この記事の科学的根拠
この記事は、引用された研究報告書で明示されている最高品質の医学的証拠にのみ基づいています。以下は、参照された実際の情報源と、提示された医学的指導との直接的な関連性を含むリストです。
- KEYNOTE-522試験: 本記事における再発高リスクの早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対する術前・術後化学免疫療法の推奨は、この画期的な第III相臨床試験の結果に基づいています4。
- ASCENT試験: 治療歴のある転移性TNBCに対するサシツズマブ ゴビテカンの有効性に関する記述は、この第III相臨床試験のデータに基づいています5。
- DESTINY-Breast04試験: HER2低発現乳がんという新たな概念と、それに対するトラスツズマブ デルクステカンの治療効果に関する解説は、この第III相臨床試験の結果に基づいています6。
- OlympiA試験: 生殖細胞系列BRCA遺伝子変異陽性の高リスク早期乳がん患者に対する術後補助療法としてのオラパリブの役割は、この第III相臨床試験によって確立されました7。
- 日本乳癌学会(JBCS)診療ガイドライン: 日本国内の標準治療に関する記述は、JBCSが発行する最新のガイドラインを参照しています8。
要点まとめ
- HR陰性乳がんは、ホルモン受容体(ER/PgR)が陰性のがんで、主に「トリプルネガティブ乳がん(TNBC)」と「HR陰性/HER2陽性乳がん」に分類されます。
- 早期TNBCの標準治療は、術前に化学療法と免疫チェックポイント阻害薬ペムブロリズマブを併用し、術後もペムブロリズマブを継続するレジメンであり、治癒率を大幅に向上させます(KEYNOTE-522試験)。
- 転移性TNBCの治療はバイオマーカーに基づき層別化され、PD-L1陽性例では免疫療法、gBRCA変異陽性例ではPARP阻害薬が有効です。
- 抗体薬物複合体(ADC)が治療に革命をもたらしました。サシツズマブ ゴビテカンは治療歴のある転移性TNBCの生存期間を劇的に延長します(ASCENT試験)。
- 「HER2低発現」という新概念が登場し、従来のTNBCの一部もトラスツズマブ デルクステカンという強力なADCの治療対象となり、治療選択肢が拡大しました(DESTINY-Breast04試験)。
- 日本の規制当局(PMDA)はこれらの革新的な薬剤を承認しており、日本人患者においても国際的な臨床試験と同様の有効性と安全性が確認されています。
第1部:ホルモン受容体陰性乳がんの基礎的理解
このセクションでは、HR陰性乳がんの定義、主要なサブタイプ、そして最新の治療戦略を理解する上で不可欠な分子的背景について掘り下げます。
1.1. HR陰性疾患のスペクトラム定義
HR陰性乳がんは、がん細胞にエストロゲン受容体(ER)およびプロゲステロン受容体(PgR)が発現していない乳がんと定義されます1。これは、がんの増殖が女性ホルモンに依存していないことを意味し、その結果として内分泌療法(ホルモン療法)は効果を示しません3。この広範なカテゴリーは、ヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)の発現状態に基づき、臨床的に大きく異なる2つの主要なサブタイプに分類されます2。
- HR陰性/HER2陽性乳がん: 全乳がんの約10%を占めます。このサブタイプは、HER2タンパクの過剰発現を特徴とし、治療は抗HER2薬による分子標的療法と化学療法の併用が中心となります3。
- トリプルネガティブ乳がん(TNBC): ER、PgR、HER2の3つの受容体がすべて陰性であることからこの名が付けられています。全乳がんの10~20%を占め、歴史的に最も治療が困難なサブタイプとされてきました2。標的となる受容体が存在しないため、治療の主体は長らく化学療法に限られていました。TNBCは他のサブタイプと比較して、より攻撃的な臨床経過、早期の再発率の高さ、そして不良な予後と関連しています9。
1.2. 分子生物学的な多様性とその臨床的意義
HR陰性乳がん、特にTNBCは、単一の疾患ではなく、生物学的に多様な腫瘍の集合体です。この多様性を理解することが、最新の治療戦略を把握する上で極めて重要です。
