痛風患者は鴨肉を食べても良い?プリン体含有量と最新ガイドラインから専門家が徹底解説
筋骨格系疾患

痛風患者は鴨肉を食べても良い?プリン体含有量と最新ガイドラインから専門家が徹底解説

かつて「贅沢病」や「王様の病気」と呼ばれた痛風は、現代の日本ではもはや一部の富裕層や権力者だけの病気ではありません。厚生労働省が公表した統計によれば、日本の痛風患者数は125万人を超え、その予備軍である高尿酸血症(血清尿酸値が7.0mg/dLを超える状態)の患者は1,000万人以上にのぼると推定されています1。特に成人男性においては、約3人に1人が高尿酸血症であるとの調査報告もあり2、痛風は誰にでも起こりうる「国民病」としての側面を強めています。この患者数の急増の背景には、1960年代以降の日本における食生活の欧米化が大きく影響していると専門家は指摘しています3。肉類や脂肪の摂取量が増加し、生活習慣が変化したことが、痛風の有病率を押し上げる一因となっているのです4。本記事では、こうした現代日本の状況を踏まえ、多くの方が抱く「痛風と診断されたら、もう鴨肉は食べられないのだろうか?」という切実な疑問に対し、最新の科学的根拠と治療指針に基づいて、JapaneseHealth.org編集部が徹底的に解説します。

医学的査読者:
山田 健太郎 (Kentaro Yamada), MD, PhD
JAPANESEHEALTH.ORG メディカルアドバイザー、医療法人社団つばさ 両国東口クリニック 痛風・リウマチ科 非常勤医師


この記事の科学的根拠

本記事は、入力された研究報告書で明示的に引用されている、最高品質の医学的根拠にのみ基づいています。以下の一覧には、実際に参照された情報源と、提示された医学的指導との直接的な関連性が含まれています。

  • 厚生労働省: 日本における痛風および高尿酸血症の患者数に関する統計的根拠は、厚生労働省の報告に基づいています1
  • 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン(第3版): 食品のプリン体含有量の分類、食事療法の指針、および治療目標値に関する日本の基準は、主に本ガイドラインに基づいています5
  • 米国リウマチ学会(ACR)および欧州リウマチ学会(EULAR): 薬物療法を中心とした現代の痛風治療戦略、特に「Treat-to-Target」の概念と具体的な血清尿酸値の目標値に関する記述は、これらの国際的な学会が発行したガイドラインに基づいています67
  • 食品プリン体含有量データベース: 鴨肉および比較対象となる各種食品の具体的なプリン体含有量の数値は、複数の信頼できる公的データベースおよび研究報告から引用しています89

要点まとめ

  • 鴨肉100gあたりのプリン体含有量は約64〜67mgと「少ない」レベルに分類され、高リスク食品ではありません。
  • 痛風のリスクを高めるのは鴨肉そのものではなく、高脂肪な「皮」や、プリン体が溶け出した「鍋のスープ」といった食べ方にあります。
  • 「皮を取り除く」「1食80〜100gの量を守る」「蒸す・焼く調理法を選ぶ」「痛風発作中は避ける」という4つのルールを守れば、鴨肉は安全に楽しめます。
  • 現代の痛風治療の主役は、血清尿酸値を6.0mg/dL未満に維持するための「薬物療法」であり、食事療法はそれを支える重要な役割を担います。
  • 個々の病状に応じた治療計画については、必ず医師や「認定痛風医」などの専門家にご相談ください。

痛風を正しく理解する — 日本の現状と食事療法の新常識

痛風発作の仕組み:なぜ激痛が走るのか

「風が吹くだけで痛い」と形容されるほどの激痛が特徴の痛風発作。この痛みは、体内で起こる一連の化学反応の最終結果です。この仕組みを正しく理解することが、適切な管理への第一歩となります。

