24時間尿検査とは | 健康診断で知る体の状態
腎臓と尿路の病気

24時間尿検査とは | 健康診断で知る体の状態

はじめに

こちらでは、24時間尿検査について、できるだけ詳しく解説していきます。この検査は、ある特定の疾患や腎臓・尿路系の機能評価をするうえで非常に重要とされることが多く、実際の医療現場でも頻繁に行われています。自宅での採尿を含め、誰でも容易に対応できる方法ですが、正しい手順を守らないと検査結果に誤差が生じるおそれがあります。本記事では、検査の概要・目的・注意点・結果の意味などを詳しく述べるとともに、腎臓病やさまざまな病態の評価において近年注目されている研究の知見も交え、わかりやすく解説いたします。

免責事項

当サイトの情報は、Hello Bacsi ベトナム版を基に編集されたものであり、一般的な情報提供を目的としています。本情報は医療専門家のアドバイスに代わるものではなく、参考としてご利用ください。詳しい内容や個別の症状については、必ず医師にご相談ください。

専門家への相談

本記事の内容に関しては、医師(内科・腎臓内科など)やその他の医療専門家の指導のもとで実施することが大切です。たとえば、Tham vấn y khoa: Bác sĩ Nguyễn Thường Hanh(Nội khoa – Nội tổng quát · Bệnh Viện Đa Khoa Tỉnh Bắc Ninh)のように臨床現場で豊富な経験をもつ医師に確認を取りながら検査を進めると、より正確なアドバイスが得られます。なお、後ほど記すように、結果の解釈や治療方針の決定は必ず専門家の判断を仰いでください。

24時間尿検査とは?

検査の概要

24時間尿検査とは、その名の通り、24時間分の尿をすべて蓄えて、それを分析する検査方法です。具体的には、ある日の朝から翌朝まで24時間連続で排出される尿をすべて容器に集め、その総尿量や尿中の成分(たとえばタンパク質、電解質、クレアチニンなど)を調べます。腎臓機能の評価や、尿量異常(多尿・乏尿)などの確認に用いられ、とくに腎臓病の診断・経過観察・治療効果判定などに役立ちます。

この検査が有用とされる理由は、1回の採尿だけでは捉えきれない日内変動や、個人の生活習慣による排尿量の変化を考慮したうえで、より正確に尿中成分の総排泄量を把握できるためです。たとえば腎機能障害が疑われる場合や、多尿・乏尿の原因検索、電解質異常の程度を把握したいときにしばしば行われます。

検査の目的

  • 腎臓・尿路系の機能評価
    1日のうちに排泄される尿量や特定物質の排泄量を調べ、腎臓がどの程度うまく機能しているかを判定します。
  • タンパク質・電解質などの排泄量把握
    尿タンパク、尿中クレアチニン、尿中ナトリウム、尿中カリウム、アルドステロンなどを定量し、腎臓機能の変化や電解質異常の有無を確認します。
  • 二次的疾患の評価
    たとえば糖尿病性腎症、慢性腎臓病(CKD)、ネフローゼ症候群など、原因疾患が別に存在するときでも、24時間尿検査を活用して病態を把握しやすくなります。
  • 一日の出入りバランスの確認
    いわゆるバイランス(bilan)と呼ばれる、体内に入る水分量と排出される水分量との比較や、電解質摂取量との対応などをチェックするために行われることもあります。

最近の研究動向

腎臓病の診療ガイドライン(KDIGOや日本腎臓学会など)でも、24時間尿検査の有用性は繰り返し指摘されています。特に、2022年にKidney International Supplementsにて公表されたKDIGO 2022 Clinical Practice Guideline for Diabetes Management in Chronic Kidney Disease(Kidney Int Suppl. 2022;12(1):S1-S127, doi:10.1016/j.kisu.2021.12.001)では、腎障害や糖尿病などの持病を抱える患者に対して、適切な尿中成分の測定(タンパク質、アルブミンなど)を行うことが治療効果判定や経過観察に不可欠であると報告しています。
日本の臨床現場でも同様に、慢性腎臓病の重症度分類や進行度のモニタリングにおいて、24時間尿検査が有効な評価手段として扱われています。特に高齢化が進む日本では、慢性的な腎機能低下を早期に発見し、生活習慣の改善や薬物治療を適切に行うことが重要になっており、この検査が広く用いられています。

24時間尿検査はどのようなときに行われる?

