本稿の科学的根拠
本記事は、信頼性の高い医学的エビデンスおよび日本の公的機関の指針にのみ基づいて作成されています。提示されるすべての医学的指導は、以下に示すような権威ある情報源に由来します。
- こども家庭庁「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」: 本稿における妊娠前からの栄養管理の重要性、および「主食・主菜・副菜」を基本とする食事の考え方は、この国の中心的な指針に基づいています12。
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準」: エネルギー、たんぱく質、各種ビタミン・ミネラルの具体的な推奨量、付加量、上限量に関する記述は、すべてこの国民的な基準値を典拠としています3。
- 食品安全委員会: リステリア、トキソプラズマといった食中毒のリスク、および水銀やヒ素などの特定の化学物質に関する安全性の評価と具体的な対策は、同委員会の科学的評価と勧告に準拠しています21。
- 日本産科婦人科学会: 妊娠中の適切な体重増加の目安など、産科領域における専門的な指針は、同学会の提言を反映しています15。
要点まとめ
- 妊娠中の食事は、胎児期から始まる「人生最初の1000日」の健康を左右する長期的投資です。特に妊娠前から葉酸を十分に摂取することが、胎児の先天性異常のリスクを低減します。
- 日本の伝統的な「主食・主菜・副菜」をそろえたバランスの良い食事を基本とし、妊娠中期・後期には適切な「付加量」を意識することが重要です。
- キャベツは葉酸、ビタミンC・K、食物繊維などを豊富に含み、便秘やむくみなど妊娠中の複数の悩みに対応できる、安全で推奨される野菜です。
- 食中毒予防が極めて重要です。特に「リステリア菌」と「トキソプラズマ原虫」を正しく理解し、「中心部75℃で1分以上の加熱」や「流水での洗浄」といった具体的な対策を徹底することが、リスクを管理する鍵となります。
- レバー(ビタミンA)や一部の大型魚(水銀)など、過剰摂取に注意が必要な食品もあります。種類と量を守り、賢く食事に取り入れることが大切です。
第1章 健全な妊娠中の食事の基礎:科学的視点
妊娠中の食生活は、単に母体の健康を維持するだけでなく、生まれてくる子どもの生涯にわたる健康の礎を築く極めて重要な要素です。最新の医学的知見に基づき、その科学的根拠と日本の公式な指針を解説します。
1.1 「人生最初の1000日」とDOHaD仮説:今、あなたの食事が未来を決める
近年の周産期医学において最も重要な概念の一つが「DOHaD(Developmental Origins of Health and Disease)仮説」です。これは、胎児期から生後2歳までの「人生最初の1000日」における栄養環境が、その子の成人後の肥満、心血管疾患、2型糖尿病などの生活習慣病の発症危険度に深く関与するという考え方です1。この概念はWHO(世界保健機関)やユニセフといった国際機関によって推進されており、日本の周産期指導においても中心的な考え方となっています1。つまり、妊娠中の食事は、目先の体重管理や栄養補給にとどまらず、子どもの将来の健康への長期的投資であるという科学的合意が確立されています。
1.2 日本の食事の基本形:「主食・主菜・副菜」
栄養科学を日々の食生活に落とし込むための実践的な枠組みが、日本の伝統的な食事の基本形である「主食・主菜・副菜」をそろえる考え方です2。
- 主食: ごはん、パン、麺類など。主にエネルギー源となる炭水化物を提供します4。
- 主菜: 肉、魚、卵、大豆製品など。体をつくる基礎となるたんぱく質を供給します4。
- 副菜: 野菜、きのこ、海藻など。体の調子を整えるビタミン、ミネラル、食物繊維の供給源です2。
1日に2回以上、この3つがそろった食事を摂取する人は、そうでない人と比較して栄養素の摂取状況が良好であることが報告されており、この食事モデルの有効性が示されています4。
1.3 妊娠前の栄養状態:極めて重要な出発点
