皮膚科疾患

海藻パックの効果と正しい使い方・完全ガイド:自宅でできる科学的スキンケアのすべて

日本の食卓に古くから馴染み深い海藻。健康食品としての認識は広く浸透していますが、近年、その驚くべき力がスキンケアの世界でも科学的に解明されつつあります。多くの化粧品やエステティックサロンで「海藻パック」が提供されていますが、その宣伝文句の裏にはどのような科学的真実が隠されているのでしょうか?本記事では、JHO(JAPANESEHEALTH.ORG)編集委員会が、提供された最新の研究報告に基づき、海藻が持つ肌への効果を細胞レベルで徹底的に分析します。さらに、市販製品の宣伝文句を科学的視点から検証し、ご自宅で安全かつ効果的に海藻パックを実践するための詳細なガイドまで、包括的に解説します。この記事を読めば、海藻パックに関するあらゆる疑問が解消され、明日からのスキンケアに確かな知識と自信を持つことができるでしょう。


この記事の科学的根拠

この記事は、提供された研究報告書で明示的に引用されている最高品質の医学的根拠にのみ基づいて作成されています。以下は、参照された情報源とその医学的指導との関連性を示すものです。

  • 学術雑誌「Marine Drugs」および関連論文: 本記事におけるフコイダン、フロロタンニンなどの海藻特有の化合物による抗酸化、抗炎症、光老化防止作用に関する記述は、これらの査読付き学術論文で発表された研究成果に基づいています39
  • 学術雑誌「Journal of Cosmetic Science」: 海藻抽出物の保湿効果に関する具体的な数値(皮膚水分量14.44%増加、経皮水分蒸散量20%減少)や、安全性(パッチテスト)に関する記述は、このジャーナルに掲載されたヒト臨床研究を典拠としています16
  • 化粧品原料メーカーおよび研究機関の報告: メカブ抽出物によるヒアルロン酸およびエラスチン産生促進17や、海藻エキスによるメラニン産生抑制18などの特定の作用機序に関するデータは、業界の専門機関によるin-vitro(実験室)研究の結果を引用しています。
  • 市場調査レポート: 日本における海藻由来化粧品市場の成長率(年平均成長率4.1%~7.2%)や市場規模(2033年までに1億4280万米ドル)に関する分析は、専門的な市場調査会社の報告に基づいています27

要点まとめ

  • 海藻パックの有効性は、フコイダンやアルギン酸といった科学的に証明された生物活性化合物に由来し、特に「保湿」と「鎮静」効果の根拠が最も強固です。
  • 「引き締め」や「美白」といった効果も期待できますが、その多くは一時的な物理的効果や、長期的な継続使用による生物学的効果です。過度な期待は禁物です。
  • 自宅で海藻パックを行う際は、塩分や添加物を含む食用の海藻を絶対に使用せず、必ず「化粧品原料用」の粉末を使用し、衛生管理とパッチテストを徹底する必要があります。
  • 手作りしたパックは防腐剤を含まないため、作成後すぐに使い切り、残りは必ず廃棄してください。保管して再利用することは非常に危険です。

第1部:海藻の科学的背景:海洋からの生命力

海藻パックの真の効果を理解するためには、「天然成分」といった一般的な表現を超え、その生物学的、化学的背景と具体的な科学的根拠に深く踏み込む必要があります。このセクションでは、海藻が肌にもたらす恩恵の根拠となる詳細な分析を提供します。

生物学的・化学的基盤:海洋の生存戦略

海藻は単一の存在ではなく、主に3つの大きな分類に分けられる多様な生物群であり、それぞれが化粧品への応用可能性を決定づける独自の生化学的「指紋」を持っています1

  • 褐藻類 (Phaeophyceae): スキンケアにおいて最も広く研究・応用されているグループです。ワカメ、コンブ、モズクといった代表的な種は、フコイダンやアルギン酸といった化合物が豊富で、深い保湿力、鎮静効果、そして老化防止能力で知られています2
  • 紅藻類 (Rhodophyta): このグループはカラギーナンで際立っており、これは薄い膜を形成して水分を保持し、肌を効果的に柔らかくする能力を持つ多糖類です。化粧品の処方において、天然の増粘剤や保湿剤としてしばしば使用されます3
  • 緑藻類 (Chlorophyta): クロロフィル、ビタミン、アミノ酸が豊富で、抗酸化作用や必須栄養素の供給に貢献し、健康な肌の維持を助ける潜在能力を持っています1

