自宅で毛穴を引き締める!科学的根拠に基づく原因別ケアと有効成分、NG習慣を皮膚科医が徹底解説
皮膚科疾患

自宅で毛穴を引き締める!科学的根拠に基づく原因別ケアと有効成分、NG習慣を皮膚科医が徹底解説

日本の多くの方々が抱える肌の悩み、それが「毛穴」です。特に、日本の高温多湿な気候や、長引くマスク生活は、毛穴の目立ちに拍車をかけていると感じる方も少なくないでしょう1, 2。実際、ある調査では、化粧品で毛穴ケアをしている日本人女性のうち30代が最も多く、悩みとしては「毛穴の開き・広がり」が最多という結果も出ています1。この記事の目的は、そうした根深い毛穴の悩みに対し、科学的根拠に基づいた、自宅でできる包括的な毛穴ケア方法を、原因から対策、さらには避けるべきNG習慣まで、専門家の知見を交えて徹底的に解説することです。最初に理解しておきたいのは、毛穴は皮膚の重要な機能を持つため完全には消せないという事実です。しかし、美容皮膚科医の山屋雅美医師も指摘するように、適切なケアでその見た目を大幅に改善することは十分に可能です3。この記事を読み終える頃には、あなたは自身の毛穴タイプを理解し、科学的に裏付けられた正しいケア方法を身につけ、自信あふれる健やかな肌への道を歩み始めていることでしょう。

要点まとめ

  • 基本は「優しい洗顔」と「十分な保湿」: 全ての毛穴ケアの土台は、肌のバリア機能を守る正しいスキンケアです。過度な洗浄や摩擦を避け、肌を潤いで満たすことが何よりも重要です4, 5
  • 毛穴タイプに合った「有効成分」を賢く選ぶ: 自身の毛穴悩み(開き、黒ずみ、詰まり、たるみ)の原因を理解し、レチノイド6、サリチル酸(BHA)7、ナイアシンアミド8、ビタミンC誘導体といった有効成分を科学的根拠に基づいて選びましょう。
  • やってはいけない「NG習慣」を避ける: 角栓の無理な押し出しや、科学的根拠の乏しいDIYケア(レモン汁や重曹パックなど)は、肌を傷つけ問題を悪化させるだけです9, 10, 11
  • 「紫外線対策」は一年中の義務: 紫外線は、たるみ毛穴や皮脂の酸化、角質肥厚など、あらゆる毛穴トラブルの大きな原因となります12。季節を問わず、徹底した対策が不可欠です。
  • 生活習慣の見直しも忘れずに: バランスの取れた食事、質の高い睡眠、ストレス管理といった内側からのケアも、健やかな肌を育む上で欠かせません13
  • 改善しない場合は「専門家」に相談を: セルフケアで限界を感じたら、一人で悩まず皮膚科専門医に相談しましょう。ケミカルピーリングやレーザー治療など、より効果的な選択肢があります3, 14

毛穴の基本:毛穴とは何か?なぜ目立つのか?

毛穴ケアを始める前に、まずは敵である「毛穴」そのものについて理解を深めましょう。毛穴は、単なる肌の凹みではありません。皮膚の表面に開いた小さな孔で、解剖学的には毛包(もうほう)と呼ばれる毛を包む管の出口部分を指します。この毛包には、皮脂を分泌する皮脂腺がつながっており、私たちの肌や髪を潤し、外部の刺激から守るという重要な役割を担っています13。しかし、様々な要因によって、この毛穴が本来あるべき姿よりも目立ってしまうのです。

毛穴が目立つようになる主なメカニズムと要因

毛穴が目立つ背景には、複数の要因が複雑に絡み合っています。主なメカニズムは以下の通りです。

  • 皮脂の過剰分泌とその原因: ホルモンバランスの乱れ、遺伝的要因、脂質や糖質の多い食生活、ストレス、そして間違ったスキンケアなどが原因で皮脂が過剰に分泌されると、皮脂の出口である毛穴が押し広げられ、開いて見えてしまいます13
  • 角栓詰まり(コメド形成): 過剰に分泌された皮脂と、肌のターンオーバーの乱れなどによって剥がれ落ちずに残った古い角質細胞が混ざり合い、毛穴の出口を塞いでしまう状態です。これが「角栓」であり、「コメド」とも呼ばれます。この詰まりが毛穴を物理的に押し広げ、目立たせる大きな原因となります13
  • 肌の乾燥と毛穴: 意外に思われるかもしれませんが、肌の乾燥も毛穴を目立たせる一因です。肌が乾燥すると、皮膚は自らを守ろうとしてかえって皮脂を過剰に分泌させることがあります(インナードライ)。この過剰な皮脂が毛穴トラブルにつながるのです5。また、乾燥によって肌のキメが乱れると、毛穴周辺の皮膚がしぼんで影ができ、毛穴がより目立って見えます12
  • 加齢によるたるみと毛穴(たるみ毛穴): 年齢を重ねるとともに、肌のハリや弾力を支える真皮層のコラーゲンやエラスチンが減少し、質も低下します。これにより、肌全体の弾力が失われ、重力に逆らえなくなった皮膚が垂れ下がり、毛穴も一緒に縦方向に引き伸ばされてしまいます。これが「たるみ毛穴」の正体です13
  • 紫外線ダメージと毛穴: 紫外線、特に波長の長いUVAは肌の真皮層にまで到達し、コラーゲンやエラスチンを破壊・変性させるため、「たるみ毛穴」を加速させる最大の外的要因と言えます3, 12。また、UVBは肌のターンオーバーを乱して角質を厚くさせ(角質肥厚)、毛穴詰まりを悪化させる可能性もあります。
  • 不適切なスキンケアと毛穴: ゴシゴシと強く洗う、洗浄力の強すぎる洗顔料を使い続けるといった過度な洗浄や、スキンケア時の摩擦は、肌のバリア機能を低下させます。バリア機能が損なわれると、肌は乾燥しやすくなり、外部からの刺激に敏感になって、様々な毛穴トラブルを誘発します5

