知っておきたい!化粧品に潜む10の有害化学物質:専門家による包括的分析と安全な製品選びのためのアクションプラン
皮膚科疾患

知っておきたい!化粧品に潜む10の有害化学物質:専門家による包括的分析と安全な製品選びのためのアクションプラン

化粧品は、私たちの日常生活において、身だしなみを整え、自己表現を豊かにするための不可欠な製品です。しかしその一方で、製品に含まれる化学物質の安全性に対する消費者の関心は、かつてないほど高まっています。特に、環境中に長く残留し続けることから「永遠の化学物質」とも呼ばれるPFAS(有機フッ素化合物)や、ホルモンバランスに影響を与える可能性のある内分泌かく乱物質などの問題がメディアで広く報じられるようになり、消費者の意識は大きく変化しました1。インターネット上には、「危険な成分」「避けるべき添加物」といった見出しの情報が溢れていますが、その多くは科学的根拠が不十分であったり、過度に不安を煽るものであったりする場合があります。本レポートの目的は、こうした氾濫する情報の中から、信頼できる科学的エビデンスに基づいた客観的な知識を提供することです。それにより、読者一人ひとりが化粧品成分のリスクを正しく理解し、自身の価値観とライフスタイルに合った賢明な製品選びができるよう支援することを目指します。

この記事の科学的根拠

この記事は、引用元として明記された最高品質の医学的エビデンスにのみ基づいています。以下のリストには、実際に参照された情報源と、提示された医学的指導との直接的な関連性が含まれています。

  • 国際がん研究機関 (IARC): ホルムアルデヒドの発がん性分類(グループ1)に関する記述は、世界保健機関(WHO)の専門組織であるIARCの評価に基づいています2
  • 欧州委員会消費者安全科学委員会 (SCCS): パラベン類の安全性、特に種類別の配合上限に関する分析は、SCCSが発表した最新の科学的意見書を重要な根拠としています3
  • 資生堂の成分情報: 企業の自主的な安全対策の例として、資生堂が公開している成分方針を参照し、フタル酸エステル類やBHA、重金属などの使用中止や管理に関する具体的な取り組みを記述しています4
  • 米国国立毒性プログラム (NTP): 紫外線吸収剤オキシベンゾンの潜在的な発がん性に関する動物実験の結果は、NTPの報告書に基づいています5
  • 厚生労働省「化粧品基準」: 日本国内の化粧品規制(ネガティブリスト、ポジティブリストなど)に関する記述は、厚生労働省が定める公式基準に準拠しています6

要点まとめ

  • 化粧品成分の安全性評価では、物質が持つ有害性そのものである「ハザード」と、それに晒される量を考慮した健康への影響の可能性である「リスク」を区別することが科学的に重要です。
  • ホルムアルデヒド放出剤、長鎖パラベン、PFAS、フタル酸エステル類、オキシベンゾンなどは、発がん性や内分泌かく乱作用の懸念から国際的に議論が活発な成分です。
  • 日本の化粧品規制は、有害性が確定した後に対応する傾向があり、科学的な不確実性があっても予防的措置を講じるEUの「予防原則」に基づく規制と比較して、一部の化学物質への対応に遅れが見られます。
  • 「無添加」表示には法的な定義がなく、メーカー独自の基準に基づいています。また、表示義務のない「キャリーオーバー成分」が存在するため、表示だけを鵜呑みにせず全成分表示を確認することが不可欠です。
  • 安全な製品を選ぶためには、成分表示を読み解き、特に洗い流さない製品や粘膜に使用する製品の成分を注意深く確認し、信頼できる公的機関の情報を活用するなどの主体的な行動が求められます。

「リスク」と「ハザード」の違い:科学的根拠に基づく冷静な判断の重要性

化粧品成分の安全性を議論する上で、極めて重要な概念が「ハザード(Hazard)」と「リスク(Risk)」の違いです。この二つはしばしば混同されますが、科学的には明確に区別されます。

  • ハザード(Hazard): ある物質が本来持っている有害性の性質そのものを指します。例えば、世界保健機関(WHO)の専門組織である国際がん研究機関(IARC)がホルムアルデヒドに発がん性があると分類しているのは、この物質が持つ「ハザード」を指摘したものです2
  • リスク(Risk): そのハザードを持つ物質に「どの程度晒されるか(曝露量)」を考慮した上で、実際に健康への悪影響が生じる可能性を評価したものです。リスクは「ハザード × 曝露量」という式で概念的に理解することができます。

