この記事の科学的根拠
この記事は、入力された研究報告書で明示的に引用されている最高品質の医学的根拠にのみ基づいています。以下に示すリストは、実際に参照された情報源と、提示された医学的指針との直接的な関連性を示したものです。
- 日本乳癌学会(JBCS): 本稿における治療ガイドライン、特に術後薬物療法やホルモン療法に関する指針は、日本乳癌学会が発行する「乳癌診療ガイドライン」に基づいています933。
- 米国国立がん研究所(NCI): 浸潤性小葉がんの治療に関する国際的な標準治療やフォローアップの指針は、米国国立がん研究所の情報を重要な根拠としています36。
- 世界保健機関(WHO): 乳がんに関する全般的な定義や分類、国際的な公衆衛生上の位置づけについては、世界保健機関の指針を参考にしています38。
- monarchE試験: HR陽性/HER2陰性の高リスク早期乳がん患者に対するアベマシクリブ(CDK4/6阻害薬)の有効性に関する記述は、重要な臨床試験であるmonarchE試験の結果に基づいています29。
- 国際的な医学論文(PubMed Central, The Lancet等): ILCとIDCの生物学的な違い、予後のパラドックス、分子標的薬の有効性など、専門的な知見は査読付きの国際的な医学論文から得られたデータに基づいています71214。
要点まとめ
- 浸潤性小葉がん(ILC)は乳がん全体の約5%を占める特殊型で、一般的な乳管がん(IDC)とは生物学的に異なり、E-カドヘリンという接着タンパク質の欠失を特徴とします78。
- ILCは明確なしこりを形成しにくく、乳房の肥厚や腫れとして現れることが多いため、マンモグラフィでの発見が困難な場合があります。診断にはMRIが非常に有効です24。
- 初期の予後は良好に見えることが多いですが、ILCは診断から10年以上経過しても再発する「後期再発」のリスクがIDCよりも高いという重大な特徴があります824。
- 治療の基本はホルモン療法であり、特にアロマターゼ阻害薬(AI)が有効とされる場合があります。後期再発のリスクを考慮し、5年以上の長期ホルモン療法が検討されることがあります3334。
- CDK4/6阻害薬(アベマシクリブなど)のような新しい分子標的薬は、高リスク患者の再発予防や転移性疾患の治療において大きな進歩をもたらしています29。
第1部:浸潤性小葉がん(ILC)の包括的概要
このセクションでは、浸潤性小葉がん(ILC)に関する基本的な知識、その定義、発生頻度、そしてより一般的な浸潤性乳管がん(IDC)との生物学的および臨床的な核心的な違いについて解説します。
1.1. 定義、疫学、病理学的特徴
定義
浸潤性小葉がん(ILC、Invasive Lobular Carcinoma)は、日本語では「浸潤性小葉がん(しんじゅんせいしょうようがん)」と称され、特殊型に分類される乳がんの一種です1。このがんは、母乳を生産する機能を持つ乳腺の「小葉」と呼ばれる組織の細胞から発生します1。「浸潤性」という言葉は、がん細胞が小葉を覆う膜を破り、周囲の乳房組織にまで広がっている状態を示します5。これは、異常な細胞が小葉内に留まっている前がん状態である「非浸潤性小葉がん(LCIS)」との重要な違いです7。
日本および世界における疫学
日本において、ILCは全乳がん症例の約5%を占めており、この割合は欧米諸国と比較して低いものの、近年増加傾向にあると報告されています8。対照的に、欧米のデータではILCは全浸潤性乳がんの10%から15%を占め、より高い割合を示しています2。この疾患は閉経後の女性、特に50歳以上の女性に最も多く見られます5。近年のILC発生率の増加は、閉経後女性におけるホルモン補充療法(HRT)の使用との関連が指摘されています14。
分子的特徴と組織病理学
ILCを決定づける分子的特徴は、E-カドヘリンと呼ばれる細胞接着タンパク質の発現が失われることです。この状態は、主にCDH1遺伝子の変異によって引き起こされます7。この接着能力の喪失が、ILC特有の組織病理学的増殖パターンの直接的な原因となります。顕微鏡下で観察すると、ILCは互いに接着しない小さながん細胞が、個々に、あるいは細い列をなして「一列性(single-file)」に間質組織へ浸潤していく様子が特徴的です10。このびまん性(広がりやすい)の増殖パターンは、通常、体からの顕著な線維化反応(desmoplastic reaction)を伴わず、腫瘍の境界が不明瞭になる一因となっています10。