あなたの毛穴はどのタイプ?主な毛穴トラブルの種類と見分け方

効果的なケアを行うためには、まず自分の毛穴がどのタイプに当てはまるのかを正しく見極めることが重要です。主な毛穴トラブルは以下のタイプに分けられます。

1. 開き毛穴(ひらきけあな)

  • 特徴: 主に皮脂分泌の盛んなTゾーン(額、鼻)や頬の内側に見られ、毛穴が丸く開いて見える状態です。ファンデーションなどのベースメイクが毛穴に落ち込んでしまう「毛穴落ち」も、このタイプでよく見られる悩みです。
  • 見分け方: 皮脂が多く、触るとザラつきはあまり感じないものの、毛穴の一つ一つの凹みがはっきりと目視できます。
  • 主な原因: 皮脂の過剰分泌によって毛穴の出口が常に押し広げられている状態が主な原因です4。また、肌の乾燥によってキメが乱れたり、ターンオーバーが乱れて未熟な角質細胞が蓄積したりすることも、開き毛穴を助長します3

2. 黒ずみ毛穴(くろずみけあな)

  • 特徴: 主に鼻やその周辺の頬、あごなどに見られ、毛穴が黒い点々として見える状態です。いわゆる「イチゴ鼻」の多くがこのタイプにあたります。
  • 見分け方: 毛穴が黒いポツポツとして見え、触るとザラザラとした感触があることが多いです。
  • 主な原因: 毛穴に詰まった角栓(皮脂と古い角質が混ざったもの)が、空気中の酸素や紫外線に触れることで酸化し、黒く変色することが直接の原因です15。また、メイク汚れや皮脂汚れが落としきれずに残っていることも一因です。

3. 詰まり毛穴(つまりけあな)/ 白ニキビ(コメド)

  • 特徴: 肌の表面がザラザラし、白くポツポツと小さく盛り上がっている状態です。これは毛穴の出口が閉じ、内部に皮脂や角質が詰まっている状態で「閉鎖面皰(へいさめんぽう)」や「白ニキビ」とも呼ばれます。炎症を起こすと赤く腫れたニキビに進行することがあります。
  • 見分け方: 肌表面がザラついており、色はないものの、白い点や小さな盛り上がりが指で触ると確認できます。
  • 主な原因: ターンオーバーの乱れなどにより毛穴の出口が角質で塞がれ、内部で皮脂が排出されずに溜まってしまうことが原因です4

4. たるみ毛穴(たるみけあな)

  • 特徴: 主に頬を中心に、毛穴が本来の円形ではなく、涙型やしずく型、楕円形に伸びて見える状態です。年齢とともに目立ちやすくなり、これらの毛穴が繋がって見えると「帯状毛穴」と呼ばれることもあります。
  • 見分け方: 肌全体のハリが失われ、毛穴が重力に引かれるように縦方向に伸びています。指で頬の皮膚を斜め上に軽く持ち上げてみて、毛穴が目立たなくなるようであれば、たるみ毛穴の可能性が高いです。
  • 主な原因: 加齢や紫外線ダメージによる真皮のコラーゲンやエラスチンの減少・変性が最大の原因です4。肌の土台が緩むことで、毛穴を支えきれなくなり、垂れ下がってしまうのです。表情筋の衰えや急激な体重減少も関係します。美容皮膚科医の山屋雅美医師は、特に30代から40代で見られる涙型の毛穴は、開き毛穴とクレーター状のニキビ跡が混在している可能性も指摘しています3

(補足) 産毛による毛穴の目立ち

  • 特徴: 角栓が詰まっているわけでも、酸化しているわけでもないのに、毛穴が黒ずんで見えるタイプです。
  • 見分け方: よく観察すると、毛穴から細い産毛が生えているのが確認できます。特に産毛の色が濃い、または太い場合に目立ちます。
  • 主な原因: 産毛そのものの色によって、毛穴が黒い点のように見えたり、影になったりすることが原因です。また、角栓が毛穴を塞いでいると、産毛が抜けずに内部でとぐろを巻いてしまい、黒く見えることもあります3。このタイプの毛穴悩みに対して、山屋医師は医療脱毛が効果的であると指摘しています3

自宅でできる!科学的根拠に基づく毛穴引き締めケア

自分の毛穴タイプを理解したら、いよいよ具体的なケアに移ります。ここでは、科学的根拠に基づいた、自宅で実践できる効果的な毛穴ケアをステップごとに詳しく解説します。

1. 基本のスキンケア:正しい洗顔と保湿が全ての土台

特別なケアに目が行きがちですが、毛穴悩みを改善するための最も重要なステップは、日々の基本的なスキンケア、すなわち「洗顔」と「保湿」です。この土台がしっかりしていなければ、どんなに高価な美容液を使っても効果は半減してしまいます。

1.1. 正しい洗顔方法:汚れを落とし、肌を守る

洗顔の目的は、汗やほこり、余分な皮脂、古い角質、そしてメイク汚れを落とすことですが、やり方を間違えると肌に必要な潤いまで奪い、バリア機能を損なう原因になります。

  • クレンジング剤の選び方: メイクをしている日は、必ずクレンジングを行いましょう。肌タイプやメイクの濃さに合わせて選ぶことが重要です。例えば、ナチュラルメイクならミルクやジェルタイプ、しっかりメイクならオイルやバームタイプが適しています。美容皮膚科医の山屋雅美医師は、皮脂を取りすぎず、肌への負担が少ないジェルクレンザーを推奨しています3。クレンジング料と洗顔料は役割が異なるため、基本的にはW洗顔が必要です4
  • 洗顔料の選び方と泡立て: 健康な肌は弱酸性に保たれているため、洗浄力が強すぎるアルカリ性の洗顔料は避け、弱酸性から中性の製品を選ぶのが基本です。そして最も重要なのが「泡立て」。洗顔料は手や泡立てネットを使い、キメ細かく弾力のある泡をたっぷりと作ります。この泡がクッションとなり、指と肌との間の摩擦を最小限に抑えてくれます4
  • 洗い方の手順とポイント: 洗う順番は、皮脂の多いTゾーン(額、鼻)から。次にUゾーン(頬、あご)、最後に皮膚が薄くデリケートな目元・口元の順に、泡を肌の上で転がすようにして優しく洗います4。指が直接肌に触れないように意識することが大切です。洗顔時間は、泡を乗せている時間を含めて1分から1分半程度を目安にしましょう4
  • すすぎの重要性: すすぎは、洗顔料の洗浄成分が肌に残らないように、丁寧に行う必要があります。温度は、熱すぎても冷たすぎても肌に負担をかけるため、30〜32℃程度のぬるま湯が最適です4。髪の生え際やフェイスライン、あごの下はすすぎ残しが多い部分なので、特に意識して20回以上はすすぎましょう5
  • 拭き方: 清潔で柔らかいタオルを使い、ゴシゴシこするのではなく、顔に優しく押し当てるようにして水分を吸い取ります4。ここでも摩擦は厳禁です。