この違いを理解することは、化学物質に関する情報を正しく評価するための第一歩です。例えば、防腐剤であるパラベンには、内分泌かく乱作用という「ハザード」が指摘されています7。しかし、EUの消費者安全科学委員会(SCCS)のような専門機関は、化粧品に配合される極めて低い濃度での使用においては、健康への「リスク」は無視できるほど低いと評価しています3。つまり、ハザードがあるからといって、直ちにそれが実生活におけるリスクに繋がるわけではないのです。本レポートでは、この科学的なリスク評価の視点を一貫して用いることで、各化学物質の安全性を冷静かつ客観的に分析します。

第1部:特に注意すべき10の化学物質群 – その特性と健康への影響

この部では、化粧品に含まれる可能性のある化学物質の中から、特に消費者が知っておくべき10のグループを厳選し、科学的知見に基づいて詳細に解説します。各物質について、その用途、健康への懸念、規制状況、そして成分表示での確認名を明らかにすることで、製品選びの具体的な判断材料を提供します。まず、本章で取り上げる10の化学物質群の概要を以下の表にまとめます。この表は、各物質のリスクプロファイルを一覧で把握するためのものであり、詳細な解説は各項を参照してください。

【表1】要注意化学物質10群の概要一覧
化学物質群 主な用途 主要な健康懸念 日本の規制概要(化粧品基準) EUの規制概要(Cosmetic Regulation)
1. ホルムアルデヒド及び放出剤 防腐剤 発がん性(IARC Group 1)、アレルギー 原則配合禁止。放出剤は制限下で使用可。 厳しく制限。0.05%超で警告表示義務。
2. パラベン類 防腐剤 内分泌かく乱作用(特に長鎖型) 合計1.0%まで配合可(種類区別なし)。 種類別に上限設定(例:ブチルパラベンは0.14%まで)。
3. フタル酸エステル類 香料の溶剤、可塑剤 内分泌かく乱作用、生殖毒性 一部(DBP, DEHP等)は配合禁止。 多くの種類が配合禁止。
4. PFAS(有機フッ素化合物) 滑り性向上、撥水性 発がん性の可能性、内分泌かく乱作用、蓄積性 化粧品に特化した規制は未整備。 全面的な使用制限を提案中。
5. 紫外線吸収剤(オキシベンゾン等) 紫外線防御 内分泌かく乱作用の懸念、アレルギー ポジティブリストで管理。オキシベンゾンは10%まで。 ポジティブリストで管理。オキシベンゾンは6%まで。
6. アルキル硫酸塩(SLS, SLES) 界面活性剤(洗浄剤) 皮膚刺激、バリア機能低下 配合制限なし。 配合制限なし。SLESは刺激性がより低いとされる。
7. BHAとBHT 酸化防止剤 内分泌かく乱作用の懸念、発がん性の可能性(BHA) BHTは配合制限なし。BHAは通常使用されない。 BHAは内分泌かく乱物質候補。BHTも評価中。
8. エタノールアミン類(DEA, TEA) pH調整剤、乳化剤 発がん性物質(ニトロソアミン)生成の懸念、アレルギー 配合制限なし。 DEAは使用禁止。TEAは厳しい制限あり。
9. タール色素 着色料 発がん性の懸念(一部)、アレルギー ポジティブリストで管理。使用部位に制限あり。 ポジティブリストで管理。日本より厳しいものも。
10. 重金属類(鉛、アルミニウム等) 不純物、着色料(Al) 神経毒性(鉛)、発がん性の議論(Al) 不純物として厳しく管理。Alは着色料として使用可。 不純物として厳しく管理。Alの安全性は議論中。

1. ホルムアルデヒド及びホルムアルデヒド放出剤 (Formaldehyde and Formaldehyde-Releasing Preservatives)

概要と主な用途

ホルムアルデヒドは、強力な殺菌・防腐効果を持つ化学物質です。化粧品においては、細菌やカビの繁殖を防ぎ、製品の品質と安全性を長期間維持する目的で、かつては防腐剤として利用されていました8。しかし、その高い毒性から、現在ではホルムアルデヒドそのものが意図的に化粧品に配合されることは、日本の規制下では原則としてありません6。問題は、直接配合されていなくても、製品内で時間と共に微量のホルムアルデヒドを遊離・放出する性質を持つ「ホルムアルデヒド放出剤(formaldehyde-releasers)」と呼ばれる防腐剤が存在することです8。これらの成分は、製品のライフサイクルを通じて持続的に防腐効果を発揮する一方で、消費者が意図せずホルムアルデヒドに曝露される原因となり得ます。

