価と説明を受けておくと安心です。
5.3. 診察時に持参すると役立つものと費用の目安
- 写真:季節や時期によって変化する場合、スマートフォンで撮った写真が診断の参考になります。
- これまで試したケアのメモ:使った保湿剤やスクラブ、薬、期間、効果・副作用の有無をメモしておくと、治療方針を決めるうえで役立ちます。
- お薬手帳:他の病気で飲んでいる薬がある場合は、必ず持参しましょう。
- 健康保険証:日本の公的医療保険に加入している場合、診察や保険適用薬の費用は原則3割負担になります。
具体的な費用は医療機関や診療内容によって異なりますが、保険診療の範囲であれば、初診料・再診料と外用薬の処方で数百〜数千円台になることが多いでしょう。 一方、レーザー治療やケミカルピーリングなどの自費診療は、1回あたり数千〜数万円かかることもあるため、事前に料金体系をよく確認し、「何回くらい通うとどの程度の改善が見込めるか」をしっかり説明してもらうことが大切です23。
よくある質問
Q1: 毛孔性苔癬は自然に治りますか?何歳ごろまで続くのでしょうか?
A1: 多くの研究や専門家の解説では、毛孔性苔癬は幼少期〜思春期に始まり、10代で最も目立ち、その後30〜40代にかけて自然に目立たなくなることが多いとされています18。 ただし、「完全にゼロになる」わけではなく、よく見るとブツブツが残っていたり、色素沈着が薄く残ることもあります。
大切なのは、「何もしないと良くなるのを待つしかない」ではなく、保湿や角質ケアを続けることで、今の生活の中でもザラザラをできるだけ目立たなくし、着たい服や行きたい場所を我慢しないようにすることです。 自然経過の詳細は本文「第2部:身体の内部要因」も参考にしてください。
Q2: 毛孔性苔癬は人にうつりますか?プールや温泉に行っても大丈夫ですか?
A2: 毛孔性苔癬は、細菌やウイルスの感染症ではなく、角質のたまりやすい体質や乾燥、アトピー素因などが重なって起こる皮膚の状態です。 そのため、家族や友人、パートナーに「うつる」ことはありません19。
ブツブツに膿がたまっていたり、ジクジクしたただれ、強い赤みや痛みを伴う場合は、毛孔性苔癬ではなく感染症の可能性もあるため、そのようなときはプールや温泉を一時的に避け、皮膚科で診察を受けてください。 見た目が気になって人前で肌を出すのが不安な場合でも、「うつる病気ではない」ことを知っているだけで、少し気持ちが軽くなるかもしれません。
Q3: 二の腕のブツブツは、ニキビや毛嚢炎とどう違うのですか?
A3: 毛孔性苔癬は、主に二の腕や太もも、お尻などに左右対称に現れる、小さく硬いザラザラが特徴です。 かゆみや痛みは少なく、色も皮膚色〜やや赤み程度のことが多いです12。
一方、ニキビ(尋常性ざ瘡)は顔や背中など皮脂の多い部位にできやすく、白ニキビ・黒ニキビ・赤ニキビ・膿を伴う黄ニキビなど、さまざまな形があります。 毛嚢炎は毛穴を中心とした赤いブツブツで、中心に膿点が見えることも多く、触ると痛いことが特徴です。
「赤く腫れて痛い」「膿が出てくる」「急に数が増えた」といった場合は、毛孔性苔癬以外の病気が隠れている可能性があるため、自己判断せずに皮膚科を受診しましょう。 詳しくは本文「第3部:専門的な診断が必要な疾患」をご覧ください。
Q4: 市販で買える毛孔性苔癬に効くクリームや成分はありますか?
A4: 毛孔性苔癬のセルフケアとしては、尿素、AHA(乳酸・グリコール酸など)、BHA(サリチル酸)などを含むボディクリームやローションがよく使われます234。 10%乳酸クリームや5%サリチル酸クリームの試験では、12週間でザラザラのスコアが有意に改善したという報告があります4。
ただし、濃度が高いものを広範囲に使うと、赤み・ヒリヒリ・乾燥の悪化などの副作用が出る場合があります。 初めて使うときは、まずは腕の一部など狭い範囲で試し、刺激がないか様子を見てから範囲を広げるようにしてください。 アトピー性皮膚炎や敏感肌の方、子どもへの使用は、必ず医師や薬剤師に相談しましょう。
Q5: ナイロンタオルやスクラブでこすると早く良くなりますか?
