【水道水のフッ素化】がんリスクは本当?骨肉腫の研究と最新の評価をわかりやすく整理
がん・腫瘍疾患

【水道水のフッ素化】がんリスクは本当?骨肉腫の研究と最新の評価をわかりやすく整理

「水道水にフッ素(フッ化物)を入れると、がんになるのでは?」──ネットでそうした話を見て、不安になったことはありませんか。

結論から言うと、推奨濃度で実施される水道水フッ素化(コミュニティ水道水フロリデーション)と、がん(特に骨肉腫)リスクが増えることを支持する“確かな証拠”は、現在の総合評価では確認されていません。米国国立がん研究所(NCI)や米国がん協会(American Cancer Society)は、これまでの研究をレビューしたうえで、フッ素化水道水とがんの関連を支持する証拠がない、あるいは一貫した関連が示されていないと説明しています。12

一方で、1990年代の動物実験で「骨の腫瘍が増えた可能性」が議論になったこと、2000年代に一部の解析で男児に限定した関連が示唆されたことなど、不安の“出どころ”にも理由があります。本記事では、厚生労働省e-ヘルスネットの解説、WHO(世界保健機関)の資料、NCIや査読付き研究をもとに、「何がどこまで分かっているのか」を整理し、日常での判断に落とし込みます。310

なお日本では、水道水は水質基準により「フッ素及びその化合物」の基準値が定められており、日々の水質管理の枠組みの中で運用されています。5

Japanese Health(JHO)編集部とこの記事の根拠について

Japanese Health(JHO)は、健康と美容に関する情報を提供するオンラインプラットフォームです。膨大な医学文献や公的ガイドラインを整理し、日常生活で活用しやすい形でお届けすることを目指しています。

本記事は、JHO(JapaneseHealth.org)編集委員会が、厚生労働省e-ヘルスネット、WHO(世界保健機関)、米国国立がん研究所(NCI)などの一次情報源と、査読付き論文に基づいて内容を整理しました。1310

本記事の内容は、以下のような一次情報源に基づいて、JHO編集部がAIツールのサポートを受けつつ、最終的には人の目で一つひとつ確認しながら作成しています。

  • 厚生労働省・自治体・公的研究機関:e-ヘルスネット等の公式情報を優先して参照しています。34
  • 国内外の医学会ガイドライン・査読付き論文:WHO資料、Cochraneレビュー、PubMed掲載論文など、科学的に検証されたエビデンスをもとに要点を整理しています。810
  • 公的水質基準・安全評価:水道水質基準など、制度上の基準値や評価資料を参照します。5

AIツールは、文献の要約や構成案作成の「アシスタント」として活用していますが、公開前には必ずJHO編集部が原著資料と照合し、重要な記述を一つひとつ確認しながら、事実関係・数値・URLの妥当性を検証しています。

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要点まとめ

  • 推奨濃度での水道水フッ素化とがん(骨肉腫を含む)の関連は、NCIや米国がん協会の総合評価で支持されていません12
  • 不安の発端には、National Toxicology Program(NTP)の動物試験(高濃度)や、一部の解析結果の報道がありました。916
  • 近年の大規模研究(英国の小地域解析、米国の症例対照研究、テキサスの研究など)では、飲料水中フッ化物と骨肉腫リスクの明確な関連は示されていません。131415
  • フッ化物の健康上の主要な懸念は、一般に「がん」よりも過剰摂取による歯のフッ素症(斑状歯)や、極端な高濃度地域での骨フッ素症です。81011
  • むし歯予防効果は多数の研究で検討されていますが、現代の状況(フッ化物配合歯磨剤が普及した時代)では効果量が小さく、確実性(certainty)は高くないという評価もあります。8
  • 不安が強いときは、「濃度」「他の摂取源(歯磨剤・サプリ等)」「家族の状況(乳幼児・腎機能など)」の3点で整理すると、必要な対策が見えやすくなります。1012

第1部:水道水のフッ素化の基本と、まず確認したい日常のポイント

不安を減らす第一歩は、「水道水にどのくらいのフッ化物がある前提の話か」を把握することです。同じ“フッ素”でも、自然に含まれるケースと、むし歯予防のために濃度を調整するケース、さらに歯磨剤・洗口液・サプリなど経路が異なるケースが混在すると、話がかみ合わなくなります。WHOは、基準作りの際に「水以外の摂取源」も考慮する必要があると述べています。10

1.1. 水道水のフッ素化(フロリデーション)とは?体の中で何が起こる?

