この記事の科学的根拠
この記事は、入力された研究報告書で明示的に引用されている最高品質の医学的証拠にのみ基づいています。以下に示すリストには、実際に参照された情報源と、提示された医学的ガイダンスとの直接的な関連性のみが含まれています。
- 世界保健機関(WHO): この記事における術前のシャワー浴やアルコールベースの皮膚消毒に関する推奨は、WHOが発行した「手術部位感染予防のためのグローバルガイドライン」に基づいています2。
- 米国疾病予防管理センター(CDC): 血糖値管理(200mg/dL未満維持)や正常体温維持、禁煙といった具体的な予防策に関するガイダンスは、CDCが公表した「手術部位感染予防のためのガイドライン」を情報源としています3。
- 日本化学療法学会/日本外科感染症学会: 日本国内における予防的抗菌薬の投与期間に関する解説など、国内の臨床実態に即した推奨は、両学会が共同で作成した「術後感染予防抗菌薬適正使用のための実践ガイドライン」に基づいています4。
- 日本環境感染学会 JHAIS委員会: 日本国内におけるSSI発生率の年次推移や手術種類別のリスクに関するデータは、厚生労働省所管の全国サーベイランス(JANIS)の公式年報を引用しています5。
- Ubie株式会社: よくある質問(FAQ)セクションにおける患者様の具体的な疑問や不安点は、医療情報サイトUbieに掲載された実際のQ&Aを参考に構成されており、読者の真の「痛み」に応えることを目的としています1。
要点まとめ
- 手術部位感染症(SSI)は、手術の切開創に起こる感染症で、深さにより「表層」「深部」「臓器/体腔」の3つに分類されます。
- 原因の多くは患者自身の皮膚などにいる常在菌であり、喫煙、管理不良の糖尿病、肥満などが個人のリスクを高める主要な要因です678。
- SSIは予防可能であり、術前の禁煙やシャワー、血糖コントロールといった患者自身が主役となる対策が極めて重要です9。
- 医療機関では、予防的抗菌薬の投与、適切な皮膚消毒、体温管理など、科学的根拠に基づく複数の対策を束ねて実施しています。
- 創部の「赤み・腫れ・熱っぽさ・痛み」や原因不明の発熱は重要な警告サインです。自己判断せず、直ちに手術を受けた医療機関に相談してください。
手術部位感染症(SSI)とは?―基本を正しく知ろう
手術部位感染症(Surgical Site Infection、略してSSI)は、多くの患者様が不安に感じる合併症の一つですが、その実態を正しく理解することが、予防への第一歩となります。
SSIの基本的な定義
厚生労働省の定義によると、SSIとは、手術後30日以内(体内にインプラントなどの人工物が留置された場合は1年以内)に、手術の際に切開した皮膚や、その奥深くにある組織、臓器に発生する感染症全般を指します10。感染が起こる深さによって、SSIは以下の3つの種類に分類されます。この分類を理解することで、医師からの説明もより分かりやすくなります。
- 表層切開創SSI: 皮膚と、そのすぐ下にある皮下組織に限局した感染です。最も頻度が高いタイプです。
- 深部切開創SSI: 筋肉を覆う筋膜や、筋肉の層まで及んだ、より深い部分の感染です。
- 臓器/体腔SSI: 腹腔や胸腔など、手術で操作した臓器やその周辺の空間(体腔)で起こる、最も重篤な感染です。
そもそも、なぜ手術後に感染のリスクが高まるのでしょうか。その理由は主に二つあります。第一に、手術で皮膚を切開することにより、体を外部の病原体から守っている最も重要な物理的バリアが破られること。第二に、手術そのものが体にとっては大きなストレス(侵襲)となり、一時的に免疫力が低下してしまうことです11。この二つの要因が重なることで、普段は問題にならない細菌が感染を引き起こす隙が生まれてしまうのです。
SSIの原因となる主な細菌
