【帝王切開の赤ちゃん】免疫力を育てる習慣と受診の目安
小児科

【帝王切開の赤ちゃん】免疫力を育てる習慣と受診の目安

帝王切開で生まれた赤ちゃんでも、免疫(体を守る力)は日々の積み重ねで育っていきます。厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」や世界保健機関(WHO)の情報では、授乳(母乳・ミルクを含む栄養管理)と生活リズム、そして定期の予防接種が、乳幼児期の健康の土台として位置づけられています。

一方で、息が苦しそう・ぐったりして反応が弱い・哺乳できないなどの「いつもと違うサイン」は、免疫力の問題というより急性の病気の可能性があります。迷ったら小児科や救急に相談し、緊急性が高いと判断した場合は119番をためらわないことが大切です。

この記事では、帝王切開による「生まれ方の違い」が赤ちゃんの体にどう関係するのかを、研究データと日本の公的情報をもとに整理し、家庭でできる現実的な工夫と、受診の目安をわかりやすく解説します。罪悪感や周囲の声で一人で抱え込みやすいテーマですが、必要な知識を押さえれば、できることはたくさんあります。

Japanese Health(JHO)編集部とこの記事の根拠について

Japanese Health(JHO)は、健康と美容に関する情報を提供するオンラインプラットフォームです。膨大な医学文献や公的ガイドラインを整理し、日常生活で活用しやすい形でお届けすることを目指しています。

本記事は、JHO(JapaneseHealth.org)編集委員会が、厚生労働省や日本の専門学会、査読付き論文などの信頼できる情報に基づいて作成しました。

AIツールは文献整理や構成案作成の補助として活用していますが、公開前には一次資料(ガイドライン・論文・公的サイト等)と照合し、重要な記述を確認したうえで掲載しています。

要点まとめ

  • 帝王切開は「免疫が弱い子になる」と決めつける根拠はありません。違いが出やすいのは出生直後の腸内細菌(腸内環境)など“初期条件”で、育ち方には授乳・食事・抗菌薬(抗生物質)・環境など多くの要因が関わります。12
  • 出生後数か月の腸内細菌の特徴は、帝王切開と周産期の抗菌薬で影響を受けやすい一方、授乳(とくに母乳)でビフィズス菌などが増えやすい可能性が示されています。3
  • 感染症に「立ち向かう体づくり」の柱は、①予防接種、②栄養(授乳・離乳食)、③睡眠と生活リズム、④受動喫煙を避ける、⑤不要な抗菌薬を減らす、の5つです。456
  • 帝王切開児は研究上、喘息や肥満などのリスクがわずかに高い関連が報告されていますが、観察研究が中心で「原因が帝王切開だけ」とは言い切れません。過度に恐れず、できる対策を積み上げることが現実的です。7
  • 息が苦しい、ぐったり、哺乳できない、高熱が続く、脱水が疑われるなどは“免疫力を上げる”以前に受診が必要なサインです。迷ったら小児科へ相談しましょう。

第1部:帝王切開児の「免疫」の基本と日常生活の見直し

結論から言うと、免疫は“生まれ方”だけで決まりません。免疫は、皮膚や腸などの「バリア」、体内の「炎症反応」、抗体をつくる「獲得免疫」などが連携して働く仕組みで、乳幼児期に経験と栄養で発達していきます。

1.1. 基本的なメカニズム・体の仕組み(腸内細菌と粘膜免疫)

腸は、食べ物を消化吸収するだけでなく、体の免疫に深く関わる臓器です。腸の内側(粘膜)には免疫細胞が多く集まり、外から入ってくる微生物や食物成分と“うまく折り合いをつける”訓練をしています。

Frontiers in Nutritionの系統的レビューでは、帝王切開と周産期の抗菌薬(分娩時抗菌薬など)が、出生後早期の腸内細菌、とくにBacteroides(バクテロイデス属)の定着に影響しやすいことがまとめられています。一方で、授乳(とくに完全母乳)がビフィズス菌など(Bifidobacteria)の回復に関連する可能性も示されています。8

