犬と猫が一緒に寝るのは安全?心配無用な共存のヒント
睡眠ケア

犬と猫が一緒に寝るのは安全?心配無用な共存のヒント

はじめに

日常生活の中で犬や猫などの愛玩動物を飼っている方は少なくありません。その一方で、かわいがっているペットを同じベッドで寝かせている方も多いのではないでしょうか。近年、日本でもペットは家族同様に大切にされる存在となり、就寝時に一緒に寝る習慣が広がってきました。しかしながら、獣医師や医師などの専門家からは、ペットと同じベッドで寝ることにはいくつかのリスクやデメリットがあると指摘されています。本記事では、犬や猫と一緒に寝ることで懸念される健康リスクや睡眠への影響、さらにその対策や注意点について、できるだけ詳しく解説していきます。

免責事項

当サイトの情報は、Hello Bacsi ベトナム版を基に編集されたものであり、一般的な情報提供を目的としています。本情報は医療専門家のアドバイスに代わるものではなく、参考としてご利用ください。詳しい内容や個別の症状については、必ず医師にご相談ください。

なお、本記事は飼い主とペットの共存を否定するものではなく、むしろ健康的かつ快適に暮らすうえで役立つ情報を提供することを目的としています。愛するペットとの生活をよりよいものにするために、ぜひ最後までお読みください。

専門家への相談

本記事の執筆にあたっては、獣医師や医師などが実際に現場で指摘している問題点や、過去の文献に示されたリスクに関する知見をもとに整理を行っています。また、下記でご紹介する事例や研究結果は、海外の大規模調査や獣医学の専門誌に掲載された情報などを参照しています。本記事では、以下のような専門家および研究論文の知見を軸に、安全かつ適切にペットと暮らすための考え方を示していきます。

(※執筆に際し、医療・獣医療に関する公的機関や海外の専門誌等の文献を参照し、また獣医療従事者の視点を加味していますが、個別状況は飼い主やペットの状態によって異なります。最終的な判断や治療等は、必ず実際に診断を行う専門家へ相談してください)

ペットと同じベッドで寝る習慣の背景

犬や猫などのペットを飼う家庭では、かわいい姿や愛らしい仕草に癒やされ、自然と一緒に寝たいという気持ちが生まれやすいと考えられます。また、寂しさや不安をやわらげてくれる存在として、夜間にペットと一緒に過ごすことが心の安定につながる場合もあるでしょう。特に日本では単身世帯や高齢者世帯の増加により、ペットが家族やパートナーのような役割を果たすケースも多くみられます。

一方で、犬や猫が飼い主と同じベッドで寝る行為は昔からあったわけではなく、近年の「室内飼育の普及」や「ペットをより家族同等に扱う意識の高まり」が背景にあるとも考えられます。しかし、その一方で動物を室内で飼育すると、アレルギーや感染症、ノミ・ダニなどへの注意が必要になることは周知のとおりです。実際、獣医師や医療専門家は、こうした健康面のリスクや睡眠の質への影響を懸念する声を上げています。

以下では、ペットをベッドに入れて一緒に寝ることによるリスクや問題点を挙げ、それぞれどのように対処すべきかを詳しく解説していきます。

ペットと同じベッドで寝ることによるリスク

犬や猫といった愛玩動物とベッドを共有することには、いくつかのリスクやデメリットが指摘されています。ここでは主に3つのポイントを取り上げ、なぜ問題視されているのか、その背景と具体的な注意点を見ていきましょう。

1. 感染症・アレルギーなど健康面のリスク

多くの飼い主にとって、ペットは癒やしや楽しみを与えてくれる存在です。しかし、身体が接触する機会が増えると、動物由来の細菌やウイルス、寄生虫などが人間に伝播する可能性が高まることが、獣医学や公衆衛生学の観点から指摘されています。

