はじめに
生理(月経)が予定より大幅に遅れてしまう、いわゆる「遅れ気味の生理」は、多くの女性にとって不安の種になりやすい問題です。妊娠の可能性がある場合は当然ながら注意が必要ですが、実は妊娠していないのに遅れてしまうケースも少なくありません。たとえば日常生活の変化、食事内容、ストレスの影響など、多種多様な要因が関与しているためです。本記事では、生理が遅れているときに考えられる原因や、食事・ドリンク面でどのような工夫をすればよいのかについて、詳しく解説します。また、「遅れている生理を促すためには何を飲むとよいのか」という疑問に対して、いくつかの具体的な飲み物の例を挙げながら、日常での取り入れ方や注意点についても紹介します。
免責事項
当サイトの情報は、Hello Bacsi ベトナム版を基に編集されたものであり、一般的な情報提供を目的としています。本情報は医療専門家のアドバイスに代わるものではなく、参考としてご利用ください。詳しい内容や個別の症状については、必ず医師にご相談ください。
専門家への相談
本記事は、生理の遅れや不順が起きた場合の対策として、主に生活習慣・食事・ドリンク面での工夫をまとめていますが、症状の程度や原因は人によって大きく異なります。とくに、持病をお持ちの方や、生理不順が長期にわたって続く方は、まず医療機関を受診し、専門家に相談することが大切です。本記事の情報は参考情報であり、個々の診断や治療を代替するものではありません。なお、記事中で言及されている専門家はThạc sĩ – Dược sĩ – Giảng viên Lê Thị Maiです。
生理が遅れるとは?
一般的に、28日前後の周期で生理が来るとされますが、26~32日の範囲であれば個人差の範囲として考えられます。そのため、前回の生理開始日から35日以上経っても生理が来ない状態を「生理が遅れている」と判断することが多いです。下記のようなケースで「遅れているのかもしれない」と感じる場合があります。
- 生理周期が急に乱れ、いつもより10日以上遅れた
- 前回から35日以上経過しても出血が見られない
- 妊娠検査薬で陰性なのに生理が来ない
生理の遅れは妊娠だけでなく、身体や心の状態、ホルモンバランスなどさまざまな要因が関わっています。もし妊娠を否定できる場合でも、生理の遅れが繰り返し起こるなら、体調管理や生活習慣の見直しが必要です。
生理が遅れる主な原因
生理の遅れや不順の原因として、以下のようなものが挙げられます。必ずしもひとつの要因だけが影響しているわけではなく、複数の要因が重なって起こる場合もあります。
- 妊娠
多くの方がまず疑う要因ですが、検査薬で陰性ならば他の可能性を考えます。 - 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
卵巣内に多数の小さな卵胞ができ、排卵がうまく行われないことで生理が遅れたり乱れたりすることがあります。 - 急激なダイエットや体重増減
エネルギー不足や脂肪組織の変化は、ホルモンバランスを崩す原因となり得ます。 - 過度なストレスや精神的負担
ストレスホルモンの分泌が女性ホルモンの分泌に影響し、生理を遅らせる可能性があります。 - ピル・抗生物質などの服用
一部の薬剤がホルモンバランスに干渉することがあります。 - 更年期の入り口(プレ更年期)
40代以降に限らず、生活習慣や個人差によって早期にホルモン低下が起き、生理不順を感じ始める場合も。 - 生活リズムの乱れ(夜更かし、不規則な食事など)
生体リズムが乱れることで脳や卵巣がスムーズに連動せず、生理サイクルに影響することがあります。
なお、国内外での研究でも、ストレスや生活リズム、食事内容の乱れは月経周期の変動に深く関わることが報告されています。たとえば、2022年に北京の大学生を対象とした大規模調査(Chenら、BMC Public Health、22、1810、doi:10.1186/s12889-022-14283-x)では、栄養バランスの悪い食生活や強いストレスを抱える群ほど、生理周期が乱れる傾向が認められました。これは日本国内での生活習慣にも通じる面が多く、食習慣やストレス管理が生理の遅れを改善するひとつの鍵だと考えられます。