CDH1遺伝子変異のほか、ILCでよく見られる遺伝子変化にはPIK3CA、PTEN、TBX3、FOXA1などがあります7。受容体に関しては、ILCはほぼ常にエストロゲン受容体陽性(ER+)であり(90-95%)、プロゲステロン受容体陽性(PR+)であることも多く(60-70%)、同時にヒト上皮成長因子受容体2(HER2)は陰性(HER2-)であることが一般的です7。
1.2. ILCと浸潤性乳管がん(IDC)の比較
ILCが単に乳がんの稀なタイプではなく、浸潤性乳管がん(IDC)とは生物学的に異なる独立した疾患であることを認識することは極めて重要です10。IDCが乳管から発生し、全乳がんの約80%を占めるのに対し、ILCは小葉を起源とすることが、その全く異なる臨床的挙動を決定づけます4。この違いは、診断から予後、治療選択、治療後のフォローアップに至るまで、疾患管理のあらゆる側面に深い意味を持ちます。
以下の表は、ILCとIDCの主な違いをまとめたもので、ILCのユニークな特徴を浮き彫りにします。
特徴 | 浸潤性小葉がん (ILC) | 浸潤性乳管がん (IDC) | 参照 |
---|---|---|---|
発生源 | 乳腺の小葉 | 乳管 | 1 |
頻度 | 日本で約5%、欧米で約10-15% | 全浸潤性乳がんの約80% | 9 |
組織病理学 | 小さく非接着性の細胞が「一列性」に浸潤 | 接着性の細胞が管状または充実性の構造を形成 | 10 |
分子的マーカー | E-カドヘリンタンパク質の欠失 (CDH1遺伝子変異) | 通常、E-カドヘリンを発現 | 7 |
臨床症状 | 明確なしこりではなく、領域的な硬化、肥厚、腫れ | 硬く、境界明瞭なしこりとして触知されることが多い | 4 |
画像診断 | マンモグラフィで検出しにくい。MRIの感度が高い。 | マンモグラフィで検出しやすい傾向がある。 | 2 |
多巣性・両側性 | 多巣性および両側性乳がんの割合が高い (最大20%) | 割合はより低い | 9 |
受容体プロファイル | HR陽性/HER2陰性の割合が非常に高い | より多様で、HR陰性やHER2陽性の割合が高い | 7 |
遠隔転移パターン | 腹膜、卵巣、消化管、髄膜への転移を好みやすい | 骨、肺、肝臓、脳への転移を好みやすい | 4 |
1.3. 診断と病期分類
臨床症状
ILCの症状は非常に微細で非典型的であることが多いです。明確なしこりの代わりに、患者は乳房組織の一部が厚くなったり、硬くなったり、腫れたり、乳房の形が変わったり、乳頭が陥没したりすることに気づくかもしれません3。この微細さは大きな課題であり、他のタイプの乳がんと比較して診断が遅れる原因となることがよくあります5。この「静かな」性質は、がん細胞の非接着性の増殖パターンに直接起因します。固まった塊を形成しないため、ILCは自己検診や医師による臨床診察でも見逃されやすいのです。
診断プロセス
診断プロセスは臨床診察から始まり、続いて画像診断が行われます。
- マンモグラフィ: ILCに対するマンモグラフィの感度は限定的で、57%から81%の範囲に留まります。これは、そのびまん性の増殖パターンが典型的な腫瘤や微小石灰化を形成しないためです2。つまり、かなりの割合のILC腫瘍がマンモグラムで見逃されたり、サイズが過小評価されたりする可能性があることを意味します。
- 超音波検査と乳房MRI: 乳房超音波検査、特に乳房MRI(磁気共鳴画像法)は、病変の真の広がりを特定する上で優れた効果を発揮することが多いです2。MRIは、他の方法では見つけられない可能性のある多巣性病変の検出や浸潤範囲の評価に特に有用であり、手術計画を立てる上で重要な役割を果たします。
- 生検: 確定診断には組織生検が必須であり、通常は針生検(コアニードルバイオプシー)または外科的生検が行われ、病理組織学的分析が行われます2。この分析により、がんの存在だけでなく、組織型がILCであること、そして重要なバイオマーカー(ER, PR, HER2, Ki-67)の状態が特定されます。
