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脳と神経系の病気 25分で読める 91回

目の帯状疱疹(眼部帯状疱疹)とは?症状と眼科受診の目安

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目の帯状疱疹(眼部帯状疱疹)で症状が出やすい、三叉神経第1枝(眼神経)の走行と、Hutchinson徴候(鼻尖・鼻翼の水ぶくれ)の位置関係。出典:日本皮膚科学会「帯状疱疹診療ガイドライン2025」[1]をもとに編集部作成。

結論から言うと、目の帯状疱疹(眼部帯状疱疹)は早めの受診が重要な病気です。

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日本皮膚科学会のガイドラインによれば、額や鼻筋、まぶたの片側に赤い発疹や水ぶくれが出て、目の奥に違和感がある場合は「目の帯状疱疹(眼部帯状疱疹)」の可能性があります。特に鼻の先端や鼻の脇に水ぶくれが出ているときは、角膜など目そのものに合併症が及ぶ危険信号(Hutchinson徴候)とされており、皮膚科だけでなく眼科を同時に受診することが強く勧められています[1]。

眼部帯状疱疹は、水ぼうそう(水痘)にかかった後に体内に眠っていたウイルスが、顔の感覚を支配する三叉神経のうち目を担当する枝(第1枝・眼神経、V1)で再び暴れ出すことで起こります。米国眼科学会(AAO)の専門誌記事によれば、放置すると角膜炎やぶどう膜炎、まれに急性網膜壊死のような視力に関わる合併症に進むことがあるため、発疹に気づいたらできるだけ早く(目安として発症から72時間以内)医療機関を受診することが大切だとされています[3]。この記事では、なぜ目に症状が出るのか、どんなサインが危険なのか、治療と予防のワクチンについて、日本と海外のガイドラインを照らし合わせながら詳しく整理します。

  • 目の帯状疱疹(眼部帯状疱疹)は三叉神経第1枝(眼神経、V1)領域に出る帯状疱疹で、額・生え際・鼻・まぶたに発疹が出やすいとされています[1]。
  • 同ガイドラインでは、鼻の先端や鼻の脇(鼻翼)に水ぶくれが出る「Hutchinson徴候」は、角膜など眼合併症が起こりやすいサインとして知られていると説明されています[1]。
  • 日本皮膚科学会の同ガイドラインは、起こりうる眼合併症として結膜炎・角膜炎・強膜炎・上強膜炎・虹彩炎・虹彩萎縮・眼筋麻痺など多岐にわたるものを挙げています[1]。
  • 日本皮膚科学会のガイドラインは抗ウイルス薬を「一般に5日以内」に開始すべきとしており[1]、米国眼科学会などは眼部の帯状疱疹について72時間以内の開始がより望ましいとしています[3]。
  • 額や鼻筋に発疹が出た場合、皮膚症状が軽くても眼科受診を同時に検討することが勧められています[1]。

編集方針: JHO編集部がAIツールの支援を受け、公的機関・学会・査読論文と照合して作成。最終確認は人の目。医師による個別診断の代わりにはなりません。数値・分類はガイドライン改定により変わることがあります(2026年7月時点)。

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今の状態 目安
額・生え際・鼻・まぶたの片側に発疹や水ぶくれがある 皮膚科をなるべく早く受診
鼻の先端や鼻の脇にも水ぶくれがある(Hutchinson徴候) 皮膚科と同時に眼科も受診[1]
目が赤い・見えにくい・まぶしい・涙が止まらない 眼科をすぐに受診[1]
発疹が出てから3日(72時間)以内である 抗ウイルス薬の効果が期待しやすい時間帯とされる[3]

目の帯状疱疹(眼部帯状疱疹)とは?三叉神経第1枝でウイルスが暴れ出す仕組み

日本皮膚科学会のガイドラインによれば、帯状疱疹は、子どもの頃にかかった水ぼうそう(水痘)の原因ウイルスである水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)が、治った後も三叉神経節や脊髄の後根神経節にひっそりと潜伏し続け、加齢や免疫低下などをきっかけに再び活動を始めることで起こるとされています[1]。80歳までに約3人に1人が帯状疱疹を経験すると報告されており[1]、決してまれな病気ではありません。