  • プリン体の分解と尿酸の生成: 私たちの体は、食物に含まれる、あるいは体内で自然に生成される「プリン体」という物質をエネルギーとして利用した後、その分解過程で最終産物として「尿酸」を作り出します10。プリン体は細胞の核酸(DNAなど)の主成分であり、特に細胞分裂が活発なレバーなどの内臓肉や一部の魚介類に多く含まれています11
  • 高尿酸血症: 通常、産生された尿酸は血液に溶け込み、腎臓でろ過され尿として体外に排出されます。しかし、プリン体の過剰摂取や体質により尿酸の産生が過剰になるか、腎機能の低下などにより排泄能力が落ちると、血液中の尿酸濃度が異常に高まります。この血清尿酸値が7.0mg/dLを超えた状態が「高尿酸血症」です11
  • 尿酸塩結晶の形成と沈着: 高尿酸血症の状態が長く続くと、血液中に溶けきれなくなった尿酸が、鋭い針状の「尿酸ナトリウム結晶」となり、関節の内膜や軟骨、皮下組織などに沈着し始めます10
  • 痛風発作(急性関節炎): 関節内に沈着した尿酸塩結晶を、体の免疫システム(特に白血球)が異物と認識し、排除しようと攻撃を開始します。この免疫反応が引き起こす急性の炎症こそが、突然の激しい痛み、腫れ、赤み、熱感といった症状を伴う「痛風発作」の正体です12。発作は足の親指の付け根に最も多く見られますが、足首、膝、手首など他の関節にも起こり得ます11

食事療法の役割と限界:最新治療における位置づけ

痛風の管理において食事療法が重要であることは論を待ちません。しかし、現代の治療戦略では、その役割と限界を正確に認識することが不可欠です。伝統的に、日本の診療ガイドラインでは1日のプリン体摂取量を400mg未満に抑えることが推奨されてきました13。これは体内の尿酸プールを過剰に増やさないための有効な指針です。しかし、食事から摂取されるプリン体が体内の全プリン体量に影響を与える割合は2〜3割程度に過ぎず、残りの7〜8割は体内で自然に生成されたり、細胞の新陳代謝によって生み出されたりします14。この事実から、厳格な食事制限だけで血清尿酸値を目標値まで十分に下げることには限界があることがわかります。

この点を踏まえ、米国リウマチ学会(ACR)や欧州リウマチ学会(EULAR)、そして日本の『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン』といった国内外の権威ある専門機関は、痛風治療の主軸を「薬物療法」に置いています6。食事療法は、薬物療法の効果を最大限に引き出し、肥満や他の生活習慣病を併せて管理するための「支持療法」として位置づけられているのです。食事に過度に神経質になるあまり生活の質(QOL)を損なうのではなく、薬物治療を基本としながら、賢く食事を管理するというのが、現代の痛風治療における新しい常識となっています。


鴨肉のプリン体を科学的に分析する

結論から先に:鴨肉のプリン体は「少ない〜中程度」

多くの方が最も気になる「鴨肉は痛風に悪いのか?」という問いに対する直接的な答えは、「プリン体含有量という観点から見れば、鴨肉は高リスクな食品ではない」です。複数の信頼できる食品プリン体含有量データベースによると、鴨肉100gあたりのプリン体含有量は約64mgから67mgの範囲にあると報告されています8。日本の『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版』が示す食品分類基準では、プリン体含有量が100gあたり50mgから100mgの食品は「少ない」グループに分類されます15。したがって、鴨肉はこの「少ない」グループに該当し、レバーや干物のように「きわめて多い」とされる食品群とは明確に一線を画します。日本の他の情報源においても、鴨肉は「中程度」のプリン体を含む食品として分類されており、過度に恐れる必要はないことが示唆されています16

他の食品との徹底比較

鴨肉のプリン体含有量(64〜67mg/100g)が、具体的にどの程度のレベルなのかをより明確に理解するため、他の一般的な食品と比較してみましょう。以下の表は、食品100gあたりのプリン体含有量を示したものです。