SSIの原因と聞くと、何か特別な、強力な細菌が病院内にいて、それが侵入してくるイメージを持つかもしれません。しかし、米国疾病予防管理センター(CDC)の報告によれば、SSIの主な原因となる細菌の多くは、外部から侵入するものではなく、患者さん自身の皮膚、鼻の中、口の中、あるいは腸内などに普段から生息している「常在菌」であることが分かっています12。代表的な原因菌としては、皮膚や鼻腔に多い「黄色ブドウ球菌」や、腸内に多い「大腸菌」などが挙げられます4。これらの常在菌が、手術による切開創を介して普段はいない体の内部へと侵入することで、感染症を引き起こすのです。もちろん、まれに医療環境や医療従事者の手指などを介して感染が起こる可能性もゼロではありません。そのため、すべての医療機関では、手術室の厳格な管理やスタッフの手指衛生など、徹底した感染対策を実施しています。
あなたは大丈夫?SSIのリスクを高める要因
SSIの発生リスクは、すべての人で同じではありません。患者さん自身が持つ要因(患者側因子)と、手術の種類や状況に関連する要因(手術側因子)に大きく分けられ、これらの要因が複雑に絡み合ってリスクの大きさが決まります13。特に、患者さんご自身で管理・改善できる要因を知ることは、予防において極めて重要です。
患者さんが注意すべきリスク因子
以下の項目は、患者さん自身が医療チームと協力して管理・改善できる可能性があるため、SSI予防の鍵を握る要素です。
- 糖尿病(特に血糖コントロールが不良な場合): 高血糖の状態は、体内で細菌と戦う役割を持つ白血球の機能を著しく低下させることが科学的に証明されています。CDCのガイドラインでは、周術期の血糖値を200mg/dL未満に安定させることが強く推奨されています7。
- 肥満(BMIが高い): 肥満はSSIの独立した危険因子であることが複数の研究で示されています8。その理由として、脂肪組織は血流が乏しいため、感染防御に必要な免疫細胞や、投与された予防的抗菌薬が病巣に届きにくいこと、また手術創が深くなり、縫合後の創部に隙間(死腔)ができやすいことなどが挙げられます。
- 喫煙: 喫煙はSSIの最も強力なリスク因子の一つです。タバコに含まれるニコチンは末梢血管を強く収縮させ、創部の血流と酸素供給を著しく阻害します。酸素は創傷が治癒する過程で不可欠な要素であるため、酸素不足は回復を遅らせ、感染の危険性を高めます。複数のガイドラインで、手術前の禁煙が強く推奨されています6。
- 低栄養状態: 体の抵抗力や組織の修復能力は、タンパク質やビタミン、ミネラルなどの栄養素が十分に供給されて初めて正常に機能します。特に血清アルブミン値が低い低栄養状態の患者さんでは、SSIのリスクが高まることが知られています。
- その他: 上記以外にも、ご高齢であること、体の他の部位に活動性の感染症があること、免疫機能を抑制するステロイドや免疫抑制剤、抗がん剤などを使用していることもリスク因子となります。
参考:医療側のリスク因子
これらは主に医療チームが管理する要因ですが、ご自身の受ける手術のリスクを理解する上で参考になります。手術時間が長いほど、また出血量が多いほど、創が外部環境に晒される時間が長くなりリスクは高まります。手術の種類別では、消化器外科(特に大腸や膵臓の手術)や心臓血管外科の手術は、SSIの発生率が比較的高いことが日本の全国統計(JANISデータ)でも示されています5。その他、緊急手術や、人工関節・人工血管といった体内に異物(インプラント)を留置する手術もリスクが高いとされています。
このセクションのポイント
SSIのリスクはゼロにはできませんが、自分でコントロールできるリスク(禁煙、栄養改善、血糖管理)に焦点を当て、手術前から医療者と協力して対策を始めることが、安全な手術と順調な回復への最も確実な道筋です。
見逃さないで!SSIのサインと症状
SSIの多くは、退院後にご自宅で過ごしている際に発生します。そのため、ご自身やご家族が感染の初期サインを見逃さず、早期に適切な対応をとることが、重症化を防ぐ上で最も重要です。創部に現れる「赤み(発赤)・腫れ(腫脹)・熱っぽさ(熱感)・痛み(疼痛)」は、古くから知られる感染の4大兆候です1。手術直後には、手術そのものによる炎症でこれらの症状がある程度見られますが、一度軽快した後に再びこれらの症状が強くなってきた場合は、特に注意が必要です。