ここで大切なのは、「帝王切開=腸内細菌がダメ」という短絡ではなく、“初期の傾向が違うことがある”という理解です。腸内細菌は授乳・離乳食・生活環境・感染症・抗菌薬など多くの要因で変化します。気になるときは、まず生活の基盤(栄養・睡眠・予防接種・受動喫煙)を固めることが、遠回りに見えて一番の近道です。910

1.2. 悪化させてしまうNG習慣(“がんばりすぎ”が裏目に出る場面)

「免疫力を上げたい」と思うほど、つい“正解探し”に走りやすくなります。しかし乳幼児期は、やりすぎが逆効果になることがあります。以下は、厚生労働省や小児関連の公的情報が強調するポイントに照らして、見直しやすい項目です。1112

  • 受動喫煙を「換気すれば大丈夫」と考える:厚生労働省の受動喫煙情報では、子どもの急性呼吸器疾患、中耳疾患、喘息悪化、SIDS(乳幼児突然死症候群)などとの関連が示唆されています。家庭内・車内の“少しだけ”も積み重なりやすい点に注意が必要です。13
  • 風邪症状ですぐ抗菌薬(抗生物質)を求める/自己判断で中断する:日本小児科学会は抗菌薬適正使用の考え方を示し、必要なときに適切な薬を適切な量・期間で使うことが重要だとしています。厚生労働省もAMR(薬剤耐性)対策として不適正使用の問題を整理しています。1415
  • 睡眠や生活リズムを後回しにする:夜泣きや授乳で乱れやすい時期ほど、親子の生活リズムを整える支援(授乳相談・体重チェック等)が重要とされます。国立成育医療研究センターの産後ケア(コアラサポート)でも、生活リズムを整える支援が含まれています。16
  • 「帝王切開だから何かしないと」と焦って未検証の方法に飛びつく:たとえば“膣内細菌の塗布(vaginal seeding)”は感染リスクが懸念され、複数の公的機関・医療機関向け情報で慎重姿勢が示されています(研究環境外での実施は推奨されない、など)。17
表1:セルフチェックリスト(家庭で状況整理するための例)
こんな症状・状況はありませんか? 考えられる主な背景・原因カテゴリ(まず確認する順)
発熱や咳のたびに「帝王切開のせいかも」と強く不安になる 集団生活・季節要因(通常の範囲)/予防接種の進み具合/受診の目安の理解
夜間に咳が長引く、家族に喫煙者がいる 受動喫煙/室内環境/喘息・アレルギーの可能性(小児科相談)
風邪症状があるたびに抗菌薬を希望してしまう 抗菌薬の適正使用(ウイルス性上気道炎では不要なことが多い)/医師に相談
授乳がうまくいかず、親が強いストレスを感じている 授乳支援(助産師・保健師・産後ケア)/混合栄養も含めた現実的な計画
ゼーゼーする、呼吸が苦しそう、哺乳量が急に減った 急性疾患の可能性(早めの受診・救急)/“免疫力”の問題として放置しない

第2部:身体の内部要因 — 栄養・腸内環境・親の回復(産後)

免疫の“内側の土台”は、栄養と腸内環境、そして育児を担う大人の回復と支援体制に左右されます。赤ちゃんの体は親の生活と直結しているため、「赤ちゃんだけ頑張る」は現実的ではありません。

2.1. 【授乳期の土台】母乳・ミルクは「勝ち負け」ではなく、続けやすさが最優先

厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」は、授乳を“親子にとって安全で続けやすい形”で支える観点から情報を整理しています。完全母乳が難しい場合でも、混合栄養や育児支援を含めて、親子に合う形を選ぶことが重要です。18

WHOは、乳児の栄養として母乳が重要であることを繰り返し示し、感染症リスク低減などの観点からも情報提供しています。19

国立成育医療研究センターの情報でも、授乳に関する相談窓口や情報整理が提供されており、「困ったら相談してよい」領域であることが分かります。授乳は“根性”で解決するより、サポートを使って続けやすくする方が結果的に親子の健康に寄与します。20

2.2. 【離乳食と腸内環境】焦らず「種類」と「リズム」を積み上げる

離乳食期は、腸が食べ物に慣れ、腸内細菌の多様性が変化していく重要な時期です。厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」では、離乳の進め方や注意点が体系的に整理されています。21