水道水のフッ素化(community water fluoridation)は、水道水中のフッ化物濃度を、むし歯予防に適した範囲に“調整”する公衆衛生施策です。厚生労働省e-ヘルスネットは、フロリデーションを「水道水へのフッ化物添加により濃度を調整すること」と説明しています。3

フッ化物は、歯の表面(エナメル質)に触れることで、脱灰(歯が溶ける方向)を抑え、再石灰化(修復)を助ける働きがあるとされます。厚生労働省e-ヘルスネットは、フッ化物応用がむし歯予防に有効であること、また日常的には歯磨剤などの形で取り入れる方法があることを整理しています。4

「濃度」の目安として、米国公衆衛生局(Public Health Service)の推奨は、飲料水フッ化物濃度を0.7 mg/L(0.7 ppm)としています(気温差による水摂取量の違いなども踏まえた統一推奨)。CDCはこの推奨を紹介しています。6

一方で、水道水には安全性確保のための水質基準があります。日本の水道水質基準では「フッ素及びその化合物」に基準値が設定されています。環境省の一覧では、当該項目の基準値が示されています。5

1.2. 不安を増やしてしまう「NG習慣」:情報の混同・過剰摂取・自己判断

フッ素(フッ化物)に関する不安の多くは、「前提の違う情報を同じ話として受け取る」ことで増幅します。特に注意したいのは、次のような“混同”です。

  • 推奨濃度の水道水フッ素化と、自然に高濃度の地下水(高フッ化物地域)の健康影響を同じに扱う
  • 飲料水と、歯磨剤・洗口液・サプリなど複数の摂取源を合算せずに議論する(特に乳幼児)
  • 動物実験(高濃度・長期)を、そのまま日常の濃度に当てはめる

WHOは、高濃度の飲料水フッ化物は歯のフッ素症や骨フッ素症のリスクを高め得る一方、がんについては「人での証拠は不十分で、全体としてヒトでの発がん仮説を支持しない」という趣旨の評価(IARC/ICPS等の整理)を紹介しています。10

また、国内の資料でも、長期に高濃度を摂取する状況では骨への影響が議論されます。厚生労働省の資料(フッ化物洗口に関する整理)では、骨フッ素症が「8 ppm以上で20年以上」など高濃度・長期曝露で見られるといった説明が示されています。11

表1:不安を整理するセルフチェック(生活状況→確認ポイント)
こんな状況はありませんか? まず確認したい背景・原因カテゴリ
自治体の水道水を飲んでいるが、「フッ素が入っている」と聞いて不安 水道の水質管理(基準値・検査結果)/「フッ素化(調整)」と「自然含有」の区別35
井戸水(地下水)を日常的に飲む・料理に使う 地域・井戸の水質検査(自然に高濃度の可能性)/高濃度時の対策(除去技術)1017
乳幼児がいて、粉ミルクの調乳に水を使う 総摂取量(体重あたり)/歯のフッ素症(斑状歯)のリスク整理81012
子どもが歯磨き粉を飲み込みやすい・サプリも使っている 複数摂取源の合算/歯科での適量指導(年齢別の使い方)12
「骨肉腫」が心配で、体の痛みがある 痛みの性質(腫れ・夜間痛・持続)/受診目安(整形外科等)/研究の全体像確認1213

第2部:身体の内部要因 — 代謝・ライフステージ・「感受性の違い」を理解する

同じ濃度の水を飲んでも、体内での扱い方(代謝・排泄)や、体重・成長段階によって“影響の受けやすさ”は変わります。WHOは、フッ化物の摂取源が水だけではないこと、また腎機能などにより安全域が小さくなり得る点について「データは限られる」としつつ言及しています。10

2.1. 【特に妊娠中・授乳中・乳幼児】「心配しすぎないための」整理ポイント

妊娠中・授乳中・乳幼児の不安は「守りたい気持ち」が強いほど大きくなります。そのため、まずは“何が主要リスクとして整理されているか”を押さえると、対策が過不足なくなります。

たとえばCochraneレビューは、水道水フッ素化と歯のフッ素症の関連(頻度の推定)について、0.7 ppm条件で「審美的に気になるレベルが約12%」「何らかのフッ素症が約40%」と推定しています(確実性は低いとされます)。8ここで重要なのは、フッ素症は主に歯の形成期の過剰曝露が関わる点で、がんとは別の論点だということです。810