食品100gあたりのプリン体含有量比較
プリン体レベル 食品例 プリン体含有量(mg/100g) 出典
極めて多い
(>300mg)
煮干し 746.1 14
鰹節 493.3 14
鶏レバー 312.2 15
多い
(200-300mg)
豚レバー 284.8 15
牛レバー 231.0 9
マイワシ(魚) 211.4 15
中程度
(100-200mg)
馬肉 116.0 8
牛肉・豚肉(多くの部位) 100-200 15
少ない
(50-100mg)
うなぎ 92.1 14
鴨肉 64 – 67 8
鶏むね肉(皮なし) 55.0 8
極めて少ない
(<50mg)
白米(炊飯後) 25.9 14
鶏卵 0.0 14
牛乳・乳製品 < 50 15

この客観的なデータから明らかなように、鴨肉のプリン体含有量は、鶏レバーや煮干しといった高プリン体食品とは比較にならないほど低く、日常的に食される鶏むね肉と近いレベルにあります。この事実は、鴨肉そのものが痛風の直接的な引き金となる可能性は低いことを強く示唆しています。

謎を解く:なぜ「鴨肉は避けるべき」という俗説があるのか?

では一体なぜ、一部の健康情報サイトでは鴨肉が痛風患者に避けるべき食品として挙げられることがあるのでしょうか10。この矛盾を解く鍵は、プリン体含有量という単一の指標だけでなく、食品を「調理法」や「他の栄養素」といった、より広い文脈で捉えることにあります。結論として、問題は鴨肉そのものではなく、その「食べ方」にあるのです。

  • 脂質の多い皮: 警告を発している情報源の多くは、「脂肪の多い家禽類(色の濃い肉や皮)」を制限するよう具体的に言及しています12。実際に、プリン体含有量のデータが示されている皮付きの鴨肉8とは対照的に、安全な食べ方として「皮を取り除いた家禽類(鶏肉、鴨肉)」が挙げられています17。鴨の皮は脂肪分が非常に多く、高脂肪食は肥満の主要な原因となります。そして、肥満自体が痛風発症の強力な危険因子であることが、数多くの研究で広く証明されています18。つまり、一部で懸念されているのは鴨肉のプリン体ではなく、皮に含まれる過剰な脂肪分がもたらす間接的な健康上の危険性なのです。
  • プリン体の溶け出したスープ: 日本料理における鴨肉の代表的な食べ方である「鴨鍋」や「鴨南蛮そば」も、誤解を生む一因です。これらの料理の出汁には、しばしば鰹節(プリン体493.3mg/100g)や煮干し(同746.1mg/100g)といった、極めてプリン体含有量の高い食材が使われます14。プリン体は水溶性、つまり水に溶けやすい性質を持つため、これらの食材から出汁を取ると、スープ自体が非常に高濃度のプリン体を含む液体となります14。たとえ具材である鴨肉自体のプリン体が多くなくても、その美味しいスープをすべて飲み干すことで、結果的に大量のプリン体を摂取してしまう危険性があるのです。

このように、痛風の食事管理においては、食材単体のプリン体量を調べるだけでは不十分です。調理法によって脂肪や総カロリーがどう変化するのか、また、一緒に食べるスープやソースにプリン体が多く含まれていないかなど、食事全体を総合的に評価する視点が極めて重要になります。


痛風患者さんのための「賢い鴨肉の食べ方」

結論:鴨肉は「4つのルール」を守れば楽しめる

これまでの科学的な分析から、痛風患者さんが鴨肉を完全に断つべき絶対的な理由はないことが明らかになりました。問題は「食べるかどうか」ではなく、「どのように食べるか」です。以下の4つのシンプルなルールを遵守することで、痛風の危険性を管理しながら、鴨肉を安全に、そして美味しく楽しむことが可能です。

