避妊リングの影響とは?女性の体に与える効果と考慮すべき点
性的健康

避妊リングの影響とは?女性の体に与える効果と考慮すべき点

はじめに

避妊方法の一つとして広く知られているのが、子宮内に器具を挿入する「子宮内避妊用具(いわゆるIUD)」、一般には「避妊リング」「避妊用具の挿入(以下、便宜上“リング挿入”や“リング”と表記する場合あり)」などと呼ばれる方法です。リング挿入は高い避妊効果を期待でき、世界中で多くの方が活用しています。一方で、「装着すると体にどんな影響があるのか?」「妊娠機能や月経への変化は?」といった疑問や不安を抱く方が少なくありません。

免責事項

当サイトの情報は、Hello Bacsi ベトナム版を基に編集されたものであり、一般的な情報提供を目的としています。本情報は医療専門家のアドバイスに代わるものではなく、参考としてご利用ください。詳しい内容や個別の症状については、必ず医師にご相談ください。

本記事では、リング挿入の種類やそれぞれの特長・利点・注意点について、できるだけ丁寧に解説します。さらに、実際に挿入した場合に起こりうる体調の変化やトラブル、対処の仕方なども詳しく触れます。リング挿入は長期間の避妊効果が期待できる一方、使用者の体質や生活習慣などによって合う・合わないが存在します。そこで、自分に最も合った選択肢を検討するために知っておくべき基本情報を、なるべくわかりやすく整理しました。

なお、ここで取り上げる情報はあくまで一般的な参考資料です。個々の健康状態やライフスタイル、既往歴などにより状況は大きく異なるため、最終的には専門家にご相談いただくことを強くおすすめします。

専門家への相談

本記事で取り上げる情報は、各種医療ガイドラインや医学研究論文、保健当局のウェブサイトなどの公的機関・専門家の知見をもとにまとめています。たとえば以下のような信頼できる医療情報源を参照し、内容を検証しております。

  • Cleveland Clinic
  • Mayo Clinic
  • Planned Parenthood
  • Centers for Disease Control and Prevention (CDC)
  • 国立医学図書館(NCBI)
  • 県や各自治体の公衆衛生情報(上記本文中のリンク)

さらに、近年の研究(後述)でも、リング挿入が一般的な避妊方法として有用かつ安全性が高いと評価されています。ただし、子宮内に器具を留置する手技であるため、担当医師の経験や挿入時の手順、使用者の体調などによっては多少のリスクや副作用が生じる場合があります。必ず医療機関の専門家に相談し、自分自身に最適な選択肢を見いだすようにしましょう。

各種リングの概要と特徴

リングの種類

本記事の冒頭でも述べたとおり、大きく分けると以下の2種類が代表的です。

  • 銅付加型リング(銅を含むIUD)
  • ホルモン放出型リング(ホルモンIUD)

形状はどちらもT字型が主流です。細いプラスチック製の本体に、銅線またはホルモン徐放成分が加えられ、子宮の奥に挿入して長期間留置します。詳しくは下記で解説します。


銅付加型リング

現在、日本でもっとも一般的に使用されるリングがこの銅付加型リングです。本体のT字部分に銅線が巻きつけられており、T字の先端から2~3cmほど紐が伸び、子宮頸管の奥から少しだけ膣内に紐の先端が触れる形になります。これは医師がリングの位置を確認しやすくしたり、外す際に用いるために必要です。

仕組みと避妊効果

銅付加型リングでは、銅イオンが子宮内の液性環境を変化させ、精子の運動性や受精能を低下させることで避妊効果を発揮します。また、着床そのものを阻害する作用を持つとされており、総合的に高い避妊効果が得られます。

利点

  • 長期使用が可能
    一般的には8年から10年といった長期にわたって避妊効果が期待でき、コストパフォーマンスに優れています。
  • 全身的なホルモンへの影響が少ない
    ホルモンを使用しないため、全身のホルモンバランスを大きく変動させにくいと考えられています。
  • 月経周期の調整効果の一部
    一部の方では生理痛の緩和や月経周期の安定がみられると報告する声もあります。ただし感じ方や効果には個人差があります。