日本の小児歯科領域では、フッ化物配合歯磨剤の使用について、関連学会等が適切な使い方(量・吐き出し・保護者の見守り)を含めた推奨を提示しています。こうした“総量管理”の考え方は、水道水だけに不安を集中させないうえで有用です。12

2.2. 腎機能・栄養状態・成長期:骨の話が出る理由

フッ化物は体内で歯や骨に取り込まれ得るため、骨の病気(骨肉腫など)との関連が疑われやすい特徴があります。WHOは、フッ化物が歯・骨へ取り込まれること、また高濃度曝露では骨への有害影響(骨フッ素症)が生じ得ることを整理しています。10

一方で、骨肉腫(オステオサルコーマ)は主に若年者の成長期にも発生しうる希少がんであり、「成長期の骨」と「歯・骨に関連するフッ化物」が結びついて不安が強まりやすい背景があります。NCIは、骨肉腫を含む複数研究をレビューし、フッ素化水道水とがんの関連を支持する証拠がないとまとめています。1

第3部:専門的な診断が必要な疾患 — 「過剰曝露のサイン」と「がん不安」を切り分ける

水道水フッ素化の話題は“がん不安”に直結しがちですが、健康上の論点は複数あります。ここでは、医療機関で評価すべき代表例を整理します。

3.1. 代表的な疾患A:歯のフッ素症(斑状歯)

歯のフッ素症は、歯の形成期にフッ化物が過剰になることで、歯の表面に白い斑点や濁りが出る状態です。Cochraneレビューは、水中フッ化物濃度とフッ素症の関連について過去研究をまとめ、0.7 ppm条件での推定値を提示しています。8

見た目が気になる場合でも、むし歯リスク・年齢・歯の状態により対応は変わります。過度に自己判断せず、歯科(小児歯科)で「歯磨剤の量」「うがいの仕方」「サプリの必要性」を含めて相談すると、日常の不安が整理しやすくなります。日本の学会等は、フッ化物配合歯磨剤の年齢別使用に関する考え方を示しています。12

3.2. 代表的な疾患B:骨フッ素症/骨肉腫(オステオサルコーマ)に関する“研究の真相”

骨フッ素症(慢性フッ素中毒)は、非常に高い濃度のフッ化物を長期間摂取する状況で問題になることが中心です。WHOは、飲料水中フッ化物が3〜6 mg/L程度で骨の変化が見られ得ること、10 mg/L超では重篤な骨フッ素症が起こりうることを整理しています。10国内資料でも、骨フッ素症が高濃度・長期曝露で起こりうるという説明が示されています。11

一方、骨肉腫(悪性骨腫瘍)と水道水フッ素化の関係は、研究が重ねられてきましたが、近年の研究・総合評価では「関連を支持しない」方向の結果が多い、というのが現状です。

不安の出発点としてしばしば言及されるのが、米国National Toxicology Program(NTP)の動物試験です。NTPの報告では、フッ化ナトリウムを含む飲料水を与えたラット・マウスの長期試験がまとめられています。9ただし、動物試験はヒトの生活曝露と条件が大きく異なる場合があり、これだけで日常の水道水を「危険」と結論づけることはできません。NCIも、動物試験や疫学研究を含めて総合的にレビューし、フッ素化水道水とがんを結びつける証拠はないと整理しています。1

ヒト研究では、2006年に米国の症例対照研究の一部解析で「男児の特定の年齢曝露で関連が示唆された」という結果が報告され、議論が強まりました。ただし著者らは探索的解析であり、追加研究が必要だとしています。16

その後、より直接的・大規模な検討が進みました。たとえば、2020年の症例対照研究(J Dent Res)は、コミュニティ水道水フッ素化と骨肉腫リスクの関連がないことを示したと報告しています。132016年のテキサスでの研究も、公的飲料水中フッ化物濃度と小児・若年者の骨肉腫に関連が見られなかったと結論づけています。14英国(グレートブリテン)でも、小地域解析で「フッ化物濃度が高い地域ほど骨肉腫が増える」という証拠はないと報告されています。15

