生後9ヶ月の赤ちゃん:成長と発達の完全ガイド【小児科医監修・2025年最新データ】
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生後9ヶ月の赤ちゃん:成長と発達の完全ガイド【小児科医監修・2025年最新データ】

生後9ヶ月、誠におめでとうございます。この数ヶ月で、赤ちゃんは目覚ましいスピードで成長し、昨日できなかったことが今日できるようになる、そんな驚きと喜びに満ちた毎日をお過ごしのことでしょう。生後9ヶ月は、赤ちゃんの人生の中でも特に大きな変化が訪れる、まさに「成長の交差点」とも言える時期です。自分の意志で移動できるようになり、知的好奇心が爆発し、ママやパパとの絆をより深く認識し始めます1。 しかし、このめざましい発達は、保護者の皆様にとって新たな疑問や不安を生むことも少なくありません。「うちの子の体重や身長は平均的なの?」「後追いが激しくて、少しも目が離せない」「離乳食をなかなか食べてくれない」「夜泣きはいつまで続くの?」――このようなお悩みにお応えするため、JAPANESEHEALTH.ORG編集委員会は、現在日本で入手可能な限り最も信頼性が高く、最新の情報に基づいた完全ガイドを作成いたしました。
本稿の最大の特徴は、多くの育児情報サイトが未だに10年以上前の平成22年(2010年)のデータを使用している中、こども家庭庁が発表したばかりの「令和5年(2023年)乳幼児身体発育調査」の最新公式データに完全準拠している点です234。これは、皆様がわが子の成長を現代日本の基準で正確に理解するための、最も確かな羅針盤となります。さらに、日本小児科学会5、国立成育医療研究センター6といった国内の権威ある機関の最新ガイドラインに加え、米国疾病予防管理センター(CDC)7や米国小児科学会(AAP)8など国際的な知見も統合し、多角的で信頼性の高い情報を提供します。
この記事では、身体発育の最新統計から、運動能力、知性、心の発達、そしてこの時期の大きなテーマである離乳食後期(カミカミ期)の進め方、夜泣きとの付き合い方、安全対策、さらには目前に迫った「9~10か月児健康診査」の準備とチェックポイントまで、あらゆる情報を網羅しています9。さあ、めざましい成長を遂げる生後9ヶ月の赤ちゃんの素晴らしい世界を、科学的根拠に基づいた確かな知識とともに探求していきましょう。

本記事の科学的根拠

この記事は、入力された研究報告書で明示的に引用されている最高品質の医学的根拠にのみ基づいています。以下のリストには、実際に参照された情報源と、提示された医学的ガイダンスへの直接的な関連性のみが含まれています。

  • こども家庭庁:本記事の身長・体重データは、同庁が発表した「令和5年乳幼児身体発育調査」に基づいています2。これは日本の乳幼児の成長に関する最新かつ最も信頼性の高い公的基準です。
  • 国立成育医療研究センター:「9~10か月児健康診査」に関する解説は、同センター発行の「乳幼児健康診査身体診察マニュアル」の指針に準拠しています6
  • 日本小児科学会:「食品による窒息の予防」に関する勧告は、同学会の提言に完全に基づいています5。これは子どもの安全確保における国内の最重要指針です。
  • 厚生労働省:「授乳・離乳の支援ガイド」は、本記事における離乳食の進め方に関する記述の基礎となっています10
  • 米国疾病予防管理センター (CDC):月齢ごとの発達のマイルストーンに関する国際的な視点は、同センターのガイドラインを参照しています7

要点まとめ

  • 生後9ヶ月の身長・体重は、2024年公表の最新「令和5年乳幼児身体発育調査」のデータで確認することが重要です。
  • 運動面では「はいはい」や「つかまり立ち」が活発になり、行動範囲が一気に広がります。それに伴い、転倒や誤飲などの事故防止対策が不可欠です。
  • 知性面では「物の永続性」を理解し始め、これが「後追い」や「人見知り」といった情緒的発達の背景にあります。
  • 食事は1日3回食の「カミカミ期」へ移行します。窒息事故を防ぐため、ミニトマトやぶどうなどは必ず4等分に切るなどの知識が命を守ります。
  • 発達の躍進に伴う「夜泣き(睡眠退行)」は一時的な現象であり、成長の証です。冷静な対応が赤ちゃんの安心につながります。
  • 9~10か月児健康診査は、発育の確認と育児相談のための絶好の機会です。日頃の疑問をメモして臨みましょう。

第1部:身体の成長 – 最新データで見るわが子の現在地

赤ちゃんの成長を客観的に把握する上で、身長と体重は最も基本的な指標です。多くの保護者の方が「うちの子は順調に育っているだろうか」と、母子健康手帳の成長曲線グラフを眺める機会も多いことでしょう11。ここでは、その基準となる最も新しい全国データを見ていきます。

令和5年乳幼児身体発育調査とは?

