【房室ブロック】心臓の電気信号が途切れる病気とは?原因・症状・検査・治療と日常生活のポイント
心血管疾患

【房室ブロック】心臓の電気信号が途切れる病気とは?原因・症状・検査・治療と日常生活のポイント

脈が急に遅くなったり、ときどき目の前が暗くなるような「ふらつき」や「失神」を経験すると、「心臓の病気ではないか」「突然倒れてしまわないか」と強い不安を感じる方も少なくありません。

その原因のひとつが、心房から心室へ電気信号がうまく伝わらなくなる「房室ブロック(atrioventricular block:AVブロック)」です。房室ブロックには軽いものから命に関わるものまで段階があり、症状がほとんど出ない場合もあれば、繰り返す失神や心不全、突然死のリスクにつながる場合もあります12

本記事では、日本の公的機関や専門学会の情報、海外のガイドラインなどをもとに、房室ブロックの種類・原因・症状・検査・治療、そして日常生活で気をつけたいことまでを、できるだけ専門用語をかみ砕きながら詳しく解説します13

「検査で房室ブロックと言われた」「ペースメーカーを勧められたが迷っている」「自分や家族のめまいや失神が心臓から来ていないか心配」という方が、自分の状態を整理し、医療機関で相談するときの手がかりとして活用いただければ幸いです。

Japanese Health(JHO)編集部とこの記事の根拠について

Japanese Health(JHO)は、健康と美容に関する情報を提供するオンラインプラットフォームです。膨大な医学文献や公的ガイドラインを整理し、日常生活で活用しやすい形でお届けすることを目指しています。

本記事の内容は、厚生労働省、日本循環器学会、日本不整脈心電学会、国立循環器病研究センターなど日本の公的機関・専門学会の資料に加え、海外のガイドラインや医学教科書(MSDマニュアル、ACC/AHA/HRSガイドライン、StatPearls など)を一次情報源として、JHO編集部がAIツールのサポートを受けつつ、最終的には人の目で一つひとつ確認しながら作成しています1245

  • 厚生労働省・公的研究機関:心臓機能障害やペースメーカーに関する評価基準・統計資料など、日本人向けの公式情報を優先して参照しています4
  • 国内外の医学会ガイドライン・査読付き論文:日本循環器学会・日本不整脈心電学会の不整脈関連ガイドライン、ACC/AHA/HRSの徐脈・伝導障害ガイドライン、Cochraneレビューや総説論文などをもとに要点を整理しています56
  • 患者向け公的情報:国立循環器病研究センターなどの患者向け解説ページを参考に、専門内容をできるだけ分かりやすくお伝えできるよう配慮しています2

AIツールは、文献の要約や構成案作成の「アシスタント」として活用していますが、公開前には必ずJHO編集部が原著資料と照合し、重要な記述を一つひとつ確認しながら、事実関係・数値・URLの妥当性を検証しています。

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要点まとめ

  • 房室ブロックは、心臓の上の部屋(心房)から下の部屋(心室)へ電気信号が伝わりにくくなる、あるいは途絶えることで脈が遅くなる不整脈です13
  • 「1度」「2度」「3度(完全房室ブロック)」という段階があり、特に第2度高度・第3度房室ブロックは、失神や心不全、突然死につながるおそれがあるため、早期の受診と治療が重要です15
  • 原因としては、加齢による伝導系の変性、虚血性心疾患や心筋症などの心臓病、先天性異常、薬剤(β遮断薬、カルシウム拮抗薬、ジギタリスなど)、電解質異常、迷走神経緊張などが知られています36
  • 診断には心電図やホルター心電図、運動負荷試験、必要に応じて心臓電気生理検査などが用いられ、程度や原因、症状の有無によって治療方針が決まります15
  • 症状が強い第2度・第3度房室ブロックでは、ペースメーカー植込みが標準的な治療となる一方で、無症候の1度房室ブロックでは定期的な経過観察のみでよい場合もあります123
  • 生活習慣の見直しや薬の飲み方、通院の継続、ペースメーカーのチェックなどを通じて、再発や悪化のリスクを減らしつつ、仕事や家事、趣味を続けていくことが可能です。