海藻の最も魅力的な側面の一つは、その過酷な生息環境にあります。干潮時の強烈な紫外線、塩分濃度の変化、波による物理的損傷といった絶え間ないストレス要因下で生き残るため、海藻は強力な保護化合物の宝庫を進化の過程で生み出してきました5。例えば、アラリア・エスクレンタという海藻は、最も厳しい条件下にある断崖絶壁で力強く成長します7。これらの「防御」化合物、例えばフコイダンやフロロタンニンこそが、酸化ストレスや炎症といった肌への有害因子に対抗する際の有効な「攻撃」成分となるのです。この生存戦略の物語は、自然と皮膚科学との間に論理的で説得力のある繋がりを生み出します。

主要な生物活性化合物とその細胞レベルでの作用機序

海藻の効果は曖昧な概念ではなく、明確な作用機序を持つ特定の生物活性化合物に由来します。

  • フコイダン: 褐藻類、特にモズクやコンブの「スター成分」と見なされています2。フコイダンは単なる保湿剤ではありません。科学的研究により、コラーゲンやエラスチンを分解する酵素(マトリックスメタロプロテアーゼ – MMPs)の活性を阻害し、サイトカインを調節することで炎症反応を抑制し、強力な抗酸化活性を持つことが示されています3。一部の研究では、組織修復をサポートし、動物モデルにおいてアトピー性皮膚炎の症状を抑制する可能性も示唆されています689
  • アルギン酸(およびその塩であるアルギン酸塩): この多糖類は、肌表面に「呼吸する」膜を形成する能力があります。この膜は物理的な障壁として機能し、水分を閉じ込めて経皮水分蒸散量(TEWL)を大幅に減少させると同時に、環境汚染物質から肌を保護します10
  • ミネラルと微量元素: 海藻は海洋からミネラルを効率的に蓄積する能力を持っています12。亜鉛(Zn)、セレン(Se)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)などのミネラルは、肌の「建築材料」であるだけでなく、抗酸化酵素(例:スーパーオキシドジスムターゼ)やコラーゲン合成に関与する酵素など、数多くの重要な酵素の「スイッチを入れる」必須の補因子(コファクター)としての役割を果たします2
  • ポリフェノールとフロロタンニン: これらは海藻、特に褐藻類に特有の抗酸化物質群です。UVAとUVBの両方を効率的に吸収できる独特の構造を持ち、内在性の生物学的日焼け止めとして機能し、光老化から肌を守ります3

海藻エキスの真の効果は、単一の成分からではなく、これら全ての成分が複雑に相互作用し、相乗効果を生むことから生まれます。それはまるで「交響楽団」のように機能します。ポリフェノールが紫外線ダメージから肌を守り、フコイダンが紫外線による炎症損傷の修復を助け、ミネラルがその修復プロセスに必要なツールを提供し、アルギン酸が肌が回復するための最適な湿潤環境を作り出すのです。この包括的なアプローチが、なぜ全草海藻エキスが多様な肌への恩恵をもたらすのかを説明しています。

科学的根拠の統合と批判的評価

海藻の利点に関する主張は、様々なレベルの科学的研究によって裏付けられています。

  • ヒト臨床研究(In-vivo): 学術雑誌「Journal of Cosmetic Science」に掲載されたある研究では、海藻の一種であるマコンブ(Laminaria japonica)抽出物のヒト皮膚に対する保湿効果が評価されました。結果として、10%の海藻エキスを含むクリームは、8時間後にプラセボ(偽薬)と比較して皮膚の水分量を14.44%増加させ、経皮水分蒸散量(TEWL)を約20%減少させました。さらに重要なことに、この研究ではパッチテストも実施され、使用された濃度でのエキスの安全性が確認されており、効果と安全性の両方に関する強力な証拠を提供しています16
  • 科学的総説(Review Articles): 学術雑誌「Marine Drugs」に掲載されたある総説論文は、海藻の光老化防止特性に関する研究を体系化しました。この論文は、フコイダン、フコキサンチン、マイコスポリン様アミノ酸などの化合物が、その抗酸化および抗炎症能力により、スキンケア産業において大きな可能性を秘めていることを確認しています3
  • 実験室研究(In-vitro): 原料供給業者や化粧品会社による多くの研究が、有望なデータを提供しています。例えば、ある研究では、メカブ(ワカメの根元の部分)の抽出物が、ヒト皮膚細胞の培養環境においてヒアルロン酸とエラスチンの産生を最大1.5倍に増加させる能力があることが示されました17。別の研究では、海藻エキスが同濃度のアルブチンよりも高いメラニン産生抑制効果を示したことが報告されています18。これらの結果は非常に奨励的ですが、これらは示唆的なものであり、確固たる結論を出すためにはさらなるヒトでの臨床研究が必要であることを理解する必要があります。
表1:海藻に含まれる主要な生物活性化合物と皮膚への作用機序のまとめ
生物活性化合物 主要な海藻の種類 証明・研究されている作用機序 参考文献
フコイダン 褐藻類 (モズク、コンブ、ワカメ) 抗炎症、抗酸化、MMPs酵素阻害、組織修復促進、深層保湿。 3
アルギン酸 / アルギン酸塩 褐藻類 保湿膜形成、経皮水分蒸散量(TEWL)減少、環境因子からの皮膚保護。 2
フロロタンニン 褐藻類 強力な抗酸化作用、紫外線吸収、光老化防止。 3
カラギーナン 紅藻類 膜形成、皮膚の柔軟化と保湿。 3
ミネラル & 微量元素 全種類 抗酸化酵素およびコラーゲン合成の補因子、皮膚細胞機能の維持。 2
ビタミン & アミノ酸 全種類 栄養供給、皮膚の再生・修復プロセスのサポート。 12

