はじめに
腎臓で形成される結石、いわゆる腎結石は、塩分やミネラルなどの物質が結晶化してできる固形物です。小さな結石であれば自然排出されることもありますが、結石が大きくなると尿路を塞ぎ、強い痛みや血尿、さらには尿路感染症などの合併症を招くことがあります。結石が小さいうちに発見・治療できれば身体への負担は少なくて済むため、早期の段階で兆候を見極めることがとても大切です。
免責事項
当サイトの情報は、Hello Bacsi ベトナム版を基に編集されたものであり、一般的な情報提供を目的としています。本情報は医療専門家のアドバイスに代わるものではなく、参考としてご利用ください。詳しい内容や個別の症状については、必ず医師にご相談ください。
本記事では、腎結石に典型的な8つの症状を中心に解説し、あわせて医療機関で行われる主な診断法や治療の流れもご紹介します。もし思い当たる節がある場合には、なるべく早めに専門医への受診を検討してみてください。
専門家への相談
本記事の内容は、信頼できる医療情報をもとにまとめていますが、実際の診断や治療方針は各個人の症状や既往歴によって異なります。腎結石が疑われる症状がある場合には、必ず専門医の診察を受けるようにしてください。また、当記事内で引用した情報源(医療機関や学会、研究論文など)はあくまで参考材料であり、最終的な治療の判断は主治医と相談して行うのが望ましいです。
8つの腎結石の症状
腎結石は症状が他の疾患(たとえば尿路感染症など)と似ている場合も多く、単独で判断するのは難しいことがあります。しかし以下で挙げる8つの兆候は、腎結石がある人によく見られる特徴でもあります。自分の身体の状態を知る目安として、ご参照ください。
1. 強烈な痛み(疝痛)の出現
腎結石による痛み(疝痛)は、非常に激しいことで知られています。しばしば「陣痛のような痛み」「鋭利な刃物で刺されるような痛み」と形容されるほどで、日常生活が困難になる場合もあります。結石が尿管という狭い通り道を塞ぐ際に、腎臓に圧力がかかって神経を刺激するため、このような痛みが生じるとされています。
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痛みの場所
脇腹や腰、背中側の肋骨付近から始まり、結石が下方へ移動していくにつれて下腹部やそけい部(鼠径部)にまで放散します。痛みの強さや部位は、結石の位置や大きさに必ずしも比例しません。小さい結石でも鋭い痛みを起こすことがあります。 -
痛みの特徴
一定時間持続するというよりも、強い痛みが波状的に起こるパターンが多いです。痛みが治まったかと思うと再び激痛が襲ってくるという形で、腎臓から尿管へ結石が移動する間に、尿管が結石を押し出そうとして激しく収縮するためだと考えられています。
2. 排尿時の痛みや灼熱感
腎結石が膀胱近くまで下がってくると、尿道や膀胱を刺激するため、排尿時に痛みや焼けるような感覚が生じることがあります。この症状は尿路感染症や膀胱炎などでもよく見られるため、腎結石だけに特有というわけではありませんが、特に強い痛みを伴う場合は結石が疑われます。
また、腎結石と同時に尿路感染症を併発するケースもあるため、痛みや灼熱感が続く場合には早めに医療機関で検査を受けることが望ましいです。
3. 尿意切迫感(尿が近い)
結石が尿管下部や膀胱に入り込むと、膀胱が刺激されて頻尿(短い間隔で頻繁に尿意を催す)や尿意切迫感(急に強烈な尿意が襲う)といった症状が出る場合があります。これも尿路感染症と非常によく似た症状であるため、単に「トイレが近いから感染症かも…」と思い込まず、腎臓や尿管に結石が存在していないかどうかも検討が必要です。
4. 血尿
血尿は腎結石に限らず、尿路結石全般でよくみられる症状のひとつです。結石が尿管や膀胱の粘膜を傷つけることで出血が起こり、尿が赤色・ピンク色・茶色っぽくなることがあります。ただし、肉眼で明確に赤色が分かる場合もあれば、顕微鏡的血尿(目視では分からず、検査で初めて血液の混入が判明する)もあるため、定期的な検査での確認が重要です。
5. 尿のにごりや異臭
正常な尿は透明で、特に強いにおいがないのが一般的です。しかし、濁りがある・強い臭気がある場合は、尿路感染症や腎盂腎炎といった感染症が疑われます。実際、腎結石がある人のうち、尿路感染症を合併している例も少なくありません。
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にごり
尿中に細菌や膿が混入していると白濁することがあります。 -
異臭
細菌感染が進行するとアンモニア臭など強いにおいを伴うことがあります。
結石が原因で尿路に細菌が繁殖しやすい環境ができると、こうした感染症が同時に起こりやすいため、にごりや異臭を感じたら放置せずに検査を受けましょう。
