急に子どもが大量に吐いてしまうと、「このあと何を飲ませればいいの?」「ミルクや牛乳は大丈夫?」と強い不安に襲われる方が多いと思います。特にまだ言葉で体調をうまく伝えられない赤ちゃんや幼児の場合、親としては少しの変化も見逃したくないものです。
一方で、嘔吐は風邪や胃腸炎だけでなく、ミルクの飲みすぎ、げっぷがうまく出ていない、便秘など日常的な要因でも起こります。また、まれではありますが、腸重積症(ちょうじゅうせき)や肥厚性幽門狭窄症(ひこうせいゆうもんきょうさくしょう)など、緊急の治療が必要な病気が隠れていることもあります。
本記事では、子どもが嘔吐したときに考えられる主な原因と、「ミルクや牛乳を飲ませてよいケース・注意が必要なケース」を整理しながら、自宅でのケアのポイントと、どのタイミングで医療機関を受診すべきかをわかりやすく解説します。
嘔吐したときの対応で最も大切なのは、無理をさせずに脱水を防ぎつつ、危険なサインを見逃さないことです。日常生活でできる範囲のケアと、早めに受診したほうがよい場面を切り分けられるよう、一つひとつ見ていきましょう。
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Japanese Health(JHO)編集部とこの記事の根拠について
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- 厚生労働省・自治体・公的研究機関:授乳・離乳の支援ガイドや小児の栄養に関する資料など、日本人向けの公式情報を優先して参照しています。
- 国内外の医学会ガイドライン・査読付き論文:小児の嘔吐・脱水への対応に関するガイドラインや、小児科専門機関の解説、世界保健機関(WHO)、American Academy of Pediatrics などのエビデンスをもとに要点を整理しています。
- 日本の小児科クリニックや病院の情報提供ページ:実際の診療現場で使われているホームケアの目安や、保護者への説明内容を参考にしながら、家庭で実践しやすい形にまとめています。
AIツールは、文献の要約や構成案作成の「アシスタント」として活用していますが、公開前には必ずJHO編集部が原著資料と照合し、重要な記述を一つひとつ確認しながら、事実関係・数値・URLの妥当性を検証しています。
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要点まとめ
- 子どもの嘔吐は、ミルクの飲みすぎやげっぷ不足といった軽い原因から、胃腸炎や腸重積症など治療が必要な病気まで、さまざまな要因で起こります。
- 嘔吐直後にたくさんの水やミルクを一気に飲ませると、かえって嘔吐が続いて脱水を悪化させるおそれがあります。まずは少し休ませ、少量ずつ水分を与えることが基本です。
- 母乳は消化がよく、嘔吐・下痢時の水分源としても適していますが、「短時間・少なめ」をこまめに与えるようにし、飲ませすぎに注意します。
- ミルク(育児用ミルク)や牛乳は、軽い嘔吐であれば休憩後に少量から再開できることが多い一方、強い胃腸炎が疑われる場合や下痢がひどい場合は、まず経口補水液を優先し、ミルクは医療者の指示に従って段階的に再開したほうが安心です。
- ぐったりしている、尿が極端に少ない、血や緑色の嘔吐、激しい腹痛・高熱などがある場合は、自己判断で様子を見続けず、早めに小児科や救急外来を受診しましょう。
「さっき飲んだミルクを全部吐いてしまった」「顔色は悪くないけれど、このまま様子を見て大丈夫なの?」——そんな不安を抱え、夜間や休日にどう対応すべきか迷う保護者の方は少なくありません。
