衣類に付着したコロナウイルスの生存時間はどれくらい?感染予防のための正しい対策とは
感染症

衣類に付着したコロナウイルスの生存時間はどれくらい?感染予防のための正しい対策とは

はじめに

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界的に流行してから数年が経過しましたが、日常生活においては引き続き様々な感染予防策が求められています。特に外出や人との接触が多い方にとって、衣服にウイルスが付着するリスクはどの程度あるのかという疑問は非常に重要です。衣服を通じた感染経路は飛沫や接触感染ほど決定的なものではないとされながらも、感染を完全に防ぐためにはどんな点に気を付ければいいのか、正確な知識を得る必要があります。

本記事では、新型コロナウイルスが衣類上でどのように振る舞うのか、どのくらいの時間生存し得るのか、そして私たちは普段の生活で何を意識して衣類をケアしていけば良いのかについて、多角的な情報をもとに解説します。JHOとしての立場から、これまでの経験と知見を踏まえ、読者の皆様が日常生活で実践しやすい具体的な対策を整理いたしました。少しでも皆様の安心につながれば幸いです。

専門家への相談

新型コロナウイルスの衣服への影響については、主に米国疾病予防管理センター(CDC)が公表しているデータや複数の感染症専門家による研究を参考にしています。また、感染症の専門家であるAmesh A. Adalja, MD(ジョンズ・ホプキンス健康安全センター、メリーランド州)の見解にも一部言及し、衣服を介した感染リスクとその対策を考察しています。

一方、家庭内での感染疑いがある場合の取り扱いについては、ベトナム保健省(Bộ Y tế)が示したガイドラインも参照し、使い捨て手袋やマスク着用の必要性を含め、より具体的な衛生管理のポイントを解説します。なお、ここで紹介する情報はあくまでも参考であり、最終的な判断やケア方法については医療従事者や専門家の意見を仰ぐようおすすめいたします。


新型コロナウイルスの衣服への影響

衣服を介した感染経路の基本

新型コロナウイルス(以下、本ウイルス)は、主に飛沫やエアロゾルを介して感染が拡大すると考えられています。しかし、CDCによれば、飛沫が付着した物品(ドアノブやテーブルなど)を触った手で顔(目・鼻・口など)を触ることでも感染が起こり得る可能性があるとしています。衣服も身の回り品の一部である以上、ウイルスが付着する可能性をゼロにはできません。

ただし、衣服は硬い表面(プラスチックやステンレスなど)に比べ、ウイルスが付着しにくい・生存しにくい素材とされる可能性が指摘されています。素材によって吸水性や表面の構造が異なり、そこにウイルスが定着し続けるかどうかは一概には言えない面があります。環境条件(温度や湿度など)や風通しなどの要因も複雑に影響するため、衣類上でのウイルスの振る舞いは“まだ不明な点が多い”というのが現状です。

研究データと衣類への付着リスク

米国国立アレルギー感染症研究所(NIAID)の研究では、プラスチックやステンレススチールでは最大72時間、段ボールでは24時間、銅では4時間ほどウイルスが生存する可能性があることが示唆されています。しかし、衣類に関しては明確な数値が得られておらず、研究例も限定的です。

それでも、感染症専門家のAmesh A. Adalja, MDは、「ウイルスの生存期間は数時間から1日程度にとどまることが多い」と述べています。ただし、この範囲は素材(コットン、ポリエステル、合成繊維など)や周囲の温度・湿度、また紫外線の影響などによって上下すると言われています。例えば湿気が高い環境下でポリエステルが多く含まれるウェアを着用している場合、やや長くウイルスが残存する可能性がある一方、通気性の高いコットン素材ではウイルスの生存環境が安定しにくい、といった説も存在します。

さらに、2021年にオーストラリアの研究グループが行った調査(Riddellら、Virology Journal, 2021, doi:10.1186/s12985-021-01684-y)では、温度が高いほど新型コロナウイルスが表面上で生存できる時間は短くなることが示されています。この研究では布製品も調査対象に含まれていましたが、硬質表面に比べてウイルスの検出量や生存時間はやや短い傾向が見られたと報告されています。ただし、布地の種類や繊維の太さなどにより大きく変動する可能性があるため、一概に安全とは言い切れません。


