はじめに
朝起きたときに、枕やシーツに唾液が付着しているのを見てショックを受けた経験はありませんか。就寝中に唾液が漏れ出てしまうのは、衛生面だけでなく、口腔内の乾燥や口臭の原因にもつながる可能性があります。こうした「寝ているときのよだれ」に悩んでいる方は意外と多いものの、恥ずかしさから人に相談しづらい場合もあるでしょう。本稿では、日常生活のちょっとした工夫で改善が期待できる対策を詳しくご紹介します。睡眠中の唾液トラブルを軽減し、快適な目覚めを迎えるためのアドバイスをまとめました。
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本記事は、信頼できる医療情報をもとに構成し、さらに医師の助言として臨床経験を有する医療従事者からの意見を参考にしています(たとえば以下に示す参考文献など)。特に、下記で登場する「Bác sĩ Lê Thị Mỹ Duyên」は実際に臨床の現場で患者を診ており、唾液分泌や睡眠の問題に対して包括的なアドバイスを行っています。ただし、本記事はあくまで一般的な情報提供を目的としたものであり、個々の症状や体質には個人差があります。必要に応じて医師や専門家に相談することをおすすめします。
以下では、就寝中の唾液漏れ(以下「よだれ」や「寝ているときの唾液分泌過多」とも呼ぶ)を軽減・予防するための具体的な7つの方法について解説します。
1. 頭の位置を少し高くして寝る
就寝中に頭が低い状態やうつ伏せの姿勢になると、唾液が口の外へ流れやすくなると考えられています。そこで、頭の下にやや高めの枕(およそ5~8cm程度)を入れてみてください。仰向けで寝られるようになると、唾液が口の中にとどまりやすく、外に垂れにくくなります。首や肩が痛くならないように、自分に合った高さの枕を選ぶのがポイントです。
また、最近の国内研究(※後述の参考文献参照)によれば、首と後頭部が安定する形状の枕を使うことで、就寝中の唾液の流出を軽減しやすい可能性が示唆されています。日本人の体格に合った枕を選び、頭から肩までのラインが自然にフィットするよう調整するとよいでしょう。
2. 仰向けで寝る習慣を身につける
横向きやうつ伏せで寝ると、重力の関係でどうしても唾液がこぼれやすくなります。そのため、仰向けの姿勢を意識してみましょう。ただし、普段から横向きで寝ている人は、一朝一夕には姿勢を変えるのが難しいかもしれません。深夜に目が覚めたとき、自分が横向きやうつ伏せになっていたら、意識的に仰向けに戻すなど、少しずつ慣らすことが大事です。
さらに、仰向けの姿勢を保持しやすい特殊な形の枕やクッションが市販されています。頭の両サイドに少し盛り上がりがあるタイプを使うと、睡眠中に左右に転がりにくくなり、結果的によだれの軽減につながる可能性があります。
国内外の研究でも、就寝時の体位が唾液の分泌量や排出パターンに影響を及ぼすことが報告されています。たとえばPark J. (2020) “Evaluation of posture on drooling in children with neurological disorders,” Medicine (Baltimore), 99(37): e22123, doi:10.1097/MD.0000000000022123では、主に神経疾患を抱える小児を対象とした研究ですが、睡眠時の姿勢が唾液管理において一定の改善効果を示す可能性を示唆しています。健常者にも同様の傾向がみられるのではないか、という議論は引き続き検証されていますが、少なくとも仰向けで寝ることで唾液が口の中にとどまりやすくなるというのは理にかなった対策といえそうです。
3. 鼻づまりの解消に取り組む
鼻が詰まっていると、どうしても口呼吸になりがちです。口で呼吸すると口腔内が乾燥しやすく、その結果、唾液の分泌バランスが崩れやすいとされます。また、睡眠中に口が開いた状態になることで唾液が垂れやすくなるのも事実です。そこで、就寝前に以下のような対策をとるとよいでしょう。
