免責事項
当サイトの情報は、Hello Bacsi ベトナム版を基に編集されたものであり、一般的な情報提供を目的としています。本情報は医療専門家のアドバイスに代わるものではなく、参考としてご利用ください。詳しい内容や個別の症状については、必ず医師にご相談ください。
はじめに
糖尿病の中でも特に広く知られている2型糖尿病は、近年ますます若年層に増えており、以前は40歳以上で発症しやすいとされていたところ、現在では若い世代にも見られるようになっています。血糖値のコントロールには薬物療法が必要なケースも多い一方で、「薬に頼らずに血糖値を管理したい」と望む方も少なくありません。本記事では、日常生活の改善を中心とした2型糖尿病のケア方法を詳しく解説し、血糖値コントロールのポイントや実践的なアドバイスを紹介します。
専門家への相談
本記事で示す情報は、医療従事者による正式な診断や治療法に代わるものではなく、あくまで参考として役立てていただくことを目的としています。特に、2型糖尿病の治療方針については、症状や既往歴、日々の生活習慣など個々の状況に応じて異なるため、治療薬の調整や新たなセルフケア法の導入を検討する際には、担当医師や専門家に相談することが大切です。また、本記事内で言及されるハーブやサプリメントなどについても、安全性や適切な用量は医師や薬剤師に確認し、慎重に判断してください。なお、本記事では、大学や病院などで教鞭を執る薬学分野の専門家として知られるThạc sĩ – Dược sĩ – Giảng viên Lê Thị Mai氏による見解がもとになっている部分がありますが、個々の症状や状態に合わせた調整は専門家の診断が不可欠です。
2型糖尿病とは何か
2型糖尿病は、インスリンの分泌量不足または細胞がインスリンへの反応を示しにくくなる「インスリン抵抗性」によって、血中のブドウ糖が十分に細胞に取り込まれず、血糖値が慢性的に高くなってしまう状態を指します。この病態は過度のストレス、運動不足、偏った食生活、睡眠不足など生活習慣全体が原因となりやすいとされています。放置していると、腎機能障害や網膜症、末梢神経障害、心血管疾患などの合併症を引き起こすリスクが高まるため、早い段階での予防・管理が重要です。
2型糖尿病は薬なしで治療できるのか
2型糖尿病を根本から「完全に治す」という意味での「治療」は簡単ではありません。しかし、生活習慣の改善によって血糖値を十分にコントロールし、日常生活の質(QOL)を維持することは大いに可能です。特に、前糖尿病(空腹時血糖値が7 mmol/L未満で、経口ブドウ糖負荷試験2時間値が7.8〜11.1 mmol/L程度)の段階であれば、適切な食事管理や運動療法など「薬を使わない方法」のみで正常値に戻せる可能性があります。血糖値がより高い数値に達している場合は、医師の判断により経口血糖降下薬やインスリン注射が必要になることもありますが、それでも生活習慣の見直しは欠かせません。
インスリン抵抗性を完全に取り除くことは難しくとも、薬を使用しない生活習慣改善によるアプローチは、血糖値を安定化させ、合併症リスクを下げるうえで大きな役割を果たします。そのため、食事と運動を柱とした日常的なケアが、2型糖尿病の管理には欠かせないのです。
生活習慣で血糖値をコントロールするための主なポイント
ここからは、薬に依存せず、生活習慣の改善を通じて2型糖尿病の血糖値をコントロールしていくうえで重要となるポイントを詳しく解説します。
1. バランスの良い食事
食事は血糖値に直接影響を与える最も重要な因子の一つです。食事の組み立て方次第で、血糖値が急上昇したり、比較的ゆるやかに変動したりします。以下の点に留意することが大切です。
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野菜や果物の活用
とくに緑色葉物や食物繊維の豊富な野菜を多めに摂ると、食後血糖値の急激な上昇が抑えられます。果物はビタミンやミネラルが豊富ですが、糖質も含むため、適量を守りながら摂取することが望ましいです。 -
精製された炭水化物を控え、全粒穀物を選ぶ
白米や白いパンなど、精製度の高い穀物は血糖値を急激に上昇させやすい傾向があります。一方、玄米や全粒粉パン、オートミールなど全粒穀物を主食として適量摂取すれば、食物繊維が多く消化・吸収がゆるやかになりやすいです。 -
飽和脂肪酸を控え、適度な脂質を賢く摂る
動物性脂質(皮や脂身、内臓)や加工食品に含まれる飽和脂肪酸は、体内の炎症やインスリン抵抗性悪化に関わる可能性が指摘されています。一方、魚に含まれるオメガ3系脂肪酸やオリーブオイルなどの不飽和脂肪酸は、適量であれば身体に良い影響を与えるとされます。 -
水分補給を重視
砂糖入り飲料や清涼飲料水、甘い缶コーヒーなどは避け、水や糖分無添加のハーブティーなどカロリーゼロまたは低カロリーな飲み物を選びましょう。
食事と血糖値に関する新しい研究