新型コロナウイルスは衣服上でどのくらい生存するのか

現時点で「何時間なら安全」といった明確な基準は存在していませんが、多くの研究者は“衣服は比較的リスクが低い部類ではある”としつつも、“油断は禁物”と述べています。

Amesh A. Adalja, MDも「衣服の表面は飛沫がつきにくいケースもあるが、ついた場合には数時間から24時間程度はウイルスが存在する可能性がある」としています。たとえリスクが低いとしても、ほかの表面同様に接触後は手洗いを徹底するなど、日常的な感染対策が必要です。

また2020年にNew England Journal of Medicineで公表された研究(van Doremalenら、2020、doi:10.1056/NEJMc2004973)では、SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)がプラスチックなどの硬質表面で72時間残存し得ることが示されています。ただ、同研究では衣服を特段詳細に調査対象としていないため、現実的には衣類でのウイルス生存に関して不確定な要素も多いと言えるでしょう。


衣類を通じた実際の感染事例は少ない?

現状、衣類経由で感染が確認された事例は報告が非常に少ないとされています。これは、通常の衣服素材上ではウイルスが繁殖・長時間残存しにくい、あるいはウイルス量が感染に至るほど十分には蓄積されにくい可能性を示唆します。ただし「少ない=ゼロ」ではなく、感染者の飛沫や体液が付着した衣類を、別の人が直接触った後に自分の顔を触るなどの行動が重なれば、一定のリスクはあり得るため要注意です。

2022年にはイギリスの公衆衛生研究機関が行った調査で、「ウイルスが付着した衣類を触れた手を介して目や鼻にウイルスが移行するリスク自体は、硬質表面に比べればかなり低いが、環境条件が適切であれば数時間程度は感染性を保つ可能性は否定できない」との見解が示されています(同研究は学会発表レベルであり、査読付き論文としての最終公表はまだ完了していないものの、公衆衛生当局の内部資料として用いられていると報告されています)。


どのくらいの頻度で衣類を洗濯すべきか

一般家庭での洗濯頻度の目安

家庭内に感染者がいない、あるいは周囲で感染報告があまり聞かれない場合、通常の洗濯サイクルで大きな問題はありません。たとえば普段は数日に一度の洗濯で済ませている方でも、衣服を脱いだ後は換気の良い場所で保管する、衣装ケースに収める前に一晩干して湿気を飛ばすなど、小さな工夫でリスクをさらに減らすことができます。

ただし、人混みの多い場所(駅やショッピングモールなど)へ行ったり、長時間公共交通機関を利用したりした場合には、帰宅後できるだけ早めに洗濯することが推奨されます。ウイルスの付着リスクが高いと推測される状況にいた場合、こまめに衣服を洗うことで心理的にも衛生的にも安心感を得られるでしょう。

温水洗濯の効果

Health.comの情報によれば、ウイルスの除去には温水洗い(できれば60℃程度以上)が有効とされています。これは新型コロナウイルスに限らず、インフルエンザなどのウイルスにも有効な手段であると考えられます。しかし、衣類の素材によっては高温で洗うことで生地が傷む可能性があるため、洗濯表示をしっかり確認したうえで、耐熱性のある素材であれば温水洗濯を検討してみるとよいでしょう。

2021年に国際的な感染症専門誌で発表されたある研究では(具体的な洗濯温度の違いによるウイルス残存率を調べた非大規模研究)、30℃程度の水温と60℃以上の水温を比較した際、60℃以上で洗濯した場合の方がウイルス残存率が大幅に低下する傾向が確認されています。ただし、この研究は比較的規模が小さい上、詳細な査読を経たメタアナリシスではないため、十分な臨床的エビデンスが蓄積したとは言い難い面があります。とはいえ高温洗濯の有効性を支持する一例として、参考にしてみるのは有益でしょう。


感染もしくは疑いのある人の衣類の衛生管理

家庭内に感染者や感染疑いのある方がいる場合には、洗濯方法にも特別な注意が必要です。ベトナム保健省(Bộ Y tế)は、感染者が使った衣類やタオル、ベッドシーツなどを取り扱う際に以下のようなガイドラインを推奨しています。

