痔の自然治癒と症状の持続期間に関する専門的考察:科学的根拠に基づく自己管理から最新治療までの完全ガイド
消化器疾患

痔の自然治癒と症状の持続期間に関する専門的考察:科学的根拠に基づく自己管理から最新治療までの完全ガイド

「痔は自然に治るのか」「この痛みや出血はいつまで続くのか」―これは、痔の症状に悩む多くの方が抱く切実な問いです。インターネット上には様々な情報が溢れていますが、断片的な知識はかえって不安を増大させかねません。JapaneseHealth.org編集委員会は、このような「痛み」や「悩み」に寄り添い、最新かつ信頼性の高い医学情報を提供することを使命としています。本稿では、痔に関する最新の科学的知見と、日本の主要な診療ガイドラインに基づき、痔の自然な経過、症状が続く期間、そしてご自身でできる効果的な対策から専門的な治療法に至るまで、包括的かつ詳細に解説します。この記事を読むことで、読者の皆様がご自身の状態を正しく理解し、過度な不安から解放され、最適な次の一歩を踏み出すための確かな指針を得られることを目的としています。

本稿の科学的根拠

本稿は、明示的に引用された最高品質の医学的根拠にのみ基づいて作成されています。以下は、参照された実際の情報源と、提示された医学的指導との直接的な関連性を示したリストです。

  • 日本大腸肛門病学会(JSC): 本稿における痔の定義、分類、リスクファクター、および日本の医療現場における治療法(保存療法、ALTA療法、結紮切除術など)の推奨度に関する指針は、同学会の「肛門疾患(痔核・痔瘻・裂肛)・直腸脱診療ガイドライン 2020年版」に基づいています3
  • 米国結腸直腸外科学会(ASCRS): 肛門出血時の注意喚起、外来処置(ゴム輪結紮法など)の有効性評価、および外科的治療の標準的な位置づけに関する記述は、同学会の臨床実践ガイドラインに準拠しています81435
  • 米国国立衛生研究所(NIH)/ 国立糖尿病・消化器・腎疾病研究所(NIDDK): 痔の基本的な事実、症状、原因、およびセルフケアで改善が見られない場合の受診目安に関する情報は、これらの公的機関が提供する患者向け情報に基づいています4613
  • 臨床研究論文(PubMed等収載): 食物繊維の有効性、各種治療法の再発率、II度痔核の自然経過など、具体的なデータや統計に関する記述は、査読済みの学術論文(メタアナリシス、ランダム化比較試験など)を典拠としています151618

要点まとめ

  • 痔の本体は正常な組織「肛門クッション」が異常に腫れた状態であり、治療目標はこれを正常な状態に近づけることです。
  • 軽症の痔の「症状」は生活習慣の改善などで自然に軽快(寛解)することが多いですが、進行した痔の「解剖学的な構造」が自然に元通りになることはありません。
  • 食物繊維と水分の豊富な食事、正しい排便習慣は、あらゆる段階の痔の治療と予防において最も重要な基本です。
  • 肛門からの出血は、痔だけでなく大腸がんなど重篤な病気のサインである可能性もあるため、自己判断せず必ず一度は専門医の診察を受けるべきです。
  • 治療法は多数存在し、根治性が高い治療(手術)は身体への負担が大きく、負担が少ない治療(外来処置など)は再発の可能性があるという特徴を理解し、医師と相談して選択することが重要です。

第1部 痔の本質:種類、原因、症状に関する包括的概観

痔を正しく理解することは、適切な対処への第一歩です。ここでは、最新の医学的知見に基づき、痔の正体、分類、原因、そして見逃してはならない症状について詳しく解説します。

1.1. 痔の再定義:「腫れた静脈」という誤解を超えて

一般的に「痔」は、肛門周囲の静脈が腫れたものと単純化されがちですが、現代医学における理解はより精緻です。痔の本体は「肛門クッション(anal cushions)」と呼ばれる、すべての人に存在する正常な解剖学的構造です1。このクッションは、血管、平滑筋(Treitz筋)、そして結合組織から構成されており、肛門管を密閉して便失禁を防ぐ役割の一端を担っています1

痔核(いわゆる「いぼ痔」)という病的な状態は、この肛門クッションが、長年のいきみなどによる持続的な圧力でうっ血し、支持組織が引き伸ばされ、異常に腫大・脱出するようになった状態を指します2。したがって、痔の治療の目的は、単に「静脈の腫れを引かせる」ことではなく、この肛門クッションのうっ血を軽減し、正常な位置と機能に近づけることにあります。この基本的な理解は、なぜ治療法が生活習慣の改善から外科的切除まで多岐にわたるのかを把握する上で極めて重要です。日本大腸肛門病学会(JSC)の診療ガイドラインにおいても、痔核は「肛門クッションが次第に肥大化して出血や脱出などの症状を呈する状態」と定義されています3