1.2. 効果的な保湿:うるおいで毛穴を満たし、目立たなくする

洗顔後の肌は、水分が蒸発しやすく非常に乾燥しやすい状態です。速やかに保湿ケアを行うことが、健やかな肌と目立たない毛穴への鍵となります。

  • 乾燥が皮脂分泌を招き毛穴を目立たせるメカニズム: 肌が乾燥するとバリア機能が低下し、肌内部の水分が逃げやすくなります。すると、皮膚はそれ以上の水分の蒸発を防ごうと、防御反応として皮脂を過剰に分泌させることがあります5。この過剰な皮脂が、結果的に毛穴の詰まりや開きを引き起こすのです。また、肌が乾燥してキメが乱れると、一つ一つの毛穴が影になってより目立ちやすくなります12
  • 化粧水、乳液、クリームの役割と選び方: 保湿の基本は「水分」と「油分」の両方をバランスよく補給することです。化粧水は肌に水分を与えてキメを整える役割、乳液やクリームはその水分が蒸発しないように油分で蓋をし、潤いを閉じ込める役割があります。化粧水だけで済ませてしまうと、水分が蒸発する際に肌の水分まで一緒に奪ってしまい、かえって乾燥を招くことも。必ず乳液やクリームをセットで使いましょう5。皮脂が気になる脂性肌の人も、油分が全くない保湿剤を選ぶのではなく、適切な油分バランスの製品を選ぶことが大切です。
  • 注目すべき保湿成分: 製品を選ぶ際は、以下のような保湿効果の高い成分が配合されているかに注目しましょう4
    • ヒアルロン酸: わずか1gで6リットルもの水分を抱え込むことができる、非常に高い保水力を持つ成分。肌に潤いとハリを与えます。
    • セラミド: 私たちの肌の角層に元々存在する細胞間脂質の主成分。角質細胞同士をつなぎとめ、水分の蒸発を防ぐバリア機能の要となる成分です。
    • コラーゲン: 肌のハリや弾力に関わる成分として有名ですが、化粧品としては主に肌表面の保湿効果が期待されます。
    • アミノ酸: 肌の天然保湿因子(NMF)の主成分であり、角層の水分保持に重要な役割を果たします。
    • グリセリン、スクワラン: これらも代表的な保湿成分で、肌なじみが良く、しっとりとした潤いを与えます。
  • 保湿のタイミングと方法: 保湿は、洗顔後できるだけ時間を置かずに行うのが鉄則です。化粧水は、手のひらで温めてから顔全体を包み込むように、優しくプレスしてなじませます。パンパンと叩き込むのは刺激になるのでNGです。乳液やクリームも同様に、摩擦を避けて丁寧に塗布しましょう。

2. 毛穴悩みに特化した有効成分:サイエンスに基づいた選択

基本的なスキンケアで肌の土台を整えたら、次は毛穴の悩みに直接アプローチする「攻め」のケアを取り入れます。ここでは、科学的根拠のある代表的な有効成分とその働き、注意点を解説します。

2.1. レチノイド(レチノール、パルミチン酸レチノール、酢酸レチノールなど)

  • 作用機序: ビタミンAの一種であるレチノイドは、毛穴に対して多角的にアプローチできるスター成分です。主な働きは、(1)皮脂腺の働きを正常化し、過剰な皮脂分泌を抑制する、(2)表皮細胞のターンオーバーを促進し、古い角質の排出を助けて毛穴詰まりを改善する、(3)真皮の線維芽細胞を活性化させ、コラーゲンやエラスチンの産生を促し、肌にハリと弾力を与える、という3点です6
  • 期待できる効果: 詰まり毛穴、開き毛穴、黒ずみ毛穴の改善(ターンオーバー促進による)、初期のたるみ毛穴、ニキビ、小じわの改善など、幅広い効果が期待できます。
  • 種類と特徴: 化粧品に配合される代表的な成分は「レチノール」です。その誘導体である「パルミチン酸レチノール」や「酢酸レチノール」は、より安定性が高く刺激が少ないとされますが、効果も穏やかです。一方で、「トレチノイン(レチノイン酸)」は医薬品成分であり、効果が高い分、刺激も強いため医師の処方が必要です16
  • 使用方法と注意点:
    • 低濃度から開始: 初めて使用する場合や敏感肌の方は、0.1%以下の低濃度のレチノール製品から試すことが推奨されます6
    • 夜間使用が基本: レチノールは光に不安定な性質を持つことがあるため、夜のスキンケアでの使用が基本です。
    • A反応(レチノイド反応): 使い始めに、乾燥、赤み、皮剥け、ヒリヒリ感といった「A反応」が出ることがありますが、これはビタミンAが不足している肌に急に補給されたことによる正常な反応です。通常、数週間から1ヶ月程度で肌が慣れて治まることが多いですが、症状が強い場合は使用を中止し、専門医に相談しましょう6
    • 保湿と紫外線対策の徹底: レチノール使用中は肌が乾燥しやすく、紫外線に対して敏感になるため、日中は必ずSPF30・PA++以上の日焼け止めを使用し、保湿ケアも念入りに行ってください。
    • 妊娠中・授乳中の使用: 安全性のため、妊娠中・授乳中の方は使用を避けるか、必ず医師に相談してください。

2.2. サリチル酸 (BHA: ベータヒドロキシ酸)

