はじめに
こんにちは、皆さん。今日は、誰もが気になる健康の課題である喉頭がん(こうとうがん)についてお話しします。喉頭がんは、のど(声帯やその周辺組織)に発生するがんの一種です。近年では、その発症率が以前よりも増加してきており、早期発見がとても大切だとされています。とはいえ、日常生活の中で喉頭がんの兆候をいち早く見分けるにはどうすればいいのでしょうか。本記事では、自己検査方法を中心に、健康を守るためにできることを詳しく解説していきます。ぜひ最後までご覧いただき、ご自身や大切な方の健康管理に役立ててください。
免責事項
当サイトの情報は、Hello Bacsi ベトナム版を基に編集されたものであり、一般的な情報提供を目的としています。本情報は医療専門家のアドバイスに代わるものではなく、参考としてご利用ください。詳しい内容や個別の症状については、必ず医師にご相談ください。
喉頭がんは、早期に発見できれば治療の成功率が高く、のちの合併症も最小限に抑えられる場合が多いです。そのため、日常的に簡単な自己検査を行うことが極めて重要です。本記事でご紹介する自己検査方法は、自宅で数分ほどで実施できる手軽なものです。病院での精密検査を受ける前の段階で、自分でがんの兆候に気づくきっかけにもなりますので、ぜひ一度試してみてください。
専門家への相談
本記事でご紹介する自己検査方法については、国内外の信頼できる情報源を参照しています。特に、アメリカのオハイオ州に本拠を置く医療機関であるメイヨークリニック(Mayo Clinic)の情報を参考にまとめています。メイヨークリニックは、がんを含むさまざまな疾患に関する研究と治療法を長年にわたり提供しており、その国際的な評価は非常に高いです。また、この他にも多くの団体や研究者が公開している資料を吟味して、正確性の高いデータを選び抜いています。なお、本記事はあくまで情報提供を目的としたものであり、個々の症状や状態によっては異なる対応が必要となる場合があります。何か気になる症状がある方や確定診断が必要な方は、速やかに医師など専門家へご相談ください。
自己検査のタイミングと重要性
どなたでも喉頭がんの自己検査を行う意義はありますが、以下の条件に当てはまる方は特にリスクが高いとされており、定期的な検査を強くおすすめします。これらの方々は喉頭がんのリスクが高まりやすい可能性があるので、日頃からの注意が大切です。
- 40歳以上の男性
中高年層の男性においては、統計的に喉頭がんの発症例が増加する傾向があると報告されています。実際に、喉頭がんの患者さんは40歳以上で見つかることが多く、症状が進むまで気づかれないケースも少なくありません。 - ヒトパピローマウイルス(HPV)およびエプスタイン・バーウイルス(EBV)に感染している方
HPVやEBVは、口腔や上咽頭、喉頭などに関連するがんのリスクを高める可能性があるとされています。最近の研究ではHPV関連がんの増加が指摘されており、特に口腔性交などの行為により口腔内へ感染するケースが懸念されています。 - アルコールを過剰に摂取する方
アルコールは喉や口腔内の粘膜に刺激を与え、長期的に見てがんの発生リスクを高める要因となります。飲酒量が多い方は、特に自己検査をこまめに行うことで早期発見につなげることが重要です。 - 喫煙をしている、またはタバコの煙が多い環境で生活している方
喫煙は喉頭がんだけでなく、さまざまながん発症リスクを引き上げる大きな要因です。受動喫煙にさらされている場合でもリスクが高まるため、周囲の環境にも注意する必要があります。 - 果物や野菜が不足している食生活をしている方
果物や野菜には抗酸化物質などが豊富に含まれており、細胞の酸化ダメージを抑えるうえで有用だとされています。これらが不足すると、がんの発生リスクが上がるとの指摘もあります。 - 胃食道逆流症(逆流性食道炎)を持っている方
胃酸が頻繁に逆流してくると、喉の組織が繰り返し刺激を受けるため、炎症や細胞変化を引き起こしやすくなります。特に慢性的に症状が続いている場合は要注意です。 - 職場で有害物質にさらされている方
粉塵や化学物質を吸い込みやすい環境での長時間労働は、喉頭がんのみならず、多種多様な呼吸器疾患やがんの発症リスクを高めます。 - 頻繁に口腔性交を行う方
HPV感染リスクが高まる行為とされており、それに伴い喉頭がんのリスクも増える可能性があります。 - 過去に首や頭の放射線治療を受けたことがある方
放射線治療を受けた部位は、長期的にがんが発生しやすくなるとの報告があります。自己検査をこまめに行い、症状の変化を見逃さないことが大切です。 - がんの家族歴がある方
家族に喉頭がんを患った方がいる場合は、遺伝的あるいは生活習慣上のリスクが高い可能性があります。家族歴がある場合は早期チェックをおすすめします。
