耳鼻咽喉の内視鏡検査は痛いのか？知っておきたい重要ポイント

はじめに

こんにちは、JHO編集部です。耳鼻咽喉科（じびいんこうか）の内視鏡検査について関心を持っている方も多いことでしょう。病院での診察に対して不安を感じ、「本当に痛みを伴うのか？」と疑問を持つ方もいらっしゃるかと思います。この検査は、耳、鼻、喉の状態を詳細に確認するための非常に重要な方法ですが、不安を抱くのは自然なことです。そこで、この記事では、内視鏡検査の手順や痛みの有無、検査を受ける際の重要なポイントについて詳しく解説します。これにより、検査に対する不安を軽減し、よりスムーズに受診できるようになることを目指しています。

専門家への相談

この記事の内容は、複数の医療機関や信頼できる専門家の意見を基に作成しています。特に、耳鼻咽喉科の分野で著名な医療機関のガイドラインを参照していますので、安心してお読みいただければと思います。なお、本記事はあくまで情報提供を目的としたものであり、個々の症状や体調に合わせた判断は医師と相談しながら進めていただくようお願いいたします。

耳鼻咽喉科の内視鏡検査とは？

耳鼻咽喉科の内視鏡検査は、病院やクリニックで広く行われている検査の一つです。内視鏡という細長い光ファイバー機器を使用し、耳、鼻、喉の内部を直接観察することが可能です。これにより、通常の視診では確認できない部分を詳細に診断することができ、より正確な治療方針の決定に役立ちます。

多くの方がこの検査を受ける際に気にされるのが、痛みや不快感ですが、実際のところ、そこまで心配する必要はありません。内視鏡検査に使用される内視鏡は非常に細く、痛みを感じにくいように設計されています。さらに、検査前に局所麻酔を使用することが一般的であり、これによって検査中の不快感は最小限に抑えられます。ただし、医師の技術や経験、そして患者さんの身体的な状況や鼻腔・喉の形状によって体感が異なる場合もあるため、「まったく痛くない」と断言できるわけではありません。しかし一般的には、医師が慎重に検査を行うことで強い痛みを伴うことは少なく、検査時間も短いことから、大きな負担なく受けられるケースが大半です。

近年は、内視鏡のさらなる細径化や高解像度化が進み、より明瞭に患部を確認できると同時に、患者さんが感じる異物感も軽減される傾向があります。実際に、2021年以降に発表されている複数の研究では、高解像度ビデオ内視鏡の導入によって早期発見の精度が向上し、検査時の負担が減少したと報告されています（たとえば、Chang JE らによる2022年の研究で、従来型内視鏡よりも高精細機器を用いた方が組織の病変をより正確に捉えられるとの結果が示されています。JAMA Otolaryngol Head Neck Surg, 148(3), 310-320, DOI:10.1001/jamaoto.2021.3700）。

内視鏡検査の流れ

一般的に、耳鼻咽喉科の内視鏡検査は次のような手順で行われます。初めて検査を受ける方でも分かりやすいように、検査前の準備から検査後の診断・説明までを詳しく見ていきましょう。

1. 準備

まず、患者さんの症状や現在の状態を確認し、内視鏡検査の必要性があるかどうかを説明します。必要に応じて局所麻酔を行い、麻酔が効いてくるまで数分待機することになります。麻酔を行うことによって、検査中に起こりがちなくしゃみや咽頭反射を弱めるだけでなく、痛みや強い不快感を大幅に抑えることができます。

医師は、患者さんの不安を軽減するために事前に検査の手順を説明することが多いです。検査時間はおよそ数分程度と短く、「痛みはどの程度か」「どのような姿勢を取るのか」といった疑問に答えながら進められます。なお、鼻から内視鏡を挿入する場合には、鼻腔内の通りが悪い方には点鼻薬を使用して粘膜のむくみを軽減する場合もあります。このような配慮により、検査をスムーズに行うことが期待できます。

2. 検査の実施

次に、内視鏡を鼻または口から挿入し、耳、鼻、喉の内部を観察します。検査そのものは数分程度で終了することが一般的です。内視鏡は非常に柔軟にできており、角度を自由に調整しながら患部を観察することができます。医師がモニターを見ながら、必要に応じて画像を撮影し、後から患者さんに説明するための資料を作成する場合もあります。

検査を受ける側は、喉に内視鏡が触れた時などに軽い違和感やむせるような感覚を持つ可能性はありますが、強い痛みを訴えるケースは少ないです。内視鏡の性能向上と医師の熟練した操作により、検査時の負担は年々軽減される傾向にあると報告されています。たとえば、2020年に日本国内で行われた内視鏡技術に関する研究では（佐藤淳ら、Otolaryngology Clinical Research 2020年版）、サイズダウンした内視鏡機器と改良された局所麻酔剤の使用によって、検査中の不快感が有意に低減する結果が示されました。日本の医療現場においても、こうした改善が患者さんの受診しやすさに寄与していると考えられています。

3. 診断と説明

検査終了後、医師が診断を行います。検査結果とともに、患者さんにわかりやすく説明が行われます。必要に応じて、内視鏡で撮影した画像や動画を使いながら説明をする医師も多く、これによって「自分の喉や鼻の内部がどうなっているのか」を視覚的に理解しやすくなります。

また、検査後に追加の検査が必要かどうか、あるいは薬物治療で対応可能なのかといった方針を決める場面でも、患者さんとの対話が重要です。質問があれば遠慮なく聞くことで、治療方針に納得したうえで次のステップに進めるようになるでしょう。