その他、以下のような症状もSSIを疑う重要なサインです。
- 創部からの浸出液や膿: 傷口から黄色や緑色がかった、あるいは悪臭を伴う液体(膿)が出てくる場合は、感染の可能性が非常に高いです。
- 創離開: 縫い合わせた傷口が開いてしまう状態です。
- 原因不明の発熱: 他に風邪などの症状がないにもかかわらず、38℃以上の発熱が続く場合は、深部や臓器/体腔のSSIが疑われます10。
これらの症状は、一般的に手術後数日から1週間程度で現れることが多いですが、人工物を使用した手術などでは、数ヶ月以上経ってから発生することもあります。
警告:これらの症状が一つでも見られたら、決して自己判断しないでください
ご自身の判断で様子を見たり、市販の消毒薬や軟膏を使用したりすることは、かえって状態を悪化させる危険性があります。上記のようなサインに気づいた場合は、直ちに手術を受けた医療機関に電話で連絡し、担当医の指示を仰いでください。早期の対応が重症化を防ぐ唯一の鍵です。
【最重要】科学的根拠に基づくSSI予防策のすべて
かつてSSIは「不運な合併症」と考えられていた時代もありましたが、今日ではその様相は大きく異なります。2023年に医学雑誌JAMAに掲載されたレビューでは、複数の予防策を組み合わせることで、SSIの最大60%は予防可能であると結論付けられています9。世界保健機関(WHO)や米国疾病予防管理センター(CDC)などの国際機関は、単一の特効薬的な対策ではなく、科学的根拠のある複数の有効な対策を束ねて実施する「バンドル(束)アプローチ」を強く推奨しており、これが世界の標準的な考え方となっています14。
手術が決まったら(術前管理)―患者さんが主役の予防策
SSI予防は、手術室の中だけで行われるものではありません。手術が決まったその日から、患者さんご自身が主役となって取り組めることが数多くあります。
- 禁煙: CDCや国内の多くのガイドラインが、最低でも術前30日間の禁煙を強く推奨しています6。ニコチンが末梢血管を収縮させ、創傷治癒に必要な酸素や栄養素の供給を妨げるという明確な科学的根拠に基づく推奨です。加熱式タバコや電子タバコも同様のリスクがあると考えられています。
- 栄養管理: 手術という大きなストレスに耐え、術後に速やかに回復するためには、十分な栄養が必要です。特に、創の修復に不可欠なタンパク質(肉、魚、卵、大豆製品)や、免疫機能を正常に保つビタミン・ミネラルを意識した、バランスの良い食事を心がけましょう。
- 血糖コントロール: 糖尿病をお持ちの方はもちろん、そうでない方も、手術前後の血糖値を安定させることが極めて重要です。CDCは、手術の種類にかかわらず、周術期の血糖値を一貫して200mg/dL未満に保つことを推奨しています7。
- 術前のシャワー・入浴: 手術の前日または当日の朝に、石鹸(必ずしも抗菌薬入りのものである必要はありません)を使って全身を洗い、皮膚表面の細菌数を減らしておくことは、簡単かつ非常に効果的な予防策です。これはWHO、CDC、そして日本のガイドラインで共通して強く推奨されています4。
- 除毛: かつては手術部位の毛をカミソリで剃ることが一般的でしたが、カミソリは皮膚に目に見えない微細な傷を多数作り、かえって細菌の温床となり感染リスクを高めることが判明しました。そのため、現在ではカミソリによる自己処理は絶対に避けるべきとされています。除毛が必要な場合は、手術の直前に、医療機関が皮膚を傷つけにくい医療用の電気クリッパーで行います15。
手術当日(術中管理)―医療チームによる専門的な予防策
手術室の中では、患者さんの安全を守るため、目に見えるところから見えないところまで、何重もの感染対策が専門家チームによって実施されています。
- 予防的抗菌薬(抗生物質)の投与: 手術による皮膚切開からの細菌侵入に備え、手術開始の直前(多くは皮膚切開の1時間以内)に抗菌薬を点滴で投与します。これはSSI予防の最も重要な柱の一つです4。【日本の特徴】日本外科感染症学会のガイドラインでは、手術の種類や侵襲の度合いに応じて、欧米のガイドラインが推奨する術中1回投与よりも少し長めに(例:術後24時間から48時間まで)抗菌薬を投与することが、日本の医療事情やエビデンスに基づいて推奨される場合があります4。これは優劣の問題ではなく、各国の実情に合わせた最適な戦略と言えます。
