【性交痛】女性が性交時に痛みを感じる原因と対策を徹底解説
女性の健康

【性交痛】女性が性交時に痛みを感じる原因と対策を徹底解説

性交のときに「痛い」「しみる」「奥がズキッとする」——。誰にも相談できず、一人で悩んでいる方は少なくありません。結論から言うと、性交時の痛み(性交痛)はよくある症状で、原因は「乾燥・刺激・感染症」などの身近なものから、「子宮内膜症・子宮筋腫」など治療が必要な疾患まで幅広いです。米国産科婦人科学会(ACOG)は、痛みを伴う性交は非常に一般的で、人生のどこかで経験する女性が多いと説明しています。1

この記事では、JHO(Japanese Health)編集部が、日本の公的・学会情報(日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会、日本泌尿器科学会、国立の感染症情報など)と、国際的なガイドラインや査読論文(AAFP、NHS、ESHRE、NICE、AUA/SUFU/AUGSなど)をもとに、「考えられる原因」「セルフケアでできること」「受診の目安」を段階的に整理します。2

読み終える頃には、「自分の痛みがどのタイプに近いか」「まず何から見直すべきか」「いつ婦人科へ行くべきか」が具体的にイメージできるはずです。なお、痛みが強い・出血が続く・発熱があるなどの場合は自己判断で我慢せず、早めに医療機関へ相談してください(緊急時は日本では119)。

Japanese Health(JHO)編集部とこの記事の根拠について

本記事は、JHO(JapaneseHealth.org)編集委員会が、厚生労働省関連情報、学会資料、国立機関の感染症情報、査読付き論文や国際ガイドラインに基づいて内容を整理し作成しました。7

参照した主な一次情報源の例として、日本産科婦人科学会(JSOG)の市民向け解説、国立の感染症情報(JIHS:性感染症の解説・動向)、日本泌尿器科学会(女性下部尿路症状ガイドライン)、日本産婦人科医会(性交痛とGSMに関する資料)などを含みます。569

国際的な根拠として、米国家庭医療学会(AAFP)の総説、英国NHSの解説、ESHRE(欧州ヒト生殖医学会)の子宮内膜症ガイドライン、NICE(英国)の診療ガイドライン、AUA/SUFU/AUGSのGSMガイドライン等を参照しています。21213

AIツールは下調べと構成整理の補助として活用していますが、公開前には編集部が一次資料と照合し、数値や重要記述を確認しています。最終アクセス日:2025-12-21(JST)。

要点まとめ

  • 性交痛(dyspareunia)は「入り口が痛い(表在性)」と「奥が痛い(深部)」に大別され、原因の見当をつける第一歩になります(AAFP)。2
  • 石けん・香料・避妊具などの刺激、潤い不足(乾燥)、感染症(カンジダ、細菌性腟症、STI)など、身近な要因でも起こりえます(Mayo Clinic、NHS)。1916
  • 更年期以降は、ホルモン低下に伴う「GSM(閉経関連尿路生殖器症候群)」で乾燥・灼熱感・性交痛が増えやすいとされます(日本産婦人科医会、日本泌尿器科学会、AUA/SUFU/AUGS)。5618
  • 深い痛みが続く場合、子宮内膜症など骨盤内の疾患が背景にあることがあり、ガイドラインに沿った評価が重要です(ESHRE、NICE)。1213
  • 腟が「勝手に締まる」痛み(腟痙/vaginismus)は治療可能で、心理面の支援と段階的トレーニング等が推奨されています(NHS)。16
  • 発熱、強い下腹部痛、性交後の出血が続く、悪臭のあるおりもの等は受診の目安です(Mayo Clinic、NHS)。1916

第1部:性交痛の基本と日常生活の見直し

まずは「痛みのタイプ」と「日常の要因」を整理するだけでも、原因の見当がつきやすくなります。AAFPは性交痛(dyspareunia)を、痛む場所やタイミングで分類し、評価と対策に役立てることを推奨しています。2

1.1. 性交痛(dyspareunia)とは:入り口が痛い?奥が痛い?