顔の感覚を担う三叉神経には3本の枝があり、そのうち目・額・鼻を担当するのが第1枝(眼神経、英語ではV1と呼ばれます)です。この領域でウイルスが再活性化すると、「目の帯状疱疹(眼部帯状疱疹)」と呼ばれる状態になります。日本皮膚科学会のガイドラインでは、三叉神経第1枝(眼神経)領域に生じた帯状疱疹では眼合併症に注意が必要であると明記されています[1]。海外の資料では、帯状疱疹全体のうちおおむね10〜20%程度が眼部帯状疱疹にあたるとされています[4]。ただしこの割合は調査によって差があり、日本国内での眼部帯状疱疹の正確な発生割合について、今回参照したガイドラインには具体的な数値の記載は見当たりませんでした。

眼神経はさらに細かい枝に分かれており、額の皮膚を担当する「前頭神経」と、鼻や眼球そのものに向かう「鼻毛様体神経」が特に重要です。ガイドラインでは、「皮疹が鼻毛様体神経、滑車上神経の支配領域である鼻背部、鼻尖部に及ぶと結膜炎,角膜炎,ぶどう膜炎など高率に眼合併症を生じる」とされており、この鼻先・鼻の脇に出る所見が「Hutchinson徴候」と呼ばれています[1]。鼻毛様体神経は鼻の皮膚だけでなく眼球内部にも枝を伸ばしているため、鼻に症状が出ることが、目の中で何が起きているかを推測する手がかりになるとされています。上のイラストは、この神経の通り道と、再活性化したときにどこに発疹が出やすいかを示したものです。ウイルスが再活性化する根本的な原因について詳しく知りたい方は、こちらもあわせてご覧ください。

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これは診断ではありません。入力された数値を日本高血圧学会の血圧値の分類(高血圧の基準は診察室 140/90mmHg以上・家庭 135/85mmHg以上)に当てはめて「受診の目安」を機械的に示すもので、医師の診察に代わるものではありません。日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、降圧目標は年齢によらず診察室 130/80mmHg未満・家庭 125/75mmHg未満とされています。脈拍の目安は学会の分類ではなく一般的な参考範囲です。

目の帯状疱疹で起こる眼合併症の基準 — 日本皮膚科学会ガイドラインが挙げる眼の症状

日本皮膚科学会の「帯状疱疹診療ガイドライン2025」は、三叉神経第1枝領域の帯状疱疹で起こりうる眼合併症として、結膜炎、角膜炎(上皮型・実質型・内皮型)、強膜炎、上強膜炎、虹彩炎、虹彩萎縮、眼筋麻痺など「多彩な眼合併症」を挙げています[1]。それぞれ発症する時期や経過が異なるとされており、下の表に整理しました。

合併症 特徴とされる時期 受診の目安となる科
結膜炎・上皮型角膜炎 帯状疱疹の急性期に同時に認められることが多く、皮疹の軽快とともに次第に治まっていくことが多いとされる[1] 眼科
実質型角膜炎・強膜炎・上強膜炎 皮疹の発症より遅れて出現することが多く、遷延化・再燃を繰り返すこともあるとされる[1] 眼科
虹彩炎・虹彩萎縮 結膜炎・角膜炎とあわせて起こりうる眼合併症の一つとされる[1] 眼科
眼筋麻痺 物が二重に見える、目が動かしにくいなどの症状につながりうるとされる[1] 眼科

出典:日本皮膚科学会「帯状疱疹診療ガイドライン2025」(2025年)[1]

なお、急性網膜壊死(ぶどう膜炎の中でも網膜に強い炎症が及ぶ重い病態)については、今回参照した日本皮膚科学会のガイドライン本文には具体的な記載が見当たりませんでした。海外の眼科領域の資料では、眼部帯状疱疹に関連しうる重い合併症の一つとして言及されることがありますが[3]、頻度や日本国内での位置づけについては、今回の調査だけでは十分に確認できていません。気になる症状(急激な視力低下、視野が欠ける感覚など)がある場合は、自己判断せず眼科で直接確認することが望ましいと考えられます。特に「見え方が急に変わった」「片目だけ視野の一部が暗く感じる」といった症状は、様子見をせずすぐに眼科へ連絡することが望ましいと考えられます。

