寝ても寝ても眠い、その原因は?睡眠の質から隠れた病気まで、あなたの疑問に答える完全ガイド
この記事でわかること
目次
- なぜ?寝ても寝ても眠い… その悩み、あなただけではありません — 「過眠」とは何か
- どのくらいの人が悩んでいるのか — 年代別のデータ
- 過眠の原因となる4つの系統 — 頻度の目安
- 第1部:生活習慣と環境の見直し — 最も身近な眠気の原因(系統①・②)
- 系統③:脳の覚醒機能そのものが低下する「過眠症」
- 第2部:身体の内部要因 — 食事、ホルモン、隠れた不調(系統④:甲状腺機能低下症と鉄不足)
- 過眠症(ナルコレプシー)は日本人に多い — 世界の疫学データとの比較
- 第3部:専門的な診断が必要な睡眠障害と精神疾患 — 気分の落ち込みを伴う場合(うつ病との関係)
- 不眠症との違い — 「眠れない」と「寝ても眠い」は別の問題
- 眠気を悪化させている「隠れた要因」— 薬・カフェイン・生活リズム
- 第4部:今日から始める改善アクションプラン — 運動・入浴・光の浴び方
- 「睡眠負債」という考え方 — 少しずつ積み重なる眠気
- チェック早見表 — 症状から考えられる系統をしぼる
- 専門機関に相談することの意味 — 一人で抱え込まないために
- 受診をためらう人へ — 「気のせい」で片づけないために
- 結論:あなたの眠気は、心と身体からの重要なメッセージです — 「寝ても寝ても眠い」への向き合い方
- よくある質問
- 参考文献
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十分な睡眠時間をとっているのに日中の強い眠気がとれない状態は、医学的に「過眠」と呼ばれ、単なる寝不足とは別の原因が隠れていることがあります。(厚生労働省)[1]
厚生労働省の調査では、成人の34.8%が「週3回以上、日中に眠気を感じる」と回答しており、特に20代で多く見られます[1]。原因は睡眠不足だけでなく、睡眠時無呼吸症候群・過眠症・甲状腺機能低下症・鉄不足(隠れ貧血)など、検査で見つかる病気が背景にあることもあります。学業・仕事に支障が出るほどの眠気が続く場合は、早めに医療機関(睡眠外来・内科・精神科)へ相談することが勧められています。
要点まとめ
- 日中に週3回以上の眠気を感じる人は成人の34.8%、20代では43.6%にのぼる(厚生労働省)[1]
- 「寝ても眠い」原因は大きく分けて①睡眠不足症候群②睡眠の質の低下(睡眠時無呼吸症候群など)③脳の覚醒機能低下(過眠症)④他の病気(甲状腺機能低下症・隠れ貧血など)の4系統(厚生労働省)[1]
- 睡眠時無呼吸症候群は1時間あたり10秒以上の呼吸停止が20回以上で中等症・重症とされ、放置すると心筋梗塞・脳梗塞のリスクが上がる(厚生労働省)[4]
- 慢性不眠症は成人の約10%にみられ、60歳以上では半数以上が不眠症状を経験する(厚生労働省)[3]
- 居眠り運転や大事故につながる眠気、体重増加や物忘れを伴う眠気は自己判断せず受診が必要(厚生労働省)[2]
編集方針:本記事はJHO編集部がAIツールの支援を受け、厚生労働省(e-ヘルスネット・重篤副作用疾患別対応マニュアル・働く女性の心とからだの応援サイト)・日本睡眠学会などの公的情報源と照合のうえ作成しました。最終確認は人の目で行っています。医師による個別の診断・治療の代わりにはなりません。数値や基準はガイドラインの改定により変わることがあります。最終更新日:2026年7月19日。誤りや古い情報にお気づきの際は、下記の参考文献と照らし合わせてお知らせください。事実を確認のうえ訂正します。
🔧 眠気の原因をしぼり込む3つの質問
「寝ても寝ても眠い」と感じたとき、まず何から確認すればよいか迷う人は多いはずです。以下の3つの質問は、厚生労働省のe-ヘルスネットが示す過眠の原因の分類(睡眠不足そのもの・夜間睡眠の質低下・脳の覚醒機能低下)をもとに、JHO編集部が整理した目安です[1][2]。診断そのものを行うものではなく、次にどの情報を詳しく読めばよいか、どの診療科に相談すればよいかの入口として使ってください。
- Q1. いびきや呼吸停止を指摘されたことがあるか? → ある場合は睡眠時無呼吸症候群の可能性を検討(下記「危険なサイン」参照)
- Q2. 平日と休日で睡眠時間が2時間以上違うか? → 大きく違う場合は睡眠不足症候群の可能性
