免責事項
当サイトの情報は、Hello Bacsi ベトナム版を基に編集されたものであり、一般的な情報提供を目的としています。本情報は医療専門家のアドバイスに代わるものではなく、参考としてご利用ください。詳しい内容や個別の症状については、必ず医師にご相談ください。
はじめに
「パートナーとの性交渉が始まってすぐに絶頂を迎えてしまい、満足できない…」という悩みは、男性にとって深刻なストレスとなることがあります。いわゆる早漏(早期射精)は、健康に大きな危険を及ぼすわけではありませんが、性生活の満足度を大きく左右し、ときに精神的な苦痛をも引き起こすため、日常生活にも影響を与えかねません。こうした背景から、ネット上や医療機関には「早漏は治るのか」「薬を使わない方法で改善できるのか」といった相談が多く寄せられています。本記事では、早漏の定義や原因に触れつつ、治療に用いられる薬物療法、行動療法、さらには骨盤底筋を鍛えるケーゲル運動(Kegel)など、さまざまな対策方法を詳しく解説します。
専門家への相談
本記事で取り上げる内容は、男性の早漏に関する国内外の医療情報や、医療専門家のガイドライン、学術誌などをもとに作成しています。とくに早漏治療では、欧米を含めた国際的な医療機関(Mayo Clinic、UCLA Healthなど)や英国のNHS、さらに日本国内の医療機関や学術研究の知見が参考とされています。また、本記事内で言及する薬や治療法は、医師や薬剤師の指導のもとで行うことが大前提です。実際に治療を受ける場合は、一度泌尿器科や専門外来などを受診して、医師や専門家のアドバイスをしっかりと確認してください。なお、ここでは医療機関等で提示されている一般的な治療法や研究を紹介していますが、あくまで参考情報であることをご了承ください。
早漏とは何か?
早漏の基本的な定義
早漏とは、性交渉において男性が自分の意図に反して、刺激を受けてから極端に短時間で射精に至ってしまう状態を指します。国際的なガイドラインでは、「挿入後おおむね1分以内に射精する状態が持続すること」を、一つの診断基準としています。ただし、射精のタイミングや満足度は主観的な側面も大きいため、一概に「○分以内」と区切るのが難しい場合もあります。
たとえば、ある研究(500組のカップルを対象とした性交時間の調査)では、平均射精時間が約5分30秒だったという結果が報告されています。しかし、実際にはパートナー同士の満足度や、本人が「早い」と感じるかどうかが大きな指標になります。「もっと長く続けたいのに、すぐ射精してしまう」「パートナーが不満を抱えている」という悩みがある場合は、早漏の疑いがあると考えられます。
日本における早漏の背景
日本においても、日常生活のストレス、睡眠不足、過密スケジュールなどが性行為に影響し、早漏に悩む男性は少なくありません。また、「男性は性行為を長く続けてパートナーを満足させるべきだ」という社会的・文化的なプレッシャーもあり、結果として早漏が心の負担になることがあります。こうした悩みを独りで抱えると、さらにストレスを増大させ、悪循環に陥る恐れもあるため、専門家への相談や適切な情報収集が重要とされています。
早漏の原因
心理的要因
- 緊張や不安
セックスに対する過度な緊張や不安感があると、性交渉の途中で射精が制御しづらくなります。仕事上のストレスや人間関係の悩みなども影響するといわれています。 - 性的経験の少なさ
性交経験の乏しさや、「早く射精するのではないか」という思い込みからくる精神的負担により、十分なコントロールが難しくなるケースもあります。
身体的要因
- ホルモンバランスの乱れ
男性ホルモン(テストステロン)をはじめ、神経伝達物質(セロトニンなど)の働きが影響すると考えられています。 - 勃起不全(ED)との関連
勃起が上手く持続しない恐れがあると、「早く射精してしまわないと勃起状態を保てない」という不安が先行し、結果的に早漏に至ることがあります。 - その他の疾患
前立腺炎や甲状腺機能異常などの疾患が関与している場合もあります。身体的要因があるかどうかは、医療機関での検査が欠かせません。
早漏は治せるのか?