日本の公的な指針が「妊産婦のための食生活指針」から「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」へと改定されたことは、極めて重要な意味を持ちます5。この名称変更は、単なる言葉の綾ではなく、日本の若い女性が妊娠前に抱える栄養課題に対する明確な政策的対応です。
統計データは、20代を中心とする日本の若い女性の多くが、妊娠前から低体重(BMI 18.5未満)の傾向にあり、朝食の欠食、エネルギー、野菜、鉄、そして特に葉酸の摂取が不足しているという現実を浮き彫りにしています1。妊娠を機に食生活が劇的に改善されることは少なく、多くの場合、妊娠前の食習慣が継続される傾向にあります4。胎児の神経管閉鎖障害の危険度は、妊娠を自覚する前の妊娠ごく初期に決まるため11、妊娠前から葉酸を充足させておくことが、低出生体重児や発育上の問題を予防する上で不可欠です1。このことは、社会的な「痩せ」志向が、次世代の健康に意図せぬ負の影響を及ぼす可能性を示唆しており、個人の食生活が公衆衛生に直結する重要な課題であることを物語っています。
1.4 妊娠時期別の栄養必要量:「付加量」の理解
妊娠中は、胎児の成長に合わせて、非妊娠時よりも多くのエネルギーと栄養素が必要になります。この追加で必要となる量を「付加量」と呼びます。
エネルギー: 「日本人の食事摂取基準」では、1日あたりのエネルギー付加量を妊娠初期で+50 kcal、中期で+250 kcal、後期で+450 kcalと定めています1。しかし、実際の妊婦の平均摂取エネルギーはこれらの目標値を下回っていることが指摘されています1。
体重増加の目安: 適切な体重増加は、母子双方の健康にとって重要です。妊娠前の体格(BMI)に応じて推奨される体重増加量が厚生労働省や日本産科婦人科学会から示されています3。増加量が少なすぎると低出生体重児や早産の危険性が、多すぎると巨大児や妊娠糖尿病の危険性が高まります4。
栄養素 | 妊娠初期 (~13週6日) | 妊娠中期 (14週0日~27週6日) | 妊娠後期 (28週0日~) |
---|---|---|---|
エネルギー | +50 kcal | +250 kcal | +450 kcal |
たんぱく質 | +0 g | +5 g | +25 g |
鉄 | +2.5 mg | +9.5 mg | +9.5 mg |
葉酸 (食事性) | +240 µg | +240 µg | +240 µg |
出典: 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」より作成3
この表は、妊娠期間を通じて変化する体の要求を具体的に示しており、「二人のために食べる」という抽象的な概念を科学的な数値に基づいた実践的な計画へと転換するための道具となります。
第2章 不可欠な栄養素と推奨される野菜
妊娠中に特に重要となる栄養素と、それらを効率的に摂取できる野菜について、その科学的根拠とともに詳述します。
2.1 葉酸:初期発生の設計者
葉酸はビタミンB群の一種で、細胞分裂や赤血球の形成に不可欠です。特に、胎児の脳や脊髄の基となる神経管の形成に極めて重要であり、その摂取は二分脊椎などの神経管閉鎖障害(NTD)の発症危険度を大幅に低減させることが知られています3。この予防効果が最も高い時期は、妊娠前から妊娠7週頃までであり、妊娠を自覚する前から十分な量を摂取していることが鍵となります11。
日本の公的機関は、2つの供給源からの摂取を推奨しています。
- 食事性葉酸: 通常の食事から摂取する葉酸。非妊娠時の推奨量240 µg/日に加え、妊娠中はさらに240 µg/日(合計480 µg/日)の摂取が推奨されます1。
- サプリメント等からの葉酸(狭義の葉酸): 生体利用率が高いモノグルタミン酸型の葉酸。妊娠を計画している女性、または妊娠の可能性がある女性は、通常の食事に加えて、サプリメントや強化食品から400 µg/日を摂取することが望ましいとされています1。
葉酸を豊富に含む野菜には、ほうれん草、ブロッコリー、アスパラガス、枝豆、春菊、なばななどが挙げられます13。
2.2 鉄分:母子をつなぐ酸素の運び手