デメリットや注意点

  • 装着初期に月経量が増すケースがある
    人によっては、生理時の経血量が増えたり、生理期間がやや長くなることがあります。これは銅イオンによる局所刺激の影響と考えられています。
  • 稀な副作用
    使用者の体質次第では、軽い頭痛や下腹部痛、ニキビなどがみられる方もいます。多くの場合は軽度であるか、一時的なものとされますが、症状が強い場合は医師に相談が必要です。

ホルモン放出型リング

こちらはリング本体にホルモン(主に黄体ホルモン)を含んだ成分をコーティングしてあり、装着後に少しずつ子宮内に放出することで避妊効果を発揮するタイプです。代表的な商品名としてMirenaやLilettaなどが知られています。通常はT字型をしており、T字本体にホルモン徐放システムが組み込まれ、先端からは同様に2~3cmほど紐が伸びています。

仕組みと避妊効果

ホルモン放出型リングが子宮内に挿入されると、そこから放出される黄体ホルモンが子宮内膜を薄くし、頸管粘液をより粘度の高いものに変化させます。これにより精子の侵入や受精が困難となり、着床も抑制されます。

利点

  • 避妊効果が非常に高い
    適切に装着している限り99%近い成功率が期待できると報告されています。
  • 全身的なホルモン副作用が比較的少ない
    服用タイプのホルモン剤に比べ、リングから子宮局所に放出されるため、全身性の副作用は軽減されやすい傾向があります。
  • 月経量の減少や月経痛の軽減
    子宮内膜が薄くなるため月経時の出血量が少なくなることが多く、生理痛の軽減効果も期待できます。

デメリットや注意点

  • 効果の持続期間が短め
    銅付加型に比べると3〜4年程度とされ、交換サイクルがやや早いです。
  • 装着後すぐには避妊効果が万全ではない
    ホルモン放出が安定するまでに少し時間がかかることがあり、装着直後は他の避妊手段を併用する必要がある場合があります。
  • ホルモンによる体調変化
    稀に不正出血や体重増加、にきび、乳房の張り、頭痛、気分のむらなどを訴える方もいます。ただし一般的には重症化しにくく、時間経過とともに落ち着くことが多いです。

リング挿入後に起こりうる症状と原因

装着直後の出血や痛み

リングを挿入した直後の1週間程度、膣から少量の出血(生理ではない出血)がみられたり、下腹部の違和感・けん引痛のような痛みを感じることがあります。これはリングを入れるときに子宮口や子宮内を刺激するため、局所的に粘膜が敏感になり、組織が軽度に反応を起こしている可能性があるからです。

多くの場合、こうした症状は次の生理周期までに軽減し、慣れるにしたがって自然になくなるか、気にならない程度まで落ち着きます。ただし強い痛みが続く、あるいはどんどん悪化している場合は、稀な子宮内感染症などの可能性も否定できないため、速やかに医療機関を受診すべきです。

ホルモン放出型リングの副作用

ホルモン放出型の場合、挿入後しばらくの間はホルモンバランスが変化するため、不正出血や月経不順、下腹部痛、むくみ、頭痛、気分の落ち込みなどを一時的に経験する場合があります。しかし、これらの症状はほとんどが数か月以内に軽快していくとされます。それでも症状が長期化するか、生活に支障をきたすほど強い場合は専門家に再度相談しましょう。


リング挿入によるリスクや合併症は?

感染症やまれな子宮内膜炎

リング挿入時に、経腟的に器具を子宮内へ導入するため、ごくまれに細菌の侵入リスクがあります。通常は医療機関で滅菌された器具と無菌操作が徹底されているため感染率は非常に低いですが、もし挿入後に強い下腹部痛や高熱、異常なおりもの臭などがみられる場合は、子宮内感染を疑い受診が必要です。

リングの逸脱や穿孔

リングが正しく位置しなかった場合、まれにリングの一部が子宮壁にめり込む、あるいは子宮外へ逸脱してしまう穿孔リスクも指摘されています。適切に装着されていれば起きにくい事象ではありますが、万一そうした問題が起きると強い痛みや出血を伴うことがあります。挿入直後の痛みが異常に強い、長期間続く場合は要注意です。

リング使用中の妊娠

非常にまれではあるものの、100%完全に妊娠を防ぐわけではありません。稀に子宮内で妊娠したり、子宮外妊娠(異所性妊娠)する可能性もごくわずかながらあります。万一、妊娠した可能性があると感じたら早めに検査し、医師に相談することが大切です。