この記事では、まず「なぜ嘔吐が起こるのか」という体の仕組みと、日常生活のなかで悪化させてしまいがちなポイントを整理します。そのうえで、ミルクや牛乳を飲ませてよいパターン/控えたほうがよいパターンを具体的な例とともに解説します。
さらに、腸重積症や肥厚性幽門狭窄症など、専門的な治療が必要になる病気のサインや、経口補水液の使い方、自宅でできる観察のコツについても触れます。必要に応じて、JapaneseHealth.org の他の記事も参考にしながら、お子さんの状態に合わせた情報を活用してください。
読み進めていただくことで、「どこまで自宅で様子を見てよいか」「いつ・どの診療科に相談すべきか」が、少しずつ具体的にイメージできるようになることを目指しています。
第1部:子どもの嘔吐の基本と家庭でできる観察・ケア
最初に、嘔吐そのものの仕組みと、家庭で確認しておきたい基本的なポイントを整理します。「何回吐いたか」「どんな様子で吐いたか」「そのあと機嫌はどうか」といった情報は、医療機関を受診するときにも大切な手がかりになります。
1.1. 嘔吐のメカニズムと「吐き戻し」との違い
嘔吐とは、胃の内容物が逆流して口や鼻から勢いよく吐き出される現象です。脳の中にある「嘔吐中枢(おうとちゅうすう)」が、胃腸の状態や血液中の成分、平衡感覚などさまざまな情報を受け取り、「危険」と判断したときに吐き気や嘔吐を起こすと考えられています。
一方、特に赤ちゃんでは、飲んだミルクや母乳が口から少しこぼれ落ちるように出てくる「吐き戻し」がよく見られます。これは胃の入り口の筋肉がまだ未熟で、胃の中のものが簡単に食道側へ戻りやすいために起こるもので、多くは成長とともに自然に落ち着きます。
一般的には、以下のような違いがあります。
- 吐き戻し:量が少ない、勢いが弱い、本人はけろっとしていることが多い。
- 嘔吐:勢いよく噴き出すように吐く、何度も繰り返す、ぐったりしている・機嫌が悪いなど他の症状を伴うことが多い。
どちらなのか迷う場合は、動画を撮影しておき、小児科受診時に医師に見せると判断の助けになります。
1.2. 嘔吐を悪化させてしまうNG行動
子どもが吐いたあとは心配のあまり「すぐに何か飲ませないと」と焦ってしまいがちですが、いくつか避けたい行動があります。
- 嘔吐直後に大量の水やミルクを飲ませる:胃がまだ刺激に敏感な状態のため、一気に飲ませると再び嘔吐を誘発し、かえって体液のロスが増えてしまいます。
- 甘いジュースや炭酸飲料、乳酸菌飲料・牛乳をすぐ与える:糖分や浸透圧が高い飲み物は、胃腸に負担をかけて嘔吐や下痢を悪化させることがあります。
- 平らに仰向けに寝かせたままにする:吐いたものがのどに詰まり、誤嚥や窒息を起こす危険があります。横向きに寝かせるか、上半身を少し起こした姿勢にしましょう。
- 「食べないと元気にならない」と無理に食事を勧める:吐いた直後は胃を休ませることが優先です。食欲がないのは体が休もうとしているサインと考え、無理に固形物を食べさせる必要はありません。
まずは子どもの安全を確保し、口の中や服をきれいにして、しばらく落ち着くまで様子を見ることが大切です。
| こんな症状・状況はありませんか? | 考えられる背景・受診の目安 |
|---|---|
| 1〜2回吐いたが、その後は元気で水分も少しずつ飲める | 軽い胃腸の不調や食べすぎの可能性。自宅で様子見可。ただし嘔吐が増える・機嫌が悪くなる場合は受診を検討。 |
| 数時間のあいだに何度も嘔吐し、水分がほとんど飲めない | 脱水リスクが高く、急性胃腸炎などの可能性。早めに小児科を受診。 |