「トリプルネガティブ」を超える分類:内在性サブタイプ
遺伝子発現プロファイリングにより、TNBCは複数の分子サブタイプに分類されることが明らかになっています。その中で最も一般的なのが「Basal-like(基底細胞様)」サブタイプであり、TNBCの約80%を占めます10。その他にも、間葉系(Mesenchymal)、管腔型アンドロゲン受容体(Luminal Androgen Receptor; LAR)、免疫調節型(Immunomodulatory)などのサブタイプが提唱されています11。これらの分類は、腫瘍の生物学的特性の理解を深める上で不可欠ですが、日常臨床における治療選択への直接的な応用はまだ発展途上です。
「BRCAness」表現型と相同組換え修復欠損(HRD)
TNBCのかなりの割合、特に若年発症例では、生殖細胞系列のBRCA1またはBRCA2遺伝子変異(gBRCA変異)との関連が見られます(全TNBC症例の最大25%)10。これらの遺伝子は、DNAの二本鎖切断を修復する相同組換え修復(HRR)において中心的な役割を担います。gBRCA変異を持つ腫瘍や、他のHRR関連遺伝子の機能不全により同様の特性を示す腫瘍(この状態は「BRCAness」と呼ばれる)は、PARP(ポリADPリボースポリメラーゼ)阻害薬に対して特有の脆弱性を示します。PARP阻害薬は、このDNA修復機構の欠陥を利用して、がん細胞にのみ合成致死を誘導する標的治療薬です10。この生物学的背景から、TNBC患者、特に若年者や特定の家族歴を持つ患者に対するgBRCA遺伝子検査の重要性が強調されています。
免疫原性のランドスケープ
TNBCは、一般的に乳がんの中で最も免疫原性が高いサブタイプと考えられています。その特徴として、腫瘍組織へのリンパ球浸潤(Tumor-Infiltrating Lymphocytes; TILs)の程度が高く、免疫チェックポイント分子であるPD-L1(Programmed Death-Ligand 1)の発現頻度も高いことが挙げられます12。この免疫学的に「ホット」な腫瘍微小環境が、免疫チェックポイント阻害薬(Immune Checkpoint Inhibitors; ICIs)をTNBCの治療レジメンに組み込む理論的根拠となっています10。
1.3. 新たな臨床病理学的概念「HER2低発現」の台頭
近年、HR陰性乳がんの治療戦略を根底から覆す可能性のある、新たな概念が登場しました。それが「HER2低発現(HER2-low)」です。
HER2陰性領域の再定義
従来、HER2の状態は「陽性」か「陰性」かの二元論で分類されてきました。しかし、最新の知見により、「HER2低発現」が臨床的に意義のある独立したカテゴリーとして確立されました。HER2低発現は、免疫組織化学染色(IHC)でスコアが1+、またはIHC 2+かつin-situ hybridization(ISH)法で陰性と判定されたものと定義されます13。これはHER2陽性の定義を変更するものではなく、あくまで従来のHER2陰性群の中に存在する新たな部分集合を特定するものです14。
有病率と臨床的重要性
これまでHER2陰性と一括りにされていた腫瘍のかなりの部分(約60%)が、このHER2低発現に分類されることがわかっています14。この再分類は、TNBCやHR陽性/HER2陰性乳がんの治療において極めて重要です。なぜなら、これらのHER2低発現腫瘍は、新世代の極めて強力な抗体薬物複合体(Antibody-Drug Conjugate; ADC)の治療標的となるからです6。
「超低発現」という未来のフロンティア
さらに研究は進み、現在の「低発現」の閾値を下回る、ごくわずかなHER2発現(「HER2超低発現(ultra-low)」)しか持たない腫瘍でさえも、これらの強力なADCに反応する可能性が示唆されています6。これが確立されれば、将来的にはさらに多くの患者が標的治療の恩恵を受けられる可能性があります。