AAFPによれば、性交痛は「反復または持続する性交に伴う痛み」で、生活や関係性に影響する場合に医療的な評価対象となります。2

大きく分けると、次の2タイプです。

  • 表在性(入り口の痛み):挿入の最初、腟口周辺の灼熱感・ひりつき・しみる痛み。乾燥、刺激、感染症、外陰部の皮膚疾患、腟痙(腟の筋肉の不随意な緊張)などが関与しやすいとAAFPは整理しています。2
  • 深部(奥の痛み):奥まで入ったときの下腹部・骨盤の痛み。子宮内膜症など骨盤内疾患の可能性があり、ESHREやNICEのガイドラインでも「深い性交痛(deep dyspareunia)」は重要な症状として扱われます。1213

「どの瞬間に」「どの場所が」痛むかを言語化することが、受診時にも大きな助けになります(Mayo Clinicも症状の具体化を推奨しています)。19

1.2. 悪化させてしまうNG習慣:刺激・乾燥・急ぎすぎ

性交痛の背景には、病気だけでなく「刺激」「乾燥」「緊張」が重なっていることがあります。Mayo Clinicは、石けん等の刺激や潤い不足が性交痛の一因になり得ると説明しています。19

  • 香料つきの石けん・ボディソープ、膣洗浄(いわゆるダウチ):外陰部の皮膚や粘膜は刺激に弱く、赤み・ヒリヒリがあると摩擦で痛みが増えやすくなります(Mayo Clinic)。19
  • 前戯不足・焦り:十分に潤っていない状態で挿入すると摩擦が増え、入り口の痛みが出やすくなります(AAFPは性交痛の評価で「潤滑」や性反応の要素を確認する重要性を述べています)。2
  • 痛いのに我慢して続ける:痛み→緊張→さらに痛い、という悪循環になりやすいとされます(NHSは腟痙が「自分で制御できない反射的反応」であることを説明しています)。16

「我慢すれば慣れる」は逆効果になり得ます。痛みがあるときは、いったん中止し、原因を切り分けるほうが安全です(ACOGも原因に応じた対応が必要と説明しています)。1

表1:セルフチェックリスト(痛みのタイプから原因の方向性をつかむ)
こんな症状・状況はありませんか? 考えられる主な背景・原因カテゴリ(例)
挿入の最初に、腟口がヒリヒリ・しみる(表在性) 乾燥(更年期・授乳期など)、刺激(石けん等)、外陰部の炎症、感染症、腟痙(NHS、Mayo Clinic、AAFP)16192
奥まで入ると下腹部が痛い(深部) 子宮内膜症・骨盤内疾患の可能性(ESHRE、NICE)1213
おりものの異常(量・色・におい)やかゆみを伴う 腟感染症(カンジダ等)、STIの可能性(Mayo Clinic、JIHS)199
更年期以降で乾燥・灼熱感、性交後にしみる GSM(閉経関連尿路生殖器症候群)、萎縮性変化(日本産婦人科医会、日本泌尿器科学会、AUA/SUFU/AUGS、済生会)56188
タンポンや内診でも強く痛み、腟が勝手に締まる感じ 腟痙(vaginismus)(NHS)16
性交後の出血が続く、痛みが急に強くなった 早めの受診が必要なサイン(Mayo Clinic)19

第2部:身体の内部要因 — ホルモン・感染症・筋肉の緊張

生活習慣だけでは改善しない場合、「ホルモン変化」「感染症」「骨盤底筋の緊張」など、体の内側の要因が関与している可能性があります。AAFPは、性交痛の評価では身体的要因と心理社会的要因の両方を丁寧に確認することを推奨しています。2

