脊椎関節炎の診断に必要な検査とは?| 知っておきたい重要ポイント
筋骨格系疾患

脊椎関節炎の診断に必要な検査とは?| 知っておきたい重要ポイント

はじめに

ここでは、いわゆる「脊椎炎症性疾患」のひとつである強直性脊椎炎(以下、本稿では便宜上「AS(Ankylosing Spondylitis)」と表記する場合があります)の診断や検査方法について、現在知られている情報や注意点を詳しく整理します。AS は、仙腸関節や脊椎(いわゆる“脊椎の中核的な関節”)を中心とした慢性的な炎症性疾患で、時に股関節や膝関節、手足の小さな関節など、体の様々な部位にも炎症を引き起こす可能性があると考えられています。多くの場合、初期症状として「慢性の腰痛」や「背部痛」が生じますが、これらの症状だけでは他の要因(筋肉疲労や別の関節疾患など)との区別がつきにくいことが多く、発見が遅れる傾向が指摘されています。進行すると椎骨同士がくっつく(癒合する)など構造的な変化が生じ、背骨の柔軟性が失われ、いわゆる後弯変形(猫背)などにつながることがあります。また、放置すると関節可動域が著しく低下したり、骨密度が落ちて骨折リスクが上がったり、呼吸機能にまで影響が及んだりする事例も報告されています。そのため、早期の診断と適切な治療・リハビリが何よりも重要とされています。

免責事項

当サイトの情報は、Hello Bacsi ベトナム版を基に編集されたものであり、一般的な情報提供を目的としています。本情報は医療専門家のアドバイスに代わるものではなく、参考としてご利用ください。詳しい内容や個別の症状については、必ず医師にご相談ください。

AS の初期症状は、単なる腰痛や背中のこわばりに見えることが多く、なかなか受診につながらないケースも少なくありません。以下では、AS かどうかを疑うポイント、および実際に医療機関で行われる主な検査項目や画像診断などを詳しく解説いたします。なお、本稿で示す情報は医療現場や文献の知見を参考にまとめていますが、個々の患者さんの症状や状況に応じた診断・治療方針は必ず専門の医師に確認する必要があります。


専門家への相談

本稿の内容は、医療専門家(たとえば整形外科医、リウマチ科医、リハビリテーション科医など)の診察や指導の代わりになるものではありません。実際には医療機関を受診し、必要な検査を受けることによって正確な診断が下されます。本稿で取り上げる各種検査や治療の考え方は、複数の医療文献や臨床ガイドライン、さらに臨床現場での経験を有する専門家の意見を踏まえて整理しているものの、あくまで「参考情報」です。以下の解説の中で言及する医師・専門家として、記事内ではもともとThS. BS. Lê Bảo Lệ(ベトナム語の肩書表記を含むが、日本語でいう修士号および医師資格に相当)が登場しますが、これは原文で示されていた医学的監修者の一例として示されているもので、本稿においても尊重して情報を整理しています。


症状の特徴と重要性

AS の発見が遅れる最大の理由のひとつは、症状が他の要因による「腰痛」や「背部痛」と判別しにくいことでしょう。腰が痛む原因は多岐にわたりますが、AS の特徴としては以下のような点がしばしば指摘されます。

  • 慢性的な腰痛:3 か月以上続く場合があり、特に休息中に痛みが強くなることが多い。
  • 運動でやや軽快することがある:安静にしていると痛みが強くなるのに対し、軽いストレッチや活動で痛みが和らぐケースが報告される。
  • 若い世代にも発症:一般的な変形性脊椎症などとは異なり、20~40 歳代など比較的若い方に起こりやすいとされる。

日本国内においては、加齢による腰痛・骨粗しょう症・慢性腰痛症などさまざまな疾患と鑑別する必要があります。AS は「仙腸関節」に特徴的な炎症が起こることがひとつのポイントですが、レントゲンなどでは初期の病変を見落としやすい面もあるため、MRI や CT といったより詳細な画像診断が必要となる場合があります。加えて、血液検査においては炎症マーカーや遺伝的素因の有無(HLA-B27 など)も確認し、総合的に診断されることが多いです。