第1部:房室ブロックの基本と心臓の仕組み・日常生活での気づき

まずは、房室ブロックとはそもそも何か、心臓のどの部分で何が起きているのか、そして日常生活の中でどのようなサインに気づきやすいのかを整理します。

1.1. 房室ブロックとは?心臓の電気信号の流れをイメージする

心臓は、1分間におよそ60〜80回(安静時)のペースで電気信号を発生させ、その電気が心臓全体に伝わることで、上下4つの部屋が順番に縮んで血液を全身に送り出しています13

電気のスタート地点は、右心房の上の方にある「洞結節(どうけっせつ)」と呼ばれる部分です。ここで生まれた電気信号は、まず右心房と左心房に広がり、続いて心房と心室の間にある「房室結節(ぼうしつけっせつ)」という中継地点を通り、「ヒス束」「脚」「プルキンエ線維」と呼ばれる電線の束を通って、左右の心室に広がります118

房室ブロックとは、ちょうどこの「房室結節からその先」のどこかで電気信号の伝わり方が遅くなったり、ときどき途切れたり、完全に通らなくなってしまう状態を指します。電気がうまく伝わらないと心室の拍動が遅くなり、全身に送られる血液量も減るため、めまいやふらつき、失神、息切れなどさまざまな症状が出てきます13

房室ブロックは、心電図で確認される電気の遅れや途絶え方によって、一般的に「第1度」「第2度」「第3度(完全房室ブロック)」の3つに分けられます。第1度は「電気が遅れるだけ」で、症状がないことも多いのに対し、第3度は「心房と心室の電気のつながりが完全に途切れる」状態であり、生命に関わることもあるため、重症度が大きく異なります118

1.2. 悪化させてしまうNG習慣と日常のチェックポイント

房室ブロックそのものは、電気信号を伝える組織の異常や他の心臓病によって起こることが多く、生活習慣だけで完全に防げるものではありません。しかし、次のような習慣や状況は、脈をさらに遅くしたり、一時的に房室ブロックを悪化させる要因になることがあります23

  • 薬を自己判断で増量・継続する:高血圧や不整脈の治療薬であるβ遮断薬、カルシウム拮抗薬、ジギタリス製剤などは、量が多すぎると心拍数を過度に下げ、房室ブロックを悪化させることがあります。処方どおりに内服し、体調の変化があれば必ず医師に相談しましょう36
  • 強い飲酒や脱水状態:大量の飲酒や激しい発汗、下痢・嘔吐などで脱水になると、電解質バランスが崩れ、房室ブロックをはじめとする不整脈が出やすくなります。
  • 無理なダイエットや栄養バランスの偏り:カリウムやマグネシウムなどのミネラル不足は、心臓の電気活動に影響し、不整脈の誘因になることがあります。
  • 睡眠不足や過度のストレス:迷走神経(リラックス時に働く神経)が強く働きすぎると、一時的に脈が極端に遅くなり、房室ブロックが顕在化する場合があります。

これらはすべて「房室ブロックを直接起こす」というよりは、「もともと房室ブロックがある人の症状を誘発しやすくする要因」とイメージすると分かりやすいでしょう。薬や生活習慣に心当たりがある場合は、自己判断で急にやめたりせず、必ず担当の医師や薬剤師に相談してください。

表1:房室ブロックが疑われるセルフチェックと背景要因の例
こんな症状・状況はありませんか? 考えられる主な背景・原因カテゴリ
歩いている最中や立ち上がったときに、急に目の前が暗くなり倒れそうになる/失神したことがある 高度な房室ブロックによる脈の極端な低下、血圧低下など12
脈がとても遅い(安静時で1分間40回前後)と指摘されたことがある 房室ブロックや洞不全症候群などの徐脈性不整脈、薬剤の影響26
高血圧や心不全の薬を飲み始めてから、強いだるさやふらつきが続いている β遮断薬・カルシウム拮抗薬・ジギタリスなどによる房室伝導の抑制36
心電図検診で「房室ブロック」と言われたが、自覚症状はほとんどない 第1度房室ブロックなど、比較的軽い段階。背景に他の心疾患がないかの確認が重要13

第2部:房室ブロックの原因・リスク要因 ─ 加齢・心臓病・薬剤・先天性など

生活習慣の見直しだけでは説明できない、身体の内部で起きている変化や病気も、房室ブロックの重要な原因となります。この部では、代表的な原因やリスク要因について整理します。