- 皮膚の消毒: 手術野(手術を行う部位)は、殺菌効果が持続するアルコールを含んだ消毒薬(クロルヘキシジンやポビドンヨードなど)を用いて、中心から外側に向かって円を描くように広範囲に消毒されます15。
- 体温管理: 手術中に体温が36℃以下に低下する「術中低体温」の状態は、免疫機能を低下させSSIのリスクを高めることが分かっています。そのため、保温機能のあるマットを敷いたり、温めた輸液を使用したりするなどして、患者さんの体温を正常範囲に維持する努力がなされます16。
- 徹底された無菌環境: 手術室内の空気は、特殊なフィルターで清浄化され、外部から細菌が入らないように室内の気圧が常に高く保たれています(陽圧換気)。また、手術に携わるスタッフは、入念な手指衛生の後、滅菌されたガウンや手袋を着用し、手術器具の受け渡しなども厳格な無菌操作のルールに則って行われます15。
退院後も大切(術後管理)―回復を確実にするために
無事に手術が終わり退院した後も、SSI予防は続きます。この時期の主役もまた、患者さんご自身です。
- 創部のケア: 医師や看護師から受けた指示を厳守することが、何よりも重要です。自己判断で消毒薬を塗ったり、ガーゼやテープを交換・除去したりしないでください17。通常、創部は手術後48時間程度まで滅菌されたドレッシング材で保護されます。シャワー浴が可能になるタイミングや方法は、創の状態によって異なりますので、必ず医師の許可を得てから行いましょう18。
- ドレーン管理: 体内にドレーン(手術部位に溜まった血液や浸出液を排出するための管)が留置されている場合は、管がねじれたり、抜けたりしないように注意が必要です。また、排液バッグは常に創部より低い位置に保ち、排液の量や性状の変化についても指示通りに観察・記録しましょう17。
- 生活習慣の維持: 順調な回復のためには、体が本来持っている治癒力を最大限に引き出すことが大切です。引き続き、タンパク質を中心としたバランスの良い食事、十分な休息、そして禁煙の継続を心がけてください。
もしSSIが疑われたら?―診断と治療の流れ
万が一、SSIが疑われるサインに気づいた場合でも、早期に適切な対応を行えば重症化することは稀です。診断と治療の一般的な流れを理解しておくことで、落ち着いて行動することができます。
診断方法
まずは医師による創部の視診(状態の観察)が基本となります。それに加え、診断を確定し、適切な治療方針を決めるために、以下のような検査が行われることがあります15。
- 血液検査: 体内の炎症の程度を示すCRP(C反応性タンパク)や白血球数などを測定します。
- 細菌培養検査: 創部から膿や浸出液を綿棒で採取し、どのような細菌が原因となっているのか、またどの抗菌薬が有効なのかを特定します。
- 画像検査: 深部切開創SSIや臓器/体腔SSIが疑われる場合には、超音波(エコー)検査やCT検査によって、体の深部に膿が溜まっていないかなどを確認します。
治療法
治療は、感染の重症度に応じて行われます1。
- 軽症の場合: 創部の消毒と、原因菌に有効な抗菌薬(抗生物質)の内服や外用薬(塗り薬)による治療が中心となります。
- 膿が溜まっている場合(膿瘍形成): 抗菌薬だけでは効果が不十分なため、局所麻酔下に創部を小さく切開して、内部に溜まった膿を排出する処置(切開排膿)が必要になることがあります。創は毎日洗浄され、清潔に保たれます。
- 重症の場合: 感染が広範囲に及んでいたり、深部に達していたりする場合には、再手術によって感染した組織や壊死した組織を取り除く処置(デブリードマン)が必要になることがあります。また、強力な抗菌薬の点滴治療を行うため、入院が必要となることもあります。
よくある質問
術後の痛みや腫れは、いつまでが正常で、どこからが感染のサインですか?