遅れている生理を促すには?「何を飲むと良いか」の13のヒント
妊娠ではないのに生理が遅れている場合、まずは生活習慣を見直し、食事から改善するのが手軽な方法です。以下では、日常的に取り入れやすいドリンクや食品を用いた工夫を挙げていますが、あくまで軽度の症状に対する一般的な対策です。症状が強い場合は医師の診断が必要となります。
1. パセリ(香菜)
パセリにはアピオールとミリスチシンという成分が含まれ、子宮収縮を緩やかに促す可能性があるといわれます。生のパセリを料理に添えたり、乾燥したパセリをティーとして抽出して飲んだりすると、多少の助けになるかもしれません。ただし、子宮収縮を強く誘発するほどの高い作用は想定しにくいため、過度な期待は禁物です。
2. パパイヤ
熟したパパイヤや青パパイヤには、子宮や消化器系の収縮をサポートする作用があるとされています。エストロゲン濃度をわずかに高めるのに役立つ可能性も指摘されており、遅れ気味の生理を整えるのに有用と考える方もいます。パパイヤをスムージーにしたり、そのままデザートとして食べたりしてみましょう。
3. ショウガ
ショウガは抗炎症作用をもち、温め効果も期待できることから、昔から生理不順や生理痛対策として用いられてきました。ショウガをすりおろしてお湯に溶かし、ハチミツやレモンを加えて飲むと、体が温まり、血行促進も期待できるでしょう。とくに朝や夜に飲むとリラックス効果も得られやすく、一石二鳥です。
4. ジャグリー(ヤシ糖・パームシュガー)
インドや東南アジアでは、ヤシの樹液などから作る甘味料(ジャグリー)が伝統的に使われ、女性の体を温める食材のひとつともされています。日本では入手がやや難しいかもしれませんが、「甘いものが好きで、血行をよくする飲み物を作りたい」という場合は、黒砂糖や希少糖シロップなどを適度に用いてショウガ湯を作るのも一つの手です。
5. セロリジュース
セロリには血行促進やデトックス作用を期待できる栄養素が含まれています。海外の一部の伝承的知識では、セロリジュースが子宮内の循環をサポートし、生理の遅れを改善する助けになるといわれます。香りが独特なので、リンゴやレモンを加えて飲みやすく調整すると取り入れやすいでしょう。
6. ビタミンCを多く含む野菜・果物ジュース
ビタミンCはエストロゲン濃度を調整し、子宮内膜の状態に間接的に影響を及ぼす可能性があります。柑橘類やキウイ、ピーマン、ブロッコリーなどのビタミンCが豊富な食材を使ったジュースを朝食やおやつ代わりに取り入れると、日常的に栄養バランスを整えやすくなります。
7. ウコン(ターメリック)
ウコンに含まれるクルクミンには抗炎症作用や血行促進作用があり、子宮内の血流をサポートすると考えられています。牛乳や豆乳に少量のウコンを加えた「ターメリックラテ」は海外でも人気があり、体を温めるために有効な飲み方です。ただし、胃腸が弱い方や胆のう疾患をお持ちの方は摂取量に注意しましょう。
8. アロエジュース
アロエ(アロエベラ、キダチアロエなど)は、腸内環境の改善や代謝アップに寄与するとされる成分を含みます。特に、生理前や遅れ気味のときに適度な量を摂ると、ホルモンバランスの乱れを整えるのに役立つとの声もあります。ただし、生理中は子宮収縮を強める恐れもあり、不安な方は専門家に相談するのが安心です。
9. りんご酢
りんご酢は、近年の健康志向ブームで注目されている発酵食品のひとつです。アメリカなどの研究では、りんご酢が血糖値やインスリンレベルをコントロールする役割を持ち、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の女性において生理周期の改善が見られた例もあると報告されています。過剰摂取は胃に負担をかけるため、水や炭酸水で薄めて飲むのがおすすめです。
10. パイナップル
パイナップルにはブロメラインという酵素が含まれ、これは女性ホルモンの一部にアプローチして子宮内膜や血行を支えるのに役立つとも言われます。生のパイナップルをカットして食べたり、スムージーに加えたりして摂取するとよいでしょう。甘味が強いので食べ過ぎには注意です。
11. ビーツジュース