第2部:海藻パックの効果に関する包括的評価

確固たる科学的基盤に基づき、このセクションでは海藻パックの実際の効果を分析し、商業的な主張と科学的証拠を照らし合わせ、日本の市場および消費者心理の文脈でそれらを位置づけます。

商業的な主張と科学的現実の分析

エステティックサロンや化粧品ブランドは、しばしば海藻パックを魅力的な多くの利点とともに宣伝します。これらの主張を科学のレンズを通して「解読」し、現実的な期待を持つことが必要です。

  • 「うるおい」と「鎮静」: これらは最も強力な科学的根拠を持つ主張です。アルギン酸塩とフコイダンの優れた保水能力は、抗炎症特性と相まって、皮膚の保護バリアを回復させ、乾燥によるつっぱりや赤みを効果的に軽減します219
  • 「引き締め」と「エイジングケア」: これらの効果には合理的な科学的根拠があります。フロロタンニンとフコイダンの抗酸化能力は、フリーラジカルから皮膚構造を保護し、コラーゲンとエラスチンの合成を刺激する可能性は、長期的には弾力性を改善し、しわを減少させるのに貢献します3
  • 「美肌・美白」: 実験室レベルでのいくつかの予備的な証拠は、海藻エキスがチロシナーゼ酵素を阻害し、それによってメラニンの生成を減少させる可能性があることを示唆しています1518。しかし、この効果は慎重に提示されるべきであり、特化した治療薬ほど強力であると期待すべきではありません。
  • 「毛穴が引き締まります」: この効果は主に感覚的かつ一時的なものです。肌が十分に保湿されると、毛穴周りの皮膚細胞がふっくらとし、毛穴が小さくなったように感じられます。パックの冷却効果も一時的に血管を収縮させ、この効果に寄与します23
  • 「痩身」と「デトックス」: これらは最も懐疑的に検討すべき主張です。局所的な脂肪減少効果に関する研究24もありますが、この効果は実際の脂肪減少よりも、ミネラルの浸透圧効果やマッサージ作用によるむくみの改善に多く関連している可能性があります20

明確にすべき重要な点は、即時効果と長期効果の違いです。多くの利用者が、パック使用直後に肌が引き締まり、明るくなったと感じます23。この効果の大部分は物理的なメカニズムによるものです。アルギン酸塩の膜が一時的に肌を張り、強力な水分補給が小じわを満たします。コラーゲン構造の改善や老化の抑制といった真の生物学的効果は、活性化合物が作用するのに十分な時間を得るために、定期的な継続使用を必要とします。この違いを理解することは、期待を管理し、製品の価値を正しく評価するのに役立ちます。

特定の肌悩み別の効果評価

  • 乾燥肌・水分不足の肌: 海藻パックは理想的な選択肢です。フコイダンとアルギン酸塩は水分を供給するだけでなく、保護膜を形成し、肌の脂質バリアを回復させ、水分損失を防ぎます16
  • 敏感肌・炎症・ニキビ肌: フコイダンの抗炎症作用と鎮静作用は、赤みや刺激を軽減するのに役立ちます6。一部の製品は余分な皮脂を吸収する能力もあり、脂性肌やニキビ肌に有益です26
  • 老化肌: フリーラジカルや紫外線によるダメージに対抗する能力と、コラーゲンやエラスチンの生成を刺激する可能性により、海藻パックは老化の兆候と戦う上で効果的な補助ツールとなります2
  • 色むらのある肌・くすんだ肌: 深い保湿、穏やかな角質除去20、そしてメラニン生成を抑制する可能性18を通じて、海藻パックは肌の明るさを改善し、輝きを与えるのに貢献します。