このように、HR陰性乳がんの治療は、もはや「TNBCかHER2陽性か」という単純な二者択一ではなくなりました。現代のHR陰性乳がんの診療では、HER2の発現レベル(ゼロ、超低発現、低発現、陽性)を連続的なスペクトラムとして捉え、同時にPD-L1発現、そしてgBRCA変異の有無という複数のバイオマーカーを評価し、個々の患者に最適な治療法を層別化する、多次元的なアプローチが求められます。このパラダイムシフトは、TNBCが持つ生物学的な多様性、すなわち免疫原性やDNA修復欠損といった特性を逆手に取り、それを治療標的とすることで達成されたものです。今後の進歩もまた、この多様性をさらに深く解明し、新たな標的と患者サブグループを見出すことにかかっています。
サブタイプ名 | ER/PgRステータス | HER2ステータス | 主要な生物学的特徴 | 主要な治療法 |
---|---|---|---|---|
トリプルネガティブ乳がん (TNBC) | 陰性 | 陰性 (IHC 0) | 標的受容体なし、高い増殖能、免疫原性が高い場合がある | 化学療法、免疫チェックポイント阻害薬 |
TNBC (gBRCA変異陽性) | 陰性 | 陰性 (IHC 0) | 相同組換え修復欠損 (HRD) | 化学療法 (プラチナ製剤感受性)、PARP阻害薬、免疫チェックポイント阻害薬 |
TNBC (HER2低発現) | 陰性 | 低発現 (IHC 1+ or 2+/ISH-) | 低レベルのHER2タンパク発現 | 化学療法、免疫チェックポイント阻害薬、抗HER2 ADC (トラスツズマブ デルクステカン) |
HR陰性/HER2陽性乳がん | 陰性 | 陽性 (IHC 3+ or ISH+) | HER2遺伝子増幅/タンパク過剰発現 | 抗HER2療法 (抗体、ADC)、化学療法 |
第2部:早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)の管理
早期TNBCの治療目標は治癒であり、そのアプローチは免疫療法の導入によって劇的な進歩を遂げました。特に術前(ネオアジュバント)療法における化学療法と免疫療法の併用は、新たな標準治療として確立されています。
2.1. ネオアジュバント/アジュバント化学免疫療法パラダイム:KEYNOTE-522試験の深掘り
新たな標準治療の確立
再発高リスクの早期TNBC(腫瘍径やリンパ節転移の有無で定義、例:T1cN1-2またはT2-4N0)に対する標準治療は、現在、術前化学療法に免疫チェックポイント阻害薬であるペムブロリズマブを併用し、手術後に術後補助(アジュバント)療法としてペムブロリズマブを継続するレジメンです15。このアプローチは、NCCN(National Comprehensive Cancer Network)、ASCO(米国臨床腫瘍学会)、ESMO(欧州臨床腫瘍学会)といった主要な国際ガイドラインで強く推奨されています5。
KEYNOTE-522試験のデザイン
このレジメンの根拠となったのが、大規模なランダム化二重盲検第III相試験であるKEYNOTE-522です。この試験では、未治療のステージIIまたはIIIのTNBC患者が2:1の割合で、術前療法として標準化学療法(パクリタキセル+カルボプラチン、その後ドキソルビシンまたはエピルビシン+シクロホスファミド)にペムブロリズマブまたはプラセボを併用する群に割り付けられました。手術後、患者は術後補助療法としてペムブロリズマブまたはプラセボの投与を継続しました4。
極めて重要なエンドポイントと結果
- 病理学的完全奏効(pCR)率: pCRは、術前療法の効果を測る重要な指標であり、手術で切除した乳房およびリンパ節組織から浸潤がんが完全に消失した状態を指します。TNBCにおいてpCRの達成は、長期的な生存率の改善と強く相関することが知られています16。KEYNOTE-522試験では、ペムブロリズマブの追加により、pCR率がプラセボ群の51.2%に対し、64.8%へと有意に向上しました。この効果は、PD-L1の発現状態や病期にかかわらず認められました4。
- 無イベント生存期間(EFS): 本試験はもう一つの主要評価項目であるEFSも達成しました。ペムブロリズマブ群はプラセボ群と比較して、統計学的に有意かつ臨床的に意義のあるEFSの改善を示しました。3年時点でのEFS率は、ペムブロリズマブ群で84.5%、プラセボ群で76.8%でした17。この効果は追跡期間が延長されても維持され、5年EFS率はそれぞれ81.2%と72.2%でした18。