2.1. 加齢による伝導系の変性と基礎心疾患

房室ブロックの原因として最も多いのは、加齢に伴う心臓の電気伝導系(房室結節やその先のヒス束・脚など)の変性です。心臓の「電線」が年齢とともに傷んだり、細くなったりするイメージです118

特に高齢者や、心筋梗塞・狭心症などの虚血性心疾患、心筋症、弁膜症、高度の高血圧などの基礎心疾患を持つ方では、房室ブロックのリスクが高くなることが報告されています36

また、心筋梗塞の急性期、とくに下壁梗塞の際には、一時的に房室ブロックが現れることがあり、緊急の対応が必要となる場合があります。多くは梗塞が落ち着くと改善しますが、なかには永続的な房室ブロックとして残り、ペースメーカーが必要になるケースもあります111

2.2. 薬剤・電解質異常・迷走神経反射などの可逆的要因

房室ブロックの中には、原因となる薬剤や状態を調整することで改善する「可逆的」なものもあります。代表的なものとして次が挙げられます3615

  • 薬剤性房室ブロック:β遮断薬、非ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬(ベラパミル、ジルチアゼムなど)、ジギタリス製剤、アミオダロンなどは、房室結節の電気伝導を抑える作用があり、過量内服や腎機能低下などで血中濃度が高くなると房室ブロックを引き起こすことがあります。
  • 電解質異常:高カリウム血症や重度の低マグネシウム血症などは、不整脈全般のリスクを高めます。透析患者さんや利尿薬を使用している方では、血液検査で定期的にチェックされます。
  • 迷走神経反射・一過性の反射性ブロック:強い痛み、排便時のいきみ、長時間の立位、強いストレスなどで一時的に迷走神経が過度に働くと、心拍数が急激に低下し、一過性の房室ブロックや失神を起こすことがあります。この場合、根本に重い心臓病がないかどうかを見極めることが重要です415

このような「原因がはっきりしている房室ブロック」では、まず原因となる薬剤の調整や電解質の補正を行い、それでもなお高度な房室ブロックが残るかどうかを評価したうえで、ペースメーカーの必要性が検討されます。

2.3. 先天性房室ブロックと妊娠・出産との関わり

房室ブロックは、高齢者だけの病気ではありません。胎児期や小児期から存在する「先天性房室ブロック」も知られており、日本を含む各国の小児循環器ガイドラインで管理方針が示されています13

先天性房室ブロックは、母体の自己抗体(SSA/Ro抗体など)が胎児の伝導系に影響を与える場合や、心臓の構造異常に伴って起こる場合があります。無症状のまま学童期・成人期まで経過することもあれば、胎児期や新生児期から重い徐脈を示し、早期にペースメーカー植込みが必要になることもあります1315

妊娠中に母体に先天性房室ブロックがある場合、妊娠・出産に伴う循環動態の変化で症状が悪化することもあるため、循環器と産科が協力して管理されることが推奨されています。妊娠を希望している方や、家族に先天性房室ブロックの方がいる場合は、早めに循環器内科で相談しておくと安心です。

第3部:房室ブロックの重症度と診断 ─ 1度・2度・3度の違いと検査

房室ブロックは、心電図でどのように電気信号が遅れたり途絶えたりしているかによって、「1度」「2度」「3度(完全)」に分類されます。この分類は、今後の経過や治療方針を決めるうえで非常に重要です118

3.1. 第1度房室ブロック:電気の伝わりが「遅い」段階

第1度房室ブロックでは、心房から心室への電気信号は「すべて」伝わっていますが、その途中(主に房室結節)で伝わる速度が遅くなっている状態です。心電図では、「PR間隔」と呼ばれる部分が通常よりも長くなっていることで診断されます118

基礎心疾患のない健康な成人では、第1度房室ブロックの予後は比較的良好であり、症状がなければ治療を必要としないことが多いとされています12。ただし、高齢者や心筋梗塞・心不全などの基礎心疾患がある場合には、将来的な心房細動や高度房室ブロックのリスク因子として扱われることがあり、定期的なフォローアップが推奨されます1215

自覚症状がない場合でも、「なぜその所見が出ているのか」「背景に他の心臓病がないか」を確認するため、医師の指示に従って心エコー図検査や血液検査、必要に応じて追加の心電図検査を受けておくと安心です。