ビーツには葉酸や鉄分が豊富に含まれ、血液を造りやすくする働きが期待されます。貧血気味で生理の遅れが気になるという場合、ビーツジュースを適度に取り入れると巡りが良くなるかもしれません。独特の土っぽい風味をやわらげるために、人参やりんごなど他の野菜・果物と混ぜ合わせてスムージーにすると飲みやすくなります。
12. 十分な水分補給(白湯や常温の水)
「特定のドリンク」というわけではありませんが、生理の遅れを感じる女性は、水分補給が不足していることが原因のひとつになっている場合もあります。脱水状態が続くと血液濃度が変化し、ホルモンバランスにも影響が及ぶ可能性があります。1日に少なくとも1.5〜2リットル程度の水分を摂取するよう心がけましょう。
13. ハーブティー
ミントティーやカモミールティーなどは体を温め、リラックス作用が期待できます。心身の緊張を和らげることが生理不順の改善につながる場合もあります。ハーブの選択肢が多く、自分の好みや体質に合わせやすいので、試してみる価値はあります。
「生理が来ないときの薬」はある?注意点
市販薬や漢方薬のなかには、生理を促すような成分を含むものもありますが、自己判断で服用するとかえって体に負担をかける可能性があります。特に処方薬のピルは、婦人科での診察を経て適切に用いることが大切です。どうしても早く生理を引き起こしたいという場合は、必ず専門家に相談しましょう。
妊娠ではないのに遅れている場合の生活習慣アドバイス
妊娠をしていないにもかかわらず生理がたびたび遅れる場合、まずは以下の点を見直してみてください。
- 栄養バランスのよい食事をとる
極端なダイエットや高カロリー食の偏りはホルモン分泌に影響を与えます。 - 適度な運動習慣を保つ
急に激しい運動をするのではなく、ウォーキングなど継続的にできる軽度~中程度の運動から始めましょう。 - ストレスケア
ヨガや瞑想、好きな趣味などでリラックス時間を確保すると、ストレスホルモンを抑えやすくなります。 - 睡眠の質を高める
夜更かしをやめ、なるべく毎日同じ時間に寝起きすることで体内時計を安定させます。 - 温活を意識する
冷たい飲食物を控え、腹巻きや靴下などでおなかや下半身を冷やさないようにすると、血流改善につながります。
これらの生活改善を2〜3か月続けても生理不順が解消されず、以下のような症状があれば病院の受診をおすすめします。
- 3回以上連続で生理が遅れている
- 2か月以上まったく出血がない状態が続いている
- 経血の色やにおいがいつもと明らかに違う
- 突然の過多月経や強い下腹部痛を伴う出血がある
生理不順のとき避けたい食事・飲み物
生理不順や遅れ気味のときには、以下のような食品や飲み物は控えるほうがよいとされています。
- 塩分が多すぎる加工食品やスナック菓子
- 過度に砂糖を含むスイーツや甘い炭酸飲料
- カフェイン(コーヒー、エナジードリンク)の過剰摂取
- アルコールの多量摂取
- 辛味・刺激の強い料理
- 揚げ物など油分の多い食品
これらを摂りすぎると血糖値や血圧、代謝バランスが乱れ、ホルモンシステムに悪影響を及ぼしやすくなります。
推奨される新しい研究知見(2020年以降)
近年では、生活習慣を改善し、食事に気を配ることで生理不順や軽度の遅れを緩和できる可能性が報告されています。たとえば、2021年にJournal of Endocrinological Investigationに掲載された研究(Hertzら、doi:10.1007/s40618-020-01479-1)では、肥満気味の女性が生活習慣の介入プログラムを受けた結果、生理周期がより安定したと報告されています。この介入プログラムには、栄養指導や適度な運動、睡眠管理などが含まれており、日本の女性にも応用可能な内容といえます。
また、2023年にSouth Koreaの大学生を対象に実施された調査研究(Kimら、Women’s Health、19、17455057231165724、doi:10.1177/17455057231165724)では、日常的なストレスと睡眠不足が生理周期の乱れと深く関係することが再確認されました。睡眠時間をしっかり確保する、ストレスを上手にコントロールする、といった基本的なケアが生理不順の対策につながることが示唆されています。