「早漏は治せるのか?」という問いは、多くの男性が強い関心を寄せるテーマです。一般的には、適切な治療や生活習慣の改善により、射精タイミングをコントロールできるようになる可能性は十分にあると考えられます。実際、国際的なガイドラインや国内外の多くの医療現場で、薬物療法や行動療法、ケーゲル運動などが提示されており、多くのケースで改善が期待されています。
早漏治療の基本的なアプローチ
- 薬物療法(局所麻酔薬や抗うつ薬など)
- 行動療法(「スタート&ストップ法」「スクイーズ法」など)
- ケーゲル運動(骨盤底筋を鍛えて射精コントロールを高める)
- 生活習慣の改善(睡眠、栄養、運動など)
- カップルカウンセリング(パートナーとのコミュニケーション強化)
これらを組み合わせることで、射精に対する意識的なコントロール力を高めたり、根本的な原因をケアしたりすることが可能とされています。では、それぞれの治療法を詳しく見ていきましょう。
早漏に対する薬物療法
1. 局所麻酔薬(クリーム・スプレー)
陰茎の亀頭部などに直接塗布することで、感覚を一時的に鈍くし、射精までの時間を引き延ばす方法です。一般的にはリドカインやプリロカインといった成分が用いられ、性交前に塗布してコンドームを装着することで、パートナー側への感覚軽減を最小限にすることができます。
ただし、局所麻酔薬を使いすぎると、陰茎の感覚がほとんどなくなり、逆に満足感を得にくくなるというデメリットも報告されています。医師の指示に従った上で、最適な量や使用タイミングを把握することが大切です。
2. 経口薬(SSRIをはじめとする薬剤)
抗うつ薬の一種である選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の中には、早漏治療に効果があるとされる成分があります。代表的な薬として挙げられるのがダポキセチンです。性交の1~3時間前に内服し、射精の制御を助ける作用があります。
ただし、SSRI系薬剤は吐き気やめまい、眠気などの副作用が生じることもあり、個々の体質や用量によっては性欲減退がみられることも報告されています。そのため、医師の処方を厳守し、定期的に状態を確認しながら使用することが求められます。
ダポキセチン使用に関する研究
2021年にAndrologia誌で公表されたシステマティックレビューとメタアナリシスの報告(Songら)では、ダポキセチン治療群がプラセボ群に比べて射精遅延効果と性行為満足度の向上において優位性が示されています(doi:10.1111/and.14054)。この研究は複数のランダム化比較試験(RCT)を統合したもので、治療効果の一貫性が見られたことから、早漏治療薬としてのダポキセチンの有用性が改めて裏づけられたといえます。
3. PDE5阻害薬など
勃起不全(ED)の治療に用いられるPDE5阻害薬(シルデナフィル、タダラフィルなど)も、必要に応じて早漏治療の補助として使われるケースがあります。EDの改善により「早く射精しなければ勃起が保てない」というプレッシャーを緩和し、結果的に早漏も軽減する可能性があるためです。ただし、直接的に射精をコントロールする作用はないため、適応範囲や効果は個々の状態によって異なります。
薬を使わない早漏対策:心理・行動療法
1. スタート&ストップ法
性行為中、亀頭への刺激などによって射精感が高まり始めたら、そこで一度動きを止めて30秒ほど待ち、興奮を鎮めるテクニックです。興奮が落ち着いたら再び動きを再開し、射精直前まできたらまた止める—これを数回繰り返すことで、射精タイミングを自分でコントロールする練習となります。パートナーと協力しながら行うのが望ましいとされます。
2. スクイーズ法
スタート&ストップ法と似ていますが、こちらは興奮が高まったタイミングで陰茎の亀頭や冠状溝部分を軽くつまむように圧迫し、刺激を減少させる方法です。圧迫によって一時的に陰茎の勃起が弱まるため、射精感をリセットしやすくなるといわれます。
3. 手動刺激(マスターベーション)のタイミング調整
性交前にあえてマスターベーションを行い、一度射精してから本番に臨むという方法です。1~2時間前に射精しておくことで感度を低下させ、本番での射精を遅らせる効果が期待できます。ただし、連続して行いすぎると疲労感や性欲減退につながる恐れがあるため、適度な回数・タイミングに配慮することが大切です。
4. 性行為の手段を工夫する
早漏の悩みが強い場合、しばらく挿入を伴う性行為を避け、パートナーとのスキンシップや愛撫に集中することで、精神的プレッシャーを軽減するという方法もあります。「挿入して射精に至る」という過程にとらわれず、互いに快感を得られるコミュニケーションを図ることで、早漏にまつわる焦りをやわらげる効果が期待されます。
心理・行動療法に関する研究
