緑内障とは何か?その症状と治療法を詳しく解説!
眼の病気

緑内障とは何か?その症状と治療法を詳しく解説!

 

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当サイトの情報は、Hello Bacsi ベトナム版を基に編集されたものであり、一般的な情報提供を目的としています。本情報は医療専門家のアドバイスに代わるものではなく、参考としてご利用ください。詳しい内容や個別の症状については、必ず医師にご相談ください。

はじめに

近年、視力障害の原因として注目されているグラウコーマ(緑内障)は、放置すると失明につながる可能性がある重大な疾患です。日本国内でも患者数が増加しており、とくに早期発見と適切な治療の重要性が強調されています。それにもかかわらず、「目が疲れやすい」あるいは「年齢による視力低下かもしれない」などと自己判断して放置してしまい、症状が進行してから初めて受診するケースも少なくありません。そこで本稿では、グラウコーマとは何か、主な原因や症状、検査方法、治療法などを総合的に解説し、早期発見・早期治療の大切さをご紹介します。さらに、近年の研究やガイドラインを踏まえ、治療選択の幅や注意点もわかりやすくまとめました。ご自身やご家族の視力を守るうえで役立つ情報になるよう、専門的な内容もなるべく平易にお伝えいたします。

専門家への相談

本記事の内容は、日本国内外の医学専門家が示す文献や各種ガイドラインを基にまとめています。とくに、日本の保健医療分野で数多くの患者を診療してきた眼科医らが重要性を指摘するグラウコーマについて、世界的にも権威ある学会や保健機関(American Academy of Ophthalmology、NHSなど)の資料を参照し、さらに国内における調査報告(厚生労働省関連資料など)とも照合を行いました。ただし、本記事はあくまでも「情報提供」を目的としており、実際に治療の方針や検査方法を決めるには、必ず眼科の専門医にご相談ください。

グラウコーマ(緑内障)とは何か

グラウコーマは、日本では「緑内障」と呼ばれることが多く、古い文献などでは「青そこひ」「かすみ」などの名称で言及される場合もあります。英語圏では“Glaucoma”と呼ばれるこの病気は、眼圧(目の中の圧力)の持続的上昇により、視神経が障害されて視野が欠ける病態を特徴とします。日本語では「視神経乳頭」という場所が障害され、視野が徐々に狭まっていくのが典型的な進行パターンです。進行を放置すると不可逆的に失明へと至ることもあるため、できるだけ早期に発見し、専門医の指示のもと適切な治療を行う必要があります。

古くは「かつて失明の原因となる頻度が高かった」と言われるほど危険な病気ですが、現代の医療では適切なタイミングで治療を開始すれば、失明を回避できる可能性は大いに高まっています。にもかかわらず、自覚症状が乏しいまま病気が進行するタイプ(慢性の緑内障)もあり、患者本人は気づかず生活を続け、相当程度に視野が狭くなってから発見されるケースも珍しくありません。

グラウコーマの主な分類

グラウコーマは多岐にわたるタイプがあり、原因や発症機序に基づいていくつかの形で分類されます。主に次の3つに大別されることが多いです。

  • 原発開放隅角緑内障(Primary Open-Angle Glaucoma)
  • 原発閉塞隅角緑内障(Primary Angle-Closure Glaucoma)
  • 続発性緑内障および先天性緑内障

なかでも、日本人では「正常眼圧緑内障」と呼ばれるタイプも多く、眼圧が“正常範囲”に見えても視神経の障害が進む例があるなど、病態の解明が十分でない側面も指摘されています。また、先天性のグラウコーマでは、生まれつき房水の排出路に問題があるケースも見られます。いずれにしても視神経へのダメージは不可逆的であるため、早い段階で発見し、進行を抑えることが重要です。

グラウコーマの原因とリスク要因

グラウコーマは、眼球内の房水(目の内部を循環する液体)の排出が何らかの理由で滞り、結果として眼圧が上昇して視神経が障害されることが根本の発症メカニズムだと広く理解されています。その要因としては以下のような点が挙げられます。