  • 作用機序: サリチル酸は脂溶性(油になじみやすい性質)のため、皮脂が多く存在する毛穴の内部に浸透しやすいという大きな特徴があります。毛穴の中で固まった古い角質や皮脂(角栓)を柔らかくして溶かし出す「角質溶解作用」や「面皰溶解作用」に優れています7。軽度の抗炎症作用も持ち合わせています。
  • 期待できる効果: 主に黒ずみ毛穴や詰まり毛穴(白ニキビ・黒ニキビ)の改善、ニキビ予防、皮脂によるテカリの抑制に高い効果を発揮します。
  • 使用方法と注意点:
    • 製品と濃度: 洗顔料、化粧水、美容液など様々な製品に配合されています。化粧品では通常0.2%〜2%程度の濃度で配合されます。
    • 乾燥・刺激への注意: 優れた角質除去作用がある反面、使いすぎると肌が乾燥したり、刺激を感じたりすることがあります。保湿を徹底し、肌の状態を見ながら使用頻度を調整しましょう。
    • 紫外線対策: ピーリング作用により肌が敏感になることがあるため、日中の紫外線対策は必須です。
    • アスピリンアレルギーのある人は注意: サリチル酸はアスピリンと構造が似ているため、アスピリン喘息などアレルギーのある方は使用を避けるか、医師に相談してください17
    • 医療機関でのピーリング: 皮膚科では、マクロゴールという基剤と組み合わせることで、刺激を抑えつつ効果を高めた「サリチル酸マクロゴールピーリング」が行われることもあります17

2.3. グリコール酸、乳酸などのAHA (AHA: アルファヒドロキシ酸)

  • 作用機序: AHAは水溶性(水になじみやすい性質)で、主に肌表面に作用します。古くなった角質細胞同士の結合を緩めて自然に剥がれ落ちるのを助け、乱れがちな肌のターンオーバーをサポートします18
  • 期待できる効果: 肌のごわつき、くすみ、ザラつきの改善、浅い毛穴詰まり、ニキビ跡の色素沈着の軽減、肌全体の透明感アップなどが期待できます。
  • 種類と特徴: AHAの中で最も分子が小さい「グリコール酸」は浸透性が高く効果も高いですが、その分刺激も感じやすいことがあります19。サトウキビなどから抽出されます。一方、「乳酸」はグリコール酸より分子が大きく作用がマイルドで、保湿効果も併せ持つのが特徴です。
  • 使用方法と注意点: 洗顔料、拭き取り化粧水、ピーリングジェルなどに配合されています。ピリピリとした刺激を感じることがあるため、特に敏感肌の方は注意が必要です。使用後は肌が乾燥しやすくなるため保湿を徹底し、日焼け止めも必ず使用してください。
  • BHAとの違い: 水溶性で肌表面に効くAHAに対し、脂溶性で毛穴内部に効くBHA(サリチル酸)。目的に応じて使い分けたり、両方が配合された製品を選ぶのも一つの手です(ただし刺激には注意)19

2.4. ナイアシンアミド(ビタミンB3)

  • 作用機序: ナイアシンアミドは、非常に多機能な成分として近年注目されています。過剰な皮脂分泌を調整する作用、セラミドの産生を促して肌のバリア機能をサポートする作用、さらにはコラーゲン産生をサポートして肌のハリ向上に寄与する可能性も報告されています8。抗炎症作用やメラニンの生成を抑える働きも持ちます。
  • 期待できる効果: 皮脂による開き毛穴やテカリ、毛穴周りの赤み、乾燥、小じわ、シミ・くすみ予防など、幅広い肌悩みに対応できる万能選手です。
  • 使用方法と注意点: 化粧水、美容液、クリームなど様々な製品に配合されています。比較的刺激が少なく、他の有効成分(ビタミンCやレチノールなど)とも併用しやすいとされていますが、肌の様子を見ながら使用することが大切です。

2.5. ビタミンC誘導体

  • 作用機序: ビタミンCもまた、毛穴ケアにおいて重要な役割を果たす多機能成分です。主な働きは、(1)強力な抗酸化作用で皮脂の酸化を防ぎ、黒ずみを予防する、(2)過剰な皮脂分泌をコントロールする、(3)コラーゲンの合成をサポートし、肌のハリを高めてたるみ毛穴を改善する、(4)メラニンの生成を抑え、色素沈着による毛穴の黒ずみ(メラニン毛穴)を防ぐ、といった点です。
  • 期待できる効果: 毛穴の影(色素沈着)、黒ずみ毛穴(皮脂酸化防止)、開き毛穴(皮脂抑制、ハリ向上)、たるみ毛穴(ハリ向上)など、様々なタイプの毛穴悩みに有効です。
  • 種類と特徴: ビタミンCは非常に不安定なため、化粧品には安定性を高めた「ビタミンC誘導体」として配合されます。即効性が期待できる「水溶性」、浸透性が高く刺激が少ない「脂溶性」、両方の長所を併せ持つ「両親媒性」など様々な種類があります。
  • 使用方法と注意点: 高濃度の製品、特に水溶性のものは、ピリピリとした刺激を感じたり、肌を乾燥させたりすることがあります。使用後はしっかりとした保湿を心がけましょう。

3. 週に1~2回のスペシャルケア:毛穴悩みを集中攻撃

日々の基本ケアに加えて、週に1〜2回、毛穴の汚れをすっきりと取り除くスペシャルケアを取り入れることで、より高い効果が期待できます。

  • クレイマスク: クレイ(粘土)には、皮脂や毛穴の奥の汚れ、古い角質を吸着して取り除く働きがあります3。カオリン、ベントナイト、日本の沖縄産のマリンシルト(クチャ)など種類も様々。黒ずみや詰まりが気になる場合に効果的です。製品記載の時間を守り、完全に乾ききる前に洗い流すのが、肌を乾燥させすぎないコツです。
  • 酵素洗顔パウダー・ペースト: タンパク質分解酵素(プロテアーゼ)や皮脂分解酵素(リパーゼ)が配合された洗顔料です。通常の洗顔では落としきれない古い角質(タンパク質)や、角栓のもととなる余分な皮脂を分解して除去します4。肌のゴワつきやザラつきが気になる時におすすめです。毎日使うと刺激が強すぎることがあるため、製品の指示に従い、週に数回の使用に留めましょう。
  • ピーリング製品(洗い流す・拭き取りタイプ): AHAやBHAが配合された、洗い流すジェルやマスク、または拭き取りタイプのローションなどです。古い角質を取り除き、肌のターンオーバーを促すことで、毛穴詰まりやごわつきを改善します。刺激を感じやすいため、使用頻度を守り、使用後は保湿と紫外線対策を徹底してください。

