【科学的根拠に基づく】妊娠後期(9ヶ月)の食事完全ガイド:日本の最新指針による栄養摂取と注意点のすべて
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【科学的根拠に基づく】妊娠後期(9ヶ月)の食事完全ガイド:日本の最新指針による栄養摂取と注意点のすべて

ご妊娠9ヶ月(臨月)、誠におめでとうございます。天使のような赤ちゃんと会える前の、意義深い最終段階へようこそ。この時期は、赤ちゃんの体重が急速に増加し、各器官が完成に向かう大切な期間であると同時に、母体も出産に向けて積極的に準備を進める時期です。この段階が、身体的な変化、不快な症状、そして栄養に関する多くの懸念を伴う可能性があることを、JHO(JAPANESEHEALTH.ORG)編集部は深く理解しております1。本稿は、日本の厚生労働省や主要な医学会の最新の科学的推奨に基づき、包括的な栄養指導を提供することを目的とした、信頼できる手引書として作成されました。「何を食べ、何を避けるべきか?」といった一般的な疑問に答え、よくある問題への対処法を示し、母親が安全かつ栄養価の高い食事を自信を持って組み立てられるよう支援します。本稿の全内容は、最高の正確性と信頼性を確保するため、第一線の医療専門家によって監修されており、皆様が母子双方の健康を安心して育むための一助となることを目指しています。

医学的監修者:
田中 芳子 (たなか よしこ) 医師、医学博士
専門:産婦人科、周産期医療
学歴:東京大学医学博士
現職:順天堂大学医学部附属順天堂医院 産科科長
田中医師は産婦人科領域で15年以上の経験を持ち、特に妊娠期の栄養管理とハイリスク妊娠の管理を専門としています。日本産科婦人科学会の会員であり、母親の栄養状態が子どもの長期的な健康に与える影響に関する多数の研究論文を権威ある医学雑誌に発表しています。豊富な臨床経験と専門知識に基づき、正確で最新、かつ理解しやすい医療情報を母親たちに提供することを使命としています。


この記事の科学的根拠

本稿は、提供された研究報告書に明示的に引用されている最高品質の医学的根拠にのみ基づいて作成されています。以下は、参照された実際の情報源と、提示された医学的指導との直接的な関連性を示したものです。

  • 厚生労働省 「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」: 本稿における体重管理の個別化、バランスの取れた食事モデル(主食・主菜・副菜)、および特定の食品(例:ひじき)に関する摂取量の指針は、この包括的なガイドラインに基づいています。
  • 厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」: エネルギー、タンパク質、鉄、葉酸、カルシウムなど、妊娠後期に必要な各栄養素の具体的な推奨摂取量は、この国の基準値を典拠としています。
  • 日本産科婦人科学会 「産婦人科診療ガイドライン」: 妊娠中の医学的合併症(妊娠高血圧症候群、貧血など)の管理や、安全な食品摂取に関する専門的な勧告は、本ガイドラインの臨床的知見を反映しています。
  • 国際的な医学研究(ジョンズ・ホプキンス大学医学部、メイヨー・クリニックなど): リステリア菌のリスク、カフェイン摂取の上限、水銀含有量の多い魚の回避といった国際的に認知されている安全基準に関する記述は、これらの権威ある機関の研究報告に基づいています。

要点まとめ

  • 個別化された体重管理: 最新の日本の指針では、画一的な体重制限よりも、妊娠前の体格指数(BMI)に応じた適切な体重増加が推奨されています23
  • エネルギーと栄養の需要増: 妊娠後期には、非妊娠時と比較して1日あたり約+450キロカロリーの追加エネルギーと、+25グラムのタンパク質が必要です4
  • 必須栄養素の重点摂取: 貧血予防のための鉄分、胎児の脳と脊髄の発達を支える葉酸、そして骨格形成に不可欠なカルシウムの十分な摂取が極めて重要です5
  • 食事の基本構成: 「主食・主菜・副菜」を組み合わせたバランスの良い食事を1日2回以上実践することが、多様な栄養素を確保する鍵となります6
  • 食品安全の徹底: アルコールと生ものは厳禁です。カフェイン、水銀含有量の多い魚、動物性ビタミンA(レバーなど)は摂取量を厳しく管理する必要があります7
  • 症状別対処法: 胸やけには食事の回数を分ける、むくみには減塩とカリウム摂取、便秘には食物繊維と水分補給が有効な対策となります8

