この記事の科学的根拠
この記事は、入力された研究報告書で明示的に引用されている最高品質の医学的根拠にのみ基づいています。以下の一覧には、実際に参照された情報源とその医学的指導との直接的な関連性が含まれています。
- 厚生労働省: 本記事における幼児期のエネルギー必要量、栄養摂取基準、離乳食完了の目安、アレルギー対応、食中毒予防に関する指針は、同省発行の「日本人の食事摂取基準」1234、「授乳・離乳の支援ガイド」567、「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」8910、および食中毒予防に関する各種資料1112に基づいています。
- 世界保健機関(WHO): 遊離糖類の摂取量に関する国際的な推奨事項は、WHOの「成人および小児の糖類摂取に関するガイドライン」13に基づいています。
- 日本小児アレルギー学会: 食物アレルギーに関する専門的な診療指針は、同学会の「食物アレルギー診療ガイドライン」1415を参照しています。
- 学術論文(Murakami K, et al. / Tsubota-Utsugi M, et al.): 日本の子どもにおける遊離糖類の摂取源や栄養素希釈の問題に関する記述は、学術雑誌『British Journal of Nutrition』16および『Journal of Nutrition Science and Vitaminology』17に掲載された研究成果に基づいています。
要点まとめ
- 幼児期の「おやつ」は、3度の食事で不足する栄養を補うための重要な「補食」と位置づけるべきです。
- 手作りアイスの最大の利点は、世界保健機関(WHO)が懸念する「遊離糖類」の量を管理し、栄養価の高い食材を選べる点にあります。
- 安全が最優先です。食物アレルギー、食中毒、窒息の3大リスクを正しく理解し、医師の指示と公的ガイドラインに基づいた予防策を徹底してください。
- 果物や野菜、乳製品、豆腐などを活用することで、カルシウム、鉄分、ビタミン、良質な脂質など、成長に必要な栄養素を補うことができます。
- 1歳未満の乳児には、乳児ボツリヌス症のリスクがあるため、はちみつは絶対に使用してはいけません。
手作りアイスを「最高の補食」にするための医学的基礎知識
レシピを実践する前に、なぜ手作りアイスが子どもの成長にとって有益となり得るのか、その医学的・栄養学的な根拠を理解することが不可欠です。このセクションでは、公的なデータと最新の科学的知見に基づき、保護者の皆様が持つべき「判断のものさし」を提供します。これにより、単にレシピを模倣するのではなく、ご家庭の状況に合わせて応用する力が身につきます。
幼児期の「おやつ」と「補食」の医学的定義
多くの方が「おやつ」と聞くと、楽しみや気晴らしのための間食をイメージするかもしれません。しかし、幼児期の子どもにとって、それは「食事」そのものと言えるほど重要な意味を持ちます。
幼児は、成人と比較して胃が小さく、消化機能も未発達です。そのため、一度の食事で摂取できる量には限りがあります18。活発に動き回り、急速に成長する体が必要とするエネルギーや栄養素を、朝・昼・晩の3度の食事だけで完全に満たすことは非常に困難です。この食事だけでは補いきれない栄養素を補給すること、それが「補食」の医学的な定義であり、いわゆる「おやつ」が担うべき最も重要な役割なのです19。
したがって、「補食」は空腹を満たすためだけのものではありません。3度の食事で不足しがちなカルシウム、鉄分、ビタミン、食物繊維といった栄養素を、戦略的に補給するための絶好の機会と捉えるべきです19。例えば、牛乳や乳製品をあまり飲まない子にはカルシウムを、野菜が苦手な子にはビタミンや食物繊維を、「補食」を通じて楽しく摂取させることができます18。
では、具体的にどれくらいの量を目安にすれば良いのでしょうか。厚生労働省が策定する「日本人の食事摂取基準」は、その最も信頼できる指針となります1。以下の表は、幼児期に必要なエネルギーと、補食で摂取すべきエネルギーの目安を示したものです。