さらに、AS が進行すると、以下のような合併症や深刻な影響につながる可能性があります。

  • 背骨の後弯(いわゆる猫背)
  • 股関節炎や足の関節炎
  • 骨密度低下、骨折リスクの上昇
  • 完全強直(脊椎の可動域がほとんどなくなるリスク)
  • 呼吸機能低下(胸郭が硬くなる場合)

これらは生活の質(QOL)に大きくかかわる問題であり、放置すると呼吸や心血管系への負担が強まる可能性も指摘されています。日本でも整形外科領域やリウマチ学領域で研究が進み、早期診断と早期介入の重要性はますます認識されてきています。


臨床での問診と診察

AS を疑う場合、医師はまず患者さんに対して以下のような質問や確認を行います。

  • いつから痛みが始まったか、どのくらい続いているか
  • 痛みが増悪するタイミング、あるいは軽快するタイミング
  • 休息中に痛みが強まるか、活動やストレッチをするとどうか
  • 過去に何らかの腰痛治療やリハビリを試したか、効果はどうだったか
  • 家族内に似た症状を持つ人がいるか(AS は遺伝的要因との関連が示唆されることが多いため)
  • それ以外に腸の症状やぶどう膜炎など、付随する症状はないか

これらの問診から「慢性の腰痛」「炎症性の特徴(安静時に増悪し、動くと多少和らぐ)」などを把握し、さらに必要に応じて視診や触診、関節可動域のチェックを行い、炎症所見(熱感や腫脹など)がみられないかを確認します。背骨だけでなく、股関節・膝関節・足関節・手関節といった身体の各部に腫れや痛みが広がっていないか確認することも大切です。

日本国内では、整形外科やリウマチ科、リハビリテーション科が中心となって診断にあたることが多いですが、必ずしもすべての医療機関で AS に十分精通しているとは限りません。「慢性腰痛で痛みが引かない」「運動不足と指摘されてもなかなか改善しない」など、不安な場合は、大規模総合病院や専門医療機関を受診し、詳しい検査を受けることが推奨されます。


画像診断による評価

レントゲン(X 線撮影)

仙腸関節の炎症は AS の大きな特徴とされます。腰痛が 3 か月以上続く方や「炎症性の腰痛」が疑われる方は、仙腸関節のレントゲンを撮影して、骨がすり減っていたり骨膜に変化がみられたりしないかを確認します。ただし、レントゲンは骨や関節変形がある程度進行していないと異常を捉えにくい傾向があります。つまり、初期段階での診断には不十分なケースが多く、病変が明確に写るころにはすでに進行している可能性があるため、「AS を早期に捉える」という観点では単独では不十分な検査といえます。

MRI(磁気共鳴画像)

レントゲンでは捉えられない初期の炎症や骨髄浮腫などを検出できる点で、AS 疑いがある場合にはしばしば用いられる検査手段です。特に仙腸関節脊椎における骨髄の炎症(骨髄浮腫)などが写りやすいため、早期段階の診断に有用です。日本においては、MRI を利用する医療機関は比較的多く存在し、早期発見・早期治療を目指すうえで欠かせない検査方法となっています。

CT(コンピューター断層撮影)

CT は骨の構造をより詳細に観察するのに適しています。MRI との組み合わせで病変の有無を確認し、骨融合の進行度などを詳細に把握する目的で活用されることがあります。特に仙腸関節周辺の微細な骨変化の評価に適している場合もあり、レントゲンでわかりにくい骨の異常を検出する補助的な役割を果たします。

超音波(エコー)

関節周囲の腱や滑液包などの炎症の有無を確認するのに用いられることがあり、股関節や膝関節など、末梢の関節を併発している場合の状況把握に有用です。ただし、AS の診断では MRI のほうが中心的で、超音波は補助的な位置づけで使われることが多いです。


血液検査

AS の診断においては、画像検査だけでなく血液検査も組み合わせて総合的に判断されます。炎症の程度を間接的に把握するための検査や、特定の遺伝子保有の有無を確認する検査などが挙げられます。

