【産婦人科医・感染症専門医監修】妊娠中のデング熱:母体と胎児への影響、安全な治療法から予防策まで徹底解説
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【産婦人科医・感染症専門医監修】妊娠中のデング熱:母体と胎児への影響、安全な治療法から予防策まで徹底解説

気候変動やグローバル化が進む現代において、デング熱はもはや海外の特定の地域だけの病気ではありません。2014年には東京の代々木公園で国内感染が確認され、日本に住む私たちにとっても身近な健康リスクとなっています12。特に、新しい命を育んでいる妊婦さんにとって、デング熱への感染はご自身と赤ちゃんの健康にどのような影響を及ぼすのか、大きな不安を感じるのではないでしょうか。インターネット上には古い情報や不正確な情報も散見され、何が正しいのか分からず混乱してしまうことも少なくありません。この記事は、そのような不安を抱える日本のすべての妊婦さんとそのご家族のために、最新の科学的根拠に基づいた正確な情報を提供することを目的としています。母体と胎児への具体的な影響、妊娠中でも安全に行える治療法、そして今日から実践できる徹底的な予防策まで、産婦人科と感染症の専門家の視点から、包括的かつ分かりやすく解説します。

この記事の科学的根拠

この記事は、世界保健機関(WHO)、米国疾病予防管理センター(CDC)、日本の厚生労働省、国立感染症研究所、日本産科婦人科学会などの権威ある機関の公式ガイドラインや、査読付き医学雑誌に掲載された質の高い研究(システマティック・レビューやメタアナリシスを含む)といった、最も信頼性の高い医学的エビデンスにのみ基づいて作成されています。すべての情報は、読者の皆様がご自身で検証できるよう、情報源を明記しています。

  • 世界保健機関 (WHO) / 米国疾病予防管理センター (CDC): デング熱の世界的定義、症状、重症化の警告サイン、治療の基本原則、および妊婦への特異的なリスクに関する国際的な指針の根拠として使用34
  • 厚生労働省 (MHLW) / 国立感染症研究所 (NIID): 日本国内の流行状況、公式な診療ガイドライン、統計データに関する情報の根拠として使用56
  • 日本産科婦人科学会 (JSOG): 日本の妊婦に対する忌避剤の安全性など、産科的視点からの公式見解の根拠として使用7
  • Paixão ES, et al. (2016) / Singh S, et al. (2024): 妊娠中のデング熱感染と、流産、早産、低出生体重児といった有害事象との関連を統計的に示した、最も信頼性の高いメタアナリシスの結果を、胎児へのリスクを解説する際の核となる科学的根拠として使用89

要点まとめ

  • 妊娠中のデング熱感染は、かつて考えられていたよりもリスクが高く、最新の研究では流産、早産、低出生体重児のリスクを有意に高めることが示されています8
  • 治療の基本は安静と水分補給です。解熱鎮痛薬として安全に使用できるのは「アセトアミノフェン」のみであり、「イブプロフェン」などのNSAIDsは出血リスクを高めるため絶対に使用してはいけません10
  • 最大の予防策は「蚊に刺されない」ことです。「ディート(DEET)」や「イカリジン」を含む虫除け剤は、日本産科婦人科学会も妊婦への安全性を認めており、適切な使用が推奨されます711
  • デング熱は特別な病気ではなく、発熱などの症状があれば、ためらわずに速やかにかかりつけの産婦人科医や医療機関に相談することが重要です。

第1章:デング熱の基礎知識

1-1. デング熱とは? – 蚊が媒介するウイルス感染症

デング熱は、デングウイルスを持つ蚊(主にネッタイシマカやヒトスジシマカ)に刺されることで感染する急性熱性感染症です。世界保健機関(WHO)によると、世界の人口の約半数がデング熱のリスクにさらされており、年間推定1億から4億人が感染している、世界で最も急速に拡大している蚊媒介性疾患の一つです3

1-2. 世界と日本の流行状況 – 増加する世界的脅威と国内リスク

デング熱は、アジア、中南米、アフリカなどの熱帯・亜熱帯地域で広く流行しています。しかし、近年では地球温暖化の影響もあり、媒介蚊の生息域が拡大しています。日本の国立感染症研究所(NIID)のデータによると、日本国内のデング熱患者のほとんどは、フィリピン、ベトナム、タイ、インドネシアといった海外の流行地で感染して帰国した輸入症例です6。しかし、日本にもデングウイルスを媒介する能力を持つヒトスジシマカが、北海道の一部を除くほぼ全国に生息しています12。実際に2014年には、東京の代々木公園を中心に160人以上の国内感染例が報告され、海外渡航歴のない人々の間でも感染が広がる可能性があることを示しました21。この事実は、デング熱が日本に住むすべての人々、特に健康管理に一層の注意が必要な妊婦さんにとって、決して他人事ではないことを意味しています。

