子供の水虫・たむし（白癬症）完全ガイド：皮膚科専門医が教える原因、症状、正しい治療法と家庭での予防策

• 足に感染した場合： 「水虫（みずむし）」と呼ばれ、医学的には「足白癬（あしはくせん）」と言います⁵。
• 体に感染した場合： 「ぜにたむし」と呼ばれ、医学的には「体部白癬（たいぶはくせん）」と言います⁵。
• 頭に感染した場合： 「しらくも」と呼ばれ、医学的には「頭部白癬（とうぶはくせん）」と言います⁵。
• 股に感染した場合： 「いんきんたむし」と呼ばれ、医学的には「股部白癬（こぶはくせん）」と言います⁷。
• 爪に感染した場合： 「爪水虫（つめみずむし）」と呼ばれ、医学的には「爪白癬（つめはくせん）」と言います⁵。

本稿は、これらの子供の白癬症について、皮膚科専門医の知見に基づき、症状の見分け方から、最新の科学的根拠に基づく正しい治療法、そして家庭でできる徹底した予防策まで、あらゆる情報を網羅的に解説します。

症状から見分ける：子供の白癬症の種類と特徴

白癬症は体のどこにでも感染する可能性がありますが、子供によく見られるタイプには特有の症状があります。ここでは、保護者の方が初期症状に気づくための手助けとなるよう、各種類の特徴を具体的に解説します。ただし、これはあくまで目安であり、最終的な診断は必ず専門医が行うべきです。

頭部白癬 (Tōbu Hakusen) – 「しらくも」

頭皮に感染するタイプで、子供の白癬症の中でも特に注意が必要です。症状は多様で、他の皮膚疾患と間違われやすい特徴があります。

• 乾燥した鱗屑（りんせつ）: フケのように見えるカサカサした皮むけが頭皮に現れます²。
• 脱毛: 円形または不整形に髪の毛が抜けます。
• ブラックドット: 髪の毛が頭皮の表面近くで折れてしまい、黒い点々のように見える状態です。これは頭部白癬に特徴的な所見の一つです²。
• かゆみ: 軽度から中等度のかゆみを伴うことがあります。

これらの症状は、脂漏性皮膚炎や乾癬と見間違われることがあり、正確な診断が治療の鍵となります¹²。
【重症型】ケルスス禿瘡（とくそう） (Kerion Celsi)
これは、白癬菌に対する体の強いアレルギー反応によって生じる重症型です。頭皮に膿を持った、柔らかく腫れ上がった塊（膿瘍）を形成します⁶。強い痛みを伴い、リンパ節が腫れることもあります。この状態は緊急の治療を要します。放置すると、毛包が破壊されて永続的な瘢痕性脱毛（はんこんせいだつもう）、つまり髪の毛が二度と生えてこない状態になる可能性があるため、一刻も早く皮膚科を受診する必要があります⁶。

体部白癬 (Taibu Hakusen) – 「ぜにたむし」

顔、首、腕、胴体など、毛のない部分の皮膚に感染するタイプです。その典型的な見た目から、英語では「Ringworm」と呼ばれます。

• 環状の発疹: 最も特徴的なのは、円形または輪っか状（環状）の赤い発疹です。
• 活動性の辺縁: 発疹の縁（へり）は少し盛り上がっており、赤みが強く、カサカサした鱗屑を伴います。中心部に向かって治癒していくように見える（中心治癒傾向）ため、輪のように見えます⁸。

足白癬 (Ashi Hakusen) – 「水虫」

一般的に「水虫」として知られており、子供にも見られます。日本皮膚科学会のガイドラインによると、主に3つのタイプに分類されます¹¹。

• 趾間型（しかんがた）: 足の指の間に発症します。特に薬指と小指の間が最も多いです。皮膚が白くふやけて、じゅくじゅくしたり、皮がむけたりします¹⁰。
• 小水疱型（しょうすいほうがた）: 足の裏の土踏まずや、足の側面に、かゆみを伴う小さな水ぶくれ（水疱）ができます⁹。水疱が破れると皮がむけます。
• 角化型（かくかがた）: 足の裏全体、特に踵（かかと）の皮膚が厚く、硬くなり、乾燥してカサカサと皮がむけます。このタイプはかゆみがほとんどないことが多く、単なる乾燥肌やあかぎれと間違われやすいのが特徴です。そのため、感染に気づかず、家庭内での感染源になりやすいので注意が必要です¹¹。

