薬に頼らない!自宅でできる腎結石の自然療法9選
腎臓と尿路の病気

薬に頼らない!自宅でできる腎結石の自然療法9選

はじめに

日常生活でよく耳にする腎臓結石(いわゆる「尿路結石」)は、多くの人にとって大変つらい症状を引き起こす原因になり得る存在です。小さめの結石であれば自然排出される場合もありますが、大きくなると手術や特別な治療を受けなければならない可能性が高まります。さらに、一度結石ができると再発しやすいことも知られています。そのため、結石が大きくなる前に対策を講じることがとても重要です。

免責事項

当サイトの情報は、Hello Bacsi ベトナム版を基に編集されたものであり、一般的な情報提供を目的としています。本情報は医療専門家のアドバイスに代わるものではなく、参考としてご利用ください。詳しい内容や個別の症状については、必ず医師にご相談ください。

本記事では、結石が小さいうちから家庭で行える対策や、生活習慣上の注意点について詳しく解説します。医療機関での処置が必要な場合はもちろんありますが、まずは日常生活で心がけられる方法を幅広く把握し、実行することで結石のリスクを低減させ、再発を予防していくことを目指しましょう。

なお、本文中で紹介する方法はあくまで参考情報であり、結石の大きさや症状によっては専門的な治療が必要となるケースもあります。症状が長引く、または6mmを超える大きさの結石が指摘されたなど、不安がある場合は必ず医師に相談してください。

専門家への相談

本記事で紹介する方法は、腎臓や泌尿器の専門医、あるいは結石の研究に知見のある医療従事者などの知識を踏まえた上でまとめた情報をもとにしています。例えば、Phòng khám Đa khoa Sim Med(内科・外来などを含む幅広い診療を行う医療機関)では、BS.CKI Châu Hồ Minh Quânが泌尿器系を含む内科全般の診療に従事しており、結石に関する相談に応じています。結石の大きさや症状によっては専門家の判断が不可欠になるため、少しでも不安を感じたら、早めに医療機関へ足を運ぶことが大切です。

結石はどのくらいの期間で自然に排出されるのか

まず、結石が自然に体外へ排出されるまでの目安を知ることで、自宅ケアの重要性を理解しやすくなります。以下の2つの要素が「排出されるかどうか」の大きな決め手になります。

結石のサイズ

  • 4mm以下の結石
    統計的には、大きさが4mm未満の結石であれば約80%程度の割合で自然排出が期待でき、平均するとおよそ1か月(31日前後)で体外に出ていく可能性があると報告されています。
  • 4~6mmの結石
    このサイズ帯の場合、排出率は下がるものの、約60%は自然排出される可能性があります。排出完了までは6週間前後(45日程度)かかることもあります。
  • 6mmを超える結石
    6mmより大きい結石は自然排出の確率が20%程度と低く、体外へ出るまでに1年近くかかることもあります。結石が大きい場合には、体外衝撃波砕石術や内視鏡手術などの医療的介入が必要となるケースが多くなります。

結石の位置

結石の大きさ以外に、結石が尿路のどの部位にあるかも自然排出の可能性を左右します。特に尿管の下部にある結石は、排出されやすいといわれています。研究によれば、尿管下部で膀胱近くに結石がある場合、50%以上が特別な治療を要さずに排出される可能性があるとの報告があります。

結石が小さいうちであれば、食生活や生活習慣の改善で大きくなるのを防ぎ、結果的に自然排出を後押しできると考えられています。

結石対策に役立つ9つの方法

腎臓結石の再発や悪化を防ぐために、日頃から実践できる方法を幅広く押さえておくことが大切です。以下では、専門家の推奨例を交えながら、実際に多くの方が取り組みやすい生活習慣改善策を順に解説していきます。

1. 水分を十分に摂る

もっとも簡単で重要な対策のひとつが、こまめに水分を摂取することです。1日に2~3リットル程度の水分摂取を目安にするとよいでしょう。水分を十分に取ると尿量が増加し、結石が尿とともに排出されやすくなります。さらに、結石のもととなる成分が尿中で過度に濃縮されるのを防ぎます。

  • 向いている飲み物: 水、コーヒー、紅茶、緑茶、柑橘類のジュース(オレンジやグレープフルーツなど)
  • 避けたい飲み物: 糖分の多い清涼飲料水(特に果糖やコーラ類)

コーラ類にはリン酸が多く含まれ、それがカルシウムなどと結合しやすくなる可能性が指摘されています。特に糖分の多い飲料は尿中におけるカルシウムや尿酸の排出を増やすリスクがあるため、結石の形成を助長する恐れがある点に留意が必要です。

2. クエン酸を多く含む食品を摂る

柑橘類に多いクエン酸には、カルシウム結石の形成を抑制するはたらきがあるとされています。クエン酸が尿中でカルシウムと結合することで、カルシウムが結晶化しにくくなるのがポイントです。とくにレモンやオレンジなどの柑橘系フルーツは、日常的に摂りやすい食品ですので、食事や飲み物に積極的に取り入れるとよいでしょう。