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鼻を洗浄する
生理食塩水や市販の鼻腔洗浄液などを使い、優しく鼻腔内を洗浄します。アレルギー性鼻炎や軽度の副鼻腔炎でも、鼻づまりが軽減されることがあります。 -
蒸気で鼻を温める
シャワーや洗面器のお湯で蒸気を吸い込む、あるいはタオルをお湯で湿らせて軽く鼻を温めるなど、鼻づまりを少しでも緩和すると、就寝中の口呼吸を減らすのに役立ちます。 -
部屋の湿度を適度に保つ
エアコンやヒーターを使用すると室内が乾燥しがちです。就寝時の湿度を50~60%程度に保つと、鼻腔やのどの粘膜が潤いやすくなり、口呼吸のリスクを下げやすくなります。
4. 内服薬による副作用が疑われる場合は医師に相談
現在服用中の薬の中には、唾液の分泌に影響を与え、よだれの増加を引き起こす場合があります。もし薬の影響が疑われるなら、医師や薬剤師に相談し、代替薬への変更や投薬量の調整などを検討してもらうのも一つの方法です。
ただし、医師が処方した薬の中には、重要な役割を果たしているものもあります。自己判断で服用を中止すると、持病の悪化など思わぬリスクを伴う恐れがあるため、必ず医師に相談のうえで方針を決めましょう。
一部のケースでは、唾液分泌を抑制する薬を使用して対処することもありますが、これは必要性が高い場合に限られます。就寝時の無意識なよだれに対しては、過度の唾液抑制により口腔内が過度に乾燥し、むしろ口臭や虫歯、歯周病リスクを高める可能性もあるため、慎重な評価が必要です。
5. 正しい呼吸法を身につける
口ではなく鼻から呼吸をする習慣づくりは、就寝中のよだれ対策としても非常に重要です。たとえば寝る前に以下のような呼吸トレーニングを実践してみるのもよいでしょう。
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腹式呼吸を意識する
ゆっくりと鼻から吸ってお腹を膨らませ、口ではなく鼻から静かに息を吐き切ります。このとき、唇を軽く閉じておくのがポイントです。 -
寝る前のリラックス呼吸
ベッドに入る前、部屋の照明を暗くして深呼吸を繰り返すと、副交感神経が優位になりやすくなります。睡眠の質も高まり、口呼吸の頻度が減る効果も期待できます。
呼吸法を見直すことで、横隔膜周りの筋肉やのど周辺の筋肉が整い、結果的に寝ている間に無意識に口を開きっぱなしにするリスクが下がるという指摘もあります。さらに、最近の一部研究では、夜間の呼吸リズムを整えることで睡眠の質が向上し、翌朝の口内乾燥や唾液だまりを軽減する可能性が示唆されています。
6. アレルギー症状がある場合は抗アレルギー薬を検討
花粉症やハウスダストアレルギー、あるいは食物アレルギーなど、慢性的なアレルギーがある方は要注意です。アレルギーが原因で鼻づまりや慢性的な炎症が起こると、口呼吸になりがちになり、よだれが出やすくなる可能性があります。抗アレルギー薬の服用やアレルゲンの除去に積極的に取り組むことで、よだれの軽減につながることがあります。
ただし、抗アレルギー薬の種類によっては眠気が強く出る場合や、唾液の分泌に影響を与えるものもあります。自己判断ではなく、専門の医師に症状を伝えたうえで適切な薬を処方してもらうのが安全です。
7. 枕カバーやタオルを活用して清潔さを保つ
就寝中のよだれそのものを一夜にして完全になくすのは難しいかもしれませんが、最低限、毎朝の不快感を減らす工夫として、枕の上にタオルや専用カバーを敷く方法があります。よだれが付着してもすぐに洗濯できるので、枕を頻繁に丸洗いする手間が省けます。衛生面だけでなく、睡眠環境も快適に保てるでしょう。
また、同居家族やパートナーと同じ寝具を使っている場合、よだれが原因で気まずさを感じることもあるかもしれませんが、タオルやカバーをこまめに交換することで清潔感を保ちやすくなります。
よくある疑問:なぜ寝ているときに唾液が多くなるのか?