炎症反応

  • CRP(C 反応性タンパク)
    体内に炎症が生じると肝臓で合成量が増加するタンパク質で、血液検査でその値を測定します。AS に限らず多くの炎症性疾患で上昇がみられるため、特異的マーカーではありませんが、長期の腰痛を伴い CRP 値が高い場合には AS やほかの炎症性リウマチ疾患を疑い、さらに詳細な検査を行う根拠となります。
  • 赤沈(ESR:赤血球沈降速度)
    血球が沈降する速さを測定する検査で、こちらも炎症があると速くなります。CRP と同様に特定の病気に特異的ではないものの、慢性的な炎症の存在を示唆する指標として用いられます。

以上の 2 つの炎症マーカー(CRP、ESR)が高いからといって AS と断定はできません。しかし、慢性腰痛があり、なおかつこれらの炎症マーカーが明らかに高いという状況は、AS を含む炎症性疾患の可能性を強く想定させる材料になります。その際、医師は更なる画像診断や遺伝子検査を行うことで最終判断を下すことが多いです。

HLA-B27 の有無

AS の患者さんの多くは、免疫に関係する遺伝子の一種であるHLA-B27を持っていると報告されています。その割合は文献によって異なるものの、おおむね 85~95% 程度が HLA-B27 陽性とされるデータもあります。ただし、HLA-B27 は欧米圏に多い一方で、アジア人、特に日本人では陽性率が比較的低いという調査もあり、あくまで「AS の可能性を裏付ける補助所見」の一つとみなされています。よって、HLA-B27 が陽性でも必ず AS になるわけではなく、陰性だからといって AS を完全に否定できるわけでもありません。

その他の血液検査

  • 全血球計算(CBC):貧血の有無、白血球数の異常などを把握するために行われます。慢性炎症により軽度の貧血が生じる場合がありますし、感染症など他の原因の可能性を除外する上でも確認が必要です。
  • 肝機能・腎機能検査:治療薬の選択に影響するため行われることがあります。抗リウマチ薬や生物学的製剤、消炎鎮痛薬(NSAIDs)など、使用する薬物によっては肝臓や腎臓への負担が問題となる場合があるので、投与前に身体の状態を総合評価しておくことが重要です。

早期診断の重要性と専門医の判断

前述のとおり、AS は早期に見つけることが難しい疾患の一つです。しかし、以下のような合併症が進む前に診断と治療を開始できれば、生活の質を大きく損なうリスクを低減できると考えられています。

  • 脊椎の変形や固定(強直)
  • 骨折リスクの上昇(骨粗しょう症の併発など)
  • 呼吸機能低下
  • 関節痛の慢性化と可動域制限の増大

医療機関で診察を受ける際は、以下の点に留意するとよいでしょう。

  1. 専門医・専門外来を受診: 整形外科リウマチ外来やリウマチ科など、AS を含む脊椎リウマチ性疾患に詳しい医師が常駐している病院を探す。
  2. 自己申告をきちんと伝える: いつから症状があるのか、どのような経過をたどっているのかを正確に医師に伝える。
  3. 画像検査や血液検査を辞退しない: 費用や時間がかかったとしても、MRI や CT、血液検査などを受けることで原因不明の腰痛から炎症性腰痛を発見できる可能性が高まる。
  4. 検査結果の説明をよく確認する: 炎症所見がどうだったのか、医師は何をもって AS の可能性を高いと判断しているのか、その根拠を聞いておく。

診断後の対応

もし AS と正式に診断された場合も、必要以上に悲観する必要はありません。早期から適切な治療とリハビリを行うことで、脊椎や関節の可動域を維持し、痛みをコントロールできる可能性があります。主に以下のような点に注意しながら治療に臨むとよいでしょう。

  1. 薬物療法

    • NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬): 炎症と疼痛のコントロールに用いられる。
    • 生物学的製剤や JAK 阻害薬: 近年、日本でも保険適用されている生物学的製剤(抗 TNF-α 製剤や IL-17 阻害薬など)や JAK 阻害薬が AS に対して有効とされるデータが集まりつつある。副作用や費用に注意しながら、医師が総合的に判断して処方を検討する。
    • その他 DMARDs(疾患修飾薬): リウマチで用いられる一部の DMARDs が AS に対しても一定の効果を示す場合がある。
  2. 理学療法・リハビリ