爪白癬 (Tsume Hakusen) – 「爪水虫」

白癬菌が爪に感染した状態で、主に足の爪に見られます。多くは、治療されなかった足白癬から菌が爪に侵入することで起こります⁷。

• 爪の変色: 爪が白や黄色に濁ってきます⁹。
• 爪の肥厚と変形: 爪が厚く、もろくなり、ボロボロと崩れやすくなります。

股部白癬 (Kobu Hakusen) – 「いんきんたむし」

主に思春期以降の男性に多いですが、子供でも発症することがあります。股の付け根（鼠径部）の皮膚がこすれる部分に、かゆみの強い赤い発疹ができます。体部白癬と同様に、半円状に広がり、縁がはっきりしているのが特徴です⁷。

なぜ？どこから？感染の原因と経路を徹底解明

「どうしてうちの子が水虫に？」これは多くの保護者が抱く疑問です。その答えは、白癬菌というカビの生態と、子供たちの生活環境にあります。原因と感染経路を正しく理解することは、効果的な治療と予防の第一歩です。

原因となる病原体：ケラチンを栄養源とするカビ

子供の白癬症の原因は、皮膚糸状菌（ひふしじょうきん）と呼ばれるカビ（真菌）の一群です⁵。これらの菌は、私たちの皮膚、髪、爪の主成分であるケラチンというタンパク質を栄養にして生きています。菌が付着しただけではすぐに感染するわけではなく、皮膚のバリア機能が低下していたり、高温多湿で菌が増殖しやすい環境が整ったりすると、感染が成立します。

環境における菌の生存能力

保護者の方が知っておくべき極めて重要な点は、白癬菌の生命力です。感染者の皮膚から剥がれ落ちた鱗屑（りんせつ、皮膚のフケやかさぶた）の中には、生きた白癬菌が含まれています。この菌は、適切な温度と湿度がなくても、環境中で数ヶ月、場合によっては1年以上も感染能力を保ち続けることがあります¹⁷。この事実が、家庭内の徹底した清掃がなぜ重要なのかを物語っています。

主な感染経路

子供の感染経路は主に3つに大別されます。

1. 家庭内感染：最も一般的なルート
   子供の白癬症において、最も頻度の高い感染源は家庭内にあります¹⁵。多くの場合、足白癬や爪白癬にかかっている家族（特に症状が軽かったり、角化型で自覚症状がなかったりする大人）から感染します¹⁷。菌が含まれた鱗屑が床に落ち、それを素足で踏むことで感染が広がります。特に、バスマット、スリッパ、タオル、爪切りなどの共用は、非常に危険性の高い行為です²。
2. 接触感染：人、動物、環境から
   • 人から人へ：感染している人との直接的な皮膚の接触によってうつります。兄弟げんかや、友達との遊びの中で感染することもあります¹。
   • 動物から人へ（動物由来感染症）：これは子供の白癬症、特に体部白癬（ぜにたむし）や頭部白癬（しらくも）において見過ごされがちな重要な感染源です。犬や猫、特に子犬や子猫が保菌していることがあり、これらペットとのふれあいを通じて感染します。動物由来の白癬菌（例：ミクロスポルム・カニス）は、人に対して強い炎症反応を引き起こす傾向があります¹。
   • 環境との接触：スイミングスクールや公衆浴場、ジムなどの床や脱衣所のマットも感染経路となり得ます⁸。また、柔道やレスリングといった接触の多いスポーツは、特定の白癬菌（トリコフィトン・トンスランス）が流行する温床となることが知られており、集団感染のリスクが高い環境です¹¹。

重要なのは、子供一人の感染は、単独の出来事ではないかもしれないという視点です。それは、家庭内や特定のコミュニティ（スポーツチームなど）に「菌の生態系」が存在する兆候かもしれません。子供だけを治療しても、感染源がそのまま残っていれば、再感染のリスクは非常に高くなります¹⁷。したがって、保護者が取るべき最も効果的な戦略は、単に子供の発疹に薬を塗ることではなく、「家族全体を一つの感染ユニット」と捉え、感染の連鎖を断ち切ることにあります。