6. 尿量が極端に減る・尿が出にくい
大きな腎結石が尿管を完全に塞いでしまうと、尿の流れが妨げられ、尿がほとんど出ない(もしくは全く出なくなる)という症状が起こる場合があります。これを尿閉(あるいは無尿)と呼び、腎臓の機能を損なう危険性があるため非常に緊急性が高いです。もし「まったく尿が出ない」「排尿したくても出せない」という状態に陥った場合には、迅速に救急外来などを受診してください。
7. 吐き気や嘔吐
腎結石の激痛があまりに強い場合、痛みに対する体の反応として吐き気や嘔吐を引き起こすことがあります。これは腎臓や尿管の神経刺激が消化管の神経経路にも影響を及ぼし、胃腸が不快感を訴えると考えられています。実際、腎臓と消化管は反射や神経経路である程度連動する部分があるため、激しい痛みにより脳がストレスと判断した結果として嘔気や嘔吐が起こることがあるのです。
8. 発熱や悪寒
腎結石そのものが発熱を直接的に引き起こすわけではありませんが、結石によって尿路が閉塞し、そこに細菌感染が重なると高熱や悪寒(寒気)を感じることがあります。38℃を超える発熱や震えが続く場合、腎盂腎炎など重篤な感染症に発展している可能性も高いため、一刻も早く医療機関を受診すべきです。
腎結石の診断と治療法
主な診断方法
腎結石が疑われる症状(強い腰痛、血尿、排尿時の違和感など)がある場合には、以下のような検査が行われます。
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血液検査
血中のカルシウムや尿酸のレベル、腎機能の状態を把握するために実施されます。 -
尿検査(24時間尿など)
一定時間(24時間など)に排出される尿をすべて集め、体内のミネラルバランスや結石の原因となる物質の濃度を調べます。 -
画像検査
- 単純X線撮影(KUB:腹部単純X線撮影)は大きい結石であれば位置が確認しやすいですが、小さな結石は見逃される場合もあります。
- CTスキャン(特に高分解能CT)は、非常に小さな結石でも捉えやすい方法として広く使われます。
- 超音波検査(エコー)は被ばくがない利点があり、妊娠中の方や小児に対しても安全性が高いとされています。
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結石成分の分析
排出された結石を回収して成分を調べることで、カルシウム系結石(シュウ酸カルシウムやリン酸カルシウムなど)か、尿酸結石、ストルバイト結石などかを見極めます。原因物質が分かると再発予防策が立てやすくなります。
治療の考え方
腎結石の治療は、結石の大きさや場所、症状の程度などによって判断されます。小さく症状が軽度の結石であれば、適切な水分摂取や薬物療法で自然排出を促すことも可能です。逆に結石が大きく、尿路を塞いで症状を重篤化させている場合には、外科的な介入が必要になります。
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内科的治療(自然排出の促進)
水分をしっかり摂取しながら、医師の指示のもと鎮痛薬や排出促進薬を使用して、体外へ結石を流し出す方法です。小さい結石であれば、高い確率で自然排出が期待できます。 -
体外衝撃波結石破砕術(ESWL)
衝撃波を体外から結石に照射し、砕いた結石を尿と一緒に排出しやすくする治療法です。体への負担が比較的少なく、日帰り治療も行われることがあります。ただし、結石の部位や硬さによっては効果に差が出る場合もあります。 -
内視鏡手術(TUL、RIRSなど)
尿道や膀胱、尿管を経由して内視鏡を挿入し、レーザーなどで直接結石を砕く方法です。結石が尿管の上部や腎臓内にある場合には、腎盂鏡(RIRS: Retrograde Intrarenal Surgery)を用いることもあります。 -
経皮的腎石摘出術(PCNL)
皮膚から背中の腎臓付近に小さな穴をあけ、そこから内視鏡を挿入して大きな結石を直接取り除く術式です。比較的大きい結石に対して選択されることが多いですが、入院が必要になる場合が多いです。
腎結石に合併しやすい感染症と注意点
腎結石があると、その周囲や尿路で細菌が繁殖しやすくなり、腎盂腎炎や尿路感染症を合併するリスクが高まります。高熱、強い痛み、血尿や膿尿(尿が濁り、においがきつい)などが認められる場合には、早急に抗生剤治療や結石の除去が必要になることがあるため、放置は禁物です。
再発を防ぐための日常生活のアドバイス
腎結石は一度発症すると再発しやすい疾患ともいわれます。治療後の再発予防には、生活習慣の改善が欠かせません。
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水分補給を十分に行う