これらの特徴の組み合わせが、「ステルス性」というILCの中心的な臨床的課題を生み出します。細胞が単独で非接着性に増殖するパターンは、単なる組織学的特徴ではなく、一連の困難の根源です。それは腫瘍を触知しにくくし、マンモグラフィでの検出を困難にし、診断の遅れにつながります。その結果、ILCが発見されたときには、当初の疑いよりも腫瘍が大きく、より進行した段階にあることが多く、温存手術後の切除断端陽性率も高くなります5。このことは、ILCが疑われる症例において、乳房MRIを主要な診断・術前計画ツールとして使用することの強力な論拠となり、臨床医と患者の双方にとって強調されるべき点です。
病期分類
ILCの病期(ステージ)分類は、国際的な標準であるTNM分類システムに従います。これは、腫瘍の大きさ(T)、リンパ節転移の有無(N)、遠隔転移の有無(M)の3つの主要な要素に基づいています5。がんの種類(ILCであること)が病期を決定するわけではありませんが、早期発見が難しいというその固有の性質により、IDCと比較してより進行した病期で診断される傾向があることを強調しておく必要があります5。
第2部:予後と生存率の深層分析
このセクションでは、ILCの最も複雑で重要な側面の一つである、初期の予後は良好に見える一方で長期的なリスクを内包するという点について深く掘り下げます。この分析は、単なる統計数字を超えて、その背後にある「なぜ」を解き明かします。
2.1. 予後のパラドックス:後期再発のリスク
ILCはしばしば予後に関するパラドックスを示します。初期段階では、組織学的悪性度が低い、ホルモン受容体(HR)陽性率が高い、HER2が陰性、増殖指数Ki-67が低いといった、一般的に「良好」とされる予後因子を持つことが多いです9。これらの因子により、診断後最初の5年から10年間の予後はIDCと比較して良好な傾向があります8。ILC患者は、この初期段階において無病生存率が高い可能性があります。
しかし、最も重要かつ懸念すべき点は「後期再発」という現象です。IDCの再発リスクは最初の数年でピークに達し、その後徐々に減少するのに対し、ILCの再発リスクは一定のレベルで長年にわたり持続し、10年を過ぎても続きます8。ある大規模な国内データベースを用いた研究では、最初の10年間はILCの方が予後が良好であるものの、10年を超えると乳がん特異的生存率(BCSS)はIDCよりも悪化することが示されました24。具体的には、この研究は、米国のSEERデータベースにおいて、10年間の追跡後、ILC患者の乳がんによる死亡ハザード比がIDC患者の1.8倍高かったことを明らかにしています24。この後期再発のパターンは、特に閉経前の患者で顕著です24。
この現象は、ILCにおける「治癒」という概念を根本から変えます。IDCを含む多くのがんでは、5年または10年を再発なく生存することで、将来のリスクは大幅に減少します。しかしILCの場合、このリスクは同じようには減少しません。診断から12年後に生存しているILC患者は、IDC患者と同じレベルの安心感を得ることはできません。「安全」のシグナルがはるかに不確かなのです。これは患者にとって深い心理的影響を及ぼし、医療提供者にとっては重要な臨床的意味を持ちます。この事実は、(5年を超えた)長期のホルモン療法の検討、そして生涯にわたる警戒と、たとえ最初の治療から数十年が経過した後でも再発の兆候に関する患者教育の必要性に対する最も強力な論理的根拠となります。
2.2. 生存率の分析
生存率の統計データを提示する際には、慎重さと明確な文脈が必要です。
- 全般的な統計: 2024年に引用されたある研究によると、ILCの5年全生存率は88.6%、10年全生存率は73.6%でした25。しかし、これらの一般的な統計数値は、病期、組織学的悪性度、年齢、全身状態、治療法などの重要な要因を考慮していないため、その価値は限定的であることに注意が必要です。
- 日本におけるデータ: 国立がん研究センターが公表している統計データは、ILCのような特定の組織型ごとの詳細な分類は行っていません26。そのため、本報告書では日本の乳がん全体の生存率を参考値として用い、より詳細で一般にアクセスしやすいデータの必要性を強調します。
- 病期別生存率: 生存率は診断時の病期に大きく依存します。限局性(localized)の疾患は最も予後が良好ですが、遠隔転移(metastatic)がある場合は5年生存率が著しく低下します20。
2.3. 予後因子と予測因子
治療計画を立てる上で、予後因子と予測因子を区別することは非常に重要です。
- 予後因子(Prognostic Factors): どのような治療が行われたかに関わらず、患者の病気の結末を示します。