- Q3. 会話中・食事中など通常では考えられない場面でも眠り込むか? → 頻繁にある場合は過眠症(ナルコレプシーなど)の可能性があり、専門機関での検査が必要(厚生労働省)[2]
いずれも自己判断のための目安であり、確定診断ではありません。当てはまる場合は日本睡眠学会の睡眠医療認定医や、内科・精神科・脳神経内科への相談が勧められています[3]。
なぜ?寝ても寝ても眠い… その悩み、あなただけではありません — 「過眠」とは何か
厚生労働省のe-ヘルスネットによれば、夜間に十分な睡眠をとっているはずなのに、日中に目覚めていられないような病的な眠気がみられることを「過眠」といいます[2]。健康な人でも午後の早い時間帯には体内時計の働きで眠気が出ますが、意志の力で目覚めていられるのが通常です。いくらがんばっても目覚めていられない場合は、病的な眠気と考えられます(厚生労働省)[1]。
過眠があると、学業や仕事の能率が落ちるだけでなく、居眠り運転事故や転落・転倒などの事故につながりやすくなります。過眠の背景には、すぐに治療が必要な睡眠時無呼吸症候群などの病気が隠れていることがあるため、専門機関での検査・治療が必要とされています(厚生労働省)[2]。
今の血圧・脈拍を確かめる
数値を入れると、日本高血圧学会の血圧値の分類と「次にすること」を表示します。記録はこの端末の中だけに保存され、登録は不要です。
身長と体重からBMIも調べる
血圧手帳(この端末に保存)
これは診断ではありません。入力された数値を日本高血圧学会の血圧値の分類(高血圧の基準は診察室 140/90mmHg以上・家庭 135/85mmHg以上)に当てはめて「受診の目安」を機械的に示すもので、医師の診察に代わるものではありません。日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、降圧目標は年齢によらず診察室 130/80mmHg未満・家庭 125/75mmHg未満とされています。脈拍の目安は学会の分類ではなく一般的な参考範囲です。
どのくらいの人が悩んでいるのか — 年代別のデータ
令和元年に、全国から無作為に抽出した20歳以上の成人約5,700人を対象に厚生労働省が実施した国民健康・栄養調査によれば、「この1ヵ月間に、週3回以上、日中に眠気を感じた」人は、34.8%にのぼりました。年代別にみると20代がもっとも多く43.6%、その後は年齢が高くなるにつれて眠気を感じる人の割合は減少していきますが、70歳以上の年代でも31.1%が眠気を感じていたと報告されています[1]。
この結果は、「寝ても寝ても眠い」という悩みが特定の年代だけのものではなく、若い世代から高齢世代まで、性別や仕事の有無を問わず、非常に幅広い人々の間で経験されていることを示しています。特に20代で割合が高いのは、学業・仕事・SNS利用などによる慢性的な睡眠不足(睡眠不足症候群)が関係していると考えられますが、原因は睡眠不足だけでなく、睡眠の質が低下する睡眠障害、持病のために服用している薬剤の副作用、うつ病などの精神疾患などでも眠気が出現することがあるとされています(厚生労働省)[1]。年代にかかわらず、生活スタイルを見直すとともに、眠気が強い場合には診察や検査を受けて必要な治療を受けることが大切だとされています(厚生労働省)[1]。
過眠の原因となる4つの系統 — 頻度の目安
| 系統 | 代表的な状態・病気 | 特徴 |
|---|---|---|
| ①睡眠不足そのもの | 睡眠不足症候群 | 平日の睡眠時間が3〜5時間程度と短く、休日に9〜10時間の「寝だめ」がみられる。寝だめでは疲労は完全に解消しない(厚生労働省)[1] |
| ②夜間睡眠の質低下 | 睡眠時無呼吸症候群・むずむず脚症候群 | 睡眠時間は確保できていても、呼吸停止や脚の不快感で深い睡眠が妨げられる(厚生労働省)[1] |
| ③脳の覚醒機能低下 | 過眠症(ナルコレプシー・特発性過眠症) | 夜に十分眠っていても日中に強い眠気が出て居眠りする。ナルコレプシーはオレキシンという神経伝達物質が作られなくなることで起こる(厚生労働省)[2] |
| ④他の病気に伴う眠気 | 甲状腺機能低下症・鉄欠乏(隠れ貧血)・うつ病・薬の副作用 | 甲状腺ホルモン不足では「いつも眠い」「動作がおそい」などの症状が現れる(厚生労働省)[6]。鉄不足では貯蔵鉄(フェリチン)の低下から始まり、だるさ・めまいなどが先行する(厚生労働省)[7] |