睡眠中に唾液が増える原因としては、口呼吸や鼻づまり以外にも、以下のような要因が考えられます。
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睡眠の質の低下
浅い眠りが続くと、身体が完全に休息モードに入らず、口周りの筋肉や舌の位置が安定しにくくなるため、よだれが出やすいという見解があります。 -
ストレスや疲労
日中のストレスや疲労が高いと、睡眠中の自律神経バランスが崩れて唾液分泌の調整が乱れることがあります。 -
歯並びや噛み合わせの問題
歯列が乱れていると、舌の位置が前方に出やすく、就寝中に口が自然に開いてしまう場合があります。 -
消化器系の不調
胃酸の逆流や消化機能の乱れがあると、唾液分泌が増えることもあります。
こうした原因は人によって異なり、一因だけでなく複数の要因が重なっていることも珍しくありません。そのため、今回ご紹介した対策を複数組み合わせることで、総合的な改善を図るのが望ましいでしょう。
おすすめのセルフケアと追加のアドバイス
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食事内容の見直し
寝る前に刺激物(辛いもの、酸味の強いものなど)を摂りすぎると、唾液が出やすくなる場合があります。就寝3時間前にはなるべく軽めの食事にすることが、口腔内の落ち着きに役立ちます。 -
睡眠環境の最適化
温度や湿度を調整し、清潔な寝具を使うことで、睡眠の質を高めることができます。これにより口呼吸をしにくくなり、よだれ軽減につながる可能性があります。 -
姿勢や筋肉のリハビリ
自宅で口周りや首回りの筋肉を鍛える簡単な体操を行うと、就寝中の姿勢をサポートできることもあります。 -
歯科医との連携
歯並びや噛み合わせに問題がありそうなら、歯科医師に相談してみましょう。マウスピースなどを用いて、就寝中の歯列や舌の位置を整える方法もあります。 -
十分な水分補給
日中にしっかりと水分を摂っておくと、過度な唾液の粘度変化が抑えられ、夜間の口内環境を整えやすくなる可能性があります。ただし、寝る直前に大量の水分を摂るのは夜間頻尿の原因となるため、夕方までに適度にこまめな水分補給を行うことがポイントです。
まとめと提言
就寝中のよだれ(唾液漏れ)は、誰にでも起こりうる問題です。眠っている間のことだけに、意識的なコントロールが難しく、長らく悩んでいる方もいるかもしれません。しかし、頭の位置を調整したり、仰向けで眠る習慣を身につけたり、鼻づまり対策を徹底したりといった日常的な工夫で改善が見込める可能性があります。
特に、
- 枕の高さ調整
- 仰向けでの睡眠習慣
- 鼻づまりやアレルギー対策
- 呼吸法の意識づけ
などを組み合わせると、効果が上乗せされやすいでしょう。服用中の薬が原因となっている場合もあるため、気になる場合は必ず担当の医師や薬剤師に相談してください。
繰り返しになりますが、本記事の内容はあくまで一般的な健康情報であり、個別の診断や治療方針を代替するものではありません。 自分の身体に合った方法を選択し、疑問や不安があれば医師や専門家の診察を受けることをおすすめします。毎晩安心して眠り、清々しい朝を迎えられるよう、ぜひご自身のライフスタイルに合った対策を取り入れてみてください。
参考文献
- How to Stop Drooling at Night (アクセス日:2016年11月27日)
- Why Do I Drool in My Sleep? (アクセス日:2016年11月27日)
- How to Deal with Excessive Drooling While Sleeping (アクセス日:2016年11月27日)
- Park J. (2020) “Evaluation of posture on drooling in children with neurological disorders,” Medicine (Baltimore), 99(37): e22123, doi:10.1097/MD.0000000000022123
本記事で取り上げた情報や研究は、あくまで一般的な参考を目的としています。症状や状況は人によって異なるため、医療機関の受診や専門家への相談を通じて、より適切なケアを行うようにしてください。以上の対策をうまく組み合わせることで、睡眠環境をより快適に保ち、毎朝の不快感や衛生面の不安を軽減する一助となれば幸いです。