さらに近年、HPVと関連する咽頭がんや口腔がんに関しては、広く世界各国で増加傾向が報告されています。たとえば、2022年に「Cancer Epidemiology」誌に発表されたChang CPらのシステマティックレビュー(DOI: 10.1016/j.canep.2022.102134)では、東アジアにおいてHPV関連がんの有病率が上昇していることが示されました。この研究は大規模な文献調査を行い、HPV感染と口腔・上咽頭領域のがんリスク増加が関係すると結論づけています。日本においても同様の傾向がみられる可能性があるため、HPV感染対策や自己検査の重要性はますます高まっていると言えるでしょう。
喉頭がんの9ステップ自己検査法
ここからは、喉頭がんを含む頭頸部領域のがんリスクを早期に発見するための9ステップ自己検査法をご紹介します。所要時間は約5分程度で、それほど難しい手順はありません。ただし、自分で異常を疑ったときには、早めに医療機関で正式な検査を受けるようにしてください。
ステップ1: 準備
自己検査を行う前には、以下のような準備をしておくとスムーズです。
- 歯を磨いて口の中を清潔にする
検査の際に口内をできるだけ清潔に保つことで、小さな変化に気づきやすくなります。歯垢や食べかすが残っていると観察しにくいので、しっかりと歯磨きを行いましょう。 - 鏡を用意する
自分の顔全体や口の中を確認するために、十分に大きくて見やすい鏡を用意してください。 - 手を洗って清潔にする
手は直接口内や首回りに触れるため、必ず石鹸で洗い、清潔にしておきましょう。 - 口内を照らすための懐中電灯を用意する、または明るい場所を選ぶ
喉や口の奥までよく観察するには、光量が重要です。懐中電灯やスマートフォンのライトを利用してもかまいませんし、自然光の多い場所で行っても構いません。 - 必要に応じて他の人に手伝ってもらう
喉や口の奥は自分で確認しづらいことも多いので、可能であれば家族や友人などに協力してもらうと、より正確な自己検査が行えます。
ステップ2: 顔全体のチェック
最初に、顔全体を観察することからはじめます。顔は健康状態を反映しやすいパーツのひとつです。
- 新たに発生した腫れやしこりがないか確認する
特に首や顎の下などに、最近目立つようになった腫れやしこりはありませんか。がんが首のリンパ節に転移している可能性がある場合は、首まわりにしこりができることがあります。 - 顔が左右対称であるか確認する
顔の左右で見た目が大きく変わっていたり、筋肉の動きが極端に異なる場合は、神経や筋肉にトラブルが生じている可能性があります。 - 皮膚の色が変わっていないか、色むらや異常がないか観察する
顔の皮膚が赤くなっている、あるいは部分的に変色している場合は、感染症や腫瘍のサインであることもあります。 - ほくろが大きくなったり、かゆみや出血が生じていないか確認する
皮膚がんやメラノーマの可能性もゼロではありません。ほくろの変化は見逃しやすいので、普段から定期的にチェックしましょう。 - 顔を左右に向けて皮膚を引っ張り、異常が見やすくする
皮膚を軽く引っ張ることで、小さな変化を発見しやすくなります。場所によっては鏡だけでは見えづらい部分もあるので注意深く観察してください。
ステップ3: 喉のチェック
次は、喉の内部を観察します。喉は自分で確認するのが難しい場所ですが、以下のポイントを意識してください。
- 頭を後ろに傾け、大きく口を開ける
これにより、喉の奥まで見やすくなります。 - 扁桃腺や舌の根元の確認
扁桃腺が腫れていないか、あるいは片側だけ大きくなっていないかを見ます。また、舌の根元にしこりや腫れがないかもチェックしましょう。 - 潰瘍や色の変化がないかを確認する
痛みを伴う潰瘍や、白っぽくなった部分などがあれば要注意です。色が赤黒く変化している場合も早めに医師へ相談してください。 - 指で喉を軽く触れてしこりがないか確認する
外側から喉ぼとけ周辺や首の筋肉に沿ってやさしく触れ、硬いしこりを感じるかどうか確認します。
ステップ4: 首のチェック
首や顎の下、大きな筋肉に沿って触れ、リンパ節やしこりの有無を確認します。
- 指の先を使ってリンパ節を確認する
首の両側や顎の下にあるリンパ節を指でやさしく押し、腫れや痛みがないかを探ります。リンパ節の腫れは、感染症やがんなど、さまざまな問題のサインとなりえます。 - 左右の対称性を確認する
片側だけ大きく腫れていたり、押すと強い痛みを感じる場合は、早めに受診を検討しましょう。
ステップ5: 唇のチェック
唇の内側も、比較的早期にがんの兆候が現れやすい部位です。
- 上下の唇を引っ張り、内側を観察する
潰瘍やしこり、赤みや色の変化がないかを確認します。唇の内側にできる口内炎がなかなか治らない場合や、痛みを伴う異常が続く場合は、医師に相談してください。
ステップ6: 歯茎のチェック