守るべき4つのルール

  1. 皮は必ず取り除く: 鴨肉を食べる際は、調理前または食べる直前に必ず皮を取り除きましょう。前述の通り、鴨の皮は脂肪が非常に多く、カロリー過多や肥満につながり、間接的に痛風の危険性を高めます12。皮を取り除くという簡単な一手間で、余分な脂肪の摂取を大幅に削減できます。
  2. 量を管理する (1食80g〜100gを目安に): 鴨肉のプリン体含有量は低いものの、どのような肉類であっても過食は禁物です。1食あたりの摂取量は80gから100g程度を目安にしましょう。この量であれば、摂取するプリン体は約51mgから67mgとなり、1日の目標摂取量である400mgの範囲内に十分に収まります13。これは、1日の肉や魚の総摂取量を110gから170g程度に抑えるという一般的な食事指導とも一致します17
  3. 調理法を選ぶ (「蒸す」「焼く」が基本): 調理法は、脂肪やプリン体を増やさないシンプルなものを選びましょう。
    • 推奨される調理法: 脂肪を落としながら加熱できる「網焼き」や、油を使わずに済む「蒸し料理」が最適です。
    • 避けるべき調理法: 油を多量に使う「揚げる」、そしてプリン体が溶け出したスープを一緒に摂取してしまう「鍋物」や「煮込み料理」は避けるべきです14。特に鴨鍋を楽しむ際は、出汁の素に注意を払い、スープの飲み過ぎには細心の注意が必要です。
  4. 急性発作期(痛みがある時)は避ける: 関節に激しい痛みや腫れがある痛風発作の最中は、いかなる種類の肉類も避けるのが賢明です。この時期の最優先事項は、医師から処方された抗炎症薬を服用し、患部を安静に保つことです18。食事療法は長期的な尿酸値管理のためのものであり、急性の炎症を直接抑える効果はありません。中国の医療機関からのアドバイスでも、急性期には肉類の摂取を控えるよう明確に指導されています19

これらのルールは、恐怖心から食事の選択肢を狭めるためのものではなく、正しい知識を持って食生活を主体的にコントロールするための具体的なツールです。これにより、患者さんは生活の質を維持しながら、安全に食事管理を実践することが可能になります。


食事療法を超えて—国際標準の痛風治療戦略

現代の痛風治療の主役は「薬物療法」

食事療法は痛風管理の重要な一部ですが、治療の根幹をなすのは紛れもなく「薬物療法」です。食事の改善だけで血清尿酸値を下げられるのは、一般的に1.0mg/dLから2.0mg/dL程度とされています。多くの痛風患者さんにとって、これだけでは治療目標を達成するには不十分です。そのため、米国リウマチ学会(ACR)や欧州リウマチ学会(EULAR)をはじめとする国際的なガイドラインは、尿酸値を継続的に低下させるための薬物療法(Urate-Lowering Therapy, ULT)を強く推奨しています6。主な治療薬には以下の種類があります。

  • 尿酸生成抑制薬: 体内で尿酸が作られる過程を阻害する薬です。アロプリノールやフェブキソスタットがこれにあたります。特にアロプリノールは、世界中の主要なガイドラインで第一選択薬として推奨されています20
  • 尿酸排泄促進薬: 腎臓から尿酸が尿中へ排出されるのを助ける薬です。プロベネシドやベンズブロマロンなどが含まれます18

これらの薬物療法によって血清尿酸値を効果的かつ持続的にコントロールすることが、現代の痛風治療における中心的な戦略です。

目標は「血清尿酸値6.0mg/dL未満」の維持

現代の痛風治療では、「Treat-to-Target(目標達成に向けた治療)」という概念が世界的な標準となっています6。これは、単に薬を漫然と飲むだけでなく、定期的に血清尿酸値を測定し、定められた目標値を達成・維持するように薬の量を個別に調整していくアプローチです。その国際的な目標値は「血清尿酸値6.0mg/dL未満」です20。このレベルを安定して維持することで、関節内に既に溜まってしまった尿酸塩結晶が溶け始め、将来の痛風発作を効果的に予防し、痛風結節(尿酸塩結晶の塊)を縮小させることが可能になります18。痛風結節があるなど、より重症の患者さんの場合は、さらに厳しい「5.0mg/dL未満」を目標とすることもあります7。この目標値を達成し続けることが、痛風の症状を完全にコントロールし、関節破壊などの深刻な合併症を防ぐための鍵となります。