- 全生存期間(OS): そして最も決定的な結果として、最新の最終解析では全生存期間の有意な延長が示されました。追跡期間中央値が6年以上(75.1カ月)の時点で、ペムブロリズマブの追加により死亡リスクが34%減少し、5年OS率はペムブロリズマブ群で86.6%、プラセボ群で81.7%となりました18。この結果は、本レジメンがTNBC患者の治癒率を向上させる治療法であることを確固たるものにしました。
日本における薬事承認
ペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)は、このKEYNOTE-522試験の結果に基づき、日本においても「ホルモン受容体陰性かつHER2陰性で再発高リスクの乳癌における術前・術後薬物療法」の適応で医薬品医療機器総合機構(PMDA)から承認されています19。承認審査報告書では、日本人部分集団における安全性データも評価されており、その有効性と安全性が確認されています20。
2.2. 化学療法バックボーンの役割
標準的なレジメン
早期TNBCにおける化学療法の骨格(バックボーン)は、一般的にアンスラサイクリン系薬剤(ドキソルビシン[A]またはエピルビシン[E])とシクロホスファミド[C]の併用療法、その後にタキサン系薬剤(パクリタキセルまたはドセタキセル)を続ける逐次投与が基本です21。また、投与間隔を3週間から2週間に短縮する「ドーズデンス療法」は、予後を改善することが示されており、しばしば推奨されます15。
プラチナ製剤に関する議論
術前化学療法へのプラチナ製剤(カルボプラチンなど)の追加は、長年の議論の的でした。プラチナ製剤はpCR率を向上させることが複数の試験で示されている一方で、血液毒性をはじめとする副作用の増加も懸念されます16。特に、DNA修復能に欠陥を持つgBRCA変異陽性の患者では高い感受性を示すと考えられています10。画期的な結果を示したKEYNOTE-522試験のレジメンにはカルボプラチンが含まれており、その高い有効性に貢献した可能性が考えられます。日本の乳癌診療ガイドラインでは、転移・再発TNBCに対するプラチナ製剤の使用は弱く推奨されていますが、エビデンスレベルが弱いことや、一部の用途では保険適用外である点が指摘されています8。
2.3. 術後残存病変を有する患者に対する補助療法
術前療法後にpCRを達成できなかった患者は、再発リスクが有意に高いため、さらなる治療強化が求められます。
- 術後補助療法カペシタビン(CREATE-X試験): 免疫療法が導入される以前の時代において、術前化学療法後に残存病変が認められた患者に対し、術後補助療法として経口抗がん剤であるカペシタビンを投与することで、無病生存期間および全生存期間が改善することがCREATE-X試験で示されました7。
- 術後補助療法オラパリブ(OlympiA試験): gBRCA1/2変異陽性かつ再発高リスクの残存病変を有する患者においては、術後補助療法としてPARP阻害薬であるオラパリブを1年間投与することで、浸潤性無病生存期間および全生存期間が有意に改善することがOlympiA試験で証明されました7。
現代のジレンマ
KEYNOTE-522レジメン(化学免疫療法)の成功は、新たな臨床的課題を生み出しました。それは、このレジメンを受けたにもかかわらず残存病変があった患者(約35%)をどう治療するかという問題です。術後補助療法としてのペムブロリズマブの継続が標準ですが、ここにカペシタビンやオラパリブ(gBRCA変異陽性の場合)をさらに追加することの有効性や安全性を示すデータは存在しません17。この「エビデンス・フリー・ゾーン」において、個々の患者のリスクとベネフィットを慎重に評価し、治療方針を決定する必要があります。
この治療パラダイムの進化は、早期TNBCの治療目標が単なるpCR達成から、長期的な生存への確実な橋渡しへと移行したことを示しています。しかし、その成功は同時に、治療抵抗性を示した患者群に対する次なる治療戦略という、新たなフロンティアを浮き彫りにしました。
臨床シナリオ | 推奨レジメン | 主要なエビデンス(試験名) | ガイドライン(例) |
---|---|---|---|
術前・術後療法(標準) | 術前:ペムブロリズマブ+化学療法(タキサン+プラチナ→アンスラサイクリン) 術後:ペムブロリズマブ継続 |