A5: 「ザラザラ=こすって落とす」という発想から、ナイロンタオルや硬いスクラブで強くこすってしまう方は少なくありません。 しかし、日本皮膚科学会のガイドラインや多くの皮膚科の解説では、過度な摩擦は逆効果とされています101214。
強くこすると、一時的にはツルツルに感じても、角質層や皮膚バリアが傷つき、乾燥や炎症、色素沈着の原因になります。 結果的に、「ブツブツ+茶色いシミ」のような状態が長引いてしまうこともあります。
ザラザラを減らしたい場合は、スクラブやナイロンタオルではなく、角質ケア成分を含むクリーム+十分な保湿を組み合わせる方が、長期的には肌に優しく現実的な方法です。 どうしてもスクラブを使いたい場合でも、頻度を控えめにし、粒が細かくマイルドなものを選びましょう。
Q6: レーザー治療を受ければ、一発でツルツルになりますか?何回くらい必要ですか?
A6: Nd:YAGレーザーやダイオードレーザー、フラクショナルCO2レーザーなど、さまざまなレーザーが毛孔性苔癬の改善に使われていますが、いずれも「1回で完全にツルツル」になる魔法の治療ではありません23567。
研究では、数回の照射でザラザラや赤みが30〜70%程度改善したという報告がありますが、治療効果には個人差が大きく、時間の経過とともにある程度戻ってくることもあります。 また、痛み・赤み・腫れ・一時的な色素沈着などのダウンタイムが生じることも少なくありません。
通院回数や費用はクリニックによっても異なるため、「何回くらい通うとどの程度の改善が期待できるのか」「色素沈着のリスクはどれくらいか」などを事前に十分説明してもらい、それでも受けたいと思えるかを冷静に判断することが大切です。 詳しくは本文「第4部:改善アクションプラン」を参考にしてください。
Q7: 子どもの頬や二の腕のブツブツは放っておいても大丈夫ですか?
A7: 子どもの頬や二の腕にみられる毛孔性苔癬は、多くの場合、体質的なものであり、成長とともに目立ちにくくなることが多いとされています18。 乾燥しやすい季節には、ぬるめのお湯で短時間入浴し、子ども用の低刺激な保湿剤でしっかり保湿することが基本です。
一方で、かゆみが強い、掻きこわして血が出てしまう、湿疹やジュクジュクがある、といった場合は、アトピー性皮膚炎など他の病気が疑われます。 そのようなときは、小児科や皮膚科で診察を受けましょう。 「ただの体質」と決めつけず、気になるときは早めに相談することで、子ども自身の自己肯定感を守ることにもつながります。
Q8: 妊娠中や授乳中でも毛孔性苔癬の治療はできますか?
A8: 妊娠中や授乳中はホルモンバランスや血流が変化し、肌が乾燥しやすくなるため、毛孔性苔癬が一時的に目立つことがあります。 基本的には、ぬるめのお湯での入浴・優しい洗浄・十分な保湿といったセルフケアを中心に行うことが勧められます110。
外用レチノイドは、妊娠中や妊娠を希望している方では使用を控えるべき薬剤とされることが多く、サリチル酸などのピーリング剤も、広範囲・高濃度での使用は避けた方が安心です12。 どうしても薬を使いたい場合は、必ず産婦人科や皮膚科の医師に相談し、「妊娠中でも安全に使える範囲かどうか」を確認したうえで使用しましょう。
結論:この記事から持ち帰ってほしいこと
毛孔性苔癬(毛孔性角化症)は、毛穴の出口まわりに角質がたまって生じる、非常によくある皮膚の状態です。 世界の報告では人口の約40%、思春期では50〜80%にみられるとされ、日本でも「日本人の4人に1人程度」と紹介されることがあります11112。
命に関わる病気ではなく、他人にうつることもありませんが、二の腕のブツブツやザラザラが長く続くことで、「肌を出すのが恥ずかしい」「人に見られたくない」といった気持ちが積み重なり、学校や仕事、プールや温泉など、日常生活のさまざまな場面でストレスの原因になりうるものです。
本記事でお伝えしたように、毛孔性苔癬のケアは、まず「熱すぎないお湯」「優しい洗浄」「毎日の保湿」という基本から始まります。 そのうえで、必要に応じてAHA・BHA・尿素などの角質ケア、市販薬や処方薬、場合によってはレーザー治療などを選択肢として検討していくことになります234567。
「完璧にツルツルにしなければいけない」と自分を追い込むのではなく、「今の自分にとって、どの程度まで改善すれば毎日が少し楽になるか」という視点で考えてみてください。 一人で悩まず、必要なときには皮膚科や小児科、場合によっては心療内科などの専門家の力を借りながら、少しずつ自分の肌との付き合い方を見つけていければ十分です。
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本記事の原稿は、最新のAI技術を活用して毛孔性苔癬に関する国内外の文献を下調べし、その構成案をもとに、JHO編集部が一次資料(ガイドライン・論文・公的サイトなど)と照合しながら、内容・表現・数値・URLの妥当性を人の目で一つひとつ確認しています。最終的な掲載判断はすべてJHO編集部が行っています。
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