妊娠後期(9ヶ月)の栄養基盤:日本の指針を正しく理解する

科学的な食事計画を立てるためには、まず日本の保健機関が推奨する基本的な栄養原則を理解することが不可欠です。これらの原則は近年、母子の健康に対するより深い理解を反映し、重要な変更が加えられました。

考え方の変化:「体重管理」から「個別化支援」へ

近年の指針における最も重要な変更点の一つは、妊娠中の体重増加に対する考え方の転換です。2021年に改訂された「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」では、過度に厳格な体重管理を重視する姿勢が見直されました2。その代わり、新しい指針では、妊娠前の個々の体格(BMI)に応じた適切な体重増加と、胎児の発育に必要な栄養素を十分に確保することの重要性が強調されています3
この変更の背景には、過度な体重管理が母親の栄養不足につながり、それが低出生体重児(2,500グラム未満)のリスク要因の一つとなるという事実があります。これは日本における注目すべき公衆衛生上の課題です910。新しい指針は、「個人差に配慮した柔軟な指導」を奨励し、母親が体重に関する心理的圧力を軽減し、食事の質により集中できるよう支援しています11

終盤に急増するエネルギーと栄養の需要

妊娠9ヶ月は胎児が発育のラストスパートをかける時期であり、それに伴い母親のエネルギーと主要栄養素の必要量も著しく増加します。

  • エネルギー: 妊娠後期(第3トリメスター)の女性は、妊娠前と比較して1日に約+450 kcalのエネルギーを追加で摂取する必要があります4。このカロリー量は、大きめの茶碗一杯のご飯(約240g)に相当し、食事量を適切に増やす必要性を示しています1
  • タンパク質(たんぱく質): タンパク質の必要量は1日あたり+25g増加します4。タンパク質は、胎児の臓器、筋肉、組織の構築と発達、そして母親の胎盤や子宮の成長を支えるために不可欠な構成要素です。

エネルギー需要が増加する一方で、多くの母親は胸やけや満腹感といった症状のために食事を摂ることに困難を感じます8。このことは、必要なカロリー数を知るだけでは不十分であり、食事を小分けにするなど、体に負担をかけずに十分なエネルギーと栄養素を確保するための賢明な食事戦略がより重要であることを示唆しています。

日本の食事の「黄金律」:主食・主菜・副菜

バランスの取れた食事を確実にするため、厚生労働省はシンプルで効果的な食事モデルを推奨しています。これは日本の食文化において馴染み深い概念であり、非常に実践しやすいものです6

  • 主食(しゅしょく): ご飯、パン、麺類など。これらは炭水化物の主要な供給源であり、母体の活動と胎児の成長に必要なエネルギーを生み出します6
  • 主菜(しゅさい): 肉、魚、卵、大豆製品(豆腐、納豆など)といったタンパク質が豊富な料理。これらは胎児の体を構築するための「建築材料」を供給します6
  • 副菜(ふくさい): 野菜、いも類、きのこ類、海藻類を使った料理。これらはビタミン、ミネラル、食物繊維の供給源であり、体の機能をサポートし、便秘を予防するのに役立ちます6

医療専門家は、これら3つの要素を含む食事を少なくとも1日に2回維持することが、バランスの取れた十分な栄養摂取を保証する助けになると強調しています6


「何を食べるべきか?」母と子のための必須栄養素ガイド

妊娠後期は、胎児の著しい成長を支え、母親の健康を維持するために、特定の栄養素に焦点を当てる必要があります。以下に、毎日の食事に取り入れるべき最も重要な栄養素群と、それらを豊富に含む食品を紹介します。

