はじめに
近年、パソコンやスマートフォンに長時間向き合う生活が当たり前になり、目の疲労やドライアイ(以下、便宜上「乾燥症状」とも呼びます)に悩む方が増えています。とくに仕事でもプライベートでもオンライン環境にいる時間が長くなるにつれ、目の表面を保護する涙液のバランスが崩れ、乾燥症状に拍車がかかるケースが多く報告されています。そこで本記事では、乾燥症状を緩和し、健康的な目を維持するために役立つとされる食生活や栄養素について、できるだけ詳しく解説します。目の不快感やゴロゴロ感、かすみなどを感じる方は、日常的な食事選びにも目を向けてみると良いかもしれません。ここでは、乾燥症状のケアに欠かせない栄養素や具体的な食材を取り上げ、どのように活用するとよいかをわかりやすくまとめました。
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当サイトの情報は、Hello Bacsi ベトナム版を基に編集されたものであり、一般的な情報提供を目的としています。本情報は医療専門家のアドバイスに代わるものではなく、参考としてご利用ください。詳しい内容や個別の症状については、必ず医師にご相談ください。
専門家への相談
本記事は、下記で示す公的機関や専門家の情報をもとに作成し、さらに日本国内で日常的に取り入れやすい食材選びを意識してまとめています。なお、本記事内で紹介している情報はあくまで参考であり、個別の医療的判断や治療方針を提供するものではありません。症状の度合いや体質によって必要なケアは変わる可能性がありますので、実際の治療やサプリメントの使用などを検討する際は、必ず医師や薬剤師などの専門家に相談してください。ここでは、アメリカの公的機関(Centers for Disease Control and Prevention、National Eye Instituteなど)の情報、栄養分野の文献を参照しつつ、日本の生活環境で実践しやすいアプローチを重視しています。
1. 乾燥症状と食事の関係
乾燥症状は、涙液の分泌量不足、あるいは涙液の質的変化(蒸発しやすくなるなど)によって引き起こされます。涙液が不足すると目の表面(角膜や結膜)が適切に潤わず、ゴロゴロしたり、充血したり、ひどい場合は視界のかすみなどの不快感も伴います。これを放置すると、角膜障害や感染症リスクの増加を招く可能性があるため、日々のケアが欠かせません。
多くの研究や臨床の現場では、食事に含まれる栄養素と目の健康には密接な関係があるとされています。たとえば、抗酸化作用をもつビタミン群や、涙液の質を改善するとされるオメガ3系脂肪酸などは、目の乾燥や炎症を軽減する一助になることが知られています。現代では栄養バランスの乱れや加工食品中心の食生活も増えており、こうした背景からあらためて“目に良い”とされる栄養素を意識して摂取することは、乾燥症状だけでなく総合的な眼の健康の維持にも役立つと考えられています。
なお、各栄養素の推奨摂取量やサプリメントの利用方法は個人差がありますので、独断で過剰摂取に陥らないよう、必要に応じて専門家に相談してください。
2. オメガ3系脂肪酸:炎症を抑え、涙の蒸発を防ぐ
2-1. オメガ3系脂肪酸の役割
オメガ3系脂肪酸(以下、オメガ3)は、炎症を抑える働きがあるといわれており、涙液を保持するためのまぶた周辺の腺(マイボーム腺など)の機能維持にも関与すると考えられています。実際に、オメガ3を意識して摂取することで、ドライアイに伴う不快感の軽減を実感する方は少なくありません。
2021年以降に報告された海外のいくつかのシステマティックレビューやメタアナリシスでも、オメガ3をサプリメントもしくは魚介類を通じて継続摂取した被験者において、涙液の質が改善されたケースがあると示唆されています。ただし、効果の程度や個人差もあり、研究ごとの評価指標の違いもあるため、「すべての人に確実に効果がある」と断定するには十分なエビデンスが揃っていないという議論も一部にあります。そのため、普段の食生活のバランスを整える一環として、オメガ3の摂取を心がけるのが望ましいという位置づけです。
2-2. 魚介類など具体的な食材
- カツオやサバ、マグロ、サーモン、イワシなど脂肪分の多い魚
