【医師監修】韓国式スキンケアは本当に効果がある？科学的根拠と日本人向けの正しいやり方を徹底解説
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【医師監修】韓国式スキンケアは本当に効果がある？科学的根拠と日本人向けの正しいやり方を徹底解説

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近年、K-POPや韓国ドラマの影響で「韓国式スキンケア」が日本でも絶大な人気を博しています。日本の韓国からの化粧品輸入額は2019年からの5年間で約6倍に拡大し1、2023年の国内消費額は313億円に達するなど、その勢いは留まることを知りません2。透き通るような「水光肌（ムルグァンピブ）」に憧れる方も多いのではないでしょうか6。しかし、「10ステップは多すぎるのでは？」「話題のCICAやカタツムリ粘液といった成分は本当に効果があるの？」と、その実態について疑問に思う方もいるはずです。この記事では、JAPANESEHEALTH.ORG編集部が、皮膚科学の専門的見地から、韓国式スキンケアの哲学、主要な方法、そして注目成分の科学的根拠を、最新の研究論文10273135に基づき徹底的に分析。日本の気候や日本人の肌質に合わせた、安全で効果的な取り入れ方を皮膚科医の視点で詳しく解説します。

この記事の要点まとめ

  • 韓国式スキンケアの核心は、肌の内側から輝くような「水光肌」を目指す、徹底した「保湿」の哲学にあります。
  • ダブルクレンジングやシートマスクの毎日使用といった方法は、科学的利点がある一方で、肌質によってはバリア機能低下などのリスクも伴います。
  • 注目成分には、ナイアシンアミドのように豊富な科学的根拠を持つものから、今後の研究が期待される発展途上のものまで「エビデンスの階層性」が存在します。
  • 日本人にとっては、韓国式の哲学（保湿重視）を取り入れつつ、ステップは簡略化し、日本の安全基準（薬機法、専門機関の推奨）に従うことが賢明です。

1. なぜ今、韓国式スキンケアが人気？日本との違いとは

韓国コスメ市場の急成長は、単なる一過性のブームではなく、文化的な憧れと製品の魅力が融合した構造的な現象です。特に10代から30代の女性層から強い支持を得ています1。

1-1. 目指すのは「水光肌」- 保湿を最優先する韓国の美容哲学

韓国式スキンケアの根底に流れる哲学は、単に肌トラブルがない状態ではなく、肌の内側から水分が満ち溢れ、光を放つかのような潤いとツヤに満ちた「水光肌（ムルグァンピブ）」の実現です11。この理想は、健康そのものの象徴と捉えられています。この思想は、日本より乾燥しやすい韓国の気候風土8や、美しいメイクは健康な素肌があってこそ、という根源的な価値観から育まれました6。この哲学を具現化するために、ジェル状の「水分クリーム」8や、水分と油分を直前に混ぜる「二層式美容液」11など、水分を角質層の隅々まで届け、長時間保持することを目的とした製品が開発されています。

1-2. 「重ね付け」が基本 – 日本式とのステップ・考え方の違い

「10ステップスキンケア」に代表される多段階ケアは、韓国式を象徴する手法です12。これは、軽いテクスチャーの製品から重いものへと、少量ずつ肌に重ねていく「レイヤリング」という合理的な考えに基づいています13。目的は、各製品の有効成分の効果を最大化し、強固な保湿バリアを構築することにあります14。日本式では「化粧水」が保湿の主役とされがちですが、韓国式では化粧水（トナー）は主に拭き取りや肌の準備段階と位置づけられ、その後の「エッセンス」「セラム」「アンプル」といった高濃度美容液群がケアの主役となります13。