科学的に指摘される懸念

ホルムアルデヒドの健康への影響については、長年にわたり広範な科学的研究が行われてきました。

  • 発がん性: 最も深刻な懸念は発がん性です。世界保健機関(WHO)の専門組織である国際がん研究機関(IARC)は、数多くの疫学研究と動物実験の結果を評価し、ホルムアルデヒドを「ヒトに対して発がん性がある(Group 1)」と明確に分類しています2。これは、アスベストやたばこの煙と同じ、最もリスクが高いカテゴリーです。特に、職業的に高濃度のホルムアルデヒドに曝露される人々において、鼻の奥に発生する「鼻咽頭がん」との間に十分な証拠があると結論付けています2。さらに、血液のがんである「白血病(特に骨髄性白血病)」との関連についても、「強いが十分ではない証拠」があると指摘しており、リスクの可能性が示唆されています9
  • アレルギー・皮膚刺激: ホルムアルデヒドは、シックハウス症候群の原因物質の一つとしても知られており、強力なアレルギー誘発物質(アレルゲン)です10。皮膚に接触することで、赤み、かゆみ、発疹などを伴うアレルギー性接触皮膚炎を引き起こすことが報告されています11

ホルムアルデヒド放出剤を含む製品からのホルムアルデヒド曝露量はごく微量ですが、長期的な使用や、複数の製品を併用することによる累積的な影響については、依然として科学的な議論が続いています。

国内外の規制状況

日本: 厚生労働省の「化粧品基準」では、ホルムアルデヒドそのものの配合は、一部の例外を除き原則として禁止されています(ネガティブリスト収載)6。しかし、ホルムアルデヒド放出剤の使用は、防腐剤としてポジティブリストに収載されているものがあり、制限下で許可されています12。ただし、これらの成分から遊離するホルムアルデヒドが、製品の安全性に問題ないレベルに管理されていることが、製造販売業者の責任として求められます。
EU: EUの化粧品規則では、ホルムアルデヒド及びその放出剤の使用はより厳しく制限されています。製品中に遊離ホルムアルデヒドが0.05% (500 ppm) を超えて含まれる可能性がある場合、製品ラベルに「ホルムアルデヒドを含む(contains formaldehyde)」という警告表示を義務付けています。これにより、消費者はリスクを認識した上で製品を選択できます。この規制の違いは、消費者が知らないうちにホルムアルデヒドに曝露される可能性があるという点で、重要な論点です。日本の製品には警告表示義務がないため、消費者は成分表示を自ら確認する必要があります。

成分表示での確認名

ホルムアルデヒドそのものが記載されることは稀ですが、以下の放出剤が成分リストに含まれていないか確認することが重要です。

  • クオタニウム-15 (Quaternium-15)8
  • DMDMヒダントイン (DMDM Hydantoin)8
  • イミダゾリジニル尿素 (Imidazolidinyl Urea)8
  • ジアゾリジニル尿素 (Diazolidinyl Urea)8
  • ブロノポール (Bronopol)8

2. パラベン類 (Parabens)

概要と主な用途

パラベン(パラオキシ安息香酸エステル)は、1920年代から使用されている歴史の長い防腐剤です13。安価でありながら、幅広い種類の微生物(細菌やカビ)に対して高い防腐効果を発揮するため、化粧水、乳液、クリーム、ファンデーション、シャンプーなど、非常に多くの化粧品に利用されてきました7

科学的に指摘される懸念

パラベンの安全性については、特に「内分泌かく乱作用」の観点から長年にわたり議論が続いています。

  • 内分泌かく乱作用: パラベンは、体内で女性ホルモンであるエストロゲンと似た働きをする可能性(エストロゲン様作用)が指摘されています7。この作用は、パラベンの化学構造(アルキル鎖)の長さと相関することが科学的に示されています。具体的には、メチルパラベンやエチルパラベンのような「短鎖」パラベンは、その作用が非常に弱いと考えられています。一方で、プロピルパラベンやブチルパラベンのような「長鎖」パラベンは、より強いエストロゲン様作用を持つことが確認されています14。このため、科学的なリスク評価では、すべてのパラベンを同等に扱うのではなく、種類ごとにそのリスクを区別して考えることが重要です。
  • 安全性評価の国際的動向: 欧州委員会の専門機関である消費者安全科学委員会(SCCS)は、パラベンの安全性について継続的に評価を行っています。2023年12月に発表された最新の最終意見書では、内分泌かく乱作用に関する懸念を考慮した上で、メチルパラベンは化粧品に単独で最大0.4%、複数のエステル類との混合で合計0.8%までの濃度であれば安全であると結論付けています3。また、ブチルパラベンについては、より作用が強いことを考慮し、最大0.14%までが安全な濃度であるとしています15。米国の化粧品成分審査委員会(CIR)も、化粧品に使用される濃度範囲でのパラベンの安全性は確認されているとの見解を示しています16