4. 紫外線対策の徹底:毛穴老化を防ぐ盾

毛穴ケアにおいて、紫外線対策は「守り」の要です。紫外線が肌に与えるダメージは深刻で、あらゆる毛穴トラブルの引き金となります。

  • 紫外線が毛穴に与える深刻な影響:
    • たるみ毛穴(光老化): UVAが真皮のコラーゲンやエラスチンを破壊し、肌のハリを失わせます12
    • 毛穴詰まり: UVBがターンオーバーを乱し、角質を厚くさせ、毛穴を詰まりやすくします3
    • 黒ずみ毛穴: 紫外線が皮脂の酸化を促進し、黒ずみの原因となります。また、メラニンを過剰に生成させ、毛穴周りに色素が沈着する「メラニン毛穴」も引き起こします4
    • 乾燥毛穴: 紫外線は肌のバリア機能を低下させ、乾燥を助長します12
  • 正しい日焼け止めの使い方:
    • 選び方: 日常生活ではSPF30・PA+++程度、屋外活動ではSPF50+・PA++++など、シーンに応じて選びます。敏感肌用やノンケミカル処方など、肌質に合ったものを選びましょう。
    • 使用量と塗り方: 製品記載の適量(顔全体で500円玉大など)を必ず守ります。量が少ないと十分な効果は得られません。ムラなく丁寧に伸ばしましょう。
    • 塗り直し: 汗や摩擦で落ちるため、2〜3時間おきに塗り直すのが理想です。
    • 一年中対策: 紫外線は季節や天候を問わず降り注いでいます。冬や曇りの日でも油断せず、年間を通して対策を続けることが重要です。

やってはいけない!毛穴ケアのNG習慣:良かれと思って逆効果?

熱心なケアが、かえって毛穴の悩みを悪化させてしまうことがあります。ここでは、多くの人がやりがちな、しかし絶対に避けるべきNG習慣について、その科学的な理由と共に解説します。

1. 角栓の無理な押し出し、指や器具での圧出

鼻の角栓が気になって、つい指や爪、専用の器具(コメドプッシャーなど)で押し出してしまう…。この行為は、最も避けるべきNGケアの一つです。

  • なぜNGか: 無理な圧力を加えることで、毛穴周りのデリケートな皮膚組織を傷つけ、炎症や色素沈着を引き起こします。最悪の場合、真皮層までダメージが及び、元に戻らないクレーター状のニキビ跡になってしまうこともあります15。また、毛穴の構造自体を壊してしまい、かえって毛穴を広げることにも繋がりかねません。さらに、指や器具が不潔な場合、細菌が侵入し、炎症性のニキビを誘発するリスクもあります。
  • 代替策: 酵素洗顔、クレイマスク、ピーリングなどで角質を柔らかくし、角栓を自然に排出しやすくするケアを選びましょう。どうしても気になる場合は、皮膚科で専門的な角栓除去(面皰圧出)を受けるのが安全です3

2. 毛穴パック(剥がすタイプ)の過度な使用・間違った使用

貼って剥がすタイプの毛穴パックは、取れた角栓が目に見えて爽快感がありますが、使用には注意が必要です。

  • なぜNGか: 強力な粘着力は、角栓だけでなく、肌を守るために必要な健康な角質層まで一緒に剥がしてしまいます。これにより、肌のバリア機能が低下し、乾燥や刺激、さらなる皮脂の過剰分泌を招く可能性があります4, 5。また、無理やり角栓を引き抜く行為は、毛穴に刺激を与え、開きを助長することもあります。
  • 使用する場合の注意点: どうしても使用したい場合は、製品に記載された使用頻度(週に1回程度までなど)を厳守し、使用後は化粧水でしっかり水分補給をし、収れん効果のあるローションや冷たいタオルで毛穴を引き締めるケアを徹底しましょう。ただし、これは一時的な対処法であり、根本的な毛穴改善には繋がりにくいことを理解しておく必要があります。

3. ゴシゴシ洗顔、スクラブ洗顔のやりすぎ、過度な摩擦全般

汚れを落としたい一心で、顔をゴシゴシこすっていませんか?

  • なぜNGか: 強い摩擦は、肌表面の角層を削り取り、バリア機能を破壊する最大の原因の一つです3。バリア機能が低下すると、肌はあらゆる外部刺激に無防備になり、乾燥、肌荒れ、炎症を引き起こしやすくなります。また、慢性的な摩擦刺激はメラノサイトを活性化させ、シミやくすみ、色素沈着(摩擦黒皮症)の原因にもなります。
  • 正しい方法: 洗顔はたっぷりの泡で、スキンケアは手のひらで優しくプレスするように、タオルドライは押さえるように。常に「触れるか触れないか」の優しいタッチを心がけましょう。