2.1. 【特に女性】ライフステージとホルモン:更年期・産後・授乳期

更年期以降は、卵巣機能の低下に伴いエストロゲンが減少し、腟や外陰部の粘膜が乾燥しやすくなると日本産科婦人科学会(JSOG)は説明しています。7

この変化は「GSM(閉経関連尿路生殖器症候群)」として整理され、性交痛、乾燥、灼熱感などの症状が含まれ得ると日本産婦人科医会(JAOG)および日本泌尿器科学会の資料で示されています。56

済生会の解説でも、萎縮性変化(萎縮性腟炎)で「乾燥」「刺激感」「性交痛」が起こり得ることが述べられています。8

また、授乳期や産後もホルモン環境が変化し、乾燥や痛みが出やすいことがあります(Mayo Clinicはホルモン変化を原因の一つとして挙げています)。19

2.2. 感染症(カンジダ・細菌性腟症・STI):放置しないための見分け方

かゆみ、灼熱感、悪臭のあるおりもの、下腹部痛がある場合は感染症を疑います。Mayo Clinicは、感染症や炎症が性交痛の原因になり得ると説明しています。19

特にSTI(性感染症)は、痛みが軽い・症状が乏しいこともあり、自己判断が難しい領域です。国立の感染症情報(JIHS)は、性器クラミジア感染症が女性では子宮頸管炎などを起こし得ること、また発生動向が公的な仕組みで把握されていることを解説しています。9

同様に、JIHSは淋菌感染症についても、性器の感染として起こり得ることや診断の重要性を述べています。10

「検査が怖い」「恥ずかしい」と感じるのは自然です。英国NHSは、性の健康に関する診療が機密性を保って行われること、検査が比較的シンプルであることを説明しています(日本でも受診の場は異なりますが、相談してよい問題です)。15

2.3. 腟痙(vaginismus)・骨盤底筋の過緊張:痛みが「反射」で起きることも

腟痙(vaginismus)は、挿入しようとしたときに腟の筋肉が突然締まり、痛みやつらさが出る状態です。英国NHSは、腟痙が自分の意思でコントロールできない「自動的な反応」であること、治療可能であることを説明しています。16

治療としてNHSは、心理面の支援(セックスセラピー等)、リラクゼーション、骨盤底筋のトレーニング、段階的な挿入練習(腟トレーナー)などを挙げています。16

また、骨盤底筋を含む理学療法(フィジカルセラピー)は、性交痛の改善に有用である可能性が系統的レビューで評価されています(BMC Women’s Healthのシステマティックレビュー/メタ解析)。17

第3部:専門的な診断が必要な疾患

セルフケアで改善しない、深い痛みが続く、出血や強い下腹部痛がある場合は、婦人科での評価が重要です。ESHREやNICEは、子宮内膜症などの疾患で痛みが生活に大きく影響し得ることを前提に、段階的な診断と治療を推奨しています。1213

3.1. 子宮内膜症:深い性交痛の背景にあり得る

子宮内膜症は、子宮内膜に似た組織が子宮以外の場所で増殖する疾患で、痛みを伴うことがあります。日本産科婦人科学会(JSOG)の市民向け解説は、子宮内膜症の基本情報と症状について説明しています。11

欧州ヒト生殖医学会(ESHRE)の2022年ガイドラインは、子宮内膜症の診断と痛みの治療について多数の推奨を示し、性交時の深い痛み(deep dyspareunia)を含む疼痛症状への対応を扱っています。12

NICE(英国)も、子宮内膜症の診断・管理ガイドラインで症状の認識、紹介、治療選択肢を整理しています(最終レビューの更新情報も公開されています)。13

3.2. 子宮筋腫:圧迫や接触で痛みが出ることも

子宮筋腫は良性腫瘍として知られていますが、部位や大きさによって症状が出ます。日本産科婦人科学会(JSOG)の市民向け解説は子宮筋腫の基本情報を示しています。14

性交痛との関連は個人差が大きいため、「奥が痛い」「下腹部の圧迫感がある」「月経症状も強い」など、症状の組み合わせを婦人科で相談することが現実的です(Mayo Clinicは骨盤内の構造的要因も原因になり得ると述べています)。19