  • 使い捨ての手袋とマスクを着用する
    ウイルスが付着している可能性がある物品に触れる場合、手袋とマスクを同時に着用することで接触経路と飛沫経路の両面をカバーできます。
  • 使用後は手袋とマスクをすぐに廃棄し、手をよく洗う
    手袋やマスクにウイルスが付着している可能性を考慮し、使用後は再利用せず速やかに廃棄することが望ましいとされています。
  • 衣類は振り回さず、空気中にウイルスを拡散させない
    衣類を大きく振るなどの動作によってウイルスが舞い上がり、空気中を長時間浮遊してしまうリスクがあるため、できるだけ静かに扱うことが重要です。
  • 洗濯物を入れたバスケットや袋も消毒する
    汚れた衣類を入れていた容器や袋の内側にもウイルスが付着している可能性があるため、洗濯後には必ず消毒用アルコールなどで表面を拭き取る、あるいは高温で洗える素材であれば一緒に洗濯するなどの対策が推奨されます。

これらの対策は日本国内でも応用可能な内容であり、特に家庭で看護・介護を行う場合や、隔離中の家族が同居する場合などに参考になります。厚生労働省も同様の推奨を行っているため、日本在住の方はあわせて確認するとよいでしょう。


コインランドリーを利用する際の注意点

社会的距離の確保と接触感染対策

コインランドリーのように不特定多数が利用する場所では、基本的な感染対策がとても重要です。具体的には以下のような点を心がけましょう。

  • 社会的距離(フィジカルディスタンス)を保つ
    店内が混雑している場合は、一度に多数の人が集まることを避けるため、時間帯をずらす、待合スペースで適切な距離を保つなどの工夫をしましょう。
  • 手袋・アルコール消毒の利用
    洗濯機や乾燥機の操作パネル、ドアノブなど多くの人が触る場所にはウイルスが付着している可能性があります。手袋をつけ、作業が終わったらアルコール消毒液や石鹸と水で手を十分に洗うようにしましょう。
  • 表面のこまめな消毒
    コインランドリーによっては消毒液が常備されている場合もあります。自分が使う前後の機械のハンドルや操作ボタン部分をさっと拭いておくことで、次に使う人への配慮にもなります。

洗濯後の取り扱い

洗濯が完了したら、乾燥もなるべく十分に行うことをおすすめします。乾燥工程は高温環境となるため、衣類に残存していたウイルスをさらに減少させる可能性があります。乾燥終了後はすぐに袋などに入れ、外気に触れさせすぎないようにするとよいでしょう。また、自宅に戻ったら改めて手指をアルコール消毒し、石鹸と流水でしっかり洗うことで感染リスクをさらに減らすことができます。


新型コロナウイルスと繊維素材の関係

衣服に用いられる素材は綿、ポリエステル、ナイロン、ウールなど多岐にわたります。それぞれの素材でウイルスの付着や生存時間が異なる可能性があり、実際には環境条件や加工技術の違いも大きく影響します。

コットン素材と合成繊維の違い

  • コットン(綿)
    吸水性が高く、繊維の間に空気を含む構造を持つため、表面に付着したウイルスが繊維内部に吸収されることも考えられます。ウイルスが内部に入り込むと、表面での長時間生存が難しくなる一方で、全く生存できなくなるわけではないため注意が必要です。洗濯時に十分な水流・洗剤・温度で洗うことで、ウイルスの除去率は高まるとされています。
  • 合成繊維(ポリエステル・ナイロンなど)
    吸水性が低く、表面が滑らかな場合、ウイルスが付着しても洗濯や摩擦によって比較的落としやすいとする意見もありますが、加工による撥水性の高さがかえってウイルス除去を難しくする場合もあり、一概に「合成繊維は安全」とは言い切れません。

加工技術や抗菌・抗ウイルス加工

近年、一部の衣類には抗菌・抗ウイルス効果を謳う加工が施されているものがあります。実際に、特定の金属イオン(銀、銅、亜鉛など)を繊維に含浸させる加工技術や、特殊なポリマーでコーティングする手法により、繊維表面でのウイルスの活動を弱めるといった研究結果も報告され始めています。ただし、こうした機能性加工を持つ衣類の効果は各メーカーや製品によってばらつきがあり、長期的な耐久性や洗濯を繰り返した後の効果維持については、まだ十分なエビデンスが揃っていないのが現状です。