4. 科学的根拠の乏しいDIYケアの危険性:肌トラブルを招くことも

インターネット上には様々なDIY(手作り)スキンケアが溢れていますが、その多くは科学的根拠が乏しく、肌に深刻なダメージを与える危険性をはらんでいます。

  • レモン汁の直接塗布: レモンに含まれるクエン酸は非常に強い酸性(pH2程度)であり、肌に直接塗布すると化学熱傷や強い刺激を引き起こす可能性があります9。さらに、光毒性物質「ソラレン」が含まれているため、塗布後に紫外線を浴びると、シミや水ぶくれを伴う皮膚炎(フィトフォトダーマタイティス)を起こすリスクが非常に高いです20
  • 重曹(ベーキングソーダ)洗顔・パック: 重曹はアルカリ性(pH9程度)であり、弱酸性である健康な肌のpHバランスを著しく崩します。これによりバリア機能が破壊され、極度の乾燥、刺激、炎症、ニキビの悪化などを招く可能性があります10。研磨作用による物理的な刺激も肌を傷つけます。
  • リンゴ酢の直接塗布: リンゴ酢も酸性度が高く、原液での使用は化学熱傷のリスクを伴います11。希釈しても、アレルギー反応や刺激を感じる人も少なくありません。
  • 砂糖や塩のスクラブ: 粒子の粗い砂糖や塩は、肌表面に微細な傷をつけ、そこから細菌が侵入したり、炎症や乾燥を引き起こしたりする可能性があります。

これらのDIYケアは、効果がないばかりか、取り返しのつかない肌トラブルの原因となることがあります。安易に試すことは絶対にやめましょう。

5. 保湿不足、または過剰な油分補給

  • なぜNGか: 保湿不足は皮脂の過剰分泌を招き、毛穴トラブルを悪化させます5。一方で、特に脂性肌や混合肌の人が、自身の肌質に合わない重すぎるオイルやクリームを過剰に使うと、油分が毛穴を塞いでニキビの原因となったり、テカリが悪化したりすることがあります21
  • 適切なケア: 自分の肌質に合った保湿剤を選び、適量を守ることが重要です。乾燥しやすい頬はしっかりめに、皮脂の多いTゾーンは軽めにするなど、部位によって量を調整するのも効果的です。

6. 不規則な生活習慣

睡眠不足、栄養の偏った食事、ストレスなどは、ホルモンバランスや肌のターンオーバーを乱し、皮脂分泌を不安定にし、肌の抵抗力を弱めるなど、間接的にあらゆる毛穴トラブルを悪化させる要因となります。詳細は次章で詳しく解説します。

生活習慣と毛穴の関係:美肌は内側からも育む

毛穴の状態は、スキンケアだけでなく、日々の生活習慣とも深く関わっています。健やかな肌を保ち、毛穴トラブルを予防・改善するためには、内側からのケアも非常に重要です。

1. 食事:バランスの取れた栄養摂取が美肌の基本

私たちが食べたものは、私たちの肌を作ります。特に以下の栄養素は、健やかな肌と毛穴のために意識して摂取したいものです4

  • ターンオーバーを整え、肌を作る栄養素:
    • タンパク質: 皮膚やコラーゲンの材料となる最も重要な栄養素。肉、魚、卵、大豆製品などから十分に摂取しましょう。
    • ビタミンA: 皮膚や粘膜の健康を維持し、ターンオーバーを正常化します。緑黄色野菜、レバー、うなぎなどに豊富です。
    • ビタミンB群 (B2, B6): 皮脂分泌のコントロールや皮膚の再生に関与します。レバー、魚、肉、豆類などに多く含まれます。
    • ビタミンC: コラーゲン生成を助け、強力な抗酸化作用で皮脂の酸化やシミを防ぎます。果物や野菜からこまめに摂取することが大切です。
    • ビタミンE: 「若返りのビタミン」とも呼ばれ、血行を促進し、抗酸化作用で肌の老化を防ぎます。ナッツ類、アボカドなどに含まれます。
    • 亜鉛: 皮膚の新陳代謝に不可欠なミネラル。牡蠣や肉類に豊富です。
  • 皮脂分泌に影響を与える可能性のある食事:
    • 高GI食品・糖質の多い食事: 白米、パン、菓子類、清涼飲料水など、血糖値を急激に上げる食品の過剰摂取は、インスリンの分泌を促し、皮脂腺を刺激して皮脂分泌を増加させる可能性が指摘されています13
    • 脂質の多い食事: 揚げ物やスナック菓子などの質の悪い脂質の摂りすぎは、皮脂の質を悪化させ、毛穴詰まりの原因になることがあります。
    • 乳製品: 一部の研究では、乳製品の摂取がニキビを悪化させる可能性が示唆されていますが、全ての人に当てはまるわけではありません。

2. 睡眠:質の高い睡眠が肌再生の鍵

睡眠中には、日中に受けた肌ダメージの修復や細胞の再生(ターンオーバー)を促す「成長ホルモン」が分泌されます。睡眠不足はこの成長ホルモンの分泌を妨げ、ターンオーバーの乱れ、バリア機能の低下、皮脂の過剰分泌などを引き起こし、毛穴トラブルを深刻化させます。毎日決まった時間に寝起きする、寝る前のスマートフォン操作を控える、快適な寝室環境を整えるなど、質の高い睡眠を確保する工夫をしましょう。

3. ストレス:心と肌の密接な関係

過度なストレスは、自律神経やホルモンバランスを乱し、皮脂分泌を増加させたり、肌のバリア機能を低下させたりします。また、体内で活性酸素を過剰に発生させ、細胞を傷つけ、肌老化を促進する原因にもなります。十分な休息、適度な運動、趣味の時間を持つなど、自分なりのストレス解消法を見つけることが、健やかな肌を保つためにも重要です。美容皮膚科医の山本周平医師も、著書の中で美肌のための習慣の重要性を説いています22

4. 喫煙:美肌の大敵

喫煙が肌に与える悪影響は計り知れません。ニコチンによる血管収縮は、肌への酸素や栄養の供給を悪化させます。また、喫煙は体内のビタミンCを大量に破壊し、コラーゲン生成を妨げ、活性酸素を大量発生させることで、シワ、たるみ、くすみ、そして「たるみ毛穴」を著しく進行させます。美肌を目指すなら、禁煙は必須条件と言えるでしょう。

健康に関する注意事項

  • この記事で紹介している化粧品成分やスキンケア方法は、全ての方に同じ効果を保証するものではありません。効果には個人差があります。
  • 新しい化粧品を使用する際は、必ず腕の内側などでパッチテストを行い、肌に異常が出ないことを確認してから顔に使用してください。
  • スキンケア製品を使用して、赤み、かゆみ、腫れ、刺激などの異常が現れた場合は、直ちに使用を中止し、皮膚科専門医にご相談ください。化粧品による皮膚障害は、厚生労働省にも報告事例があります23, 24

