【心筋虚血】胸の痛みや息切れを放置していませんか?原因・症状・検査・治療と日常生活でできる対策
心血管疾患

【心筋虚血】胸の痛みや息切れを放置していませんか?原因・症状・検査・治療と日常生活でできる対策

「階段を上ったり早歩きをすると胸がギュッと締め付けられるように痛む」「休むと数分でおさまるので、年のせいだと思って我慢している」。こうした症状の裏側にある代表的な病気のひとつが、心筋虚血(しんきんきょけつ)です。

心筋虚血とは、心臓の筋肉(心筋)に血液を送る冠動脈という血管が狭くなったり詰まったりして、心筋に十分な血液と酸素が届かなくなった状態を指します。胸の痛み(狭心症)だけでなく、息切れや強いだるさ、場合によっては症状がほとんど出ない「無症候性心筋虚血」のこともあり、気づきにくい一方で心筋梗塞や突然死につながることもある重要な病気です12

この記事では、厚生労働省や日本心臓財団、日本循環器学会などの公的資料やガイドライン、海外の信頼できる医学情報をもとに、心筋虚血の仕組み、原因、症状、検査や治療、日常生活で気をつけたいことをわかりやすく解説します134。自分や家族の症状に心当たりがある方は、自己判断で放置せず、受診の目安や相談方法の参考にしてください。

なお、本記事はあくまで一般的な情報提供を目的としており、個々の診断や治療方針を決めるものではありません。強い胸痛や突然の息切れなど急を要する症状があるときは、ためらわず119番通報を検討しましょう。

Japanese Health(JHO)編集部とこの記事の根拠について

Japanese Health(JHO)は、健康と美容に関する情報を提供するオンラインプラットフォームです。膨大な医学文献や公的ガイドラインを整理し、日常生活で活用しやすい形でお届けすることを目指しています。

本記事の内容は、厚生労働省や日本心臓財団、日本循環器学会などの公的機関・学会が公開している資料や、日本国内外の査読付き論文、世界保健機関(WHO)・海外の医療機関による解説記事など、信頼性の高い一次情報源に基づいて、JHO編集部がAIツールのサポートを受けつつ、最終的には人の目で一つひとつ確認しながら作成しています1345

  • 厚生労働省・自治体・公的研究機関:心疾患に関する資料や統計、生活習慣病対策のパンフレットなどを、日本人向けの公式情報として優先して参照しています12
  • 国内外の医学会ガイドライン・査読付き論文:日本循環器学会や日本心臓リハビリテーション学会のガイドライン、循環器領域のレビュー論文などをもとに、診断・治療・リハビリの基本的な考え方を整理しています36
  • 海外の医療機関による解説:Mayo ClinicやCleveland Clinic など、世界的に信頼されている医療機関の解説記事を補助的に参考にし、用語の整理や国際的な位置づけを確認しています45

AIツールは、文献の要約や構成案作成の「アシスタント」として活用していますが、公開前には必ずJHO編集部が原著資料と照合し、重要な記述を一つひとつ確認しながら、事実関係・数値・URLの妥当性を検証しています。

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要点まとめ

  • 心筋虚血とは、冠動脈が動脈硬化や血栓などで狭くなったり詰まったりし、心臓の筋肉に十分な血液・酸素が届かない状態を指し、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患の根本的な原因です13
  • 典型的な症状は、胸の中央〜左側の圧迫感や締め付けられるような痛みですが、首・肩・腕・あご・背中の痛み、息切れ、強いだるさ、冷や汗などとして現れることもあり、症状がほとんど出ない「無症候性心筋虚血」もあります14
  • 主な原因は、動脈硬化を背景とした冠動脈の狭窄・閉塞であり、高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、肥満、運動不足などの生活習慣が大きく関わっています123
  • 診断には、問診・身体診察に加え、心電図、運動負荷試験、心エコー、冠動脈CTや造影検査などが用いられ、結果に応じて薬物療法・カテーテル治療(ステント)・外科的バイパス術などが検討されます346
  • 放置すると心筋梗塞、致死的不整脈、心不全など命に関わる合併症を起こすおそれがある一方、禁煙、食事・運動習慣の見直し、血圧・血糖・コレステロールのコントロールなどによってリスクを大きく減らすことができます127
  • 「いつ受診すべきか」「どの診療科に相談すべきか」「検査や費用はどのくらいか」といった現実的な疑問にも触れながら、今日からできるセルフケアと医療機関との上手な付き合い方を解説します。