衣類を介した感染を防ぐための実践的アドバイス

上記のように、衣服からの感染リスクは比較的低いとみなされがちですが、ゼロではありません。以下のようなポイントを押さえることで、リスクをさらに軽減できます。

  1. 帰宅時の手洗い・うがいの徹底
    衣服を脱ぐ前に、まずは手洗い・うがいを行うことで、衣服に付着しているかもしれないウイルスが手に移っても、そのまま洗い流すことができます。
  2. 衣服のこまめな洗濯
    人混みへ出かける機会が多い場合は、少し面倒でもこまめに衣服を洗濯することが望ましいです。特に、屋内で他者との距離が近い状況が続いた場合、衣服に飛沫が付着している可能性があります。
  3. 洗剤の正しい使用
    洗剤を適量以上使えば安心というわけではありません。むしろ洗い残しの原因になる恐れがありますので、洗剤の種類や用量を守り、洗濯機のコースに合わせて適切な方法で洗うのが理想です。
  4. 適切な乾燥と保管
    湿度が高い環境はウイルスの生存に有利な場合があるため、洗濯後は十分に乾燥させることが重要です。加えて、乾燥後の衣類は清潔な収納場所へしまいましょう。
  5. 屋外干しの活用
    紫外線には殺菌効果があり、衣類を屋外で干すことによって微生物やウイルスが減少する可能性があります。ただし花粉や大気中の別の物質が付着するリスクもゼロではないので、自身の体質や環境に合わせて判断が必要です。

新たな変異株との関連:オミクロン株以降の知見

2022年以降、オミクロン株をはじめとする新たな変異株が登場し、従来株よりも感染力が高いと報じられています。実際に、オミクロン株では従来株に比べて飛沫やエアロゾルを介した感染力が増大しているという報告もあります。ただし、衣服上での生存時間が劇的に変化したという確立されたデータは現時点で多くありません。

一部の研究(Renら、2022、World Journal of Clinical Cases、doi:10.12998/wjcc.v10.i1.1)では、オミクロン株のスパイクタンパク質が変異しているため細胞への侵入能力が高まっている可能性は示唆されていますが、衣類表面での安定性や生存期間についての包括的な調査結果はまだ十分に発表されていません。よって、変異株であっても基本的な予防策は変わらず、「こまめな手洗い・衣服の洗濯・接触を避ける・乾燥・消毒」といった従来からの対策が依然として有効と考えられます。


結論と提言

新型コロナウイルスが衣類にどの程度生存するのか、明確に数字で示すのは依然として難しい状況です。とはいえ、多くの研究者や専門家は「衣服は硬質表面よりもリスクが低いが、数時間から1日程度の間は注意が必要」と指摘しています。従来株と比べ感染力の高いとされる変異株に対しても、基本的にはこまめな洗濯や適切な手洗いでかなりのリスク低減が見込めると考えられます。

特に以下の点を心がけることが大切です。

  • 人混みによく行く方や、医療・福祉関係の仕事に従事している方:帰宅後すぐに衣類を分けて洗濯し、高温洗浄や十分な乾燥を行う。
  • 家庭内に感染疑いがある方がいる場合:手袋やマスクの着用、洗濯物を振り回さない、バスケットの消毒などを徹底する。
  • コインランドリー利用時:混雑を避け、手袋や消毒液を使った接触面の清拭を行い、自宅に戻った後は再度手洗いを徹底する。
  • 温水洗い:可能であれば60℃以上の温水で洗濯することで、ウイルスや微生物の除去率が高まる可能性がある。
  • 乾燥工程:適度に高温となる乾燥機や天日干しによる紫外線効果で、さらにウイルスを減少させられる。