3.3. 卵巣のう腫など:片側の痛み・鋭い痛みが目立つ場合

卵巣のう腫などは、状態により下腹部痛や違和感の原因になります。日本産科婦人科学会(JSOG)の市民向け解説(卵巣腫瘍など)を含め、卵巣の病変についても基本情報が整理されています。20

痛みが急に強くなった、吐き気を伴う、動けないほどの痛みがある場合は、緊急評価が必要なことがあります(Mayo Clinicは強い症状や出血などのサインで受診を推奨しています)。19

第4部:今日から始める改善アクションプラン

原因が一つとは限らないのが性交痛の難しさです。そこで「今夜からできること」「今週できること」「医療につなぐこと」を分けて考えます。AAFPは、性交痛の管理で段階的なアプローチ(原因の特定、局所ケア、心理社会的支援、必要に応じた専門的治療)が重要だと整理しています。2

表2:性交痛の改善アクションプラン(段階別)
ステップ アクション 具体例(安全にできる範囲)
Level 1:今夜からできること 摩擦と刺激を減らし、痛みを「学習」させない 痛みが出たら中止/体位や深さを調整/外陰部はぬるま湯中心で洗う(香料ソープは避ける)(Mayo Clinic)19
Level 2:今週やること 乾燥への対策と、症状の記録 水性またはシリコーン系の潤滑剤を検討/「いつ・どこが・どれくらい痛いか」をメモ(AAFP、済生会)28
Level 3:2週間〜1か月の視点 腟痙・筋緊張が疑われる場合は段階的介入 呼吸・リラクゼーション/骨盤底筋の「締める・ゆるめる」を学ぶ/必要なら段階的トレーニング(NHS)16
Level 4:医療につなぐ 原因を特定し、治療選択肢を得る 更年期症状が強い→GSMとして評価(JAOG、日本泌尿器科学会、AUA/SUFU/AUGS)/深部痛→子宮内膜症などの評価(ESHRE、NICE)(受診目安は第5部)56181213

潤滑剤や保湿剤について:GSMなど乾燥が背景にある場合、国際ガイドラインでは症状に応じて局所治療(例:局所エストロゲン等)を含む選択肢が議論されますが、個人の病歴によって適否が変わります(AUA/SUFU/AUGS)。自己判断でのホルモン製剤使用は避け、必要なら医療機関で相談してください。18

骨盤底理学療法について:BMC Women’s Healthの系統的レビュー/メタ解析は、複数の理学療法介入が性交痛に有効である可能性を評価しています(効果は介入内容・対象・研究の質に左右されます)。日本では婦人科・泌尿器科・女性骨盤底外来などで相談窓口が見つかることがあります。17

第5部:専門家への相談 — いつ・どこで・どのように?

「迷惑をかけたくない」「恥ずかしい」と感じて受診を先延ばしにしがちですが、性交痛はQOLに直結する症状です。AAFPは、非判断的な環境で病歴を丁寧に聴取し評価することの重要性を述べています。2

5.1. 受診を検討すべき危険なサイン

  • 発熱、強い下腹部痛、歩けないほどの痛みがある(感染や急性疾患の可能性)(Mayo Clinic)19
  • 性交後の出血が続く/急に出血が増えた(Mayo Clinic)19
  • 悪臭のあるおりもの、強いかゆみ・灼熱感が続く(感染症の評価が必要)(Mayo Clinic、JIHS)199
  • 深い性交痛が数週間以上続き、日常生活にも影響する(子宮内膜症などの評価が重要)(ESHRE、NICE)1213