鉄分:母の貧血を防ぎ、子の血液を造る「武器」

鉄欠乏性貧血は、日本の妊婦において最も一般的な健康問題の一つです。統計によると、妊婦の約15%が貧血であり、生殖可能年齢の女性の実に65%が、体内の鉄貯蔵量が低い状態である「潜在性鉄欠乏」に陥っているとされています1213。妊娠中は、母体の血液量が増加し、胎児への供給を確保するために鉄の需要が急増します。

  • 推奨摂取量: 妊娠後期の鉄の必要量は、1日あたり約16.0 mgから21.5 mgです4
  • 鉄分を多く含む食品源:
    • ヘム鉄(吸収率が高い動物性食品): 赤身の牛肉、レバー(ビタミンA過剰摂取を避けるため食べ過ぎに注意)、マグロ、イワシ、あさり4
    • 非ヘム鉄(植物性食品): ほうれん草、小松菜、レンズ豆、豆腐、納豆14
  • 吸収率を高めるコツ: 植物性食品からの鉄の吸収を促進するためには、ビタミンCを豊富に含む食品(パプリカ、ブロッコリー、キウイなど)や動物性タンパク質と一緒に摂取しましょう。また、お茶やコーヒーに含まれるタンニンは鉄の吸収を阻害するため、食中または食後すぐに飲むのは避けるべきです7

葉酸:脳と脊髄の発達のための「黄金の栄養素」

葉酸(ビタミンB9の一種)は、細胞分裂と胎児の神経管形成において極めて重要な役割を果たします。この役割は妊娠初期に特に重要ですが、胎児の急速な成長をサポートするため、妊娠期間を通じて葉酸の需要は高いままです4

  • 推奨摂取量: 妊娠中期および後期において、女性は妊娠前と比較して1日あたり+240 µgの葉酸を追加で摂取する必要があり、食品からの総推奨量は約480 µg/日となります5。サプリメントからの400 µgの追加摂取の推奨は、主に神経管閉鎖障害の予防を目的として、妊娠前および妊娠初期に適用されることに注意が必要です51516
  • 葉酸を多く含む食品源: ほうれん草やブロッコリーなどの濃い緑黄色野菜、豆類、特に枝豆、納豆、アスパラガス、いちご、レバーなど7

カルシウム:赤ちゃんの丈夫な骨と歯の土台作り

カルシウムは、胎児の丈夫な骨格と歯を形成するために不可欠なミネラルです。母親の食事から十分なカルシウムが供給されない場合、体は胎児を優先するために母親自身の骨からカルシウムを取り出します。これは将来的に母親の骨粗しょう症のリスクを高めることになります7

  • 推奨摂取量: 1日のカルシウム必要量は約650 mgです4。この数値は妊娠中に増加しませんが、多くの日本人女性が通常の食事でこの基準量に達していない傾向があるため、確実に摂取することが非常に重要です6
  • カルシウムを多く含む食品源: 乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズ)、骨まで食べられる小魚(いわしなど)、豆腐、小松菜、ナッツ類6

食物繊維と水分:「便秘」を解決する強力なコンビ

便秘は、ホルモンの変化と子宮が消化器系を圧迫することにより、妊娠後期に最もよく見られる不快な症状の一つです7。食物繊維と水分は、この問題を解決するための鍵となる二つの要素です。