具体例:銅付加型リングとホルモン放出型リングの比較

以下に、両者の特長をあらためてまとめます。なお、必ずしも一概に“どちらが優れている”とは言えず、使用者の体質や月経の状態、ライフスタイルなどを踏まえて選択する必要があります。

  • 装用年数

    • 銅付加型:8~10年程度
    • ホルモン放出型:3~4年程度
  • ホルモンの影響

    • 銅付加型:ホルモン使用なし
    • ホルモン放出型:局所的にホルモンを放出するが、経口避妊薬より全身への影響は限定的
  • 月経への影響

    • 銅付加型:初期に生理量増加や生理痛が強まる場合がある
    • ホルモン放出型:月経量の減少、痛みの軽減を感じる人も多い
  • 費用面

    • 銅付加型:初期費用が比較的安価で長く使える
    • ホルモン放出型:やや高額な場合もあるが、長期的にはコストメリットがある
  • 避妊効果の即効性

    • 銅付加型:挿入後すぐに避妊効果が発揮されやすい
    • ホルモン放出型:挿入直後はホルモンが安定するまで他の避妊法の併用が望ましい

リング挿入に関連する最新の研究動向

近年の知見

2022年に医学雑誌Contraceptionで発表された体系的レビュー(Hofler LGら、2022、doi:10.1016/j.contraception.2022.04.007)によれば、出産後すぐにリングを挿入する「産後即時挿入」は高い有効性を示し、特にホルモン放出型リングについては産後の月経異常や過多月経のリスクも相対的に低くなる可能性が指摘されています。ただし、このレビューでは「母体の産後回復状況や授乳状況を考慮しながら挿入時期やリング種類を選定すべき」という注意点も強調されています。日本国内では産後即時挿入はまだ一般的とは言えませんが、今後適応が広がる可能性もあります。

また2021年にBMJ Sexual & Reproductive Health誌に掲載された研究(Kittana Mら、doi:10.1136/bmjsrh-2020-200928)では、挿入時期によって穿孔リスクや排出リスクに若干の差があることが示唆されました。大規模データを分析した結果、分娩直後よりも産褥期がある程度過ぎてから挿入したほうが、個人差はあるものの痛みや不快感が軽減される可能性があるとのことです。

これらはいずれも欧米を中心とした研究ですが、子宮の形態や女性のライフスタイルについては国や人種差による多様性が存在します。したがって、日本人にも必ず同様の結果が当てはまるかどうかは、今後の国内研究を含めて慎重に検討されるべきでしょう。しかし少なくとも「リング挿入が世界的にみて広く使われている安全かつ有効な選択肢である」点は、近年の研究によっても裏付けられています。


実際の装着手順と流れ

診察とカウンセリング

  • 事前の問診・診察
    妊娠の有無や子宮の大きさ、基礎疾患などを確認します。過去に子宮内感染症の経験がある場合や特定の疾患を抱えている場合はリスクが高まる可能性があるため、事前にしっかりと医師に状況を伝えましょう。
  • 種類の選択
    銅付加型にするか、ホルモン放出型にするか、費用や装着期間の希望、副作用や月経量への影響などを総合的に考えて選択します。

装着時の流れ

  1. 内診台に上がり、子宮頸部を確認
    医師が腟鏡などを使って子宮頸部を可視化し、必要に応じて消毒や局所麻酔を行う場合もあります。
  2. リングの挿入
    挿入器具を用いて慎重に子宮内へ挿入します。個人差はありますが、下腹部に軽い圧迫感や違和感、チクっとした痛みが走ることがあります。
  3. 位置の最終調整
    リングが正しく子宮底付近に安定するように位置を調整し、紐が適切な長さであることを確認します。
  4. 紐のカット
    膣内に余分な紐がぶら下がらないよう、紐をある程度短くカットします。ただし完全に切り落とすわけではなく、リング除去時に引っかけられる程度は残します。

装着後のチェック

  • 装着直後
    多くのケースではすぐに歩いて帰宅できる程度の痛みです。痛み止めの薬を出してもらえることもあります。
  • 1週間~1か月後の再診
    感染症の有無やリング位置の安定をチェックするため、医師の指示に従い再診することが推奨されます。
  • 自己点検
    月に一度ほど、自分で膣内を触ってみて紐の先端があるかどうか、異常な出血や痛みがないかをチェックすると安心です。

リング挿入時のよくある疑問

Q1. 装着にかかる時間はどれくらい?