これらの専門機関の評価は、パラベンが種類と濃度によってリスクが異なることを明確に示しており、「パラベン=危険」という単純な二元論ではない、科学的で nuanced(ニュアンスに富んだ)な理解の重要性を物語っています。

国内外の規制状況

日本: 「化粧品基準」では、パラベン類(パラオキシ安息香酸エステル類)は、防腐剤として合計で1.0%まで配合することが許可されています6。日本の規制の大きな特徴は、メチルパラベンのような作用の弱いものから、ブチルパラベンのような作用の比較的強いものまで、種類を区別せず「合計量」で一括りに管理している点です。
EU: EUでは、SCCSの科学的評価に基づき、パラベンの種類ごとに異なる配合上限値を設定しています13

  • メチルパラベン、エチルパラベン: それぞれ単独で0.4%まで、混合の場合は合計で0.8%まで。
  • プロピルパラベン、ブチルパラベン: それぞれ単独で0.14%まで、混合の場合も合計で0.14%まで。

この規制の違いは、消費者にとって重要な意味を持ちます。例えば、プロピルパラベンとブチルパラベンをそれぞれ0.1%ずつ、合計0.2%配合した製品は、日本の規制(合計1.0%以下)では合法ですが、EUの規制(合計0.14%以下)では違反となります。このように、日本の規制は、内分泌かく乱作用がより強いとされる長鎖パラベンに対して、EUほど予防的なアプローチを取っていないと言えます。

成分表示での確認名

製品ラベルの全成分表示で、以下の名称を確認します。

  • メチルパラベン (Methylparaben)
  • エチルパラベン (Ethylparaben)
  • プロピルパラベン (Propylparaben)
  • ブチルパラベン (Butylparaben)7

3. フタル酸エステル類 (Phthalates)

概要と主な用途

フタル酸エステル類は、主にプラスチックを柔らかくするための可塑剤として広く使われている化学物質群です。化粧品においては、マニキュアの皮膜を柔軟にしたり、ヘアスプレーの仕上がりを固めすぎず自然にしたりする目的で使われます。また、より重要な用途として、香りを長持ちさせるための溶剤(担体)として「香料」の中に含まれている場合があります17。この場合、成分表示には「フタル酸」という名前が現れず、「香料」と一括で表示されるため、消費者がその存在を認識することは非常に困難です。

科学的に指摘される懸念

フタル酸エステル類は、代表的な内分泌かく乱物質として知られており、その健康への影響、特に生殖機能への毒性が広く研究されています。

  • 内分泌かく乱作用と生殖毒性: 複数の疫学研究や動物実験により、フタル酸エステル類への曝露がホルモンバランスを乱し、特に男性の生殖機能に悪影響を及ぼす可能性が強く示唆されています18。具体的には、精子の質の低下や、男性胎児の生殖器形成への影響などが懸念されています。また、女性においても、月経周期の異常や子宮の疾患、妊娠への影響など、幅広い生殖健康への関連が研究されています19。これらの作用は、フタル酸エステル類が体内でホルモンの働きを模倣したり、阻害したりすることによって引き起こされると考えられています。

国内外の規制状況

日本: 「化粧品基準」では、特に毒性が懸念されるフタル酸ジブチル(DBP)やフタル酸ジ(2-エチルヘキシル)(DEHP)などが「配合してはならない成分」(ネガティブリスト)に含まれており、意図的な配合は禁止されています6。しかし、このリストに含まれていない他のフタル酸エステル類の使用や、前述の通り「香料」の一部として微量に含有されるケースについては、規制が及ばず、消費者が情報を得ることも困難です。
EU: EUでは予防原則の考え方に基づき、日本よりも広範な種類のフタル酸エステル類が化粧品への使用を禁止されています4
企業方針: 消費者の懸念の高まりを受け、資生堂のように、自主的に製品およびパッケージへのフタル酸エステル類の使用を全面的に中止している企業も存在します4。これは、規制だけではカバーしきれないリスクに対し、企業が自主的な安全基準を設けて対応している例と言えます。