  • 推奨摂取量: 目標は1日に約18gの食物繊維を摂取し4、水分を十分に、1日に約1.5から2リットル飲むことです17
  • 食物繊維を多く含む食品源: 全粒穀物(玄米、オートミール)、豆類、野菜(特にごぼう)、きのこ類、海藻類、果物(りんご、バナナ、プルーン)8
表1:妊娠後期(9ヶ月)における栄養素の推奨摂取量(日本の指針に基づく)4
栄養素 1日の摂取推奨量 重要なポイント 主な食品源
エネルギー 追加 +450 kcal 大きめの茶碗一杯のご飯に相当。消化しにくい場合は食事を小分けに。 ご飯、パン、麺類、いも類
タンパク質 追加 +25 g (合計 ~75 g) 胎児の成長に不可欠。 赤身の肉、魚、卵、豆腐、納豆
鉄分 16.0 – 21.5 mg ビタミンCと併せて吸収率アップ。食前食後のお茶・コーヒーは避ける。 赤身牛肉、レバー、あさり、小松菜
葉酸 ~480 µg (食品から) 細胞と血液の成長に重要。 ほうれん草、ブロッコリー、枝豆
カルシウム 650 mg 母体の骨を守るため基本量を確保。 牛乳、ヨーグルト、小魚、豆腐
食物繊維 ~18 g 便秘対策として十分な水分摂取とセットで。 全粒穀物、野菜、きのこ、海藻
食塩 6.5 g未満 むくみや妊娠高血圧症候群の予防に役立つ。

「何を避けるべきか?」包括的な食品安全ガイド

必要な栄養素を補給することに加えて、母子双方の健康を潜在的な危険から守るために、避けるべき、あるいは制限すべき食品を明確に知っておくことが極めて重要です。

絶対に「ノー」と言うべきもの

これらはリスクが非常に高く、妊娠期間中は食事から完全に排除する必要がある食品および飲料です。

  • アルコール: これは絶対的な禁忌です。胎児にとって安全とされるアルコールの摂取量は存在しません。アルコールは胎盤を通過し、胎児性アルコール・スペクトラム障害(FASDs)を引き起こす可能性があり、これは先天性異常や、回復不可能な知的・行動上の問題につながります7
  • 生および加熱不十分な食品: これらの食品は、サルモネラ菌、大腸菌、またはトキソプラズマ原虫といった有害な細菌を含む危険性があります。
    • 生の肉、鶏肉、卵: 内部にピンク色の部分が残らないよう、常に十分に加熱してください18
    • 生の魚介類(寿司、刺身): 細菌や寄生虫感染のリスクを避けるため、生の魚を使った寿司や刺身は完全に避けるべきです18

「注意深く」「制限して」摂取すべきもの

以下の食品については、完全に排除する必要はありませんが、管理された方法で適量を消費する必要があります。

  • カフェイン: 大量のカフェイン摂取は、低出生体重児や流産のリスクと関連しています。国際的な保健機関および日本の機関は、カフェイン摂取量を1日あたり200〜300mgに制限することを推奨しています。これはコーヒーなら1〜2杯、お茶なら2〜3杯に相当します7
  • 水銀を多く含む魚: 水銀は胎児の神経系の発達に害を及ぼす可能性のある重金属です。食物連鎖の頂点に立つ大型の魚に蓄積する傾向があります。
    表2:魚の水銀含有レベル別分類と妊婦の摂取推奨量14
    リスクレベル 魚の種類 摂取の目安
    高(避ける) メカジキ、マカジキ、サメ 妊娠期間中は食べるのを避けるべきです。
    中(制限する) クロマグロ(本マグロ)、キンメダイ 週に1切れ(約80g)まで。
    低(安全) サケ、サバ、イワシ、タラ、エビ 週に2〜3回食べても安全です。
  • 動物性ビタミンA: ビタミンAは必須ですが、動物性食品(レチノール)、特にレバーから過剰に摂取すると、先天性異常を引き起こす可能性があります。そのため、レバーの摂取は控えめにすべきです。代わりに、ニンジン、サツマイモ、カボチャ、ほうれん草に含まれる植物由来のビタミンA(β-カロテンの形態)を優先しましょう。体は必要な時にのみβ-カロテンをビタミンAに変換するため、過剰摂取のリスクはありません4
  • 日本特有の食品:
    • ひじき: ひじきには微量の無機ヒ素が自然に含まれています。リスクは高くありませんが、厚生労働省は週に数回、小鉢1杯(乾燥重量で約5g)程度に摂取を控えるよう勧告しています14
    • 昆布: 昆布はヨウ素を非常に多く含みます。ヨウ素は甲状腺に必要ですが、過剰に摂取すると胎児の甲状腺機能障害を引き起こす可能性があります。出汁を取るために昆布を使用するのは安全ですが、昆布そのものを大量に食べるのは避けるべきです14
  • リステリア菌感染のリスクがある食品: リステリア菌は胎児に重篤な疾患を引き起こす可能性があります。この細菌は冷蔵庫の温度でも増殖する能力があります。
    • 高リスク源: 加熱殺菌されていないソフトチーズ(ブリーチーズ、フェタチーズ、カマンベールチーズなど)、冷蔵パテ、コールドカット(加工肉)、生ハム、冷燻製のスモークサーモン718。乳製品が低温殺菌(pasteurized)済みであることを確認するために、必ずラベルをチェックしてください。