これらはオメガ3の供給源として知られています。旬の魚を選ぶことで鮮度が高く、より豊富な栄養を取り入れやすいでしょう。 - クルミや亜麻仁、チアシードなどの種子類
魚介類が苦手な方は、植物性のオメガ3(α-リノレン酸)をこうした種子類から取り入れる方法があります。これらの種子類をサラダにトッピングしたり、スムージーに加えたりするのも手軽です。 - サプリメントの活用
魚やナッツを日常的に摂るのが難しい場合、オメガ3のサプリメントを検討しても構いません。ただし、服用量や品質には注意が必要なので、使用前に専門家へ相談するのが望ましいでしょう。
3. ルテインとゼアキサンチン:目の細胞を守る抗酸化成分
3-1. ルテインとゼアキサンチンの重要性
ルテインとゼアキサンチンは、目の黄斑部に多く存在する色素成分で、強力な抗酸化作用をもちます。加齢などによる酸化ストレスから目の細胞を守り、目の機能低下を予防する働きが期待されています。乾燥症状に直接的な効果があるかは研究段階ですが、全般的に目の健康を維持するうえで非常に注目されている成分です。
3-2. 含有量の多い食材
- 緑黄色野菜(ホウレンソウ、ケール、ブロッコリー、チンゲンサイなど)
これらの野菜にはルテインやゼアキサンチンが豊富に含まれます。ビタミンCやカリウム、食物繊維も同時に摂取できるので、全身の健康にも貢献します。 - トウモロコシ、卵黄
卵黄には吸収性の良い形態のルテインが含まれるとされています。トウモロコシもルテインを補給する食材のひとつです。
4. ビタミンC:血管・結合組織をサポートし目の健康を保つ
4-1. ビタミンCの役割
ビタミンCはコラーゲンの生成や血管壁の強化に寄与し、抗酸化作用も強力なことで知られています。目の周辺には細かな血管網が張り巡らされているため、ビタミンCの十分な摂取によって血液循環を健やかに保ち、乾燥症状によるダメージを和らげる効果が期待できます。さらに、ビタミンCは目の水晶体が濁る(白内障などのリスク)進行を遅らせる可能性があるとも言われています。
4-2. ビタミンCを多く含む食材
- 柑橘類(オレンジ、ミカン、グレープフルーツなど)
生食はもちろん、手軽にジュースなどで取り入れる方法もあります。ただし、市販ジュースには糖分が多い場合があるため、摂りすぎには注意しましょう。 - イチゴ、キウイ、パプリカ、ブロッコリーなど
季節ごとの果物や野菜からビタミンCを摂取するのもおすすめです。 - トマト、キャベツ、ジャガイモ
比較的手に入りやすく、料理にも使いやすい食材です。温めてもある程度ビタミンCが残る品種や調理法もあり、工夫次第で毎日の食卓に取り入れやすいでしょう。
5. ビタミンA:目の粘膜や角膜の維持に不可欠
5-1. ビタミンAの重要性
ビタミンAは、目の粘膜や角膜を健康に保ち、感染症などの外的刺激から守るために欠かせない栄養素です。また、視細胞が光を感知して信号を脳に送る過程にも必要とされ、夜間の視力(暗順応)に深く関与します。ビタミンAが不足すると、角膜が乾燥して傷つきやすくなるリスクや、夜盲症などの視力低下を引き起こす可能性があります。
5-2. ビタミンAを含む代表的な食品
- レバー(鶏や豚、牛など)、ウナギ
レバーやウナギは特にビタミンAの含有量が高いことで知られています。日本ではウナギを食べる習慣もあるので、季節の行事などで楽しむのも良い方法ですが、過剰摂取には注意が必要です。 - 緑黄色野菜(ニンジン、カボチャ、ピーマンなど)
これらに含まれるβ-カロテンは体内で必要に応じてビタミンAに変換されます。 - 卵や牛乳など
動物性の食品にもビタミンAが含まれるので、偏りのないバランスの良い食事が大切です。
6. ビタミンE:抗酸化作用で細胞を守り、目の老化リスクを抑える
6-1. ビタミンEの働き
ビタミンEには強い抗酸化作用があり、眼球を構成する細胞が酸化ストレスで傷つくのを防ぐ一助になると考えられています。また、免疫力維持や血行促進にも寄与するため、全身的な健康維持や炎症軽減にも良い影響が期待できます。乾燥症状は角膜や結膜が外部の刺激を直接受けやすくなる状況であり、ビタミンEを十分に摂取することで目のトラブル全般に対する耐性を高める可能性があります。
6-2. ビタミンEを含む食品
- アーモンド、ヘーゼルナッツ、ピーナッツバター