KEYNOTE-522 | NCCN, ASCO, ESMO |
術後残存病変あり(gBRCA野生型) | 術後ペムブロリズマブ継続。 (カペシタビンの追加はエビデンスなし) |
KEYNOTE-522 (CREATE-X) |
NCCN, ASCO |
術後残存病変あり(gBRCA変異陽性) | 術後オラパリブ(1年間)。 (ペムブロリズマブとの併用はエビデンスなし) |
OlympiA | NCCN, ASCO, ESMO |
第3部:転移性トリプルネガティブ乳がん(mTNBC)の管理
治癒が困難な転移性TNBCの治療は、近年、ADCの登場によって大きく変貌し、バイオマーカーに基づいた層別化治療が標準となっています。
3.1. mTNBCに対する一次治療
- PD-L1陽性疾患(KEYNOTE-355に基づく標準治療): 腫瘍のPD-L1発現が陽性(CPS ≥ 10)の患者に対する一次治療の標準は、ペムブロリズマブと化学療法(パクリタキセル、ナブパクリタキセル、またはゲムシタビン/カルボプラチン)の併用です10。第III相試験であるKEYNOTE-355では、この併用療法が化学療法単独と比較して、無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)を有意に延長することが示されました22。
- PD-L1陰性疾患: PD-L1陰性の患者に対する一次治療は、現在も化学療法単独が主体です。この集団において免疫療法を追加することのベネフィットは証明されていません22。
- gBRCA変異陽性疾患: 生殖細胞系列のBRCA1/2遺伝子変異が確認されている患者では、PARP阻害薬(オラパリブまたはタラゾパリブ)が一次治療の選択肢となり得ます。特に、免疫療法の適応がない場合に考慮されます10。
3.2. 二次治療以降:抗体薬物複合体(ADC)革命
治療抵抗性となったmTNBCの治療は、ADCの登場によって飛躍的な進歩を遂げました。
サシツズマブ ゴビテカン(製品名:トロデルビ)- ASCENT試験
- 作用機序: サシツズマブ ゴビテカンは、多くのがん細胞表面に高発現しているTrop-2というタンパク質を標的とするADCです。抗体がTrop-2に結合すると、細胞内に取り込まれ、極めて強力な化学療法薬(イリノテカンの活性代謝物であるSN-38)を腫瘍細胞内に直接送達します23。
- 画期的なエビデンス(ASCENT試験): この第III相試験は、複数の前治療歴のあるmTNBC患者を対象に、サシツズマブ ゴビテカンと医師が選択した単剤化学療法を比較しました。結果は圧倒的であり、サシツズマブ ゴビテカンはPFS中央値(5.6カ月 vs 1.7カ月)およびOS中央値(12.1カ月 vs 6.7カ月)の両方で、化学療法を大幅に上回る改善を示しました5。この効果は、あらゆるサブグループで一貫して認められました24。
- 主要な毒性: 主な副作用は、骨髄抑制(特に好中球減少)と下痢ですが、これらは適切な支持療法によって管理可能です25。
- 日本での承認とデータ: サシツズマブ ゴビテカン(トロデルビ)は、日本において2024年9月に「化学療法歴のある手術不能又は再発のホルモン受容体陰性かつHER2陰性乳癌」を適応として承認されました23。この承認は、国際共同ASCENT試験と、日本人患者における有効性と安全性を確認した国内第II相試験(ASCENT-J02)の結果に基づいています26。PMDAが承認した用法・用量は、21日間を1サイクルとし、各サイクルの1日目と8日目に10 mg/kgを点滴静注するものです27。
その他の有望なADC
ダトポタマブ デルクステカン(Dato-DXd): 同じくTrop-2を標的とするADCであり、後期開発段階にあります。HR陽性/HER2陰性乳がんに対して日本で承認申請中であり、将来的にはTNBCへの応用も期待されています6。
3.3. 転移性疾患における標的治療:PARP阻害薬
確立された役割
gBRCA1/2変異陽性の患者に対しては、PARP阻害薬であるオラパリブ(リムパーザ)およびタラゾパリブ(ターゼナ)が、化学療法後の治療選択肢として確立されています10。これらの薬剤は、この特定の患者集団において、標準的な化学療法を上回るPFSの延長効果を示しています10。