  • ペット由来の感染症
    犬や猫の皮膚、唾液、体液などには多様な細菌が存在します。通常はペット自身が保有する常在菌として問題になりにくいものもありますが、飼い主の免疫力が低下している場合や、高齢者、持病を抱える方、幼児などは重症化リスクが高まることがあります。
    実際に、2011年に海外で発表されたある研究では、ペットとの密接な接触(キス、口移しの食事、同じベッドでの就寝など)が一因となり、ペスト(いわゆる「ペスト菌による感染症」)を発症した極めて稀な例が報告されています。ペストは日本ではほぼ見られない疾患であり、特殊な事例ではあるものの、動物由来の感染症には注意が必要です。
  • アレルギーや喘息の悪化
    犬や猫の被毛やふけ、唾液、排せつ物などにはアレルギー源となる物質が含まれている場合があります。もともとペットアレルギーを持っている方や喘息患者は、寝具や部屋の空気中にアレルゲンが高濃度で漂うことにより、症状が悪化するリスクが高くなります。夜間に咳や息苦しさが増す、眠りが浅くなるといったトラブルが生じることも少なくありません。
    もしアレルギー症状や喘息の持病を抱えている場合は、ペットと一緒に寝る習慣を見直したほうがよいでしょう。どうしてもベッドのそばに置きたい場合は、少し離れたところにペット用ベッドを設置し、人との直接接触を減らすといった工夫が必要です。
  • ノミ・ダニの媒介リスク
    室内飼いの場合でも、散歩や外出をする犬や、屋外と自由に行き来する猫は、ノミやダニなどの寄生虫を連れて帰ってくる可能性があります。とくに布団やカーペットなどはダニの温床になりやすく、寝具内で繁殖してしまうと駆除が難しくなります。
    ノミやダニが人間に移ると、かゆみや皮膚炎、場合によっては深刻な感染症が引き起こされるおそれがあります。定期的に動物病院で寄生虫予防薬を処方してもらい、室内の掃除やシーツ類の洗濯を徹底することでリスクを下げられます。

これらの感染症リスクやアレルギー問題については、世界各国の公衆衛生当局や獣医師会が注意を呼びかけています。日本国内でも、免疫が弱い方や高齢者、幼い子どもがいる家庭では、犬や猫を含むペットとの密接な接触を慎重に考慮するように勧告される場合があります。

2. 睡眠の質への影響

ペットと同じベッドで寝ることで、飼い主自身の睡眠が妨げられることは珍しくありません。具体的には以下のようなケースが考えられます。

  • 夜間の物音や動き
    ペットが夜中に動き回ったり、いびきをかいたり、飼い主の足元を踏んだりすることで目が覚めてしまうことがあります。ペットのほうが先に起きて、朝早くから食事をせがむケースなども、飼い主の睡眠を分断する原因になります。
    国外の調査(愛犬家・愛猫家数百名を対象)の一部では、実に50%以上の飼い主が、ペットによる睡眠の妨げを感じているという報告があります。寝不足が続くと、日中の集中力低下やイライラ感の増大など、生活の質に大きく影響を及ぼすので注意が必要です。
  • ベッドのスペース確保問題
    特に大型犬の場合、ベッド内での占有スペースが大きいため、飼い主の寝返りや快適な姿勢をとることが難しくなることがあります。また、小型犬や猫であっても、飼い主がリラックスして休めるスペースが十分でない場合、しっかりとした深い睡眠を得るのが困難になります。
    また、毛布や掛け布団を「取られた」「蹴られた」などで安眠が妨害されることもしばしば報告されています。
  • 子どもの睡眠に与える影響
    子どもが幼い頃から犬や猫と寝ることに慣れてしまうと、夜間に動物が動き回ったり、吠えたり、鳴いたりすることで子どもの睡眠が浅くなり、成長期に必要な休息が十分に取れなくなる恐れもあります。加えて、免疫力の低い子どもは感染症リスクも高いといわれています。

睡眠不足や睡眠リズムの乱れは、肉体的・精神的な健康に大きな影響を与えるため、ペットとの就寝習慣が原因となりうる場合は、できるだけ改善策を検討することが望ましいでしょう。

3. 家族関係・夫婦関係への影響

犬や猫をベッドに入れている家庭では、家族の意見や夫婦間の考え方が食い違うこともあります。

  • 夫婦間の親密度の低下
    夫婦で就寝前にスキンシップを図ったり、会話したりして過ごす時間は、夫婦関係を良好に保つうえで重要とされています。しかし、犬や猫がベッドの間に入ることで、そのような密接なコミュニケーションの機会が減る恐れがあります。実際、一部の臨床心理士や夫婦問題のカウンセラーは「ペットを過度に優先することで夫婦関係が疎遠になるケースがある」と警鐘を鳴らしています。
    もちろん、ペットが気にならないという夫婦もいますが、一方が嫌がっているにもかかわらず、もう一方がペットをベッドに入れたがる場合は、家族関係の衝突につながる可能性があります。
  • 子どもとのコミュニケーションへの影響
    子どもが動物をかわいがること自体は、情緒の安定や優しさをはぐくむ意味でプラスになるとされます。しかし、夜に子どもとペットが一緒に寝ることで睡眠が乱れ、翌朝の体調に影響が出る、あるいは親子で同じベッドに寝ようとした際にペットがスペースを取ってしまい、結果的に子どもが十分な睡眠を得られなくなるといったことが懸念されます。
    家族や子どもとの関係を損ねないためにも、ペットとの就寝ルールは家族でよく話し合い、無理のない形で決めることが望ましいでしょう。