歯茎も定期的に観察しないと、見落としがちな部分です。
- 親指と人差し指を使い、歯茎を押しながら確認する
歯茎全体を軽く押してみて、出血や腫れ、痛みがないかをチェックします。炎症が長引いていたり、明らかに腫れている場合は歯科医院や耳鼻咽喉科の受診を検討しましょう。
ステップ7: 頬のチェック
頬の内側は口腔粘膜の一部であり、変化を見逃しやすい場所です。
- 頬を引っ張り内側を確認する
白や赤のパッチ状の変色がないか確認します。こうしたパッチが長期間残る場合は、がんの前兆の可能性も否定できません。 - 内側を触れ、潰瘍や腫れ、痛む部分がないか確認する
指でやさしく頬の内側をなぞり、違和感を覚える部位がないかチェックします。痛みが続く場合は要注意です。
ステップ8: 舌のチェック
舌は口腔内で最も動きが多い部分で、がんの兆候が現れやすい部位でもあります。
- 舌を優しく引っ張り、全体を観察する
舌の表面だけでなく、裏側や側面にも注意を払います。腫れ、潰瘍、色の変化がないか確認し、気になる場合は早めに専門医へ。
ステップ9: 口内の床のチェック
最後に、舌を持ち上げて口内の床を観察します。
- 舌を持ち上げて口内の床を観察する
色の変化、しこり、腫れなどがないかを指で優しく触れながら確認しましょう。ここは自分で見えづらい部分なので、検査の際は照明をしっかり確保するか、他の人に手伝ってもらうのも手です。
医師の診断が必要な場合と検査方法
自己検査を定期的に行っていても、次のような症状が1週間以上続く場合は、できるだけ早く医師の診察を受けることをおすすめします。
- 喉痛が1週間以上続く
- 鼻づまりが長引く
- 話しづらい・聞き取りづらい・息苦しい感覚がある
医療機関で受診すると、まずは視診と触診による評価が行われます。必要に応じて、以下のような検査が追加で行われることがあります。
- 耳鼻咽喉内視鏡検査
専用の内視鏡を鼻や口から挿入し、喉や鼻の内側を直接観察します。肉眼では確認しづらい小さな病変を見つけるのに適しています。 - 生検や吸引
異常が疑われる部分の組織を採取して、顕微鏡でがん細胞の有無を調べます。ウイルス感染の検査などもあわせて行われる場合があります。 - 画像診断
エックス線、超音波、CT、MRI、PETなどを用いて、がんの位置や広がり、リンパ節への転移状況などを詳しく把握します。
こうした検査によって、がんが疑われる場合にはステージング(病期の分類)が行われ、そのうえで適切な治療方法が選択されます。
喉頭がんの治療方法
喉頭がんの治療は、がんのステージや患者さんの全身状態、そして治療の目的などに応じて決定されます。一般的には以下のような治療法が挙げられます。
- 放射線療法
高エネルギーの放射線を照射してがん細胞を破壊する方法です。初期段階の小さながんの場合は、放射線単独で十分に治療できることがあります。 - 化学療法
抗がん剤を使って、がん細胞の増殖を抑制または破壊する治療です。放射線療法や手術とあわせて行われることが多く、進行がんに対しては重要な役割を果たします。 - 同時化学放射線療法
化学療法と放射線療法を同時に行うことで、相乗効果を狙う方法です。局所的な制御率を高められる一方で、副作用も増えるため、患者さんの状態やがんの進行度などを総合的に検討する必要があります。 - 術後化学療法
放射線治療や手術の後に残存している可能性のあるがん細胞を叩くために行われる化学療法です。 - 術前化学療法
がんを縮小しておいてから、放射線治療や手術をより成功しやすくする目的で行われることがあります。 - 手術
病状が進行している場合、直接的に腫瘍を切除する手術が選択肢となります。頸部リンパ節や喉の腫瘍を取り除く手術などが代表的です。
早期に発見された喉頭がんは、治療の負担が比較的軽い傾向にあり、合併症も少なく済むとされています。したがって、リスク因子に当てはまる方や不安を感じる方は、毎月の自己検査を心がけるのがおすすめです。この自己検査は、短時間で簡単に取り組めるうえ、自分の体調の微細な変化に早期に気づくきっかけともなります。
さらに、近年の研究では、喉頭がんや頭頸部がんの発症には生活習慣(喫煙、飲酒など)が深く関わっているだけでなく、HPVなどのウイルス感染が重要な要因になるケースが増えていることが報告されています。例えば、2022年にJAMA Netw Openに掲載されたAnanth S.らのメタ解析研究(doi:10.1001/jamanetworkopen.2022.29090)では、HPVワクチン接種率が上昇した地域ではHPV関連がんの発症率が緩やかに減少する傾向が示唆されました。日本においても、HPVワクチン接種の推進や感染症対策などの公衆衛生的な取り組みが進められていますが、個人レベルでのリスク管理として、定期的な自己検査や早期受診は引き続き重要です。
推奨される生活習慣と予防のポイント