出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「昼間の眠気」「過眠」[1][2]、厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル 甲状腺機能低下症」[6]、厚生労働省 働く女性の心とからだの応援サイト「隠れ貧血の問題」[7]
第1部:生活習慣と環境の見直し — 最も身近な眠気の原因(系統①・②)
睡眠不足が長期間続くと、慢性的な眠気や認知パフォーマンスの低下、気分の不安定さなど生活にさまざまな支障が出てきます。この状態は「睡眠不足症候群」と呼ばれ、平日の睡眠時間が3〜5時間と短く、週末に9〜10時間の長い寝だめがみられるのが特徴です。寝だめによって一時的に眠気が解消されても、自律神経やホルモン分泌、代謝、認知機能への悪影響のすべてを解消することはできません(厚生労働省)[1]。
数日程度の睡眠不足では眠気をはっきりと自覚できますが、睡眠不足が長引くと、むしろ眠気を自覚しにくくなることが明らかになっています。特に運転や危険作業に従事する人は要注意です。また子どもの場合は、眠気を自覚できず、やる気や自発性の低下・注意力や集中力の低下・学業成績の低下・イライラ・落ち着きのなさ・衝動性や攻撃性の高まりなど、行動面の問題として現れることがあるとされています(厚生労働省)[1]。「大人しくなった」「成績が下がった」といった変化も、背景に睡眠不足が隠れていることがあります。
夜間睡眠の質が低下するため日中に眠気が出る病気の代表が、閉塞性睡眠時無呼吸です。睡眠中に呼吸が止まって身体が酸欠状態になるため、息苦しくなって眠りが浅くなる、または途中で目が覚めてしまいます。睡眠時間がある程度確保できても、睡眠の質が悪いため昼間の眠気が出現します(厚生労働省)[1]。
🚦 睡眠時無呼吸症候群(SAS)— 放置してはいけない理由
睡眠時無呼吸症候群は眠り出すと呼吸が止まってしまう病気です。呼吸が止まって血液中の酸素濃度が低下するため、酸素濃度を補おうと心臓の働きが強まり高血圧になります。酸素濃度の低下により動脈硬化も進み、心筋梗塞や脳梗塞を起こしやすくなります。さらに睡眠不足によるストレスで血糖値やコレステロール値が高くなり、生活習慣病やメタボリック・シンドロームが引き起こされます(厚生労働省)[4]。
1時間あたり10秒以上の呼吸停止が20回以上出現するような中等症・重症の睡眠時無呼吸症候群を放置すると、心筋梗塞・脳梗塞・生活習慣病・眠気による事故などを引き起こし、死亡率が非常に高くなるため、すぐに治療が必要です。ひどいイビキ、睡眠中の呼吸停止がある場合には、速やかに専門の医療機関で検査・治療を受けることが大切とされています(厚生労働省)[4]。
また、むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)は、入眠前の安静時に手脚(特に脚)に「むずむず」「ざわざわ」「ひりひり」するような不快感が出るのが特徴で、手脚を動かさずにいられない衝動から寝つきが悪くなったり、眠っても休養がとれた感覚がなくなったりします(厚生労働省)[1]。
系統③:脳の覚醒機能そのものが低下する「過眠症」
脳を覚醒させる機能が低下するため眠気が出る病気の代表が過眠症です。夜に十分な睡眠をとっていても昼間に眠気に襲われ、居眠りしてしまいます。過眠症の一つであるナルコレプシーは、目を覚まし続ける役割をもつ「オレキシン」という神経伝達物質を作り出すことができなくなることによって起こるとされています(厚生労働省)[2]。
入学試験や商談中など、通常では考えられない状況でも居眠りをしてしまうことがあり、居眠りや集中力低下によって学業や仕事に支障が出るだけでなく、居眠り運転など深刻な事故につながることもあります(厚生労働省)[1]。昼間に強い眠気があり、居眠りなどで学業や仕事に支障がある場合は、睡眠障害専門の医療機関を受診して必要な検査・治療を受けることが大切です(厚生労働省)[2]。
第2部:身体の内部要因 — 食事、ホルモン、隠れた不調(系統④:甲状腺機能低下症と鉄不足)
厚生労働省の「重篤副作用疾患別対応マニュアル」では、甲状腺機能低下症の早期発見のポイントとして「甲状腺腫(首もとの腫れ)」「やる気がおこらない」「疲れやすい」「まぶたが腫れる」「寒がり」「体重の増加」「動作がおそい」「いつも眠い」「物忘れが多い」「便秘」「かすれ声」などの症状を挙げています。血液中の甲状腺ホルモンが減って新陳代謝が悪くなることで、これらの症状があらわれるとされています(厚生労働省)[6]。