3.2. 第2度房室ブロック:一部の電気信号が「落ちる」段階

第2度房室ブロックでは、心房から出た電気信号の一部は心室まで届くものの、時々途中でブロックされてしまい、「心房は動いているのに心室が動かない拍」が混ざる状態です118

第2度房室ブロックには、主に次の2つのタイプがあります。

  • Mobitz I 型(ウェンケバッハ型):電気が通るたびに少しずつ遅くなり、ある拍で突然伝わらなくなるパターンです。多くは房室結節レベルの障害で、比較的予後は良いとされますが、症状の有無や背景の病気に応じて評価が必要です1823
  • Mobitz II 型:突然電気が伝わらなくなるパターンで、ヒス束より下流の伝導系に障害があることが多く、より高度な房室ブロックへ進行しやすいと考えられています。このタイプでは、症状の有無にかかわらずペースメーカーが推奨されることが多いと、ACC/AHA/HRSガイドラインなどで示されています511

第2度房室ブロックでは、「ときどき脈が飛ぶ」「ふらつきがある」「階段で息切れしやすい」といった軽い症状から、突然の失神まで、症状の幅が大きいことが特徴です。失神や意識が遠のくような感覚がある場合は、早めに循環器内科や救急外来を受診することが勧められます。

3.3. 第3度(完全)房室ブロック:心房と心室の電気のつながりが途絶える段階

第3度房室ブロック(完全房室ブロック)は、心房からの電気信号がまったく心室に伝わらなくなった状態です。心房は洞結節のリズムで動き続けていますが、心室は房室結節より下の部位から自力でゆっくりとした電気信号を出し、「心房と心室がバラバラのリズム」で動くようになります1618

このとき心室の拍動は、多くの場合1分間30回前後まで遅くなり、脳や全身への血流が不足するため、強いめまい、失神、胸痛、息切れ、さらには心不全や突然死のリスクが高まります3719

完全房室ブロックは、原則としてペースメーカー植込みの適応となる重症の病態であり、国立循環器病研究センターやMSDマニュアル、各種ガイドラインでも、早急な評価と治療が推奨されています1218

3.4. 房室ブロックの検査:心電図・ホルター・運動負荷・電気生理検査など

房室ブロックが疑われる場合、次のような検査が組み合わされます126

  • 安静時12誘導心電図:最も基本的な検査で、PR間隔の延長、第2度・第3度房室ブロックの有無、広いQRS波(脚ブロックの合併)などを評価します。
  • ホルター心電図(24時間心電図):1日(場合によっては数日)にわたって心電図を記録し、日常生活の中でどのタイミングで房室ブロックや徐脈が起きているかを確認します。
  • イベントレコーダー・植込み型ループレコーダー:症状がまれな場合に、長期間にわたり不整脈を記録するための装置です。
  • 運動負荷試験:運動で脈がどう変化するか、房室ブロックが改善するのか悪化するのかを評価し、房室結節レベルかその下流かの鑑別に役立つことがあります17
  • 心臓電気生理検査(EPS):カテーテルを用いて心臓内の電気伝導を直接測定する検査で、房室ブロックの部位や程度を詳細に評価し、ペースメーカーや他の治療の適応を判断するために行われることがあります511

これらの検査結果と症状、基礎心疾患の有無、年齢などを総合的に評価して、経過観察でよいのか、早期にペースメーカーが必要なのか、といった治療方針が決められます。

第4部:今日から始める改善アクションプラン ─ 生活の工夫と医療との付き合い方

房室ブロックは生活習慣だけで治る病気ではありませんが、日々の過ごし方や医療との付き合い方を工夫することで、症状の悪化を防いだり、安心して生活を続けることができます。

表2:房室ブロックと付き合うための改善アクションプラン
ステップ アクション 具体例
Level 1:今からできること 症状と脈の変化に気づく習慣をつける めまい・ふらつき・息切れ・胸の不快感が出た日時と状況をメモする。可能であれば、手首やスマートウォッチで脈を測っておく。
Level 2:今週から始めること 薬の飲み方・生活習慣の見直し 処方された薬は必ず指示どおり内服し、自己判断で増減しない。過度な飲酒や脱水を避け、バランスのよい食事や十分な睡眠を心がける26
Level 3:長期的に続けたいこと 定期通院と検査、ペースメーカーのフォローアップ 主治医の指示に従って定期的に心電図やホルター心電図、ペースメーカーチェックを受ける。症状や生活で気になる点は、メモにして診察時に質問する。
Level 4:家族・職場との連携 周囲に自分の病気を適切に共有する 繰り返す失神や徐脈がある場合は、家族や職場に「倒れたときの連絡先」「かかりつけ医療機関」を伝えておく。ペースメーカー手帳を常に携帯する24