2021年に発表された大規模研究(Lean, M.E.J.ら, The Lancet Diabetes & Endocrinology, 9(6), 377-390, doi:10.1016/S2213-8587(21)00026-7)では、食事改善と体重管理を組み合わせるプログラムを導入した結果、2年後でも良好な血糖コントロールを維持し、糖尿病の寛解状態が続く患者が少なくなかったと報告されています。この研究の参加者はイギリス在住の成人が中心でしたが、栄養指導や定期的なフォローアップを通じて得られた結果は、日本人の食習慣にも応用できる可能性があります。特に、全粒穀物や野菜・果物など食物繊維を豊富に含む食材を適度に取り入れることが重要だと強調されています。
2. 適度な運動の継続
食事と並んで血糖値管理の軸となるのが、運動です。身体を動かすことはインスリンの作用を高めるほか、肥満やメタボリックシンドロームなどを防ぎ、血管や心臓への負担を軽減します。
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週に150分程度の軽中度運動を目標に
1回あたり20〜30分程度のウォーキングや軽いジョギング、水泳、サイクリングなどを週に数回続けることで、血糖値が安定しやすくなると考えられています。 -
筋力トレーニングも重要
週に2回程度は下半身や体幹など大きな筋群を中心に筋力トレーニングを行うと、筋肉量の維持・増加につながり、基礎代謝が上がりやすくなります。筋力トレーニングには、自宅でできる軽いスクワットや腹筋運動、ゴムバンドを使ったレジスタンストレーニングなども適しています。 -
活動量を日常生活の中で増やす
エレベーターより階段を使う、電車やバスで座らずに立って過ごす、家事や洗濯物を運ぶときに小刻みにウォーキングするなど、日常動作を意識して増やすだけでも代謝向上に役立ちます。
3. 体重管理
2型糖尿病患者にとって、適正な体重を維持することはとても重要です。体重が過度に増加すると、インスリン抵抗性が悪化し、血糖値が高止まりしやすくなります。
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BMIとウエスト周囲径(WHR)の目標
BMI(体格指数)は19〜23程度が理想とされ、腹部肥満を示すウエスト周囲径やウエストヒップ比(WHR)が一定以上を超えると、内臓脂肪型肥満のリスクが高まると言われます。日本人の場合、特にウエストまわりを定期的に測定し、過度な肥満を防ぐことが推奨されています。 -
体重減少の効果
血糖値がコントロールしにくい場合でも、体重を5〜10%程度落とすだけでも血糖コントロールが改善する場合があります。急激なダイエットはリバウンドや体調不良を招く恐れがあるため、専門家の指導のもと、無理のないペースで体重を調整することが望ましいです。
4. ストレス管理
ストレスや睡眠不足は血糖値を上昇させる一因にもなりやすいとされています。強いストレスが持続すると、交感神経活動が高まり、糖の放出やホルモンバランスに影響することが分かっています。
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ストレスを意識的に減らす工夫
深呼吸や軽いストレッチ、ヨガや瞑想などを習慣化することで、交感神経と副交感神経のバランスがとれやすくなります。適度な運動もストレス解消に役立つうえ、血糖値管理にも良い影響を与えます。 -
十分な睡眠
一般的に毎日6〜8時間程度の質の良い睡眠が必要だとされます。慢性的不眠はホルモンバランスを崩し、インスリン抵抗性の悪化につながるおそれがあります。
5. ハーブやサプリメントの活用
最近では、血糖値対策に役立つとされるハーブやサプリメントが注目を集めています。たとえば、マンゴーの皮に含まれる成分には、インスリン感受性を高める可能性を示すデータ(PubMed ID: 26604360)があります。また、伝統的に使われてきた植物由来の素材として、サラシアやジムネマシルベスタなどが研究対象となっている例も見られます。
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使用時の注意点
天然成分であっても、服用量や服用タイミングを誤ると、血糖値が急に下がり過ぎたり、逆にコントロール不能になる場合もあります。ハーブやサプリメントを試す際は、必ず主治医や薬剤師に相談したうえで、信頼できるメーカーの製品を選ぶことを心がけましょう。 -
主治医との連携
すでに糖尿病治療薬を服用している場合には、ハーブやサプリメントを併用することで予期せぬ相互作用が生じる可能性があります。独断での中止や変更は避け、医師に相談しながら進めることが大切です。
6. 自宅での血糖値測定と経過観察
2型糖尿病のセルフケアにおいて、定期的な血糖値測定は欠かせません。自宅で血糖値を測ることで、その日の食事量や運動の効果を客観的に把握し、必要に応じて食生活や運動メニューを調整できます。
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測定タイミング
起床直後の空腹時血糖値や、食後2時間の血糖値を定期的に確認すると、日々の変化に気づきやすくなります。また、食事内容や運動の有無との関連を観察しやすく、目標達成度を把握する上でも役立ちます。 -
血糖測定値を医師に共有
自己測定の結果をノートに記録するか、アプリ等で管理し、定期受診時に医師に見せると、薬剤の調整やアドバイスを受けやすくなります。