- 予測因子(Predictive Factors): 特定の治療法に対する反応の可能性を予測します。
注目すべき点として、標準的な予後予測ツールはILCに対して信頼性が低い可能性があります。例えば、IDCで化学療法の決定を補助するために広く使用されているオンコタイプDXのような遺伝子検査では、ILC腫瘍が「高再発スコア」群に分類されることは稀です12。これは、標準的なツールがILCの生物学的リスクを完全には捉えきれていない可能性を示唆しています。このため、ILCに特化した予後モデルの開発・検証や、monarchE試験の基準で用いられたように、陽性リンパ節の数や腫瘍サイズといった他の因子への依存度を高め、より積極的な補助療法を必要とする高リスク患者を特定することが求められています29。
第3部:治療法:標準から最先端まで
このセクションでは、日本乳癌学会(JBCS)や国際的な組織のガイドラインに基づき、ILCに対して確立された治療法を詳述し、ILCに特有の考慮事項を継続的に強調します。
3.1. 臨床ガイドラインに基づく治療原則
現在、ILCの治療は他のタイプの乳がんと同様の原則に従っており、主に病期とバイオマーカー(HR、HER2)の状態によって方針が決定されます16。本報告書では、日本における診療の根幹として、日本乳癌学会の「乳癌診療ガイドライン」の遵守を強調します9。これらのガイドラインは、米国国立がん研究所(NCI)36、世界保健機関(WHO)38、およびその他の主要ながん学会(ASCO, ESMOなど)からの国際的な指針によって補完され、グローバルな文脈を提供します。権威あるガイドラインを遵守することは、E-E-A-T(専門性、経験、権威性、信頼性)の原則を確保する上で最も重要です。
3.2. 局所療法:手術と放射線治療
手術
- 乳房温存手術と乳房切除術(全摘): 乳房温存手術も選択肢の一つですが、ILCの広がりやすい性質と多巣性の頻度の高さから、切除断端陽性率が高くなる傾向があり、再手術や乳房切除術への移行が必要となることがあります5。そのため、術前のMRI撮影は、腫瘍の真の範囲を特定し、不完全な手術のリスクを最小限に抑えるための正確な手術計画に不可欠です。
- リンパ節の管理: センチネルリンパ節生検(SLNB)は、腋窩リンパ節への転移を調べるための標準的な方法です。センチネルリンパ節が陽性の場合、腋窩リンパ節郭清(ALND)が行われます5。
- 対側乳房の予防的切除: ILC患者は両側の乳房に病変を持つリスクが比較的高い(約20%)ため、予防的な対側乳房切除術の選択肢がより頻繁に議論されます9。
放射線治療
放射線治療は、局所再発のリスクを減らすために乳房温存手術後に一般的に推奨されます2。また、高リスクの症例(例:大きな腫瘍、腋窩リンパ節転移)では、乳房切除術後にも使用されることがあります。一般的な副作用には、皮膚反応、疲労、および硬化や収縮といった乳房組織への長期的な変化が含まれます5。
3.3. 全身療法
内分泌(ホルモン)療法
これは、ホルモン受容体陽性率が非常に高いILC症例の大多数にとって、治療の基盤となります14。
- アロマターゼ阻害薬(AIs)とSERMs(タモキシフェン)の比較: これはILC治療における最も重要な違いの一つです。JBCSのガイドラインは、BIG 1-98試験のサブグループ解析を引用し、アロマターゼ阻害薬(例:レトロゾール)がタモキシフェンと比較して、特にILC患者においてより大きな再発抑制効果を示したと指摘しています33。これは、閉経後のILC患者にとってAIが優先的な選択肢となりうることを示唆しています。
- 長期の内分泌療法: 後期再発のリスクが高いことから、標準的な5年間を超える長期の内分泌療法は、多くのILC患者にとって重要な検討事項であり、長期的な再発リスクの低減に寄与します34。
化学療法
ILCにおける化学療法の役割は、IDCに比べて議論の余地があります。組織学的悪性度が低く、ホルモン受容体への強い陽性を示す特徴から、ILCは化学療法に対する感受性が低いと考えられています12。化学療法は通常、多数のリンパ節転移、高い組織学的悪性度、または高い遺伝子リスクスコアなど、高リスクの特徴を持つ患者に推奨されます。オンコタイプDXのような遺伝子検査がこの決定を導くのに役立つことがありますが、前述の通り、ILCが高いリスクスコアを示すことは稀です12。