1-3. 感染経路:蚊からの感染と「垂直感染」

デング熱の主な感染経路は、ウイルスを保有する蚊に刺されることです。人から人へ直接感染することはありません。しかし、妊娠中においては「垂直感染」という特殊な経路が懸念されます。これは、妊娠中の母親がデング熱に感染した場合、胎盤を通じて胎児にウイルスが感染する可能性を指します。米国疾病予防管理センター(CDC)によると、垂直感染は起こり得ますが、その頻度は低いと考えられています。ただし、妊娠後期、特に分娩に近い時期に母親が感染すると、新生児が感染するリスクが高まる可能性が指摘されています4

第2章:妊娠中のデング熱の症状と診断

2-1. こんな症状は要注意:デング熱の典型的な症状

デング熱の症状は、蚊に刺されてから3日から7日程度の潜伏期間の後に、突然の高熱(38℃以上)で発症することが多いです。WHOや厚生労働省の示す典型的な症状には以下のようなものがあります35

  • 突然の高熱(38~40℃)
  • 激しい頭痛(特に目の奥の痛み)
  • 関節痛、筋肉痛
  • 吐き気、嘔吐
  • 発疹(熱が下がる頃に出現することが多い)

これらの症状は、風邪やインフルエンザなど他の感染症と似ているため、自己判断は禁物です。特に妊娠中は、これらの症状が胎児に影響を及ぼす可能性のある他の疾患との鑑別が重要になります。

2-2. 重症化の警告サインを見逃さないで

ほとんどのデング熱は1週間程度で自然に回復しますが、一部は重症化し、「デング出血熱(DHF)」や「デングショック症候群(DSS)」と呼ばれる生命を脅かす状態に移行することがあります。WHOは、解熱期(熱が下がり始める時期)に現れる以下の症状を「警告サイン(Warning Signs)」として、特に注意を払うよう呼びかけています3

  • 激しい腹痛、持続する嘔吐
  • 鼻血、歯ぐきからの出血、皮下出血
  • 落ち着きがなくなる、ぐったりする
  • 頻呼吸(呼吸が速くなる)
  • 血液検査での急激な血小板数の減少とヘマトクリット値の上昇

これらの警告サインが一つでも見られた場合は、直ちに医療機関を受診する必要があります。

2-3. 診断方法:「もしかして?」と思ったら医療機関へ

デング熱が疑われる症状があり、特に流行地域への渡航歴がある場合や、国内で蚊に刺される機会があった場合は、速やかに医療機関を受診してください。診断は、問診や診察に加え、血液検査によって行われます。ウイルスそのものを検出する検査(NS1抗原検査やPCR法)や、ウイルスに対する抗体を調べる検査(IgM/IgG抗体検査)を組み合わせて確定診断に至ります10

第3章:【最重要】妊娠中のデング熱が母体と胎児に与える影響

3-1. 過去の常識はもう古い:最新研究が明らかにしたリスク

かつて、妊娠中のデング熱は母体や胎児に深刻な影響を及ぼさないと考えられていた時期もありました。これは症例報告が少なかった時代の見解です13。しかし、近年、世界中の多くの研究データを統合・分析する「メタアナリシス」という信頼性の高い手法を用いた研究が進み、現在では妊娠中のデング熱が特定の周産期合併症のリスクを高めることが科学的なコンセンサスとなっています。したがって、「心配ない」という古い情報は誤りであり、正しいリスクを理解することが極めて重要です。

3-2. 母体への影響:重症化、出血、その他の合併症

妊娠中の女性は、生理的な変化により、デング熱が重症化しやすい可能性が指摘されています。特に、デング出血熱(DHF)のリスクが高まることが懸念されます14。また、デング熱の特徴である血小板の減少は、分娩時の出血リスクを高める可能性があります。2024年に発表された最新のメタアナリシスでは、分娩後出血のリスクが上昇する傾向(オッズ比 1.97)が報告されています9。その他、妊娠高血圧腎症や帝王切開率の上昇との関連も指摘されています1415

3-3. 胎児・新生児への影響:流産、早産、低出生体重のリスク

妊娠中のデング熱感染が胎児に与える影響は、妊婦さんが最も懸念される点でしょう。2016年に権威ある医学雑誌『The Lancet Infectious Diseases』に掲載された、複数の研究を統合したメタアナリシスによると、妊娠中にデング熱に感染した女性は、感染しなかった女性と比較して、以下のようなリスクが統計的に有意に高まることが報告されています8