| 嘔吐物が緑色(胆汁様)やコーヒーかす状、鮮血が混じる | 腸閉塞や出血など緊急性のある病気の可能性。救急受診を含め、すみやかに医療機関へ。 |
| ぐったりしている、目がうつろ、尿やおむつの回数が少ない | 脱水や全身状態の悪化が疑われます。自己判断せず、早急に受診を。 |
| 周期的に激しい腹痛で泣き叫ぶ・機嫌が急に悪くなる/よくなるを繰り返す | 腸重積症などの可能性があり、救急対応が必要なケースも。すぐに小児救急に相談しましょう。 |
第2部:身体の内部要因 — ミルクとの関係と考えられる主な原因
生活習慣や環境以外にも、子どもの体の構造や消化機能、アレルギーや感染症など、さまざまな内部要因が嘔吐に関わります。ここでは、ミルクや母乳との関係が深い理由を中心に整理します。
2.1. 乳児に多い「飲みすぎ」「げっぷ不足」「便秘」
生後まもない赤ちゃんの嘔吐で最も多いのは、ミルクの量や飲み方に関わるものです。
- 飲みすぎ:哺乳びんだと短時間にたくさん飲めてしまうため、月齢に対して量が多すぎると、胃がパンパンに膨らんで吐きやすくなります。育児用ミルクの目安量はあくまで「目安」であり、実際には赤ちゃんによって必要量が異なります。
- げっぷ不足:飲んでいる最中や飲んだあとに空気を多く飲み込んでしまうと、胃の中で空気がたまって不快感や嘔吐につながります。抱き上げて背中を軽くトントンし、げっぷを出してあげることが大切です。
- 便秘:お腹の中にうんちやガスがたまると、腹部が張って気持ち悪くなり、嘔吐の一因になることがあります。数日うんちが出ていない、腹部がかたい、機嫌が悪いなどが続く場合は便秘の可能性も考えましょう。
いずれも子どもの成長やミルクの調整で改善することが多いですが、嘔吐が続く、体重が増えない、機嫌が悪いなど気になるサインがある場合は、小児科で相談すると安心です。
2.2. 胃腸炎・胃の不調とミルクの関係
ウイルスや細菌が原因となる急性胃腸炎は、子どもの嘔吐の原因として非常によく見られます。通常は、嘔吐のほかに下痢や発熱、腹痛などが組み合わさって出現します。
胃腸炎のときは胃や腸の粘膜が炎症を起こしており、脂肪分や乳糖(にゅうとう:ミルクに含まれる糖)の消化吸収が一時的にうまくいかなくなることがあります。そのため、初期は経口補水液(こども用OS-1など)を少量ずつ優先し、ミルクや牛乳は様子を見ながら少しずつ再開すると説明している医療機関が多くあります。
一方で、母乳は消化が比較的よく、嘔吐・下痢時の水分源としても適しているため、「様子を見ながら少量ずつ回数を増やして与える」方針がとられることが一般的です。ただし、一度に長く吸わせてしまうと再び嘔吐することもあるため、短時間で区切ることがポイントです。
2.3. 食物アレルギーと乳糖不耐症
ミルクや乳製品に関連する嘔吐としては、以下のような状態が知られています。
- 牛乳・卵などの食物アレルギー:食後に蕁麻疹(じんましん)、咳・ゼーゼー、顔色不良、嘔吐・下痢などが急に現れる場合、アレルギー反応の可能性があります。とくに呼吸が苦しそう、唇やまぶたが腫れているなどの症状があるときは救急対応が必要です。
- 乳糖不耐症:乳糖を分解する酵素が不足していることで、ミルクや牛乳を飲むと腹痛や下痢、ガス、時に嘔吐が起こる状態です。乳児期に「先天的」に起こるケースはまれで、多くは胃腸炎の後など一時的に乳糖への耐性が落ちている状況でみられます。
「ミルクを飲むと必ず嘔吐や下痢がひどくなる」「特定の食べ物のあとに決まって症状が出る」など気になる場合は、自己判断でミルクや離乳食を大幅に制限する前に、小児科やアレルギー専門の医療機関に相談しましょう。
第3部:すぐ受診が必要な病気のサイン