1.2. 分類と病期:内外痔核の区別とゴリガー(Goligher)分類の理解

痔核は、発生する場所によって大きく二つに分類されます。この区別は、症状の違いや治療法の選択に直結するため、非常に重要です。

  • 内痔核 (Internal Hemorrhoids): 肛門の内側、歯状線よりも奥の直腸粘膜下に発生します。この領域は痛覚神経が鈍いため、出血や脱出が主な症状となり、痛みを感じることは少ないのが特徴です2
  • 外痔核 (External Hemorrhoids): 歯状線よりも外側の肛門上皮(皮膚)の下に発生します。この領域は痛覚神経が鋭敏なため、痛みや腫れ、かゆみといった症状が出やすいです2

特に内痔核の重症度を客観的に評価するために、世界的にゴリガー(Goligher)分類が用いられています。これは脱出の程度に基づいた4段階の分類で、治療方針を決定する際の標準的な指標となります2

  1. I度: 排便時に出血するが、脱出はしない。
  2. II度: 排便時に脱出するが、自然に肛門内に戻る。
  3. III度: 排便時に脱出し、指などで押し込まないと戻らない(用手還納)。
  4. IV度: 常に肛門の外に脱出したままで、押し込んでも戻らない(還納不能)。

これらに加え、急性の病態として血栓性外痔核(外痔核の内部に血豆(血栓)ができて急激に腫れ、激しい痛みを伴う状態)や、嵌頓痔核(脱出した内痔核が肛門括約筋で締め付けられ、血流が途絶えて激しく腫れ上がった状態)があり、これらは緊急性の高い状態と見なされます3

1.3. 根本原因:危険因子(リスクファクター)の分析

痔核の発症は、単一の原因ではなく、複数の要因が絡み合って起こります。これらの危険因子は、肛門クッションへの物理的な負担を増大させることで共通しています。

主要な危険因子:

  • 慢性的な便秘や下痢: 便秘による強いいきみや、硬い便の通過は肛門クッションに直接的な圧力をかけます。一方、頻回な下痢も肛門への刺激となります3
  • 長時間のトイレ滞在: 便座に座り続ける姿勢は、肛門部が心臓より低い位置になるため、うっ血を助長します1
  • 食物繊維の少ない食事: 食物繊維不足は便秘の主因となり、間接的に痔核の危険性を高めます3
  • 特定の職業: 重量物を扱う仕事や、長時間のデスクワークなど、腹圧がかかりやすい、あるいは座りっぱなしの職業は、痔核の発症と関連があることが報告されています3
  • 妊娠・出産: 妊娠中はホルモンの影響で便秘になりやすく、また増大した子宮が骨盤内の血流を圧迫します。分娩時の強いいきみも大きな誘因となります3
  • 加齢: 年齢とともに肛門クッションを支える組織が弱くなることも一因と考えられています6

これらの危険因子は、日本大腸肛門病学会の診療ガイドラインでも明確に指摘されています3

1.4. 症状の多様性とその重要性

痔核の症状は、その種類や病期によって多様です。

  • 出血: 内痔核の最も典型的な症状で、痛みなく鮮血が排便時に見られます。トイレットペーパーに付着する程度から、便器が真っ赤になるほどまで様々です1
  • 痛み: 痛みのない内痔核とは対照的に、血栓性外痔核や嵌頓痔核、あるいは裂肛(切れ痔)を合併した場合に強く現れます1
  • 脱出: 肛門から何かが飛び出す感覚や、実際に塊が触れる症状で、II度以上の内痔核の典型的な症状です1
  • かゆみ・粘液漏出: 脱出した内痔核から分泌される粘液が皮膚を刺激したり、脱出によって肛門を清潔に保つことが難しくなったりすることで生じます1

ここで、専門家として最も強調すべき重要な警告があります。それは自己判断の危険性です。痔は肛門出血の最も一般的な原因ですが、肛門出血は大腸がんや炎症性腸疾患といった、生命に関わる重大な病気の初期症状である可能性も否定できません8。米国結腸直腸外科学会(ASCRS)のガイドラインでは、肛門出血を安易に痔のせいだと判断することが、「がんの診断機会を逃す最も一般的な原因」であると強く警鐘を鳴らしています8。したがって、いかなる肛門出血であっても、一度は専門医による正確な診断を受けることが、安全な管理の第一歩となります。

第2部 中核的な問い:痔の自然経過に関する専門的回答

多くの人が最も知りたいであろう「痔は自然に治るのか」という問いに、科学的根拠を基に答えていきます。

2.1. 「自然治癒」の複雑な現実:症状の消失と解剖学的治癒の乖離

「痔は自然に治りますか?」という問いに対する答えは、単純な「はい」か「いいえ」ではありません。この点を理解することが、痔と正しく向き合うための鍵となります。

多くの臨床現場や情報サイトでは、一度形成された進行性の痔核、特にその解剖学的な変化(伸びてしまった支持組織や大きくなった血管塊)が、自然に元の状態に戻ることはない、と説明されます9。この意味では、「解剖学的な自然治癒」は期待できません。

