目の疲れの原因は?意外に見落としがちな7つの要因
眼の病気

目の疲れの原因は?意外に見落としがちな7つの要因

はじめに

目の奥や表面に生じる痛みや不快感は、日常生活を送るうえで非常に気になる症状の一つです。視野がかすんだり、まぶしさを強く感じたりすると、集中力が途切れたり作業効率が落ちたりすることもあります。さらに、頭痛や鼻の奥の不快感などを伴う場合、何か深刻な病気のサインではないかと心配になる方も少なくありません。本記事では、目の痛み(「目が重い」「ズキズキする」「目の奥が押されるように痛む」など)に関わる代表的な原因や、それぞれに合った対処法についてまとめます。実際に日常生活でよく見られる症例や、医学的知見に基づく研究結果もあわせて紹介します。目の不調を和らげるヒントとして、ぜひ最後までご覧ください。

免責事項

当サイトの情報は、Hello Bacsi ベトナム版を基に編集されたものであり、一般的な情報提供を目的としています。本情報は医療専門家のアドバイスに代わるものではなく、参考としてご利用ください。詳しい内容や個別の症状については、必ず医師にご相談ください。

専門家への相談

本記事の内容は、実際に医療機関で診察にあたる専門家の見解や、信頼性の高い学術文献をもとに整理しています。特に、医学的根拠を重視して目の構造や眼病について解説するために、多くの医療ウェブサイト(All About Vision, Mayo Clinic, Cleveland Clinic, MedlinePlusなど)で提供されている情報を参照しています。また、Tham vấn y khoa: Bác sĩ Nguyễn Thường Hanh, Internal Medicine – Bệnh Viện Đa Khoa Tỉnh Bắc Ninhの協力に基づき、目の痛みに対する一般的なアドバイスや注意点にも触れています。ただし、最終的な診断や治療法の決定は必ず医療従事者の指示を仰いでください。

目の表面が痛む主な原因

まずは、目の「表面」に不快感や痛みを感じる場合の代表的な原因と、その背景を詳しく見ていきましょう。目の表面に痛みが生じるケースは比較的多く、軽い刺激で終わることもあれば、角膜のトラブルや感染症など深刻な症状に発展することもあります。以下で取り上げるいずれの原因も、放置すると悪化するリスクがありますので、疑わしい症状があれば早めに受診することが大切です。

1. 目に異物が入っている

砂やほこり、まつ毛、メイク用品の粉、金属片や木屑など、小さなゴミが目に入ると、目の表面(角膜や結膜)が刺激されて痛みが生じます。

  • 症状の特徴: チクチク、ゴロゴロする感じ、目が充血する、涙が出て止まらない、まぶしさを感じることがある
  • 対処のポイント: 異物を取り除くためには、生理食塩水や水道水で目をそっと洗い流すことが多いです。強くこすらないよう注意が必要です。

2. 角膜のすり傷(角膜びらん)

角膜はとても薄い透明の組織で、外部からの衝撃や乾燥などで簡単に傷がついてしまいます。軽微な角膜の傷であれば、24時間程度で自然に治癒する場合もありますが、傷の深さによっては感染症を引き起こし、角膜潰瘍(潰瘍が角膜にできる状態)にまで進行してしまうこともあります。

  • 症状の特徴: 強いまぶしさ、涙が止まらない、傷の深さによっては激しい痛み
  • 医学的見解: 角膜の浅い傷なら比較的早期に改善が期待できますが、自分では浅いか深いか判別しづらいことがあります。よって、違和感が長く続く、視力低下がある、光がやけにまぶしいと感じる場合は早めに眼科を受診することが重要です。

3. ドライアイによる痛み

パソコンやスマートフォンを長時間見つめていると、まばたきの回数が減り、目の表面が乾燥しやすくなります。これがドライアイの大きな原因の一つと考えられています。ドライアイは日常的な疲れ目のほか、角膜のダメージへとつながり、結果的に強い痛みを訴えるケースもあります。

  • 症状の特徴: 目が重い、ゴロゴロする、かすみ目、視界がぼやけやすい
  • 新しい研究知見: 2022年、JAMA Ophthalmology誌に掲載されたBunya VYらによる研究(doi:10.1001/jamaophthalmol.2021.6320)では、ドライアイ症状を抱える方の中に慢性的な痛みを伴う症候群(肩こりや筋骨格系の痛みなど)との関連が指摘されました。この研究の対象は多くのアメリカ人男女で、日本人にも同様の傾向が見られる可能性があると考えられています。つまり、目の乾燥が慢性痛とも結びつきうる点で注意が必要だということです。

4. 結膜炎(いわゆる「痛みを伴う目の充血」)