日本市場と消費者心理の分析

日本における海藻成分を含む化粧品市場は、目覚ましい成長を遂げています。報告によると、この市場は年平均4.1%から7.2%の成長率で拡大し、2033年までには1億4280万米ドルの価値に達すると予測されています272829。この成長は偶然ではなく、多くの要因が交差することから生まれています。

第一に、「天然」「オーガニック」「持続可能」「クリーン」な製品への世界的なトレンドがあります1。清らかな海と日本の文化遺産に結びつくイメージを持つ海藻は、これらの基準を完全に満たしています。廃棄されるホンダワラ類を「アップサイクル」して新たな化粧品成分を創出するといった新しい概念も大きな関心を集めており、業界の絶え間ない革新を示しています31

第二に、日本の消費者は、食文化や生活に不可欠な一部として海藻に生来の親しみと信頼を抱いています30。しかし、彼らは同時に非常に見識が高く、スキンケア製品には高い品質と明確な科学的証拠を常に求めます27。したがって、この市場で成功する記事や製品は、「伝統」という要素だけに頼る以上のことを成し遂げなければなりません。それは、文化遺産と現代科学との間に強固な橋を架ける必要があります。最も効果的な戦略は、「私たちは皆、海藻を食べることが健康に良いと知っています。では今、科学者たちと共に、なぜそれがあなたの肌にとっても『スーパーフード』なのかを探ってみましょう」というアプローチです。このアプローチは、読者の基礎知識を尊重しつつ、科学的分析を通じて付加価値を提供し、強力な共感を呼び起こします。

最後に、化粧品成分が医薬品医療機器等法を遵守しなければならない日本の厳格な法的背景は、高いレベルの安全性と品質を保証し、これらの製品に対する消費者の信頼をさらに強固なものにしています1

第3部:自宅で安全に海藻パックを作るための詳細ガイド

自宅でパックを自作することは、楽しく経済的な体験となり得ますが、安全性と衛生が常に最優先されなければなりません。このセクションでは、海藻の恩恵を最も安全に享受できるよう、科学に基づいた詳細な手順を提供します。

安全性と衛生に関する黄金律

重要警告:出汁用の昆布、塩蔵ワカメ、佃煮用の海藻など、調理用の海藻を顔に塗ることは絶対に避けてください32。これらの製品は通常、非常に高い塩分濃度を含んでおり、深刻な水分損失や皮膚への刺激を引き起こす可能性があります。また、保存料や調味料、添加物が含まれている場合があり、これらは皮膚に直接触れるのには適していません。

  • 絶対的な衛生管理: 作業を始める前に、必ず石鹸で手をよく洗い、すべての器具(ボウル、スプーン)をアルコールまたは熱湯で消毒してください。
  • パッチテスト: これは必須であり、省略できないステップです。顔全体にパックを塗る前に、手首の内側や耳の後ろなど、敏感な皮膚の領域に少量を試してください。15~20分間放置し、洗い流してから24時間様子を見ます。赤み、かゆみ、または刺激の兆候が現れた場合は、その製品を使用しないでください。稀ではありますが、海藻アレルギーは起こり得ます2

化粧品グレード原料の選択

安全性と効果を確保するため、常に「化粧品原料」または「手作りコスメ用」と表示された原料を探して購入してください。

  • 海藻粉末: これが最良の選択です。不純物や塩分を除去するために処理された海藻粉末は、オンラインの化粧品原料店で見つけることができます4
  • 基材となる液体: 水道水ではなく、精製水(せいせいすい)を使用してください。これにより、皮膚に害を及ぼす可能性のある不純物、塩素、細菌を避けることができます33。ローズウォーターやカモミール芳香蒸留水も、鎮静効果を高めるための素晴らしい選択肢です。
  • 安全な添加剤:
    • 保湿剤: 植物性グリセリン、純粋な蜂蜜(砂糖無添加)、純粋なアロエベラジェル。
    • クレイ(脂性肌用): カオリン(白)またはベントナイトクレイは、皮脂吸収能力と浄化能力を高めます。
    • キャリアオイル(乾燥肌用): ホホバオイルやスイートアーモンドオイルを数滴加えることで、保湿能力を強化できます。