成分表示での確認名

特定のフタル酸エステル(フタル酸ジブチルなど)が直接表示されることは稀です。最大の注意点は、「香料 (Fragrance / Parfum)」という表示です8。この一言の裏に、フタル酸エステル類が隠れている可能性があります。「フタル酸フリー」や「Phthalate-Free」と明記している製品を選ぶことが、曝露を避けるための最も確実な方法の一つです。

4. PFAS(有機フッ素化合物)

概要と主な用途

PFAS(ペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物)は、炭素とフッ素の非常に強い結合を持つ人工の化学物質群の総称です。水や油をはじき、熱に強く、滑りを良くするなどの優れた特性を持つため、「奇跡の化学物質」として、フライパンのコーティングから泡消火剤、半導体の製造まで、極めて広範な工業製品に使用されてきました20。化粧品においては、ファンデーションや日焼け止めの伸びを良くしたり、ウォータープルーフ効果を高めたり、アイメイクや口紅のつきを長持ちさせたりする目的で、一部の製品に使用されています1

科学的に指摘される懸念

PFASの最大の問題点は、自然界でほとんど分解されず、環境や生物の体内に長く蓄積し続けることです。この性質から「永遠の化学物質 (Forever Chemicals)」と呼ばれています17

  • 健康への影響: 長期的な曝露による健康への影響が深刻に懸念されています。代表的なPFASであるPFOSとPFOAについては、以下のようなリスクが指摘されています。
    • 発がん性の可能性: IARCは、PFOAを「ヒトに対して発がん性がある可能性がある(Group 2B)」に分類しています1
    • 内分泌かく乱作用、免疫系への影響: ホルモンバランスを乱したり、免疫機能に影響を与えたりする可能性が研究で示されています1
    • 胎児・乳児への影響: 胎児の発育障害との関連性も指摘されています10

PFOSやPFOA以外の数千種類に及ぶ他のPFASについては、まだ研究が十分に進んでいませんが、同様の有害性を持つ可能性が懸念されています。

国内外の規制状況

PFASに対する規制は世界的に強化されていますが、国や地域によって大きな差があり、特に化粧品に特化した規制は始まったばかりです。
日本: 日本では、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)に基づき、PFOS、PFOA、そしてPFHxSの製造・輸入が原則禁止されています21。しかし、これは特定の物質に対する規制であり、数千種類あるPFAS全体を対象としたものではありません。化粧品への使用に特化したPFAS規制は、現時点(2025年)ではまだ導入されていません1。製品の製造過程で使用されるPFASの種類や含有量は表示義務の対象外であり、消費者が知ることは困難です1
海外の動向:

  • ニュージーランド: 2024年1月、世界で初めて国として化粧品へのPFASの使用を段階的に禁止すると発表しました1。これは、予防原則に基づいた画期的な動きです。
  • 米国: 連邦レベルでの包括的な規制はまだですが、カリフォルニア州やワシントン州など、複数の州が独自に化粧品へのPFAS使用を禁止または制限する法律を制定しています1
  • EU: REACH規則のもとで、PFAS全体を包括的に規制する提案がなされており、現在審議が進んでいます1

このように、世界の規制は「PFAS全体を一つのクラスとして規制する」方向に動いており、日本の対応は後追いになっているのが現状です1

成分表示での確認名

PFASを含む成分は、その名称に「フルオロ (fluoro)」や「パーフルオロ (perfluoro)」といった接頭語が含まれることが多いです。以下は、日本国内の化粧品で使用が確認されている、または可能性のあるPFAS関連成分の一例です。

  • ポリテトラフルオロエチレン (PTFE)1
  • パーフルオロヘキシルエチルトリエトキシシラン1
  • トリフルオロ酢酸テトラデシルアミノブチロイルバリルアミノ酪酸ウレア1
  • パーフルオロオクチルトリエトキシシラン14
  • パーフルオロノニルジメチコン14
  • パーフルオロデカリン14

5. 紫外線吸収剤 (UV Absorbers)

概要と主な用途

紫外線吸収剤は、日焼け止めやUVカット機能を持つ化粧下地、ファンデーションなどに配合される化学物質です。その名の通り、紫外線のエネルギーを吸収し、熱などの別のエネルギーに変換して放出することで、紫外線が皮膚の深層部に到達するのを防ぎます22。肌の上で白浮きしにくく、滑らかな使用感が得られるため、多くの製品で採用されています22。代表的な成分にオキシベンゾンやオクチノキサート(メトキシケイヒ酸エチルヘキシル)があります。