こども家庭庁(旧厚生労働省)は、日本の乳幼児の健全な発育を支援し、保健指導の質を向上させる目的で、約10年ごとに全国規模の「乳幼児身体発育調査」を実施しています12。これは、統計法に基づく一般統計調査として、全国の市区町村から無作為に選ばれた乳幼児を対象に、医師や保健師が正確な計測を行う、非常に信頼性の高い調査です4。本記事で掲載するのは、2024年に公表された「令和5年(2023年)調査」の最新データです。これにより、現代の日本の赤ちゃんたちのリアルな成長実態に即した形で、わが子の成長を見つめることができます3

【令和5年最新データ】生後9ヶ月の身長・体重パーセンタイル値

以下の表は、生後9ヶ月から10ヶ月未満の赤ちゃんの身長と体重のパーセンタイル値を示したものです。「パーセンタイル」とは、同じ性別・月齢の赤ちゃんを100人集めたときに、小さい方から数えて何番目になるかを示す数値です。例えば「50パーセンタイル」はちょうど真ん中(中央値)、「3パーセンタイル」は小さい方から3番目、「97パーセンタイル」は大きい方から3番目(小さい方から97番目)を意味します4

生後9か月以上10か月未満の乳幼児のパーセンタイル値
指標 性別 3パーセンタイル 50パーセンタイル(中央値) 97パーセンタイル
体重 (kg) 男の子 7.03 8.63 10.23
女の子 6.70 8.19 9.79
身長 (cm) 男の子 66.5 71.0 75.2
女の子 65.3 69.9 74.2
出典:こども家庭庁「令和5年乳幼児身体発育調査」4

成長曲線の見方と個性の尊重

この数値を見て、一喜一憂する必要は全くありません。最も大切なのは、母子健康手帳に記載されている発育曲線のカーブに沿って、その子なりのペースで成長しているかどうかです1。生後9ヶ月頃になると、それまでの急速な成長期と比べて、体重や身長の伸びは緩やかになるのが一般的です13。これは、エネルギーが体重増加だけでなく、はいはいやつかまり立ちといった活発な運動に向けられるようになるためです。もし、赤ちゃんの計測値が3パーセンタイルや97パーセンタイルのカーブから大きく外れている、あるいはこれまで順調に伸びていた成長曲線が急に横ばいになったなどの心配事があれば、9~10か月児健康診査や、かかりつけの小児科医に相談してみましょう14。専門家は、単一の時点での数値だけでなく、出生時からの成長の軌跡を総合的に見て判断してくれます。

第2部:運動能力の発達 – 「できた!」の瞬間を科学する

生後9ヶ月は、運動能力が飛躍的に向上する時期です。昨日までおすわりしていた赤ちゃんが、今日は部屋の隅まで移動している、そんな光景に驚かされることも多いでしょう15。これらの「できた!」という瞬間は、赤ちゃんの脳と身体が連携し、複雑な運動を学習している証です。ここでは、それぞれの発達の段階を科学的に見ていきましょう。

おすわりの安定:両手が自由になる革命

この時期になると、ほとんどの赤ちゃんが支えなしで安定して座れるようになります16。こども家庭庁の調査でも、生後9~10ヶ月未満の赤ちゃんの90%以上が「ひとりすわり」をマスターするという結果が出ています4。おすわりが安定することの最大の意義は、両手が自由になることです。これまで体を支えるために使っていた両手を、おもちゃを叩いたり、持ち替えたり、口に運んだりといった、周囲の世界を探求するために使えるようになります。これは、次の段階である微細運動や認知能力の発達にとって、不可欠なステップです。

はいはい:世界を広げる大冒険

多くの赤ちゃんが、この時期に「はいはい」を始めます。お腹を床につけたまま進む「ずりばい」から、お腹を持ち上げて手と膝で進む「四つん這い」へと進化する子もいます1。はいはいは、左右の手足を交互に動かす協調運動であり、全身の筋肉を鍛え、空間認識能力やバランス感覚を養う上で非常に重要な動きです17。令和5年の調査では、生後10~11ヶ月で90%以上の赤ちゃんがはいはいをすると報告されており、9ヶ月時点ではまさに習得の真っ最中と言えるでしょう4。中には、はいはいをあまりせずにおすわりの姿勢のまま移動する(シャフリングベビー)や、すぐにつかまり立ちに移行する子もいますが、それも個性の一つです。必ずしもすべての赤ちゃんが同じ発達経路をたどるわけではないため、心配しすぎる必要はありません18

つかまり立ち:視界が変わる新たなステージ

テーブルやソファ、人の足など、あらゆるものにつかまって自分の力で立ち上がろうとする「つかまり立ち」は、生後9ヶ月のハイライトの一つです1。最初は腕の力で体を引き上げ、足元はつま先立ちで不安定ですが、何度も繰り返すうちに足の裏全体で体重を支えられるようになり、安定していきます17。つかまり立ちによって、赤ちゃんの視点は劇的に変わります。これまで見えなかったテーブルの上の世界が見えるようになり、行動範囲は水平方向から垂直方向へと一気に広がります。この新しい視界が、赤ちゃんの好奇心をさらに刺激し、次の「伝い歩き」へとつながっていきます。

指先の器用さ:つまむ動作の始まり

手の動きも目覚ましく発達します。手のひら全体で物を鷲掴みにしていた状態から、親指と人差し指を使って小さなものをつまむ「指先でのつまみ(pincer grasp)」の原型が見られるようになります16。最初はまだ熊手のように指全体でかき集めるような動き(raking grasp)ですが、ボーロのような小さなおやつを自分でつまんで口に運ぼうとする姿が見られるようになります7。この指先の巧緻性(こうちせい)の発達は、脳の発達と密接に関連しており、「手づかみ食べ」を始める上での重要なサインでもあります。