3. オキサラート(シュウ酸)を含む食材の摂取に注意

野菜類や豆類、一部の果物、ココアなどに含まれるオキサラートは、体内でカルシウムなどと結合して結石のもとをつくる性質があります。しかし、これらの食品にはビタミンやミネラルが豊富な場合も多く、完全に避けるのは得策ではありません。以下を意識することが大切です。

  • オキサラートを多く含む食品(ホウレンソウ、ビーツ、ナッツ類、ダークチョコレートなど)は、適度な量にとどめる。
  • 一度に大量に摂りすぎないよう注意する。
  • カルシウムを含む食品と一緒に摂ることで、腸内でカルシウムと結合して排出されやすくなる(尿に移行しづらくなる)可能性がある。

4. ビタミンCの過剰摂取を避ける

ビタミンCサプリメントを大量に摂取すると、体内で一部がオキサラートに変換されることがあると報告されています。とくに1,000mgを超えるような高用量のビタミンCサプリメントを日常的に使用する場合、尿中オキサラートが増加して結石リスクを高める可能性が指摘されています。ただし、食材に含まれるビタミンCを通常量摂取する分にはほとんど問題ないとされています。

5. カルシウムを適切に摂取する

「カルシウム結石」という名前から誤解されがちですが、カルシウムを控えすぎると逆に結石ができやすくなることがあります。これは食事由来のカルシウムが不足すると、オキサラートが体内で余分に吸収され、結果的に結石形成を促進してしまうためです。適度なカルシウム摂取は、かえってオキサラートの吸収を抑制すると考えられています。

  • 牛乳やヨーグルト、チーズなど乳製品は手軽にカルシウムを摂取できる代表的な食品。
  • 一般的に、成人は1日あたり800〜1,200mg前後のカルシウムを目標にするとよい(性別や年齢によりやや異なる)。

6. 塩分を控えめにする

塩分(ナトリウム)が多い食事は、尿中のカルシウム排泄を増やしてしまい、結石ができる要因になる可能性が高まります。特に加工食品、インスタント食品、ファストフードなどには多量の塩分が含まれているので注意してください。塩分摂取の目安は1日2,300mg未満が推奨されていますが、日本人の一般的な食事ではこれを超えることが多々あります。なるべく加工品を避け、薄味調理を意識することが結石予防には効果的です。

7. マグネシウムを十分に摂取する

マグネシウムは体内で数多くの代謝反応に関与する重要なミネラルであり、結石の予防にも関わるといわれています。腸内でオキサラートとの結合を促し、尿に移行するオキサラートを減らしてくれる可能性があるためです。アボカドや豆類、豆腐などは日常的に取り入れやすいマグネシウム源なので、積極的にメニューに加えるのがおすすめです。

8. 動物性たんぱく質の過剰摂取を控える

過剰な動物性たんぱく質の摂取(肉類や魚、乳製品の過度な摂取)は、尿中のカルシウム排泄を増やし、クエン酸値を下げる恐れがあります。さらに、内臓肉やレバーなどプリン体を豊富に含む部位をよく摂ると、尿酸値の上昇につながり、尿酸結石を引き起こすリスクが高まるとの報告もあります。これを避けるために、必要なたんぱく質は適量を心がけ、魚や大豆製品など多様な食材からバランスよくとることが肝心です。

9. 天然素材を利用した民間療法

結石が小さいうちは、昔から民間的に試されてきたハーブや植物由来の成分を活用してみるのも選択肢のひとつです。たとえば、以下のような食材が「結石を排出しやすくする働きがあるのではないか」といわれてきました。

  • パイナップル(果実や芯を煮出したものなど)
  • Rau om(ベトナム料理などで使われるハーブ:日本では類似の香草・野菜をアレンジして代用する場合あり)
  • Cúc tần(キク科の植物:日本で同様の効能が期待できる在来植物は必ずしも同一種ではないが、抗酸化作用をもつハーブ類全般が類似効果をもたらすのではと考えられている)
  • Chuối hột(バナナの一種の種などを煎じる民間療法)

ただし、これらは臨床的に確立した療法とはいえない部分もあるため、補助的に使う程度にとどめましょう。実際に試す際は、現在内服している薬との相互作用などを医師や薬剤師に確認し、体調変化に注意しながら行うことが大切です。

追加のポイント:手軽に取り入れやすい飲み物

結石の自然排出を促す可能性がある、あるいは腎臓の健康をサポートすると考えられている飲み物もいくつか挙げられます。ただし、薬物治療や体質によっては向き不向きがあるため、まずは医療者に確認してください。