鉄分は、血液中で酸素を運搬するヘモグロビンの主成分です。妊娠中は、母体の血液量の増加と胎児への供給のために鉄の需要が急増し、妊婦の2~4人に1人が鉄欠乏性貧血に陥ると言われています19。貧血は、早産や低出生体重児の危険性を高めることが明らかになっています19。
1日あたりの付加量として、妊娠初期は+2.5 mg、中期・後期は+9.5 mgの摂取が推奨されています3。鉄には、吸収率の高い動物性食品由来の「ヘム鉄」(レバー、赤身肉など)と、吸収率が低い植物性食品由来の「非ヘム鉄」(ほうれん草、小松菜、大豆など)があります3。
ここで極めて重要なのが、ビタミンCの役割です。ビタミンCは、非ヘム鉄の体内への吸収を劇的に高める効果があります2。したがって、小松菜やほうれん草などの野菜を食べる際には、ピーマンやブロッコリーといったビタミンCが豊富な食品を一緒に摂るという戦略が非常に有効です。
2.3 カルシウム:未来を支える骨格の材料
カルシウムは、胎児の骨や歯を形成するための必須ミネラルです3。妊娠中は、母体の腸管からのカルシウム吸収率が自然に上昇するという生理的適応が起こります3。しかし、食事からの摂取が不足すると、胎児の需要を満たすために母体の骨や歯に蓄えられたカルシウムが溶け出して使われ、将来的な母親の骨粗鬆症の危険性を高めることになります19。また、血中カルシウム濃度を適切に保つことは、妊娠高血圧症候群の予防にも寄与すると考えられています19。
1日の推奨量は650 mgです3。日本人女性は慢性的にカルシウム摂取量が不足しがちなため、意識的な摂取が求められます4。牛乳・乳製品や小魚が主な供給源ですが、小松菜などの緑黄色野菜や大豆製品も重要なカルシウム源となります1。
2.4 食物繊維とその他の主要ビタミン(C、K)
- 食物繊維: 妊娠中はホルモンの影響や子宮による腸の圧迫で便秘になりやすくなります。食物繊維は便通を整え、この不快な症状を予防・緩和するのに役立ちます26。
- ビタミンC: 鉄分の吸収促進に加え、皮膚や血管の健康を保つコラーゲンの生成や、免疫機能の維持に不可欠です22。
- ビタミンK: 血液の凝固に関わるビタミンであり、出産時の出血に備える上で重要です30。
キャベツ、さつまいもなどの根菜類、そして多様な緑黄色野菜をバランス良く食事に取り入れることで、これらの重要な栄養素を自然に摂取することができます24。
栄養素 | 野菜名 | 含有量(可食部100gあたり) |
---|---|---|
葉酸 | ほうれん草(ゆで) | 110 µg |
ブロッコリー(ゆで) | 120 µg | |
枝豆(ゆで) | 260 µg | |
グリーンアスパラガス(ゆで) | 180 µg | |
鉄分(非ヘム鉄) | 小松菜(ゆで) | 2.1 mg |
ほうれん草(ゆで) | 0.9 mg | |
大豆(ゆで) | 2.2 mg | |
高野豆腐(乾) | 6.8 mg |
注:鉄分(非ヘム鉄)はビタミンCと一緒に摂ることで吸収率が高まります。
出典: 食品安全委員会、日本食品標準成分表2020年版(八訂)等より作成3
この表は、「もっと葉酸を」といった抽象的な推奨を、「ほうれん草やブロッコリーを買おう」という具体的な行動計画に転換するための実用的な道具です。
第3章 キャベツの重点分析:その利点と安全な摂取法
ご質問にあったキャベツについて、その多面的な利点と安全な摂取方法を詳細に解説します。キャベツは、妊娠中に推奨される代表的な野菜の一つです。
3.1 キャベツ:妊婦のための栄養の宝庫
結論から言うと、キャベツは妊娠中に安全であるだけでなく、非常に推奨される野菜です26。その理由は、妊娠中のさまざまな悩みに対応できる多様な栄養素を含んでいる点にあります。
- 葉酸 (66 µg/100g): 胎児の神経管閉鎖障害の危険度低減に貢献する重要な供給源です20。
- ビタミンC (38 mg/100g): 100gで妊娠中の1日の推奨量の約3分の1を摂取できます。免疫機能の維持や、他の野菜や豆類に含まれる鉄分の吸収を高めるのに役立ちます20。
- 食物繊維 (1.8 g/100g): 妊娠期に頻発する便秘の予防・改善に効果的です26。
- ビタミンK (79 µg/100g): 出産に備える上で重要な、正常な血液凝固に不可欠です30。