  • 流産のリスク: 約3.5倍に上昇
  • 早産のリスク: 約1.7倍に上昇
  • 低出生体重児のリスク: 約1.4倍に上昇
  • 死産のリスク: 約6.7倍に上昇(ただし、この数値は研究数が少なく解釈に注意が必要)

これらのデータは、妊娠中のデング熱感染が決して軽視できない問題であることを明確に示しています。また、前述の通り、出産直前に母親が感染した場合には、生まれた赤ちゃんがデング熱を発症する「新生児デング」のリスクもあります4

3.4. 【表】母体と胎児への主要なリスクまとめ

表1:妊娠中のデング熱感染による母体への主要な合併症とリスク
合併症名 リスクの概要 関連データ(例) 主要な引用元
重症化(デング出血熱/DHF) 妊娠中は非妊娠時と比較して重症化のリスクが高まる可能性が指摘されている。 Chong V, et al. 202314
産科出血(特に分娩後出血) 血小板減少により、分娩時や分娩後の出血量が増加するリスクがある。 オッズ比 1.97 Singh S, et al. 20249
妊娠高血圧腎症 妊娠中のデング熱感染と関連して発症リスクが上昇する可能性がある。 Chong V, et al. 202314
帝王切開 母体や胎児の状態により、帝王切開での分娩が必要となる割合が高まる。 症例報告で44.0% Pouliot SH, et al. 201015
表2:妊娠中のデング熱感染による胎児・新生児への主要な有害事象とリスク
有害事象 リスク(非感染群との比較) オッズ比/相対リスク (95%信頼区間) 引用元
流産 (Miscarriage) リスクが約3.5倍に上昇 OR 3.51 (1.20–10.27) Paixão ES, et al. 20168
死産 (Stillbirth) リスクが約6.7倍に上昇 RR 6.7 (1.5–29.2) Paixão ES, et al. 20168
早産 (Preterm birth) リスクが約1.7倍に上昇 OR 1.71 (1.08–2.70) Paixão ES, et al. 20168
低出生体重 (Low birthweight) リスクが約1.4倍に上昇 OR 1.41 (1.11–1.79) Paixão ES, et al. 20168

第4章:妊娠中でも安全な治療法と対処法

4-1. 基本は支持療法:安静と水分補給

現時点では、デングウイルスに直接効く特異的な治療薬(抗ウイルス薬)は存在しません。したがって、治療は症状を和らげる「支持療法(Symptomatic/Supportive therapy)」が中心となります。最も重要なのは、十分な休息をとり、脱水を防ぐために経口補水液やスポーツドリンクなどでこまめに水分と電解質を補給することです10

4-2. 薬の使用:安全な解熱鎮痛薬と避けるべき薬

薬の使用に関しては、妊娠中は特に慎重になる必要があります。デング熱による発熱や頭痛に対して、妊婦さんが安全に使用できる解熱鎮痛薬は「アセトアミノフェン」です。しかし、市販薬にも含まれていますが、必ず医師や薬剤師に相談の上で使用してください。一方で、「イブプロフェン」や「ロキソプロフェン」といった非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やアスピリンは、デング熱の特徴である出血傾向を悪化させたり、胃腸障害を引き起こしたりする危険性があるため、絶対に使用してはいけません10。これは米国疾病予防管理センター(CDC)や日本の診療ガイドラインでも強く推奨されている重要な注意点です410

表3:妊婦が使用できる解熱鎮痛薬と避けるべき薬剤
分類 薬剤の成分名(商品名例) 理由 引用元
安全に使用できる アセトアミノフェン(カロナール®など) 妊娠中の使用経験が豊富で、出血傾向への影響が少ないため。 CDC4, MHLW10
使用してはいけない 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)(イブプロフェン、ロキソプロフェンなど) 出血傾向を助長し、胃腸障害のリスクを高めるため。 CDC4, MHLW10
使用してはいけない アスピリン 出血傾向を助長し、ライ症候群のリスクがあるため。 CDC4, MHLW10

4-3. 入院が必要となるケース

多くは外来での経過観察が可能ですが、前述の「警告サイン」が見られる場合、水分が十分に摂れない場合、または基礎疾患がある場合など、医師が重症化のリスクが高いと判断した場合には、入院による慎重な管理が必要となります。入院中は、点滴による水分補給や、血圧、尿量、血液検査などを定期的に行い、ショックや重篤な出血への早期対応が行われます。