5.2. 症状に応じた診療科の選び方

  • 入り口がヒリヒリ・乾燥・更年期の不調が背景:婦人科(更年期外来)/女性泌尿器科(GSMの評価)(JAOG、日本泌尿器科学会、AUA/SUFU/AUGS)5618
  • 奥が痛い・月経痛も強い・慢性的な骨盤痛がある:婦人科(子宮内膜症などの評価)(ESHRE、NICE、JSOG)121311
  • おりもの異常・STIが心配:婦人科/(日本では地域差がありますが)性の健康に配慮した外来。NHSは性の健康クリニックで検査と治療が受けられることを説明しています。15
  • タンポンでも痛い・腟が勝手に締まる:婦人科で除外診断後、必要に応じて専門家(心理・理学療法等)へ(NHS)16

5.3. 診察時に持参すると役立つもの(言いづらさを減らすコツ)

  • 「痛みのメモ」:いつ(挿入時/奥まで/後)、どこ(入口/奥/片側)、程度(0〜10)、随伴症状(おりもの・出血・発熱など)(AAFP、Mayo Clinic)219
  • 服用中の薬・サプリ一覧(乾燥に影響する薬がある場合もあるため)(Mayo Clinic)19
  • 受診で伝える一言の例:「挿入の最初に灼熱感があり、ここ2か月続いています」「奥が痛くて日常にも影響しています。子宮内膜症の可能性も心配です」(ESHRE、NICEの症状整理を参考に)1213

よくある質問

Q1: 痛いのに我慢して続けると、体に悪いですか?

痛みがある状態で続けると、摩擦や緊張で痛みが増し、悪循環になりやすいと考えられます。英国NHSは、腟痙が「自動的な反応」であることを説明しており、痛みを我慢して押し切る発想は適しません。16

まずは中止し、乾燥・刺激・感染症などの可能性を切り分け、必要なら婦人科へ相談してください(Mayo Clinicは原因に応じた評価を推奨しています)。19

Q2: 入口がヒリヒリします。石けんやボディソープが原因になることは?

なります。Mayo Clinicは、刺激やアレルギー反応が性交痛の一因になり得ると説明しています。19

香料や強い洗浄成分を避け、外陰部はぬるま湯中心でやさしく洗い、症状が続く場合は感染症なども含めて婦人科で評価してもらうのが安全です(Mayo Clinic)。19

Q3: おりものが変で、性交時にしみます。性感染症が心配です。

おりものの変化や痛みがある場合、腟感染症やSTIの可能性があります。国立の感染症情報(JIHS)は性器クラミジア感染症や淋菌感染症の基本情報を公的に整理しています。910

検査や治療は医療機関で行えます。英国NHSは性の健康サービスが機密性を保って提供されることを説明しています(日本でも相談してよい健康課題です)。15

Q4: 更年期以降、乾燥して痛いです。治療はありますか?

更年期以降の乾燥や性交痛は、GSM(閉経関連尿路生殖器症候群)として整理されることがあり、日本産婦人科医会・日本泌尿器科学会や国際ガイドラインで評価と治療選択肢が議論されています。5618

具体的な治療(保湿、潤滑、局所治療など)は体質や既往歴で適否が変わるため、婦人科または女性泌尿器科で相談するのが安全です(済生会、AUA/SUFU/AUGS)。818

Q5: タンポンでも痛く、挿入が怖いです。腟痙は治りますか?

腟痙(vaginismus)は治療可能です。英国NHSは、腟痙の症状と治療(心理的支援、リラクゼーション、骨盤底筋の練習、段階的トレーニング等)を具体的に説明しています。16

大切なのは「我慢して押し切る」ことではなく、「怖さ・痛みの理由」を医療者と一緒にほどき、段階的に体を慣らすことです(NHS)。16

Q6: 奥が痛いです。子宮内膜症かもしれませんか?