リスクを抑えるための安全対策と注意点

上述のようなリスクや問題点がある一方で、ペットと寝ることで得られる安心感やリラックス効果を大切に考える飼い主も多いでしょう。そこで、できるだけ健康リスクを抑えながら、ペットとの快適な共存を続けるためのポイントを以下にまとめます。

  • 定期的な健康診断と予防接種
    ペットが病気や寄生虫を持ち込みにくくするためには、獣医師による定期的な健康チェックが欠かせません。ワクチン接種や寄生虫(ノミ・ダニなど)の予防薬を適切に使用し、異常があれば早めに治療することで、人間への感染症リスクを最小限に抑えられます。
  • 寝具や部屋の衛生管理
    ベッドやシーツ、枕カバーなどの洗濯はこまめに行い、ペットが外出後に汚れた身体でベッドに上がらないように心がけましょう。可能であれば、ペット用のタオルで体を拭いてから部屋に入れる、足裏を拭くなどの習慣をつけると良いでしょう。ペットの寝場所も定期的に掃除・洗濯し、ダニやノミの繁殖を防ぎます。
  • アレルギーや喘息がある人は寝室を分ける
    アレルギーや喘息を持っている方は、ペットと同じ空間で長時間過ごすことで症状が悪化しやすくなります。かかりつけ医やアレルギー科で検査・相談を行い、必要に応じて空気清浄機を使うなどの対策を検討してください。極力寝室は別にする、少なくともベッドの上に上がらせないようにすることで、アレルギー症状の悪化を回避できる可能性が高まります。
  • ペット用ベッドやクレートを活用
    飼い主とペットがお互い快適に睡眠をとるため、犬や猫が安心して休める専用の寝床を準備するのも有効です。寝室のそばにペット用ベッドやクレートを置いておけば、飼い主の存在を近くに感じつつも、お互いの睡眠スペースを分けることができます。特に子犬や子猫の場合、クレートトレーニングを行うことでしつけ面のメリットも期待できます。
  • 夫婦・家族間での合意形成
    家族やパートナーがいる場合は、ペットと寝ることに対してどのように感じているかを明確に共有し、意思疎通を図ることが重要です。全員が納得できるルールを設定し、時間帯や場所を限定するなど、無理のない形でペットと過ごせるようにするとよいでしょう。

実際の研究報告から見るリスクと対策

近年では、「ペットとの就寝」が飼い主の睡眠に与える影響や健康リスクについての調査・研究が海外を中心に進んでいます。たとえば、獣医学や公衆衛生学の学術誌において、飼育環境や飼い主の年齢層・生活習慣によってリスクレベルに差があることが示唆される報告もあります。ここでは、参考として海外で報告されている研究の一部例を簡単にご紹介し、対策の有効性に関するポイントを考えてみます。

  • ペットの種類・年齢との関連
    一般的に、幼い子犬・子猫は免疫機能が未熟であり、感染症を引き起こす病原体を保有している可能性が高いとされています。さらに成長期のペットは夜間に活動的になることもあるため、飼い主の睡眠を妨害しやすいという報告があります。
    このため、子犬・子猫の時期からクレートやペット用ベッドで就寝する習慣をつけることは、将来的なトラブルを避けるうえで大切です。
  • 小児・高齢者がいる家庭での注意
    小児や高齢者、免疫が低い方は、犬や猫がもたらす病原体に対して抵抗力が十分でない場合があります。ある医療専門誌の調査では、小児科受診歴のある子どもを含む家族のうち、犬や猫を頻繁に抱きしめたり同じベッドに入れている群で、軽度ながら呼吸器系症状や皮膚トラブルが多いというデータが示されています。
    このような背景から、家庭でのマスク着用や動物の健康管理が特に重視されるケースもあるようです。
  • 睡眠計測装置を用いた調査
    一部の研究では、腕時計型の活動量計などを使って飼い主と犬が同じベッドで寝た場合の睡眠状態を測定し、深い睡眠に入るまでの時間や、夜間に目覚める頻度が増えるといった結果が報告されています。
    ただし、ペットと寝ることがストレス緩和につながり、精神的な満足感を得られるという利点があるというデータも存在します。そのため、一概に「悪い」「ダメ」と決めつけるのではなく、飼い主自身がメリットとデメリットを客観的に見極める必要があります。