しかし、より重要な事実は、痔の症状は自然に、あるいは保存的治療によって軽快・消失することが非常に多いという点です。多くの患者にとって、痔の自然経過とは、症状が悪化する「増悪期」と、症状が落ち着く「寛解期」を繰り返すサイクルです12。出血や痛みがなくなれば、患者自身は「治った」と感じるかもしれません。実際に、初期治療の多くは、この症状のない状態(寛解期)を達成し、維持することを目標としています1。この「症状の消失」と「解剖学的な治癒」の乖離を認識することが、過度な不安を避け、適切な治療選択を行う上で不可欠です。

2.2. 種類と病期別の予後と症状の持続期間

症状がどれくらい続くかは、痔の種類と重症度によって大きく異なります。

  • 軽症・初期段階(I度・II度の内痔核、軽度の外痔核): これらの症状は、後述する保存的治療(セルフケア)によって改善することがほとんどです。米国国立衛生研究所(NIH)の情報によれば、外痔核の症状は数日以内に、また多くの脱出性内痔核(軽症例を指す)も医学的治療なしで改善することがあるとされています6。I度およびII度の痔核に対しては、保存的治療が第一選択として強く推奨されています3
  • 急性の増悪(血栓性外痔核など): 血栓性外痔核による激しい痛みは、発症後数日間が頂点(ピーク)で、その後は血栓が徐々に吸収されるにつれて5日から12日ほどで和らいでいくのが一般的です。ただし、治癒後に皮垂(スキンタッグ)と呼ばれる皮膚のたるみが残ることがあります2
  • 慢性・進行期(III度・IV度の内痔核): この段階になると、自然に症状が完全に消失することは稀です。脱出そのものが持続的な症状となり、出血や痛みは間欠的であっても、物理的な脱出は用手還納が必要であったり、常に脱出したまま(還納不能)であったりするため、根治には外科的・処置的な治療が必要となります3

ここで、症状の自然寛解に関する重要な科学的根拠を紹介します。1989年にデンマークで行われたランダム化比較試験では、II度の内痔核患者を、積極的な治療を行わない群(経過観察群)とゴム輪結紮術を行う群に分けて追跡しました。その結果、経過観察群の患者の25%(4人に1人)が、4年間の追跡期間中に症状が再発することなく、無症状のまま過ごせたことが報告されています15。この研究は、一部の患者においては、積極的な治療介入なしでも長期的な寛解が可能であることを示しており、「痔は絶対に自然には治らない」という画一的な言説に、科学的な裏付けをもって一石を投じるものです。これは、保存的治療が単なる時間稼ぎではなく、有効な治療戦略であることを支持する強力な根拠(エビデンス)です。

2.3. 保存的治療における高い再発率

症状が軽快する一方で、根本的な原因や体質が改善されなければ、再発の危険性は常に伴います。ある報告では、保存的治療のみで管理した場合の再発率は50%を超えるとされています2。これは、「自然治癒」がしばしば一時的なものであることを示唆しています。

対照的に、根治手術である結紮切除術を受けた場合の再発率は5%から10%未満と非常に低いことが知られています2。この事実は、治療法を選択する際に考慮すべき重要な得失(トレードオフ)、すなわち「身体への負担が少ない(低侵襲な)治療は再発率が高く、根治性の高い治療は侵襲度が高い」という関係性を示唆しています。このバランスを理解し、自身の生活様式(ライフスタイル)や症状の程度に合わせて治療法を医師と相談することが求められます。

第3部 最初の防衛線:セルフケアと市販薬の科学

痔の治療は、まず自分自身でできることから始まります。ここでは、科学的根拠に基づいた効果的なセルフケアと市販薬の賢い選び方を解説します。

3.1. 治療の礎:生活習慣、行動、食事の改善

保存的治療は、単なる対症療法ではなく、日本および米国の主要な診療ガイドラインが一致して第一選択として強く推奨する、根拠に基づいた治療法です314。その中心となるのが、生活習慣の改善です。

  • 食物繊維と水分: 複数の臨床試験を統合したメタアナリシスでは、食物繊維の摂取が出血の危険性を約50%減少させることが示されています18。目標は、いきむことなくスムーズに通過する、柔らかく量のある便を作ることです。水溶性食物繊維(海藻類、果物など)と不溶性食物繊維(穀物、野菜など)をバランス良く摂取することが推奨されます19。また、食物繊維が効果を発揮するためには、1日に2リットルから2.5リットル程度の十分な水分摂取が不可欠です2
  • 行動変容(排便習慣): 強くいきむことを避け、便座に座る時間を3分から5分以内に制限するよう指導することが、ガイドラインで推奨される重要な項目です1
  • 食事の誘因: アルコールの過剰摂取や香辛料の多い食事は、一部の人で症状を悪化させることがあるため、適度に控えることが望ましいとされています7

日本人に特化した食事指導として、日本の専門家からは、伝統的な和食、特に白米(適度な食物繊維と水分を含む)や納豆などの発酵食品を3食きちんと摂ることが、便通改善に有効であるとの意見も出ています20