科学的根拠に基づいた推奨レシピ

以下に、さまざまな肌のニーズに合わせて設計された3つの簡単なレシピを紹介します。常に清潔なボウルで、滑らかなペースト状になるまで材料を混ぜ合わせてください。

レシピ1:水分補給と修復のためのパック(すべての肌タイプ、特に乾燥肌/水分不足の肌に)

  • 原料:
    • 化粧品グレードの海藻粉末 小さじ1
    • 精製水(またはローズウォーター) 小さじ2~3
    • 植物性グリセリン 小さじ1/2
  • 科学的根拠: このレシピは、海藻の水分補給と保水能力を最大限に引き出すことに焦点を当てています19。グリセリンは強力な保湿剤であり、皮膚に水分を引き込み、水分補給効果を高めます。
  • 手順: 混合物が滑らかになるまでよく混ぜます。顔に塗り、10~15分間放置します。

レシピ2:鎮静と抗炎症のためのパック(敏感肌、赤みのある肌に)

  • 原料:
    • 化粧品グレードの海藻粉末 小さじ1
    • カモミール芳香蒸留水 小さじ2~3
    • 純粋なアロエベラジェル 小さじ1
  • 科学的根拠: 海藻に含まれるフコイダンの自然な抗炎症特性9と、カモミールとアロエベラのよく知られた鎮静効果を組み合わせることで、赤みや刺激を迅速に軽減します。
  • 手順: よく混ぜ合わせ、顔に塗り、10分間放置します。

レシピ3:浄化とバランス調整のためのパック(脂性肌、混合肌に)

  • 原料:
    • 化粧品グレードの海藻粉末 小さじ1
    • カオリンクレイ 小さじ1/2
    • アルコールフリーのウィッチヘーゼルウォーター 小さじ2~3
  • 科学的根拠: カオリンクレイは、肌を乾燥させることなく、余分な皮脂や不純物を穏やかに吸収します26。ウィッチヘーゼルウォーターには穏やかな収れん作用があり、肌のバランスを整えるのに役立ちます。海藻はミネラルを供給し、浄化後の肌が水分を失わないようにします。
  • 手順: よく混ぜ合わせ、Tゾーンなどの脂っぽい部分に塗り、10分間放置します。

使用方法、保管、およびトラブルシューティング

  • 使用方法: 清潔な肌に、目と口の周りを避けて均一にパックを塗ります。約10~15分間放置します。パックが完全に乾くまで放置しないでください。これは逆浸透効果を引き起こし、肌をより乾燥させる可能性があります。洗い流すには、まずぬるま湯でパックを湿らせ、その後、柔らかいタオルやスポンジで優しく拭き取ります23
  • 保管: 自家製パックには防腐剤が含まれていないため、細菌が繁殖するのに理想的な環境です。調合後すぐにパックを使用し、余った分は廃棄しなければなりません。後で使用するために保管することは絶対にしないでください。
  • トラブルシューティング: パック中に肌がチクチクしたり不快に感じたりした場合は、すぐに冷水で洗い流してください。刺激が続く場合は、皮膚科医に相談してください。
表2:自家製海藻パックの安全チェックリスト
チェック項目 確認(はい/いいえ) 備考
1. 器具の衛生管理:ボウル、スプーン、その他の器具を洗浄・消毒しましたか? 衛生は細菌感染を防ぐための最も重要なステップです。
2. 化粧品グレードの原料:使用している海藻粉末やその他の成分は「化粧品原料」と表示されていますか? 食用の海藻は塩分や添加物が多いため絶対に使用しないでください。
3. パッチテスト:小さな皮膚領域でテストを行い、反応を確認するために24時間待ちましたか? アレルギーや刺激を防ぐために省略できないステップです。
4. 安全な処方:自分の処方には、アレルギーがあるとわかっている成分は含まれていませんか? 使用するすべての原料の成分リストを常に確認してください。
5. 即時使用:調合後すぐにパックの混合物をすべて使用し、保管しないことを約束しますか? 自家製パックには防腐剤がなく、すぐに劣化します。

よくある質問

食用のワカメや昆布をパックに使ってもいいですか?

いいえ、絶対に使用しないでください。出汁用の昆布や塩蔵ワカメなどの食用海藻は、塩分濃度が非常に高く、肌の水分を奪ってしまい、深刻な乾燥や刺激を引き起こす可能性があります。また、保存料や調味料が含まれている場合もあり、これらはスキンケアには全く適していません32。必ず「化粧品原料用」と明記された、塩分や不純物が除去された海藻粉末を使用してください。

海藻パックの効果はすぐに現れますか?