甲状腺機能低下症は、他の病気の治療薬が原因で起こることもあります。厚生労働省の同マニュアルでは、不整脈治療薬のアミオダロン、ヨウ素を主成分とする造影剤やうがい薬、リチウム製剤、インターフェロン製剤、がんの分子標的薬(チロシンキナーゼ阻害薬)、免疫チェックポイント阻害薬などで甲状腺機能低下症が起こることがあると説明されています。また、甲状腺ホルモン薬を服用中の患者が抗てんかん薬を併用すると、薬の種類によっては甲状腺ホルモン薬の代謝が速まり症状があらわれることがあるほか、鉄剤やアルミニウム含有の制酸剤と同時に服用すると甲状腺ホルモン薬の吸収が悪くなる恐れがあるとされています(厚生労働省)[6]。現在治療中の病気があり薬を服用している人で、原因不明の強い眠気が続く場合は、自己判断で服薬を中断せず、医師・薬剤師に相談することが大切です。
一方、鉄不足(隠れ貧血)については、厚生労働省の「働く女性の心とからだの応援サイト」の専門家コラムが詳しく解説しています。鉄は細胞内でエネルギーを作り出し、脳の神経伝達物質(セロトニン・ノルアドレナリン・ドーパミンなど)を作るためにも重要な役割を担っており、鉄不足があるとエネルギー不足から脳神経の不調が起き、「疲れが取れにくくだるい」「めまい」「たちくらみ」などの症状が生じるとされています(厚生労働省)[7]。
同コラムでは、通常の血液検査で測定するヘモグロビン(Hb)が減少するのは貧血のかなり後期であり、その前段階として貯蔵鉄の指標である「フェリチン」がまず減少すると説明されています。フェリチンの基準値は検査機関によって幅がありますが、目安として男性で20〜250ng/ml、女性で5〜120ng/mlとされ、この範囲でも低めの場合は「隠れ貧血(潜在性貧血)」が疑われるとされています(厚生労働省)[7]。
同コラムの執筆者(医師)は、欧米では女性でもフェリチンの正常値を100ng/ml以上とする基準があり、この基準に照らすと生理のある日本人女性の多くが鉄不足に該当しうる可能性がある、という見解を示しています。あくまで同コラム執筆者個人の臨床経験に基づく見解として、心身の調子を整えるうえでフェリチンは少なくとも50ng/ml以上、できれば100ng/ml以上を目安にするとよい、とも述べられています(厚生労働省)[7]。これは日本国内で統一された診断基準ではなく、専門家コラムとしての見解である点に注意してください。
フェリチンの基準値・カットオフ値は検査機関やガイドラインによって幅があり、日本国内で年齢・性別ごとに統一された厳密な閾値については、今回参照した資料には記載が見当たりませんでした。血液検査の結果の解釈は、担当医療機関の基準値に沿って確認してください。
過眠症(ナルコレプシー)は日本人に多い — 世界の疫学データとの比較
過眠の原因としてナルコレプシーを心配する人は多いものの、日本睡眠学会の診断・治療ガイドラインによれば、病的な眠気を生じる睡眠障害の頻度としては、睡眠不足症候群や閉塞性睡眠時無呼吸症候群に比べるとナルコレプシーの頻度は明らかに低く、稀な病気と位置づけられています[8]。
一方で、有病率の国際比較には注目すべき特徴があります。同ガイドラインでは、世界の有病率の平均は2000人に1人(0.05%)とされているのに対し、日本人の有病率は0.16%(600人に1人)で世界で最も高く、米国やEUでは0.04〜0.06%という報告があるとまとめられています[8]。
出典:日本睡眠学会「ナルコレプシーの診断・治療ガイドライン」疫学の章(Partinen M, Hublin C: Epidemiology of Sleep Disorders §52 In Principles & Practice of Sleep Medicine e-edition 2005 のデータをもとに作成)(日本睡眠学会)[8]
同ガイドラインは、調査方法や診断基準が国によって標準化されていないため、地域差の解釈には注意が必要であり、本格的な疫学調査が今後も必要だと述べています[8]。つまり「日本人はナルコレプシーになりやすい」と単純に結論づけるより、「日本は診断・報告体制が比較的進んでいる可能性がある」ことも含めて考える必要があります。いずれにせよ、稀な病気ではあっても、「眠っても眠っても耐えられない眠気」が続き、日常生活に支障が出るほどの居眠りを繰り返す場合は、自己判断で様子を見るのではなく、睡眠障害を専門とする医療機関での検査(終夜睡眠ポリグラフ検査・反復睡眠潜時検査など)が選択肢になります。