3.2. 日本の市販薬(OTC医薬品)に関する戦略的ガイド

市販薬は、痔の根本的な治癒ではなく、つらい症状を緩和するための有効な手段です3。薬局で適切な製品を選ぶためには、成分の役割を理解することが重要です。日本の市販薬に含まれる主な有効成分は、以下のように分類できます24

以下の表は、ご自身の症状に合った市販薬を選ぶためのガイドです。ブランド名だけでなく、どの成分が自分の悩みに対応しているかを確認することで、より効果的で安全な自己管理(セルフケア)が可能になります。

表1:日本の市販痔疾用薬の有効成分ガイド
成分クラス 主な有効成分の例 主な作用 使用が推奨される症状 注意点
ステロイド プレドニゾロン酢酸エステル、ヒドロコルチゾン酢酸エステル 強い抗炎症作用で、腫れや炎症を抑える 急性で強い痛みや腫れ、かゆみ 長期間の使用は皮膚を薄くするなどの副作用の危険性があるため避ける3
局所麻酔成分 リドカイン、ジブカイン塩酸塩、アミノ安息香酸エチル 知覚神経を麻痺させ、痛みやかゆみを鎮める 強い痛み、かゆみ 症状を一時的に抑える対症療法である。
抗炎症成分(非ステロイド) グリチルレチン酸 比較的穏やかな抗炎症作用を持つ 軽度の炎症、ただれ ステロイドを避けたい場合に適する。
血管収縮成分 塩酸テトラヒドロゾリン、dl-メチルエフェドリン塩酸塩 血管を収縮させて出血を止める 排便時の出血 高血圧や心臓病のある人は使用前に相談が必要。
組織修復成分 アラントイン 傷ついた組織の治りを助ける 切れ痔など、傷がある場合 すべてのタイプの痔の治癒促進に役立つ。
殺菌消毒成分 クロルヘキシジン塩酸塩、イソプロピルメチルフェノール 細菌の感染を防ぐ 患部のただれ、感染が心配な場合 肛門周囲を清潔に保つ補助となる。

出典: 日本大腸肛門病学会 肛門疾患(痔核・痔瘻・裂肛)・直腸脱診療ガイドライン 2020 年版3, および各種市販薬情報2527を基に編集委員会作成

剤形としては、肛門内部の痔核には坐剤、肛門外部やその付近の痔核には軟膏が適しています。注入軟膏は両方に使用可能です28

3.3. 実践的なセルフケア:坐浴と衛生管理

  • 坐浴(Sitz Bath): 洗面器などにお湯を張り、お尻を温めることは、血行を促進し、痛みや腫れを和らげるのに非常に効果的です。特に血栓性外痔核などの急性期には推奨されます1。入浴も同様の効果が期待できます。
  • 衛生管理: 排便後は、トイレットペーパーで強くこすらず、シャワートイレや水で優しく洗い流すことが、刺激を避ける上で重要です1

第4部 専門医への相談:受診のタイミングと診察内容

セルフケアは重要ですが、専門家の診断と治療が必要な場合もあります。ここでは、受診すべきタイミングと、診察で何が行われるかを解説し、受診へのためらいを和らげることを目指します。

4.1. 危険信号の見極め:セルフケアでは不十分な場合

自宅でのケアは有効ですが、専門医の介入が必要な場合もあります。以下の項目に当てはまる場合は、ためらわずに肛門科や消化器外科を受診してください。

  • いかなる肛門出血: 前述の通り、他の重大な病気の可能性を否定するため、出血があれば必ず専門医の診察を受けるべきです6
  • 1週間以上続く症状: 市販薬を1週間使用しても症状が改善しない、あるいは悪化する場合は、治療法が合っていないか、他の病気が隠れている可能性があります6
  • 激しい、または持続する痛み。
  • 還納不能な脱肛(IV度)。
  • 発熱、腹痛、便通の異常(急な便秘や下痢)などを伴う場合13

4.2. ためらいの克服:心理的障壁への対処

痔の有病率と受診率の間には大きな隔たりがあります。調査によれば、日本人の成人の3人に1人が痔に悩んだ経験がある一方で2930、実際に治療を受けている人はその一部に過ぎません。その最大の理由が「恥ずかしさ」です32。特に女性ではその傾向が強く、ある調査では痔の経験がある女性の6割以上が病院を受診しておらず、その理由として「お尻を見せたくない」が最多でした33

この感情は非常に自然なものですが、痔は決して珍しい病気ではなく、専門医は日常的に診察している病気であることを理解することが重要です。多くの診療所(クリニック)では、プライバシーに配慮した個室の診察室を設けたり、女性医師が在籍していたりと、患者が安心して受診できる環境を整えています11。適切な治療機会を逃さないためにも、この心理的な障壁(ハードル)を乗り越えることが大切です。