【比較表】一目でわかる！韓国式 vs 日本式スキンケア

両国のスキンケア文化の違いを以下の表にまとめました。ご自身のケアを見直す際の参考にしてください。

比較項目 韓国式スキンケア 日本式スキンケア
基本哲学 肌本来の健康を取り戻し、内側から輝く「ツヤ肌・水光肌」を育む（予防美容）6 肌悩みに応じたケアで、トラブルのない「整った肌」を目指す（対処・改善美容）
ステップ数 多い（例：10ステップ）。「レイヤリング（重ね付け）」を重視12 少ない（例：3-4ステップ）。「シンプル＆ミニマル」を好む傾向
主要製品 美容液（エッセンス、セラム、アンプル）、クリーム13 化粧水（ローション）、乳液
重視する効果 保湿、鎮静、再生、ツヤ12 美白、肌質別ケア（敏感肌、脂性肌）、保湿
代表的な成分 CICA、PDRN、ナイアシンアミド、グルタチオン、プロポリス、高麗人参10 セラミド、ヒアルロン酸、ビタミンC誘導体、トラネキサム酸
シートマスク 毎日のように使用するデイリーケアの一部12 週1〜2回のスペシャルケア
クレンジング ダブルクレンジングが主流。クレンジングへの支出が多い傾向17 シングルクレンジングも一般的
美容医療との関連 スキンケアの延長線上にあり、非常に身近。「肌管理」として定着8 スペシャルケア、または治療として捉える傾向が強い

2. 韓国式スキンケアの代表的な方法を科学的に検証

広く受け入れられている韓国式の習慣も、皮膚科学の観点から客観的に評価することが重要です。ここでは代表的な2つの方法を検証します。

2-1. 【検証】ダブルクレンジングは必要？皮膚科医が語る効果と注意点

ダブルクレンジングは、第1段階でオイル等の油性洗浄剤を使いメイクや皮脂を溶かし、第2段階で洗顔フォーム等の水性洗浄剤で汗や古い角質を洗い流す手法です21。これにより、毛穴の詰まりを解消し、後のスキンケア製品の浸透を高めることが期待されます。

科学的根拠

その有効性には科学的な裏付けがあります。ある臨床試験では、ウォータープルーフの日焼け止めを落とす際に、水のみでは59.3%、泡洗顔料では36.8%の残留があったのに対し、クレンジングオイルではわずか5.8%しか残留しなかったと報告されています17。これは、油性の汚れに対してクレンジングオイルが非常に高い除去能力を持つことを示しています。

医師の警告と正しいやり方

多くの皮膚科専門医は、しっかりとしたメイクをする人にとってダブルクレンジングは有効な選択肢だと認めています24。しかし、最大の注意点は、過剰な洗浄による「皮膚バリア機能の破壊」です22。洗浄力の強すぎる製品の使用や肌の擦りすぎは、皮膚の水分保持能力を失わせ、乾燥、刺激、さらにはニキビの悪化を招く可能性があります。特に乾燥肌や敏感肌の方は、夜のみに限定する、第2段階の洗浄剤をアミノ酸系などのマイルドなものにする、といった調整が不可欠です。

2-2. 【検証】シートマスクの毎日使用は肌に良い？悪い？

韓国ではデイリーケアの一部として定着しているシートマスクの毎日使用12。これは皮膚を物理的に覆うことで美容成分の浸透を高める「閉塞療法」の原理を応用したものですが、潜在的なリスクも伴います。

皮膚科学的リスク

  • 接触性皮膚炎（かぶれ）: マスクの素材や、製品に含まれる香料、防腐剤などがアレルゲンとなり、アレルギー反応や刺激を引き起こす可能性があります。
  • 過水和（Maceration）: 推奨時間を超えた使用は、角質層がふやけてバリア機能が逆に低下する原因となり得ます。
  • ニキビの悪化（Acne Cosmetica）: 閉塞環境が毛穴を塞ぎ、アクネ菌の増殖を促してしまうことがあります。

【安全な使い方】もし毎日試すなら守るべき3つのルール

シートマスクの毎日使用は「両刃の剣」です。もし試すのであれば、以下の点を必ず守ってください。

  1. 使用時間（通常10〜15分）を厳守する。
  2. アルコール、香料、着色料などが無添加の低刺激性製品を選ぶ。
  3. 少しでも赤み、かゆみ、刺激を感じたら直ちに使用を中止し、その製品は二度と使わない。

3. 【最重要】韓国コスメ注目成分の「効果」と「科学的根拠」を徹底評価

韓国コスメの魅力はその多様な成分にありますが、市場で謳われる効果と科学的根拠にはしばしば隔たりがあります。ここでは、主要成分の有効性を客観的な「エビデンスレベル」で評価します。