こうしたナッツ類はビタミンEだけでなく、良質な脂質や食物繊維、ミネラルも豊富です。間食としても手軽に取り入れられますが、カロリーが高いので適量を意識しましょう。 - アボカド、植物油(オリーブ油、ヒマワリ油など)
アボカドにはビタミンEとともにカリウムや食物繊維も多く含まれます。サラダに加えるとクリーミーな食感を楽しめます。植物油も適度に使用すると脂溶性ビタミンの吸収を高めるのに役立ちます。 - サーモンやマグロ
オメガ3系脂肪酸と同時にビタミンEを摂取できるため、目の健康を意識した食生活にとって効率的です。
7. 亜鉛:ビタミンAの働きを助け、目の防御機能を高める
7-1. 亜鉛の作用
亜鉛は体内の多くの酵素反応に関与しており、とくにビタミンAを肝臓から網膜へ輸送する際に必要不可欠とされています。ビタミンAが十分に働くには亜鉛が欠かせないため、亜鉛が不足すると角膜や網膜の機能が低下し、乾燥症状や視力低下を引き起こすリスクが高まります。また、亜鉛には免疫力を維持する働きもあり、細菌やウイルスによる目の感染症に対する抵抗力をサポートする点でも注目されています。
7-2. 亜鉛を豊富に含む食品
- カキやハマグリなどの貝類
貝類は亜鉛の供給源として知られています。生食はもちろん、加熱調理でも失われにくいミネラルなので、季節の食卓で取り入れやすいでしょう。 - 牛肉、豚レバー、鶏肉
肉類にも亜鉛が比較的豊富に含まれています。疲労回復に役立つタンパク質や鉄分も同時に摂取できるため、主菜としてバランスよく取り入れるとよいでしょう。 - ナッツ類(ピスタチオ、カシューナッツなど)、大豆製品
植物性でも亜鉛を補給できる食品があります。肉や魚介類に偏らず、豆腐や納豆、ナッツなども活用すると、さまざまな栄養素が得られます。
8. 乾燥症状とライフスタイルのポイント
ここまで、目の乾燥を和らげるのに役立つと考えられる栄養素や食品群を紹介してきました。しかし、栄養面だけでなく、ライフスタイル全体を見直すことも重要です。特に現代社会では、目を酷使する環境やストレスの多い生活習慣によって、せっかく栄養をとっても目が休まらず乾燥症状が続いてしまうケースもあります。
- パソコンやスマートフォンの使用時間を管理する
長時間の使用は瞬きの回数が減り、涙液が蒸発しやすくなります。適度に休憩を挟む「20-20-20ルール」(20分に1回、20秒ほど遠くのものを見るなど)を意識すると効果的です。 - 室内環境の整備
エアコンの風が直接目に当たると乾燥が悪化することがあります。加湿器などで適切な湿度(50~60%程度)を維持すると、目への負担がやや軽減されます。 - コンタクトレンズの使用法を確認する
コンタクトレンズを常用する場合、装用時間が長すぎると乾燥や角膜障害を起こしやすくなります。レンズケアも含め、専門家の指導を守って正しい使い方を心がけましょう。 - 睡眠の質を高める
睡眠時間が不足すると目の疲労が回復しにくく、翌日に乾燥感やかすみを感じることが多くなります。十分な睡眠時間を確保し、枕や寝室の照明にも気を配ると良いでしょう。
9. さらに注目される研究と新しい知見
9-1. オメガ3の効果に関する最新動向
2023年に欧米の眼科領域の学会で報告されたレビューによると、オメガ3を特定の比率で摂取すると涙液層の安定性が向上するとの知見が示唆されました。ただし、レビュー内でも「個人差が大きく、研究ごとに試験デザインや評価指標が異なるため、さらなる大規模試験が必要」とされています。日本人の食文化にも魚は欠かせないため、過剰摂取を避けつつ、適量を継続的に摂取することが望ましいでしょう。
9-2. ビタミンDとの関係
近年、ビタミンDが炎症や免疫調節に関わるとして注目され、乾燥症状の抑制にも関与しているのではないかという研究が2022~2023年にかけて海外の眼科関連学術誌で発表されています。日本では日照時間によって体内のビタミンD合成量が変わることもあり、食事からの積極的な摂取が必要な方もいます。魚(特にサケ、サンマ、イワシなど)やキノコ類にビタミンDが含まれるため、乾燥症状改善の一環として検討してみる価値があります。
9-3. プロバイオティクスと目の健康