特にペースメーカーを植え込んでいる方は、定期的な装置チェックとともに、スマートフォンの充電器やIH調理器など、強い磁場や電波を発する機器との距離や使用方法について説明を受けておくと安心です。現代のペースメーカーは耐ノイズ性が高く、日常生活の多くの家電は問題なく使用できますが、詳しい注意点は医療機関から渡される説明書やメーカー資料に従ってください222

第5部:専門家への相談 ─ いつ・どこで・どのように?

房室ブロックが疑われる症状があるとき、あるいはすでに診断を受けている場合に、「どのタイミングで」「どの診療科を」「どのように受診すべきか」は、とても重要なポイントです。

5.1. すぐに受診・救急要請を検討すべき危険なサイン

  • 突然の失神、または意識が遠のくような強いめまいがある
  • 胸の締め付け感や強い胸痛が数分以上続く
  • 横になっていても息苦しく、会話がしづらいほどの呼吸困難がある
  • 脈が極端に遅い(おおよそ1分間40回以下)と自覚し、それに伴ってふらつきや息切れが強い
  • ペースメーカーを入れている方で、急にふらつきや失神が増えた、脈が極端に乱れていると感じる

これらの症状がある場合は、迷わず救急外来や救急搬送(日本では119番)を検討してください。特に、胸痛や息切れ、片側の手足の麻痺やろれつが回らないといった症状を伴う場合は、心筋梗塞や脳卒中など、房室ブロック以外の緊急疾患の可能性もあります3719

5.2. 症状に応じた診療科の選び方

  • まず相談しやすい窓口:かかりつけの内科・循環器内科、健診結果を出した医療機関など。
  • 専門的な評価が必要な場合:心電図で第2度・第3度房室ブロックが指摘された場合や、繰り返す失神がある場合は、循環器内科(特に不整脈専門外来)への紹介が検討されます126
  • 小児・先天性の場合:小児循環器専門医がいる医療機関や、先天性心疾患の診療経験が豊富な施設が推奨されます13

5.3. 診察時に持参すると役立つものと費用の目安

  • これまでの心電図や健診結果、心エコー図レポート
  • 症状が出た日時・状況・持続時間をメモしたノート
  • 現在服用している薬の一覧(お薬手帳)
  • ペースメーカーを植え込んでいる場合はペースメーカー手帳

心電図検査や採血検査は、日本の公的医療保険が適用されることが多く、3割負担であれば1回の受診で数千円〜1万円前後となることが一般的です。ペースメーカー植込みや入院を伴う検査・治療の場合は費用が高くなりますが、高額療養費制度などの公的支援が利用できることも多いため、事前に医療機関の相談窓口や自治体の窓口で確認しておくと安心です。

よくある質問

Q1: 「第1度房室ブロック」と言われました。放置しても大丈夫でしょうか?

A1: 基礎心疾患のない健康な成人に見られる第1度房室ブロックは、多くの場合予後は良好で、症状がなければ積極的な治療は不要とされています12。ただし、高齢者や心筋梗塞・心不全などの病気がある方では、将来の不整脈や心不全のリスク因子になることが報告されているため、定期的な心電図や診察で経過をみることが大切です1215。自己判断で「大丈夫」と決めつけず、主治医の説明を聞いたうえで、指示されたタイミングで再検査を受けるようにしましょう。

Q2: 房室ブロックがあっても運動や仕事は続けられますか?

A2: 房室ブロックの程度や症状、基礎心疾患の有無によって答えは大きく変わります。症状のない軽い第1度房室ブロックであれば、主治医の判断のもとで、多くの場合日常的な運動や仕事は続けることができます112。一方で、第2度・第3度房室ブロックや、運動で強い息切れやふらつきが出る場合には、ペースメーカー治療や運動量の調整が必要になることがあります12。具体的な運動の可否や程度については、必ず主治医と相談してください。

Q3: ペースメーカーを入れると言われました。怖いのですが、どんな治療ですか?