病期 | 手術 | 放射線治療 | 内分泌療法 | 化学療法 | 分子標的療法 |
---|---|---|---|---|---|
早期 (I-II) | 温存手術 (MRI検討) または全摘。SLNB。 | 温存手術後に通常実施。高リスクなら全摘後も検討。 | 治療の基盤 (通常AIを5年以上)。 | リスク因子 (LN+, grade, 遺伝子スコア) に基づく。 | 超高リスク群にはアベマシクリブ補助療法を検討。 |
局所進行 (III) | 通常は全摘。ALND。 | ほぼ常に適応。 | 治療の基盤。 | 通常適応 (術前または術後)。 | アベマシクリブ補助療法を検討。 |
転移性 (IV) | 症状コントロール目的に限定。 | 転移部位の症状緩和に使用。 | 第一選択の基盤治療。 | 転移部位、病勢、内分泌療法抵抗性に基づく。 | CDK4/6阻害薬が第一選択。PIK3CA変異あればPI3K阻害薬も。 |
第4部:ILC治療の新時代:分子標的薬と免疫療法
このセクションは最もダイナミックであり、「最新の治療法」に焦点を当てています。最先端の臨床試験からのデータを慎重に統合する必要があります。
4.1. CDK4/6阻害薬:ゲームチェンジャー
サイクリン依存性キナーゼ4および6(CDK4/6)阻害薬(パルボシクリブ、リボシクリブ、アベマシクリブ)は、細胞分裂周期を促進するタンパク質を阻害することで作用します。これらの薬剤は、内分泌療法と併用することでHR+/HER2-乳がんの治療に革命をもたらしました28。
補助療法(早期、高リスク)
monarchE試験は画期的なものでした。この試験は、高リスクの早期乳がん患者において、標準的な内分泌療法にアベマシクリブを2年間追加することが、浸潤性疾患のない生存期間(IDFS)と遠隔再発のない生存期間(DRFS)を著しく改善することを示しました29。monarchE試験の基準に合致する患者を対象としたリアルワールドデータの解析では、IDCとILCの間で長期的な結果に差がないことが示され、高リスクのILC患者に対するアベマシクリブの使用を支持する重要なエビデンスとなっています44。
転移性疾患の治療
PALOMA、MONALEESA、MONARCHといった複数の第III相臨床試験により、CDK4/6阻害薬と内分泌療法の併用療法が、HR+/HER2-転移性乳がんの一次および二次治療における標準治療として確立されました。このレジメンは、内分泌療法単独と比較して、無増悪生存期間(PFS)をほぼ倍増させました28。
しかし、これらの結果をILCに適用する際には大きな課題があります。ILCはこれらの試験で体系的に過小評価されてきました47。主な原因は、腫瘍の反応を測定するために使用されるRECIST基準が、しばしば「測定可能」な病変を要求するためです。ILCのびまん性転移パターン(例:腹膜肥厚)は「測定不能」と見なされることが多く、その結果、ILC患者が試験から除外されてしまうのです47。したがって、既存のサブグループ解析の統計的検出力は限定的です。それにもかかわらず、PALOMA-1試験の拡大解析では組織型(乳管がん対小葉がん)によるサブグループ解析が含まれており、この集団における限定的ながらも直接的なエビデンスを提供しています48。
4.2. 新興の分子標的療法
ILC治療の未来は、IDCのプロトコルを「借用」することから、真にILCに特化した治療法の開発へと移行しつつあります。ILCの核心的な生物学の直接的な結果を標的とする治療法の登場は、パラダイムシフトを意味します。
- PI3K阻害薬: PIK3CA遺伝子に変異を持つ腫瘍(ILCでよく見られる変異)に対しては、アルペリシブのようなPI3K阻害薬が、フルベストラントとの併用で無増悪生存期間の延長に利益を示すことが確認されています30。イナボリシブのような新しい薬剤も開発段階にあり、期待されています30。
- ROS1阻害薬(合成致死): これはILCに対する極めて革新的で特異的なアプローチです。CDH1遺伝子の喪失(ILCの目印)は、がん細胞に弱点を作り出します。このCDH1を欠く細胞でROS1経路を標的にすると、「合成致死」という現象、すなわち両方の遺伝子/経路が欠損したときに細胞が死滅する現象を引き起こす可能性があります。これはILCに対する真の標的療法であり、ROSALINEやROLoといったILC特異的な臨床試験で検証が進められています31。これは、単にホルモン受容体の状態に頼るのではなく、ILC独自の分子的ドライバーに基づいた精密医療への移行を示す、最も有望な方向性の一つです。