嘔吐の多くは数日で自然におさまる軽いものですが、一部には早急な診断と治療が必要な病気が隠れていることがあります。ここでは代表的な病気と、その特徴的なサインを確認しておきましょう。
3.1. 急性胃腸炎(ウイルス・細菌性)
ノロウイルスやロタウイルス、アデノウイルスなどによる急性胃腸炎は、嘔吐と下痢、発熱を伴うことが多い病気です。家族内や保育園・幼稚園で同様の症状が流行している場合に疑われやすくなります。
ほとんどのケースでは、十分な水分補給と安静で数日以内に軽快しますが、乳幼児では脱水が急速に進みやすいため注意が必要です。ぐったりしている、尿の回数が少ない、口が乾いている、泣いても涙が出ないなどのサインがあれば、早めに医療機関を受診しましょう。
3.2. 腸重積症(ちょうじゅうせき)
腸重積症は、腸の一部が隣の腸の中にもぐり込むように入り込んでしまう病気です。生後5〜6か月〜2歳くらいの乳幼児に多く、以下のような特徴があります。
- 周期的に激しい腹痛があり、突然泣き叫んだあと、少し落ち着いてまた繰り返す。
- 嘔吐を伴い、進行すると血液が混じった「いちごジャム状」の便が出ることがある。
- 顔色が悪い、ぐったりしている、冷や汗をかいているなど。
放置すると腸の血流が悪くなり、緊急の処置が必要になる病気です。「いつもと明らかに違う泣き方」「周期的な激痛」を感じたら、すぐに小児救急に相談してください。
3.3. 肥厚性幽門狭窄症(ひこうせいゆうもんきょうさくしょう)
生後数週〜2か月頃の赤ちゃんで、ミルクを飲んだあと毎回のように噴水のような勢いで嘔吐する場合に疑われる病気です。胃の出口(幽門)の筋肉が厚くなり、通り道が狭くなることで、飲んだミルクが通過できずに戻ってきてしまいます。
放置すると体重が増えない・脱水などが進行するため、診断がつけば手術を含めた治療が検討されます。「飲む意欲はあるのに、ほとんど全部吐いてしまう」「少しずつ悪化している」場合は、早めに小児科で相談しましょう。
第4部:嘔吐したときの家庭でのケアとミルクの与え方
ここからは、実際に子どもが嘔吐したときに家庭でできるケアの流れを、時間の経過に沿って整理します。すべての子どもに共通するわけではありませんが、おおまかなイメージをつかむのに役立ちます。
| ステップ | アクション | 具体例 |
|---|---|---|
| Step 0:吐いた直後(〜30〜60分) | 安全確保と休憩 | 横向きに寝かせ、口の中をきれいにする。衣服やシーツを替え、しばらくは何も飲ませずに様子を見る。 |
| Step 1:少し落ち着いてきたら | 少量ずつの水分補給 | 嘔吐が落ち着いてきたら、こども用の経口補水液や白湯を、スプーン1杯(5〜10ml)程度から数分おきに与える。再度吐いたら10分ほど間をあけてやり直す。 |
| Step 2:母乳・ミルクの再開 | 「短時間・少なめ」で再開 | 2〜3時間嘔吐がなければ、母乳はいつもより短い時間で頻回に、ミルクは普段の半分量から試す。吐かなければ少しずつ量を増やす。 |
| Step 3:食事の再開 | 消化のよいものから | おかゆ、うどん、よく煮た野菜、バナナなど、脂肪分が少なくやわらかいものから少量ずつ。揚げ物・生クリーム・スナック菓子はしばらく控える。 |
4.1. 母乳を飲んでいる赤ちゃんの場合
母乳は消化がよく、電解質や免疫成分も含まれているため、嘔吐や下痢のときの水分補給としても適した飲み物です。ただし、嘔吐直後に長時間続けて授乳すると、胃が刺激されて再度吐いてしまうことがあります。
- 嘔吐してから30〜60分ほど様子を見て、子どもが落ち着いていれば授乳を再開します。