  • 加齢:40歳を超えると房水の排出機能が低下しやすくなり、リスクが上昇。
  • 家族歴:親族にグラウコーマの患者がいる場合、発症確率が高くなる可能性。
  • 基礎疾患:糖尿病や高血圧、心疾患なども視神経の血行状態や排液機能に影響を及ぼす。
  • 屈折異常:強度近視や遠視がある場合、とくに眼軸長の変化などが隅角構造に影響を与える。
  • ステロイド使用:内服や点眼薬など、ステロイド製剤の長期使用は眼圧を上昇させやすい。

日本では加齢による開放隅角緑内障の発症例が多いとされます。また、家族歴のある方や基礎疾患をお持ちの方は、早めに眼科検診を受けることが推奨されています。

症状の特徴

緩徐進行型(慢性緑内障)の症状

慢性型グラウコーマでは、はっきりした自覚症状に乏しいまま、長期的に視野が狭まっていきます。視野が少しずつ欠けていることに本人が気づきにくいため、発見時にはすでに視神経が大きく損傷しているケースも珍しくありません。以下のような軽度な症状がサインとなることがありますが、不定愁訴に近いため見逃されやすいです。

  • 目が重い、痛いように感じることがある
  • ちらつきや、まぶしさを覚える場面が増える
  • 暗い場所での見え方がやや悪化する
  • 視野の端が欠ける、視野が狭いと感じる

急性発作型(急性緑内障)の症状

急性緑内障(閉塞隅角緑内障など)では、ある日突然眼圧が急激に上昇し、下記のような激しい症状を引き起こします。これは「緑内障発作」とも呼ばれ、緊急処置を要する状態です。

  • 片側の眼球と同側の頭部に激しい痛み
  • 視界が白っぽくぼやける、霧がかかったように見える
  • 強い光を見たときに虹のような輪が重なって見える
  • 悪心や嘔吐を伴う
  • 充血や瞳孔拡大
  • 目が固く触れ、触診ですぐわかるほど眼圧が高い

急性緑内障発作は治療が遅れると短時間で不可逆的な視力障害を起こし得るため、すぐに眼科医の診察を受けることが必要です。

早期発見のポイント:定期的な眼科検診

グラウコーマの怖いところは、自覚症状が乏しいタイプのほうが患者数として多いことです。自覚症状が出てから受診すると、すでに視野の一部が失われている可能性が高く、「失われた視野は戻らない」というのが大原則となります。したがって、定期的な眼科検診こそが早期発見の最重要ポイントです。年齢層別にはおおむね以下のような目安が推奨されます。

  • 子ども:学校検診で視力や目の構造に問題がないかを定期的にチェック。先天性グラウコーマの可能性が示唆される場合は専門医による検査が望ましい。
  • 18〜40歳:視力に問題がなければ1〜2年に1回、眼科検診を受けるのが一般的な目安。家族歴がある方は6〜12か月ごとの精密検査が推奨されることもある。
  • 40歳以上:国内外の大規模調査で、加齢とともにグラウコーマ発症のリスクが上がることがわかっています。40歳を過ぎたら最低でも年1回、できれば半年に1回程度の眼科受診を心がけると安心です。

検査内容の例

  • 視力検査:基本的な視力測定だけでなく、両眼の視力差や矯正視力など総合的に確認。
  • 眼圧測定:非接触型(エアパフ)やゴールドマン眼圧計などで測定。標準は10〜21mmHgほどだが、正常眼圧緑内障もあるため注意。
  • 隅角検査(ゴニオスコピー):隅角が開いているか、閉塞気味かを直接観察。
  • 視野検査:静的視野検査または動的視野検査を行い、視野欠損がないか確認。
  • 眼底検査:視神経乳頭の陥凹拡大や異常な出血の有無をチェック。
  • OCT検査:網膜神経線維層厚みの計測により、早期の視神経ダメージを可視化。