3-1. 皮膚科医が格付け！主要成分エビデンスレベル一覧

エビデンスレベルの定義：
A（強力なエビデンス）: 複数の質の高い臨床試験で有効性が示されている。
B（中程度のエビデンス）: 質の高い臨床試験が1つ以上、または複数の予備的な研究で有効性が示唆されている。
C（限定的なエビデンス）: 主に試験管内研究や動物実験、小規模なヒト試験に限られ、さらなる検証が必要。
D（不十分なエビデンス）: 科学的根拠がほとんどない。

成分名 期待される効果 エビデンスレベル 作用機序の概要
CICA (ツボクサエキス) 創傷治癒、抗炎症、コラーゲン合成促進 B 有効成分（アシアチコシド等）が線維芽細胞を刺激しI型コラーゲン合成を促進。炎症性サイトカインを抑制2728。
カタツムリ粘液 創傷治癒、保湿、抗老化 C+ アラントイン、グリコール酸等を含む複合体。細胞増殖促進や保湿効果が期待されるが、大規模な臨床データは不足3133。
高麗人参 (Ginseng) 抗老化（シワ改善）、抗酸化、美白 B- ジンセノサイドがコラーゲン分解酵素の産生を抑制。光老化を防ぐ可能性が示唆されている3538。
プロポリス 創傷治癒、抗菌、抗炎症 B フラボノイドを豊富に含み、強力な抗菌・抗炎症作用を発揮。皮膚潰瘍治療での有効性も報告されている39。
ナイアシンアミド 美白、シワ改善、バリア機能強化 A メラニン輸送の阻害、セラミド合成促進、コラーゲン産生促進など、作用機序が明確でエビデンスが非常に豊富10。
ガラクトミセス培養液 バリア機能強化、抗酸化、抗炎症 B- 皮膚のAHRを活性化させ、フィラグリン等のバリア関連遺伝子の発現を亢進。炎症を抑制する4344。
グルタチオン 美白、抗酸化 C (外用) 強力な抗酸化物質だが、外用での美白効果に関する質の高い臨床データは限定的12。

3-2. 肌荒れ・鎮静の救世主？「CICA」「カタツムリ粘液」「プロポリス」

CICA (Centella asiatica): 日本名ツボクサエキス。その有効成分が線維芽細胞の増殖を促し、I型コラーゲンの合成を促進することが複数の研究で示されています28。臨床試験では皮膚の水分量や弾力性の向上、赤みの減少が報告されています27。
カタツムリ粘液 (Snail Mucin): アラントインやヒアルロン酸など多様な物質を含む複合体で、創傷治癒や保湿に関する有望なデータがあります31。しかし、その多くは基礎研究段階であり、有効性を確固たるものにするには更なる研究が必要です33。
プロポリス: ミツバチが作る天然物質で、強力な抗菌・抗炎症作用で知られます。複数の研究を統合したメタアナリシスにおいて、皮膚潰瘍の治癒を促進する有効な代替療法となりうると報告されており、科学的信頼性は比較的に高い成分です39。

3-3. エイジングケアの注目株「高麗人参」「ガラクトミセス」

高麗人参 (Ginseng): 伝統的な漢方成分。有効成分ジンセノサイドが、紫外線によるコラーゲン分解酵素の産生を抑制し、光老化を防ぐ可能性が示されています38。美白や保湿効果に関する研究も存在します35。
ガラクトミセス培養液: 日本の酒造りで発見された酵母の発酵ろ過液。近年の遺伝子解析により、皮膚のバリア機能に不可欠なタンパク質（フィラグリン等）の発現を高めることが分かっています43。これによりバリア機能を強化し、抗炎症作用も発揮します44。

3-4. 【医師コラム】成分表示を見るときの注意点とエビデンスの捉え方

本レビューで明らかなように、注目成分の科学的根拠には明確な「階層性」があります10。ナイアシンアミドのように有効性が確立された成分がある一方、多くはまだ研究途上の有望な成分です。これは「効果がない」という意味ではなく、「可能性を科学的に証明する研究が進行中」と捉えるべきです。流行に流されず、このエビデンスの階層性を理解することが、製品を冷静に選択するための鍵となります。