A3: ペースメーカーは、脈が遅くなる徐脈性不整脈(房室ブロックや洞不全症候群など)に対して、心臓に電気刺激を送り、適切な脈拍数を保つための小さな医療機器です222。鎖骨の下あたりに局所麻酔や全身麻酔でリードと本体を植え込み、通常は数日間の入院で行われます。

治療そのものに不安を感じる方は多いですが、ガイドラインでは第3度房室ブロックや症状のある第2度高度房室ブロックに対して、予後改善や生活の質の向上を目的にペースメーカー植込みが強く推奨されています518。手術の流れや合併症、術後の生活上の注意点については、事前に医師や看護師から丁寧な説明がありますので、気になる点は遠慮なく質問しましょう。

Q4: 房室ブロックと診断されました。運転や入浴は控えたほうがよいですか?

A4: 繰り返す失神や意識消失がある場合は、自動車やバイクなどの運転は大きな危険を伴うため、原則として控えることが推奨されます。日本では、一定の心臓疾患について運転免許に関する基準が設けられており、主治医から具体的な指示が出ることが多いです4。入浴については、多くの場合、症状が安定していれば普通に行えますが、長時間の高温浴や急な立ち上がりは血圧の変動を招きやすいため、短時間・ややぬるめのお湯、ゆっくりとした動作を心がけるとよいでしょう。

Q5: 妊娠・出産に房室ブロックは影響しますか?

A5: 先天性房室ブロックや、ペースメーカーを植え込んでいる若年女性が妊娠を希望するケースでは、妊娠・出産に伴う循環動態の変化によって症状が変化する可能性があります13。事前に循環器内科と産科が連携し、妊娠前から心機能やペースメーカーの設定を含めた評価・計画を立てることが望ましいとされています。妊娠中に徐脈症状が強くなる場合や、新たに房室ブロックが疑われる症状が出た場合には、早めに主治医に相談し、必要に応じて高次医療機関への紹介を検討します。

Q6: スマートフォンや家電、MRI検査はペースメーカーに影響しますか?

A6: 近年のペースメーカーは電磁波への耐性が高く、多くの家電製品やスマートフォンは通常の使い方であれば問題ないとされています222。ただし、携帯電話を胸ポケットに入れてペースメーカー本体のすぐ上に長時間置くことや、強力な磁場を発する機器(大型スピーカー、工業用溶接機など)に極端に近づくことは避けるよう指導されることが一般的です。MRI検査については、「MRI対応ペースメーカー」であれば条件付きで撮像可能な場合があり、装置の種類と設定、施設の体制によって対応が異なります。必ずペースメーカー手帳を提示し、担当医や放射線技師の指示に従ってください。

Q7: 房室ブロックは必ず進行して重くなりますか?

A7: 房室ブロックの経過は、原因やタイプによって大きく異なります。加齢に伴う軽い第1度房室ブロックは、長年ほとんど変化しないこともあれば、基礎心疾患の悪化や新たな心筋梗塞などをきっかけに、より高度な房室ブロックへ進行することもあります1215。薬剤性や電解質異常による房室ブロックは、原因が取り除かれれば改善する場合もあります。一方、第2度Mobitz II型や第3度房室ブロックは進行性であることが多く、早期のペースメーカー治療が推奨されます518。定期的な診察と検査で経過を追いながら、「今」の状態に応じた対策を相談していくことが大切です。

結論:この記事から持ち帰ってほしいこと

房室ブロックは、心房から心室への電気信号の伝わり方に障害が生じることで脈が遅くなり、めまいや失神、心不全、突然死のリスクにつながる可能性のある不整脈です。一方で、軽い第1度房室ブロックのように、適切なフォローアップのもとで長く安定して経過するケースも少なくありません1212

大切なのは、「自分や家族の房室ブロックが、どのタイプ・どの程度なのか」「今の症状や生活にどのような影響があるのか」「今後どのように経過を見ていくのか」を、主治医と一緒に整理していくことです。突然倒れるのではないかと不安なまま一人で悩み続けるよりも、不安な点・知りたい点をメモにして受診し、納得できるまで説明を受けることで、必要な治療を受けながら日常生活を続ける道が見えてきます。

本記事の情報はあくまで一般的な解説であり、個々の診断や治療方針を決めるものではありません。気になる症状がある場合や、治療内容の変更を検討している場合は、必ず医師などの医療専門家に相談してください。

この記事の編集体制と情報の取り扱いについて

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参考文献

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