4.3. 診断プロセス:クリニックでの診察内容

診察に対する不安を和らげるため、一般的な診察の流れを説明します。

  1. 問診(Medical History): 症状(いつから、どんな症状か)、食事や排便の習慣、既往歴などについて詳しく質問されます14
  2. 視診・触診(Physical Examination): 医師が肛門の周囲を目で見て、指で触れて診察します(直腸指診)。これにより、外痔核の有無や肛門括約筋の状態などを確認します14
  3. 肛門鏡検査(Anoscopy): 肛門鏡という短い筒状の器具を挿入し、直腸の粘膜を直接観察します。これにより、内痔核の状態(大きさ、位置、出血の有無など)を正確に診断できます。通常、痛みはほとんどなく、外来で短時間のうちに終わる検査です34

大腸がんの危険性が疑われる場合は、大腸内視鏡検査(コロノスコピー)が勧められることもあります8

第5部 臨床的治療経路:根拠に基づく現代の医療介入ガイド

セルフケアで改善しない場合、専門医は様々な治療選択肢を提示します。ここでは、現在の標準的な治療法を、その特徴とともに解説します。

5.1. 治療パラダイム:専門医による治療方針の決定方法

治療法の選択は、画一的ではなく、痔の病期(ゴリガー分類)、症状の重症度、そして患者の希望や生活様式を総合的に考慮して、個別に行われます3。基本的な原則は、効果が期待できる治療法の中で、最も身体への負担が少ない(侵襲度の低い)ものから始めることです。

5.2. 低侵襲な外来処置(I度~III度の痔核が対象)

保存的治療で効果が見られない場合の次の段階です。多くは外来(日帰り)で行うことができます。

  • ゴム輪結紮法(Rubber Band Ligation, RBL): 米国結腸直腸外科学会(ASCRS)ガイドラインで最も効果的な外来処置と評価されています14。特殊な器具を使って内痔核の根元に小さなゴム輪をかけ、血流を遮断します。血流がなくなった痔核は1週間ほどで壊死・脱落します。広く行われている有効な治療法ですが、再発の可能性はあります13
  • 硬化療法(Sclerotherapy): 痔核に硬化剤を注射し、意図的に炎症と線維化(硬化)を起こさせて痔核を縮小・固定させる治療法です。
  • ALTA療法(ジオン注): 日本で広く行われている特殊な硬化療法です。日本大腸肛門病学会のガイドラインでは、II度~IV度の脱出性内痔核に対して「提案する」(推奨度2)とされており、術後の痛みが少ないという大きな利点があります。一方で、長期的な再発率は10%~35%程度と報告されており、根治性の面では結紮切除術に劣る可能性があります3
  • 赤外線凝固法(Infrared Coagulation, IRC): 赤外線の熱で痔核の組織を凝固させ、血流を止めて縮小させます13

5.3. 進行した病態に対する外科的治療(III度・IV度、または外来処置で改善しない場合)

より根治を目指すための治療法で、入院が必要となる場合があります。

  • 結紮切除術(Excisional Hemorrhoidectomy): 痔核を外科的に切除する方法で、根治性という点では標準治療(ゴールドスタンダード)と見なされています。再発率は5%未満と極めて低く2、日本大腸肛門病学会のガイドラインでも「強く推奨する」(推奨度1)とされています3。しかし、他の術式に比べて術後の痛みが強いという欠点があります3
  • PPH(Stapled Hemorrhoidopexy): 専用の器械(自動吻合器)を用いて、肛門の奥で直腸粘膜をリング状に切除・縫合し、脱出した肛門クッションを上方に吊り上げる方法です。結紮切除術に比べて術後の痛みが少なく、回復も早いとされますが、再発率が有意に高く、また重篤な合併症の危険性も報告されています16。米国結腸直腸外科学会(ASCRS)ガイドラインでは、その限定的な有効性と危険性から、第一選択としては推奨されていません38
  • ドップラーガイド下痔動脈結紮術(HAL): ドップラーという超音波装置で痔核に流れ込む動脈を探し出し、それを糸で縛って血流を減らす方法です。切除術より痛みが少ないですが、再発率は高めです16

以下の表は、患者が医師と治療法を相談する際に、それぞれの選択肢の利点と欠点を理解するための一助となるものです。

表2:痔核に対する主な内科的・外科的治療法の比較
治療法 適応となる病期 侵襲度・実施場所 術後の痛み 回復期間の目安 再発率 ガイドライン推奨度(日/米)
ゴム輪結紮法 (RBL) I, II, 一部のIII 低侵襲・外来 軽度~中等度 1~2日 中等度(4年で約33%15 提案する / 最も効果的な外来処置
ALTA硬化療法 II, III, IV 低侵襲・外来/短期入院 軽微 1~2日 中等度(長期で10~35%3 提案する(日本)
結紮切除術 III, IV 外科手術・入院 強い 1~4週間 低い(<5%2 強く推奨する / 標準治療

出典: 各種ガイドライン314および臨床研究215を基に編集委員会作成

よくある質問

Q1: 痔の症状は自然に治りますか?放置しても大丈夫ですか?