自己判断は危険！皮膚科での正しい診断が重要な理由

市販の湿疹クリームを塗る前に、必ずお読みください。お子さんの皮膚に発疹を見つけたとき、手近な薬で様子を見たくなる気持ちはよく分かります。しかし、白癬症の場合、その行為が症状を悪化させ、治療を複雑にしてしまう可能性があります。

診断を誤る危険性

白癬症の症状は、他の多くの皮膚疾患と非常によく似ています。例えば、体部白癬（ぜにたむし）はアトピー性皮膚炎や接触皮膚炎、乾癬（かんせん）と見分けるのが難しいことがあります¹¹。足白癬（水虫）の角化型は、ただの乾燥肌としか見えないかもしれません。これらの疾患は治療法が全く異なるため、誤った判断は回復を遅らせるだけです。

ステロイド薬の誤用がもたらす深刻な結果

最も注意すべきは、市販の湿疹・かゆみ止めクリームにしばしば含まれているステロイド成分の誤用です。ステロイド外用薬は炎症を抑える強力な作用がありますが、同時に皮膚の免疫力も抑制してしまいます。もし発疹の原因が白癬菌であった場合、ステロイドを塗ることで菌の増殖を抑える力が弱まり、かえって菌が勢いづいて症状が広範囲に悪化してしまうことがあります。これは「菌交代現象」として知られています¹²。見かけ上、赤みが引いて一時的に良くなったように見えるため、さらに誤用を続けてしまい、診断がより困難になるケースも少なくありません。

皮膚科での診断プロセス：ゴールドスタンダード

では、皮膚科ではどのように診断するのでしょうか。プロセスを知ることで、受診への不安を和らげることができます。

1. 問診と視診: まず、医師は発疹がいつから、どこに、どのような症状で現れたかなどを詳しく聞き、発疹の状態を注意深く観察します。家族に同様の症状の人がいないか、ペットを飼っているかなども重要な情報です。
2. 直接鏡検（ちょくせつけんきょう）: これが白癬症診断の「ゴールドスタンダード（最も信頼できる基準）」です。痛みはほとんどありません。医師が発疹の縁の部分の鱗屑（りんせつ）を、器具を使ってやさしく少しだけこすり取ります。採取した鱗屑をスライドガラスに乗せ、水酸化カリウム（KOH）溶液で溶かして、顕微鏡で観察します。この検査により、白癬菌の菌糸（きんし）や胞子（ほうし）の有無をその場で確認することができます¹¹。
3. その他の検査: 診断が難しい場合や、原因菌の種類を特定する必要がある場合には、追加の検査が行われることがあります。
   • 真菌培養検査: 採取した鱗屑を特殊な培地で培養し、原因となっている菌の種類を特定します。結果が出るまでに数週間かかります¹¹。
   • ウッド灯検査: 特定の種類の白癬菌（特に一部の頭部白癬菌）は、ウッド灯と呼ばれる特殊な紫外線を当てると特徴的な蛍光を発するため、診断の補助に用いられることがあります¹¹。

正確な診断こそが、効果的で安全な治療への最短の道です。疑わしい症状があれば、自己判断せず、速やかに皮膚科専門医に相談してください。

子供の白癬症の完全治療プラン

皮膚科で白癬症と正しく診断されたら、次は治療です。ここでは、日本皮膚科学会の「皮膚真菌症診療ガイドライン 2019」¹¹に基づいた、子供の白癬症に対する標準的な治療計画を詳しく解説します。

治療の基本：抗真菌薬（こうしんきんやく）

白癬症の治療には、原因である白癬菌を殺すか、その増殖を抑える「抗真菌薬」が用いられます。抗真菌薬には、皮膚に直接塗る「外用薬（塗り薬）」と、体内に取り込む「内服薬（飲み薬）」の2種類があります¹。どの薬を選択するかは、感染している部位と重症度によって決まります。

