腸内フローラの乱れを示す4つのサイン | 健康の鍵はここにあり
消化器疾患

腸内フローラの乱れを示す4つのサイン | 健康の鍵はここにあり

はじめに

私たちの腸内には、数えきれないほど多様な細菌が生息しています。なかでも、消化や栄養吸収、免疫機能の維持に役立つ細菌は「有益菌」、悪影響を及ぼすものは「有害菌」と呼ばれます。一般的には、有益菌が全体の約85%、有害菌などその他の微生物が約15%の割合でバランスを保っている状態が「健康的な腸内環境」と考えられています。しかし、普段の食事内容や睡眠不足、ストレス、アルコールの過剰摂取、さらには薬剤の使用など、さまざまな要因によってこのバランスは簡単に崩れてしまいます。その結果、腸内細菌の組成が変化し、腸内細菌叢の乱れ(腸内環境の悪化)が生じると、消化機能や免疫力、体重、そして睡眠の質にまで影響が出てしまう可能性があるのです。

免責事項

当サイトの情報は、Hello Bacsi ベトナム版を基に編集されたものであり、一般的な情報提供を目的としています。本情報は医療専門家のアドバイスに代わるものではなく、参考としてご利用ください。詳しい内容や個別の症状については、必ず医師にご相談ください。

本記事では、腸内細菌叢が乱れた際に出やすい4つのサインや背景となる仕組みを詳しく解説し、さらに腸内細菌叢を良好に保つための簡単な方法について掘り下げます。腸内環境が健康の要(かなめ)であることを改めて認識し、日々の生活で実践できるヒントを見つけていただければ幸いです。

専門家への相談

本記事の内容は、各種研究論文や国内外の医療機関・公的機関の情報を参考にまとめています。たとえば、腸内細菌や免疫力向上に関しては、Nutriweb.org.my や Healthline などの海外医療情報サイトに加え、PubMedNature といった専門的な学術データベースの文献も活用しています。なお、本記事で示す情報はあくまでも一般的な健康情報であり、個々の体調や既往症によって対応は異なる可能性があります。何らかの症状や不安がある場合は、医師など専門家にご相談ください。

腸内細菌叢が乱れると起きやすい4つのサイン

腸内細菌叢が乱れると、消化や免疫、体重コントロールなど、さまざまな面で不調が現れます。ここでは、代表的な4つのサインを挙げ、その背景を解説します。腸内環境が乱れているかもしれないと感じたときに、早めに気づくための目安として参考にしてください。

1. 消化器症状が起こりやすい

  • 下痢や便秘、腹部膨満感、腹痛、過敏性腸症候群(IBS)などが繰り返し起こる
    腸内の有益菌は、消化されきらなかった食べ物を分解・発酵して短鎖脂肪酸をつくり、腸のぜん動運動を促進する役割を担います。しかし、有益菌が減少すると、腸の動きが弱まり便秘を引き起こしたり、逆に下痢が続くこともあります。また、長期間の消化不良は体力低下や栄養不足、免疫力の低下につながり、慢性的な大腸炎など重篤な病気のリスクを高めることも指摘されています[3,5,6,18]
  • 原因不明の消化不良が続く
    見た目には問題がないのに、お腹の調子が常に不安定という場合、腸内細菌叢の乱れにより、腸が慢性的に炎症を起こしている可能性もあります[5]。実際に日本国内でも、腸内細菌叢のバランス改善を目的とした生活習慣の見直しによって、消化器症状が和らぐケースがみられています。

2. 免疫力の低下で風邪や感染症にかかりやすい

  • 腸内は免疫細胞のおよそ70~80%が集まる重要な場所
    腸は免疫機能の大部分を担っており、有益菌が豊富に存在すると免疫細胞(T細胞など)の活動がサポートされ、病原微生物の侵入や増殖を抑制しやすくなります[6,7,8]。逆に腸内に有害菌が増えてしまうと、免疫系の働きが混乱し、体外からの病原体だけでなく自分自身の細胞さえ攻撃する「自己免疫反応」が引き起こされることがあります[9]
    その結果、風邪や感染症にかかりやすく、回復にも時間がかかるようになります。日本では季節の変わり目に風邪が流行しやすいですが、腸内環境を整えることで軽い症状ですむ可能性も期待できます。

3. 体重がコントロールしづらくなる

  • 急に増減する体重
    食事や運動量を変えていないのに、体重が急に増えたり減ったりする場合は、腸内細菌叢の乱れが原因のひとつかもしれません[10]。有益菌が減少すると、糖や脂質の吸収・代謝が滞り、血糖値コントロールの乱れや脂肪蓄積につながる可能性があります。また、有益菌には食欲や満腹感に関連するホルモン(レプチンやグレリン、PYYなど)の分泌を調整するはたらきもあり、これらのバランスが崩れることで食欲が抑えられなかったり、逆にまったく食欲がわかなくなったりする場合もあるのです。
  • 国内外の研究で肥満やメタボリックシンドロームとの関連性が注目
    近年、肥満やメタボリックシンドロームと腸内細菌叢との関連性について、多くの研究が行われています。たとえば 2023年に学術誌「Gut Microbes」に掲載された大規模レビューでは、特定の腸内細菌が過剰に増えると肥満リスクが上昇する可能性が示唆されていますLiu X.ら (2023) 「Gut microbiota and obesity: Key players, interactions and future perspectives」Gut Microbes, 15(2), 2179289, doi:10.1080/19490976.2023.2179289。日本国内においても、高齢者や特定地域の人々を対象に、腸内環境が生活習慣病予防に深く関わっているとする論文がいくつか報告されていますOkubo T.ら (2021) 「Association between gut microbiota and lifestyle factors in Japanese centenarians」Geriatr Gerontol Int, 21(12), 1221–1228, doi:10.1111/ggi.14332