将来の方向性:併用療法
PARP阻害薬の耐性克服を目指し、ICIやADCとの併用療法が活発に研究されています28。また、最近の基礎研究では、PARP阻害薬とミトコンドリア阻害薬(糖尿病治療薬メトホルミンなど)を併用することで、その効果を増強できる可能性が提案されており、今後の臨床応用が期待されます29。
mTNBCの治療は、数年前までの逐次的かつ経験的な化学療法への依存から、PD-L1発現、gBRCA変異、そして治療ラインに基づいた、明確なバイオマーカー主導のアルゴリズムへと進化しました。一次治療の選択はPD-L1とgBRCAの状態によって決まり、二次治療以降では、サシツズマブ ゴビテカンがその圧倒的な生存ベネフィットにより、ほとんどの患者にとって中心的な役割を担います。
治療ライン | バイオマーカー | 推奨される治療法 | 主要なエビデンス(試験名) | 日本での承認状況 |
---|---|---|---|---|
一次治療 | PD-L1陽性 (CPS≥10) | ペムブロリズマブ+化学療法 | KEYNOTE-355 | 承認済み |
PD-L1陰性 | 化学療法単剤または併用 | – | – | |
gBRCA変異陽性 | PARP阻害薬(オラパリブ/タラゾパリブ)または化学療法(±ICI) | OlympiAD, EMBRACA | 承認済み | |
二次治療以降 | すべてのサブグループ | サシツズマブ ゴビテカン | ASCENT, ASCENT-J02 | 承認済み |
gBRCA変異陽性(PARP阻害薬 未使用) | PARP阻害薬(オラパリブ/タラゾパリブ) | OlympiAD, EMBRACA | 承認済み |
第4部:新たなフロンティア:HER2低発現乳がんの標的治療
HER2低発現という概念の確立は、従来の乳がんサブタイプの境界線を曖昧にし、治療戦略に革命をもたらしました。
4.1. トラスツズマブ デルクステカン(エンハーツ):ゲームチェンジャーADC
- 作用機序: トラスツズマブ デルクステカンは、抗HER2抗体であるトラスツズマブに、極めて強力なトポイソメラーゼI阻害薬というペイロード(薬物)を結合させたADCです。この薬剤は、高い薬物抗体比(DAR)を誇り、標的細胞に取り込まれた後、ペイロードが細胞膜を通過して周囲の腫瘍細胞にも作用する「バイスタンダー効果」を有します。この効果により、標的であるHER2の発現が低い、あるいは不均一な腫瘍に対しても強力な抗腫瘍効果を発揮します30。
- DESTINY-Breast04試験: この画期的な第III相試験は、化学療法による前治療歴のある転移性HER2低発現乳がん患者(HR陽性およびHR陰性の両方を含む)を対象に、トラスツズマブ デルクステカンと医師選択の化学療法を比較しました。結果は既存の治療常識を覆すものでした。「エンハーツ」は化学療法と比較して、PFSとOSの両方で劇的な改善を示しました。そして最も重要な点は、このベネフィットがHR陽性群だけでなく、HR陰性群(すなわち、従来の分類ではTNBCとされていた患者群)においても明確に認められたことです6。
- 「TNBC」への影響: DESTINY-Breast04試験の結果は、これまで標準的なTNBCとして治療されてきた患者の大部分(HER2低発現の特性を持つ患者)に、極めて有効な新たな標的治療の選択肢が生まれたことを意味します。これらの患者は、一次または二次化学療法の後に、この強力なADCの適応となります。
- 「超低発現」への地平(DESTINY-Breast06試験): さらに、DESTINY-Breast06試験の初期報告では、エンハーツがHER2「超低発現」の患者にも有効である可能性が示唆されており、その適用範囲はHER2陰性領域でさらに拡大する可能性があります6。
4.2. 治療アルゴリズムの再定義と病理診断の重要性
- 新たな検査要件: HER2低発現が臨床的に重要なカテゴリーとなったことで、これまで以上に正確なIHC検査が求められるようになりました。病理医は、HER2 IHCスコアが0(真の陰性)なのか、1+(低発現)なのかを注意深く区別する必要があります。