A1: 軽度の内痔核や外痔核の「症状」(軽い出血や腫れ)は、食生活の改善や正しい排便習慣といったセルフケアで自然に治まることがよくあります。しかし、一度伸びてしまった痔核そのもの(解剖学的な変化)が元に戻るわけではありません。症状が改善しない場合や、出血が続く場合は、自己判断で放置せず専門医に相談してください。特に肛門からの出血は、大腸がんなど他の病気の可能性もあるため、必ず診察を受けることが重要です8

Q2: どのタイミングで病院に行くべきですか?

A2: 次のような場合は、肛門科や消化器外科の受診を強くお勧めします。
– 初めて肛門から出血があった場合(量に関わらず)
– 市販薬を1週間使っても症状が良くならない、または悪化する場合6
– 痛みが非常に強い、または我慢できない場合
– 肛門から脱出したものが指で押しても戻らない場合(IV度の内痔核)
– 発熱や腹痛など、お尻以外の症状を伴う場合13

Q3: 食事で気をつけることは何ですか?

A3: 最も重要なのは、便秘を防ぎ、柔らかい便を保つことです。そのためには、食物繊維と水分を十分に摂ることが基本です。具体的には、野菜、果物、海藻、きのこ、穀物などをバランス良く食事に取り入れ、1日に2リットル程度の水分を摂取することを心掛けてください182。また、アルコールや香辛料の多い食事は症状を悪化させることがあるため、摂りすぎには注意しましょう7

Q4: 手術は痛いですか?再発はしませんか?

A4: 治療法によって異なります。痔核を根治させるための標準的な手術である「結紮切除術」は、他の方法に比べて術後の痛みが強い傾向にありますが、再発率は5%未満と極めて低いです23。一方、注射による「ALTA療法」や「ゴム輪結紮法」などの身体への負担が少ない治療は、痛みが少ない代わりに再発率は手術よりも高くなります315。どの治療法が最適かは、ご自身の痔の状態や生活様式によって異なるため、専門医とよく相談して決めることが大切です。

結論

本稿で詳述した科学的根拠と専門家の知見を統合すると、以下の結論が導かれます。

  • 軽度の痔の症状は、セルフケアによってしばしば寛解しますが、根本的な解剖学的状態が元に戻るわけではありません。この増悪と寛解の循環が、多くの患者における「自然経過」です。
  • 進行した痔核の解剖学的な治癒は自然には起こらず、根治には処置的または外科的な介入が必要です。
  • 生活習慣と食事の管理は、あらゆる段階の痔の治療と予防の礎です。
  • 肛門出血を決して軽視せず、必ず一度は専門医による正確な診断を受けることが極めて重要です。
  • 効果的な治療法は多岐にわたり、その選択は、侵襲度、痛み、回復期間、そして長期的な根治性という要素の得失を考慮した上で、医師との共同意思決定によってなされるべきです。

痔はありふれた疾患であり、しばしば慢性的な経過をたどりますが、決して管理不能な病気ではありません。本報告書で示されたように、病態を正しく理解し、日々のセルフケアを実践し、そして必要な時にはためらわずに専門家の助けを求めることで、症状を効果的に制御(コントロール)し、再発を防ぎ、高い生活の質を維持することが十分に可能です。最終的な伝言(メッセージ)は、恐怖や恥ずかしさではなく、希望と積極的な自己管理です。

免責事項本稿は情報提供のみを目的としており、専門的な医学的助言に代わるものではありません。健康上の懸念がある場合、またはご自身の健康や治療に関する決定を下す前には、必ず資格のある医療専門家にご相談ください。