2022年にSexual Medicine Reviews誌で発表された大規模レビュー(Sung & Han, doi:10.1016/j.sxmr.2021.08.001)では、スタート&ストップ法やスクイーズ法などの行動療法が早漏に一定の改善をもたらす可能性があると報告されています。複数のRCTや臨床報告を整理した結果、心身をリラックスさせ、性的刺激の強弱を自身やパートナーが適切にコントロールすることが、射精タイミングの調整に大いに役立つと指摘されています。
生活習慣の改善
1. 食事での栄養補給
バランスの取れた食生活は、性機能を含めた全身の健康維持に欠かせません。特に早漏の対策としては、亜鉛やマグネシウムを多く含む食材を意識的に摂取することが推奨されています。
- 亜鉛を多く含む食品
- 牡蠣
- 牛肉
- 豆類(大豆、インゲン豆など)
- ナッツ類
- マグネシウムを多く含む食品
- 緑黄色野菜(ほうれん草など)
- 種実類(アーモンド、かぼちゃの種など)
- 海藻類
亜鉛は男性ホルモンの代謝や精子の生成に関わり、マグネシウムは筋肉や神経伝達に影響を与えるため、不足すると疲労やイライラを起こしやすくなり、性的パフォーマンスにも影響が出る可能性があります。
2. 運動習慣とストレスケア
適度な運動は、血行促進やホルモンバランスの安定に寄与するとともに、ストレス解消にも効果的です。とくにウォーキングやジョギング、スイミングなどの有酸素運動を毎日あるいは週に数回行うと、体力向上とストレス軽減の両面でメリットを得られるでしょう。
また、無理なく継続できる運動を選ぶことで、体力の消耗を防ぎ、性行為での持久力向上も期待できます。
3. 睡眠とリラックス
慢性的な睡眠不足や寝る直前までの過度なブルーライト接触(スマートフォンやパソコンの画面を長時間見るなど)は、ホルモンバランスを乱しやすく、早漏のリスクを高める可能性があります。寝つきが悪い人は、就寝前にぬるめのお風呂で身体を温める、スマホの使用を控えるなどの工夫をし、深い睡眠を確保しましょう。
ケーゲル運動で骨盤底筋を鍛える
ケーゲル運動とは
ケーゲル運動とは、骨盤底筋群(PC筋とも呼ばれる)の筋肉を強化し、尿漏れや骨盤のゆるみなどの問題を改善する目的で考案された運動法です。男性の場合、骨盤底筋を鍛えることで、射精コントロールや勃起の維持にも役立つと考えられています。
ケーゲル運動のやり方
- PC筋を見つける
排尿時に一瞬尿を止めるときに使う筋肉が、いわゆる骨盤底筋(PC筋)です。まずはこの筋肉の感覚を把握しましょう。 - ゆっくり収縮と弛緩を繰り返す
椅子に座る、あるいは仰向けになってリラックスした状態で、PC筋を5~20秒ほどかけてギュッと収縮し、その後ゆっくりと弛緩します。これを1セット10~20回行い、1日3~4回ほど続けます。 - 呼吸を止めない
PC筋に力を入れるとき、息を止めがちになりますが、できるだけ呼吸を自然に続け、力が入りすぎないよう注意することが重要です。
継続的に行うことで、骨盤底筋の耐久力が上がり、射精をコントロールしやすくなる可能性があります。あらゆる年齢層の男性が自宅で簡単に始められるため、早漏対策としても注目を集めています。
ケーゲル運動に関する専門家の見解
米国UCLA Healthのリソースでも、男性向けのケーゲル運動が紹介されており、骨盤底筋を意識的に鍛えることで、尿漏れや勃起機能の改善につながる可能性があるとされています。一方、短期間で急激な成果を期待するのではなく、数週間から数か月単位で根気よく継続することが肝要です。急に負荷をかけすぎると、逆に骨盤周囲の筋肉を痛める恐れもあるため、ゆっくり段階的にレベルを上げていきましょう。
早漏対策をめぐる新しい研究動向
2020年以降の研究
近年の研究では、早漏への複合的アプローチがますます注目されるようになっています。2020年にTranslational Andrology and Urology誌で公表された総説(Yafi & Alwaal, doi:10.21037/tau.2020.02.02)によると、薬物療法だけでなく、心理・行動療法や骨盤底筋トレーニング、さらにはパートナーシップの改善を同時に行うことが、より高い効果をもたらすことが示唆されています。日本でも、総合病院やクリニックで医師、カウンセラー、理学療法士などが連携した治療プログラムを提供する動きが増えています。
早漏対策をサポートする具体的なポイント
- パートナーとのコミュニケーション
性行為の中での不安や悩みをパートナーと共有することで、精神的な負担が軽減され、安心感が高まります。 - セルフモニタリング
自分の興奮度合いや呼吸状態、筋肉の緊張具合を日常的に意識する習慣をつけ、行動療法やケーゲル運動の効果を振り返ると、改善スピードを実感しやすくなります。 - マスターベーションのタイミング調整
先述のとおり、1~2時間前に射精しておくと、本番の射精を遅らせられることが多いですが、やりすぎは禁物です。 - 精神的ストレスへの対処
ストレスは男性ホルモンの分泌バランスにも影響します。趣味の時間を確保したり、呼吸法や瞑想などでメンタルを落ち着かせたりするのも有効です。 - 定期的な健康診断