- 「TNBC」患者の治療経路の変化: 転移性HR陰性/HER2低発現の患者の治療の旅は、HER2が完全に陰性(IHC 0)の患者とは異なる経路を辿ることになります。一次治療は標準的なTNBCレジメン(化学療法±免疫療法)で開始されるかもしれませんが、病勢進行後は、サシツズマブ ゴビテカンに直行するのではなく、異なる作用機序と毒性プロファイルを持つトラスツズマブ デルクステカンが強力な治療選択肢として浮上します。
このHER2低発現という概念は、HR陽性、HER2陽性、TNBCという従来の硬直的なサブタイプ分類を事実上解体しました。これは、治療標的が連続的なスペクトラム上に存在し、強力なADCがたとえ低レベルのタンパク質発現であってもそれを治療機会に変えることができることを証明しています。この革新は、転移性TNBCかつHER2低発現という特性を併せ持つ患者において、2つの非常に有効なADCの最適な投与順序は何かという、次なる主要な臨床課題を生み出しています。
第5部:HR陰性/HER2陽性乳がんの管理
急速に進化するTNBCの治療状況とは対照的に、HR陰性/HER2陽性乳がんの治療パラダイムは比較的確立されています。このサブタイプの治療は、強力な抗HER2療法が中心です。
5.1. 治療の根幹:デュアルHER2阻害と化学療法
一次治療の標準は、第III相CLEOPATRA試験によって確立されました。タキサン系化学療法に、2種類の抗HER2抗体であるトラスツズマブとペルツズマブを併用するデュアルHER2阻害療法は、この患者集団における生存期間の新たな基準を打ち立てました31。
5.2. 抗体薬物複合体の役割
- 二次治療の標準: 二次治療における標準治療は、議論の余地なくトラスツズマブ デルクステカン(エンハーツ)です。第III相DESTINY-Breast03試験において、エンハーツはそれまでの標準治療であったトラスツズマブ エムタンシン(カドサイラ)に対し、前例のない劇的なPFSの改善を示しました。
- 三次治療以降の選択肢: 三次治療以降では、前治療で未使用であればトラスツズマブ エムタンシンや、チロシンキナーゼ阻害薬であるラパチニブと化学療法の併用などが選択肢となります32。
5.3. アジュバントおよびネオアジュバント療法
早期HR陰性/HER2陽性乳がんの治療も、化学療法とトラスツズマブ・ペルツズマブの併用が基本です。トラスツズマブは通常、術後1年間の投与が推奨されており、多くの患者で良好な長期予後が期待できます32。
第6部:ガイドラインの概要と日本の臨床状況
本セクションでは、国際的な主要ガイドラインと日本の規制当局の動向を統合し、日本国内における臨床現場の実情を概観します。
6.1. 国際ガイドラインの比較(NCCN, ASCO, ESMO)
NCCN、ASCO、ESMOといった主要な国際腫瘍学会のガイドラインは、HR陰性乳がんの治療において高いレベルで一致しています7。
- 主要な合意点:
- ニュアンスの違い: 推奨される化学療法のバックボーンや「高リスク」の具体的な定義など、細部において若干の差異が見られる場合がありますが、全体的な治療戦略の方向性は共有されています。
6.2. 日本の状況:日本乳癌学会(JBCS)ガイドラインとPMDA承認
- JBCSガイドライン: 日本乳癌学会が発行する診療ガイドラインは、国内の標準治療の基盤を提供します。ただし、エビデンスの創出からガイドライン改訂までにはタイムラグが生じるため、最新の国際的な知見が完全には反映されていない場合もあります8。例えば、2022年版ガイドラインでは、転移性TNBCに対するプラチナ製剤の使用について、エビデンスが弱いことや保険適用の制約に言及しており、これは日本の臨床家にとって重要な文脈情報となります8。
- PMDAによる薬事承認: 日本国内で治療薬を使用するためには、PMDAの承認が不可欠です。本レポートで議論された主要な薬剤は、日本人患者データを含む臨床試験に基づき承認されており、国内での実臨床における使用を強く後押ししています26。
薬剤名(製品名) | 標的/作用機序 | HR陰性乳がんにおける承認された適応 | 主要な根拠試験 | PMDA承認日(関連適応) |
---|---|---|---|---|