第1部:心筋虚血とは?基本と日常生活との関わり

最初に、「心筋虚血とは何か」「なぜ胸が痛くなるのか」といった基本から整理します。専門的な病名を聞くと不安になりますが、仕組みを知ることで、自分の生活のどの部分と関係しているのかが見えてきます。

1.1. 心筋虚血の基本的なメカニズム

心臓は1日におよそ10万回も収縮と拡張を繰り返し、全身に血液を送り出しているポンプです。この心臓の筋肉(心筋)に酸素や栄養を届けているのが、心臓の表面を取り巻く「冠動脈(かんどうみゃく)」と呼ばれる血管です3

加齢や生活習慣の影響などで、冠動脈の内側の壁にコレステロールなどがたまり、プラークという盛り上がりができます。これが「動脈硬化」です。動脈硬化が進むと、血管の内腔が狭くなり、血液の流れが悪くなって、心筋に十分な血液が届きにくくなります12

このように、心筋への血液が一時的に不足した状態が「心筋虚血」です。歩行や階段昇降、寒い場所に出る、ストレスを感じるなど心臓に負担がかかったタイミングで、胸の中央〜左側が締め付けられるように痛んだり、重いものが乗っているような圧迫感を覚えます。数分以内におさまることが多く、これがいわゆる「狭心症」として知られる症状です14

一方、冠動脈が血栓で完全に詰まってしまい、心筋への血流が途絶えると、心筋の細胞が壊死して「心筋梗塞」となります。この場合、激しい胸痛が20分以上続き、冷や汗・息切れ・気持ち悪さ・意識が遠のく感じなどを伴うことがあり、緊急治療が必要です124

1.2. 日常生活で悪化させてしまうNG習慣

心筋虚血は、突然「ある日いきなり」起こるというよりも、長年の生活習慣の積み重ねによって動脈硬化が進み、その結果として発症することが多い病気です。日本では、食習慣の欧米化や運動不足、喫煙などにより、虚血性心疾患による死亡は長期的には増加傾向にあり、高齢化とともに重要な疾患となっています7

とくに次のような習慣は、心筋虚血のリスクを高める要因として知られています。

  • 喫煙:タバコの成分は直接血管の内皮を傷つけ、動脈硬化を促進し、冠動脈のけいれん(冠攣縮)を起こしやすくします14
  • 塩分・脂質の多い食事:塩分のとりすぎは高血圧を、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の多い食事は脂質異常症を招き、動脈硬化の土台を作ります12
  • 運動不足・長時間の座りっぱなし:消費エネルギーが少ないと肥満やインスリン抵抗性が進み、糖尿病や高血圧、脂質異常症が重なっていきます。
  • ストレス・睡眠不足:精神的・身体的ストレスは交感神経を刺激し、血圧や心拍数を上昇させるほか、喫煙や過食など別のリスク行動を助長することがあります。
  • 多量飲酒:長期的な多量飲酒は高血圧や心筋症、不整脈のリスクを高め、虚血性心疾患と組み合わさると重い経過をとることがあります。

こうした習慣は、「忙しくて運動する時間がない」「仕事の付き合いで飲まざるをえない」といった日本の生活環境とも深く関係しています。完全に理想通りに変えることは難しくても、少しずつ見直していくことで心筋虚血のリスクを下げることができます。

表1:心筋虚血を疑うセルフチェックリスト
こんな症状・状況はありませんか? 考えられる主な背景・原因カテゴリ
階段を上がるときに胸の中央〜左側が締め付けられるように痛み、2〜3分休むとおさまる 労作時の心筋虚血(労作狭心症)
夜中や明け方など安静時に急に胸が痛くなり、数分〜10分ほどで自然におさまる 冠動脈のけいれんによる冠攣縮性狭心症の可能性
胸の痛みはあまりないが、少し動くだけで息切れが強くなり、以前より持久力が落ちている 高血圧や心不全を伴う心筋虚血、あるいはその他の心疾患
糖尿病があり、健診で「心電図に少し異常がある」と言われたことがある 自覚症状の乏しい無症候性心筋虚血
強いストレスや怒りの後に、胸の痛みや動悸、冷や汗を経験したことがある 一時的な心筋虚血、あるいはストレス関連の心血管反応