- ビタミンU(キャベジン): キャベツに特有の成分で、胃の粘膜を保護し、修復を助ける働きがあります。つわりによる胃の不快感やむかつきを和らげる効果が期待できます30。
- カリウム (190 mg/100g): 体内の余分なナトリウムの排出を促し、妊娠中によく見られる「むくみ」の軽減に寄与します28。
このように、キャベツは一つの食材で、先天異常の危険度低減、便秘、つわり、むくみといった妊娠中の複数の悩みにアプローチできる、非常に費用対効果の高い「多症状対応型」の食材と言えます。この事実は、戦略的な食品選択がいかに妊娠中のQOL(生活の質)向上に貢献できるかを示す好例です。
3.2 どのくらい食べる?バランスの取れた食事の中での位置づけ
厚生労働省が推進する「健康日本21」では、1日350gの野菜摂取を目標としており、そのうちキャベツのような淡色野菜は約230gが目安とされています3。これは、生の千切りキャベツであれば両手に山盛り1杯程度、加熱したものであれば片手に乗るくらいの量に相当します。
3.3 安全なキャベツのプロトコル:購入から食卓まで
キャベツを安全に、かつ栄養を逃さず食べるための手順は以下の通りです。
- 選び方: 葉がみずみずしく、固く巻かれていて、ずっしりと重みのあるものを選びます。外葉に傷やしおれがないか確認しましょう。
- 洗い方(最重要段階): 土壌由来のトキソプラズマなどの病原体の危険度を低減するため、洗浄は極めて重要です。
- 一番外側の葉は1~2枚はがして廃棄します。
- サラダなど生で食べる場合は、葉を一枚ずつはがし、流水で丁寧に洗い流します。ため水や殺菌されていない井戸水の使用は避けてください21。
- 加熱調理する場合は、切る前にまるごと流水でよく洗うだけでも十分です。
- 調理法:
- 栄養の保持: ビタミンCや葉酸などの水溶性ビタミンは、茹でると水に溶け出してしまいます。栄養を効率よく摂るためには、蒸し料理、炒め物、あるいは栄養が溶け出た汁ごと食べられるスープや煮込み料理が最適です28。
- 生食と加熱食の利点: 生で食べるとビタミンCを最大限に摂取でき、加熱するとかさが減ってたくさん食べられるため、食物繊維や葉酸の摂取量を増やしやすくなります。
第4章 食の安全を極める:食中毒の予防的アプローチ
妊娠中は、食中毒予防に対する意識を格段に高める必要があります。ここでは、漠然とした不安を具体的な対策に変えるための、科学的根拠に基づいた手順を提示します。
4.1 なぜ妊娠中は危険度が高まるのか:生物学的背景
妊娠中は、胎児を異物として攻撃しないように、母体の免疫機能が意図的に抑制されています。この生理的な変化により、健康な時には問題にならないような少量の細菌やウイルスでも、感染症を発症しやすくなります37。さらに、リステリア菌やトキソプラズマ原虫のように、胎盤を通過して胎児に直接感染し、母体の症状が軽微であっても胎児に深刻な影響を及ぼす病原体が存在することが、最大の懸念点です21。
4.2 二大病原体:リステリアとトキソプラズマ
- リステリア・モノサイトゲネス:
- トキソプラズマ・ゴンディ:
4.3 究極の防御策:加熱、衛生、取り扱い
食中毒の危険性は、漠然と恐れるものではなく、科学的知識に基づいて管理・無力化できるものです。「食べてはいけないものリスト」に怯えるのではなく、「安全に食べるための方法」を習得することが、不安を自信に変える鍵です。
加熱の力: 病原体を死滅させる最も確実な方法は加熱です。「よく火を通す」という曖昧な表現ではなく、具体的な温度と時間を知ることが重要です。
病原体 | 主な原因食品 | 死滅・不活化に必要な加熱条件 |
---|---|---|
リステリア菌 | ナチュラルチーズ、生ハム、パテ | 中心部が75℃に達してから1分以上。63℃で30分間の低温殺菌でも死滅43。 |
トキソプラズマ原虫 | 加熱不十分な肉 | 中心部まで十分に加熱(肉の赤みがなくなるのが目安)。冷凍(−20℃で数日間)も有効41。 |
ノロウイルス | 二枚貝(カキなど)、汚染された食品 | 中心部が85~90℃で90秒以上21。 |
カンピロバクター、O157等 | 鶏肉、牛肉など | 中心部が75℃で1分以上21。 |