深い性交痛は子宮内膜症などの骨盤内疾患でみられることがあります。ESHREおよびNICEのガイドラインは、子宮内膜症の症状として痛みを重視し、診断と治療の枠組みを示しています。1213

ただし、深部痛の原因は多様です。月経痛・排便痛・慢性骨盤痛など他の症状と合わせて婦人科で相談すると、検査や治療の選択がしやすくなります(JSOG、AAFP)。112

Q7: パートナーにどう伝えればいいですか?

「痛い=拒否」ではなく、「体のサイン」だと共有することが第一歩です。AAFPは性交痛が関係性や心身に影響し得るため、状況を丁寧に扱う重要性を述べています。2

例:「最近、挿入のときに痛みが出る。体を守るために一度ペースを落として、原因を確認したい」。必要なら一緒に受診する選択肢もあります(NHSは治療にパートナーが関与できることを説明しています)。16

結論:この記事から持ち帰ってほしいこと

性交痛は珍しいことではありませんが、「原因が多様」だからこそ放置せず、段階的に切り分けることが重要です。AAFPの分類(入り口の痛み/奥の痛み)を手がかりに、まずは刺激と乾燥を減らし、それでも続く場合は感染症やホルモン変化、骨盤内疾患の可能性を検討しましょう。2

更年期以降の乾燥や灼熱感が背景ならGSMとしての評価が役立ちます(日本産婦人科医会、日本泌尿器科学会、AUA/SUFU/AUGS)。深い痛みが続く場合は子宮内膜症などの評価を早めに受けることが現実的です(ESHRE、NICE)。56181213

「こんなことで受診していいの?」と思う必要はありません。つらさを言葉にして相談することが、改善の第一歩です。

この記事の編集体制と情報の取り扱いについて

Japanese Health(JHO)は、信頼できる公的情報源と査読付き研究に基づいて、健康・医療・美容に関する情報をわかりやすくお届けすることを目指しています。

本記事は、JHO(JapaneseHealth.org)編集委員会が、国立の感染症情報(JIHS)、日本産科婦人科学会(JSOG)の市民向け情報、日本産婦人科医会(JAOG)、日本泌尿器科学会の資料、国際ガイドライン(ESHRE、NICE、AUA/SUFU/AUGS)および査読付き論文(AAFP、BMC Women’s Health等)に基づいて整理しました。91156121318217

ただし、本サイトの情報は一般的な情報提供を目的としており、個々の症状に対する診断や治療の決定を直接行うものではありません。症状が続く場合や不安が強い場合は、必ず医師などの医療専門家にご相談ください。

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免責事項 本記事は情報提供のみを目的としており、専門的な医学的助言や診断、治療に代わるものではありません。健康上の懸念がある場合や、治療内容の変更・中止等を検討される際には、必ず資格のある医療専門家にご相談ください。

参考文献

  1. American College of Obstetricians and Gynecologists (ACOG). When Sex Is Painful. 年不明(ページ表記参照). https://www.acog.org/womens-health/faqs/when-sex-is-painful(最終アクセス日:2025-12-21)

  2. American Academy of Family Physicians (AAFP). Dyspareunia in Women. 2021. https://www.aafp.org/pubs/afp/issues/2021/0515/p597.html(最終アクセス日:2025-12-21)

  3. 日本産婦人科医会(JAOG). 相談されないと対応しない性交痛のケア(GSM関連). 年不明(ページ表記参照). https://www.jaog.or.jp/lecture/sexuality/001127/(最終アクセス日:2025-12-21)

  4. 日本泌尿器科学会. 女性下部尿路症状診療ガイドライン(2019年). 2019. https://www.urol.or.jp/lib/files/other/guideline/37_female_lower_urinary_tract_symptoms_2019.pdf(最終アクセス日:2025-12-21)

  5. 日本産科婦人科学会(JSOG). 更年期障害(市民向け解説). 2025(更新日:2025-01-30). https://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=14(最終アクセス日:2025-12-21)

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