第2部:身体の内部要因 — 動脈硬化・生活習慣病と心筋虚血

生活習慣を見直してもなかなか改善しない場合、その背景には動脈硬化を進める高血圧や糖尿病、脂質異常症などの「生活習慣病」、あるいは遺伝的な体質が隠れていることがあります。ここでは、心筋虚血と密接に関連する内部要因を説明します。

2.1. 動脈硬化と冠動脈プラークのしくみ

動脈硬化とは、血管の壁に脂質(コレステロールなど)や炎症細胞がたまり、プラークと呼ばれる盛り上がりを形成し、血管が硬く・厚く・狭くなる状態です。冠動脈に動脈硬化が起こると、心筋に流れる血液が不足しやすくなり、心筋虚血を起こします123

とくに危険なのは、「やわらかく破れやすいプラーク」ができている場合です。このプラークが何らかのきっかけで破れると、そこに血小板が集まり血栓(血の塊)ができ、冠動脈の内腔を一気にふさいでしまいます。その結果起こるのが急性心筋梗塞であり、発症から数時間の対応が生死を分けることもあります24

2.2. 心筋虚血と関係が深い生活習慣病

厚生労働省や日本循環器学会などの資料では、次のような因子が虚血性心疾患の主要な危険因子として挙げられています123

  • 高血圧:長期間血圧が高い状態が続くと、血管の壁に強い圧力がかかり、動脈硬化が進みやすくなります。
  • 脂質異常症(高LDLコレステロール・低HDLコレステロール・高中性脂肪など):血液中のLDLコレステロールが多いと、動脈壁に沈着してプラークの材料となります。
  • 糖尿病・耐糖能異常:血糖値が高い状態が続くと血管内皮が傷つき、動脈硬化や微小血管障害が進みます。糖尿病の方は自覚症状の乏しい心筋虚血を起こしやすいことが知られています。
  • 肥満(特に内臓脂肪型肥満):おなか周りの脂肪が多いと、インスリン抵抗性、脂質異常症、高血圧が重なりやすくなります。
  • 喫煙:1本でも吸うと血管の収縮や血小板の活性化が起こり、心筋虚血の発作を誘発しやすくなります。
  • 家族歴・遺伝的要因:若い年齢で虚血性心疾患を発症した家族がいる場合、遺伝的な影響が関わっている可能性があります。

こうした因子は互いに重なり合うことが多く、「少し血圧が高いだけ」「コレステロールが少し高いだけ」と軽く考えていると、知らないうちに冠動脈の動脈硬化が進んでしまうことがあります。

2.3. 女性・高齢者・糖尿病の方で気をつけたいポイント

心筋虚血の症状は「胸の痛み」というイメージがありますが、実際には性別や年齢、合併疾患によって現れ方が異なることがあります。

  • 女性:男性に比べて閉経前は女性ホルモンの影響で虚血性心疾患が少ないとされますが、閉経後はリスクが上昇します。また、胸の痛みよりも、息切れ、極端な疲労感、吐き気、背中やあごの痛みなど非典型的な症状として現れることもあります4
  • 高齢者:加齢とともに動脈硬化が進みやすくなり、軽い運動でも息切れや胸部不快感が出やすくなります。一方で、痛みの感じ方が鈍くなり、重篤な心筋梗塞でも痛みが少ないことがあります。
  • 糖尿病のある方:糖尿病では神経障害の影響で痛みを感じにくく、「無症候性心筋虚血」として進行することがあります。検診で心電図異常や心エコーの異常を指摘された場合は、症状が軽くても必ず医師に相談しましょう34

「自分は胸が痛くないから大丈夫」と決めつけず、息切れやだるさ、動いたときだけ出る違和感なども含め、変化に気づいたら早めに相談することが大切です。

第3部:心筋虚血が関わる代表的な疾患と検査・治療

ここからは、心筋虚血が関わる代表的な病気(狭心症・心筋梗塞など)と、その診断・治療について解説します。ここで紹介する内容は一般的なものであり、実際の診断・治療は一人ひとりの状態に応じて異なります。

3.1. 狭心症(安定狭心症・不安定狭心症・冠攣縮性狭心症)

安定狭心症は、決まった程度の運動やストレスで胸の痛みが生じ、数分以内におさまるタイプです。例えば、「毎朝この坂道を上ると必ず胸が痛くなるが、立ち止まって休むと治まる」といったパターンが典型的です。これは、動脈硬化で冠動脈が狭くなっており、心臓への血液が足りなくなることで起こります14