出典: 厚生労働省、食品安全委員会等の資料より作成
この表は、恐怖を具体的な行動計画に変えるための道具です。これらの数値を満たせば、危険性は効果的に排除できると自信を持つことができます。
野菜・果物の洗浄: 土壌に潜むトキソプラズマ等の危険性を避けるため、皮をむくものであっても、全ての野菜や果物は食べる前に流水でしっかり洗いましょう21。
交差汚染の防止:
第5章 特に注意が必要な食品と成分
厳密に「禁止」されているわけではないものの、摂取量や調理法に注意が必要な食品群があります。これらの「グレーゾーン」を正しく理解し、賢く付き合うことが、バランスの取れた食生活につながります。
5.1 上限のある栄養素:ビタミンAのケース
ビタミンAは必須栄養素ですが、動物性食品に含まれるビタミンA(レチノール)を、特に妊娠初期に過剰摂取すると、胎児の形態異常(催奇形性)の危険性が高まることが知られています2。
注意すべき供給源: 主な危険源は、レバーとサプリメントです。通常の多様な食事から過剰摂取になる心配はほとんどありません19。
具体的な助言: レバーの摂取は、焼き鳥1本程度など、少量に週1回程度にとどめましょう37。マルチビタミンを摂取する場合は、ビタミンAの含有量を必ず確認してください。
植物由来のβ-カロテン: 緑黄色野菜に含まれるβ-カロテンは、体内で必要な分だけビタミンAに変換されるため、過剰摂取の心配はありません21。
5.2 魚との賢い付き合い方:水銀と必須脂肪酸
魚の利点: 魚は良質なたんぱく質源であると同時に、胎児の脳の発達に不可欠なDHAやEPAといったオメガ3系脂肪酸を豊富に含みます47。
水銀の危険性: 食物連鎖を通じて、大型の魚にはメチル水銀が蓄積されやすい傾向があります。妊娠中に高濃度のメチル水銀を摂取すると、胎児の神経系の発達に影響を与える可能性があります21。
公的指針: 厚生労働省は、魚を避けるのではなく、種類を選んで賢く食べることを推奨しています37。
食品・成分 | 危険性 | 目安量・指針 |
---|---|---|
水銀量の多い魚 (キンメダイ、メカジキ、クロマグロ等) | 胎児の神経系への影響 | 週に1回(約80g)まで47 |
水銀量の少ない魚 (サケ、アジ、サバ、イワシ等) | 特になし | 摂取量の制限は特にない |
レバー(鶏・豚・牛) | ビタミンAの過剰摂取による催奇形性 | 焼き鳥1本/週 程度に37 |
ひじき | 無機ヒ素の過剰摂取 | 小鉢1杯/日 程度まで。毎日大量に食べ続けない37 |
カフェイン | 胎児の発育阻害、低体重 | 1日200~300mg未満(コーヒーなら1~2杯)19 |
ヨモギ、モリンガ等 | 子宮収縮作用、安全性のデータ不足 | 摂取を避けるか、医師に相談4849 |
出典: 厚生労働省、食品安全委員会等の資料より作成
この表は、漠然とした不安を解消し、情報に基づいた節度ある食生活を可能にするための実用的な手引きです。
5.3 ハーブや「健康食品」への慎重なアプローチ
「天然由来=安全」という考えは、妊娠中においては危険な誤解です。多くのハーブや健康食品は、妊婦への安全性が科学的に確立されていません。
- ヨモギ: 産後の子宮収縮を促す目的で伝統的に使われてきましたが51、その作用が妊娠中には流産・早産の危険性となり得ます。子宮を刺激する可能性のある成分(ツヨン)を含むため、ヨモギ茶などの積極的な摂取は避けるべきです48。
- ゴーヤ: 通常の食事で野菜として食べる分には安全です。葉酸やビタミンCの良い供給源となります55。
- スベリヒユ: 子宮収縮作用が示唆されており、伝統的にも妊婦は避けるべきとされてきたため、摂取は控えましょう57。
- モリンガ: 「スーパーフード」として販売されていますが、妊婦への安全性データは乏しく、動物実験では高用量で流産の危険性が報告されています。厚生労働省も注意喚起表示を指導しており、摂取は避けるか、必ず医師に相談すべきです4950。
5.4 その他の注意点:カフェイン、塩分、加工食品
- カフェイン: 摂取量を1日200mg~300mg未満(コーヒーなら1~2杯程度)に抑えることが国際的な合意です19。