はい、一部の効果はすぐに実感できます。特に、アルギン酸などが肌表面に膜を形成することによる一時的な引き締め感や、強力な水分補給による小じわの目立たない、ふっくらとした肌触りは、使用直後に感じられることが多いです23。しかし、コラーゲン構造の改善や抗酸化作用による本格的なエイジングケア効果など、真の生物学的効果は、有効成分が細胞に働きかける時間が必要なため、一度の使用ではなく、定期的な継続使用によって得られます。

敏感肌でも海藻パックは使えますか?

はい、多くの場合、海藻パックは敏感肌に適しています。特にフコイダンなどの成分が持つ抗炎症・鎮静作用は、赤みや刺激を和らげるのに役立ちます6。ただし、どんな天然成分でもアレルギー反応の可能性はゼロではありません。使用前には必ず、手首の内側などでパッチテストを行い、24時間様子を見てから顔に使用することが絶対に必要です2

自作の海藻パックはどのくらい保存できますか?

保存はできません。自家製のパックは防腐剤を一切含まないため、水分と栄養が豊富な状態は細菌が繁殖するのに最適な環境となります。作成したらすぐに全量を使い切り、残ったものはたとえ少量でも必ず廃棄してください。冷蔵庫で保管して後日使用することも、細菌汚染のリスクが非常に高いため、絶対におやめください。

結論

日本の文化と食生活に深く根ざした海藻は、確固たる科学的証拠に基づき、スキンケア分野においてもその地位を確立しつつあります。深い保湿能力や鎮静作用から、老化防止や色素沈着改善の可能性に至るまで、フコイダン、アルギン酸、フロロタンニンといった生物活性化合物は、多岐にわたる有益な効果をもたらします。

消費者にとっては、信頼できるブランドの市販製品を選ぶこと、あるいは安全性と衛生に関する原則を厳格に守って自宅でパックを調合すること、そのどちらもがこの「海の恵み」を活用する効果的な方法です。自然への敬意と科学への理解を組み合わせ、賢明なアプローチをとることで、海藻パックは、健康的で輝きに満ち、生命力あふれる肌を維持するための価値ある一部となり得るでしょう。

免責事項この記事は情報提供のみを目的としており、専門的な医療アドバイスを構成するものではありません。健康上の懸念がある場合、またはご自身の健康や治療に関する決定を下す前には、必ず資格のある医療専門家にご相談ください。

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  26. 白土と海藻の万能パック「フェイスソワンフェイシャルマスク」. セスコーポレーション株式会社. [引用日: 2025年7月27日]. Available from: https://www.cess.co.jp/pro/soin/06.html
  27. 日本商業用海藻市場は2033年までに1億4280万米ドルに達する持続的な成長が見込まれ、エコを意識した食品・化粧品用途に牽引される. 毎日が発見ネット. [引用日: 2025年7月27日]. Available from: https://mainichigahakken.net/release/detail.php?id=82471
  28. 日本商業用海藻市場は2033年までに1億4280万米ドルに達する持続的な成長が見込まれ、エコを意識した食品・化粧品用途に牽引される. PressWalker. [引用日: 2025年7月27日]. Available from: https://presswalker.jp/press/82471
  29. 2025-2032年の化粧品市場における海藻抽出物の包括的概要:企業プロフィール. Pando. [引用日: 2025年7月27日]. Available from: https://pando.life/article/1759498
  30. 日本の海藻市場レポートと成長予測2025. IMARC Group. [引用日: 2025年7月27日]. Available from: https://www.imarcgroup.com/report/ja/japan-seaweed-market
  31. マツモト交商、環境影響が問題視されている海藻をアップサイクルし海洋保全にも貢献. 週刊粧業. [引用日: 2025年7月27日]. Available from: https://www.syogyo.jp/news/2025/04/post_040811
  32. 海藻類・乾物・豆類. 長谷金本店|明治創業の花かつお製造元. [引用日: 2025年7月27日]. Available from: http://hasekin.co.jp/kaisourui/
  33. 【楽天市場】アルギン酸ナトリウム 10g [ アルギン酸 自然化粧品研究所 簡単 手作りパック 洗い流すタイプ 手作りコスメ 手作り化粧品 人工イクラ ]メール便可. [引用日: 2025年7月27日]. Available from: https://item.rakuten.co.jp/naturalcosmetic/10001004/
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