Frontiers in Nutritionのレビューでも、帝王切開後の腸内細菌の発達は、授乳(母乳・混合・人工)や抗菌薬曝露の影響を受けることが整理されています。したがって「腸活」を特殊な方法で頑張るより、まずは離乳食を生活の中に無理なく組み込み、食材の幅を広げることが現実的です。22

なお、プロバイオティクス(乳酸菌・ビフィズス菌などのサプリ)については、Frontiers in Pediatricsの系統的レビューで、いくつかのアウトカム改善が示唆されつつも、製品や研究のばらつきが大きく、ルーチンで推奨できる段階ではないと結論づけられています。使用を検討する場合は、赤ちゃんの持病や早産歴なども含め、小児科で相談してください。23

2.3. 【帝王切開の親の回復】親の回復と支援が、赤ちゃんの健康行動を支える

帝王切開後は、手術後の回復に加え、授乳や抱っこ姿勢の負担も重なりやすく、親の疲労・痛み・睡眠不足が長引くことがあります。日本産科婦人科学会の「産婦人科診療ガイドライン―産科編」など、日本の産科医療はガイドラインに基づき周産期のケアを整理しています。産後の不調や痛みが強い場合は、遠慮せず産科に相談してください。24

国立成育医療研究センターの産後ケア(コアラサポート)では、退院直後の母子に対して心身のケアや育児サポートを行い、授乳相談や体重・栄養チェック、生活リズムを整える支援が含まれています。「頼ること」は甘えではなく、親子の健康戦略の一部です。25

第3部:専門的な診断が必要な疾患(“免疫力”の話だけで片づけない)

「風邪をひきやすい」「治りが遅い」などの悩みはよくありますが、なかには検査や治療が必要な病気が隠れている場合があります。ここでは、帝王切開児に限らず、小児科で評価が必要になりやすい代表的なケースを整理します。

3.1. 喘鳴(ゼーゼー)・喘息、アレルギーが疑われる場合

PLOS Medicineの系統的レビュー(長期アウトカムのメタ解析)では、帝王切開で生まれた子どもは、12歳までの喘息や幼児期の肥満などでオッズ比が上がる関連が報告されています。ただし観察研究が中心で、因果関係は断定できない点も明記されています。つまり「帝王切開だから必ず喘息」ではありませんが、「ゼーゼーが続く」「夜間の咳で眠れない」などは小児科で評価する価値があります。26

また、厚生労働省の受動喫煙情報では、喘息悪化や呼吸器疾患との関連が示唆されており、症状がある子ほど受動喫煙対策は優先度が高いと言えます。27

3.2. 反復する重い感染症・発育不良など(免疫不全などの除外)

多くの子どもは成長とともに感染症を経験しながら免疫が成熟します。しかし、重症化しやすい、回復に極端に時間がかかる、体重が増えない、哺乳が続かないなどがある場合は、「体質」や「免疫力」で片づけず、小児科で経過をまとめて相談しましょう。

相談時は、母子健康手帳(健診・予防接種・体重の記録)を持参すると評価がスムーズです。厚生労働省の母子健康手帳に関する資料でも、健診・予防接種・発育曲線などの記録が全国一律の必須項目として位置づけられていることが示されています。28

第4部:今日から始める改善アクションプラン(“強い体”を支える現実的な手順)

ここからは「何をすればいいか」を具体的にします。ポイントは、特別な健康法ではなく、公的に推奨されている土台を漏れなく積むことです。とくに乳幼児期は、予防接種・栄養・受動喫煙回避・抗菌薬の適正使用が、結果に直結しやすい行動です。293031