参考文献

  1. Gami B, Corman ML. Internal Hemorrhoid. [Updated 2024 Jan 31]. In: StatPearls [Internet]. Treasure Island (FL): StatPearls Publishing; 2025 Jan-. Available from: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK537182/
  2. Lawrence A, Siddiqi S. External Hemorrhoid. [Updated 2024 Feb 20]. In: StatPearls [Internet]. Treasure Island (FL): StatPearls Publishing; 2025 Jan-. Available from: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK500009/
  3. 日本大腸肛門病学会. 肛門疾患(痔核・痔瘻・裂肛)・直腸脱診療ガイドライン 2020 年版 [インターネット]. 東京: 南江堂; 2020. [引用日: 2025年6月23日]. Available from: https://www.coloproctology.gr.jp/uploads/files/journal/koumonshikkan_guideline2020.pdf
  4. National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases. Hemorrhoids [Internet]. Bethesda (MD): NIDDK; 2016. [Updated 2016 Oct; 引用日: 2025年6月23日]. Available from: https://www.niddk.nih.gov/health-information/digestive-diseases/hemorrhoids
  5. National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases. Definition & Facts of Hemorrhoids [Internet]. Bethesda (MD): NIDDK; 2016. [Updated 2016 Oct; 引用日: 2025年6月23日]. Available from: https://www.niddk.nih.gov/health-information/digestive-diseases/hemorrhoids/definition-facts
  6. National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases. Symptoms & Causes of Hemorrhoids [Internet]. Bethesda (MD): NIDDK; 2016. [Updated 2016 Oct; 引用日: 2025年6月23日]. Available from: https://www.niddk.nih.gov/health-information/digestive-diseases/hemorrhoids/symptoms-causes
  7. 日本大腸肛門病学会. 肛門疾患診療ガイドライン 2014年版 [インターネット]. 東京: 南江堂; 2014. [引用日: 2025年6月23日]. Available from: https://www.coloproctology.gr.jp/uploads/files/journal/komonshinryo2014_2.pdf
  8. Smiles No Piles. EXCERPTS FROM: The American Society of Colon and Rectal Surgeons Clinical Practice Guidelines for the Management of Hemorrhoids [Internet]. South Africa: Smiles No Piles; 2023. [引用日: 2025年6月23日]. Available from: https://www.smilesnopiles.co.za/wp-content/uploads/2023/01/SmilesNoPiles-CPD-Article-ASCRS-Clinical-Practice-Guidelines-for-the-Management-of-Haemorrhoids.pdf
  9. 富士薬品. 【医師監修】痔とは?いぼ痔・切れ痔の症状や原因、自分でできる … [インターネット]. 東京: 富士薬品; 2023. [2023年11月21日更新; 引用日: 2025年6月23日]. Available from: https://www.seims.co.jp/column/2023112103/
  10. 上野会クリニック. いぼ痔は自然治癒する?原因は?治し方や症状を医師が解説 [インターネット]. 東京: 上野会クリニック. [引用日: 2025年6月23日]. Available from: https://www.uenoclinic.com/hemorrhoid/
  11. 千寿会. 大きくなったいぼ痔の治し方は?原因から治療法まで徹底解説 [インターネット]. 大阪: 千寿会. [引用日: 2025年6月23日]. Available from: https://www.senju-ge.jp/media/specialist-hemorrhoid-treatment
  12. Lohsiriwat V. Review of Hemorrhoid Disease: Presentation and Management. World J Gastroenterol. 2012 May 7;18(17):2009-17. doi: 10.3748/wjg.v18.i17.2009. Available from: https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4755769/
  13. National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases. Treatment of Hemorrhoids [Internet]. Bethesda (MD): NIDDK; 2016. [Updated 2016 Oct; 引用日: 2025年6月23日]. Available from: https://www.niddk.nih.gov/health-information/digestive-diseases/hemorrhoids/treatment
  14. Smiles No Piles. ASCRS Clinical Practice Guidelines For The Management Of Haemorrhoids [Internet]. South Africa: Smiles No Piles. [引用日: 2025年6月23日]. Available from: https://www.smilesnopiles.co.za/articles/ascrs-clinical-practice-guidelines/
  15. Lunniss PJ, Sheffield JP, Talbot IC, Thomson JP, Phillips RK. The natural history of symptomatic haemorrhoids. Br J Surg. 1989 Jul;76(7):727-9. doi: 10.1002/bjs.1800760731. PMID: 2708881.
  16. Watson A, Hudson M, Wood J, Kilonzo M, Brown S, Bruhn H, et al. Systematic review and network meta-analysis comparing clinical outcomes and effectiveness of surgical treatments for haemorrhoids. Br J Surg. 2016 Dec;103(13):1750-1763. doi: 10.1002/bjs.10287. Epub 2016 Sep 29. PMID: 26420725.
  17. Dylla L. ASCRS Updates Guidelines for Hemorrhoid Management [Internet]. Malvern, PA: Consultant360; 2018. [2018 Sep 26; 引用日: 2025年6月23日]. Available from: https://www.consultant360.com/exclusives/ascrs-updates-guidelines-hemorrhoid-management