【表1:幼児(1~5歳)の食事摂取基準(抜粋)と補食の目安】
年齢区分 | 性別 | 推定エネルギー必要量(1日あたり) | 補食での摂取エネルギー目安(1日あたり) |
---|---|---|---|
1~2歳 | 男女 | 900~950 kcal | 90~190 kcal (1~2回に分けて) |
3~5歳 | 男女 | 1250~1300 kcal | 125~260 kcal (1~2回に分けて) |
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」3、および一般的な幼児の補食の考え方20に基づき作成。補食の目安は、1日の必要エネルギーの10~20%として算出。
この表が示すように、「おやつを与えすぎない」という漠然とした注意喚起は、時に保護者を不必要な罪悪感に陥らせることがあります。小児栄養学の観点からは、むしろ「適切な量と質の補食を、適切な時間に与えること」が推奨されます。この客観的な数値目標を「ものさし」として活用することで、保護者の皆様は日々の食事管理に自信を持つことができ、子どもの成長をより効果的に支援することが可能になるのです。
糖質との賢い付き合い方:市販品との決定的差異
手作りアイスが市販品よりも優れている最大の理由は、「遊離糖類(free sugars)の量を完全にコントロールできる点」にあります。遊離糖類とは、食品メーカーや調理者が食品に添加する砂糖(ショ糖、ブドウ糖、果糖など)や、はちみつ、シロップ、フルーツジュースに天然に含まれる糖類のことを指します。
世界保健機関(WHO)は、健康への影響を考慮し、成人および小児の遊離糖類摂取量を1日の総エネルギー摂取量の10%未満に抑えることを強く推奨しており、可能であれば5%未満にすることがさらなる健康効果をもたらすとしています13。例えば、1日に1,200 kcalを必要とする4歳児の場合、10%であれば30g、5%であれば15gが上限の目安となります。
日本の小児を対象としたある研究では、糖質摂取の主な供給源として「飲料(25%)」「焼き菓子(19%)」そして「アイスクリーム(17%)」が挙げられており、これら3つの食品群で全体の6割以上を占めていることが明らかになっています17。この事実は、アイスクリームが子どもの糖質管理において極めて重要な位置を占めていることを示唆しています。
さらに深刻なのは、遊離糖類の過剰摂取が引き起こす「栄養素の希釈(nutrient dilution)」という問題です。これは、カロリーは高いもののビタミンやミネラルなどの必須栄養素を含まない糖質が、栄養価の高い食品の摂取を妨げてしまう現象を指します。実際に、日本の子供たちを対象とした2016年の全国健康・栄養調査の分析では、遊離糖類の摂取割合が高い子どもほど、カルシウム、鉄、亜鉛、各種ビタミンなど、実に多くの重要な微量栄養素の摂取量が有意に低下していることが報告されています16。つまり、甘いおやつは、ただ虫歯や肥満の危険性を高めるだけでなく、成長に不可欠な栄養素を体から奪ってしまう可能性があるのです。
ここで極めて重要な点があります。日本の公的な「食事摂取基準」には、炭水化物全体の目標量は定められていますが、WHOが警鐘を鳴らす「遊離糖類」に特化した明確な摂取目標量は、現時点では設定されていません21。この「公的な基準の空白」こそ、保護者の皆様が自ら知識を身につけ、より高い健康意識を持つべき理由です。手作りアイスは、果物や甘酒などの自然な甘みを活かすことで、WHOの厳しい基準をもクリアしつつ、子どもを満足させることができる理想的な「補食」となり得るのです。
お子さまの命を守るための絶対安全マニュアル
栄養価の高いレシピも、安全が確保されていなければ意味がありません。特に、免疫機能や身体機能が未発達な幼児にとって、食物アレルギー、食中毒、窒息は命に関わる重大な危険性です。このセクションでは、レシピ紹介の前に、これら3つの危険性を徹底的に管理するための具体的な方法を詳述します。これは、当編集部が読者の皆様の安全を最優先に考えていることの表明であり、絶対的な信頼を構築するための基盤です。