表2:改善アクションプラン(帝王切開児の“免疫の土台”づくり)
ステップ アクション 具体例(家庭での落とし込み)
Level 1:今日からできること 受動喫煙ゼロを目指す 厚生労働省が示す受動喫煙の健康影響を家族で共有し、家・車内は完全禁煙にする。喫煙者は屋外でも子どもから離れ、衣類・手指のケアも徹底する。13
Level 1:今日からできること 授乳・ミルクを「続けやすさ」中心で整える 厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」を軸に、混合栄養も含めた現実的な計画にする。授乳の痛み・不安は相談(助産師・保健師・産後ケア)につなぐ。116
Level 2:今週から着手する 予防接種の計画を立てて予約する 厚生労働省の定期接種情報と、日本小児科学会の最新スケジュール(更新日を確認)で全体像を把握し、自治体・小児科で予約を組む。45
Level 2:今週から着手する 「抗菌薬は必要なときだけ」を家族ルールにする 日本小児科学会の考え方を参考に、風邪症状(ウイルス性が多い)で安易に抗菌薬を求めない。処方された場合は自己判断で中断せず、疑問は医師に確認する。614
Level 3:長期で積み上げる 離乳食と生活リズムを「無理なく継続」 厚生労働省のガイドに沿い、年齢に応じた食材の幅と食事リズムを増やす。腸内細菌は食事・抗菌薬などで変化するため、極端な“腸活”ではなく土台を整える。18

補足として、出生直後のスキン・トゥ・スキン(肌と肌のふれあい)は、WHOの情報で授乳支援の観点からも紹介されています。病院の方針や赤ちゃんの状態によって実施条件は異なるため、希望がある場合は医療スタッフに相談してください。32

第5部:専門家への相談 — いつ・どこで・どのように?

「受診するほどでは…」「迷惑をかけたくない」——日本ではこうした遠慮(がまん)が受診を遅らせる原因になることがあります。しかし、乳幼児は状態の変化が速く、早めの相談が結果的に医療の負担を減らすことも少なくありません。

5.1. 受診を検討すべき危険なサイン(救急も含む)

  • 呼吸が苦しそう(肩で息をする、胸がへこむ、唇が紫っぽい、ゼーゼーが強い)
  • ぐったりして反応が弱い、意識がはっきりしない
  • 哺乳できない/飲めない、尿が極端に少ない(脱水が疑われる)
  • けいれん、激しい嘔吐、血便などがある
  • 発熱が続き、月齢や全身状態から不安が強い(受診の可否で迷うときも含む)

これらは「免疫力を育てれば解決」という類の話ではなく、急性疾患の評価が必要なサインです。夜間・休日で判断に迷うときは救急相談や医療機関に連絡し、緊急性が高い場合は119番を検討してください。

5.2. 症状に応じた診療科の選び方

  • 基本は小児科:発熱、咳、下痢、発疹、哺乳不良、体重増加の相談など
  • 呼吸の症状が強い:小児科(必要に応じて小児呼吸器・アレルギー)/救急
  • 親(産後)の不調が強い:産科(帝王切開後の痛み・出血・メンタル不調など)

産後の相談先については、日本産科婦人科学会のガイドラインなどで周産期ケアが整理されています。痛みや不調を「我慢が足りない」と受け止めず、医療の対象として相談してください。33

5.3. 診察時に持参すると役立つものと費用の目安

  • 母子健康手帳(健診・予防接種・成長記録)
  • 症状メモ(いつから、熱の推移、咳・便・食欲・尿の回数、家族内の感染状況)
  • お薬手帳(処方歴・アレルギー歴)

母子健康手帳の役割については、厚生労働省の資料で、健診・予防接種・発育曲線などが記録として位置づけられていることが示されています。34

よくある質問

Q1: 帝王切開だと、風邪をひきやすい子になりますか?

A: 「必ずそうなる」とは言えません。Frontiers in Nutritionのレビューでは、帝王切開で出生早期の腸内細菌の特徴が異なり得ることが整理されていますが、腸内環境は授乳・食事・抗菌薬など多くの要因で変化します。8

また、PLOS Medicineの大規模レビューでは、喘息などで“関連”が示される一方、観察研究中心で因果は断定できないと明記されています。日々できる対策(予防接種、栄養、受動喫煙回避など)を積み上げることが現実的です。713

Q2: 母乳じゃないと免疫が育たないのでしょうか?

A: 免疫は母乳だけで決まるものではありません。WHOは母乳の重要性を示していますが、厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」は、授乳を親子にとって続けやすい形で支える視点で情報を整理しています。12

母乳が難しい場合でも、混合栄養や支援を使い、赤ちゃんの発育と家庭の継続性を優先してください。授乳の相談先として国立成育医療研究センターの情報も参考になります。3

Q3: 腸内環境のためにプロバイオティクス(乳酸菌サプリ)を使うべき?