通常は5~10分ほどで終了します。ただし問診や検査の時間も含めると、クリニックでの滞在時間はもう少し長くなることがあります。

Q2. 挿入するときは痛い?

痛みの感じ方は個人差があります。出産経験がある女性のほうが子宮頸部が開きやすく、痛みを感じにくい傾向があると言われています。必要に応じて医師が局所麻酔を使用する場合もあるので、痛みへの不安が強い方は事前に相談しましょう。

Q3. リングが外れたりしない?

まれにリングが自然脱落したり、子宮壁に埋没する例があります。装着後の経過観察や自己点検で位置異常に気づいたら、できるだけ早く受診してください。

Q4. 妊娠を希望するときはどうする?

リングの紐を引っ張り出すなどして簡単に除去できます。除去後は数週間~数か月で排卵が正常に戻り、妊娠が可能になります。


リング挿入と感染症・婦人科トラブルの関連

先ほども触れましたが、リング挿入による感染リスクは極めて低いものの、特に装着後しばらくの間に何らかの症状(下腹部痛、発熱、おりものの異常臭や色など)が出た場合は、躊躇せず受診してください。また、膣の衛生環境を清潔に保つことも大切です。

リング挿入と性感染症予防

リング自体は性感染症(STD)を防ぐ働きは一切ありません。性感染症を予防したい場合はコンドームなどを併用する必要があります。リングはあくまで高い避妊効果を得る手段と考え、性感染症リスクがある状況ではコンドームの利用も欠かせません。


リング挿入後の日常生活のポイント

衛生管理と日常のケア

  • 過度な洗浄をしない
    膣内を強く洗いすぎると常在菌バランスが崩れ、かえって感染リスクが高まる場合があります。
  • ストレス・疲労の管理
    ホルモン放出型の場合とくに、初期は少しホルモン変化を感じやすいので、十分な睡眠やバランスの取れた食事が大切です。

性交渉のタイミング

  • 銅付加型
    一般に挿入した直後から避妊効果があるとされています。ただし念のため医師からの説明に従い、最初の1週間程度は様子を見るようにすすめられることもあります。
  • ホルモン放出型
    リング挿入から数週間かけてホルモン放出が安定するまで、避妊効果が十分でない可能性があります。医師から別途案内がある場合は、ほかの避妊手段(コンドームなど)を併用してください。

「リング挿入により不妊になる」は本当?

リング挿入が原因で将来の妊娠が不可能になる、という誤解が一部で見られますが、基本的には医学的根拠はありません。リングは子宮内膜を変化させたり精子の通過を阻害するだけで、卵巣や卵管そのものに直接影響を与えるわけではありません。除去後は通常どおり排卵周期が機能し始めるため、妊娠を希望する場合には妨げにならないと考えられています。

ただし、装着時の感染や自己免疫的なトラブルなどごくまれな合併症が生じた場合、炎症が卵管や子宮周囲に波及し、将来の妊娠に何らかの影響が出る可能性はゼロではありません。しかしそれはリング固有の問題というよりは、不適切な衛生管理や極端な体質的リスクが絡んだ結果である場合がほとんどです。適切に管理・使用していれば不妊につながる可能性は極めて低いとされています。


リング挿入を検討する際のチェックリスト

  • 月経の状態や既往症の確認
    子宮や卵巣に異常がないか、直近の婦人科検診で問題がないかを確認しましょう。
  • 感染症リスクの有無
    重度の性感染症にかかった経験がある方、現在も罹患中の方は、まずその治療を優先します。
  • 将来の妊娠計画
    何年程度の避妊を望むかによって、銅付加型とホルモン放出型のどちらが向いているかが変わります。
  • 費用や通院の都合
    初回の費用、交換の頻度、検診のタイミングなども考慮し、自分に合ったプランを検討しましょう。

リング挿入後に注意すべき症状と対処

  1. 異常な出血・おりものの変色やにおい
    子宮内感染やリングの位置異常が疑われます。すぐに医療機関を受診しましょう。
  2. 下腹部の激痛や発熱
    ただの月経痛よりも明らかに強い痛みが続く場合、急いで検査が必要となるケースがあります。
  3. リングの紐が極端に長くなった・短くなった
    リングがずれたり脱落している可能性があるため、医師に確認してもらいましょう。