腸内環境と全身の健康との関係が注目される中、一部の研究では腸内環境の改善が目の炎症リスクの低減につながる可能性を示唆しています。ただし、2021年以降の研究では、プロバイオティクスが直接ドライアイを改善するかについてはまだ十分なエビデンスがなく、今後の検証が求められる段階です。あくまで補助的な位置づけとして、ヨーグルトや発酵食品(納豆、漬物など)を適度に取り入れ、腸内バランスを良好に保つことが全身の健康にも寄与するだろう、という見解が一般的です。
10. より効果的に栄養を取り入れる調理・食べ方の工夫
10-1. 油と一緒に摂取する
脂溶性ビタミン(A、D、E、Kなど)は油と一緒に摂取することで吸収率が高まります。たとえば、ニンジンをオリーブオイルでソテーしたり、サラダにアボカドやナッツをトッピングするなど、調理方法を工夫することで効率的に栄養を取り込める可能性があります。
10-2. 温度や調理時間に注意する
ビタミンCなどの水溶性ビタミンは熱に弱い性質があります。野菜を調理する際には、加熱時間を短めにしたり、蒸し調理や電子レンジ調理などを活用して栄養損失を最小限に抑える工夫が重要です。
10-3. 毎日の献立を見直す
単発で特定の食材を大量に食べても継続的な改善にはつながりにくいため、日々の献立全体をバランスよく組み立てることが鍵です。主食、主菜、副菜を意識し、緑黄色野菜やたんぱく質、良質な油を少しずつ取り入れるスタイルが推奨されます。乾燥症状に有効な栄養素だけでなく、他のビタミンやミネラル、食物繊維などもトータルで意識することが、身体全体の健康と目のコンディション維持に大切です。
11. 乾燥症状が続く場合のチェックポイント
十分な栄養をとっても症状が改善しない、あるいは慢性的に眼の不快感や視力低下を感じるときには、より専門的な検査や診断が必要なことがあります。たとえば、以下のような可能性を医療機関で確認すると良いでしょう。
- マイボーム腺機能不全
油分の分泌が不十分なために涙がすぐ蒸発してしまう状態。特殊な検査でわかることがあります。 - シェーグレン症候群などの自己免疫疾患
目や口腔内の粘膜が極端に乾燥する症状が出るケースがあり、血液検査などで原因が特定される場合があります。 - ドライアイ以外の眼病(緑内障や白内障など)
何となくの乾燥や疲れ目だと思っていても、別の進行した病気が原因の可能性もあります。
12. 生活全般の見直しとストレスケア
仕事や育児、家事などで忙しい日常を送っていると、食事だけでなく睡眠や運動習慣、ストレスケアが疎かになりがちです。慢性的なストレスはホルモンバランスを乱し、結果的に免疫機能や血行が悪化し、目の乾燥や疲れを悪化させる要因になると考えられています。ウォーキングなどの有酸素運動や、入浴、趣味の時間を意識的に取り入れるなどして、全体的に身体と心を休める工夫をすることも大切です。
13. 実践のヒント:食材の組み合わせ例
以下は、乾燥症状を和らげる栄養素を効率よく組み合わせた食事例のヒントです。あくまで一例であり、各自の好みや体調、アレルギーなどを考慮してアレンジしてください。
- 朝食例
- 全粒粉のパン、目玉焼き(卵黄からルテイン+ビタミンA)
- アボカドやトマトを添えて(ビタミンC、ビタミンE、良質な脂肪)
- 牛乳またはヨーグルト(ビタミンA、亜鉛、プロバイオティクス)
- 昼食例
- サバの塩焼き(オメガ3、ビタミンE)
- ほうれん草のおひたし(ルテイン、ビタミンC)
- 玄米ごはん
- 夕食例
- 豚レバーのソテー(ビタミンA、亜鉛)
- ニンジンとブロッコリーの蒸し野菜(β-カロテン、ビタミンC)
- 味噌汁(発酵食品による腸内環境の改善も期待)
14. よくある質問(Q&A)
Q1. サプリメントで一気に栄養を補うのはどうですか?
A1. 特定の栄養素を効率的に補うには便利ですが、サプリメントは食品から摂取する場合と成分や吸収率が異なることがあります。特に脂溶性ビタミン(A、D、E、K)は過剰摂取のリスクもあるため、医師や管理栄養士に相談のうえ利用するほうが安心です。
Q2. コーヒーやアルコールが多いと乾燥症状は悪化しますか?
A2. コーヒーやアルコールには利尿作用があり、体内の水分バランスを崩しやすいといわれています。過度に摂取すると脱水気味になりやすく、目の乾燥が進む可能性があります。適度な量を守り、水分補給をしっかり行いながら楽しむようにしましょう。
Q3. ブルーベリーは目にいいと聞きますが、乾燥症状にも有効ですか?