A: 現時点では「帝王切開児にルーチンで推奨できる」と言えるほど、結論は固まっていません。Frontiers in Pediatricsの系統的レビューでは、一部のアウトカム改善が示唆されつつも研究数が少なく、製品の違いも大きいため、 routine application(常用)として推奨できないとまとめています。12

検討する場合は、早産歴、アレルギー、基礎疾患などを含めて小児科で相談してください。腹部膨満や嘔吐、血便などがある場合はサプリで様子見せず受診が優先です。

Q4: 予防接種は「免疫力づくり」に本当に重要ですか?

A: はい。厚生労働省は定期接種の情報を提供しており、乳幼児期は月齢に合わせて複数のワクチンを計画的に接種します。4

また、日本小児科学会は推奨する予防接種スケジュールを更新し、最新の整理を公開しています(更新日を確認して利用してください)。5

Q5: 風邪のたびに抗菌薬(抗生物質)を使った方が早く治りますか?

A: 風邪症状はウイルスが原因のことが多く、抗菌薬が効かない場合があります。日本小児科学会は、抗菌薬適正使用として「必要な場合に、適切な薬を、適切な量と期間で」使うことを示しています。6

CDCの小児外来診療向け資料でも、上気道感染症などで抗菌薬が必要かどうかの基準が整理されています。自己判断で「欲しい」「やめる」を繰り返すより、医師に症状の経過を伝えて相談する方が安全です。9

Q6: “膣内細菌の塗布(vaginal seeding)”は免疫に良いと聞きました。やるべき?

A: 現時点で、一般家庭での実施を勧めるだけの安全性と有効性の根拠は十分ではありません。感染リスク(病原体の伝播)を含む懸念があり、公的な医療情報でも研究環境外での実施は推奨されないといった慎重姿勢が示されています。17

「何かしないと不安」という気持ちは自然ですが、まずは予防接種、受動喫煙回避、授乳・離乳の土台、不要な抗菌薬を減らすなど、確度の高い対策を優先してください。1413

Q7: 親が疲れ切っていて、生活が整いません。どうしたら?

A: 「親の回復」は、赤ちゃんの健康行動(授乳、通院、睡眠、食事)を支える基盤です。国立成育医療研究センターの産後ケアでは、授乳相談や体重・栄養チェック、生活リズムを整える支援が含まれています。16

また、母子健康手帳の仕組みは自治体の支援や健診につながる入口でもあります。まずは自治体の保健師、産科、助産師、産後ケアなど「使える支援」を具体的に挙げ、頼る順番を決めることが現実的です。14

結論:この記事から持ち帰ってほしいこと

帝王切開で生まれた赤ちゃんの免疫は、「特別な方法」で作るものではなく、公的に推奨される土台を抜けなく積むことで育っていきます。具体的には、厚生労働省の授乳・離乳の考え方、定期の予防接種、日本小児科学会が示す抗菌薬の適正使用、そして受動喫煙を避けることが柱です。14613

研究では、帝王切開と喘息などの関連が報告される一方、因果関係は断定できないことも明記されています。過度に恐れるのではなく、できる対策を積み上げる姿勢が現実的です。7

そして何より、「いつもと違う」「苦しそう」と感じたら、免疫力の話に回収せず、早めに小児科へ相談してください。迷ったときに相談することは、家族を守るための合理的な行動です。

この記事の編集体制と情報の取り扱いについて

Japanese Health(JHO)は、信頼できる公的情報源と査読付き研究に基づいて、健康・医療・美容に関する情報をわかりやすくお届けすることを目指しています。

本記事の原稿は、AIツールを用いて文献整理と構成案作成の補助を行ったうえで、JHO編集部が一次資料(厚生労働省、日本の学会、国際機関、査読付き論文など)と照合しながら、内容・表現・数値・URLの妥当性を確認しています。

ただし、本サイトの情報は一般的な情報提供を目的としており、個々の症状に対する診断や治療の決定を直接行うものではありません。気になる症状がある場合や、治療の変更を検討される際は、必ず医師などの医療専門家にご相談ください。