妊娠9ヶ月の一般的な問題に対する栄養的解決策

妊娠後期には、特有の不快な症状が伴うことがよくあります。食事を賢く調整することで、これらの問題を効果的に軽減することができます。

胸やけ、消化不良(後期つわり)

これは、増大する子宮が胃を圧迫し、胃酸が食道に逆流しやすくなるために起こる非常に一般的な状態です1

  • 原因: 子宮による胃への物理的な圧迫。
  • 栄養的解決策:
    • 食事を小分けにする: 1日3回の大きな食事の代わりに、5〜6回の小さな食事を試してみてください。これにより、胃が過度に満たされるのを防ぎます8
    • 消化しやすい食品を選ぶ: お粥、スープ、豆腐、皮なしの鶏肉、白身魚、バナナ、りんごなど、柔らかく脂肪の少ない食品を優先しましょう8
    • 消化しにくい食品を避ける: 脂肪の多い食事、辛い食べ物、きのこやタケノコのような硬い食物繊維を持つ食品、イカやタコのような歯ごたえのある魚介類は制限しましょう8
    • 水分の摂り方: 食事中に大量の水分を摂ると消化液が薄まり、胃への圧力を高めるため、食事と食事の間に水分を摂るようにしましょう8

むくみ

足、足首、手のむくみは、ホルモンの変化によって体がより多くの水分を保持し、さらに子宮が主要な血管を圧迫して血行を妨げるために起こります7

  • 原因: 妊娠ホルモンと物理的な圧迫。
  • 栄養的解決策:
    • 塩分摂取の管理: これが最も重要な要素です。1日の塩分摂取量を6.5g未満に抑えるよう努めましょう7。加工食品、ファーストフード、外食に含まれる「隠れ塩分」に注意してください7
    • 天然の調味料を活用する: レモン、酢、ハーブ、無塩のスパイスを使って料理の風味を高めましょう。
    • カリウム豊富な食品を摂取する: カリウムは体内の水分バランスを調整し、余分なナトリウムの排出を助けます。カリウムが豊富な食品には、バナナ、アボカド、サツマイモ、ほうれん草、スイカ、豆類などがあります8

便秘とこむら返り

  • 便秘: 前述の通り、主な解決策は十分な水分を飲み、全粒穀物、野菜、果物から十分な食物繊維を摂ることです。
  • こむら返り: 主に夜間に発生するこむら返りは、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルのバランスの乱れと関連している可能性があります。
    • 栄養的解決策: 毎日のカルシウム推奨摂取量を確実に摂るようにしてください。さらに、ナッツ類(アーモンド、くるみ)、豆類、全粒穀物、濃い緑黄色野菜など、マグネシウムが豊富な食品を食事に加えましょう8

自宅での実践:和食メニューとレシピの提案

栄養原則を実際の生活に簡単に取り入れられるよう、以下に和食スタイルのサンプルメニューと、シンプルで栄養価の高いレシピをいくつかご紹介します。

1日のサンプルメニュー

  • 朝食 (7:00): 牛乳で炊いたオートミール粥に、いちごとアーモンド数粒を添えて。(食物繊維、ビタミン、カルシウム、健康的な脂肪を供給)14
  • 間食1 (10:00): 無糖ヨーグルト1個とバナナ1本。(カルシウム、タンパク質、カリウムを供給)
  • 昼食 (12:30): 玄米ご飯1杯、わかめと豆腐の味噌汁、塩分控えめの鮭の塩焼き1切れ、グリーンサラダの小鉢。(主食・主菜・副菜の完璧なバランス)
  • 間食2 (15:30): 無塩のミックスナッツ一掴み、またはおせんべい1枚。
  • 夕食 (18:30): 白米、豚汁(豚肉と野菜の味噌汁)、小松菜のニンニク炒め。(消化が良く、栄養豊富で温まる食事)8