食物アレルギー:家庭で実践する「保育園レベル」の安全管理
食物アレルギーへの対応において、自己判断は最も危険な行為です。すべての対応は、必ず医師の診断と指示に基づいて行うことが絶対的な大原則です8。アナフィラキシーショックなどの重篤な症状は、時に予測不能な形で現れます。
ここでは、厚生労働省が定める「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」8および、日本小児アレルギー学会の「食物アレルギー診療ガイドライン」14という、専門家が遵守する基準を、ご家庭で実践できる3つの行動原則に落とし込んで解説します。
- 原則1:医師の診断がすべて。
保育所では、アレルギーを持つ子ども一人ひとりに対して、医師が記入した「生活管理指導表」に基づき、全職員が共通認識を持って対応します8。ご家庭においても、かかりつけの医師と密に連携し、「何を」「どこまで」除去すべきか、万が一症状が出た場合はどう対応するか、具体的なルールを文書化し、家族全員で共有することが極めて重要です。 - 原則2:手作りアイスで「初めての食材」を試さない。
「家庭で食べたことのない食物は、基本的に保育所では提供しない」8。これは、安全管理の鉄則です。手作りアイスは、複数の食材が混ざり合うため、どの食材がアレルギー反応を引き起こしたのか特定が困難になります。必ず、すべての材料が、これまでに単体で複数回食べても問題がなかった食材であることを確認してください。近年、アレルギー予防の観点から、特定の食材の摂取開始を不必要に遅らせることは推奨されなくなりました5が、それは医師の指導のもと単一の食材を慎重に進める文脈での話です。 - 原則3:安全確保が最優先。「少しだけ」は禁物。
アレルギー対応の基本は「原因食物の完全除去」です8。加熱すれば大丈夫、少しだけなら大丈夫、といった安易な判断は、重篤な事故につながる可能性があります。調理器具や食器の使い分けも重要です。アレルゲンを含む食品を調理した後のまな板やボウルを洗浄せずに使用することで、微量のアレルゲンが混入する「交差汚染」が起こる可能性があります。アレルギーを持つお子さまのアイスを作る際は、調理器具を念入りに洗浄・消毒するか、専用の器具を用意するなどの配慮が必要です。
食中毒予防:手作りアイス特有のリスクと対策
手作りアイスは、加熱工程がなかったり、あっても不十分だったりすることが多く、特有の食中毒の危険性を伴います。特に注意すべきは、以下の2つの細菌です。
- サルモネラ菌: 主に鶏卵に由来します。加熱が不十分な場合、菌が生き残り、食中毒の原因となります11。
- 黄色ブドウ球菌: 人の手指や鼻、のどに常在する菌です。調理者の手に傷があったりすると食品に付着して毒素を産生します。この毒素は熱に強いという厄介な性質を持っています11。
これらの危険性を回避するため、厚生労働省が推奨する食中毒予防の3原則「つけない」「増やさない」「やっつける」を、アイス作りの工程に沿って具体的に実践しましょう12。
- つけない(汚染防止):調理を開始する前、生の肉や魚、卵に触れた後には、必ず石鹸で丁寧に手を洗いましょう22。ボウル、ヘラなどの調理器具は、使用前に必ず洗浄し、清潔なものを使用してください。
- 増やさない(増殖抑制):完成したアイスは、室温に放置せず、速やかに冷凍庫で保存してください12。一度溶けたアイスを再冷凍すると、菌が増殖しやすくなります。食べる分だけを取り出し、残りはすぐに冷凍庫に戻しましょう。
- やっつける(殺菌):卵を使用する場合、加熱工程がなければサルモネラ菌の危険性を完全に排除することは困難です。低温殺菌済みの卵液を使用するか、加熱するレシピを選ぶのが最も安全です。調理器具の熱湯消毒も有効な手段です22。
手作りだから安全、というわけではありません。むしろ、家庭の台所はプロの厨房よりも危険性が高いという認識を持ち、これらの原則を徹底することが、家族の健康を守る上で不可欠です。