健診でのチェックポイント:パラシュート反射

9~10か月児健康診査では、これらの運動能力が順調に発達しているかを確認します18。特に、医師が赤ちゃんの体を前に傾けたときに、転倒から身を守るためにパッと両手を前に出す「パラシュート反射」が見られるかを確認します18。これは、危険を察知して体を防御する神経系が正常に発達していることを示す重要な指標の一つです。このように、赤ちゃんの運動発達は、おすわり→はいはい→つかまり立ちというように、一つのスキルが次のスキルの土台となる連鎖反応で進んでいきます。それぞれの段階をじっくりと経験することが、その後の歩行、さらにはより複雑な運動能力の獲得へとつながっていくのです。

第3部:知性とことばの芽生え – 赤ちゃんの頭の中を探る

生後9ヶ月の赤ちゃんは、身体だけでなく、頭の中でも大きな革命が起きています。目に見えない世界を理解し始め、コミュニケーションの基礎を築き始めるこの時期。その知性とことばの芽生えを覗いてみましょう。

「物の永続性」の理解と「いないいないばあ」

この時期の最も重要な認知発達の一つが「物の永続性(object permanence)」の理解です7。これは、「たとえ今、目に見えなくても、物や人は存在し続けている」という概念を理解し始めることを指します。この発達を象徴するのが、「いないいないばあ(peek-a-boo)」を心から楽しむ姿です19。以前は、顔が隠されると「消えてしまった」と感じていたかもしれませんが、今では「隠れているだけで、次には必ず現れる」と予測し、その期待感と再会の喜びで笑い声をあげます。また、おもちゃを落としたときに、ただ落ちたことを見るだけでなく、落ちた先を目で探す行動も「物の永続性」が育っている証拠です7。この認知能力の獲得は、単なる遊びの理解にとどまらず、後の「後追い(分離不安)」という情緒的な発達と深く結びついています。

原因と結果の学習:小さな科学者の誕生

赤ちゃんは、まるで小さな科学者のように、身の回りの世界の法則を発見しようと実験を繰り返します。

  • 物を叩き合わせる: 両手におもちゃを持ち、カチカチと叩き合わせるのが大好きになります7。これは、自分の行動(叩く)が音(カチカチ)という結果を生むという「原因と結果」の関係を学んでいるのです。
  • 物を落とす: ハイチェアからスプーンやおもちゃを何度も落とす行動に、手を焼いている保護者の方も多いかもしれません。しかしこれも、赤ちゃんにとっては「物を手から離すと、下に落ちて音がする」という重力の法則を学ぶ、真剣な探求活動なのです20

模倣(まねっこ):学びの基本スキル

生後9ヶ月の赤ちゃんは、大人の行動を観察し、それを真似する「模倣(まねっこ)」がとても上手になります16

  • ジェスチャーの模倣: 手を振って「バイバイ」したり、手を叩いて「パチパチ」したりといった、簡単な身振りを真似できるようになります13
  • 音の模倣: 大人が出す音や言葉を真似しようとします。この模倣能力は、社会的なルールやコミュニケーションの方法を学ぶための最も基本的なスキルであり、言語発達の土台となります。

喃語(なんご)の発達と言葉の理解

言葉の発達も新たな段階に入ります。

  • 反復喃語: 「あー」「うー」といった母音中心のクーイングから、「マンマンマ」「ババババ」「ダッダッダッ」のように、同じ音を繰り返す「反復喃語」が盛んになります7。これは、発声器官をコントロールする練習であり、本格的な発語への準備運動です。9~10か月児健診でも、この喃語が出ているかは重要なチェック項目です9
  • 言葉の理解: まだ意味のある言葉を話すことはできなくても、言葉の理解は着実に進んでいます。自分の名前を呼ばれると振り向いたり、「ダメ」「おしまい」といった簡単な言葉の意味を状況と結びつけて理解し始めたりします7

このように、生後9ヶ月の赤ちゃんは、世界がどのように機能しているかを学び、他者と関わるためのスキルを猛スピードで獲得しています。保護者からの積極的な語りかけや遊びが、この知性の芽生えを力強く後押しします。

第4部:心と社会性の発達 – 「後追い」と「人見知り」の理由

生後9ヶ月は、赤ちゃんの「心」が大きく成長し、ママやパパとの特別な関係性を深く認識する時期です。その結果として現れるのが、「後追い」や「人見知り」といった、保護者を悩ませることもある行動です。しかし、これらの行動は、実は赤ちゃんの心が順調に発達している喜ばしい証なのです。

愛着形成と「後追い(分離不安)」

この時期、赤ちゃんは特定の養育者(主にママやパパ)に対して強い愛着(アタッチメント)を形成します9。この深い絆が育ったからこそ、その対象が自分の視界からいなくなることに強い不安を感じるようになります。これが「後追い(分離不安)」です1。この後追いは、前述した認知発達「物の永続性」の獲得と密接に関連しています。物の永続性を理解する前の赤ちゃんにとって、「見えない=存在しない」でした。しかし、物の永続性を理解した今、「ママは見えないけれど、どこかに存在している。そして、自分のそばにいない」ということが分かるようになったのです。この認知的な飛躍が、愛着のある対象との分離に対する不安、すなわち後追いを引き起こします。つまり、赤ちゃんがトイレの中までついてきたり、姿が見えなくなっただけで大声で泣いたりするのは、ママやパパとの強い絆が育ち、かつ知的に成長した「勲章」なのです。この行動を問題と捉えるのではなく、成長の証として受け止め、優しく対応することが大切です。
対応のヒント:

  • 離れるときは、「ちょっとお手洗いに行ってくるね、すぐ戻るよ」と声をかけ、こっそりいなくならないようにしましょう21
  • 戻ってきたときは、「ただいま、待っててくれてありがとう」と笑顔で迎え、安心させてあげましょう19

「人見知り」:自分と他者を区別する力

後追いと同時にピークを迎えるのが「人見知り(stranger anxiety)」です7。これまで誰にでもニコニコしていた赤ちゃんが、慣れない人に会うと固まったり、泣き出してしまったりします。これもまた、脳が発達し、「いつも一緒にいる安心できる人(ママやパパ)」と「そうでない人(見知らぬ人)」を明確に区別できるようになった証拠です。これは、社会性を身につけていく上で非常に重要なステップです22。人見知りは、特定の他者との間に安全な距離を保とうとする、健全な自己防衛本能の表れでもあります。

豊かな感情表現

喜び、怒り、悲しみ、驚きといった感情を、表情や声、身振りでハッキリと表現できるようになります16。嬉しいときには手をパチパチ叩いたり、思い通りにいかないと怒って声をあげたり、その表現はますます豊かになります。さらに、大人の表情や声のトーンから、その場の雰囲気や感情を読み取る力も発達してきます20。保護者が笑顔でいると赤ちゃんも安心し、不安そうな顔をしていると赤ちゃんも不安を感じ取ります。赤ちゃんの心の安定のためにも、穏やかで前向きなコミュニケーションを心がけることが大切です。

第5部:栄養と離乳食(後期)-「カミカミ期」の進め方と注意点

生後9ヶ月は、離乳食が「ごっくん期(初期)」「もぐもぐ期(中期)」を経て、いよいよ「カミカミ期(後期)」へと移行する大切な時期です。食事から摂る栄養の割合が増え、食べる機能も大きく発達します。ここでは、厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」に基づき、カミカミ期の進め方と、最も注意すべき窒息事故の予防について詳しく解説します1023

カミカミ期(離乳食後期)の進め方

  • 食事のリズム: 1日2回食から1日3回食へと進め、朝・昼・夕と決まった時間に食事をする習慣をつけ、生活リズムを整えていきましょう1
  • 食材の固さの目安: この時期の目安は「歯ぐきでつぶせる固さ」です。具体的なイメージとしては、熟したバナナくらいの固さを目指しましょう24
  • 食事量の目安: 栄養の主体が母乳やミルクから離乳食へと移っていきます。以下の表を目安に、赤ちゃんの食欲や成長に合わせて調整してください。
離乳食後期(カミカミ期)の1回あたりの食事量目安
栄養素グループ 1回あたりの目安量 1日の合計目安 食材例
炭水化物 5倍がゆ90g または 軟飯80g 240~270g 全がゆ、軟飯、うどん、食パン、いも類
ビタミン・ミネラル 30~40g 90~120g 葉野菜、根菜、果物など
たんぱく質 魚または肉:15g
豆腐:45g
全卵:1/2個
乳製品:80g
いずれかを1日3回 鶏ささみ、赤身魚、牛・豚のひき肉、豆腐、ヨーグルトなど
出典:厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」等を参考にJHO編集委員会作成110

「手づかみ食べ」で食べる意欲を育む

この時期の大きな特徴が「手づかみ食べ」の始まりです24。赤ちゃんが食べ物に手を伸ばし、自分で掴んで口に運ぼうとする行動は、単に食卓を汚す「遊び食べ」ではありません。これは、

  • 目と手と口の協調運動を発達させる
  • 食べ物の固さや温度、感触を手で学んでいる
  • 自分で一口の量を覚える
  • 「自分で食べたい」という自立心や意欲を育む

といった、非常に重要な発達のステップです25。最初は、スティック状に切って蒸した人参やかぼちゃ、軽くトーストした食パンなど、赤ちゃんが握りやすいものから始めると良いでしょう24。床が汚れることを前提に、床にシートを敷くなどの準備をして、赤ちゃんの「食べたい!」という気持ちを温かく見守ってあげましょう。

最重要:窒息事故の予防

赤ちゃんの行動範囲が広がり、手づかみ食べが始まると、誤飲・窒息のリスクが格段に高まります。幼い子どもは、噛む力や飲み込む機能が未熟で、気道に入ったものを咳で押し出す力も弱いため、特に注意が必要です523。日本小児科学会や消費者庁も強く警鐘を鳴らしており、保護者が正しい知識を持つことが赤ちゃんの命を守ります26。以下の表は、窒息リスクが高い食品と、9ヶ月の赤ちゃんに与える際の安全な調理法をまとめたものです。必ず実践してください。

食品による窒息事故を防ぐための注意点
危険な食品のタイプ 具体的な食品例 危険な理由 安全な与え方(9ヶ月児向け)
丸くてつるっとしたもの ミニトマト、ぶどう、さくらんぼ、球形のチーズ、うずらの卵、ソーセージ、こんにゃく、豆類、あめ玉 噛み砕けずに、つるっと気道にはまり込み、完全に塞いでしまうリスクが非常に高い。 ・必ず1/4以下の大きさに切る。
・豆類は与えないか、ペースト状にする。
・あめ玉やナッツ類は5歳以下の子どもには与えない。
粘着性が高く、口の中に貼りつくもの パン、白玉団子、餅、ごはん 口の中や喉に貼りついて取れなくなり、呼吸を妨げる。パンは唾液を吸って粘着性が増す。 ・水分と一緒に与え、喉を潤しながら食べさせる。
・一口の量を小さくし、よく噛んでいるか見守る。
・パンはミルクやスープに浸して柔らかくする。
・餅は3歳以降まで与えない。
硬くて噛み切りにくいもの 生の人参、りんご、イカ、きのこ類 歯ぐきで噛み砕けず、大きな塊のまま飲み込んでしまい、喉に詰まる。 ・加熱して、歯ぐきでつぶせる固さ(バナナ程度)にする。
・りんごはすりおろすか、煮てコンポートにする。
・イカは細かく刻む。
・きのこ類は繊維を断ち切るように細かく刻む。
出典:日本小児科学会「食品による窒息から子どもを守るために」等を参考にJHO編集委員会作成526