A3. ブルーベリーに含まれるアントシアニンが視機能向上に関わる可能性があるという報告はありますが、乾燥そのものを劇的に改善する確たるエビデンスはまだ不十分です。総合的な栄養バランスを整える一部として取り入れるのは良いですが、「ブルーベリーだけ食べればドライアイが治る」というわけではありません。
15. 医学的推奨やガイドラインのポイント
乾燥症状に関する国内外のガイドラインを総合すると、まずは日常の生活習慣(瞬きの頻度や休憩の取り方、室内環境など)を整えたうえで、食事面では次の点が推奨されることが多いです。
- オメガ3系脂肪酸やビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、亜鉛などを中心にバランスよく摂取する
- 水分補給をこまめに行い、全身の脱水状態を防ぐ
- 目の酷使をなるべく避けるよう、適切な休息を確保する
- サプリメントを取り入れる場合は自己判断ではなく専門家に相談する
2023年のアメリカ眼科学会(American Academy of Ophthalmology)でも、ドライアイ(乾燥症状)の基礎的なセルフケアとして、食事と生活スタイル両面からのアプローチが推奨されています。
16. おすすめの検診・受診タイミング
乾燥症状は進行すると角膜に小さな傷ができたり、感染症を起こしやすくなったりして視力に影響が及ぶ場合もあります。40代以降やデスクワーク中心の方は、症状がなくても定期的な眼科検診を受けると早期発見・早期対策がとりやすいでしょう。特に乾燥症状が数週間以上続く場合や、市販の目薬を使用しても改善しない場合は、早めの受診をおすすめします。
17. 目の乾燥と全身の健康
目の表面が乾くという症状は、実は全身のコンディションとも密接に関係します。とくに以下の点に注意してください。
- ホルモンバランスの乱れ
更年期や妊娠・出産期、月経前後でホルモンバランスが大きく変化すると、涙液の分泌に影響することがあります。 - 免疫機能の低下
栄養バランスの乱れやストレス、睡眠不足などで免疫力が下がると粘膜が乾きやすくなり、目も炎症を起こしやすくなります。 - 自律神経のバランス
自律神経が乱れると涙液の分泌がスムーズに行われにくくなることがあります。ストレスケアや適度な運動は自律神経を整える効果も期待できます。
18. 推奨されるセルフケアの具体例
- 温湿布(ホットアイマスク)
まぶたを温めることで血行がよくなり、マイボーム腺の働きが整いやすくなります。ドラッグストアで販売されている使い捨てのホットアイマスクなどを利用すると手軽です。 - まぶたの清潔を保つ
まぶたやまつげの根元に汚れや皮脂がたまりすぎると細菌が繁殖して炎症を起こしやすくなります。洗顔時に、まつげの際を軽くマッサージする感覚で清潔に保ちましょう。 - 人工涙液点眼薬の活用
市販の人工涙液タイプの目薬は、防腐剤の入っていないものを選ぶと刺激が少なく、乾燥症状の緩和に役立つ場合があります。しかし、頻回に使う場合はやはり医師や薬剤師の指示を受けたほうが安心です。
19. まとめと提言
ここまで、乾燥症状の原因や改善に効果が期待される栄養素、具体的な食材や生活習慣について詳しく解説してきました。特にオメガ3系脂肪酸、ビタミンA・C・E、ルテイン、ゼアキサンチン、亜鉛などが目の機能維持や保護に重要な役割を果たすと考えられています。また、適切な水分補給と生活習慣の見直し(パソコン・スマホの長時間使用の制限、室内環境の湿度管理、十分な睡眠など)も欠かせません。
もし、こうしたセルフケアを実践しても症状が改善しない、あるいは悪化していると感じる場合は、眼科専門医の診察を受け、適切な治療や生活指導を受けることをおすすめします。いずれにせよ、食事と生活習慣の両方からアプローチすることで目を総合的に守ることができますので、できる範囲から少しずつ取り組んでみてください。
参考文献
- Foods for dry eyes CDC アクセス日: 2020年5月13日
- Dry eyes National Eye Institute アクセス日: 2020年5月13日
- Treatment dry eyes with diet NutritionFacts.org アクセス日: 2020年5月13日
- American Academy of Ophthalmology. Dry Eye Syndrome. 更新日: 2022年8月(最終アクセス: 2025年1月10日)
- National Eye Institute. Dry Eye. 更新日: 2023年(最終アクセス: 2025年1月10日)
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