自宅ケアで改善が見られない場合は?皮膚科専門医への相談も選択肢に

丁寧なホームケアを続けても毛穴の悩みが改善しない、あるいは、より積極的で確実な効果を求める場合は、皮膚科や美容皮膚科の専門医に相談することを強く推奨します。専門医は、あなたの肌質や毛穴の状態を正確に診断し、最適な治療法を提案してくれます。

皮膚科医への相談を検討すべきケース

  • セルフケアを2〜3ヶ月以上続けても、悩みが改善されない。
  • ニキビやニキビ跡が毛穴の目立ちと併発している。
  • どのスキンケア製品が自分に合っているのか分からず、自己判断に不安がある。
  • 産毛が原因で毛穴が黒く見えていると思われる場合。

皮膚科で受けられる毛穴治療の例(主に保険適用外の自由診療)

  • ケミカルピーリング: グリコール酸やサリチル酸などの薬剤を肌に塗布し、古い角質や毛穴の詰まりを取り除き、ターンオーバーを促します3。日本皮膚科学会のガイドラインでも、ニキビに対する有効性が認められています14
  • 角栓除去(面皰圧出): 専用の器具を用いて、毛穴に詰まった角栓を衛生的に取り除く治療です3
  • イオン導入 / エレクトロポレーション: 微弱な電流などを用いて、ビタミンC誘導体などの有効成分を肌の深部まで効率的に浸透させます3
  • ダーマペン / ポテンツァ(マイクロニードリング治療): 極細の針で肌に微細な穴を開け、肌が持つ自然治癒力を利用してコラーゲン生成を促し、肌質を根本から改善する治療法です3。開き毛穴やニキビ跡に効果が期待できます。
  • フラクショナルレーザー: レーザーを点状に照射し、皮膚の入れ替えとコラーゲン再構築を促します。たるみ毛穴やクレーター状のニキビ跡に有効です3
  • 光治療(IPL): 幅広い波長の光を照射し、毛穴の開きだけでなく、シミや赤みなど複数の肌悩みに同時にアプローチします。
  • 医療脱毛: 産毛が原因で毛穴が目立つ場合に、根本的な解決策となります3
  • 内服薬・外用薬の処方: ニキビを伴う場合は、医薬品の塗り薬(アダパレンなど)や飲み薬が処方されることがあります。

これらの治療は、市販の化粧品では得られない高い効果が期待できますが、費用やダウンタイムも伴います。メリットとデメリットをよく理解した上で、医師と十分に相談して決定することが重要です。

よくある質問 (FAQ)

Q1: 毛穴は完全になくなりますか?
A1: 残念ながら、毛穴は皮脂の分泌や体温調節といった重要な生理機能を持つ皮膚の器官であるため、完全になくす(消し去る)ことはできません25。しかし、美容皮膚科医の山屋雅美医師も指摘するように、適切なスキンケアや専門的な治療によって、毛穴の開きや黒ずみ、たるみを改善し、キメの整った「毛穴が目立たない健やかな肌」を目指すことは十分に可能です3。目標を「毛穴を消す」ことではなく、「毛穴を目立たなくする」ことに設定することが、現実的で前向きなアプローチと言えます。
Q2: 毛穴ケアの効果が出るまで、どのくらいの期間がかかりますか?
A2: 効果を実感できるまでの期間は、毛穴のタイプ、個人の肌質、行っているケアの内容、生活習慣など多くの要因によって大きく異なります。一般的に、スキンケア製品による効果は、肌が新しく生まれ変わる周期である「ターンオーバー」(通常約28日〜56日、年齢と共に長くなる)を考慮すると、最低でも1〜3ヶ月程度の継続使用が一つの目安とされます。例えば、レチノール配合製品の場合、使用開始から約1ヶ月後に肌の変化を感じ始める人もいますが、より明確な改善を実感するには数ヶ月以上の継続が推奨されます6。美容医療の場合は、治療法によって効果発現のタイミングが異なりますので、施術前に医師に確認することが重要です。焦らず、根気強くケアを続けることが何よりも大切です。
Q3: 敏感肌でも使える毛穴ケアはありますか?
A3: はい、敏感肌の方でも使用できる毛穴ケアはあります。重要なのは、肌への刺激を可能な限り抑えながら、効果的な成分を慎重に取り入れることです。

  • クレンジング・洗顔: アミノ酸系洗浄成分などのマイルドな洗浄力の製品を選び、摩擦を避けて優しく洗うことが基本です。
  • 保湿: セラミド、ヒアルロン酸、スクワランなど、肌のバリア機能をサポートし、保湿効果の高い成分が配合された低刺激性の製品を選びましょう。
  • 有効成分の選択:
    • ナイアシンアミド: 比較的刺激が少なく、皮脂コントロールやバリア機能サポート効果が期待できるため、敏感肌の毛穴ケアにも適しています。
    • レチノイド: 「パルミチン酸レチノール」などの安定型レチノール誘導体や、植物由来でレチノール様の作用を持つ「バクチオール」など、刺激の少ない成分から試すのが良いでしょう。レチノールを使用する場合は、ごく低濃度から始め、必ずパッチテストを行ってください。
    • AHA/BHA: グリコール酸より作用がマイルドな「乳酸」や、医療機関で受けられる刺激が軽減された「サリチル酸マクロゴールピーリング」17などを検討します。市販品を使う場合は、低濃度のものを選び、使用頻度を控えめにしましょう。
  • シンプルな処方: 香料、着色料、アルコールなどが無添加の、配合成分数が少ないシンプルな製品を選ぶと、刺激のリスクを減らせます。
  • 専門医への相談: 不安な場合は、自己判断で製品を選ぶ前に皮膚科専門医に相談し、自身の肌質に合った製品やケア方法のアドバイスを受けるのが最も安全で確実です。
Q4: 日本の化粧品メーカーの研究は毛穴ケアにどう活かされていますか?
A4: 資生堂や花王といった日本の大手化粧品メーカーは、長年にわたり世界トップレベルの皮膚科学研究を行っています。例えば資生堂は、シミや毛穴などの「永続的な肌悩み」のメカニズム解明に取り組んでおり26、独自のエイジングケア技術を開発しています27。また、花王はBioréなどのブランドを通じて、サリチル酸やグリコール酸といった成分を用いた毛穴ケア製品を開発し、市場に提供しています28, 29。これらの先進的な研究成果は、日々私たちが手にするスキンケア製品に応用されており、より効果的で安全な毛穴ケアを可能にしています。
Q5: 毛穴の悩みにシートマスクは効果的ですか?
A5: シートマスクは、使い方次第で毛穴ケアの有効なサポートになります。保湿成分(ヒアルロン酸、セラミドなど)がたっぷり含まれたマスクは、肌に集中的に水分を補給し、乾燥によるキメの乱れや開き毛穴を目立ちにくくするのに役立ちます。また、ビタミンC誘導体やナイアシンアミドといった成分が配合されたものを選べば、皮脂コントロールやハリ向上などの効果も期待できます。ただし、長時間つけすぎると、マスクが乾く際に肌の水分まで奪ってしまうことがあるため、製品記載の使用時間を必ず守りましょう。剥がすタイプのピールオフパック30とは異なり、保湿を主目的としたシートマスクは、肌への負担が少なく、日常的なケアに取り入れやすい選択肢です。