結膜炎は、目の表面を覆っている結膜が炎症を起こす状態です。原因はウイルスや細菌、アレルギーなど多岐にわたります。

  • 症状の特徴: 軽度の痛みやゴロゴロ感、強い充血、目やにが多くなる、かゆみなど
  • 注意点: 痛みが軽くても感染性結膜炎の場合は他人に感染する可能性があるため、手洗いの徹底やタオルの共用を避けるなどの予防が重要です。

5. 角膜や結膜の化学的ダメージ(熱傷・化学物質)

酸やアルカリなどの強い化学物質、または溶接時に発生するアーク光(溶接光)に直接目がさらされると、角膜が「火傷」のような状態になります。

  • 症状の特徴: 強烈な痛み、視力低下、涙が止まらない
  • 対策: すぐに大量の水や生理食塩水で目を洗い流し、直ちに眼科受診が必要です。

6. まぶたの縁の炎症(麦粒腫・霰粒腫や瞼縁炎)

まぶたの縁には油分を分泌する腺がありますが、そこが細菌感染などを起こすと腫れや痛みを伴う炎症を引き起こします。日本語では「ものもらい」と呼ばれる麦粒腫(ばくりゅうしゅ)が典型的です。瞼縁炎ではまぶたの縁全体が赤くなり、かゆみや痛み、目脂の増加が起こります。

7. コンタクトレンズの装用トラブル

コンタクトレンズの装用時間が長すぎる、レンズのケアが不十分、就寝時に装用してしまうなどの要因で角膜がダメージを受けることがあります。そこに細菌感染が加わると、角膜潰瘍など重篤化する可能性もあり要注意です。

  • 症状の特徴: レンズを入れた瞬間の痛み、ゴロゴロ感、視界の曇り
  • 対策: レンズの使用時間を守り、正しい方法で洗浄・保存を行うこと。違和感が強い場合は早めに眼科を受診しましょう。

目の奥が痛む主な原因

次は、目の奥やまぶたの裏側が突き刺されるように痛い、ズキズキする、頭痛や鼻の奥の重みが同時に感じられるようなケースについて解説します。こうした「深部」の痛みは、単なる表面刺激とは異なる要因が潜んでいる可能性があります。

片頭痛(偏頭痛)

片頭痛を持つ人の中には、「頭の片側がズキンズキンと痛む」と同時に「同じ側の目の奥が痛む」「目が開けづらい」といった症状を訴えるケースがよくあります。

  • 症状の特徴: 一側性(片側性)の激しい痛み、吐き気を伴うこともある、光や音に敏感になる
  • 研究報告: 2022年にLancet Neurology誌で発表されたStovner LJらの研究(doi:10.1016/S1474-4422(21)00314-2)では、世界規模で頭痛や片頭痛に苦しむ人が増加傾向にあるとされます。日本でも片頭痛の有病率は決して低くなく、職場や家庭でも大きな支障をきたす場合があります。頭が痛いときに目を強くつぶる、あるいは視覚過敏によって余計に目が疲れることが、目の奥の痛みにつながっているとも考えられています。

副鼻腔炎

鼻の周囲には複数の副鼻腔があり、ここが炎症を起こすと膿や分泌物による圧がかかり、目の周辺にも痛みが広がることがあります。特に、頬骨の近くにある上顎洞の炎症が強い場合、目の下あたりを中心に痛みを感じる方が多いようです。

  • 症状の特徴: 鼻づまり、鼻水(色や粘度が変化)、顔面の圧迫感、頭痛、目の奥の重さ
  • 注意点: 副鼻腔炎が慢性化すると長引く痛みの原因となります。アレルギー体質や風邪をひきやすい方は、早めの受診が重要です。

視神経炎

視神経は、目と脳をつなぐ大事な神経です。この視神経に炎症が起こると、目を動かすだけで痛みが増し、視力低下や色の識別が難しくなることがあります。自己免疫疾患や多発性硬化症などに関連して起こる場合も報告されています。

  • 症状の特徴: 目を動かすと痛い、中心視力の低下、色覚異常
  • 重症化のリスク: 放置すると視野欠損や失明につながる可能性があるため、早急な診断と治療が求められます。

緑内障

眼球内の圧(眼圧)が高まって、視神経が圧迫されることで起こるのが緑内障です。主に視野が徐々に狭くなる病気として知られていますが、急性期には目の奥の激しい痛みや吐き気、強い頭痛を引き起こすことがあります。

  • 症状の特徴: 視野が狭くなる、目が充血する、まぶしさや光のにじみを感じる、吐き気・嘔吐
  • 注意点: 緑内障は進行すると失明につながるリスクがあります。定期的な眼圧検査や視野検査など、眼科受診による早期発見・早期治療が不可欠です。

目が痛いときのセルフケアと治療の選択肢

目の痛みは、程度や原因によって対処法が大きく異なります。「ただの疲れ目かも」と放置していて、実は重大な疾患が隠れているケースもあるため、適切なケアと受診のタイミングを押さえておくことが大切です。