窒息・誤嚥の予防:危険な食材のチェックリスト
幼児の噛む力(咀嚼機能)や飲み込む力(嚥下機能)は、まだ発達の途上にあります。大人が問題なく食べられるものでも、子どもにとっては窒息や誤嚥を引き起こす凶器となり得ます19。特に、アイスクリームのトッピングとして使用する食材には細心の注意が必要です。
国の資料19に基づき、手作りアイスで特に注意すべき窒息の危険性が高い食材とその対策を以下の表にまとめました。これらの食材を使用する際は、必ず対策を遵守してください。
【表2:手作りアイスで注意すべき窒息リスク食材リスト】
危険な食材の分類 | 具体例 | 対策 |
---|---|---|
硬く、噛み砕きにくいもの | ピーナッツ、アーモンドなどのナッツ類、硬い豆類 | 原則として5歳頃までは与えない。使用する場合は、ペースト状にするか、ごく細かく砕いて混ぜ込む。 |
球状でつるんとしたもの | ミニトマト、ブドウ、サクランボ、大きなブルーベリー | 必ず4等分(1/4)にカットする。丸のままトッピングするのは絶対に避ける。 |
弾力があり、噛み切りにくいもの | ミニカップゼリー、グミ、こんにゃくゼリー | アイスの材料やトッピングとしては使用しない。 |
粘着性が高く、喉に貼りつきやすいもの | 餅、白玉団子 | アイスの材料やトッピングとしては使用しない。 |
パサパサして飲み込みにくいもの | 大きく砕いたクッキーやビスケット | ごく細かく砕いて混ぜ込むか、牛乳などに浸して柔らかくしてから使用する。 |
出典:厚生労働省・消費者庁などの関連資料19に基づき作成。
「ながら食べ」や「遊び食べ」は、窒息の危険性を著しく高めます。アイスを食べる際は、必ず椅子に座らせ、保護者が見守る中で、落ち着いて食べる習慣をつけさせましょう。
【専門家監修】栄養を補う、子どものための手作りアイスレシピ5選
これまでの医学的・科学的な基礎知識を踏まえ、いよいよ具体的なレシピをご紹介します。ここで紹介する5つのレシピは、単に「美味しい」だけでなく、それぞれが明確な栄養学的目的を持って設計されています。3度の食事だけでは不足しがちな栄養素を、夏の楽しい「補食」として効果的に補うことができます。
レシピ1:カルシウムとタンパク質を補う「濃厚クリーミーヨーグルトアイス」
専門家による栄養解説:
幼児期は、丈夫な骨と歯を形成するために生涯で最も多くのカルシウムを必要とする時期の一つです。このレシピの主材料であるプレーンヨーグルトと牛乳は、吸収率の高いカルシウムと、体の基礎を作る良質なタンパク質の優れた供給源です。手作りすることで、市販のヨーグルトアイスに比べて糖類を大幅にカットでき、乳製品本来の栄養を効率的に摂取できます。
材料(子ども2食分)
- プレーンヨーグルト(無糖): 200g
- 牛乳: 50ml
- 熟したバナナ: 1/2本 (約50g)
- (お好みで)メープルシロップ: 小さじ1
作り方
- バナナをフォークの背でなめらかになるまで潰す。
- ボウルに全ての材料を入れ、泡立て器で均一になるまでよく混ぜ合わせる。
- 冷凍可能な密閉容器に流し入れ、冷凍庫で1時間冷やす。
- 一度取り出し、フォークで全体をかき混ぜて空気を含ませる。(この工程で滑らかな食感になります)
- 再び冷凍庫で2~3時間、固まるまで冷やす。
【栄養成分表示(1食あたり)】
エネルギー: 約95 kcal, たんぱく質: 4.5 g, 脂質: 3.8 g, 炭水化物: 11.5 g, 糖類(推定): 8 g, カルシウム: 約150 mg
【アレルギー情報と代替案】
含まれるアレルゲン: 乳、バナナ
代替案: 牛乳アレルギーの場合は、牛乳を無調整豆乳やアーモンドミルク(無糖)に、ヨーグルトを豆乳ヨーグルトに置き換えることができます。ただし、豆乳やアーモンドミルクのカルシウム含有量は製品によって大きく異なるため、カルシウム強化タイプを選ぶことをお勧めします2324。
レシピ2:鉄分と食物繊維を補う「ほうれん草とバナナのグリーンアイス」
専門家による栄養解説:
特に母乳育児の赤ちゃんは、生後6ヶ月を過ぎると体内に蓄えられていた鉄分が不足しがちになります6。鉄分は、血液の材料となるだけでなく、脳の発達にも重要な役割を果たします。このレシピでは、野菜嫌いの子どもでも気づきにくいほうれん草を使用し、鉄分と食物繊維を補給します。バナナの自然な甘みがほうれん草の風味を和らげ、砂糖不使用でも美味しく食べられます。
材料(子ども2食分)
- 熟したバナナ: 1本 (約100g)
- ほうれん草(茹でてアク抜きしたもの): 30g
- 無調整豆乳: 100ml
作り方
- 全ての材料をミキサーまたはブレンダーに入れ、なめらかになるまで撹拌する。
- アイスキャンディーの型や冷凍可能な密閉容器に流し入れる。
- 冷凍庫で3~4時間、完全に固まるまで冷やす。
【栄養成分表示(1食あたり)】
エネルギー: 約75 kcal, たんぱく質: 2.5 g, 脂質: 2.0 g, 炭水化物: 13.0 g, 糖類(推定): 7 g, 鉄分: 約0.8 mg, 食物繊維: 約1.5 g
【アレルギー情報と代替案】
含まれるアレルゲン: 大豆、バナナ
代替案: 大豆アレルギーの場合は、豆乳を牛乳やアーモンドミルク、オーツミルクなどに変更できます。鉄分補給を強化したい場合は、鉄分が添加された育児用ミルクを少量加えるのも一つの方法です6。
レシピ3:良質な脂質とビタミンE「アボカドときな粉の和風アイス」
専門家による栄養解説:
アボカドに含まれる不飽和脂肪酸は、幼児の脳の発達に欠かせない良質な脂質です。また、抗酸化作用のあるビタミンEも豊富です。きな粉を加えることで、植物性タンパク質、食物繊維、そして鉄分をプラスすることができます。乳製品や卵を使用しないため、アレルギーを持つお子さまにもおすすめです。アボカドのクリーミーさが、生クリームを使ったような濃厚な食感を生み出します。
材料(子ども2食分)
- 完熟アボカド: 1/2個 (約70g)
- きな粉: 大さじ2
- 無調整豆乳(または水): 80ml
- メープルシロップ: 小さじ2
作り方
- 全ての材料をミキサーまたはブレンダーに入れ、完全になめらかになるまで撹拌する。
- 冷凍可能な密閉容器に流し入れ、冷凍庫で1時間冷やす。
- 一度取り出し、フォークで全体をよくかき混ぜる。
- 再び冷凍庫で2~3時間、固まるまで冷やす。
【栄養成分表示(1食あたり)】
エネルギー: 約130 kcal, たんぱく質: 4.5 g, 脂質: 8.5 g, 炭水化物: 11.0 g, 糖類(推定): 6 g, ビタミンE: 約1.5 mg
【アレルギー情報と代替案】
含まれるアレルゲン: 大豆
代替案: 大豆アレルギーの場合は、豆乳を水やアーモンドミルクに変更してください。
レシピ4:ビタミンCたっぷり「丸ごと果実のフローズンアイスバー」
専門家による栄養解説:
このレシピは、砂糖や甘味料を一切加えず、果物そのものの栄養と甘みを活かすことを目的としています。特に、いちごやキウイ、みかんには、免疫機能の維持やコラーゲンの生成を助けるビタミンCが豊富に含まれています。果物を丸ごと使うことで、食物繊維もしっかり摂取できます。市販の果汁100%ジュースよりも、はるかに栄養価の高い「食べるフルーツ」です。
材料(アイスバー4本分)
- お好みの果物(いちご、キウイ、皮をむいたみかん、パイナップルなど): 合計200g
- 水またはプレーンヨーグルト: 50ml(果物の水分量によって調整)
作り方
- 果物はヘタを取る、皮をむくなど下処理をする。
- 全ての材料をミキサーまたはブレンダーに入れ、少し果肉が残る程度に軽く撹拌する。
- アイスキャンディーの型に流し入れ、スティックを刺す。
- 冷凍庫で4~5時間、完全に固まるまで冷やす。
【栄養成分表示(1食あたり、いちごを使用した場合)】
エネルギー: 約25 kcal, たんぱく質: 0.5 g, 脂質: 0.2 g, 炭水化物: 6.0 g, 糖類(推定): 5 g, ビタミンC: 約35 mg
【アレルギー情報と代替案】