4. 睡眠不足・不眠気味になり疲れがとれにくい

  • セロトニンやドーパミンの生成に関わる腸内細菌
    セロトニンやドーパミンといった神経伝達物質は、気分や睡眠の質に大きく影響します[11]。腸内細菌叢が乱れると、これらの物質の生産量が減る可能性があり、結果として不眠や浅い眠り、疲労感の蓄積につながることがあります。
  • 栄養吸収の低下からくる慢性的な疲れ
    また、腸内細菌叢が乱れることで栄養素が十分吸収されない場合、ビタミンやミネラル不足を招きやすく、だるさや疲労感が抜けにくいといった状況を生むこともあります[12]。例えば、タンパク質の吸収が不十分だと筋肉量の維持が難しくなり、日常生活でも疲れがたまりやすいといわれます。

腸内環境を整える2つの簡単な方法

腸内細菌叢のバランスが崩れると上記のように様々な不調が現れますが、日々の生活習慣や食品選びを少し意識するだけでも改善が期待できます。ここでは、取り入れやすい2つの方法を紹介します。

1. 生活習慣全般を見直す

  • 多様な食品をバランスよく食べる
    腸内細菌叢は、毎日の食事内容によってその構成が大きく変化します[14]。野菜や果物、豆類、全粒穀物など食物繊維を多く含む食品を積極的に取り入れ、有害菌が好む糖質・脂質を過度に含んだ加工食品や、過度なアルコール摂取を控えることが大切です。発酵食品(納豆、キムチ、漬物、ヨーグルトなど)は、有益菌が含まれている場合が多いため、日常的に摂るようにすると良いでしょう。
  • 適度な運動習慣を続ける
    運動が腸内細菌叢に好影響を与えることが、国内外の研究でも示唆されています[15]。ジョギングやウォーキングなどの有酸素運動を週数回取り入れる、食後に軽く散歩するなど、自分のペースで続けることが大切です。激しい運動である必要はありませんが、習慣として定期的に取り組むだけでも腸内環境を整えやすくなると考えられています。
  • ストレスの軽減と十分な睡眠
    慢性的なストレスは交感神経を刺激し、腸の動きを乱す原因となります。また、睡眠不足もホルモンバランスの乱れや、免疫力低下を招いて腸内細菌叢に悪影響を及ぼします。できるだけ睡眠時間を7〜8時間確保し、趣味やリラックス法を見つけてストレスをうまく発散するように心がけましょう[11]

2. 有益菌を補う──バチルス・クラウシイ(Bacillus clausii)入り製品の活用

  • 有益菌補給に「メンビオ」や「メンビオ飲料」などのいわゆる“メン製品”を使う人が増加
    日本では、乳製品を摂れない方や子ども、高齢者を含め、多くの人が手軽に有益菌を補う手段として“メンビオ飲料”等を取り入れ始めています。なかでもバチルス・クラウシイ(Bacillus clausii)は熱や胃酸、外部環境に対して強い耐性を持つため、腸に到達しやすい特徴があることで知られています[17]
  • 4億個から数十億個単位のバチルス・クラウシイを補給できる製品を選ぶ
    市販の腸内環境改善製品には、配合されている菌種や菌数がさまざまです。たとえば、1本あたり4億個や4億個以上のバチルス・クラウシイが含有されるものもあり、継続的に摂取することで腸内環境を整えやすいとされています。体調や生活スタイルに合わせ、飲みやすい形状(粉末・飲料・カプセルなど)のものを選ぶようにしましょう。
  • 抗生物質使用中でも生き延びやすい
    バチルス・クラウシイは抗生物質の影響を比較的受けにくく、生存率が高いことが確認されています[17]。そのため、胃腸炎などで抗生物質を使用している方でも、腸内の有益菌を補いやすいメリットがあります。

結論と提言

腸内細菌叢のバランスが崩れているサインとして、消化器症状(便秘・下痢・腹部不快感など)が頻繁に起きる、免疫力の低下でかぜをひきやすい、体重がコントロールしづらい、不眠など睡眠の質が落ちて疲れがとれにくい──といった点が挙げられます。これは、腸内の有益菌が減少し、有害菌が増殖することで免疫反応の異常や代謝機能の乱れを引き起こしやすくなるからです。

こうした症状を予防・改善するためには、食物繊維の豊富な食品を多めに摂る、発酵食品を積極的に食べる、過度なストレスや睡眠不足を避ける、適度な運動を習慣化するなど、生活習慣のトータルな見直しが重要です。さらに、バチルス・クラウシイ(Bacillus clausii)のような生存力が強い菌を補うのも有効な手段といわれています。とくに、お子さんから大人・高齢の方まで幅広く利用できる形態の製品を選ぶと、日常生活に取り入れやすいでしょう。

腸内細菌叢の乱れは、生活習慣病や肥満、メンタル面にまで影響を及ぼすことが近年の研究で次々と報告されています。体調管理の基本として、まずは腸内環境を整える意識を高めることが、健康増進への大きな一歩となるはずです。

重要な注意点
本記事で紹介する情報は、疾患の予防・診断・治療を行う目的ではなく、一般的な健康増進のための参考情報です。すでに症状がある場合や、治療中、もしくは薬の服用中の方は、必ず主治医など専門家にご相談ください。

参考文献


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本記事は健康に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、医学的アドバイスの代替とはなりません。具体的な診断や治療方針に関しては、必ず医師などの専門家にご相談ください。

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