食事中は、必ず大人がそばで見守り、赤ちゃんが食べ物を口に入れたまま歩き回ったり、笑ったり、泣いたりしないように注意しましょう。

第6部:生活リズムと睡眠 – 「夜泣き」と上手に付き合う方法

「夜、ぐっすり眠ってくれない」「突然、夜中に火がついたように泣き出す」――赤ちゃんの睡眠に関する悩みは、多くの保護者にとって心身ともに大きな負担となります。特に生後9ヶ月頃は、発達の大きな変化に伴い、一時的に睡眠が不安定になる「夜泣き」が起こりやすい時期です。ここでは、赤ちゃんの睡眠のメカニズムを理解し、夜泣きと上手に付き合うための方法を探ります。

生後9ヶ月の理想的な睡眠時間とリズム

  • 1日の合計睡眠時間: この時期の赤ちゃんに必要な睡眠時間は、お昼寝を含めて1日あたり約11~13時間が目安です127
  • お昼寝: 多くの場合、午前と午後に1回ずつ、合計2回のお昼寝に落ち着いてきます1。夕方遅くにお昼寝をすると夜の睡眠に影響が出やすいため、午後のお昼寝は15時頃までには切り上げるようにすると良いでしょう1
  • 生活リズムの確立: 睡眠の質を高めるために最も重要なのが、規則正しい生活リズムです18。毎日同じ時間に起き、同じ時間に食事をし、同じ時間に寝るというサイクルを繰り返すことで、赤ちゃんの体内時計が整い、夜に自然と眠くなるリズムが作られます。朝はカーテンを開けて太陽の光を浴びさせ、夜は寝る前に部屋を暗くして静かな環境を整えるなど、メリハリをつけることが効果的です。

「夜泣き」の正体と文化的背景

夜泣きは、医学的には「睡眠退行(sleep regression)」と呼ばれる現象の一部であることが多く、病気ではありません28。これは、赤ちゃんの脳と身体が急激に発達することによって、一時的に睡眠パターンが乱れるために起こります。
生後9ヶ月頃の夜泣きの主な原因としては、

  • 分離不安: ママやパパがそばにいない不安から、夜中に目覚めたときに泣いてしまう28
  • 発達の躍進: 日中に習得したはいはいやつかまり立ちなどの新しいスキルを、睡眠中に脳が整理・定着させようとする過程で、体が無意識に動いてしまい、目が覚めてしまう28
  • 歯のむずがゆさ(歯ぐずり): 新しい歯が生えてくる不快感で眠りが浅くなる。
  • 日中の刺激: 新しい場所に行ったり、多くの人に会ったりして、日中の刺激が多すぎた場合に、夜に興奮して眠れなくなる。

日本では、集合住宅での生活環境などから「近所迷惑になっていないか」というプレッシャーも加わり、夜泣きが保護者に大きなストレスを与える傾向があります。しかし、夜泣きは「育児の失敗」ではなく、赤ちゃんが順調に成長している証拠でもあるということを、まず理解することが大切です29。この時期の夜泣きは、多くの場合一時的なものです。

夜泣きへの冷静で優しい対応ステップ

赤ちゃんが夜中に泣き出したとき、焦らず、以下のステップで対応してみましょう。

  1. 数分間、見守る: まずはすぐに駆けつけず、2~3分様子を見ましょう。赤ちゃんは浅い眠りと深い眠りのサイクルを繰り返しており、その合間に少しぐずっても、自力で再び眠りに戻ることがあります30。この「待つ」時間が、赤ちゃんが自分で寝直す力を育むことにつながります。
  2. 基本的な不快をチェック: 泣き続ける場合は、静かに部屋に入り、おむつが濡れていないか、お腹が空いていないか、部屋が暑すぎたり寒すぎたりしないかを確認します。このとき、部屋の照明は薄暗いまま、声かけも最小限にし、「夜は静かに過ごす時間」であることを赤ちゃんに伝えましょう30
  3. 優しいタッチで安心させる: すぐに抱き上げるのではなく、まずはベッドに寝かせたまま、背中や胸を優しくトントンしたり、「大丈夫だよ、そばにいるよ」と静かに声をかけたりして安心させます30
  4. 抱っこは最後の手段として: それでも泣き止まない場合は、一度抱き上げて落ち着かせましょう。ただし、完全に覚醒させないように注意し、赤ちゃんがうとうとし始めたら、完全に眠りきる前にそっとベッドに戻します。これにより、「ベッドは安心して眠る場所」という学習を促します30

夜泣きへの対応で最も大切なのは、保護者自身が心身を休めることです。パートナーと協力して対応する、日中に赤ちゃんと一緒にお昼寝をするなど、無理のない方法を見つけて、この一時的な発達の段階を乗り越えていきましょう。