結論

多くの人が抱える毛穴の悩みですが、その原因は一つではなく、状態も一人ひとり異なります。この記事では、科学的根拠に基づいた自宅での毛穴ケア方法を中心に、毛穴のタイプ別対策から有効成分の選び方、絶対に避けるべきNG習慣、そして内側から肌を育む生活習慣の重要性まで、包括的に解説しました。
最も重要なのは、まず自分の毛穴の状態を正しく理解し、それに合ったケアを焦らず、根気強く続けることです。残念ながら、毛穴ケアに魔法のような即効薬はほとんど存在しません。しかし、日々の地道な努力こそが、キメの整った健やかな肌へと繋がる唯一の道です。正しい知識を武器に、肌への負担となる間違ったケアを避け、肌が喜ぶことを継続していけば、あなたの肌はきっと応えてくれます。この記事が、あなたの長年の毛穴悩み改善の一助となり、自信に満ちた毎日を送るためのお役に立てれば、これほど嬉しいことはありません。

免責事項
この記事は医学的アドバイスに代わるものではなく、情報提供を目的としています。特定の症状がある場合や、治療に関する判断が必要な場合は、必ず皮膚科専門医にご相談ください。

参考文献

  1. 株式会社総合企画センター大阪. 「『化粧品による毛穴ケア市場の実態と将来展望 2023』まとまる(2023年9月29日発刊)」. PressWalker. 2023年9月29日. 以下より入手可能: https://presswalker.jp/press/47248
  2. 株式会社NEXER. 「【肌悩みに関する調査】最も多かった肌悩みは「シミ・くすみ」で55.6%。10代は「毛穴」「ニキビ・肌荒れ」に悩む方が多い傾向に。」. PR TIMES. 2022年8月23日. 以下より入手可能: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000033242.html
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  20. Cherney K. “Lemon for Face: Is It Good for Your Skin?”. Medically reviewed by Cynthia Cobb, DNP, APRN, WHNP-BC, FAANP. Healthline. October 24, 2023. 以下より入手可能: https://www.healthline.com/health/lemon-for-face
  21. マナラ化粧品. 「毛穴ケアの方法とは?タイプ別の原因や対策、おすすめのスキンケアを紹介」. MANARA Column. 2025年2月17日更新. 以下より入手可能: https://manara.jp/column/keana_care.html
  22. 山本周平. 『美容皮膚科医が教える「完全毛穴レス肌」を叶える8つの美肌習慣』. Amazon.co.jp. 以下より入手可能: https://www.amazon.co.jp/%E7%BE%8E%E5%AE%B9%E7%9A%AE%E8%86%9A%E7%A7%91%E5%8C%BB%E3%81%8C%E6%95%99%E3%81%88%E3%82%8B%E3%80%8C%E5%AE%8C%E5%85%A8%E6%AF%9B%E7%A9%B4%E3%83%AC%E3%82%B9%E8%82%8C%E3%80%8D%E3%82%92%E5%8F%B6%E3%81%88%E3%82%8B8%E3%81%A4%E3%81%AE%E7%BE%8E%E8%82%8C%E7%BF%92%E6%85%A3-%E5%B1%B1%E6%9C%AC-%E5%91%A8%E5%B9%B3/dp/4295405647
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  25. 石神井公園駅前皮フ科. 「毛穴をなくす方法とは?目立つ原因と効果的なケア、美容皮膚科の治療法を解説」. Blog. 以下より入手可能: https://shakujiikouen-hifuka.com/blog/%E6%AF%9B%E7%A9%B4%E3%82%92%E3%81%AA%E3%81%8F%E3%81%99%E6%96%B9%E6%B3%95%E3%81%A8%E3%81%AF%EF%BC%9F%E7%9B%AE%E7%AB%8B%E3%81%A4%E5%8E%9F%E5%9B%A0%E3%81%A8%E5%8A%B9%E6%9E%9C%E7%9A%84%E3%81%AA%E3%82%B1/
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  27. Shiseido Company, Limited. “Backed by world-leading skin research, SHISEIDO’s iconic ULTIMUNE is a serum reborn—to slow the skin aging cycle.” News Release (PDF). January 2025 (Assumed date). 以下より入手可能: https://corp.shiseido.com/en/newsimg/3953_d3b90_en.pdf
  28. KAO Aesthetics. “KAO Skin Care”. 以下より入手可能: https://www.kaoaesthetics.com/services/kao-skin-care/
  29. MyKaoShop (Bioré US). “About Bioré Skincare”. 以下より入手可能: https://mykaoshop.com/pages/about-biore-skincare
  30. LIPS. 「【ピールオフパックおすすめ8選】毛穴の黒ずみや角栓をオフしてつるんと肌に♡」. 2024年3月28日更新. 以下より入手可能: https://lipscosme.com/articles/8060
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