不安定狭心症は、今までより弱い負荷でも胸痛が起こるようになったり、安静時にも発作が出るようになったりする状態を指します。冠動脈のプラークが不安定になり、破れやすくなっていることが多く、急性心筋梗塞に移行する危険が高い状態とされています4

冠攣縮性狭心症は、冠動脈そのもののけいれん(攣縮)によって一時的に血流が低下するタイプで、夜間や早朝など安静時に突然胸痛が出ることが特徴です。喫煙や寒冷刺激、ストレスなどが誘因となることがあります34

3.2. 心筋梗塞・急性冠症候群

心筋梗塞は、冠動脈が血栓で突然完全に詰まり、心筋への血流が途絶えてしまう病気です。胸の中央部に強い痛みや圧迫感が20分以上続き、冷や汗、吐き気、息苦しさ、強い不安感などを伴うことが多く、時に背中・肩・腕・あごに痛みが広がります124

最近では、「急性冠症候群」という総称がよく使われ、これは不安定狭心症や急性心筋梗塞など、冠動脈のプラーク破綻と血栓形成による急性の虚血性イベントをまとめた概念です。急性冠症候群が疑われる場合、救急外来での迅速な心電図検査や心筋マーカー測定、冠動脈造影検査を行い、速やかな再灌流療法(カテーテル治療や血栓溶解療法など)が検討されます36

3.3. 診断に用いられる主な検査

心筋虚血が疑われる場合、医療機関では次のような検査が組み合わせて行われます。

  • 心電図(ECG):心臓の電気的な活動を記録する検査で、虚血によるST変化や不整脈の有無を確認します。
  • 運動負荷試験:トレッドミルやエルゴメーターを使って運動しながら心電図や血圧を測定し、運動時に虚血が起きないかを評価します。
  • 心エコー(心臓超音波検査):超音波で心臓の動きや形を観察し、心筋の収縮が低下している部分がないか、弁膜症や心不全の有無を確認します。
  • 冠動脈CT:造影剤を用いて冠動脈の狭窄の程度やプラークの有無を非侵襲的に評価します。
  • 冠動脈造影検査(カテーテル検査):腕や脚の血管からカテーテルを冠動脈まで進め、造影剤を注入して詳細な狭窄や閉塞の状態を確認します。必要に応じて、その場で治療(ステント留置など)を行うこともあります。

どの検査を行うかは、症状の強さや持病、年齢、全身状態などによって異なります。検査の目的やリスクについては、事前に医師から説明を受け、不安な点は遠慮せず質問しましょう。

3.4. 主な治療法:薬物療法とカテーテル・外科治療

心筋虚血の治療の目標は、「心筋への血流を改善し、症状を軽くするとともに、心筋梗塞や突然死のリスクを減らすこと」です。日本循環器学会などのガイドラインでは、病状に応じて次のような治療が組み合わされます36

  • 抗血小板薬(アスピリンなど):血小板の働きを抑えて血栓ができにくくし、狭心症や心筋梗塞の再発を予防します。
  • ニトログリセリン・硝酸薬:血管を拡張して冠動脈の血流を増やし、狭心症発作の痛みを和らげます。舌の下に入れる舌下錠などがよく使われます。
  • β遮断薬:心拍数や心収縮力を下げて心臓の負担を軽くし、虚血を起きにくくします。
  • カルシウム拮抗薬:血管を広げる作用があり、特に冠攣縮性狭心症で重要な薬です。
  • スタチンなどの脂質異常症治療薬:LDLコレステロールを下げてプラークを安定化させ、心血管イベントのリスクを減らします。
  • ACE阻害薬/ARB:血圧を下げ、心不全や糖尿病腎症などの合併症予防にも用いられます。

薬物療法で症状が十分にコントロールできない場合や、重要な冠動脈に高度な狭窄・閉塞がある場合には、以下のような血行再建術が検討されます。

  • 経皮的冠動脈インターベンション(PCI:ステント治療):細いカテーテルとバルーン(風船)で狭くなった部分を広げ、金属または薬剤溶出性ステントを留置して再び狭くなりにくくします。
  • 冠動脈バイパス術(CABG):自分の別の血管(内胸動脈や下肢の静脈など)を用いて、詰まった冠動脈の先につなぎ、迂回路(バイパス)を作る手術です。複数の血管が広範囲に狭くなっている場合などに選択されます。