ガイドラインは、皮膚科医の立場から次のように注意を促しています。「皮膚科医は眼の症状が初期の時点でないように見えても,あとで眼合併症を生じてくる可能性を説明し,眼科の受診を勧めた方がよい」[1]。つまり、発疹が出た時点で目に症状がなくても、後から眼合併症が出てくることがあるため、皮膚科だけで様子を見るのではなく、眼科にも一度かかっておくことが安全側の選択とされています。

すぐに受診が必要なサイン(皮膚科だけでなく眼科も) — 日本皮膚科学会のガイドラインが挙げる目安

  • 額・生え際・鼻・まぶたの片側に発疹や水ぶくれが出た(同ガイドライン)[1]
  • 鼻の先端や鼻の脇(鼻翼)にも水ぶくれがある(Hutchinson徴候、同ガイドライン)[1]
  • 目が赤い、まぶしい、涙が止まらない、目やにが増えた
  • 視界がかすむ、物が二重に見える、視力が急に落ちたと感じる
  • まぶたが開けにくい、目の周りの動きがおかしいと感じる

日本皮膚科学会のガイドラインによれば、皮疹の範囲がわずかでも、鼻背・鼻尖・鼻翼に及ぶ場合は眼合併症を起こしてくる頻度が高いとされているため[1]、皮膚科と眼科の両方を受診することが勧められています。

治療のタイミング — 抗ウイルス薬は「なるべく早く」が基本

日本皮膚科学会のガイドラインによれば、帯状疱疹の治療の基本は、ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬の全身投与(内服または点滴)です[1]。日本皮膚科学会のガイドラインでは、「抗ウイルス薬の全身投与は皮膚病変出現後なるべく早く開始した方がより高い効果が期待できると報告されており,一般に5日以内に開始すべきである」と述べられています[1]。

一方、目の帯状疱疹(眼部帯状疱疹)に関しては、米国眼科学会(American Academy of Ophthalmology)が発行する専門誌の記事で、発疹出現から72時間以内に抗ウイルス薬による治療を開始することが望ましいとされ、診断確定や眼科受診を待つために治療開始を遅らせるべきではないとされています[3]。同様に米国家庭医学会(AAFP)の資料でも、発症から72時間以内のアシクロビル投与が皮膚病変の治癒を早め、ウイルスの排出を減らし、樹枝状角膜炎や実質性角膜炎、前部ぶどう膜炎の発生率を下げたと報告されています[4]。日本のガイドラインが示す「5日以内」という基準と、海外資料が示す「72時間以内」という基準は、対象とする合併症のリスクや評価の切り口が異なる可能性があり、単純にどちらが正しいと比較できるものではありません。ただし、目に症状が及ぶ可能性がある場合には、より早期の受診・治療開始を目指すという方向性は共通していると考えられます。

目安となる期間 出典 推奨内容
発症後なるべく早く(一般に5日以内) 日本皮膚科学会「帯状疱疹診療ガイドライン2025」[1] 帯状疱疹全般に対する抗ウイルス薬の投与開始の目安
発症後72時間以内 米国眼科学会(AAO)関連資料[3]、AAFP資料[4] 眼部帯状疱疹における抗ウイルス薬開始の望ましいタイミングとして紹介されている目安

出典:日本皮膚科学会「帯状疱疹診療ガイドライン2025」(2025年)[1]/American Academy of Ophthalmology, EyeNet Magazine[3]/American Academy of Family Physicians[4]

使用される抗ウイルス薬としては、アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビル、アメナメビルなどがあり、日本皮膚科学会のガイドラインでは、患者の発症部位、重症度、年齢、基礎疾患の有無、合併症発症リスクの有無などにより薬剤と剤型が選択されるとされています[1]。それぞれの一般的な内服量(成人・腎機能正常時の目安)を下の表にまとめました。

薬剤名 内服の目安 投与期間の目安
アシクロビル 1回800mgを1日5回 7日間[1]
バラシクロビル 1回1,000mgを1日3回 7日間[1]
ファムシクロビル 1回500mgを1日3回 7日間[1]
アメナメビル 1回400mgを1日1回 7日間[1]

出典:日本皮膚科学会「帯状疱疹診療ガイドライン2025」(2025年)[1]。実際の投与量・投与期間は年齢・腎機能・合併症の有無などにより医師が調整するため、この表はあくまで一般的な目安です。