第3部:専門的な診断が必要な睡眠障害と精神疾患 — 気分の落ち込みを伴う場合(うつ病との関係)
厚生労働省のe-ヘルスネット「不眠症」では、多くのこころの病気は不眠を伴い、近年はうつ病にかかる人が増えているため、単なる不眠・眠気だと思っていたら実はうつ病だったというケースも少なくないと説明されています。不眠症状や過眠症状(眠気)とともに、気分の落ち込みや意欲減退(何事も億劫に感じる)、興味の減退(趣味が手につかない)などの症状がみられる場合には、早めに専門医(精神科・心療内科)を受診することが勧められています(厚生労働省)[3]。
「寝ても寝ても眠い」という訴えの背景に、気分の落ち込みや意欲低下が伴っていないかを振り返ることは、原因をしぼり込むうえで重要な視点の一つです。過眠だけを切り離して市販薬などで対処しようとすると、背景にある病気の発見が遅れる可能性があります。
不眠症との違い — 「眠れない」と「寝ても眠い」は別の問題
不眠症とは、入眠障害(寝つきが悪い)・中途覚醒(眠りが浅く途中で何度も目が覚める)・早朝覚醒(早朝に目覚めて二度寝ができない)などの睡眠問題があり、そのために日中に倦怠感・意欲低下・集中力低下・食欲低下などの不調が出現する病気です(厚生労働省)[3]。「寝ても寝ても眠い(過眠)」とは症状の現れ方が異なりますが、両者が併存することもあります。
一般成人の30〜40%が何らかの不眠症状を有しており、女性に多いことが知られています。不眠症状のある方のうち、慢性不眠症は成人の約10%にみられ、加齢とともに増加し、60歳以上では半数以上の方で認められます。実際、日本では成人の5%が不眠のため睡眠薬を服用しているとされ、不眠症は特殊な病気ではなく「よくある普通の病気」と位置づけられています(厚生労働省)[3]。
特に大事なのは、不眠症状を伴う睡眠時無呼吸症候群・むずむず脚症候群・周期性四肢運動障害・うつ病による不眠や過眠などとの誤診を避けることです。これらの特殊な睡眠障害にはそれぞれの治療法があり、通常の睡眠薬では治らないため、専門施設での検査・診断が必要とされています(厚生労働省)[3]。
第5部:専門家への相談 — いつ、どこで、どのように? 🚦 受診の目安 — こんな時は先延ばしにしない
- 会話中や食事中、運転中など危険な場面でも強い眠気に襲われる(厚生労働省)[1]
- いびきや呼吸停止を家族に指摘されている(厚生労働省)[4]
- 「いつも眠い」に加えて体重増加・動作の緩慢さ・むくみ・便秘・かすれ声がある(甲状腺機能低下症の可能性)(厚生労働省)[6]
- だるさ・めまい・たちくらみが続く(鉄不足の可能性)(厚生労働省)[7]
- 不眠と日中の不調が週3日以上、3カ月以上続いている(慢性不眠症の診断基準)(厚生労働省)[3]
該当する場合は、内科・呼吸器内科(いびき・無呼吸)、内分泌科(甲状腺)、婦人科・内科(貧血)、精神科・心療内科(不眠・気分)、または日本睡眠学会の睡眠医療認定医のいる医療機関への相談が勧められています[3]。保険診療の場合、初診料・検査費の自己負担(3割負担)は医療機関や検査内容により異なるため、受診時に窓口で確認してください。
眠気を悪化させている「隠れた要因」— 薬・カフェイン・生活リズム
厚生労働省のe-ヘルスネット「不眠症」では、不眠や眠気の原因になりうる要素として、治療薬・刺激物・生活リズムの乱れ・環境の4つを挙げています。睡眠を妨げる薬としては降圧剤・甲状腺製剤・抗がん剤などがあり、逆に抗ヒスタミン薬では日中の眠気が出るとされています。コーヒー・紅茶に含まれるカフェイン、たばこのニコチンには覚醒作用があり安眠を妨げるほか、カフェインには利尿作用もあってトイレ覚醒も増えるとされています(厚生労働省)[3]。
交替制勤務や時差などによって体内リズムが乱れることも不眠・眠気の原因になります。また、騒音や光が気になって眠れなかったり、寝室の温度・湿度が適切でないと安眠できないこともあります。睡眠のための室温の目安は20℃前後、湿度は40〜70%くらいに保つのがよいとされています(厚生労働省)[3]。今、服用中の薬がある場合や、カフェインを含む飲料をよくとる場合は、まずそれらが眠気や不眠に関係していないかを振り返ってみることも大切です。