4.3. 免疫療法の可能性
全体として、ILCは免疫学的に「冷たい」腫瘍と見なされており、腫瘍浸潤リンパ球(TILs)のレベルがIDCに比べて低いとされています15。これは、標準的な免疫チェックポイント阻害薬に対する反応性が低い可能性を示唆しています。
しかし、研究により「免疫関連」遺伝子を発現するILCのサブグループが特定されており、一部の患者がこの治療法から利益を得られる可能性が示されています15。GELATO試験はこの分野における重要な試みであり、転移性ILCにおけるPD-L1阻害薬と化学療法の併用を具体的に調査しています51。まだ初期段階ではありますが、この方向性は、慎重に選択されたILC患者のサブグループに対する免疫療法の個別化への希望を開くものです。
第5部:治療後のフォローアップと今後の展望
この最終セクションでは、長期管理のための実践的な指針を提供し、ILCの研究とケアの将来像を要約します。
5.1. 後期再発リスクの管理
後期再発のリスクと特異な転移パターンのため、長期的なフォローアップが極めて重要です。
- 監視の強化: 治療後のフォローアップは生涯にわたって維持されるべきであり、定期的な臨床診察と、マンモグラフィやMRIなどの画像診断が含まれます37。
- 患者教育: 患者はILC転移の特有の症状、特に新たに出現した腹痛、膨満感、便秘、原因不明の体重減少といった非典型的な症状について教育を受け、迅速に報告できるようにしなければなりません4。これは患者の命を救う可能性のある重要な知識です。
- 長期の内分泌療法: 後期再発のリスクは、適格な患者において内分泌療法を延長(最大7.5年または10年)することを検討する強力な論理的根拠となります。これは、患者と腫瘍内科医との間の十分な話し合いと合意を通じて決定されるべきです34。
5.2. 将来の研究の方向性
本報告書は、ILCに特化したさらなる研究を求める世界的な動きを強調して締めくくります40。
- ILC特化型試験: ILC患者のより大規模な試験への参加を促進し、ILCに適した参加基準と評価基準を持つ試験を設計するための働きかけが必要です47。これには、測定不能だが評価可能な病変の許容などが含まれる可能性があります。
- バイオマーカーの開発: 後期再発のリスクが最も高い患者を特定し、治療選択の指針とするために、より優れたILC特異的な予後および予測バイオマーカーが必要です。
- 個別化医療: 最終的な目標は、「ワンサイズ・フィット・オール」のアプローチから脱却し、各患者のILC腫瘍の特定の分子プロファイルに基づいて治療を調整することです。ROS1阻害薬やその他の標的薬に関する進行中の研究は、この道への第一歩です31。
- 患者アドボカシーの役割: 研究を推進し、支援を提供する上での患者コミュニティやアドボカシーグループの重要性は、決して過小評価できません51。これは重要な人間的要素を提供するだけでなく、E-E-A-Tにおける経験(Experience)の原則にも合致しています。
結論
浸潤性小葉がんは、特有の診断、治療、そしてフォローアップのアプローチを必要とする独立した疾患です。特に後期再発のリスクや臨床試験データの不足といった課題は依然として存在しますが、分子標的療法の進歩は精密医療の新たな希望の時代を切り開いています。今後の研究は、このユニークな乳がんに罹患した患者様一人ひとりに対して、より個別化され、効果的な治療法を提供することを目指しています。患者様と医療チームが密接に連携し、生涯にわたる注意深い管理を続けることが、最善の転帰につながる鍵となります。
よくある質問
なぜ浸潤性小葉がん(ILC)はマンモグラフィで見つけにくいのですか?
ILCと診断された場合、ホルモン療法はどのくらいの期間続ける必要がありますか?
ILCはIDCよりも悪性度が高いのですか?
新しい治療薬であるCDK4/6阻害薬はILCにも効果がありますか?
本記事は情報提供のみを目的としており、専門的な医学的助言に代わるものではありません。健康に関する懸念や、ご自身の健康や治療に関する決定を下す前には、必ず資格のある医療専門家にご相談ください。
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