日常生活での実践例
ここでは、日常生活の中に無理なく取り入れられる工夫例を挙げます。あくまで参考であり、個別の事情や体調によっては合わない場合もあるため、体調に変化があればすぐに医師へ相談してください。
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朝食を抜かない
朝食をきちんと摂ることで、1日の血糖値の乱高下を抑えやすくなります。 -
外食時のオーダー工夫
サラダや野菜スープなど、食物繊維を含むメニューを先に注文し、主食は少なめにする。揚げ物や脂質の高いメニューよりも、蒸し料理や焼き料理を選ぶ。 -
こまめな休憩とストレッチ
デスクワークが多い方は、1〜2時間おきに席を立ち、軽い伸びや屈伸運動をする。血流改善と気分転換が期待できます。 -
軽めの夕食と早め就寝
夜遅い時間にたくさん食べると血糖値が高いまま眠ることになり、翌朝の空腹時血糖も上昇しがちです。できるだけ早めに夕食をとり、就寝前は飲み物程度にとどめるのが望ましいとされています。
推奨されるセルフケアを続けるためのヒント
2型糖尿病の管理は、いわば“長いマラソン”です。日々の食事や運動を調整し続けることは容易ではありませんが、小さな工夫を積み重ねることで、継続のモチベーションを保ちやすくなります。
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習慣化する
「夜の散歩は1日30分」「仕事帰りにバス1駅分を歩く」など、具体的で達成可能な目標を設定し、それを習慣として根付かせる工夫が重要です。 -
結果を記録して可視化
血糖値や体重、食事の内容などを手帳やアプリに書き留め、振り返ることで自分の努力や成果を客観的に把握できます。 -
周囲のサポートを得る
家族や友人に生活改善への取り組みを話し、協力を得ることで、食事制限や運動を続けやすくなります。ときには同じ悩みを持つ人と情報交換をするのも良いでしょう。
結論と提言
2型糖尿病は、早い段階から生活習慣の改善に取り組むことで、血糖値を安定させ、合併症リスクを低減しながら生活の質を維持できる可能性が高まります。特に、前糖尿病の段階であれば、適切な食事管理、運動習慣の確立、ストレスの軽減など「薬を使わない方法」だけで血糖値を正常範囲に保てることがある点は大きな希望といえます。もちろん、すでに血糖値が高めの方でも、生活習慣の見直しを行うことで薬物療法を補完し、よりよい状態を目指すことが十分に可能です。
ただし、自己判断だけでは最適なコントロールが難しい場合もあるため、主治医との連携や定期検査は非常に重要です。実際に運動の種類や食事内容、サプリメントの活用などは個々の体調や合併症の有無によって変わるため、専門家の意見を取り入れながら自分に合った方法を見つけていきましょう。
さらに、研究が進むにつれ、2型糖尿病のケアにも新たな知見が次々と示され始めています。海外の研究では、日本の食習慣にも応用可能なデータが増えていますので、日常の工夫と合わせて、新しい情報も適度に取り入れてみてください。
大切なこと
本記事に書かれた内容は、あくまでも参考情報です。実際の治療方針については、必ず医師や専門家に相談し、個々の状況に合わせた助言を受けることをおすすめします。
参考文献
- Living With Diabetes | CDC
- Type 2 Diabetes | CDC
- Type 2 diabetes in adults: management | NICE
- Understanding type 2 diabetes | Diabetes NZ
- 10 Natural Home Remedies For Diabetes | Stamford Health
- Sàng lọc các bài thuốc dược liệu có tác dụng hạ đường huyết : “Dược liệu vàng” cho người tiểu đường – Cổng thông tin Bộ Y tế
- Ethanol extract of mango (Mangifera indica L.) peel inhibits α-amylase and α-glucosidase activities…(PubMed ID: 26604360)
- Lean, M.E.J. et al. (2021) ‘Durability of a primary care-led weight-management intervention for remission of type 2 diabetes: 2-year results of the DiRECT open-label, cluster-randomised trial’, The Lancet Diabetes & Endocrinology, 9(6), 377–390. doi:10.1016/S2213-8587(21)00026-7
本記事はあくまでも一般的な情報提供を目的としたものであり、専門家による診断や治療を代替するものではありません。ご自身の健康状態については、必ず医師などの専門家にご相談ください。