また、不眠が続くと「また今夜も眠れないのではないか」という不安から、寝床に向かうこと自体が緊張につながる「不眠恐怖」の悪循環に陥ることがあります。この場合、無理に寝ようとせず、眠くなってから寝床に入る、日中の眠気が強いときは午後3時前までに30分以内の昼寝をとる、といった工夫が効果的とされています(厚生労働省)[3]。
第4部:今日から始める改善アクションプラン — 運動・入浴・光の浴び方
厚生労働省のe-ヘルスネット「快眠と生活習慣」では、快眠に役立つ生活習慣として「運動」「入浴」「光浴(日光や人工照明)」の3つを挙げています。これらは適度な強さで、定期的に、適切なタイミングで行うことが大事だとされています[5]。
| 習慣 | 推奨されるやり方 | ポイント |
|---|---|---|
| 運動 | 足早のウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を、息が弾んで軽く汗をかく程度の強さで、週に数回以上習慣的に | 就寝直前の運動は交感神経を興奮させるため、就寝の2〜4時間前までに行う(厚生労働省)[5] |
| 入浴 | 40℃の湯船に10〜15分ほど浸かる。半身浴(約40℃で30分ほど)でも効果あり | 就寝1〜2時間前が最も効果的。朝や昼の入浴では睡眠改善効果がない(厚生労働省)[5] |
| 光浴 | 起床後から午前中に多くの光を浴びる(カーテンを開けて自然光を取り込む) | 夕方から深夜にかけての光(スマートフォン等のブルーライト含む)は体内時計を遅らせる方向に働くため控えめに(厚生労働省)[5] |
出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠と生活習慣」[5]
コーヒー・緑茶・チョコレートなどカフェインを含む飲食物には覚醒作用があります。カフェインの代謝には個人差があり、敏感な人は就寝の5〜6時間前から控えたほうがよいとされています。就寝前の喫煙もニコチンが刺激剤として作用するため好ましくありません。睡眠薬代わりに飲まれることの多いアルコールも勧められません。アルコールは一時的には寝つきをよくしますが、深いノンレム睡眠を減らし、中途覚醒を増やすなど、睡眠の質を低下させるとされています(厚生労働省)[5]。
日中の眠気対策としては、昼寝も有効です。15分程度の昼寝で午後の眠気が解消し活力が戻るとされています。高齢者では30分程度の昼寝をうまく利用することで、夕方のうたた寝が減り、夜によく眠れるようになることもあるとされています。ただし、午後3時以降の長い昼寝は夜の入眠を妨げるため避けたほうがよいとされています(厚生労働省)[5]。
「睡眠負債」という考え方 — 少しずつ積み重なる眠気
睡眠不足症候群の背景には、日々のわずかな睡眠不足が積み重なっていく「睡眠負債」という考え方があります。1日1〜2時間程度の睡眠不足であっても、それが平日を通じて積み重なると、休日の寝だめだけでは解消しきれない疲労として蓄積していきます。厚生労働省のe-ヘルスネットでも、睡眠不足が長引くとむしろ本人が眠気を自覚しにくくなることが明らかになっているとされており、「自分は大丈夫」と感じていても、実際には認知機能やパフォーマンスが低下していることがあると指摘されています[1]。
特に、運転や危険を伴う作業に従事している人にとっては、自覚のない眠気は重大な事故につながるリスクがあります。「日中に眠気を感じない」ことと「睡眠が足りている」ことは必ずしもイコールではないため、平日と休日の睡眠時間の差が大きい人は、たとえ日中に強い眠気を自覚していなくても、睡眠習慣を見直す価値があるといえます(厚生労働省)[1]。
チェック早見表 — 症状から考えられる系統をしぼる
ここまで解説してきた内容を、症状の組み合わせごとに整理しました。あくまで一般的な目安であり、確定診断には医療機関での検査が必要です。
| 気になる症状の組み合わせ | 考えられる系統 | 関連する目安 |
|---|---|---|
| 平日の睡眠時間が短く、休日に長時間寝てしまう | ①睡眠不足症候群 | 平日3〜5時間・休日9〜10時間が一つの目安(厚生労働省)[1] |
| いびきが大きい、呼吸が止まると言われる | ②睡眠時無呼吸症候群 | 1時間あたり10秒以上の呼吸停止が20回以上で中等症・重症(厚生労働省)[4] |
| 寝る前に脚がむずむずして眠れない | ②むずむず脚症候群 | 安静時に脚の不快感、動かすと軽減(厚生労働省)[1] |