主な適応例

  • 腎臓病の診断・経過観察
    たとえば慢性腎臓病(CKD)、糖尿病性腎症、ネフローゼ症候群などが疑われる場合に有用です。
  • 多尿・乏尿の評価
    極端に尿量が増加または減少するケース(例:糖尿病、尿崩症など)や、腎不全が懸念される場合。
  • 電解質・酸塩基平衡の評価
    ナトリウムやカリウム、尿素窒素、クレアチニンなどの排泄動向を評価し、特定の疾病があるかどうかを確認します。
  • 病態特有の指標測定
    たとえば副腎皮質ホルモン(アルドステロンなど)やストレスホルモンを測る場合にも、24時間単位での総排泄量を把握することがあるため、本検査が役立ちます。

具体的な判断材料

  • 1日あたりの総尿量
    通常、成人の場合1日800〜2,000ml程度が標準とされますが、水分摂取量や基礎疾患、体格によって変動があります。
  • 尿中成分の総排泄量
    タンパク質、クレアチニン、尿素、ナトリウムなど。値が高すぎたり低すぎたりする場合、腎臓のろ過機能や再吸収機能に何らかの異常が疑われます。
  • その他(潜在的な疾患の徴候)
    たとえばカルシウム尿が増加している場合は、原発性副甲状腺機能亢進症などを疑うきっかけにもなり得ます。

検査の流れ

24時間尿検査の大まかな流れは以下のとおりです。医療機関によって細かい手順が異なる場合があるため、必ず担当医や看護師などの指示に従ってください。

検査前の準備

  1. 医師への申告
    現在服用している薬やサプリメント、ビタミン剤などをすべて伝えましょう。一部の薬剤や栄養補助食品が検査結果に影響を与えることがあります。
  2. 飲食の制限について
    指示がある場合は特定の食品(塩分やタンパク質に関わるものなど)の摂取を控える必要があります。
  3. 妊娠の可能性がある場合
    腎機能の変化により、正常値の判断が変わる場合もあるため、妊娠中またはその可能性があるなら必ず医師に知らせます。
  4. 採尿用具の準備
    • 病院などから支給される防腐剤(酸など)、または防腐剤不要の場合は指示に従う
    • フタ付きの清潔な蓄尿容器(大きめのもの、または複数)
    • 採取後に検体を持参するための小さな容器(30ml程度入る清潔な容器)

注意点

  • 24時間のあいだ、自宅以外に外出する予定がある場合、尿を持ち歩く必要があり衛生面や保管温度に気を遣うことになります。できるだけ外出の少ない日、あるいはまったく外出しなくてもよい日を選ぶのが望ましいです。
  • 蓄尿容器の保管は涼しい場所、または医療機関から指示があった場合は冷蔵庫などで保管します。

検査当日の採尿手順

自力排尿ができる場合

  1. 初回の尿は捨てる
    朝起きた直後、最初の排尿はカウントに含めません(ここでタイマーを開始)。
  2. 2回目以降の尿をすべて集める
    2回目の排尿から翌日の同時刻まで、すべての尿を蓄尿容器に入れます。排尿前に会陰部や陰部を清潔にし、尿をこぼさないように注意してください。
  3. 翌朝も同時刻に採尿して終了
    24時間後、つまり前日と同じ時刻になったら、最後に排尿した尿も容器に入れて採取を終了します。
  4. 尿量の測定・容器の取り分け
    集めた総尿量を測り、しっかり混ぜたあとで小さな容器に約30ml程度を移します。病院側に指示された場合は必要量を取り分けるだけのケースもあります。残りは廃棄して構いません。

カテーテル留置(Sonde留置)している場合

看護師や医師の指導のもと、チューブから尿を24時間分集めます。作業手順は以下のとおりです。

  • 手洗いと使い捨て手袋の着用
  • チューブ・尿バッグの接続部を消毒してから尿を蓄尿容器に移す
  • バッグがいっぱいになる前に適宜移す
  • すべてを合計して24時間分の尿量を測定したうえで採取

新生児・乳児の場合

  • 陰部を清潔にしたうえで、粘着性のある専用の小袋を貼りつける
  • こまめにチェックし、尿が出たら都度容器に移す
  • 24時間分集めたら、必要量だけを移して病院へ提出

検査後の流れ

  • 提出
    集めた尿は指定時間までに病院や検査室に持参します。遅れると検査の正確性が損なわれることがあります。
  • 結果説明
    後日、医師から検査結果について説明を受けると同時に、追加検査や治療方針が提示される場合があります。

検査時の注意点とリスク

安全性

24時間尿検査は安全性の高い検査です。基本的には通常の排尿を集めるだけなので、身体への侵襲はありません。ただし、採尿の手間や保管温度の管理が必要なので、手順を誤らないように注意が必要です。

主な注意点

  • 採りこぼし厳禁
    24時間分の尿を余すところなく集めることが大前提です。1回でも取り忘れがあると正確な結果が得られません。
  • 時間厳守
    採尿開始から24時間後、同じ時刻で作業を終了します。それより早く終わってしまったり、遅れてしまったりするのもNGです。
  • 防腐剤や容器の扱い
    病院から防腐剤(酸など)を支給された場合、取り扱いには十分注意してください。誤って肌や衣服に触れると危険な場合があります。
  • 保管温度
    常温保存でも問題ない場合と、冷蔵保存が必要な場合があります。担当医の指示に従いましょう。
  • 生活習慣の変化に注意
    過度な運動や強いストレスがあると尿中成分に影響が出ることがあります。医師と相談のうえ、極端な運動やストレスは避けるのが望ましいです。