- 塩分: 過剰摂取は妊娠高血圧症候群の危険性を高めます3。1日の目標は6.5g未満です3。加工食品や漬物、麺類の汁を控え、だしや香味野菜、香辛料を活用して風味を補いましょう3。
よくある質問
キャベツは生で食べても大丈夫ですか?特に注意すべき洗い方はありますか?
妊娠中に魚を食べるのが水銀の影響で怖いのですが、全く食べない方が良いのでしょうか?
葉酸のサプリメントはいつからいつまで飲むべきですか?
つわりがひどくて、バランスの取れた食事ができません。どうしたら良いですか?
結論
本稿は、妊娠中の食生活に関する科学的根拠と実践的なアプローチを包括的に示しました。重要な要点を以下に要約します。
基本はバランス: 妊娠前から「主食・主菜・副菜」のそろったバランスの良い食事を心がけることが、母子双方の健康の土台となります。
重要栄養素への集中: 特に、葉酸、鉄、カルシウム、食物繊維の摂取を意識し、多様な野菜を食事に取り入れることが重要です。キャベツは、これらの栄養素をバランス良く含み、妊娠中の様々な不快症状に対応できる優れた食材の一例です。
知識は最大の防御: 食中毒の危険性(リステリア、トキソプラズマ等)を正しく理解し、具体的な加熱条件(例:中心部75℃で1分以上)や洗浄といった科学的根拠のある対策を講じることで、危険性は管理可能です。
恐怖から自信へ: 本稿の目的は、制限的で恐怖に基づいた食生活を推奨することではありません。むしろ、正確な知識を武器に、危険性を賢く管理し、安全で、バランスが取れ、そして楽しい食事を送ることを可能にすることです。
妊娠期間は心身ともに大きな変化を経験する時期です。食事に関する不安や疑問があれば、一人で抱え込まず、かかりつけの医師、助産師、管理栄養士などの専門家や、家族の支援を積極的に活用してください。「お母さんと赤ちゃんのからだと心のゆとりは、周囲のあたたかいサポートから」という公的指針の言葉6が示す通り、社会全体で支えることが重要です。
ご自身の体と、育ちゆく新しい命を慈しみながら、自信を持って食生活を営んでいかれることを心より願っています。
本記事は情報提供のみを目的としており、専門的な医学的助言に代わるものではありません。健康に関する懸念や、ご自身の健康や治療に関する決定を下す前には、必ず資格のある医療専門家にご相談ください。
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- 妊娠中期の食事ガイド|おすすめの食べ物一覧や食事メニューを紹介. the kindest. [2025年6月25日引用]. Available from: https://the-kindest.com/media/ninshin_tyuki_syokuji/
- キャベツは妊婦や乳児が食べても大丈夫?注意点や簡単アレンジレシピも紹介. 産直プライム. [2025年6月25日引用]. Available from: https://sanchoku-prime.com/articles/cabbage-baby
- キャベツは栄養たっぷり?含まれる栄養素やそのはたらきを徹底解説. MediBalance. [2025年6月25日引用]. Available from: https://medibalance.lotte.co.jp/post/251
- キャベツに栄養がないはウソ!豊富な栄養素と効果的な食べ方を紹介. ふるなび. [2025年6月25日引用]. Available from: https://furunavi.jp/discovery/knowledge_food/202304-cabbage/
- 妊娠中の食事. 公益社団法人 千葉県栄養士会. [2025年6月25日引用]. Available from: https://www.eiyou-chiba.or.jp/commons/shokuji-kou/generational/ninsintyu/
- 妊娠中に必要な葉酸も含むキャベツの栄養素とは?簡単キャベツレシピもご紹介. NA-SHOP. [2025年6月25日引用]. Available from: https://na-shop.jp/column/20221207/