ペムブロリズマブ(キイトルーダ) | 抗PD-1抗体 | 1. HR陰性かつHER2陰性で再発高リスクの乳癌における術前・術後薬物療法 2. PD-L1陽性のHR陰性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌 |
1. KEYNOTE-522 2. KEYNOTE-355 |
1. 2022年8月 2. 2021年8月 |
サシツズマブ ゴビテカン(トロデルビ) | 抗Trop-2 ADC | 化学療法歴のあるHR陰性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌 | ASCENT, ASCENT-J02 | 2024年9月 |
オラパリブ(リムパーザ) | PARP阻害薬 | 1. gBRCA変異陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌 2. gBRCA変異陽性かつHER2陰性で再発高リスクの乳癌における術後薬物療法 |
1. OlympiAD 2. OlympiA |
1. 2018年7月 2. 2022年8月 |
トラスツズマブ デルクステカン(エンハーツ) | 抗HER2 ADC | 化学療法歴のあるHER2低発現の手術不能又は再発乳癌 | DESTINY-Breast04 | 2023年3月 |
第7部:将来の展望と結論
HR陰性乳がんの治療は、個別化医療の進展とともに、さらなる進化の時代を迎えています。
7.1. 次世代のバイオマーカー
現在のPD-L1やgBRCAといったバイオマーカーは治療選択に不可欠ですが、その予測能は完全ではありません。研究は、より動的で感度の高いバイオマーカーへと向かっています。
- 血中循環腫瘍DNA(ctDNA): 「リキッドバイオプシー」とも呼ばれるctDNAの検出は、術後の微小残存病変(MRD)をモニタリングする上で絶大な可能性を秘めています。術後にctDNAが陽性であることは再発リスクの極めて高い指標であり、将来的にはctDNAの状態に応じて術後補助療法を強化(エスカレーション)または軽減(デエスカーション)する個別化アプローチが期待されます12。
- 腫瘍浸潤リンパ球(TILs): 腫瘍組織への免疫細胞の浸潤度(TILs)は、強力な予後予測マーカーであることが知られています。特にTILsのレベルが高い患者は、より少ない治療で良好な予後を得られる可能性があり、治療のデエスカーションを検討する際の重要な指標となる可能性があります12。
7.2. 新たな併用療法の登場
今後の治療開発は、最も有効な薬剤を合理的に組み合わせる方向へと進むでしょう。ADCとICI、あるいはADCとPARP阻害薬を組み合わせることで、相乗効果を引き出し、治療抵抗性を克服する試みが活発に行われています30。これらの併用療法は、HR陰性乳がんの治療成績をさらに向上させる可能性があります。
よくある質問
早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)の最新の標準治療は何ですか?
「HER2低発現」とは何ですか?なぜ重要なのでしょうか?
転移性トリプルネガティブ乳がん(mTNBC)の主な治療法は何ですか?
新しい薬は日本人にも有効ですか?
結論
過去5年間で、HR陰性乳がんの管理は根底から変わりました。かつての画一的な化学療法中心のアプローチから、個々の腫瘍が持つ生物学的特性(PD-L1、gBRCA、HER2低発現など)に基づいた、高度に個別化されたバイオマーカー主導の戦略へと移行しました。早期疾患においては、免疫療法の導入がより多くの患者に治癒という希望をもたらし、転移性疾患においては、強力なADCの登場が生存期間を劇的に改善しました。未来は、リキッドバイオプシー(ctDNA)などのより洗練されたバイオマーカーによるさらなる個別化と、革新的な薬剤の戦略的な組み合わせによって、この困難な疾患に立ち向かう患者たちの予後をさらに改善していくことにあるでしょう。HR陰性乳がんの治療は、もはや「標的なし」ではなく、多様な標的を見出し、それらを精密に攻撃する新たな時代に突入したのです。
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