食事療法で注意すべきその他のポイント

プリン体だけに注目するのではなく、より広い視点で食生活全体を見直すことが重要です。

  • アルコール: 特にビールはプリン体を含む上に、アルコール自体が腎臓からの尿酸排泄を妨げ、体内の尿酸産生を促進するため、痛風の危険性を著しく高めます。摂取を控えるか、完全に避けることが強く推奨されます6
  • 果糖: 清涼飲料水や菓子類に多用される「果糖ブドウ糖液糖」は、体内で代謝される際に尿酸の産生を促進するため、厳しく制限すべきです18。果物に含まれる天然の果糖も、過剰摂取には注意が必要です。
  • 水分補給: 1日に2リットル程度の水を十分に飲むことで尿量を増やし、腎臓からの尿酸排泄を促すことができます。これはすべてのガイドラインで推奨される基本的な生活習慣です18
  • 尿をアルカリ化する食品: 野菜や海藻、牛乳・乳製品などを積極的に摂取することで、尿がアルカリ性に傾き、酸性の尿には溶けにくい尿酸が排泄されやすくなります。これは日本の食事指導において特に重視されるポイントです15

痛風管理の成功は、患者さん自身が治療の現状をどれだけ正確に理解しているかに大きく依存します。食事療法のみに固執するのではなく、薬物療法を主軸とした「Treat-to-Target」戦略の重要性を認識し、主治医と緊密に連携して治療を進めることが、長期的な健康と生活の質を維持するための最も確実な道筋です。


結論

本記事では、「痛風患者は鴨肉を食べても良いか?」という具体的な問いに対し、最新の科学的根拠に基づいて詳細な分析と解説を行いました。鴨肉自体のプリン体含有量は少なく、高リスク食品ではありません。懸念すべきは高脂肪な「皮」やプリン体が溶け出した「鍋のスープ」といった調理法であり、適切なルールを守れば安全に楽しむことが可能です。しかし最も重要なのは、痛風治療の主役が薬物療法であり、その目標が血清尿酸値を6.0mg/dL未満に維持することであるという現代の治療戦略を理解することです。食事療法はその支持的な役割を担います。個々の病状に合わせた最適な治療計画については、必ず医師や日本痛風・尿酸核酸学会が認定する「認定痛風医」21などの専門家にご相談ください。正しい知識と適切な治療によって、痛風は十分にコントロール可能な疾患です。

よくある質問

痛風発作中に鴨肉を食べてもいいですか?

いいえ、避けるべきです。関節に激しい痛みや腫れがある痛風発作の急性期は、炎症を悪化させる可能性のあるいかなる種類の肉類も控えるのが賢明です1819。この時期は、医師から処方された抗炎症薬を服用し、患部を安静にすることが最優先です。

鴨鍋のスープは飲んでも大丈夫ですか?

いいえ、推奨されません。鴨鍋の出汁には、しばしば鰹節や煮干しといったプリン体を極めて多く含む食材が使われます14。プリン体は水に溶けやすいため、たとえ鴨肉自体のプリン体が少なくても、スープを飲むことで大量のプリン体を摂取してしまう危険性があります。具材を楽しむに留め、スープを飲み干すのは避けましょう。

プリン体ゼロの食品だけ食べていれば痛風は治りますか?

いいえ、食事だけで痛風を完治させることは困難です。体内の尿酸の約7〜8割は食事由来ではなく、自身の体内で作られます14。そのため、食事制限だけで尿酸値を目標の6.0mg/dL未満に下げるのは難しく、多くの場合、薬物療法が必要不可欠となります6。食事療法は、薬物療法の効果を高めるための重要な補助手段と位置づけられています。

ビール以外のアルコールなら飲んでも良いですか?

アルコール飲料は種類を問わず、痛風の危険性を高めるため、摂取は慎重であるべきです。アルコール自体が肝臓での尿酸産生を促進し、腎臓からの尿酸排泄を抑制する作用を持つからです6。特にビールはプリン体も含むため最も避けるべきですが、ウイスキーや焼酎、ワインであっても、飲酒量が増えれば痛風発作の引き金となり得ます。

免責事項本記事は情報提供のみを目的としており、専門的な医学的助言に代わるものではありません。健康に関する懸念や、ご自身の健康や治療に関する決定を下す前には、必ず資格のある医療専門家にご相談ください。

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