家庭でできる具体的な工夫

リスクをできる限り低減しつつ、ペットと快適に過ごすために、以下のような工夫を検討するのも良いでしょう。

  • 寝室のゾーニングを活用
    一部を柵やペット用ゲートで仕切り、部屋自体は同じ空間でありながら、ペットがベッドに直接入らないようにする方法があります。これにより、お互いの存在を感じつつも、直接接触を減らすことが可能です。
  • こまめなブラッシングとグルーミング
    犬や猫の抜け毛やふけを減らすために、毎日のブラッシングを習慣化すると効果的です。さらに、動物病院で皮膚や被毛の健康状態を定期的にチェックしてもらい、シャンプーやトリミングも適切な頻度で行いましょう。被毛がきれいであれば、寝具に付着する抜け毛や汚れも減り、アレルギーリスク軽減につながります。
  • ペットのしつけと睡眠習慣の確立
    ペットが夜中に吠えたり動き回ったりするのは、退屈やストレス、トイレのタイミングなどが原因となる場合があります。日中の運動不足や遊びが不十分な場合も、夜間に活動量が増える原因になります。
    夕方以降にしっかり散歩を行う、就寝前にある程度遊んであげるなど、ペットが夜ぐっすり眠れるように生活リズムを整えることも有効です。
  • 季節や天候による考慮
    暑い季節や寒い季節には、ペットも寝る場所や温度に敏感になります。特に夏場は、犬や猫も熱中症リスクがあるため、寝室のエアコンの温度設定や通気性を整えましょう。冬場は毛布やヒーターの位置を工夫し、ペットが無理に飼い主の布団の中に潜り込まなくても快適に過ごせるようにすることが大切です。

夫婦・家族のコミュニケーションとルールづくり

家族やパートナーがいる場合、犬や猫と一緒に寝ることによる生活リズムの乱れやプライバシーの問題が顕在化することがあります。このような場面では、以下のような点に配慮すると良いでしょう。

  • 互いの意見を尊重した話し合い
    ペットをどのように扱うかは家族の価値観によって変わります。特に夫婦間で「自分は一緒に寝たいが、相手は嫌だ」といった意見対立がある場合、まずは互いの気持ちを正直に伝え合い、それぞれがどのような不安や期待を持っているか理解することが大切です。
  • 落としどころを見つける
    完全にベッドに入れないという結論ではなく、例えば「週末だけは一緒に寝かせる」「夜中だけ別室にクレートを置く」「子どもがまだ小さいうちは寝室を分ける」など、柔軟な妥協点を探すことができます。無理にどちらか一方が我慢を続ける形にすると、後々ストレスがたまり家族関係が悪化する可能性があるため注意が必要です。
  • 子どもの教育や安全面
    子どもがまだ幼い場合、夜中にペットを踏んだり、逆にペットが子どもの上に乗ってしまったりする危険もゼロではありません。ペットとの共寝をするならば、子どもが安全に眠れるレイアウトを考える、ペットが子どもの顔を舐めたりしないようにしつけを行うなど、安全対策を講じましょう。

結論と提言

犬や猫と同じベッドで寝ることは、多くの飼い主にとって癒やしや幸福感をもたらす行為です。その一方で、感染症やアレルギーなどの健康リスク、睡眠の質の低下、夫婦関係への影響など、多角的な観点で見たときに注意すべき点も存在します。本記事では主に以下のポイントを取り上げました。

  • ペット由来の病気やアレルギーのリスクを十分に理解し、定期的な健康診断や予防接種を欠かさない
  • 飼い主自身の睡眠を守るためにも、ペットの活動に合わせた生活リズム調整や寝具の清潔管理が重要
  • 家族やパートナーとの関係を良好に保つには、ペットと寝ることについて事前に話し合い、ルールを決める
  • 子どもや高齢者など、免疫が弱いメンバーがいる家庭では特に慎重な検討が必要
  • ペット用ベッドの活用や部屋のゾーニングなどによって、リスクを抑えながら共存する方法を検討する

ペットと生活するうえで、飼い主の健康と安全、そしてペット自身の快適さを両立することは最も大切な課題といえます。もしアレルギー症状や持病がある場合、獣医師や医師に相談しながら、愛犬・愛猫とどのように暮らすのがよいかを具体的に検討するのが望ましいでしょう。

本記事の情報はあくまで参考として提供しており、正式な医療的助言や診断に代わるものではありません。アレルギーや持病の悪化が疑われる場合は、必ず医師・獣医師などの専門家にご相談ください。

参考文献

(上記リンク先は主に海外向けの英語サイトですが、ペットと寝ることに関するリスクと対策がまとめられています。必要に応じて翻訳ツールなどで内容をご確認ください。)


※本記事は情報提供のみを目的としており、診断・治療の代替を意図するものではありません。健康上の疑問や不安がある場合は、医師・獣医師などの専門家に相談することを強くおすすめします。

(医療監修: 医師 Lê Thị Mỹ Duyên(Bệnh viện Đa khoa Hồng Ngọc)

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