- 妊娠中におすすめの食べ物10選!栄養たっぷりレシピ付き. FIT FOOD HOME. [2025年6月25日引用]. Available from: https://media.fitfood.jp/columns/12443/
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- モリンガは何が凄い?スーパーフードといわれる理由とデメリットを解説. Vegewel. [2025年6月25日引用]. Available from: https://vegewel.com/ja/style/moringa-demirits
- Moringa oleifera(いわゆるモリンガ、ワサビノキ※)について. 厚生労働省. [2025年6月25日引用]. Available from: https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/hokenkinou/4e-3.html
- 「よもぎ蒸し」でぽかぽか温か生活. 一般社団法人 ママズケア. [2025年6月25日引用]. Available from: https://www.mamascare.com/news/?id=163
- 子宮力&母乳分泌アップ!「よもぎ蒸し」でぽかぽか温か生活. 一般社団法人 ママズケア. [2025年6月25日引用]. Available from: https://www.mamascare.com/news/?id=145
- 黄土よもぎ蒸し. 心音助産院. [2025年6月25日引用]. Available from: https://www.kokone-smile.com/yomogimushi
- ヨモギの効能・効果【まとめ】知っておきたい利用法. 国産オーガニック健康茶専門 山下薬草店. [2025年6月25日引用]. Available from: https://www.yakusou-ten.com/yomogi
- ゴーヤ(ニガウリ)の栄養素・健康効果・おすすめの調理法. All About. [2025年6月25日引用]. Available from: https://allabout.co.jp/gm/gc/483775/
- 妊活中の方、必見!初夏におすすめの妊活食材. ママニック 公式コラム. [2025年6月25日引用]. Available from: https://column.mamanic.jp/post-1297/
- かてもの=救荒食品. 山形大学. [2025年6月25日引用]. Available from: https://ei4web.yz.yamagata-u.ac.jp/mogamigawa/life/katemono.html
- 第87回 「スベリヒユ(五行草・馬歯莧)」天然の抗生物質・長寿菜の中医学的な効能【雑草シリーズ】. 薬読. [2025年6月25日引用]. Available from: https://yakuyomi.jp/knowledge_learning/chinese_medicine/01_093/
- モリンガの肝臓への作用は?栄養や効能と共に効果的な飲み方をご紹介!. シェアシマ. [2025年6月25日引用]. Available from: https://shareshima.com/info/3257
- ママのための 食事BOOK. 株式会社日本総合研究所. [2025年6月25日引用]. Available from: https://www.jri.co.jp/file/column/opinion/pdf/180331_ninsanpu_recipe1.pdf
- 妊娠中のお母さんの食生活は お腹の赤ちゃんにとって、とても大切です。. 茅ヶ崎市. [2025年6月25日引用]. Available from: https://www.city.chigasaki.kanagawa.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/038/223/eiyou3.pdf