第7部:遊びと学び – 発達を促す室内での関わり方

赤ちゃんにとって、「遊び」は単なる気晴らしではありません。遊びは、身体を動かし、五感を刺激し、脳を発達させ、人との関わり方を学ぶ、最も重要な「仕事」です。特に、つかまり立ちやはいはいで行動範囲が広がる生後9ヶ月の赤ちゃんには、安全な室内での遊びを通して、心身の発達をバランスよく促してあげることが大切です。ここでは、発達段階に合わせた遊びの具体例と、その遊びが持つ意味について解説します。

粗大運動を促す遊び:全身を使って探検しよう

  • ハイハイ障害物コース:枕やクッション、丸めた布団などを床に並べて、簡単な障害物コースを作ります。赤ちゃんがそれを乗り越えたり、回り込んだりしながら進むのを応援します20。この遊びは、全身の筋力、バランス感覚、空間認識能力、そして「できた!」という達成感を育みます。
  • 手押し車(カタカタ):安定感のある手押し車を用意し、赤ちゃんがつかまって押しながら歩くのをサポートします。歩行器とは異なり、自分の力でバランスを取る練習になります31。歩行に必要な脚力とバランス感覚を養い、自分で移動する楽しさを教えます。
  • あぐらタクシー:保護者があぐらをかき、その膝の上に赤ちゃんを乗せます。「出発しまーす」と言いながら、体を左右にゆっくりと揺らします32。揺れに対して体が倒れないように踏ん張ることで、体幹とバランス感覚が鍛えられます。保護者とのスキンシップにもなります。

微細運動と知性を育む遊び:指先と頭を使おう

  • ポットン落とし:ミルクの空き缶や口の広いペットボトルに、ペットボトルのキャップ(複数個をテープで連結して大きくしたもの)や小さな積み木などを「ポットン」と落として遊びます33。指先で「つまむ」動作、狙った穴に入れる「目と手の協調運動」、「原因と結果の理解」、そして「物の永続性」を同時に学びます。
  • 絵本の読み聞かせ:赤ちゃんを膝に乗せ、色鮮やかで、擬音語や繰り返しのある絵本を読んであげましょう。赤ちゃんが絵を指さしたら、「ワンワンだね」「ブーブー、速いね」などと応えてあげます34。言葉のインプットを増やし、物の名前を覚え、親子のコミュニケーションを深めます。
  • 積み木やスタッキングリング:この時期はまだ上手に積めませんが、積み木を両手で持って打ち鳴らしたり、崩したりするだけで十分な遊びになります。スタッキングリングは、リングを棒から外す遊びから始まります33。物の形や大きさ、重さを学び、両手を使う協調運動を発達させます。

社会性を育む遊び:コミュニケーションを楽しもう

  • まねっこ遊び:「バイバイ」「パチパチ」「こんにちは」とお辞儀するなど、簡単な動作をやって見せ、赤ちゃんが真似するのを待ちます。できたら「上手だね!」と思い切り褒めてあげましょう35。他者を観察し、模倣する力を通じて、社会的なコミュニケーションの基礎を築きます。
  • 布を使ったいないいないばあ:大きめのハンカチやスカーフを保護者の顔の前に垂らして「いないいない…」と言い、赤ちゃん自身に布を引っ張らせて「ばあ!」をさせます。追いかけっこのように、布をヘビのように動かして誘うのも楽しいでしょう35。物の永続性の理解を深めると同時に、予測する力と、他者とのやりとりの楽しさを学びます。
  • 実況中継ごっこ:赤ちゃんがしている行動を、そのまま言葉にして語りかけます。「〇〇ちゃん、積み木をカチカチしてるね、楽しいね」「今、ママのほうにハイハイしてきたね、速い速い!」といった具合です32。自分の行動と言葉が結びつく経験を通して、言語理解を深めます。また、自分の行動を肯定されていると感じ、自己肯定感を育みます。

これらの遊びに共通する最も大切なことは、保護者が赤ちゃんと一緒に心から楽しむことです。赤ちゃんの反応を見ながら、笑顔でたくさん話しかけることが、何よりの発達の栄養となります。

第8部:安全対策 – 活発になる赤ちゃんを危険から守る

生後9ヶ月の赤ちゃんは、はいはいで素早く移動し、つかまり立ちで高い場所に手を伸ばすようになります。この行動範囲の拡大は、成長の喜ばしい証であると同時に、家庭内に潜む危険に遭遇するリスクを飛躍的に高めます36。赤ちゃんの安全は、偶然に任せるのではなく、保護者が発達を予測し、先回りして環境を整えることで守られます。ここでは、消費者庁や厚生労働省の注意喚起に基づき、具体的な安全対策を解説します37

1. 誤飲・窒息:最も注意すべき事故

赤ちゃんの口の大きさは直径約4cmと言われており、これより小さいものは何でも口に入れてしまう可能性があります38。特に、喉に詰まると窒息につながるため、命に関わる最も危険な事故です。
今すぐ確認・対策すること:

  • 床から1mの高さまでを総点検: 赤ちゃんの手が届く範囲に、ボタン、硬貨、電池(特にボタン電池は化学やけどの危険があり極めて危険)、おもちゃの小さな部品、ペットフード、たばこ、医薬品などを絶対に置かないようにしましょう19
  • 危険な食品の管理: 前章で述べた窒息リスクの高い食品(ミニトマト、ぶどう、ナッツ類、球形のチーズなど)は、赤ちゃんの手の届かない場所に保管しましょう26
  • 引き出しや扉のロック: 薬や洗剤、文房具などが入っている低い位置の棚や引き出しには、ベビーガードやチャイルドロックを取り付けましょう39