含まれるアレルゲン: 使用する果物によります。(例:キウイ、オレンジ、ももなど)
代替案: アレルギーのない、お子さまが食べ慣れた果物を使用してください。ヨーグルトの代わりに水を使えば、乳アレルギーのお子さまも楽しめます。
レシピ5:乳・卵不使用「豆腐と甘酒のヘルシーアイス」
専門家による栄養解説:
複数の食物アレルギーを持つお子さまも安心して楽しめるよう、乳製品と卵を一切使用しないレシピです。主材料の豆腐(絹ごし)は、滑らかな食感と植物性タンパク質の供給源となります。甘みは、米麹から作られる甘酒の自然な甘さを利用します。米麹甘酒は、発酵の過程で生まれるブドウ糖が主成分で、砂糖を加えずとも優しい甘さを実現できる優れた食材です。
材料(子ども2食分)
- 絹ごし豆腐: 150g (1/2丁)
- 米麹の甘酒(濃縮タイプ): 大さじ3
- 植物油(米油や菜種油など、香りのないもの): 小さじ1
作り方
- 豆腐は台所紙で包み、軽く水切りをしておく。
- 全ての材料をミキサーまたはブレンダーに入れ、完全になめらかになるまで撹拌する。
- 冷凍可能な密閉容器に流し入れ、冷凍庫で1時間冷やす。
- 一度取り出し、フォークで全体をよくかき混ぜる。
- 再び冷凍庫で2~3時間、固まるまで冷やす。
【栄養成分表示(1食あたり)】
エネルギー: 約90 kcal, たんぱく質: 4.0 g, 脂質: 3.5 g, 炭水化物: 10.5 g, 糖類(推定): 7 g
【アレルギー情報と代替案】
含まれるアレルゲン: 大豆
代替案: このレシピは主要アレルゲンである乳・卵・小麦・ナッツ類を含まないよう設計されていますが、大豆アレルギーには対応していません。
よくある質問
Q1. 手作りアイスは何歳から食べさせられますか?
Q2. レシピに、はちみつを使ってもいいですか?
Q3. やはり、市販のアイスクリームは避けたほうが良いのですか?
- 糖質: 第1部で解説した通り、市販のアイスクリームは遊離糖類の主要な供給源の一つです17。製品によっては、1個で幼児の1日の糖類摂取目安量を超えてしまうものもあります。
- 脂肪酸: 濃厚な風味を出すために、飽和脂肪酸を多く含む乳脂肪や、植物性油脂が使われることが多くあります。特に、一部の製品に含まれる可能性があるトランス脂肪酸は、健康への悪影響が指摘されています。
- 添加物: 乳化剤、安定剤、香料、着色料など、風味や食感を保つために様々な食品添加物が使用されています。これらが直ちに健康を害するわけではありませんが、幼児期にはなるべくシンプルな原材料の食品を選ぶことが望ましいでしょう。
手作りアイスの最大の利点は、これらすべてを保護者自身が管理できる点にあります。
Q4. 残ったアイスはいつまで保存できますか?
結論
夏の暑い日に子どもが喜ぶ冷たいおやつは、保護者にとって大きな関心事です。しかし、その選択は、単なる楽しみの提供に留まりません。本記事で詳述してきたように、手作りアイスは、正しい知識と少しの工夫次第で、夏の楽しみであると同時に、子どもの健やかな成長を支える最高の「補食」になり得るのです。重要なのは、市販品に頼るのではなく、ご家庭で原材料を管理し、糖質を抑え、不足しがちな栄養素を補うという視点を持つことです。そして何よりも、アレルギー、食中毒、窒息といった潜在的な危険性を正しく理解し、万全の安全対策を講じることです。親子で一緒にアイスを作る体験は、子どもにとって食への興味を育む絶好の機会(食育)にもなります19。自分が作る工程に関わったものは、苦手な食材であっても食べてみようという意欲につながるかもしれません。この記事が、皆様のご家庭にとって、安全で、栄養価が高く、そして笑顔あふれる夏の思い出を作る一助となることを、専門家として心から願っています。
この記事は情報提供を目的としたものであり、専門的な医学的助言を構成するものではありません。健康上の懸念や、ご自身の健康や治療に関する決定を下す前には、必ず資格を持つ医療専門家にご相談ください。
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