私たちの運営ポリシーや編集プロセスの詳細は、運営者情報(JapaneseHealth.org)をご覧ください。

免責事項 本記事は情報提供のみを目的としており、専門的な医学的助言や診断、治療に代わるものではありません。健康上の懸念がある場合や、治療内容の変更・中止等を検討される際には、必ず資格のある医療専門家にご相談ください。

参考文献

  1. Frontiers in Nutrition. Neonatal Diet and Gut Microbiome Development After C-Section During the First Three Months After Birth: A Systematic Review. 2022. https://www.frontiersin.org/journals/nutrition/articles/10.3389/fnut.2022.941549/full(最終アクセス日:2025-12-20)

  2. PLOS Medicine. Long-term risks and benefits associated with cesarean delivery for mother, baby, and subsequent pregnancies: Systematic review and meta-analysis. 2018. https://journals.plos.org/plosmedicine/article?id=10.1371%2Fjournal.pmed.1002494(最終アクセス日:2025-12-20)

  3. 厚生労働省. 授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版). 2019. https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04250.html(最終アクセス日:2025-12-20)

  4. 世界保健機関(WHO). Exclusive breastfeeding(ELENA). https://www.who.int/tools/elena/interventions/exclusive-breastfeeding(最終アクセス日:2025-12-20)

  5. 厚生労働省. 生後2か月から推奨される予防接種. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/vaccine/months-2.html(最終アクセス日:2025-12-20)

  6. 公益社団法人 日本小児科学会. 日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール(更新:2025.12.16). https://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=138(最終アクセス日:2025-12-20)

  7. 公益社団法人 日本小児科学会. 抗菌薬適正使用に関する日本小児科学会の考え方. 2020. https://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=241(最終アクセス日:2025-12-20)

  8. 厚生労働省. 薬剤耐性(AMR)対策. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000120172.html(最終アクセス日:2025-12-20)

  9. CDC. Outpatient Clinical Care for Pediatric Populations | Antibiotic Prescribing and Use. 2024. https://www.cdc.gov/antibiotic-use/hcp/clinical-care/pediatric-outpatient.html(最終アクセス日:2025-12-20)

  10. 厚生労働省. 子育て世代のみなさまへ – なくそう!望まない受動喫煙。(受動喫煙が与える胎児や子どもへの影響). https://jyudokitsuen.mhlw.go.jp/people/kosodate/(最終アクセス日:2025-12-20)

  11. 国立成育医療研究センター. コアラサポート(産後ケア)について. https://www.ncchd.go.jp/hospital/pregnancy/bunben/koala_support.html(最終アクセス日:2025-12-20)

  12. Frontiers in Pediatrics. Clinical outcomes following pre-, pro- and synbiotic supplementation after caesarean birth or antibiotic exposure in the first week of life in term born infants: A systematic review of the literature. 2022. https://www.frontiersin.org/journals/pediatrics/articles/10.3389/fped.2022.974608/full(最終アクセス日:2025-12-20)

  13. 世界保健機関(WHO)Western Pacific. Skin-to-skin contact helps newborns breastfeed. https://www.who.int/westernpacific/newsroom/feature-stories/item/skin-to-skin-contact-helps-newborns-breastfeed(最終アクセス日:2025-12-20)

  14. 厚生労働省. 母子健康手帳について(資料). https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11921000-Kodomokateikyoku-Soumuka/koremade.pdf(最終アクセス日:2025-12-20)

  15. 公益社団法人 日本産科婦人科学会. 産婦人科診療ガイドライン―産科編 2023. https://www.jsog.or.jp/activity/pdf/gl_sanka_2023.pdf(最終アクセス日:2025-12-20)

  16. 国立成育医療研究センター. 授乳と薬について知りたい方へ. https://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/(最終アクセス日:2025-12-20)

  17. Safer Care Victoria(Department of Health Victoria). Vaginal seeding consensus statement. https://www.safercare.vic.gov.au/best-practice-improvement/clinical-guidance/maternity/vaginal-seeding-consensus-statement(最終アクセス日:2025-12-20)

 

この記事はお役に立ちましたか?
はいいいえ