外用薬（塗り薬）による治療

体部白癬（ぜにたむし）、足白癬（水虫）、股部白癬（いんきんたむし）など、皮膚表面の感染症に対しては、基本的に抗真菌薬の外用薬が第一選択となります¹¹。
【重要】正しい塗り方のポイント

• 広めに塗る: 菌は目に見える発疹よりも広範囲に存在している可能性があります。薬を塗る際は、発疹が出ている部分だけでなく、その周囲も含めて一回り広く塗布してください²。
• 継続が力: 最も重要なのは、症状が改善しても自己判断で薬をやめないことです。かゆみや赤みが消えても、皮膚の奥深くにはまだ菌が潜んでいる可能性があります。再発を防ぐため、見た目がきれいになってから、さらに最低でも2週間から4週間は薬を塗り続けることが推奨されています²。

内服薬（飲み薬）による治療が必須のケース

外用薬だけでは効果が不十分な、体の奥深くに菌が侵入している場合には、内服薬による治療が必要です。以下のケースでは、内服薬が不可欠となります。

• すべての頭部白癬（しらくも）⁶
• すべての爪白癬（爪水虫）⁶
• 広範囲に広がった、あるいは重症の体部白癬や足白癬¹

【最重要】子供の頭部白癬（しらくも）の治療：保護者が知るべきこと

このセクションは、日本の小児白癬症治療における最も複雑で、保護者が不安に感じやすい点について、透明性をもって解説します。
なぜ飲み薬が必要なのか？
まず、なぜ頭部白癬に飲み薬が絶対に必要なのかを理解することが重要です。白癬菌は髪の毛の根元である毛包（もうほう）の奥深くに潜んでいるため、外用薬の成分がそこまで十分に浸透しません。したがって、頭部白癬は内服薬で体の中から菌を叩かなければ治すことができないのです¹²。
「保険適用外使用（適応外使用）」についての正しい理解
日本の診療ガイドラインで頭部白癬の治療に推奨されている主な内服薬は、テルビナフィンとイトラコナゾールです¹¹。しかし、ここで保護者の皆様に知っておいていただきたい重要な点があります。
日本の公的医療保険制度において、これらの薬は現時点で「小児への適用」が承認されていません。これを「保険適用外（ほけんてきようがい）」あるいは「適応外使用（てきおうがいしよう）」と呼びます¹¹。
この言葉を聞くと不安に思うかもしれませんが、これは「危険だから使えない」という意味ではありません。日本皮膚科学会の診療ガイドラインでは、これらの内服薬が子供の頭部白癬治療の第一選択薬として明確に位置づけられています。世界中の多くの国でも同様です。医師が、治療によって得られる利益が潜在的な危険性を上回ると判断した場合に、保護者の方へ十分な説明を行い、その上で同意（インフォームド・コンセント）を得て処方するのが、現在の標準的な医療となっています¹¹。この丁寧な説明と合意のプロセスこそが、安全な治療の根幹をなすものです。
補助療法としてのシャンプー
治療中は、ケトコナゾールや硫化セレンなどが配合された抗真菌シャンプーの使用が推奨されることがあります。これらのシャンプーは、頭皮の菌の胞子を減らし、他の人への感染リスクを低下させる助けにはなりますが、シャンプー単独で頭部白癬を治癒させることはできません。あくまで内服薬治療の補助的な役割です¹²。

再発と家庭内感染を防ぐ！親ができる完全予防アクションプラン

白癬症の治療で最も厄介なのは再発です。再発の最大の原因は、家庭内に残った感染源です。お子さんの治療を成功させ、家族全員を感染から守るために、以下の予防アクションプランを徹底しましょう。

ステップ1：お子さん自身のケア

• 清潔と乾燥を保つ: 患部を毎日やさしく洗い、タオルで水分をしっかり拭き取って乾燥させることが基本です¹。
• 薬を塗った後の手洗い: 薬を塗布した後は、保護者の方も、お子さん自身も、石鹸でしっかりと手を洗いましょう¹⁴。
• 掻かないようにする: かゆくても掻きむしると、皮膚が傷ついて細菌による二次感染（とびひなど）を起こしたり、自分の体の他の部位や他の人に菌を広げたりする原因になります¹⁴。爪は短く切っておきましょう。