これらの知見を踏まえ、米国がん協会(American Cancer Society)は、水道水フッ素化とがんの関連に関する研究結果は一貫しておらず、全体としては関連を示さないと説明しています。2米国国立がん研究所(NCI)も同様に、フッ素化水道水ががんを引き起こすという主張を支持する証拠はないとまとめています。1

第4部:今日から始める不安の整理と改善アクションプラン

「フッ素=怖い」と一括りにするのではなく、①濃度、②摂取源の合算、③家族の状況(乳幼児・腎機能・井戸水など)を押さえると、必要以上に怯えずに行動できます。WHOも、基準や評価では他の摂取源を考慮する重要性を述べています。10

表2:不安を減らす改善アクションプラン(現実的な手順)
ステップ アクション 具体例
Level 1:今日できること 「前提」を揃える(濃度・摂取源・家族状況) 自治体の水質情報を確認/歯磨剤の量と使い方を見直す(子どもの飲み込み対策)512
Level 2:今週できること “過剰曝露になりやすいパターン”を潰す 井戸水の検査を検討/サプリや洗口液の重複使用を整理/乳幼児の調乳水の選択を家族で共有81012
Level 3:必要時に行うこと 根拠に基づく相談(歯科・医療・水質) 歯の斑点が気になる→歯科/腎機能低下がある→主治医に摂取源を共有/水中フッ化物が高い→除去技術(逆浸透膜など)も含め検討1017

第5部:専門家への相談 — いつ・どこで・どのように?

「ネット情報で不安が増えた」「子どもに影響がないか心配」と感じた時点で、相談する価値があります。不安を抱えたまま我慢(がまん)してしまうと、必要な確認が遅れ、かえってストレスが長引きます。

5.1. 受診を検討すべき危険なサイン

  • 歯の異常:子どもの歯に白い斑点や濁りが目立つ、見た目の変化が進む(歯のフッ素症の可能性)8
  • 骨・関節の症状:原因不明の腫れ、持続する強い痛み、夜間痛、触れると熱感がある(整形外科で評価が必要なサイン)
  • 誤飲・急性症状:大量摂取の可能性があり、吐き気・嘔吐・腹痛などが強い/意識がもうろうとする場合は救急(119)を検討

家庭内の誤飲や急性中毒の相談先として、公益財団法人 日本中毒情報センター(中毒110番)は、事故が起きている場合に限定して情報提供を行うと案内しています。18

5.2. 症状に応じた診療科の選び方

  • 歯の見た目(白斑・濁り)/子どもの歯磨剤の使い方→歯科・小児歯科12
  • 腎機能低下があり、摂取源が気になる→かかりつけ医(内科・腎臓内科)10
  • 骨の腫れ・痛みが続く→整形外科(必要に応じて画像検査等)
  • 水質そのものが気になる(井戸水など)→自治体・検査機関(水質検査の相談)

5.3. 診察時に持参すると役立つものと費用の目安

  • 飲み水の種類(水道/井戸水/浄水器/ボトル水)と使用年数
  • 歯磨剤・洗口液・サプリの種類、子どもの使用量(写真でも可)12
  • 自治体の水質情報や、井戸水検査結果があれば持参
  • 費用は検査・処置内容や保険適用で変わります。気になる場合は受付で「保険適用の範囲」「追加費用の有無」を先に確認すると安心です。

よくある質問

Q1: 水道水のフッ素化で、がん(骨肉腫)になりますか?

A1: 現時点の総合評価では、推奨濃度で実施される水道水フッ素化ががんリスクを高めることを支持する確かな証拠は確認されていません。米国国立がん研究所(NCI)や米国がん協会(American Cancer Society)は、複数の研究をレビューしたうえで同様の趣旨を示しています。12

Q2: 1990年代の「フッ素で骨肉腫が増えた」という話は何ですか?

A2: 不安の出発点の一つに、米国National Toxicology Program(NTP)の動物試験があり、骨の腫瘍が議論された経緯があります。9ただし動物試験は曝露条件が日常生活と大きく異なり、NCIは疫学研究も含めて総合評価した結果、フッ素化水道水とがんを結びつける証拠はないとまとめています。1

Q3: 2006年の研究で「男児に関連がある」と聞きました。本当ですか?