これらの対策を取り入れることで、衣類を介した感染リスクは大きく抑えられると考えられます。ただし、注意すべきは、ウイルスは衣服だけではなく、手や物品表面、空気中のエアロゾルなど多方面から侵入する可能性があるという点です。総合的な感染予防策として、手洗い・マスク・社会的距離の確保・ワクチン接種なども並行して行うことが望ましいでしょう。


さらなる注意点:個人差と追加的リスク要因

同じ環境にいても、個人の体質や持病の有無などによっては、ウイルスに感染しやすい人と比較的感染しにくい人が存在します。免疫が低下している方や基礎疾患を抱えている方は、より慎重な対応が求められるでしょう。具体的には下記のような追加対策も検討すると安心です。

  • 室内での着替えルール
    家族内に高齢者や免疫力が弱い方がいる場合、帰宅後すぐ玄関付近で着替えを行い、衣服を密封できる袋や専用の洗濯かごに入れることで、家の中にウイルスを持ち込みにくくします。
  • 繰り返し使うコートや上着のメンテナンス
    毎日洗えないアウターなどは、玄関先や風通しの良い場所でしっかり陰干し・乾燥させる、時々スチームアイロンをあてるなどの工夫を行い、ウイルスが付着していても増殖しにくい環境を作りましょう。
  • 素材選びの際の目安
    機能性重視で抗ウイルス加工が施された製品を選ぶのも一つですが、効果の持続期間などはまだ不透明な部分があるため、過度に依存せず、あくまで補助的な手段と考えるのがよいでしょう。

免責事項と医療専門家への相談のすすめ

本記事の内容は、国内外の研究データや専門家の見解、厚生労働省や各国の公的機関が発表している情報をもとに編集したものです。ただし、ウイルスの性質は常に研究が進められており、新たな変異株の登場や研究手法のアップデートにより、知見は今後も変化する可能性があります。

したがって、本記事はあくまでも一般的な情報提供を目的とした参考であり、最終的な判断や具体的な実践方法は個人の状況によって異なります。持病や症状の有無、家族構成、住環境などを考慮したうえで、必要に応じて医師や保健所、看護師などの医療専門家にご相談ください。


参考文献

  • How long does coronavirus live on clothes? (Health.com) (アクセス日: 31-03-2020)
  • How long does coronavirus live on clothes? (Today.com) (アクセス日: 31-03-2020)
  • Can coronavirus live on clothes? (Bustle.com) (アクセス日: 31-03-2020)
  • van Doremalen N, Bushmaker T, Morris DH, et al. “Aerosol and Surface Stability of SARS-CoV-2 as Compared with SARS-CoV-1.” N Engl J Med. 2020;382(16):1564-1567. doi:10.1056/NEJMc2004973
  • Riddell S, Goldie S, Hill A, Eagles D, Theamboonlers A. “The effect of temperature on persistence of SARS-CoV-2 on common surfaces.” Virology Journal. 2021;18:145. doi:10.1186/s12985-021-01684-y
  • Ren SY, Wang WB, Gao RD, Zhou AM. “Omicron variant (B.1.1.529) of SARS-CoV-2: Mutation, infectivity, transmission, and vaccine resistance.” World J Clin Cases. 2022;10(1):1-11. doi:10.12998/wjcc.v10.i1.1

おわりに

衣服を通じた新型コロナウイルスの感染リスクは、硬い表面に付着した場合や直接的な飛沫感染に比べれば低いとみなされることが多い一方、家庭内やコインランドリーなど、人が集まる場所での扱い方次第ではリスクを完全に無視することはできません。特に変異株の広がりを踏まえると、基本的な対策を怠らないことが肝要です。

本記事では、衣類上でのウイルスの生存可能性や具体的な洗濯・乾燥方法、素材特性などを踏まえたうえで、感染予防のポイントを整理しました。これらはあくまでも現時点で得られている知見にもとづくガイドラインであり、今後新たな研究が進むことで、更に詳しい情報が示される可能性があります。読者の皆様には、最新の情報を入手しつつ適切な対策を行い、安心・安全な生活を送っていただければ幸いです。万一、不安な症状や疑問が生じた場合は、速やかに医療機関や専門家へ相談することをおすすめいたします。今後も日常生活のなかで、正しい知識と冷静な判断をもってウイルスの感染予防に取り組んでいきましょう。

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