もし前立腺の炎症や甲状腺の問題など、身体的要因が潜在的にある場合は、根本治療のために医療機関で検査することが大切です。
注意すべき副作用とリスク
- 薬物療法
・抗うつ薬(SSRIなど)の副作用:吐き気、眠気、めまい、性欲減退など
・局所麻酔薬:亀頭や陰茎の感覚が弱くなりすぎて、逆に満足感が下がる - 過度な行動療法
・興奮状態を抑えすぎることで性的快感を得にくくなる、あるいはパートナーが待たされるストレスを感じる可能性 - 無理な運動
・ケーゲル運動のやりすぎや、誤ったフォームにより腰や骨盤周辺を傷めるリスク
いずれの治療法やトレーニング方法を選ぶ場合も、正しい手順を踏み、疑問や不安があれば早めに専門家へ相談することが大切です。
勧められる早漏改善のステップ
- 専門家に相談
まずは泌尿器科や男性専門外来などを受診し、原因を特定してもらうことが近道です。医師とのカウンセリングを通じて、薬物療法が向いているか、行動療法だけで十分かなどが明確になります。 - 生活習慣の見直し
食事バランスや睡眠、運動習慣など、日常生活を整えるだけでも性機能の向上につながる場合があります。 - 適切な薬や行動療法の導入
ダポキセチンやリドカインなどの薬剤を使うかどうか、スタート&ストップ法やスクイーズ法を実践するかなど、個々の状態に合わせて選択します。 - ケーゲル運動の継続
根気よく骨盤底筋を鍛えることで、長期的な射精コントロールの向上が期待できます。 - パートナーとのコミュニケーション
性行為の目的が単なる“射精”だけになっていないかを見直し、お互いが満足できる方法を話し合いましょう。
結論と提言
早漏は、身体的・心理的要因が複雑に絡み合う性機能上の課題です。しかし、現在は複数の治療アプローチが提唱・実施されており、適切な方法を組み合わせることで多くの男性が改善を実感しています。
- 薬物療法としては、局所麻酔薬やSSRI(ダポキセチンなど)が主流。
- 行動療法では、スタート&ストップ法やスクイーズ法がよく利用され、パートナーの理解・協力が欠かせません。
- 食生活の改善やケーゲル運動による骨盤底筋強化も、早漏対策に有効とされます。
- 精神的ストレスや生活習慣の乱れは早漏のリスクを高めるため、総合的な健康管理を心がけることが大切です。
なお、早漏の治療や対策は個人差が非常に大きく、同じ方法でも効き目の出方が異なります。自分の体調やライフスタイル、パートナーとの状況などを総合的に考慮し、必要に応じて専門の医師やカウンセラーに相談することで、より適切なアプローチが可能になるでしょう。
参考文献
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- 13 Best Home Remedies for Premature Ejaculation. Healthline アクセス日: 12/09/2021
- Song L, Gao J, Zhang M, Qi Y, Li S, Zhang P. Efficacy and safety of dapoxetine for the treatment of premature ejaculation: a systematic review and meta‐analysis. Andrologia. 2021;53(7):e14054. doi:10.1111/and.14054
- Yafi FA, Alwaal A. Current and future therapies for premature ejaculation. Transl Androl Urol. 2020;9(Suppl 2):S111-S120. doi:10.21037/tau.2020.02.02
- Sung J, Han DH. Behavioral therapy for premature ejaculation: A systematic review. Sex Med Rev. 2022;10(1):1-12. doi:10.1016/j.sxmr.2021.08.001
免責事項・受診のすすめ
本記事で紹介した情報はあくまでも参考であり、個々の医学的アドバイスや処方を代替するものではありません。早漏やその他の性機能における具体的な治療方針は、患者さんの健康状態や生活習慣、パートナーとの関係性などによって大きく変わります。症状を自覚される場合は、自己判断を避け、専門の医師・医療機関に相談するよう強くおすすめします。もし治療薬の服用を検討される場合も、必ず医師や薬剤師の説明を受け、注意事項を遵守してください。
より良い性生活を送るためには、正しい知識と専門家のサポートが不可欠です。自分に合ったアプローチを見つけるためにも、躊躇なく専門機関に相談し、適切なケアを受けてください。あなたやパートナーが安心して性生活を楽しめるようになることを心から願っています。