2. 転倒・転落:垂直方向の危険への備え

つかまり立ちを始めると、転倒のリスクに加え、これまで考えられなかった場所からの転落事故が起こり得ます。
今すぐ確認・対策すること:

  • 階段: 赤ちゃんがはいはいを始めたら、階段の上と下の両方に、赤ちゃんが開けられないロック機能付きのベビーゲートを設置しましょう36
  • 家具の固定と角の保護: 赤ちゃんがつかまったときに倒れる可能性のある、背の低い本棚やテレビ台などは、壁に固定しましょう。テーブルや棚の角には、頭をぶつけても怪我をしにくいよう、コーナーガードを取り付けます39
  • ベッド・ソファ: 大人用のベッドやソファに寝かせたまま放置しないようにしましょう。転落だけでなく、ベッドと壁の隙間に挟まる事故も報告されています37。ベビーベッドの柵は常に上げておく習慣をつけましょう。
  • 窓・ベランダ: ベランダに踏み台になるようなものを置かない、窓には補助錠を付けるなど、転落防止策を徹底しましょう38

3. やけど:熱いものへの好奇心から守る

赤ちゃんは熱いものへの危険がまだ分かりません。
今すぐ確認・対策すること:

  • キッチンへの侵入防止: 可能であれば、キッチンの入り口にベビーゲートを設置するのが最も安全です38
  • テーブルの上: 熱い飲み物やスープの入った食器は、テーブルの端に置かないようにしましょう。テーブルクロスは、赤ちゃんが引っ張って上のものを落とす危険があるため、使用を控えるのが賢明です38
  • 電化製品: 炊飯器や電気ポットの蒸気、ストーブ、アイロンなどは、赤ちゃんの手が絶対に届かない場所に置くか、安全柵で囲いましょう36

4. 溺水:一瞬の油断が命取りに

わずか数cmの水深でも、赤ちゃんは溺れる可能性があります。
今すぐ確認・対策すること:

  • 入浴中: 電話や来客があっても、絶対に赤ちゃんを一人で浴槽に残してその場を離れないでください。常に手の届く範囲で見守りましょう37
  • 浴槽の残り湯: 入浴後は、必ず浴槽の水を抜いておきましょう37
  • その他: 洗濯機やトイレ、バケツの水などにも注意が必要です。トイレのドアは閉めておきましょう。

5. その他の注意点

  • コンセント: 赤ちゃんが指や物を入れて感電するのを防ぐため、使っていないコンセントには安全カバーを取り付けましょう39
  • ブラインドの紐: 首に絡まる窒息事故を防ぐため、赤ちゃんの手が届かない高さにまとめるか、クリップで留めておきましょう40
  • チャイルドシート: 短時間の移動でも必ず使用し、メーカーの規定に従い、できるだけ長く後ろ向きで設置しましょう40

これらの安全対策は、赤ちゃんの自由な探求活動を制限するためではなく、安心して成長できる環境を保障するために不可欠です。赤ちゃんの次の発達段階を予測し、一歩先回りした対策を心がけましょう。

第9部:9~10か月児健康診査 – 準備とチェックポイントのすべて

多くの自治体で、生後9ヶ月から10ヶ月の間に「乳児後期健康診査」が実施されます。これは、母子保健法で定められた1歳6か月児健診や3歳児健診とは異なり、任意(市町村が任意で実施)の健診ですが、この時期特有の急激な発達を専門家の視点で確認し、育児に関する相談ができる非常に重要な機会です41。保護者の皆様が安心して健診に臨めるよう、その目的から具体的なチェック項目までを、国立成育医療研究センターの「乳幼児健康診査身体診察マニュアル」などを基に詳しく解説します6

健診の目的と準備

この健診の主な目的は、病気の早期発見だけでなく、赤ちゃんの身体的・精神的な発育・発達が順調かを確認し、栄養状態や生活リズム、親子関係などを含めた育児全般の支援を行うことです6
準備するもの:

  • 母子健康手帳
  • 健康保険証、乳幼児医療証
  • 9~10か月児健康診査受診票(事前に送付される問診票)
  • 着替え、おむつ、おしりふき、ミルクなど普段のお出かけセット
  • 聞きたいことリスト(事前にメモしておくと、聞き忘れを防げます)41

健診の主な流れとチェック項目

健診は一般的に「問診」「身体計測」「診察」「保健・栄養指導」の流れで進みます。以下の表は、医師がどのような点を確認しているかをまとめたものです。事前に家庭での赤ちゃんの様子を観察し、問診票に記入しておくと、診察がスムーズに進みます。