| 夜十分眠っても会話中・食事中も強烈に眠くなる | ③過眠症(ナルコレプシーなど) | 稀な病気だが日本の有病率は世界最高水準(日本睡眠学会)[8] |
| 体重増加・むくみ・便秘・かすれ声を伴う | ④甲状腺機能低下症 | 「いつも眠い」も早期発見サインの一つ(厚生労働省)[6] |
| だるさ・めまい・たちくらみを伴う | ④鉄不足(隠れ貧血) | Hbが正常でもフェリチンが低いことがある(厚生労働省)[7] |
| 気分の落ち込み・意欲低下を伴う | ④うつ病などの精神疾患 | 不眠症状・過眠症状のいずれも伴いうる(厚生労働省)[3] |
出典:厚生労働省 e-ヘルスネット(昼間の眠気・過眠・不眠症・SAS)[1][3][4]、厚生労働省 重篤副作用疾患別対応マニュアル 甲状腺機能低下症[6]、厚生労働省 隠れ貧血の問題[7]、日本睡眠学会 ナルコレプシー診断・治療ガイドライン[8]
専門機関に相談することの意味 — 一人で抱え込まないために
「寝ても寝ても眠い」という悩みは、他人からは「怠けている」「やる気がない」と誤解されやすく、本人が一人で抱え込んでしまいがちです。しかし、これまで見てきたように、過眠の背景には睡眠不足症候群・睡眠時無呼吸症候群・むずむず脚症候群・過眠症(ナルコレプシーなど)・甲状腺機能低下症・鉄不足(隠れ貧血)・うつ病など、検査によって原因を特定できる病気が隠れていることが少なくありません(厚生労働省)[1](厚生労働省)[2]。
専門機関に相談することは、「大げさなこと」ではなく、原因を正しく見極め、適切な対処につなげるための第一歩です。日本睡眠学会の睡眠医療認定医のいる医療機関や、症状に応じた診療科(内科・呼吸器内科・内分泌内科・婦人科・精神科など)に相談することで、自己流の対処だけでは気づけなかった原因が見つかることもあります[3]。
受診をためらう人へ — 「気のせい」で片づけないために
「忙しいから仕方ない」「体質だから」と考えて、強い眠気を長期間放置してしまう人は少なくありません。特に働き盛りの世代や、育児・介護などで自分の体調を後回しにしがちな人ほど、この傾向が強くみられます。しかし、厚生労働省のe-ヘルスネットが示すように、過眠の背景にはすぐに治療が必要な睡眠時無呼吸症候群などの病気が隠れていることがあり、放置すると学業や仕事の能率が落ちるだけでなく、居眠り運転事故や転落・転倒などの事故につながるおそれがあります[2]。
また、甲状腺機能低下症や鉄不足(隠れ貧血)のように、血液検査で比較的簡単に見つけられる原因もあります。「いつも眠い」に加えて体重増加やむくみ、便秘、かすれ声がある場合や、だるさ・めまい・たちくらみが続く場合は、これらの病気が背景にある可能性を念頭に置いて、早めに医療機関で検査を受けることが勧められています(厚生労働省)[6](厚生労働省)[7]。「気のせい」「甘え」「性格の問題」と自分や周囲が判断してしまう前に、まずは体からのサインとして受け止め、一歩踏み出して早めに専門の医療機関へ相談することが大切です。原因がわかれば、対処法もおのずと見えてきます。
🖨️ 受診時に持参すると役立つメモ(コピーして使えます)
限られた診察時間の中で症状を正確に伝えるためには、事前にメモを準備しておくことが役立ちます。以下の項目をあらかじめ書き出しておき、受診時に医師へ見せることで、聞き忘れや伝え忘れを防ぐことができます。
- いつから眠気が強くなったか(きっかけとなる出来事はあったか)
- 平日・休日それぞれの就寝時刻・起床時刻・睡眠時間
- いびき・呼吸停止・脚のむずむず感の有無(家族に確認)
- 体重の変化、むくみ、便秘、寒がり、動作の緩慢さの有無(甲状腺機能低下症のチェック)
- だるさ・めまい・たちくらみの有無(鉄不足のチェック)
- 現在服用中の薬(睡眠に影響する薬剤の副作用の可能性を確認するため)
- 医師に聞きたいこと(検査の種類・費用の目安・治療にかかる期間など)
結論:あなたの眠気は、心と身体からの重要なメッセージです — 「寝ても寝ても眠い」への向き合い方
「十分寝ているはずなのに眠い」という状態は、原因によって対処がまったく異なります。生活リズムの乱れが原因であれば就寝・起床時刻を一定にする、光の浴び方を工夫する、就寝前の入浴タイミングを整えるといった生活習慣の見直しで改善することがあります(厚生労働省)[5]。一方、いびきや呼吸停止を伴う場合、体重増加やむくみを伴う場合、だるさやめまいが強い場合、気分の落ち込みを伴う場合には、それぞれ睡眠時無呼吸症候群・甲状腺機能低下症・鉄不足(隠れ貧血)・うつ病などが背景にある可能性があり、生活習慣の見直しだけでは改善しません(厚生労働省)[1](厚生労働省)[4](厚生労働省)[6](厚生労働省)[7]。