また、薬物療法やカテーテル・外科治療に加えて、心臓リハビリテーションを行うことにより、再発予防や日常生活の質(QOL)の改善が期待できます6

第4部:今日から始める心筋虚血対策アクションプラン

原因が何であれ、「今この瞬間からできること」「今週から試せること」「長期的に続けたいこと」を整理することで、不安に飲み込まれず、一歩ずつ具体的な行動に移すことができます。

心筋虚血の管理では、医師による診断・治療と並行して、次のような生活習慣の見直しが重要です127

  • 禁煙・受動喫煙の回避
  • 減塩と脂質バランスを意識した食事
  • 適度な有酸素運動(医師の指示の範囲で)
  • 体重管理(特に腹囲のコントロール)
  • 十分な睡眠とストレスマネジメント
  • 定期的な血圧・血糖・脂質のチェック
表2:心筋虚血に対する改善アクションプラン
ステップ アクション 具体例
Level 1:今からできること(症状があるとき) 無理をせず休む・薬を正しく使う・危険サインを見逃さない 胸の痛みや圧迫感を覚えたらすぐに動きを止めて座る/ニトログリセリンを処方されている場合は指示通りに使用する/痛みが10分以上続く、冷や汗や息切れ、意識がもうろうとするなどがあれば119番を検討する
Level 2:今週から始める生活習慣の見直し 食事・運動・睡眠を整え、喫煙者は禁煙支援を利用する 1日の食塩摂取量を6g未満に近づけるよう、外食や加工食品を控える/エレベーターの代わりに階段を使うなど、無理のない範囲で歩く時間を増やす(ただし医師から運動制限がある場合はそれに従う)/禁煙外来やニコチンパッチなどの支援を利用して禁煙を目指す
Level 3:長期的に続けたい再発予防・管理 定期受診と検査を続け、心臓リハビリや家族のサポートも活用する 医師の指示に従って血圧・血糖・脂質のコントロールを続ける/退院後や治療後に心臓リハビリテーションプログラムに参加し、運動療法や生活指導を受ける/家族と一緒に生活習慣を見直し、無理のない範囲で継続できるルールを作る

すべてを一度に完璧にこなす必要はありません。「毎日夕食後に10分だけ歩く」「タバコを1本でも減らす」「週末に血圧を測って記録する」といった小さな一歩を積み重ねることで、将来の心筋梗塞や心不全のリスクを確実に減らすことができます。

第5部:専門家への相談 — いつ・どこで・どのように?

最後に、「どのタイミングで医療機関を受診すべきか」「どの診療科に行けばよいか」「診察時に何を伝えればよいか」など、実際の受診に関するポイントを整理します。

5.1. すぐに受診・救急搬送を検討すべき危険なサイン

  • 胸の中央〜左側に強い痛みや圧迫感が突然現れ、10〜20分以上続く(安静にしてもおさまらない)
  • 胸の痛みとともに、冷や汗・吐き気・息苦しさ・めまい・意識が遠のく感じがある
  • 痛みが胸だけでなく、左腕・肩・背中・あご・歯・みぞおちなどに広がる
  • 持病として狭心症や心筋梗塞があり、いつもと明らかに違う強い症状が出ている
  • 心拍が極端に速くなったり不規則になったりして、立っていられないほどのふらつきや息切れを感じる

こうした症状がある場合、心筋梗塞など命に関わる状態の可能性があるため、ためらわず119番通報を検討してください。一人で歩いて病院に行こうとせず、周囲の人に助けを求めましょう。

5.2. 症状に応じた診療科の選び方

  • まず相談しやすいのはかかりつけ医や総合内科:軽い胸部不快感や息切れ、健診での異常など、「緊急ではないが気になる」症状について相談する窓口として適しています。
  • 循環器内科:狭心症が疑われる症状がある場合や、心電図異常・心エコー異常を指摘された場合、より専門的な評価が必要になります。大きな病院や循環器専門クリニックなどで診療を受けることができます。
  • 救急外来:前述の危険なサインがある場合や、症状が急激に悪化した場合は、救急外来を受診するか救急車を呼ぶことを検討してください。