9~10か月児健康診査の主なチェック項目
診察領域 主なチェック項目(医師が診ること) 保護者が見ておくべきポイント(家庭での様子)
身体発育 ・身長、体重、頭囲、胸囲の計測
・母子健康手帳の成長曲線に沿った発育か
・体重は順調に増えているか
・成長曲線から大きく外れていないか
運動発達 おすわり:支えなしで安定して座れるか
はいはい:四つん這いやずりばいをするか
つかまり立ち:机や椅子につかまって立てるか
パラシュート反射:体を前に倒した時に手が出るか
指の動き:小さなものをつまもうとするか
・おすわりは安定しているか、両手で遊べるか
・どのような方法で移動するか(はいはいをしない子もいる)
・何につかまって立とうとするか
・おやつなどを指でつまんで食べるか
精神・社会性発達 人見知り・後追い:保護者への愛着形成の確認
模倣:「バイバイ」「パチパチ」などを真似するか
喃語:「マンマ」「ダダ」などの反復喃語があるか
名前への反応:名前を呼ぶと振り向くか
・知らない人や場所で不安そうな様子を見せるか
・保護者の後を追ってくるか
・大人の真似をするか
・どんな声(喃語)を出しているか
・呼びかけに反応するか
視聴覚 視覚:動くものをおもちゃで追うか(追視)、斜視がないか
聴覚:小さな音に反応するか、後ろから声をかけて振り向くか
・おもちゃを目で追うか
・物音に気づくか、声かけに反応するか
・歯の萌出(ほうしゅつ)状況(本数、生え方)
・虫歯の有無、口腔内の清潔状態
・歯は何本生えているか
・歯みがきはできているか
栄養 ・離乳食の回数、量、固さ、内容
・手づかみ食べの様子
・授乳(母乳・ミルク)の状況
・1日3回食に進んでいるか
・食べムラや好き嫌いはないか
・自分で食べたがる様子はあるか
出典:「乳幼児健康診査身体診察マニュアル」および関連資料を基にJHO編集委員会作成6

健診を有効に活用するために

健診は、赤ちゃんの成長を確認する場であると同時に、保護者のための相談の場でもあります。人見知りが激しくて診察中に泣いてしまい、普段できていることができない場合もありますが、心配はいりません21。その場合は、「家ではできます」と口頭で伝えれば大丈夫です。日頃の育児で感じている些細な疑問や不安――「こんなとき、どうしたらいい?」「これは普通のこと?」――などを専門家に相談できる絶好の機会です。母子健康手帳のメモ欄などを活用し、質問をリストアップして、この貴重な機会を最大限に活用しましょう42

結論:自信を持って、赤ちゃんの成長を見守るために

生後9ヶ月という、めまぐるしくも愛おしい時期について、最新の公式データと専門的な知見を基に解説してきました。この記事を通して、赤ちゃんの驚くべき成長の各段階が、それぞれ深く関連し合っていることをご理解いただけたのではないでしょうか。おすわりが安定することで両手が自由になり、知的好奇心を満たす探求が始まります。物の永続性を理解したからこそ、ママやパパの姿が見えなくなると不安になる「後追い」が芽生えます。これらはすべて、赤ちゃんの脳と身体、そして心が順調に発達している輝かしい証です。
本稿で提示した令和5年の最新データや発達の目安は、あくまで多くの赤ちゃんの平均的な姿を示す「地図」のようなものです。すべての赤ちゃんがこの地図通りに進むわけではありません。発達の道のりやペースは一人ひとり異なり、それこそがその子の個性です1。大切なのは、平均値と比べることではなく、わが子がその子自身の成長曲線に沿って、一歩一歩着実に進んでいることを見守ることです。
育児には多くの不安や疑問がつきものです。しかし、正しい知識は、保護者の皆様を不要な心配から解放し、自信を与えてくれます。皆様こそが、わが子のことを誰よりも理解している最高の専門家です。このガイドが、皆様の専門知識を支え、日々の育児における確かな羅針盤となることを心から願っています。好奇心に満ちた目で世界を探求し、全身で喜びを表現するこのかけがえのない瞬間を、どうぞ自信と愛情を持って、存分に楽しんでください16

よくある質問

Q1: 生後9ヶ月ですが、まだはいはいをしません。大丈夫でしょうか?
A1: 心配ありません。赤ちゃんの発達には個人差が大きく、はいはいをせずに座ったまま移動する「シャフリング」や、すぐにつかまり立ちや伝い歩きを始める子もいます18。重要なのは、移動したいという意欲が見られるか、おすわりが安定しているか、足の力はしっかりしているかなど、全体的な発達です。9~10か月児健診などで専門家に相談すれば、総合的に評価してもらえます。
Q2: 離乳食の3回食に進めましたが、あまり食べてくれません。どうしたら良いですか?
A2: 3回食に移行したばかりの時期は、食べムラが出やすいものです。焦る必要はありません。まずは食事の時間を楽しい雰囲気作りから始めましょう。また、「手づかみ食べ」を取り入れると、自分で食べる意欲が湧くことがあります25。パンや蒸し野菜など、赤ちゃんが自分で持ちやすいメニューを試してみてください。それでも心配な場合は、母乳やミルクの量とのバランスやかたさの調整について、健診などで栄養士に相談してみると良いでしょう。
Q3: 後追いが激しく、トイレにも行けません。いつまで続きますか?
A3: 後追いは、ママやパパとの強い愛着が形成された証拠であり、順調な発達のしるしです。通常、1歳半頃にピークを迎え、言葉でのコミュニケーションが取れるようになったり、親が必ず戻ってくるという経験を重ねたりするうちに、徐々に落ち着いていきます22。離れる際は「すぐ戻るね」と声をかけ、戻ったときにはたくさん褒めて安心させてあげることを繰り返すのが効果的です。
免責事項
本記事は、情報提供のみを目的としており、専門的な医学的助言に代わるものではありません。健康に関する懸念や、ご自身の健康や治療に関する決定を下す前には、必ず資格のある医療専門家にご相談ください。

参考文献

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