  18. Alonso-Coello P, Mills E, Guyatt GH, Heels-Ansdell D, Johanson JF, Phillips R, et al. Treatment of hemorrhoids: A coloproctologist’s view. World J Gastroenterol. 2005 Sep 14;11(34):5256-63. doi: 10.3748/wjg.v11.i34.5256. Available from: https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4541377/
  19. 鶴町クリニック. 痔と生活習慣 [インターネット]. 東京: 鶴町クリニック. [引用日: 2025年6月23日]. Available from: https://www.tsurumachi-clinic.com/yobou/ji_care/
  20. 川堀病院. おしりにe食生活 [インターネット]. 広島: 川堀病院. [引用日: 2025年6月23日]. Available from: https://kawahori-hosp.com/sp/original8.html
  21. 天藤製薬株式会社. ドクターに聞く「おしりに優しい食材や調理法」 [インターネット]. 大阪: 天藤製薬株式会社. [引用日: 2025年6月23日]. Available from: https://www.borraginol.com/borralab/prevention/knowledge/knowledge007.html
  22. 平田肛門科医院. おしりの医学#050「痔にやさしい食事とは?」 [インターネット]. 埼玉: 平田肛門科医院. [引用日: 2025年6月23日]. Available from: https://www.dr-hips.com/column/oshiri_no_igaku/050.html
  23. Cui H, Du Z, Zhang Y. Natural Products in Hemorrhoid Management: A Comprehensive Literature Review of Traditional Herbal Remedies and Evidence-Based Therapies. Molecules. 2024 May 10;29(10):2206. doi: 10.3390/molecules29102206. PMID: 40458338.
  24. 株式会社CureBell. 痔の症状におすすめの市販薬|成分・選び方まで徹底解説! [インターネット]. 東京: 株式会社CureBell. [引用日: 2025年6月23日]. Available from: https://curebell.jp/articles/96/
  25. 天藤製薬株式会社. 痔の市販薬の成分と特徴 |ボララボ おしり悩み研究所 [インターネット]. 大阪: 天藤製薬株式会社. [引用日: 2025年6月23日]. Available from: https://www.borraginol.com/borralab/handle/buttocks/buttocks001.html
  26. ミネ医薬品株式会社. 【ミネドラッグが厳選】痔におすすめの市販の坐薬6選|選び方と注意点も解説 [インターネット]. 東京: ミネ医薬品株式会社. [2024年4月11日更新; 引用日: 2025年6月23日]. Available from: https://store.mineiyakuhin.co.jp/blog/972/
  27. 株式会社EPARKメディカル. 【薬剤師が解説】痔の薬ランキング上位の商品はどんな商品?15選を紹介 [インターネット]. 東京: 株式会社EPARKメディカル. [2024年1月19日更新; 引用日: 2025年6月23日]. Available from: https://www.kusurinomadoguchi.com/column/articles/hemorrhoids-medicine-ranking
  28. 天藤製薬株式会社. 「注入軟膏」「坐剤」「軟膏」の特徴、選び方 症状にあわせて選べる3つのタイプ [インターネット]. 大阪: 天藤製薬株式会社. [引用日: 2025年6月23日]. Available from: https://www.borraginol.com/products/choice/
  29. いしやまクリニック. 痔は恥ずかしくない病気です [インターネット]. 静岡: いしやまクリニック. [引用日: 2025年6月23日]. Available from: https://www.ishiyama.or.jp/section.php?sec=1
  30. 平田肛門科医院. 日本人に3人に1人は「痔主」 [インターネット]. 埼玉: 平田肛門科医院. [引用日: 2025年6月23日]. Available from: https://www.dr-hips.com/column/no-surgery/01/
  31. ダイヤモンド・オンライン. 「痔主」3人に1人なのに半数が治療しない日本おしり事情 [インターネット]. 東京: 株式会社ダイヤモンド社; 2016. [2016年7月7日更新; 引用日: 2025年6月23日]. Available from: https://diamond.jp/articles/-/91661
  32. 株式会社QLife. 「痔の治療」大規模患者調査 [インターネット]. 東京: 株式会社QLife; 2011. [2011年7月11日更新; 引用日: 2025年6月23日]. Available from: https://www.qlife.co.jp/news/110711qlife_research.pdf
  33. ウンログ株式会社. 女性の痔と治療に関する実態調査 [インターネット]. 東京: ウンログ株式会社; 2023. [2023年2月28日更新; 引用日: 2025年6月23日]. Available from: https://unlog.co.jp/lab/20230228/
  34. National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases. Diagnosis of Hemorrhoids [Internet]. Bethesda (MD): NIDDK; 2016. [Updated 2016 Oct; 引用日: 2025年6月23日]. Available from: https://www.niddk.nih.gov/health-information/digestive-diseases/hemorrhoids/diagnosis
  35. Davis BR, Lee-Kong SA, Migaly J, Feingold DL, Steele SR. The American Society of Colon and Rectal Surgeons Clinical Practice Guidelines for the Management of Hemorrhoids. Dis Colon Rectum. 2018;61(3):284-292. doi: 10.1097/DCR.0000000000001030. Available from: https://fascrs.org/ascrs/media/files/downloads/Clinical%20Practice%20Guidelines/cpg_management_of_hemorrhoids.pdf
  36. Lee S. The American Society of Colon and Rectal Surgeons Clinical Practice Guidelines for the Management of Hemorrhoids [Internet]. ResearchGate; 2024. [引用日: 2025年6月23日]. Available from: https://www.researchgate.net/publication/377849856_The_American_Society_of_Colon_and_Rectal_Surgeons_Clinical_Practice_Guidelines_for_the_Management_of_Hemorrhoids
  37. Lohsiriwat V. Hemorrhoids: From basic pathophysiology to clinical management. World J Gastroenterol. 2012 May 7;18(17):2009-17. doi: 10.3748/wjg.v18.i17.2009. Available from: https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3342598/
  38. Rosen L. Hemorrhoid Management Guidelines (ASCRS, 2024) [Internet]. Medscape; 2024. [2024 Feb 22; 引用日: 2025年6月23日]. Available from: https://reference.medscape.com/viewarticle/1000218
この記事はお役に立ちましたか?
はいいいえ