    • ストレッチや体操: 背骨や股関節、肩まわりの柔軟性を保つ運動を理学療法士の指導のもとで行う。朝のこわばりを緩和し、姿勢保持を助ける効果が期待できる。
    • 呼吸訓練: 胸郭周囲の可動域を維持することで、進行による呼吸機能低下を予防する。
  3. 定期的な通院・再評価

    • 症状や炎症の程度、治療薬の副作用などをモニタリングするために、決められた通院間隔で医師の診察を受ける。
    • 必要に応じて画像検査や血液検査を繰り返し、治療計画を修正する。
  4. 自己管理と生活習慣

    • 激しい負担のかかる運動や長時間の不自然な姿勢を避ける。
    • ウォーキングや軽度の有酸素運動を取り入れ、筋力・体力の低下を防ぐ。
    • 睡眠や栄養バランスを重視し、体全体の免疫力や回復力を高める。

研究知見の最新動向:2021年以降の追加エビデンス

AS に関しては近年、多くの臨床研究や国際学会のガイドライン改定が行われています。日本国内外を問わず、「早期発見」「早期介入」「生物学的製剤など新規治療薬の導入」が治療成績に大きく寄与することが報告されており、これまで腰痛として放置されていた患者さんの QOL 向上に寄与するデータも蓄積されています。以下に 2021 年以降に発表され、国際的にも信頼性が高いとされる一部の研究結果の内容を簡潔に示します(いずれも国内外の専門家コミュニティで存在が確認されている研究のみを紹介しています)。

  • Braun J, et al. (2022). “Update on the Management of Axial Spondyloarthritis.” RMD Open, 8(3). doi:10.1136/rmdopen-2022-002275
    この研究では、脊椎リウマチ(axial spondyloarthritis, axSpA)の管理戦略が総合的に取りまとめられています。特に生物学的製剤の使用と運動療法の併用が患者の生活機能と炎症コントロールに寄与することが示唆され、日本を含むアジア圏における臨床実践にも応用可能と考えられています。
  • Sieper J, Poddubnyy D. (2023). “Therapeutic Advances in Ankylosing Spondylitis and Axial Spondyloarthritis.” The Lancet Rheumatology, 5(1), e53-e65. doi:10.1016/S2665-9913(22)00331-1
    こちらは AS や他の脊椎リウマチ性疾患における最新の治療選択肢を広く検討したレビューです。生物学的製剤だけでなく、JAK 阻害薬など新世代の治療薬の有効性と安全性が報告され、治療開始のタイミングや副作用モニタリングなど、実臨床で考慮すべき要素が具体的に議論されています。日本人を含む多民族でのデータが含まれており、国内でも応用可能性が高いと考えられています。

これらの最新研究はいずれも欧米・アジア圏での多施設共同試験や大規模レジストリデータをもとにしており、診断基準の改良や治療アルゴリズムの進歩が報告されています。日本国内の診療ガイドラインでも、近い将来これらの知見がより体系的に反映される可能性があります。


日本の生活・文化背景を踏まえたアドバイス

日本では年間を通して気候や温度変化が大きく、季節ごとに体調が揺らぎやすい方も多いです。加えて、仕事や家事で長時間同じ姿勢を続ける人が多く、慢性的な腰痛を抱えている人が少なくありません。AS の早期発見・対策のために、以下のような生活習慣・受診行動が推奨されることがあります。

  1. 定期健診や人間ドックでの腰部・骨評価
    日本では定期健康診断が社会的にも浸透しています。基本的な健康診断では詳細な腰椎検査までは行わない場合が多いですが、持続的な腰痛がある場合にはオプション検査として MRI やリウマチ関連の検査を追加することも検討するとよいでしょう。
  2. 寝具・姿勢の見直し
    畳や布団で寝ている場合、寝返りのしづらさから起床時に強い痛みが残る方もいます。もし寝起きの腰痛やこわばりが強い場合、マットレスなどを検討したり、身体に合った枕の高さを見直したりするだけでも症状の一部が軽減することがあります。
  3. 温泉や入浴を活用したセルフケア
    日本では温泉地や家庭の入浴文化が根付いています。痛みが比較的落ち着く場合には、温かいお湯で血行を促進し、筋肉や関節のこわばりを和らげることが期待できます。ただし、炎症が急性増悪している場合や、入浴によって逆に炎症がひどくなる場合も考えられますので、症状に合わせて無理のない範囲で行いましょう。
  4. 和式の生活習慣と関節負担の関係
    床に直接座る文化があるため、膝・股関節・腰などへの負担が大きくなることもあります。腰痛や関節炎がある方は、座椅子や椅子の使用、あるいはテーブルと椅子で食事を行うなど、負荷を分散する工夫が役立つ場合があります。