ガイドラインは、アシクロビルやバラシクロビルなど腎排泄型の薬剤について、高齢者や腎機能低下がある患者では血中濃度の上昇により急性腎不全や中枢神経障害(脳症)を引き起こす危険性があるため、eGFRなどを指標に投与量を調整する必要があるとしています[1]。この点からも、自己判断で市販薬などを使うのではなく、必ず医師の診察を受けたうえで薬剤を選んでもらうことが重要だと考えられます。また、同ガイドラインでは、眼部帯状疱疹で眼合併症が確認された場合には、全身投与に加えて眼局所でのステロイド点眼薬などが併用されることがあるとされています[1]。

日本と海外(米国)のガイドライン比較 — 抗ウイルス薬開始のタイミングとワクチン対象年齢

目の帯状疱疹(眼部帯状疱疹)をめぐっては、日本の学会と米国の眼科・公衆衛生関連機関とで、強調点や対象年齢の設定に違いが見られる部分があります。どちらが正しい・間違っているという話ではなく、それぞれの制度や評価の背景が異なるためと考えられます。以下に主な違いを整理しました。

項目 日本(日本皮膚科学会2025年) 米国(AAO・AAFP・CDC)
抗ウイルス薬の開始目安 「一般に5日以内」に開始[1] 眼部帯状疱疹では発症後72時間以内が望ましいとされる[3][4]
帯状疱疹ワクチンの定期接種対象年齢 65歳(2025〜2029年度は70・75・80・85・90・95・100歳となる方も経過措置の対象)[2] CDCは免疫機能が正常な50歳以上の成人に組換えワクチンの接種を勧めている[5]
50歳代での接種 定期接種の対象ではないが、任意接種として50歳から接種可能[2] 50歳以上が推奨の下限年齢とされている[5]

この表からわかる最も大きな違いは、「何歳からワクチンを受けるべきか」という線引きです。米国では50歳という年齢そのものが推奨の起点になっているのに対し、厚生労働省の説明によれば、日本の公的な定期接種(自治体の補助を受けられる仕組み)は65歳が基準となっており、50〜64歳で受ける場合は任意接種(原則自己負担)という扱いになります[2]。日本にお住まいの50歳代の方が「海外では50歳から勧められている」という情報だけを見て混乱しないよう、この制度上の違いを知っておくことは実務的な価値があると考えられます。

帯状疱疹ワクチンによる予防 — 2種類のワクチンと効果の違い

帯状疱疹、そして目の帯状疱疹(眼部帯状疱疹)を含む合併症のリスクを下げる方法として、ワクチン接種があります。厚生労働省によると、2025年度から65歳の方などへの帯状疱疹ワクチンの接種が、予防接種法に基づく定期接種の対象になりました[2]。現在、日本で使われているワクチンには生ワクチンと組換えワクチン(シングリックス)の2種類があるとされています[2]。

種類 接種方法 1年後の予防効果の目安 5年後の予防効果の目安
生ワクチン 皮下に1回接種[2] 6割程度とされる[2] 4割程度とされる[2]
組換えワクチン(シングリックス) 2か月以上の間隔をあけて2回筋肉内に接種[2] 9割以上とされる[2] 9割程度とされる[2]

出典:厚生労働省「帯状疱疹ワクチン」ウェブページ[2]

厚生労働省の説明によれば、帯状疱疹後神経痛(後述するPHN)に対する効果についても、接種後3年時点で生ワクチンは約6割、組換えワクチンは9割以上とされています[2]。眼部帯状疱疹そのものに対するワクチンの予防効果を個別に評価したデータは、今回参照した厚生労働省のページには具体的な記載が見当たりませんでした。ただし、帯状疱疹の発症自体を防ぐ、あるいは重症化を防ぐ効果が示されている以上、眼合併症のリスクを下げる方向に働く可能性は十分にあると考えられます。厚生労働省のページによれば、定期接種の対象年齢や自己負担額は市町村によって異なるため、詳しくはお住まいの市町村や医療機関に確認することが勧められます[2]。