- 最初は短時間(片側数分など)で切り上げ、回数を分けて与えると、胃への負担を減らせます。
- 再び嘔吐する場合は、無理に吸わせ続けず、一旦中止して小児科に相談しましょう。
母乳しか受け付けない子も少なくありませんが、「たくさん飲めば元気になるはず」と焦らず、子どもの様子を見ながら少しずつ進めることが大切です。
4.2. ミルク(育児用ミルク)や牛乳を飲んでいる子どもの場合
ミルクや牛乳を飲んでいる子どもの場合、「吐いた分をすぐに飲み直させるべきか」「しばらくミルクをやめたほうがいいのか」と迷う方が多いでしょう。
- 1回だけ吐いたが元気な場合:その後に嘔吐が続かず、機嫌もよく、水分も少しずつ飲めているようであれば、次の授乳時間にいつもより少なめの量から再開してもよいとされます。
- 数回続けて吐いている場合:脱水予防のため、まずは経口補水液などで少量ずつ水分を補給し、ミルクは半量から試すか、医療機関の指示があるまでは一時的に減らすことも検討します。
- 胃腸炎で下痢もひどい場合:一時的にミルクの量を減らし、経口補水液や消化のよい食事を中心にするという方針がとられることがあります。牛乳や乳酸菌飲料は、症状が落ち着くまで控えたほうがよい場合もあります。
「嘔吐=ミルク禁止」というわけではありませんが、嘔吐の程度や全身状態によって対応は変わります。自己判断で完全にやめてしまうと栄養不足につながることもあるため、不安があれば小児科で具体的な指示を受けるのが安心です。
4.3. 経口補水液(ORS)の上手な使い方
嘔吐や下痢があるときの脱水予防には、塩分と糖分のバランスが調整された経口補水液が推奨されています。水やお茶だけでは失われた塩分が補えず、吸収効率も十分ではないためです。
- 吐いた直後は無理に飲ませず、30〜60分ほど空けてから、スプーンやスポイトで5〜10mlずつ、数分おきに与えるのが目安です。
- 飲ませた直後にまた吐いてしまった場合は、10分ほど休んでから少し量を減らして再開します。
- 数時間嘔吐がなく、顔色や機嫌がよいようであれば、少しずつ量や間隔を増やしていきます。
経口補水液は「薬」ではなく、あくまで水分と電解質を補う飲み物ですが、1歳未満の乳児に使う場合や、持病のあるお子さんでは、念のため小児科に相談しておくと安心です。
第5部:いつ受診する? どの診療科に相談する?
最後に、「どのような症状があればすぐに受診すべきか」「小児科以外にどの診療科が関わる可能性があるか」を整理します。迷ったときは、まず小児科や小児救急電話相談(#8000 など)に相談するのがおすすめです。
5.1. 受診を検討すべき危険なサイン
- 生後3か月未満の赤ちゃんが繰り返し嘔吐している。
- 嘔吐が24時間以上続いている、または数時間のあいだに何度も吐いて水分がほとんどとれない。
- 嘔吐物に血が混じる、緑色(胆汁の色)をしている、コーヒーかす状の黒っぽいものが混ざる。
- 激しい腹痛で体を丸めて泣き叫ぶ、痛みが周期的に強くなったり弱くなったりを繰り返す。
- ぐったりしている、顔色が悪い、反応が弱い、呼びかけに反応しづらい。
- 尿やおむつの回数が明らかに少ない、6〜8時間以上おしっこが出ていない。
- 高熱(38.5℃以上)が続く、首が硬い、頭痛が強いなど、全身症状を伴う。
- 呼吸が苦しそう、ゼーゼー・ヒューヒューと音がする、唇や顔色が青白い。
これらのサインがある場合は、夜間や休日であっても、救急外来や小児救急電話相談に連絡し、指示に従って受診しましょう。特に乳幼児は脱水が短時間で進みやすく、早めの対応が重要です。
5.2. 症状に応じた診療科の選び方