まずは本記事の「今すぐできる3つの質問」と「受診の目安」に自分の状態を照らし合わせ、当てはまる項目が多い場合や、居眠り運転など危険な場面での眠気がある場合は、様子を見ず医療機関に相談することが勧められます。受診時には、本記事の「受診時に持参すると役立つメモ」を活用し、症状の経過を整理して伝えることで、より的確な検査・診断につながります。
「寝ても寝ても眠い」という状態は、多くの場合、体からの何らかのサインです。生活習慣の見直しで改善する場合もあれば、専門的な検査によって初めて原因がわかる場合もあります。どちらであっても、正しい情報をもとに一つずつ確認していくことが、遠回りのようで結局は一番の近道になります。焦らず、一つひとつの可能性を確認していきましょう。
よくある質問
寝ても寝ても眠いのは病気ですか?
何時間眠れば眠気は改善しますか?
いびきをかきますが、これも眠気の原因になりますか?
過眠症(ナルコレプシー)とはどんな病気ですか?
甲状腺の病気でも眠くなりますか?
貧血の血液検査で異常がなければ鉄不足は関係ありませんか?
むずむず脚症候群も眠気の原因になりますか?
市販の睡眠改善薬や睡眠薬を使えば「寝ても眠い」は治りますか?
子どもが「寝ても眠い」と言う場合も同じ原因が考えられますか?
何科を受診すればよいですか?
健康診断でヘモグロビンが正常でも、隠れ貧血の検査を受けたほうがよいですか?
本記事は睡眠と関連の深いテーマについて、JHO編集部が作成した他記事にも触れています。あわせてご覧ください。
参考文献
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「昼間の眠気 – 睡眠不足だけではなく睡眠・覚醒障害にも注意が必要」(最終更新日:2025年6月1日) https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart/k-02-002.html
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「過眠」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/heart/yk-010.html
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「不眠症」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart/k-02-001.html
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「睡眠時無呼吸症候群 / SAS」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/heart/yk-026.html
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠と生活習慣」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart/k-01-004.html
- 厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル 甲状腺機能低下症」(令和4年2月改定) https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1d37.pdf
- 厚生労働省 働く女性の心とからだの応援サイト 専門家コラム「女性の健康と栄養について 隠れ貧血の問題」 https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/colum/colum39.html
- 日本睡眠学会「ナルコレプシーの診断・治療ガイドライン」(Ⅲ.疫学) https://jssr.jp/data/pdf/narcolepsy.pdf
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