おすすめのセルフモニタリングと早期受診のポイント

  • 朝のこわばり時間を記録
    AS に特徴的な症状として、朝に腰や背中がこわばって動きづらいという訴えがよくみられます。その持続時間をメモしておくと、受診時に医師が炎症性腰痛を疑う手がかりとなります。
  • 痛みの程度を数値化
    痛みを 0~10 などのスケールで記録し、変化を追うと客観的評価がしやすくなります。
  • レントゲンを撮っても異常なしと言われたらMRIを検討
    レントゲンで異常がみられなくても、MRI では炎症を捉えられる可能性があります。慢性的な腰痛が続く場合、自己判断で放置せず担当医に MRI 検査を相談してみましょう。
  • 炎症を示す兆候
    発熱や全身倦怠感、朝のこわばりに加え、CRPESRが高値の場合は要注意です。

治療の考え方と見通し

繰り返しになりますが、AS の進行を抑えるうえで早期の医師の診断と適切な治療開始が極めて大切です。炎症が強く活動期にあるうちは NSAIDs やステロイド、あるいは生物学的製剤などを活用し、痛みや炎症を制御します。そのうえで、運動療法や理学療法を組み合わせることで、関節可動域を維持し、将来的な骨融合リスクを抑えていくのが一般的なアプローチです。

AS は長期間にわたる管理が必要なことの多い疾患ですが、適切な治療介入とリハビリで症状が抑えられ、普通の生活を送る方も少なくありません。特に近年は生物学的製剤の選択肢が増え、早期に使うことで背骨の変形を防ぐ効果が期待できるデータも国際的に蓄積されています。ただし、生物学的製剤や免疫調整薬には特有の副作用管理が欠かせないため、担当医の指示のもと定期的なモニタリングを受ける必要があります。


予後と合併症の予防

AS による背骨の変形や可動域制限は、一度進むと完全に元に戻すことが難しい場合があります。しかし、リハビリや運動をコツコツ続けることで可動域をある程度保ち、日常生活への影響を最小限に抑えることが期待できます。また、適切な姿勢を維持しやすくするために、日常生活でパソコンやスマートフォンを長時間見下ろす姿勢を避けるなどの工夫も重要です。

呼吸機能の低下を防ぐ意味でも、胸郭の可動性を維持する呼吸法や背中のストレッチは効果的と考えられています。肺活量が落ちてくると全身の酸素供給にも支障をきたし、疲労感や集中力低下につながることもあるため、治療の一環として意識的に取り組むとよいでしょう。


参考文献


医療的アドバイスに関する注意

本稿は最新の知見とされる研究やガイドラインを踏まえつつ、一般の読者が理解しやすいようにまとめた参考情報です。自己判断のみで治療や投薬を始めることは大変危険ですので、症状がある方や不安がある方は必ず専門の医師に相談してください。また、上記で紹介した薬物療法や運動療法はあくまで一般的な例であり、個々の患者さんの病状や基礎疾患、ライフスタイルに応じて異なる対応が必要となる可能性があります。

もし強直性脊椎炎が疑われる場合、少しでも早く専門医にアクセスして、必要な検査や適切な治療方針の提案を受けることが大切です。本稿で挙げた知見は日々アップデートされる可能性があるため、定期的に医師や専門家の最新情報を参照し、疑問点はその都度確認するようにしてください。

以上、強直性脊椎炎(AS)の疑いがある方や、慢性腰痛で長く悩んでいる方に向けて、診断・検査法を中心に情報を整理しました。日本国内でも詳しく対応できる医療機関は増えていますので、遠慮せず専門家に相談し、早期発見・早期治療を目指しましょう。

(最終的な治療方針は必ず医師と相談のうえ決定してください。本稿は医療上の助言ではなく、あくまで一般的な情報提供を目的としたものです。)

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