- 多くの嘔吐・下痢・発熱:まずは小児科が基本です。必要に応じて消化器内科や外科、小児外科などへ紹介されることがあります。
- 強い腹痛・血便・いちごジャム状の便:腸重積症などが疑われる場合、小児科または小児外科のある病院を受診します。
- 繰り返す噴水のような嘔吐(乳児):幽門狭窄症などの可能性があり、小児科や小児外科での精査が必要です。
- 嘔吐とともに強い頭痛や意識の変化:脳の病気が関係することもあるため、救急外来や脳神経外科を含めた早急な評価が重要です。
5.3. 受診の際に伝えるとよいポイント
- 嘔吐が始まった時間、回数、量、見た目(色・匂い・血や緑色の有無)。
- 最後にしっかり飲食できた時間と内容(ミルクの量、食事の種類など)。
- 発熱・下痢・腹痛・発疹など、他に気になる症状があるか。
- 同じ保育園・学校や家族内で、似た症状の人がいるか。
- 普段飲んでいる薬や、アレルギーの有無。
あらかじめメモにまとめておいたり、スマートフォンのメモアプリに記録しておくと、受診時にスムーズに伝えやすくなります。嘔吐の様子を動画で撮影しておくことも、診断の助けになる場合があります。
よくある質問
Q1: 子どもがミルクを全部吐いてしまいました。すぐに同じ量を飲ませたほうがよいですか?
A1: 嘔吐直後に同じ量のミルクを飲ませると、胃が刺激されて再び吐いてしまうことが多く、脱水や疲労を悪化させてしまいます。まずは服や口の中をきれいにし、30〜60分ほどは何も飲ませずに様子を見ましょう。
その後、子どもが落ち着いていれば、経口補水液や白湯をスプーン1杯程度から試し、問題なければミルクを普段の半分量から再開する、といったように「少量・ゆっくり」を心がけると安心です。嘔吐が何度も続く場合やぐったりしている場合は、自己判断で繰り返し飲ませず、小児科を受診してください。
Q2: 母乳育児の赤ちゃんが吐いたとき、授乳は続けてもいいですか?
A2: 一般的には、母乳は消化がよく、水分と栄養を補給するうえでも優れた飲み物とされています。多くのガイドラインでは、嘔吐や下痢があっても母乳は基本的に続けることが推奨されています。ただし、嘔吐直後に長時間続けて授乳すると再び吐くことがあるため、まずは短時間・少量から始め、様子を見ながら回数を分けて与えるとよいでしょう。
嘔吐が頻回で、ほとんどの授乳を吐いてしまう場合や、赤ちゃんがぐったりしている場合は、授乳を続けるかどうかも含めて小児科に相談してください。
Q3: 牛乳や乳酸菌飲料は、嘔吐したあとに飲ませても大丈夫ですか?
A3: 嘔吐直後や、下痢を伴う胃腸炎の初期には、牛乳や乳酸菌飲料、果汁ジュースなど浸透圧の高い飲み物は胃腸に負担をかけ、症状を悪化させることがあります。そのため、まずは経口補水液や白湯、お茶など負担の少ない飲み物を少量ずつ与え、嘔吐や下痢が落ち着いてから牛乳類を再開するほうが安心です。
保育園での給食やおやつで牛乳が出る場合も、嘔吐後しばらくは先生に相談しながら、体調に合わせて量やタイミングを調整してもらうとよいでしょう。
Q4: 経口補水液とミルク、どちらを優先して飲ませればよいですか?
A4: 嘔吐や下痢があるときの最優先は脱水の予防です。頻回の嘔吐や下痢が続き、尿の量が少ない・口が乾いているなど脱水が心配なときは、まず経口補水液を少量ずつ頻回に与えることが勧められます。
ミルクは栄養補給の役割も大切ですが、胃腸炎が強い時期には量を減らしたり一時的に間隔をあけることが必要になる場合があります。どのくらいの比率で経口補水液とミルクを与えるかは、年齢や症状によって異なるため、具体的な量は小児科で相談すると安心です。
Q5: 嘔吐していても、水やお茶を好きなだけ飲ませてもよいですか?