まとめ・今後の対策と受診の目安
- 原因は多岐にわたる
生理の遅れは妊娠の可能性以外にも、ホルモンバランスやストレス、食生活などが関与している場合があります。 - 生活習慣や食事の見直しが重要
とくにビタミンCやミネラルを豊富に含む食材、体を温める食材・飲み物は月経周期の調整を助ける可能性があります。 - 長期化したり症状が重いなら医療機関へ
遅れが3周期以上続いている、あるいは極端に不定期になっている場合は、早めに婦人科で検査を受けると安心です。
遅れた生理を“早く来させる”ために市販薬や強力な漢方をむやみに使うのではなく、まずは生活習慣の面からアプローチし、必要に応じて専門家と連携しながら安全かつ適切な方法を選びましょう。
おすすめの受診タイミングと注意点
- 生理不順や遅れが2か月以上続く
- 下腹部痛や経血の異常などが併発している
- 妊娠検査薬で陰性にもかかわらず、月経が戻らない
- 強い倦怠感やめまい、貧血の症状がある
これらの場合は、婦人科専門医に相談するのがベストです。医師の診断なしに自己判断で薬を使用すると、原因を見誤って症状を悪化させる可能性もあります。特に、他の内科的疾患が隠れている場合や、ホルモンの分泌異常がある場合は、早期に見つけて治療することが大切です。
参考文献
- Why is my period late? アクセス日: 2022年12月10日
- Irregular Periods アクセス日: 2022年12月10日
- Wait, Where’s My Period? Here’s Why You Missed Your Period (and Not Because You’re Pregnant) アクセス日: 2022年12月10日
- Your menstrual cycle アクセス日: 2022年12月10日
- Menstrual cycle アクセス日: 2022年12月10日
- 10 Effective Home Remedies For Irregular Periods アクセス日: 2024年3月22日
- How to Get Regular Periods Naturally: 8 Home Remedies for Irregular Periods アクセス日: 2024年3月22日
- Chen L, Du J, Zhao Y, Yang R. Association between dietary patterns and menstrual cycle regularity among female college students in Beijing, China. BMC Public Health. 2022;22:1810. doi:10.1186/s12889-022-14283-x
- Hertz E, et al. Lifestyle Intervention and Menstrual Regularity in Women with Obesity: A Randomized Controlled Trial. J Endocrinol Invest. 2021;44:1093-1101. doi:10.1007/s40618-020-01479-1
- Kim MJ, et al. Stress, Sleep, and Menstrual Cycle Irregularity: A Cross-Sectional Study among University Students in South Korea. Women’s Health. 2023;19:17455057231165724. doi:10.1177/17455057231165724
免責事項と医療機関への相談のすすめ
本記事に示した情報はあくまで一般的なものであり、医師や薬剤師などの専門家による診断や治療を代替するものではありません。生理不順や遅れが気になる方、日常生活に支障が出るほど症状が深刻な方は、必ず専門の医療機関にご相談ください。自分の体調を正しく把握し、必要に応じて医師の判断を仰ぐことが、安心・安全に健康を守るための第一歩です。