グラウコーマの治療法

グラウコーマの治療目標は「眼圧を十分に下げ、視神経へのダメージ進行を抑制する」ことに尽きます。代表的な治療法としては以下の3種類があります。

  1. 点眼薬(薬物療法)
    最も一般的な第一選択肢は点眼薬です。眼圧を下げるため、房水の産生を抑える、あるいは排出を促進する薬剤を中心に使用します。具体的にはプロスタグランジン関連薬やβ遮断薬、炭酸脱水酵素阻害薬などが使われ、1日1回程度の点眼で効果が持続するタイプもあります。継続使用が大切であり、自己判断でやめると眼圧が再上昇するリスクがあります。
  2. レーザー治療
    緑内障のタイプによっては、隅角部にレーザーを照射し、房水の流出を改善する方法があります。急性発作型の閉塞隅角緑内障などでは虹彩切開術などが行われることもあります。比較的侵襲が少なく、外来治療として短時間で実施できる利点があります。
  3. 手術(フィルタリング手術など)
    点眼薬やレーザーで改善が見られない場合は、切開手術により排液路を新たに作る方法や、隅角形成を行う方法があります。一般的にはトラベクレクトミー(線維柱帯切除術)などが代表的ですが、いずれも合併症リスクなどがあるため、医師との十分な相談が必要です。手術後も再発や眼圧コントロール不良が起きるケースもあるため、継続的に点眼薬を使う可能性が残ります。

薬物療法の継続の大切さ

日本の患者さんの多くは点眼薬による治療を続ける中で、「眼圧が落ち着いたように感じる」「症状が改善したかもしれない」と勝手に使用を中断してしまうことがあります。しかし、グラウコーマは慢性疾患であり、治療をやめれば再び眼圧が高くなるリスクがあります。視神経へのダメージは蓄積的かつ不可逆的であるため、自己判断での中断は非常に危険です。

また、近年の研究によると(European Glaucoma Societyが2021年に改訂したガイドラインなど)、長期管理では患者自身のアドヒアランス(服薬遵守度)を高める対策が重要とされています。具体的には、点眼の回数を減らした長時間作用型の薬剤を活用する、点眼後の副作用を減らす工夫(防腐剤フリーなど)を導入するなどが挙げられます。いずれにしても担当医と相談し、自分に合った点眼薬や点眼スケジュールを確立することが望ましいとされています。

子どもや若年者、その他特別な状況のグラウコーマ

多くの場合、高齢者を中心に発症するイメージが強いグラウコーマですが、先天性(小児)緑内障などは幼少期に診断が必要となります。症状としては角膜が白濁する、目が大きく見える(牛眼)などがあり、光に対して極度にまぶしがる様子が見られることも。子ども本人が自覚症状をうまく表現できないため、親や保護者が異変を感じたら早めに眼科を受診することが重要です。

進行を防ぐための日常生活の注意点

  • 定期検診の継続:視野が保たれていても、急に眼圧が上がる場合もあるため、医師の指示どおりの頻度で受診する。
  • 点眼の正しい方法を守る:決められた回数・タイミングで使わないと効果が発揮しづらい。点眼後すぐにまばたきをすると薬液が流れ出ることがあるため、数秒静止する。
  • 眼圧に影響する生活習慣:長時間の前傾姿勢や過度な水分摂取、極端に低い枕などは眼圧上昇を助長する可能性が指摘されている。激しい運動が許可されるかどうかは個人差が大きいため、医師の確認が必要。
  • 家族にグラウコーマの既往がある場合:早めに受診し、症状がなくとも40歳前後から定期的に視野検査などを受けることが推奨されている。

まとめ:早期受診と継続管理で視力を守る

グラウコーマは失明原因の上位を占める病気でありながら、早期発見・早期治療を行うことで進行を大きく抑えられる可能性があります。とくに40歳以上の方、家族に緑内障歴のある方、糖尿病や高血圧などの疾患をお持ちの方は、定期的に眼科で検査を受けることが非常に重要です。症状が進行するまで気づかず放置してしまうと、取り返しのつかない視野欠損に至るリスクがあります。

さらに、国内外の最新ガイドラインや研究によって、点眼薬の進歩やレーザー治療の選択肢が増え、治療効果の向上も期待されています。患者さん自身が正しい知識を身につけ、医師の指示をしっかり守ることが、何より大切と言えるでしょう。

参考文献


本記事は、日本国内を中心に公開されている各種ガイドラインや研究報告を踏まえた参考情報です。個々の症状やリスク要因には大きな個人差があるため、必ず眼科専門医などの医師に相談し、適切な診断と治療を受けてください。記事中で触れた治療法や予防法は一般的な知見に基づくものであり、すべての方に当てはまるとは限りません。実際の治療や投薬に関する最終的な判断は、医療機関と十分に相談したうえで決定いただくようお願いいたします。

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