4. 日本人が安全に韓国式スキンケアを取り入れるための指針

韓国式ケアを日本で安全かつ効果的に実践するには、日本の環境や安全基準を考慮した「適応」が不可欠です。

4-1. そのまま真似はNG！自分の肌に合わせたカスタマイズ法

日本の気候や肌質を考えると、「哲学（保湿重視の考え方）は取り入れ、手法（ステップ数）は賢く簡略化する」というアプローチが現実的です。多くの日本の皮膚科専門医が推奨する基本的な考え方とも一致します51。
【提案】日本人向け3～4ステップ応用例

  1. 洗浄: メイクの有無に応じ、夜はダブルクレンジングも選択肢に。
  2. 美容液（主役）: 洗顔後、肌悩みに合わせた高保湿・高機能美容液を1～2種選択。
  3. 乳液・クリーム（蓋）: 最後に油分でしっかりと蓋をする。

例えば、脂性肌なら油分の少ない「水分クリーム」8を、乾燥肌ならセラミドを高配合したクリームを選ぶなど、肌質に合わせた調整が重要です。

4-2. 安全な製品選びと使い方 – 日本の専門機関の推奨事項

化粧品の安全性は何よりも優先されるべきです53。海外製品を試す際は、日本の基準を理解しておくことが肌トラブルを避ける鍵となります。

  • ニキビケアの基本: 日本皮膚科学会のガイドラインでは、「1日2回の洗顔」と「保湿」、そして季節を問わない「紫外線対策」が推奨されています55。これはあらゆるスキンケアの土台となる原則です。
  • パッチテストの実施: 日本化粧品工業会（JCIA）は、初めて使う化粧品は腕の内側などで試す「パッチテスト」を推奨しています53。これは、予期せぬアレルギー反応を防ぐために極めて重要です。
  • 正規ルートでの購入: JCIAは、品質が保証された公式サイトや正規販売代理店での購入を強く推奨しています53。個人輸入品は品質が劣化しているリスクがあります。
  • 薬機法の理解: 日本では薬機法により、化粧品、医薬部外品、医薬品で謳える効果が厳密に定められています57。製品がどのカテゴリーに属し、どのような効果が許可されているのかを冷静に判断する必要があります。

よくある質問（FAQ）

Q1. 韓国の男性もスキンケアをしますか？
A. はい、非常に一般的です。韓国では男性の美容意識が非常に高く、「グルーミング族」という言葉も生まれています。スキンケアは性別を問わず、自己管理の一環として広く浸透しています67。
Q2. 美容医療の後のケアに韓国コスメは使えますか？
A. CICA成分など鎮静効果のある製品は、美容医療後のダウンタイムケアとして人気があります48。しかし、施術後の肌は非常にデリケートな状態です。自己判断で使用せず、必ず施術を受けたクリニックの医師に使用の可否を相談してください。
Q3. 結局、韓国式と日本式、どちらが良いのですか？
A. どちらか一方が絶対的に優れているわけではありません。韓国式には徹底した保湿哲学と多様な成分への探求心、日本式にはシンプルさと肌質に合わせた丁寧なケアという長所があります12。それぞれの哲学と長所を理解し、ご自身の肌質、ライフスタイル、目指す肌状態に合わせて良い点を選択し、組み合わせることが最も重要です。

結論：賢く取り入れて、理想の肌へ

韓国式スキンケアの最大の魅力は、健康的な輝きを目指す「徹底した保湿」の哲学と、CICAや高麗人参といった「先進的・伝統的な成分」への探求心にあります。しかし、流行にただ流されるのではなく、本記事で解説したように、ダブルクレンジングや各成分の科学的根拠と潜在的リスクを正しく理解することが、賢い選択の第一歩です。日本の安全基準や専門家の意見を参考に、ご自身の肌と対話しながら、あなただけの最適なスキンケアルーティンを見つけ、健やかな肌を育んでいきましょう。

免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、専門的な医学的アドバイスに代わるものではありません。健康に関する懸念や、ご自身の健康や治療に関する決定を下す前には、必ず資格のある医療専門家にご相談ください。

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