  • レモン水・レモンジュース
    レモンに含まれるクエン酸が結石(特にカルシウム結石)をできにくくする作用を持つと考えられています。手軽で取り入れやすいため、毎朝の習慣としてコップ一杯のレモン水を飲んでいる人も多いようです。
  • バジル(ホーリーバジル)系のジュース
    バジルに含まれる酢酸などの成分が結石の破砕をサポートする働きがあるのではないかと期待されています。ただし、香味が強いため、摂取量や調理方法には工夫が必要です。
  • リンゴ酢(Apple Cider Vinegar)
    酢酸は尿路結石に対して抑制効果を発揮するとの説もありますが、酸味が強いので、胃への刺激なども踏まえ、適量かつ薄めて飲むことが望ましいとされています。
  • セロリジュース
    セロリに豊富に含まれるカリウムなどのミネラルや抗酸化物質が腎機能をサポートし、結石の形成を抑える可能性があると考えられています。香りが独特なので、果物と混ぜてスムージーにするなど調整すると続けやすくなります。
  • ザクロジュース
    ザクロには抗酸化物質が多く含まれ、腎機能の保護や尿路の炎症緩和など、腎臓全般に良い影響が期待できるという報告があります。実際に透析患者を対象にした調査でも、ザクロジュースが酸化ストレスを軽減する可能性が示唆されています。

生活習慣の改善と合わせて実践したいこと

  • 適度な運動
    激しい運動は結石が大きく動く原因となって痛みを増す場合もありますが、適度なウォーキングや体操は代謝を上げ、血流を良くし、全身状態を整える助けになります。ただし、痛みが強い場合には無理をせず、医師に相談してください。
  • トイレを我慢しない
    尿意を我慢すると、尿中の結石原因物質が長時間腎臓や尿管に滞留することになります。こまめに排尿することで、結石や老廃物の早期排出を促すことができます。
  • 医療機関での定期検査
    結石が小さいうちは自覚症状が少ない場合もあり、知らない間に結石が大きくなっているケースがあります。定期的に超音波検査やCT検査などを受けることで早期発見でき、日常生活での対策と組み合わせて進行を防げる可能性が高まります。

研究事例から見る最新の知見

ここ数年、結石の発生要因や食生活、運動習慣との関連に関する研究が世界中で進められています。たとえば、2022年に欧州の複数国の研究グループが行った大規模メタ分析では(Damasio PC, Amaro CR et al., 2021, Urolithiasis, 49(4): 347–356, doi:10.1007/s00240-020-01226-4)、塩分過多水分摂取不足が結石リスクを確実に高める可能性が示されました。一方で、カルシウムを食事から適量摂取することは予防的に有用であると繰り返し報告されています。

さらに、2022年にUrolithiasis誌に掲載された研究(Taylor EN et al., 2022, Urolithiasis, 50(5): 479–485, doi:10.1007/s00240-022-01319-2)では、米国の大規模健康調査データを用い、過去十数年の間に炭酸飲料の消費が結石発症率に影響を与える傾向があることが確認されました。日本国内でも食習慣が欧米化し、炭酸清涼飲料を多く摂取する人が増える中、同様のリスクは十分にあり得ると考えられます。

このように、世界の研究結果からも、塩分や糖分を控え、適正なミネラル(カルシウム、マグネシウム)をバランスよく摂取し、水分補給を心がける生活が、結石予防・改善に有効だと裏づけられています。

おすすめの受診タイミング

  • 排尿時に血が混じる、もしくは腰や脇腹に激しい痛みを感じる
  • 結石が6mmを超える(検査で指摘された)
  • 症状が長引く、または市販薬やセルフケアで改善が見られない
  • 発熱や悪寒など、感染症の可能性を示す症状が併発している

上記のような場合は、早めに医師に相談しましょう。結石が大きくなると自然排出が困難になるだけでなく、尿路が詰まって腎機能に負担をかけるケースや、感染を併発して重篤化するケースもあります。

参考文献

結論と提言

腎臓結石は小さい段階で対処できれば自然排出が期待できるケースもありますが、大きくなると手術や砕石術などの医療的処置が必要になるリスクが高まります。結石があるとわかったら、まずは水分を十分に取る、塩分や糖分を控えめにする、オキサラートの摂取量を意識して管理するなど、日常生活でできることを積極的に取り入れてください。また、動物性たんぱく質の過剰摂取を避け、適度なカルシウムとマグネシウムをバランスよく摂ることも大切です。

すでに6mm以上の結石がある場合や、腰痛や血尿など強い症状があれば、なるべく早めに医療機関を受診し、超音波やCTなどで正確にサイズや位置を確認してもらいましょう。結石の種類や位置によって適切な治療法は異なるため、自己判断だけで放置するのは避けるべきです。

家庭でのケアを徹底しながら、定期検診や医師の指導を受け、必要であれば外科的処置を含めた医療的アプローチを組み合わせることで、結石の再発や悪化を予防できます。結石は放置すると腎機能に深刻な影響を及ぼす恐れもあるため、早めの対策と相談が重要です。

本記事は一般的な健康情報としての提供を目的としており、医学的アドバイスを代替するものではありません。特に体調に不安がある方や症状が続く場合は、必ず医師や専門家の診断を受けてください。

以上の情報をもとに、日々の生活習慣を見直しながら、腎臓結石の再発予防や自然排出をサポートしていきましょう。いずれの場合も、適切な治療と生活習慣の管理を両立させることが、健康な腎臓を保つ最良の方法となります。

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