手術による正常な炎症反応としての痛みや腫れは、通常、術後2〜3日をピークに、その後は日に日に和らいでいくのが一般的です。一方で、一度は落ち着いたはずの痛みが再び強くなってきた、赤みや熱っぽさが創部を越えて広がってきた、ズキズキと脈打つような痛みが出てきた、といった場合は感染を疑うサインです。正常な経過との見分けはご自身では難しい場合も多いため、「おかしいな」と感じたら、どんな些細なことでも遠慮なく医療機関に確認してください19。
SSIで死亡することはありますか?
SSIそのものが直接の死因となることは極めてまれです。しかし、非常に稀なケースとして、感染がコントロールできずに血液中に細菌が入り込み、全身に広がる「敗血症」という重篤な状態に至った場合、命に関わる可能性があります1。だからこそ、本記事で繰り返し強調しているように、創部の異常といった初期症状を見逃さず、早期に発見し、早期に治療を開始することが何よりも重要なのです。
家族として、患者のために何かできることはありますか?
はい、ご家族のサポートは患者さんの安心と回復にとって非常に重要です。まず、患者さんに触れる前や、創部のケアを手伝う前には、石鹸と流水による丁寧な手洗いを徹底してください。また、身の回りの環境を清潔に保つ手伝いや、回復に必要な栄養バランスの取れた食事の準備も大きなサポートになります。何よりも、患者さんの不安な気持ちに寄り添い、ゆっくりと話を聞いてあげることが、心理的な支えとなります。そして、もし創部に異常を見つけた際に、ご本人に代わって冷静に医療機関へ連絡し、状況を説明してあげることもご家族の重要な役割です20。
帝王切開後のSSIで特に気をつけることはありますか?
帝王切開後のSSI予防と注意点は、基本的に他の腹部手術と同じです。しかし、産後は体の変化が大きく、また育児で多忙なため、ご自身の体調管理がおろそかになりがちです。腹部の脂肪の厚さや、産後の腹部のたるみにより、創部の観察がしにくい場合もあります。シャワーの際には鏡を使うなどして、ご自身で創部の状態をよく確認する習慣をつけましょう。赤み、腫れ、痛み、浸出液などの異常があれば、我慢せずにすぐに産婦人科に相談してください。
結論
手術部位感染症(SSI)は、決して「運が悪かった」ために起こる避けられない合併症ではありません。本稿で詳述した通り、その多くは科学的根拠に基づいた適切な予防策によって防ぐことが可能です。そして、その予防の鍵を握っているのは、医療従事者だけの努力ではなく、患者さんご自身、そしてご家族が医療チームの一員として主体的に参加することにあります。この記事で得た正しい知識が、手術に対する漠然とした不安を軽減し、ご自身の回復力を最大限に引き出すための一助となれば幸いです。覚えておくべき最も重要な予防策は、「①術前からの禁煙」、「②適切な血糖管理」、「③指示通りの術前シャワー」、「④医療者の指示の厳守」、そして「⑤異常を感じた際の早期連絡」です。あなたの手術の成功と、その後の健やかな回復を、JAPANESEHEALTH.ORG編集部一同、心から願っています。不安な点があれば、決して一人で抱え込まず、あなたを担当する医療スタッフに遠慮なくご相談ください。
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