A3: 2006年の症例対照研究で、男児の一部解析に関連が示唆されたと報告され、議論になりました。16ただし探索的解析であり、追加研究が必要とされています。16

その後の研究(2020年の症例対照研究、2016年テキサスの研究、英国の小地域解析など)では、飲料水中フッ化物と骨肉腫リスクの明確な関連は示されていません。131415

Q4: 日本では水道水のフッ素化は行われていますか?

A4: 厚生労働省e-ヘルスネットの解説では、海外で実施されている水道水フロリデーションの歴史や、日本での試験的実施の経緯に触れたうえで、現在の状況について説明があります。3一方、日本の水道水は水質基準に基づく管理が行われ、「フッ素及びその化合物」の基準値も定められています。5

Q5: むし歯予防効果はどのくらい期待できますか?

A5: 米国CDCは、水道水フッ素化がむし歯を減らす有効な公衆衛生施策であることを説明し、地域水道のフッ素化でむし歯が減ることを示しています。7

ただし、Cochraneレビュー(2024年更新)は、現代の状況(1975年以降)では効果量が小さく、確実性(certainty)が低い点も指摘しています。8つまり「効く/効かない」の二択ではなく、地域の口腔保健施策全体(歯磨剤の普及、受診状況、食習慣)と合わせて評価するのが現実的です。8

Q6: 一番心配すべき副作用は何ですか?

A6: 一般に議論されるのは、歯の形成期の過剰曝露による「歯のフッ素症(斑状歯)」です。Cochraneレビューは水中フッ化物濃度とフッ素症の関連を整理しています。8

極端に高濃度の地域では骨フッ素症が問題になることがありますが、WHOはそのリスクが高濃度(例:3〜6 mg/L、10 mg/L超など)で増えると整理しています。10

Q7: 浄水器でフッ素(フッ化物)は除去できますか?

A7: 除去の可否は方式によります。米国EPAの資料は、フッ化物低減の技術として逆浸透(reverse osmosis)などの処理技術を挙げています。17導入時は、製品仕様(除去対象物質としてフッ化物が明記されているか)と、フィルター交換・メンテナンス条件を確認してください。17

Q8: 子どもが歯磨き粉を飲み込んでしまいます。どうすればいい?

A8: 小児では「飲み込み」を前提に、歯磨剤の量・使い方を年齢に合わせて調整することが重要です。国内の関連学会等は、フッ化物配合歯磨剤の適切な使用について整理しています。12

大量に誤飲した可能性があり体調不良が強い場合は、救急(119)を検討しつつ、公益財団法人 日本中毒情報センター(中毒110番)に相談する選択肢もあります。18

結論:この記事から持ち帰ってほしいこと

水道水のフッ素化=がん、という単純な結論は、現在の総合評価では支持されていません。米国国立がん研究所(NCI)や米国がん協会(American Cancer Society)は、フッ素化水道水とがんの関連を支持する証拠がない、または一貫した関連が示されていないと説明しています。12

一方で、フッ化物は摂取源が複数あり、乳幼児の歯の形成期などでは「総量管理」が重要になります。国内の学会等の推奨や、WHO資料の考え方(他の摂取源も考慮)を参考に、濃度・経路・家族状況の3点で整理してください。1012

不安が続く場合は、歯科(小児歯科)やかかりつけ医に「生活の状況」を具体的に共有すると、必要な確認が最短で進みます。心配を一人で抱え込まず、早めに相談することは、あなた自身と家族を守る大切な行動です。

この記事の編集体制と情報の取り扱いについて

Japanese Health(JHO)は、信頼できる公的情報源と査読付き研究に基づいて、健康・医療・美容に関する情報をわかりやすくお届けすることを目指しています。

本記事の原稿は、AIツールを活用して下調べと構成案を作成したうえで、JHO編集部が一次資料(厚生労働省e-ヘルスネット、WHO、NCI、Cochraneレビュー、PubMed掲載論文等)と照合しながら、内容・表現・数値・URLの妥当性を人の目で一つひとつ確認しています。最終的な掲載判断はすべてJHO編集部が行っています。13810

ただし、本サイトの情報はあくまで一般的な情報提供を目的としており、個々の症状に対する診断や治療の決定を直接行うものではありません。気になる症状がある場合や、治療の変更を検討される際は、必ず医師などの医療専門家にご相談ください。

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免責事項 本記事は情報提供のみを目的としており、専門的な医学的助言や診断、治療に代わるものではありません。健康上の懸念がある場合や、治療内容の変更・中止等を検討される際には、必ず資格のある医療専門家にご相談ください。