第5章:今日からできる!妊娠中のデング熱・徹底予防策

5-1. 最大の予防は「蚊に刺されない」こと

デング熱には特効薬がないため、予防が何よりも重要です。そして、その最大の予防策は、原因となる蚊に刺される機会を徹底的に減らすことに尽きます。

5-2. 物理的な防御:服装と住環境の工夫

  • 服装の工夫:日中、屋外で活動する際は、長袖・長ズボンを着用し、肌の露出をできるだけ少なくしましょう。サンダル履きは避け、靴下を履くことも有効です。
  • 住環境の整備:網戸や窓をしっかり閉め、蚊の侵入を防ぎましょう。寝室で蚊帳を使用することも非常に効果的です。
  • 発生源をなくす:デング熱を媒介するヒトスジシマカは、空き缶や植木鉢の受け皿、古タイヤなどに溜まったわずかな水でも産卵します。家の周りの水たまりをなくし、蚊の発生源を断つことが重要です12

5-3. 虫除け剤(忌避剤)の賢い使い方:妊婦でも安全な成分とは?

虫除け剤(忌避剤)の使用は、蚊に刺されるのを防ぐ上で非常に効果的な手段です。妊娠中の使用について不安を感じる方もいるかもしれませんが、日本産科婦人科学会は、「妊娠中使用に関して問題ないとされています」との公式見解を示しており、適切な使用を推奨しています7。特に、以下の有効成分を含む製品は、世界保健機関(WHO)や米国疾病予防管理センター(CDC)も有効性と安全性を認めており、妊婦さんでも使用可能です11

  • ディート (DEET)
  • イカリジン (Picaridin)
  • IR3535

製品に記載された使用方法や濃度を守り、肌の露出部分や衣服にスプレーまたは塗布してください。長袖・長ズボンと組み合わせることで、より高い予防効果が期待できます。

表4:日本在住の妊婦向け・蚊の忌避対策一覧
対策の種類 具体的な方法 ポイント・妊婦への安全性
物理的対策 服装 長袖・長ズボンを着用し肌の露出を避ける。白など明るい色の服は蚊が寄りにくいとされる。
住環境 網戸を確実に閉める。蚊帳の使用も非常に有効。
発生源対策 家の周りの水たまり(植木鉢の受け皿、古タイヤ等)をなくす。
化学的対策 虫除け剤(忌避剤)の使用 【安全性】日本産科婦人科学会、CDCともにディートやイカリジンを含む製品の妊婦への使用を安全として認めている711
【ポイント】製品の用法・用量を守り、露出した皮膚に使用する。
(参考)殺虫剤の使用 室内で蚊を見つけた場合は、エアゾールタイプの殺虫剤を使用することも有効。使用時は換気を十分に行う。

5-4. 流行地域への渡航について

厚生労働省は、デング熱などの蚊媒介感染症のリスクを考慮し、流行地域へ渡航する妊婦は特に注意が必要であると呼びかけています16。妊娠中の流行地域への渡航は、可能であれば避けることが望ましいですが、やむを得ず渡航する場合は、渡航前に必ず医師に相談し、現地ではこれまで述べた蚊の予防策を徹底してください。

5-5. ワクチンの現状と妊婦への適用

世界的にはいくつかのデング熱ワクチンが承認されていますが、その多くは過去にデング熱に感染したことがある人を対象としています。2024年現在、日本で承認されているデング熱ワクチンはなく、また、既存のワクチンはいずれも生ワクチンのため、妊婦への接種は推奨されていません3。したがって、ワクチンに頼ることはできず、蚊に刺されないための対策が唯一かつ最も重要な予防法となります。

第6章:よくある質問(FAQ)

Q1. 夫がデング熱になりました。私や胎児にうつりますか?

デング熱は、インフルエンザのように咳やくしゃみで人から人に直接うつることはありません。したがって、ご主人がデング熱にかかっても、あなたが直接感染する心配はありません。ただし、ご主人を刺した蚊がまだ家の周りにいて、その蚊にあなたが刺されると感染する可能性はあります。ご家族がデング熱と診断された場合は、家庭内での蚊の駆除や予防策を一層徹底することが重要です。

Q2. 一度デング熱にかかったことがあれば、妊娠中は安全ですか?

いいえ、安全ではありません。むしろ注意が必要です。デングウイルスには4つの異なる血清型(1型、2型、3型、4型)があります。一度ある型のウイルスに感染すると、その型に対しては生涯免疫ができます。しかし、その後、異なる型のウイルスに感染すると、症状がより重症化しやすい(デング出血熱に進展しやすい)ことが知られています。したがって、過去にデング熱にかかったことがある方こそ、妊娠中の再感染には最大限の注意が必要です。

Q3. デング熱とジカ熱の違いは何ですか?