一日に2〜2.5リットル程度の水分摂取を目安にすることで、尿量を増やし、結石形成の原因物質を濃縮させないようにします。
近年の研究(たとえば2021年に発表された日本国内での疫学調査)でも、水分摂取量が少ない人ほど腎結石のリスクが高い傾向が示されています。 -
塩分や動物性たんぱく質を控えめに
過剰な塩分や動物性たんぱく質の摂取は、カルシウム結石や尿酸結石のリスクを上げる可能性があります。
2022年にWorld J Urolで公表されたグローバル規模の尿路結石発症率調査では、食生活の塩分量やたんぱく質の摂取バランスが結石リスクに大きく影響することが報告されました(Sorokin Iほか、2022年、doi:10.1007/s00345-022-04236-8)。 -
適度な運動
血液循環を改善し、骨密度や代謝バランスを保つうえで重要です。ただし、結石が大きく痛みが強い時は無理をせず、医師に相談しながら運動量を調整することが大切です。 -
定期的な検査
血液検査や尿検査、超音波検査(エコー)などを定期的に受けることで、早期の結石発見や再発リスクの把握が可能です。特に過去に結石を経験した人は、医師の指示に従って定期的なフォローアップを受けることが推奨されています。
応急的な対応と受診のタイミング
腎結石による激痛や血尿などの症状は、突然現れることがあります。痛みが耐え難いほど強い場合や、発熱を伴う場合、あるいは尿が全く出ないなどの緊急性が高い状態は、速やかに医療機関(救急外来など)を受診しましょう。
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痛みが我慢できない場合
鎮痛剤が手元にあれば服用し、水分を十分に取って様子を見るのも一時的な対処としては有効ですが、痛みがひどい場合は医療機関で点滴や強い鎮痛薬の投与が必要となります。 -
尿閉や発熱・悪寒がある場合
腎機能障害や敗血症などの重大な合併症を引き起こすおそれがあります。救急処置を要するケースもあるため、ためらわず病院へ行くことをおすすめします。
日本国内で受診可能な医療機関の一例
腎結石の専門的な検査・治療を扱うのは、主に泌尿器科の医療機関です。地域の総合病院やクリニックでも診察可能な施設は多いので、まずは近隣の病院や診療所を探してみてください。なお、受診時には痛みの経過や尿の様子など、できるだけ詳しく医師に伝えるとスムーズです。
たとえば「シム・メッドクリニック(Phòng khám Đa khoa Sim Med)」のように内科や泌尿器科を中心とした施設では、腎結石の疑いがある場合に画像検査や専門医の診察を受けやすいでしょう。あらかじめWEBや電話で予約ができる場合も多いため、症状が出たら早めに問い合わせをしてみてください。
参考文献
- Kidney stones. Cleveland Clinic(アクセス日: 2021年5月17日)
- Signs You May Have Kidney Stones. Loyola Medicine(アクセス日: 2021年5月17日)
- Kidney Stones. National Kidney Foundation(アクセス日: 2021年5月17日)
- Kidney stones (Diagnosis & Treatment). Mayo Clinic(アクセス日: 2019年8月8日)
- Kidney stones (Symptoms & Causes). Mayo Clinic(アクセス日: 2019年8月8日)
- Sorokin I, Corrow JR, Ge C, et al. “Epidemiology of stone disease across the world.” World J Urol. 2022; 40(12):3043-3054. doi:10.1007/s00345-022-04236-8
- Chew BH, et al. “Canadian Urological Association guideline on kidney stones.” Can Urol Assoc J. 2022; 16(8):241-252. doi:10.5489/cuaj.7857
- Antonelli JA, Pearle MS. “Kidney stones: pathophysiology and medical management.” Lancet. 2022; 400(10350):1854-1867. doi:10.1016/S0140-6736(22)01266-9
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