24時間尿検査の結果の見方

一般的な基準値

成人で1日の総尿量はおよそ800〜2,000mlが目安とされます。ただし、飲水量や体格、基礎疾患などにより個人差があります。また、検査機関や病院によって検査機械や基準値の設定が若干異なるため、担当医から結果の説明を受けてください。

検査項目の例

  • 総尿量
    極端に少ない場合(乏尿)は腎不全や脱水など、多い場合(多尿)は糖尿病や尿崩症、利尿薬使用などが疑われます。
  • 尿中タンパク
    尿蛋白が多い場合は糸球体障害や糖尿病性腎症、ネフローゼ症候群などが考えられます。
  • 尿中クレアチニン
    体内のクレアチニン産生量(筋肉量)により異なりますが、腎機能全体を評価する指標の1つです。
  • 尿中尿素(BUN)
    尿素窒素の排泄量をみることでたんぱく質代謝の状態や腎機能を推測できます。
  • 電解質(ナトリウム、カリウムなど)
    血圧管理や体液バランスの管理上重要な指標です。
  • カルシウム、マグネシウム、リンなど
    ホルモン異常や骨代謝疾患の評価にも用いられます。

検査結果が示唆する病態

  • 尿量が基準より少ない場合
    • 脱水
    • 腎機能低下
    • 何らかの尿路閉塞
  • 尿量が基準より多い場合
    • 糖尿病(高血糖により多尿)
    • 尿崩症(ホルモン異常)
    • 利尿薬の使用
  • 尿中カルシウムが高い場合
    • 副甲状腺機能亢進症
    • 一部のがん関連病態(骨転移など)
  • 尿中タンパク高値
    • 糸球体疾患(慢性糸球体腎炎など)
    • 糖尿病性腎症
    • ネフローゼ症候群

これらはあくまで一例であり、総合的には血液検査や他の画像検査、病歴との関連から最終判断が下されます。

結果の解釈と追加検査

異常値が見つかった場合でも、それが一時的な脱水や摂食内容によるものである可能性があります。そのため、再度24時間尿検査を行うことも珍しくありません。また、腎機能に異常が疑われる場合は、血液検査(eGFRや血清クレアチニンなど)やエコー検査など別の検査との組み合わせで正確な診断を行います。

よくある疑問と対処法

  • Q. 途中で尿を取り忘れたらどうすればいい?
    → 一度でも尿を捨ててしまうと24時間尿検査の正確性が損なわれます。取れなかった時点で医師に相談し、改めて別の日に再検査を行うことが望ましいです。
  • Q. 24時間の間に体調を崩した場合は?
    → 嘔吐や下痢など体調不良があれば、水分摂取量や排尿回数が通常と異なるため、結果に影響が出る可能性があります。その場合は医療者に連絡し、指示を仰ぎましょう。
  • Q. 運動してもいい?
    → 激しい運動はタンパク尿やクレアチニン排泄量に影響を与える場合があります。担当医と相談し、必要に応じて検査日をずらすなど調整してください。

まとめと推奨事項

  • 24時間尿検査は腎機能や尿路系の評価において非常に重要です。1回の採尿では分からない日内変動や総排泄量を評価できるため、糖尿病性腎症、慢性腎臓病、ネフローゼ症候群、尿崩症などの診断・経過観察に有用です。
  • 検査前には薬やサプリメントの情報を医師に伝え、必要に応じて一時的に中止する場合もあります。
  • 採尿の手順を厳密に守ることが、信頼できる結果を得るために欠かせません。
  • 結果の解釈は、血液検査や画像検査などの総合的なデータ、そして医師の臨床判断との組み合わせで行われます。
  • 仮に異常があっても、すぐに病気とは限りません。再検査や追加の検査で確認が必要な場合があるため、必ず医師の指示を仰いでください。

おすすめの受診・相談

もし24時間尿検査で異常値を指摘されたり、腎臓病や糖尿病の管理が必要となった場合は、内科・腎臓内科・内分泌内科など専門領域をもつ医師の診察を受けることをおすすめします。特に日本では、定期検診や健康診断で腎機能のスクリーニングを行う機会が増えていますので、普段から定期的に検査を受け、早期発見・早期対応を心がけることが重要です。

注意喚起(本記事は参考情報です)

  • 本記事の内容は、あくまで一般的な医療情報をわかりやすく解説したものであり、医師免許をもつ専門家による診断や治療方針の指示に取って代わるものではありません。
  • 具体的な症状や治療の方向性については、必ず主治医・専門医に相談してください。

参考文献

本記事は日本国内の一般的な情報をもとに作成されていますが、個々の病状や生活環境によって適切な対処法は異なります。疑問があれば必ず医師や専門家にお問い合わせください。なお、内容は情報提供を目的としたものであり、診断や治療を代替するものではないことをご理解いただければ幸いです。

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