喉頭がんをはじめとする頭頸部がんの予防や再発リスクを下げるためには、以下のような生活習慣の見直しが有効だと考えられています。
- 禁煙・受動喫煙を避ける
たばこの煙は、喉の粘膜を慢性的に刺激し、がん発生のリスクを高めます。本人が喫煙をやめることはもちろん、周囲の人が吸う煙を避ける工夫も大切です。 - 適度な飲酒にとどめる
飲酒の機会が多い人や、大量に飲酒する人は、口腔・咽頭・食道などのがんリスクが高まりやすいとされています。なるべく適量を守り、アルコール度数の高い飲料を控えるなどの工夫をしましょう。 - 栄養バランスのよい食事
果物や野菜を十分に摂取し、抗酸化物質やビタミン、ミネラルをバランスよくとることが推奨されます。喉や口の粘膜を健康に保つためにも、栄養豊富な食事が役立ちます。 - 口腔衛生の徹底
毎日の歯磨きや歯科検診を欠かさず行い、口内環境を清潔に保つことは、がんだけでなく歯周病などのほかの病気予防にもつながります。 - HPV予防ワクチンの検討
HPVは子宮頸がんだけでなく、口腔・咽頭を含む頭頸部がんとも関連が指摘されています。ワクチン接種の適応がある方は、年齢や性別を踏まえて検討することで将来的ながんリスクを下げる可能性があります。 - 定期的な自己検査と専門医による検診
自己検査で異常を見つけた場合は早めに専門医を受診し、必要があれば内視鏡検査や生検などで正確な診断を受けるようにしましょう。
最後に:本記事の情報活用と医師への相談
ここまで述べた内容は、あくまで参考情報であり、個々の症状や体質、生活背景に応じた最適なケアは異なります。頭頸部がんの分野では、毎年新たな研究が報告されており、診断技術や治療法の進歩が目覚ましいですが、最も大事なのは「早めに気づくこと」「早めに受診すること」です。特に喉頭がんは、声のかすれや喉の違和感など初期症状が現れやすい一方で、そのまま放置すると声を失うリスクや、がんが進行して重大な合併症を引き起こす可能性が高くなります。
もしも自己検査で少しでも気になる所見があった場合、あるいは上記で示したような症状(長引く喉痛、息苦しさ、かすれ声など)が続くときは、速やかに耳鼻咽喉科やがん専門外来などで検査を受けてください。また、生活習慣の見直しやワクチン接種など、予防的観点からできることも多くあります。
なお、本記事は医療専門家が直接診察したうえでのアドバイスに代わるものではありません。自覚症状の有無にかかわらず、定期的に健康診断や専門医による検診を受けることが、がんの早期発見と治療の鍵となります。特にリスクの高い方々は、医師に相談しながら定期検診や各種検査を計画的に行うようにしましょう。
参考文献
- SELF-EXAM GUIDE – アクセス日: 09/05/2023
- A How-to and Why You Should Do a Self-Exam Guide – アクセス日: 09/05/2023
- Self-Examination – アクセス日: 09/05/2023
- Oral Cancer Self-Exam – アクセス日: 09/05/2023
- Throat cancer – アクセス日: 09/05/2023
- Nasopharyngeal carcinoma – アクセス日: 09/05/2023
- Head and Neck Cancers: How to Do a Self Check – アクセス日: 09/05/2023
- Ung thư vòm họng – nguyên nhân, triệu chứng, và cách phòng tránh – アクセス日: 17/05/2023
- Chang CP ほか (2022) “Epidemiology of HPV-related cancers in East Asia: A systematic review,” Cancer Epidemiology, 巻78, p.102134, DOI: 10.1016/j.canep.2022.102134
- Ananth S. ほか (2022) “HPV Vaccination and the Incidence of HPV-Associated Oropharyngeal Cancer: A Systematic Review and Meta-analysis,” JAMA Netw Open, 5(9), e2229090, DOI: 10.1001/jamanetworkopen.2022.29090
免責事項: 本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、医療行為や個々の症状に対して直接の診断や治療を行うものではありません。具体的な医療上の判断や治療方針の決定は、必ず専門の医師や医療従事者にご相談ください。