  • 十分な休息をとる
    長時間のデスクワークやスマートフォンの使用を続けると、まばたきの回数が減りドライアイを招きやすくなります。目が痛いと感じたら、少なくとも1日程度はパソコンやスマートフォン作業を減らし、目を休めましょう。コンタクトレンズを使用している場合も、症状が落ち着くまではメガネに切り替えるなど、負担を軽くする工夫が必要です。
  • 温湿布や冷湿布でリラックス
    炎症による赤みや痛みがある場合は、蒸しタオルや温かいアイマスクで血行を促進すると和らぐことがあります。一方、アレルギーや結膜炎などによる充血が強い場合は、冷やして炎症をしずめるのが有効な場合もあります。どちらが適切か判断がつかない場合は眼科で相談しましょう。
  • 異物の除去
    目にゴミやまつ毛などが入ったときは、強くこすったりするのではなく、水や生理食塩水でやさしく洗い流します。それでも違和感が続くときは無理をせず眼科を受診してください。
  • 投薬治療
    細菌感染による結膜炎や角膜炎の場合は、抗生物質の点眼薬や軟膏が処方されることがあります。また、花粉症などアレルギー性の症状が絡む場合には、抗アレルギー薬の内服や点眼薬が選択されます。痛みがあまりに強い場合は鎮痛薬が処方される場合もあります。
  • 手術による治療
    極めてまれなケースですが、角膜に大きな傷を負った場合や異物による深刻なダメージがある場合、または緑内障の進行が止まらない場合などでは手術が検討されることがあります。一般的に、急性の緑内障にはレーザー治療などによる眼圧コントロールが行われることが多いです。

目の痛みを予防する生活習慣

目の痛みを予防し、健康な視力を保つためには、日頃からのセルフケアや習慣づくりが大切です。以下は日本で日常的に実践しやすい予防策の例です。

  • 休憩をこまめにとる
    在宅勤務やオフィスワーク、あるいは家庭内でのスマホ使用が増えがちな現代、1時間に1回ほど画面から目を離し、遠くを見たりまばたきを意識したりする時間を作ることが効果的です。
  • 適切な室内環境
    特に冬場は暖房により空気が乾燥しがちです。加湿器を使う、部屋を適度に換気するなどして、目の乾燥を防ぐようにしましょう。
  • 栄養バランスのとれた食事
    ビタミンAやオメガ3脂肪酸などは目の健康を維持するうえで注目されています。魚や緑黄色野菜を中心とした食事を心がけるとよいでしょう。
  • 定期的な眼科健診
    日本では企業の健康診断や市区町村の検診を活用して、目の状態をこまめに確認できます。特に緑内障や加齢黄斑変性などは早期発見が予後を左右しますので、40代以降はより注意して受診を検討してください。

総合的なまとめと注意点

目の痛みには多様な原因があり、角膜への軽微な傷から深刻な疾患まで多岐にわたります。表面的な痛み(異物感、ドライアイ、結膜炎など)と、目の奥や頭痛を伴う痛み(片頭痛、副鼻腔炎、視神経炎、緑内障など)では原因や治療方法が大きく異なるため、痛みのタイプを自分で把握するのはもちろんのこと、早めに専門家の意見を仰ぐことが大切です。

  • 症状が軽度で、短期間で改善するなら様子見も可能です。
  • 視力低下や激しい痛み、充血、吐き気、頭痛が強い場合は速やかに眼科を受診してください。
  • 眼病の多くは早期発見・早期治療が鍵です。定期的な検査が予防や進行抑制につながります。

また、最近の研究ではドライアイが慢性疼痛症候群と関連する可能性が示唆されるなど、目の不調は全身的な健康や生活の質にも影響することがわかってきています。一方、片頭痛による目の奥の痛みは、ストレスや睡眠不足とも関連が深く、生活習慣の見直しが必要になる場合もあります。これらを踏まえ、自己判断だけに頼らず、医師の診察や専門家のガイドラインを参考にすることが大切です。

医療上の助言に関する免責および推奨

本記事の内容は、信頼できる医療情報源や専門家の知見をもとにした参考情報であり、最終的な診断や治療法を指示するものではありません。症状に不安がある場合や、自己判断で目薬・内服薬を使用しても改善しない場合は、眼科専門医やかかりつけ医に相談してください。また、日常的に目の痛みや疲れを感じる方は、定期検診や生活習慣の改善など、総合的なアプローチを検討することが望ましいです。


参考文献


本記事はあくまで参考情報を提供するものであり、専門家による正式な医療アドバイスの代わりにはなりません。気になる症状や長引く違和感がある場合は、できるだけ早めに医療機関を受診し、医師の診断を仰ぐようにしてください。

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