参考文献

  1. National Cancer Institute(米国国立がん研究所). Fluoridated Water(フッ素化水道水)に関するファクトシート. 2025. https://www.cancer.gov/about-cancer/causes-prevention/risk/myths/fluoridated-water-fact-sheet(最終アクセス日:2025-12-21)

  2. American Cancer Society. Water Fluoridation and Cancer Risk. (更新年はページ内記載). https://www.cancer.org/cancer/risk-prevention/chemicals/water-fluoridation-and-cancer-risk.html(最終アクセス日:2025-12-21)

  3. 厚生労働省 e-ヘルスネット. 水道水フロリデーション. (更新年はページ内記載). https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-01-004.html(最終アクセス日:2025-12-21)

  4. 厚生労働省 e-ヘルスネット. フッ化物応用. (更新年はページ内記載). https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-01-002.html(最終アクセス日:2025-12-21)

  5. 環境省. 水質基準項目と基準値等(フッ素及びその化合物). (更新年はページ内記載). https://www.env.go.jp/water/water_supply/kijun.html(最終アクセス日:2025-12-21)

  6. Centers for Disease Control and Prevention(CDC). Public Health Service recommends fluoride concentration of 0.7 mg/L for drinking water. 2015. https://www.cdc.gov/fluoridation/php/factsheets/public-health-service-recommends-fluoride-concentration.html(最終アクセス日:2025-12-21)

  7. Centers for Disease Control and Prevention(CDC). About Community Water Fluoridation. (更新年はページ内記載). https://www.cdc.gov/fluoridation/about/index.html(最終アクセス日:2025-12-21)

  8. Iheozor-Ejiofor Z, et al(Cochrane Oral Health). Water fluoridation for the prevention of dental caries. Cochrane Database Syst Rev. 2024. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39362658/(最終アクセス日:2025-12-21)

  9. National Toxicology Program(NTP), NIEHS. Toxicology and Carcinogenesis Studies of Sodium Fluoride in F344/N Rats and B6C3F1 Mice (Drinking Water Studies)(Abstract). 1990. https://ntp.niehs.nih.gov/publications/reports/tr/300s/tr393/index.html(最終アクセス日:2025-12-21)

  10. World Health Organization(WHO). Fluoride in Drinking-water: Background document for development of WHO Guidelines for Drinking-water Quality. 2004(ガイドライン値の記載あり). https://www.who.int/docs/default-source/wash-documents/wash-chemicals/fluoride-background-document.pdf(最終アクセス日:2025-12-21)

  11. 厚生労働省. フッ化物洗口の推進に関する資料(安全性・骨フッ素症等の記載). 2017. https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000165605.pdf(最終アクセス日:2025-12-21)

  12. 日本小児歯科学会(ほか関連学会等). フッ化物配合歯磨剤の推奨(声明). (更新年はページ内記載). https://www.jspd.or.jp/info/statement/statement_201705/(最終アクセス日:2025-12-21)

  13. Kim FM, et al. A Case-Control Study of Fluoridation and Osteosarcoma. J Dent Res. 2020. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7443995/(最終アクセス日:2025-12-21)

  14. Archer NP, et al. Fluoride exposure in public drinking water and childhood and adolescent osteosarcoma in Texas. Cancer Causes Control. 2016. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27189068/(最終アクセス日:2025-12-21)

  15. Blakey K, et al. Is fluoride a risk factor for bone cancer? Small area analysis of osteosarcoma and Ewing sarcoma diagnosed among 0–49-year-olds in Great Britain, 1980–2005. Int J Epidemiol. 2014. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24425828/(最終アクセス日:2025-12-21)

  16. Bassin EB, et al. Age-specific Fluoride Exposure in Drinking Water and Osteosarcoma (United States). Cancer Causes Control. 2006. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16596294/(最終アクセス日:2025-12-21)

  17. U.S. Environmental Protection Agency(EPA). Fluoride removal from drinking water supplies: feasibility and cost. 2010. https://nepis.epa.gov/Exe/ZyPDF.cgi?Dockey=P100FSFP.txt(最終アクセス日:2025-12-21)

  18. 公益財団法人 日本中毒情報センター. 中毒110番・電話サ-ビス. (更新年はページ内記載). https://www.j-poison-ic.jp/110serviece/(最終アクセス日:2025-12-21)

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