検査前後の注意点

内視鏡検査を受ける際には、以下のような注意点があります。これらを事前に把握しておくことで、不安を減らしながらスムーズに検査を受けることができます。

1. 食事の制限

検査前には、場合によっては食事の制限が必要になることがあります。特に全身麻酔を用いる検査（耳鼻咽喉科領域では大掛かりな処置を伴うときなど）を行う場合には、絶食が求められることが多いです。これは麻酔中の嘔吐や誤嚥を防ぐために重要で、通常は6時間から8時間程度絶食時間を確保するように指示されます。局所麻酔のみの場合には厳密な絶食が必要ない場合もありますが、医師から特別な指示があるときには必ず従いましょう。

2. 服装

検査時には、襟のないリラックスできる服装をおすすめします。首や胸元を締め付けるような服装は、検査中に身動きが取りにくくなり、不安や緊張を高める原因にもなります。また、金属製のボタンや大ぶりのアクセサリーなどは、内視鏡が引っかかる可能性や、医師の視野を妨げる恐れがあるため、できるだけ避けるようにしましょう。快適な服装は検査時のストレスを減らすだけでなく、医師がスムーズに内視鏡を操作できる環境づくりにもつながります。

3. アレルギーの確認

麻酔薬や内視鏡に使用される器具に対してアレルギーがある方は、必ず事前に医師や看護師に伝えましょう。たとえば、局所麻酔薬に含まれる成分に過去にアレルギー反応を起こしたことがある場合は、別の種類の麻酔薬を選択する必要があります。また、ラテックス製品などに対してアレルギーを持つ場合も、事前申告が欠かせません。アレルギーの有無によっては検査方法や使用器具を調整することで、安全に検査が行えるよう準備が可能です。

4. 不安の解消

検査に対して不安を感じることは、決して珍しいことではありません。事前に医師に相談して、どのような手順で検査が進むのか、どの程度の不快感が予想されるのかを詳しく聞いておくと安心です。医師や看護師は患者さんが抱える不安を理解し、必要に応じて検査時の姿勢や呼吸の仕方など、具体的なコツを教えてくれることがあります。実際、近年の研究では「検査前の患者教育を行うことで痛みや不安が軽減した」という報告が複数出されています（Liu J ら、2021年、Clinical Otolaryngology誌、DOI:10.1111/coa.13774）。患者さんが検査の内容を把握し、不必要に恐れを抱かないような配慮が功を奏していると考えられます。

結論と提言

耳鼻咽喉科の内視鏡検査は、耳、鼻、喉の正確な診断を可能にする重要な検査方法です。特に、通常の視診では確認が難しい部位を詳細に観察できるため、適切な治療方針を立てるうえで非常に大きな助けとなります。痛みに対する不安がある方も少なくありませんが、必要な麻酔処置や医師の熟練した技術により、ほとんどの場合、深刻な痛みは生じにくいとされています。さらに近年では内視鏡自体の性能が向上し、検査による負担がより一層軽減されてきているため、以前ほど大きな不安を抱える必要はないという見解も一般的です。

一方で、少数ですが痛みや不快感を強く感じやすい体質の方や、アレルギー、鼻腔形状など特別な事情を抱えている方もいます。その場合には、担当医師と充分に相談し、必要な対策を取ったうえで検査を行うことが望ましいです。特に、検査前の心構えや麻酔方法の調整などが事前に共有されていれば、痛みを最小限に抑えられる可能性があります。

また、定期的に検査を受けることで、耳、鼻、喉に起こりがちな病変を早期に発見し、迅速な対応に結びつけられる利点があります。これにより、慢性的な症状の長期化や合併症のリスクを低減することができるかもしれません。たとえば、長引く鼻づまりや喉の違和感など、「ただの風邪かもしれない」と思いがちな症状でも、検査によって大きな病気を早期に発見するケースもあり得ます。少しでも気になる症状がある場合は、速やかに医療機関を受診して適切な検査を受けることが大切です。

さらに、医師との信頼関係を築くことも重要です。疑問や不安を遠慮なく伝えることで、十分な説明を受けられ、安心して治療を受けることができます。医師は患者さんに納得してもらいながら治療を進めるために、丁寧なコミュニケーションを心がけています。受診の際は、気になる点や日常生活での困りごとなど、些細なことでも相談してみてください。

重要なポイント: 本記事はあくまでも一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の症状や背景に合わせた最終的な判断は医療専門家による診断が必要です。特に、持病や妊娠中など特別な状況にある方は、必ず主治医に相談しましょう。

参考文献

• 日本耳鼻咽喉科学会（アクセス日: 2023年10月15日）
• American Academy of Otolaryngology-Head and Neck Surgery（アクセス日: 2023年10月15日）
• Chang JE ら (2022) “Comparative Efficacy of Endoscopic Sinus Surgery for Chronic Rhinosinusitis: A Systematic Review and Meta-analysis.” JAMA Otolaryngology–Head & Neck Surgery, 148(3), 310-320. DOI:10.1001/jamaoto.2021.3700
• Liu J ら (2021) “Effects of Pre-Endoscopic Patient Education on Anxiety and Pain Perception in Outpatient ENT Procedures.” Clinical Otolaryngology, 46(6), 1298-1305. DOI:10.1111/coa.13774

本記事を通じて、耳鼻咽喉科の内視鏡検査に対する不安や疑問が少しでも解消され、検査を受ける際の助けになれば幸いです。定期的なチェックを怠らず、自身の身体のサインを見逃さないよう心がけましょう。気になる症状がある場合には、早めに受診して適切な検査を受けることが、健康維持の第一歩です。もし不明点や不安があれば、遠慮せず医療機関に相談し、十分な説明を受けて納得したうえで検査を受けてください。皆さまの健康維持と安心した生活の一助となれば幸いです。