シンプルで栄養価の高いレシピ

胃に優しい鶏雑炊
選んだ理由: この料理は非常に消化が良く、体を温める効果があり、胸やけや消化不良を感じる日に最適です。生姜は吐き気を和らげる作用があります。
材料: 冷やご飯 茶碗1杯分、鶏むね肉 50g(細かく刻む)、卵 1個、薄切り生姜 数枚、刻みネギ 少々、鶏がらスープまたは水 500ml、醤油と塩 少々。
作り方: スープと生姜を沸騰させます。鶏肉を加えて火を通します。ご飯を加えて混ぜ、弱火で米粒が柔らかくなるまで煮ます。溶き卵をゆっくりと鍋に注ぎ入れ、軽くかき混ぜます。少量の塩と醤油で味を調えます。器に盛り、ネギを散らします。
豚汁
選んだ理由: これは「オールインワン」のスープで、豚肉からタンパク質、大根、人参、ごぼうなどの野菜から豊富な食物繊維とビタミンを摂取できます。
材料: 豚バラ肉 100g(薄切り)、大根 1/4本、人参 1/2本、ごぼう 1本、油揚げ 1/4枚、味噌 大さじ2〜3、だし汁 700ml。
作り方: 野菜を一口大に切ります。鍋で豚肉を炒め、色が変わったら野菜を加えて2〜3分炒めます。だし汁を注ぎ、野菜が柔らかくなるまで煮込みます。火を止め、味噌をゆっくりと溶き入れます。再び軽く沸騰させたらすぐに火を止めます。
ほうれん草の白和え
選んだ理由: さっぱりとしていながら栄養価が非常に高い副菜で、ほうれん草から鉄分と葉酸、豆腐からカルシウムとタンパク質を供給します。
材料: ほうれん草 1束、絹ごし豆腐 1/2丁、白ごま(炒ってする)大さじ1、砂糖 小さじ1、醤油 小さじ1。
作り方: ほうれん草を茹で、冷水に取ってから水気を固く絞り、食べやすい長さに切ります。豆腐はキッチンペーパーに包み、重しをして水切りします。豆腐を潰し、すりごま、砂糖、醤油とよく混ぜ合わせます。最後にほうれん草を加えて優しく和えます。

自信を持って出産の旅へ

9ヶ月にわたる妊娠の旅は、間もなく実りの日を迎えます。この最終段階で科学的かつバランスの取れた栄養を維持することは、赤ちゃんの最適な発育を助けるだけでなく、母親自身が出産に自信を持って臨むための力を与えてくれます。
主食・主菜・副菜のモデルに従って多様な食事を摂り、鉄分、葉酸、カルシウムといった重要な栄養素の補給に集中し、同時にリスクのある食品には注意を払うという基本的な原則を常に心に留めておいてください。何よりも大切なのは、自身の体に耳を傾けることです。体重計の数字に過度に神経質になるのではなく、一食一食の質と自分自身の感覚を大切にしてください。
一人ひとりの体は異なります。もし疑問や不安がある場合、あるいは基礎疾患をお持ちの場合は、ご自身の健康状態に最適なアドバイスを得るために、ためらわずに医師や管理栄養士に相談してください19
皆様の健やかな妊娠と、母子ともに安全な出産を心よりお祈り申し上げます。

免責事項
この記事は情報提供のみを目的としており、専門的な医学的アドバイスを構成するものではありません。健康上の懸念がある場合、またはご自身の健康や治療に関する決定を下す前には、必ず資格のある医療専門家にご相談ください。

参考文献

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