A5: 喉が渇いて一気に飲みたがる子も多いのですが、嘔吐が続いているときに大量の水やお茶を一度に飲ませると、再び吐いてしまうことがよくあります。その際、飲んだ水分だけでなく胃酸も一緒に失われてしまい、結果として脱水が進むこともあります。
基本は「一口ずつ・数分おきに」を目安にし、嘔吐がおさまってきたら徐々に量と間隔を増やすようにしましょう。水やお茶だけでは塩分が不足するため、可能であれば子ども用の経口補水液も併用するのがおすすめです。
Q6: 嘔吐しているけれど熱もなく元気そうです。病院に行くべきか迷います。
A6: 1〜2回の嘔吐のみで、その後は機嫌もよく、水分も少しずつ飲めている場合は、自宅で様子を見てもよいケースが多いとされています。ただし、嘔吐の回数が増えてきたり、腹痛・下痢・発熱など他の症状が加わってきた場合は、早めに小児科を受診したほうが安心です。
判断に迷うときは、小児救急電話相談(#8000)や自治体の救急相談窓口に電話をし、お子さんの年齢や症状を伝えてアドバイスを受けるのも一つの方法です。
Q7: 嘔吐が続くとき、市販薬を飲ませてもよいですか?
A7: 子ども用の市販薬のなかには、胃腸症状の緩和をうたうものもありますが、原因がはっきりしないまま自己判断で薬を使うのはおすすめできません。特に乳幼児では、腸重積症や髄膜炎など薬で抑えてはいけない嘔吐もあり得ます。
「薬を飲めば落ち着くかもしれない」と考える前に、まずは原因や重症度を見極めることが重要です。嘔吐が続く場合や心配な症状がある場合は、市販薬ではなく、小児科を受診して適切な診断と治療方針を相談しましょう。
結論:この記事から持ち帰ってほしいこと
子どもの嘔吐は、見ている保護者にとって非常に心配な症状ですが、その背景には「ミルクの飲みすぎ」や「一時的な胃腸炎」から「腸重積症」「幽門狭窄症」のようにすぐに治療が必要な病気まで、幅広い原因が隠れています。
大切なのは、嘔吐そのものだけでなく、子どもの表情・機嫌・尿の量・嘔吐物の色・頻度といった周辺の情報を合わせて観察し、「自宅で様子を見てよい状態」と「早く受診すべき状態」を見極めていくことです。
母乳やミルク、牛乳は、ケースによって飲ませ方やタイミングが変わりますが、共通する合言葉は「少し休んでから、少量ずつ、様子を見ながら」です。無理に飲ませすぎず、心配なときには早めに小児科や小児救急に相談することで、お子さんとご家族の不安を減らすことができます。
この記事が、お子さんが嘔吐したときに慌てずに対応し、「いつ・どこに相談すればよいか」を考えるための一助となれば幸いです。
この記事の編集体制と情報の取り扱いについて
Japanese Health(JHO)は、信頼できる公的情報源と査読付き研究に基づいて、健康・医療・美容に関する情報をわかりやすくお届けすることを目指しています。
本記事の原稿は、最新のAI技術を活用して下調べと構成案を作成したうえで、JHO編集部が一次資料(ガイドライン・論文・公的サイトなど)と照合しながら、内容・表現・数値・URLの妥当性を人の目で一つひとつ確認しています。最終的な掲載判断はすべてJHO編集部が行っています。
ただし、本サイトの情報はあくまで一般的な情報提供を目的としており、個々の症状に対する診断や治療の決定を直接行うものではありません。気になる症状がある場合や、治療の変更を検討される際は、必ず医師などの医療専門家にご相談ください。
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