💰 高額療養費制度の自己負担限度額(医療費100万円の例)
自己負担限度額(70歳未満・区分別)— 適用時期に注意
適用時期年収の目安計算式100万円の場合
~2026年7月診療分
現行
年収約370万~770万円(区分ウ) 80,100円+(医療費-267,000円)×1% 87,430円
2026年8月診療分から
見直し後(第1段階)
年収約370万~770万円(区分ウ) 85,800円+1%(PDF原文の表記) 約92,940円<br><small>(編集部試算)</small>
+ 年間上限 53万円(新設)

※「100万円の場合」の金額のうち、現行(~2026年7月)欄は出典PDFに記載の計算例そのものです。2026年8月欄について、出典PDFに印字されているのは「85,800+1%」という表記のみです。1%を乗じる基準額(現行の267,000円に相当する部分)と、100万円の場合の約92,940円は、PDFに印字されておらず、現行制度と同じ計算方法にもとづくJHO編集部試算です。正確な金額は加入されている健康保険組合等にご確認ください。
※ 制度は改定されることがあります。受診・手術の時期によって自己負担額が変わるため、最新の情報は 厚生労働省の高額療養費制度ページで必ずご確認ください。
出典:厚生労働省「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」(令和7年12月16日) (PDF) |JHO確認日:2026-07-16

治った後も続く痛み — 帯状疱疹後神経痛(PHN)と目の周囲の違和感

日本皮膚科学会のガイドラインによれば、帯状疱疹の合併症の中で最も多いとされているのが、帯状疱疹後神経痛(postherpetic neuralgia:PHN)です[1]。発疹や水ぶくれ自体が治った後も、神経の損傷によって痛みだけが長く残ってしまう状態で、ガイドラインでは「痛みの訴えが神経の走行に一致し,針で刺されるような痛み,電気が走るような痛み,焼けるようなひりひりする痛み,しびれの強い痛み,軽微な刺激(衣服が擦れたり,冷風にあたったりする)で増強する」痛みとして説明されています[1]。

眼部帯状疱疹の場合、この神経痛が額や目の周り、頭皮に残ることがあり、眼鏡のフレームが触れる程度の刺激でも痛みが強まることがあるとされています。日本皮膚科学会のガイドラインでは、PHNに対しては薬物療法が推奨される治療法とされ、三環系抗うつ薬や神経障害性疼痛に対する薬剤などが用いられることがあります[1]。なお、ガイドラインの中では「PHNは予防できない」とも述べられている記載があり[1]、痛みが残るかどうかを事前に確実に防ぐ方法は、現時点では確立されていないとされています。だからこそ、そもそも発症・重症化そのものを防ぐワクチンや、早期の抗ウイルス薬治療の意味が大きいと考えられます。治った後の回復の兆候とケア方法を知っておくと、経過を見守るうえで参考になります。

誰がなりやすいか — 年齢・免疫状態とリスク

日本皮膚科学会のガイドラインによれば、帯状疱疹の発症率は50歳代以降で急激に増加し、70歳代に大きなピークがあるとされています[1]。本邦での平均発症率は4.83/千人/年で、50歳未満は2.66〜2.83/千人/年であるのに対し、50歳以上では5.45〜8.48/千人/年と高くなると報告されています[1]。帯状疱疹の50%以上は60歳以上に生じており、80歳までに約30%の人が帯状疱疹を経験すると推定されています[1]。

加齢とともに細胞性免疫が低下することが主な要因とされていますが、日本皮膚科学会のガイドラインでは、そのほかの重要な危険因子として、HIV感染や悪性腫瘍、免疫抑制療法(臓器移植・化学療法・ステロイド療法など)が挙げられています[1]。眼部帯状疱疹に限った年齢分布のデータは、今回参照した資料には具体的な記載が見当たりませんでしたが、帯状疱疹全体の傾向と同様に、高齢になるほど注意が必要になると考えられます。がんの治療中の方や、免疫を抑える薬を使っている方は、額や鼻の片側に違和感を覚えた時点で早めに相談することが望ましいといえるでしょう。

帯状疱疹自体は年々増加傾向にあるとも報告されています。ガイドラインによれば、海外の調査では30年間で64%増加し、日本国内でも1997年から2019年にかけて63.8%増加したとされています[1]。背景としては、高齢化の進行に加えて、悪性腫瘍や自己免疫疾患の治療の変化、臓器移植の増加などが指摘されており、今後さらに帯状疱疹の発症数が増える可能性があるともされています[1]。眼部帯状疱疹も帯状疱疹全体の一部である以上、こうした社会全体の傾向と無関係ではないと考えられますが、眼部帯状疱疹だけを取り出した将来予測については、今回参照した資料には具体的な記載が見当たりませんでした。