どの診療科に行くべきか迷う場合は、まずかかりつけ医や地域の医療相談窓口に電話で相談し、状況に応じた案内を受けるのも一つの方法です。

5.3. 診察時に持参すると役立つ情報と費用の目安

  • 症状のメモ:いつから、どのような状況で、どのくらいの時間続き、何をすると楽になるかなどをメモしておくと、診察がスムーズです。
  • お薬手帳・健康診断結果:現在服用している薬や、最近の血圧・血糖・コレステロール値がわかる検査結果は、診断・治療方針を決めるうえで重要な情報になります。
  • 保険証・医療費助成の情報:日本では公的医療保険制度により、原則3割負担で受診できます(年齢や所得によって負担割合が異なる場合があります)。心電図や血液検査などの基本的な検査であれば、数千円〜1万円程度が目安ですが、CTやカテーテル検査などを行う場合にはもう少し高額になることもあります。
  • 付き添い:高齢の方や症状が強い方は、可能であれば家族などの付き添いがいると安心です。医師の説明を一緒に聞き、後から振り返る際の助けにもなります。

費用や検査内容について不安がある場合は、遠慮せず事前に医療機関へ問い合わせてみましょう。「何を聞けばよいかわからない」ときは、この記事の中で気になったポイントをそのまま質問してみても構いません。

よくある質問

Q1: 胸がチクチクするだけでも心筋虚血の可能性はありますか?

A1: 心筋虚血による典型的な胸の症状は、「締め付けられる」「重いものが乗っている」といった圧迫感や絞扼感で、数分続いておさまることが多いとされています14。一方、「チクチク」「ズキズキ」といった比較的鋭い痛みは、筋肉や肋間神経、消化器など心臓以外が原因のことも少なくありません。

ただし、痛みの感じ方には個人差があり、「思ったより軽い痛みだが実は心筋虚血だった」というケースもあります。動いたときだけ繰り返し出る、冷や汗や息切れを伴う、数分以上続くなど、気になる点があれば、一度医療機関で相談することをおすすめします。

Q2: ストレスだけで心筋虚血になりますか?

A2: 強いストレスは血圧や心拍数を上昇させ、血管を収縮させることで、一時的に心筋虚血を起こしやすくすることがあります4。また、ストレスが続くと喫煙量の増加や過食、睡眠不足など、動脈硬化を進める生活習慣につながることもあります。

とはいえ、「ストレスだけで突然心筋梗塞になる」というよりも、高血圧・糖尿病・脂質異常症・喫煙などのリスク因子が長年蓄積したうえで、強いストレスが引き金になることが多いと考えられています。ストレス対策と同時に、生活習慣病の管理や禁煙など、根本的なリスク因子への対応が重要です。

Q3: 胸の痛みが出たとき、何分続いたら救急車を呼ぶべきですか?

A3: 一般的には、胸の中央〜左側の強い痛みや圧迫感が突然現れ、安静にしても10〜20分以上続く場合、心筋梗塞など命に関わる病気の可能性があります12。冷や汗、吐き気、息苦しさ、めまい、意識が遠のく感じなどを伴う場合は、ためらわず119番通報することが推奨されます。

「少し我慢すれば治るかも」と様子を見ている間に、状態が悪化してしまうことがあります。迷ったときは、周囲の方や救急相談窓口に電話をして判断を仰ぐのも一つの方法です。

Q4: 健診の心電図が正常なら、心筋虚血の心配はありませんか?

A4: 健康診断の安静時心電図が正常であっても、心筋虚血の可能性が完全にゼロになるわけではありません。心筋虚血は「運動したときだけ」現れることも多く、安静時の心電図では捕まえられない場合があります3

胸の痛みや息切れなどの症状が続いている場合には、運動負荷試験や24時間心電図、画像検査など、より詳しい検査が必要になることがあります。健診結果に安心しすぎず、気になる症状があれば医師に相談しましょう。

Q5: 心筋虚血と言われても、運動をして大丈夫なのでしょうか?

A5: 適切にコントロールされた狭心症や治療後の心筋虚血では、医師の指示のもとで行う有酸素運動が再発予防や生活の質の向上に役立つことがわかっています6。一方で、状態によっては激しい運動が危険な場合もあります。

自己判断で急に運動を始めるのではなく、「どの程度の強さなら安全か」「どの動きを避けるべきか」について、主治医や心臓リハビリテーション専門スタッフと相談し、自分に合った運動プログラムを作ってもらうことが大切です。

Q6: ステント治療を受ければ、その後はもう安心してよいですか?