ステップ2：家庭内環境の「感染源」を断つ

このステップが予防の核心です。「家族は一つの感染ユニット」という視点を持ちましょう。

• 家族全員のチェック: まず、ご家族全員（特にお父さん、お母さん）の足の裏をチェックしてください。かかとのガサガサは、ただの乾燥ではなく「角化型水虫」かもしれません¹⁶。症状がある場合は、一緒に治療を受けることが不可欠です。
• 共用の禁止: タオル、バスタオル、足ふきマット、スリッパ、爪切り、櫛（くし）、帽子、寝具の共用は絶対にやめましょう²。
• 高温での洗濯: 靴下、衣類、タオル、シーツなど、感染の可能性がある布製品は、できれば温水で洗濯することが効果的です²。
• 徹底した掃除: 白癬菌は剥がれ落ちた鱗屑の中に潜んでいます。床、特にカーペットや畳は、こまめに掃除機をかけ、フローリングは拭き掃除をしましょう¹⁷。
• ペットのチェック: 家庭でペット、特に新しく迎え入れた子犬や子猫を飼っている場合は、皮膚に脱毛や発疹がないか確認し、心配な場合は獣医師に相談してください¹。

日常生活の疑問を解決：学校、プール、スポーツはどうする？

お子さんが白癬症と診断されると、日常生活における様々な疑問や不安が生じます。ここでは、保護者が直面する具体的な質問に対して、明確な指針を示します。

保育園・幼稚園・学校への登園・登校について

原則として、休む必要はありません。文部科学省の指針や皮膚科学会の見解では、白癬症は通常、治療を開始すれば出席停止の対象となる疾患ではありません²⁸。ただし、他の園児や生徒への配慮として、園や学校に一報を入れておくことが望ましいでしょう。これにより、園や学校のスタッフも、例えば子供が専用のタオルを使用するように促すなどの簡単な配慮ができます²⁸。

プールに入ってもいい？

これは多くの保護者が悩む問題です。プールの水自体に含まれる塩素によって病気がうつることはありません³¹。本当の危険性は、プールサイド、脱衣所の床、そして特に足ふきマットなど、湿った表面を裸足で共有することにあります²⁹。これらの場所には、感染者から剥がれ落ちた鱗屑が残っている可能性があるからです。
したがって、症状が完全に治るまでは、プールは控えるのが最も安全です。もし学校の授業などでどうしても参加しなければならない場合は、患部を完全に覆う防水性の絆創膏を使用し、タオルの共用は絶対に避け、プール後はすぐにシャワーを浴びて体をよく乾かすといった対策を徹底する必要があります³⁴。

柔道・レスリングなどのコンタクトスポーツについて

柔道、レスリング、相撲といった、肌と肌が直接触れ合うコンタクトスポーツは、白癬菌の感染リスクが非常に高い活動です。特にトリコフィトン・トンスランスという菌は、格闘技選手の間で集団発生することが報告されています¹⁸。
そのため、活動性の白癬症（特に体部白癬や頭部白癬）にかかっている子供は、これらのスポーツへの参加を完全に中止すべきです。医師から感染の恐れがなくなったと診断されるまで、練習や試合への復帰は認められません。

よくある質問

結論

お子さんの体に現れる発疹は、保護者にとって大きな心配の種です。本稿で詳述したように、子供の白癬症（水虫、たむし、しらくも）は決して珍しい病気ではなく、その正体は白癬菌というカビの一種です。最も重要なメッセージは、自己判断をせず、速やかに皮膚科専門医による正確な診断を受けることです。これにより、不適切な治療による症状の悪化を防ぎ、最も効果的な治療への道筋をつけることができます。
治療においては、医師の指示通りに、症状が消えた後も根気強く薬を続けることが完治への鍵となります。そして、治療と並行して、家庭内の環境を見直し、家族全員で感染の連鎖を断ち切る予防策を講じることが、再発を防ぐ上で極めて重要です。お子さんの皮膚の健康は、保護者の方の正しい知識と、皮膚科専門医との緊密な連携によって守られます。少しでも気になる症状があれば、決して一人で悩まず、お気軽に専門医にご相談ください。