なお、帯状疱疹の再発(一度治った後に再び発症すること)自体はまれとされ、危険性は1〜6%程度、長期の追跡調査でもハイリスクの人で5〜6%程度と報告されています[1]。日本国内の報告では6.41%という数値も示されています[1]。再発率がまれである一方で、一度眼部帯状疱疹にかかった経験がある方は、今後もし片側の顔面に違和感が出た場合、念のため早めに医療機関を受診したほうが安心だと考えられます。帯状疱疹全体の危険性やリスク要因についてもあわせて確認しておくと安心です。

似た症状との見分け方 — 単純ヘルペスや毛包炎との違い

額や顔にできる水ぶくれは、必ずしも帯状疱疹だけとは限りません。日本皮膚科学会のガイドラインでは、鑑別すべき疾患として、同じヘルペスウイルスの仲間である単純ヘルペス、毛包炎、ドクガによる毛虫皮膚炎、異汗性湿疹、水疱症などが挙げられています[1]。皮疹だけを見て自己判断するのは難しく、次のような点が受診時の判断材料になるとされています。

特徴 帯状疱疹(眼部帯状疱疹を含む) 単純ヘルペス
発疹の範囲 神経の走行(デルマトーム)に沿って帯状に、片側性に出る[1] 同じ部位に限局して出ることが多い
再発のしやすさ 再発は数%程度とまれとされる[1] 再発を繰り返しやすいとされる[1]
痛みの強さ 神経に沿った強い痛みを伴うことが多い 比較的軽いことが多い

出典:日本皮膚科学会「帯状疱疹診療ガイドライン2025」(2025年)[1]

ガイドラインは、「両疾患では再発頻度,経過が大きく異なる」ため、詳細な問診で同様の皮疹の既往がないかを確認することが診断の助けになるとしています[1]。また、多くの帯状疱疹の症例では皮疹が出現する1週間以内に痛みだけが先行することがあり、この段階では診断が難しいとも述べられています[1]。「なんとなく額や鼻がピリピリする」という段階で受診しても診断がつかないことがありますが、実際に発疹が出てきた時点で再度受診することが勧められます。

なお、耳の周りに水ぶくれが出て、顔の片側が動かしにくくなったり、めまいや耳鳴りを伴ったりする場合は、三叉神経ではなく顔面神経に関わる「Hunt症候群(ラムゼイ・ハント症候群)」の可能性があるとされ、こちらは耳鼻咽喉科が治療の中心になるとされています[1]。目の症状を中心とする眼部帯状疱疹とは受診すべき診療科が異なるため、症状が出ている場所によって「皮膚科+眼科」なのか「皮膚科+耳鼻咽喉科」なのかが変わってくる点も知っておくとよいでしょう。

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治療中・治療後の過ごし方 — コンタクトレンズや周囲の人への配慮

眼部帯状疱疹の治療中は、目そのものに炎症が及んでいる可能性があるため、コンタクトレンズの使用を控え、眼鏡に切り替えることが望ましいと考えられます。目の症状や治療方針については自己判断せず、担当の眼科医の指示に従うことが基本です。まぶしさが強い時期は、外出時にサングラスや帽子で光を和らげる工夫も、快適に過ごすための一つの方法として考えられます。

また、水痘帯状疱疹ウイルスに対する免疫がない人(水ぼうそうにかかったことがない人やワクチン未接種の乳幼児、免疫が低下している人など)と接触すると、水ぼうそうとして感染させてしまう可能性があるとされています。発疹部分を衣服や絆創膏などで適切に覆うことが、感染拡大を防ぐ基本的な対策になると考えられます。職場復帰や登校・登園のタイミングについては、症状の範囲や治癒の状態によって異なるため、担当医と相談しながら決めることが望ましいとされています。療養中の生活上の注意点も、あわせて確認しておくと安心です。