A6: ステント治療(PCI)は、狭くなった冠動脈を内側から広げて血流を改善する有効な治療法ですが、「一度ステントを入れれば今後は何をしても大丈夫」というわけではありません36

ステントを入れた部分や別の血管で再び動脈硬化が進むことを防ぐためには、抗血小板薬の服用を続けるとともに、禁煙、血圧・血糖・脂質の管理、体重コントロールなどの生活習慣の見直しが欠かせません。術後のフォローアップの頻度や検査内容については、主治医の指示に従いましょう。

Q7: 心筋虚血は完治しますか?一生薬を飲み続ける必要がありますか?

A7: 心筋虚血の背景には、動脈硬化という長年の蓄積による変化があります。そのため、「完全に元通りに戻る」というよりも、「これ以上悪くならないようにコントロールし、発作や合併症を防ぐ」ことが治療の主な目標になります13

薬をいつまで続けるかは、狭心症のタイプや治療内容、他のリスク因子の有無によって異なります。自己判断で中止すると、心筋梗塞などのリスクが高まる場合もあるため、必ず主治医と相談しながら調整しましょう。

Q8: 家族に心筋梗塞の人がいます。自分は何歳くらいから検査を受けるべきでしょうか?

A8: 若い年齢(男性で55歳未満、女性で65歳未満など)で心筋梗塞を起こした家族がいる場合、遺伝的に動脈硬化が進みやすい体質が関係している可能性があります3。具体的な検査開始年齢は一概には言えませんが、一般的には成人したら定期的な健診を受け、血圧・血糖・脂質・体重などの管理を始めることが推奨されます。

家族歴が気になる場合は、かかりつけ医や循環器内科に相談し、「どの程度の頻度で、どのような検査を受けるべきか」「生活習慣で特に気をつける点は何か」を一緒に確認すると安心です。

結論:この記事から持ち帰ってほしいこと

心筋虚血は、冠動脈の動脈硬化や血栓によって心筋への血流が不足する状態であり、狭心症や心筋梗塞など命に関わる病気の根底にある重要なプロセスです。胸の痛みだけでなく、息切れや強い疲労感、場合によっては目立った症状が出ない形で進行することもあります。

一方で、心筋虚血の多くは、長年の生活習慣や生活習慣病の積み重ねと関係しており、禁煙や食事・運動習慣の改善、血圧・血糖・脂質のコントロールなどによってリスクを減らすことができます。すでに狭心症や心筋梗塞を経験した方でも、薬物療法や血行再建術、心臓リハビリテーションを組み合わせることで、再発予防と生活の質の向上を目指すことが可能です。

「自分の症状は年のせい」「忙しいから病院に行く時間がない」と我慢し続けるのではなく、小さなサインのうちに受診することが、将来の大きなリスクを減らす近道になります。この記事が、心筋虚血について理解を深め、自分や家族の心臓の健康と向き合うきっかけになれば幸いです。

この記事の編集体制と情報の取り扱いについて

Japanese Health(JHO)は、信頼できる公的情報源と査読付き研究に基づいて、健康・医療・美容に関する情報をわかりやすくお届けすることを目指しています。本記事では、心筋虚血および虚血性心疾患に関する公的資料やガイドライン、レビュー論文などをもとに、日本の生活者にとって理解しやすい形で内容を整理しました1236

本記事の原稿は、最新のAI技術を活用して下調べと構成案を作成したうえで、JHO編集部が一次資料(ガイドライン・論文・公的サイトなど)と照合しながら、内容・表現・数値・URLの妥当性を人の目で一つひとつ確認しています。最終的な掲載判断はすべてJHO編集部が行っています。

ただし、本サイトの情報はあくまで一般的な情報提供を目的としており、個々の症状に対する診断や治療の決定を直接行うものではありません。気になる症状がある場合や、治療の変更を検討される際は、必ず医師などの医療専門家にご相談ください。

記事内容に誤りや古い情報が含まれている可能性にお気づきの場合は、お手数ですが運営者情報ページ記載の連絡先までお知らせください。事実関係を確認のうえ、必要な訂正・更新を行います。

免責事項 本記事は情報提供のみを目的としており、専門的な医学的助言や診断、治療に代わるものではありません。健康上の懸念がある場合や、治療内容の変更・中止等を検討される際には、必ず資格のある医療専門家にご相談ください。

参考文献

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  8. Iso H. Epidemiology of stroke and ischemic heart disease in Japan. Journal of Atherosclerosis and Thrombosis. 2021. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8692094/(最終アクセス日:2025-11-26)

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