デング熱とジカウイルス感染症(ジカ熱)は、どちらも同じ蚊(ネッタイシマカやヒトスジシマカ)によって媒介される感染症で、症状も似ています。最大の違いは、胎児への影響です。ジカ熱は、妊婦が感染すると胎児に小頭症などの先天的な障害を引き起こす「先天性ジカウイルス症候群」の原因となることが知られています16。デング熱では、小頭症との明確な関連は報告されていませんが、本記事で解説したように、流産や早産のリスクを高めます。どちらの病気も蚊によって媒介されるため、予防策は共通しています。

結論

妊娠中のデング熱は、最新の科学的根拠に基づけば、母体と胎児の双方に無視できないリスクをもたらす疾患です。しかし、そのリスクを正しく理解し、適切な対策を講じることで、その危険性を大幅に減らすことが可能です。最も重要なメッセージは、「蚊に刺されない」ための予防策を徹底すること、そして発熱などの疑わしい症状があれば決して自己判断せず、速やかにかかりつけの産婦人科医に相談することです。この記事で提供した情報が、皆様の不安を和らげ、健やかなマタニティライフと安全なご出産の一助となることを、JAPANESEHEALTH.ORG編集部一同、心より願っております。

免責事項本記事は、医学的情報の提供を目的とするものであり、専門的な医学的アドバイスに代わるものではありません。健康に関する問題や治療に関する決定については、必ず資格を有する医療専門家にご相談ください。

参考文献

  1. 研究会「デング熱の国内感染とその対応」高崎智彦・国立感染症研究所ウイルス第1部第ニ室室長. 日本記者クラブ. 2014. Available from: https://www.jnpc.or.jp/archive/conferences/27810/report/
  2. デング熱国内感染事例に関する 厚生労働省の対応について. 厚生労働省. 2014. Available from: https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/0000060657.pdf
  3. Dengue and severe dengue. World Health Organization. 2024. Available from: https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/dengue-and-severe-dengue
  4. Dengue During Pregnancy. Centers for Disease Control and Prevention. 2024. Available from: https://www.cdc.gov/dengue/hcp/clinical-signs/pregnancy.html
  5. デング熱について. 厚生労働省. Available from: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000131101.html
  6. IASR 45(8), 2024【特集】デング熱・デング出血熱 2019~2023年. 国立感染症研究所. 2024. Available from: https://www.niid.go.jp/niid/niid/ja/dengue-m/dengue-iasrtpc/11893-534t.html
  7. デング熱感染を心配している妊婦のみなさまへ. 日本産科婦人科学会. 2014. Available from: https://www.jsog.or.jp/medical/591/
  8. Paixão ES, Teixeira MG, Costa Mda C, Rodrigues LC. Dengue during pregnancy and adverse fetal outcomes: a systematic review and meta-analysis. Lancet Infect Dis. 2016;16(5):561-567. doi:10.1016/S1473-3099(16)00088-8. Available from: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26949028/
  9. Singh S, Kumar K, Sharma A, et al. Dengue Infection During Pregnancy and Adverse Birth Outcomes: A Systematic Review and Meta-Analysis. Rev Med Virol. 2024;e2582. doi:10.1002/rmv.2582. Available from: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39245582/
  10. デング熱診療マニュアル(第1版). 厚生労働省. 2014. Available from: https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/dl/20140903-09.pdf
  11. Dengue During Pregnancy. Centers for Disease Control and Prevention. Available from: https://www.cdc.gov/dengue/media/pdfs/prevent-dengue-during-pregnancy.pdf
  12. デング熱・チクングニア熱等蚊媒介感染症の対応・対策の手引き 地方公共団体向け. 厚生労働省. Available from: https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/0000163947.pdf
  13. 妊娠中にデング熱にかかったらどうなるのでしょうか … シンガポールで子育て便利帳. 2004. Available from: https://www.singaweblog.com/archives/4074
  14. Chong V, Tan JZL, Arasoo VJT. Dengue in Pregnancy: A Southeast Asian Perspective. Trop Med Infect Dis. 2023;8(2):86. doi:10.3390/tropicalmed8020086. Available from: https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9964792/
  15. Pouliot SH, Xiong X, Harville E, et al. Maternal dengue and pregnancy outcomes: a systematic review. Obstet Gynecol Surv. 2010;65(2):107-18. doi:10.1097/OGX.0b013e3181cb8fbc. Available from: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20100360/
  16. ジカウイルス感染症について. 厚生労働省. Available from: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000109881.html
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