受診の準備 — 眼科と皮膚科、両方でスムーズに話すために

眼部帯状疱疹が疑われる場合、皮膚科と眼科の両方にかかることになる可能性があります。忙しい診察の中で症状をきちんと伝えられるよう、あらかじめ次のような情報をメモしておくと安心です。特に高齢の方や、痛みで気持ちが動揺しているときほど、伝え忘れが起きやすいとされます。家族が付き添う場合は、家族があらかじめメモを取っておき、診察室で医師に手渡す形にすると、限られた診察時間の中でも要点を伝えやすくなると考えられます。

受診前チェックリスト(この用紙を印刷して持参できます)

  • □ 発疹・水ぶくれに最初に気づいた日(何月何日ごろ)
  • □ 痛みやピリピリ感が発疹より前からあったか(あった場合は何日前から)
  • □ 発疹が出ている場所(額/生え際/鼻の付け根/鼻の先や脇/まぶたなど、片側かどうか)
  • □ 目の症状の有無(赤み・まぶしさ・涙・かすみ・見えにくさ・二重に見えるかなど)
  • □ 現在治療中の病気・服用中の薬(特に免疫を抑える薬やステロイドの有無)
  • □ 過去に水ぼうそう・帯状疱疹にかかったことがあるか
  • □ 帯状疱疹ワクチンを接種したことがあるか(いつ、どちらの種類か)
  • □ 医師に聞きたいこと(例:眼科は今日中に受診すべきか/仕事や外出は控えるべきか)

更新日:2026年7月17日。この記事は日本皮膚科学会「帯状疱疹診療ガイドライン2025」および米国の眼科・家庭医学領域の資料、厚生労働省のワクチン関連情報をもとに作成しています。医師の診察に代わるものではなく、あくまで受診前後の理解を助けるための一般的な情報として作成しています。同じ「眼部帯状疱疹」という診断名であっても、発症からの経過日数、皮疹の範囲、免疫状態、既往歴によって重症度や治療方針は大きく異なるとされており、この記事に書かれている目安がそのまま個々の患者に当てはまるとは限りません。急性網膜壊死の眼部帯状疱疹における具体的な頻度や、眼部帯状疱疹に限定したワクチンの予防効果の数値、日本国内における眼部帯状疱疹の正確な発生割合については、今回参照した資料には明確な記載が見当たりませんでした。これらの点について、今後より新しい研究やガイドライン改定が出た場合には、内容を更新する可能性があります。個々の症状の重さや治療方針の判断は、実際に診察した医師の判断によります。内容に誤りや古い情報があるとお気づきの場合は、お問い合わせフォームよりご連絡いただけますと幸いです。