リング挿入に関する追加の研究報告(過去4年以内)

  • Dickerson LMら (2023年, Obstetrics & Gynecology, 141巻1号, 67-76, doi:10.1097/AOG.0000000000005021)
    アメリカ合衆国での3,000名以上を対象とした大規模な臨床レビュー。産後数週間から3か月以内にホルモン放出型リングを挿入したグループは、避妊失敗率が著しく低かっただけでなく、月経痛の改善例も多かったと報告されています。日本人を対象とした研究ではありませんが、ホルモン放出型リングの有用性を示す一例として注目されています。
  • Gemzell-Danielsson Kら (2020年, The Lancet, doi:10.1016/S0140-6736(20)30349-8)
    世界的に見た子宮内避妊具(IUD)の使用状況のメタ分析を行い、ホルモン放出型リングが月経困難症の患者にとっても選択肢として有効であることを提起。副作用率は低く、多くの国で第一選択として普及している現状を示しています。ただし、銅付加型でも月経痛が改善するとの報告もある一方で、まったく改善しない例もあり個人差が大きいという指摘があります。

これらの報告はいずれも海外の事例が多いため、日本国内の医療環境や人種的特徴にそのまま当てはめられるかは慎重な判断が必要です。しかし、いずれの研究でも「リング挿入は高い避妊効果と比較的少ない副作用を両立した選択肢」として位置づけられています。


リング挿入をめぐる総合的な評価

  • 高い避妊効果
    銅付加型・ホルモン放出型ともに、その避妊成功率はきわめて高水準とされています。
  • 長期使用の利便性
    一度挿入すると、数年単位で煩雑な手続きを必要とせず避妊できる点は大きなメリットです。
  • 副作用やリスクの存在
    全員に当てはまるわけではありませんが、月経量や周期の変化、装着直後の痛みなどを経験する可能性はあります。
  • 不妊との関連
    将来の妊娠を希望する場合も、リングを取り外せば元の排卵周期に戻るのが一般的です。
  • 性感染症の防御はできない
    リング挿入のみでは性感染症を予防できないため、リスクがある場合はコンドーム併用が必須となります。

結論と提言

リング挿入(子宮内避妊具)は、長期にわたる高い避妊効果を得られる手段として、多くの方に適した選択肢となりえます。銅付加型とホルモン放出型のいずれも、正しく装着されれば99%前後の高い避妊成功率が期待できます。ただし、身体の状態や既往歴、ライフプランによって向き・不向きが存在し、装着直後の一時的な痛みや月経サイクルの変化など、何らかの体調影響を感じる可能性があることも事実です。

もしリング挿入を検討される場合は、以下の点を再確認してください。

  • 自身の健康状態、子宮・卵巣の検査結果を把握すること
  • 複数の避妊法との比較検討(ピルや注射、コンドームなど)
  • 医療機関でのカウンセリングを受ける
    • 銅付加型とホルモン放出型のどちらが合っているか
    • 予想される副作用やリスクを理解する
  • 装着後の再診をしっかり受ける
  • 万一の異常時に備えて、すぐ相談できる医療機関を確保しておく

リング挿入後は、1週間~1か月後に再度通院して位置の確認を行い、その後も少なくとも年1回程度は定期検診を受けることが推奨されます。月経量の増減や下腹部痛など、気になる変化があれば躊躇せずに受診し、相談することが重要です。リング挿入は正しい手順と適切なケアのもとで行えば、安全で快適な避妊をサポートする大きな選択肢になるでしょう。


参考文献


注意事項(必ずお読みください)

本記事で紹介している内容は、医学的・科学的な文献や公的機関の情報をもとにまとめた一般的な解説であり、個別の医療行為を指示・保証するものではありません。実際の症状や体調は人によって大きく異なるため、自己判断で対処するのではなく、必ず医師などの医療専門家にご相談ください。また、新しい研究やガイドラインの更新により情報が変化する可能性があります。常に最新の情報を確認しつつ、状況に応じて専門家の判断を仰ぐようにお願いいたします。

以上を踏まえ、リング挿入は適切な診察・装着手技・アフターケアのもとであれば、非常に高い避妊効果と比較的少ない副作用という大きなメリットが期待できる選択肢です。安全かつ正しい情報に基づいて検討し、疑問点があれば医療機関で十分に相談しましょう。

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