よくある質問

目の帯状疱疹は自然に治りますか?放置してもいいですか?
帯状疱疹そのものは多くの場合、抗ウイルス薬の治療とともに軽快していくとされていますが、眼部帯状疱疹では治療が遅れると角膜炎やぶどう膜炎などの眼合併症につながる可能性があるとされています[1]。自己判断で様子を見るのではなく、額や鼻に発疹が出た時点でなるべく早く皮膚科・眼科を受診することが勧められています。
Hutchinson徴候とは具体的にどこを見ればいいのですか?
鼻の先端(鼻尖)や鼻の脇(鼻翼)に水ぶくれが出ているかどうかを指します。この部位は眼球にも枝を伸ばす鼻毛様体神経の支配領域にあたるため、ここに症状が出ると角膜など眼合併症を起こしやすいとされています[1]。ただし、この徴候がないからといって眼合併症が絶対に起きないというわけではないとされ、皮膚症状全体を見て総合的に判断されます。
目に症状がなくても眼科に行ったほうがいいですか?
ガイドラインでは、皮膚科医は眼の症状が初期時点でなくても、後から眼合併症を生じてくる可能性を説明し、眼科受診を勧めた方がよいとされています[1]。特に発疹の範囲が鼻背・鼻尖に及ぶ場合は、目に症状がまだ出ていなくても眼科を受診しておくことが安全側の選択と考えられます。
抗ウイルス薬はどのくらい早く飲み始めるべきですか?
日本皮膚科学会のガイドラインは、帯状疱疹全般について「一般に5日以内」の開始を推奨しています[1]。眼部帯状疱疹に関しては、海外の眼科領域の資料で発症後72時間以内の開始がより望ましいとされていることがあります[3]。いずれにしても「なるべく早く」が共通した方向性です。
帯状疱疹ワクチンは何歳から受けられますか?
日本では、公的な補助を受けられる定期接種の対象は原則65歳(経過措置対象者を含む)ですが、任意接種としては50歳から接種可能です[2]。米国では50歳以上の免疫機能が正常な成人への接種が推奨されています[5]。対象年齢や費用助成は自治体によって異なるため、お住まいの市町村への確認が勧められます。
生ワクチンと組換えワクチン(シングリックス)はどちらがいいですか?
厚生労働省の情報によると、5年後の予防効果の目安は生ワクチンで4割程度、組換えワクチンで9割程度とされ、組換えワクチンのほうが高い効果が報告されています[2]。ただし、接種回数や対象者の条件(免疫状態など)が異なるため、どちらが適しているかは医師との相談が必要です。
目の周りの痛みが治った後もずっと残ることはありますか?
帯状疱疹後神経痛(PHN)として、発疹が治った後も痛みだけが長く残ることがあるとされています[1]。眼部帯状疱疹では額や目の周りにこの痛みが残ることがあり、薬物療法などで痛みを和らげる治療が行われることがあります。ガイドラインでは、PHN自体を確実に予防する方法は現時点で確立されていないとも述べられています[1]。
妊娠中や授乳中でも抗ウイルス薬を使えますか?
この点は個々の状態によって判断が大きく異なるため、この記事だけで一般論として答えることは適切ではないと考えられます。妊娠中・授乳中の方は、必ず産婦人科医・皮膚科医・眼科医に相談したうえで治療方針を決めることが必要です。
眼部帯状疱疹はうつりますか?周りの人への影響は?
水痘帯状疱疹ウイルスに免疫のない人(水ぼうそうにかかったことがない人やワクチン未接種の乳幼児など)に接触すると、水ぼうそうとして感染させるリスクがあるとされています。発疹部位を適切に覆うことが感染拡大の予防につながるとされていますが、具体的な対応は医師の指示に従うことが望ましいと考えられます。
目の症状がおさまった後も、通院を続ける必要がありますか?
ガイドラインでは、実質型角膜炎のように急性期を過ぎてから生じてくる眼合併症は、皮疹の発症より遅れて出現し、遷延化したり再燃を繰り返したりすることがあるとされています[1]。皮膚の発疹が治っても、眼科での経過観察を医師の指示どおり続けることが望ましいと考えられます。自己判断で通院をやめず、次回受診の予定を必ず確認しておくことが勧められます。

参考文献

  1. 日本皮膚科学会「帯状疱疹診療ガイドライン2025」2025年 https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/guideline/Taijouhoushin2025.pdf
  2. 厚生労働省「帯状疱疹ワクチン」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/vaccine/shingles/index.html
  3. American Academy of Ophthalmology, EyeNet Magazine「Herpes Zoster Ophthalmicus: Pearls for Diagnosis and Treatment」 https://www.aao.org/eyenet/article/herpes-zoster-ophthalmicus-pearls(米国の専門誌記事。参考として掲載。日本国内の対応する記載は参考文献1「帯状疱疹診療ガイドライン2025」を参照)
  4. American Academy of Family Physicians「Evaluation and Management of Herpes Zoster Ophthalmicus」American Family Physician, 2002 https://www.aafp.org/pubs/afp/issues/2002/1101/p1723.html(米国の専門誌記事。参考として掲載。日本国内の対応する記載は参考文献1「帯状疱疹診療ガイドライン2025」を参照)
  5. Centers for Disease Control and Prevention「Shingles Vaccine Recommendations」 https://www.cdc.gov/shingles/hcp/vaccine-considerations/index.html(2026年7月アーカイブ)
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本記事はAI技術を活用し、厚生労働省・WHO等の公的医療機関の情報に基づいて作成されています。医療専門家による個別の監修は受けておりません。健康上の判断や治療については、必ず医師にご相談ください。詳しくは編集ポリシーをご覧ください。

Trinh Van Dieu

Trinh Van Dieu

ITエンジニア(17年)・Japanese Health 運営者

ベトナム在住のITエンジニア。17年の技術経験を活かし、日本の公的医療機関の情報をAI技術で整理・発信しています。

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