科学的に指摘される懸念

一部の紫外線吸収剤については、人体への影響と環境への影響の両面から懸念が示されています。

  • 内分泌かく乱作用の懸念:
    • オキシベンゾン (Oxybenzone / Benzophenone-3): 最も議論の多い成分の一つです。皮膚から吸収されやすく、体内に蓄積する性質が指摘されています22。実験室レベルの研究では、エストロゲン様作用や抗アンドロゲン作用など、内分泌系への影響が示唆されています22。妊娠中の使用が胎児の体重に影響する可能性や、神経系への毒性を指摘する研究もあります23。米国国立毒性プログラム(NTP)による動物実験では、高用量の曝露でラットの甲状腺や子宮に腫瘍の発生を示唆する「不確かな証拠」が見られたと報告されています5。これらの理由から、特にオキシベンゾンは避けるべきだとする専門家の意見もあります24
    • オクチノキサート (Octinoxate): こちらも内分泌かく乱作用が懸念され、EUでは安全性に関する再評価が進められています4
  • 環境(サンゴ礁)への影響: オキシベンゾンやオクチノキサートは、サンゴの白化現象を引き起こす一因となる可能性が指摘されています4。このため、ハワイ州、パラオ、タイの一部の国立公園など、環境保護意識の高い地域では、これらの成分を含む日焼け止めの販売や使用が禁止・制限されています4

国内外の規制状況

紫外線吸収剤は、その有効性と安全性のバランスから、各国でポジティブリスト制度(使用できる成分と最大配合量を定めたリスト)によって厳しく管理されています。
日本: 「化粧品基準」の別表第4にポジティブリストが定められています6

  • オキシベンゾン(表示名称: ベンゾフェノン-3): 最大配合量 10%
  • オクチノキサート(表示名称: メトキシケイヒ酸エチルヘキシル): 最大配合量 20%

EU: 日本と同様にポジティブリストで管理されていますが、配合上限値が異なる場合があります。

  • オキシベンゾン: 最大配合量 6%
  • オクチノキサート: 最大配合量 10%

このように、同じ成分でも日本の方がEUよりも高い濃度での配合が許可されているケースがあり、規制の厳格さに違いが見られます。

成分表示での確認名

  • オキシベンゾン: ベンゾフェノン-3, Benzophenone-323
  • オクチノキサート: メトキシケイヒ酸エチルヘキシル, Ethylhexyl Methoxycinnamate25
  • その他、名前に「ベンゾン」「サリチル酸」「メトキシケイヒ酸」などが付く成分25

6. アルキル硫酸塩 (Alkyl Sulfates)

概要と主な用途

アルキル硫酸塩は、合成界面活性剤の一種で、優れた洗浄力と豊かな泡立ちを特徴とします4。代表的な成分に、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)とラウレス硫酸ナトリウム(SLES)があります。シャンプー、ボディソープ、洗顔フォーム、歯磨き粉など、主に「洗い流す」タイプの製品に広く使用されています7。水と油を混ぜ合わせることで、皮脂や汚れを効率的に浮かせて洗い流す役割を担います。

科学的に指摘される懸念

主な懸念は、その強力な洗浄力に起因する皮膚への刺激性です。

  • 皮膚刺激とバリア機能の破壊:
    • ラウリル硫酸ナトリウム (SLS): 特に洗浄力・脱脂力が強く、皮膚への刺激性が高いことで知られています26。皮膚の最も外側にある角質層は、ケラチンというタンパク質でできていますが、SLSにはこのタンパク質を変性させる作用があります。この作用により、皮膚が本来持っているバリア機能(水分の保持や外部刺激からの保護)が損なわれ、乾燥、肌荒れ、赤みなどを引き起こす可能性があります7。敏感肌の人が避けるべき成分の筆頭として挙げられることも少なくありません26
    • ラウレス硫酸ナトリウム (SLES): SLSの刺激性を緩和するために改良された成分です。SLSに比べると皮膚への刺激はマイルドですが、それでも敏感な肌にとっては刺激となる可能性があります。
  • 発がん性の誤解: かつてインターネット上で「SLSは発がん性がある」という情報が広まりましたが、WHO、IARC、EUなどの主要な公的機関は、SLSやSLESを発がん性物質として分類しておらず、この説を裏付ける明確な科学的証拠はありません4

国内外の規制状況

SLSやSLESは、その刺激性が認識されているものの、洗い流す製品に使用した場合の安全性は確認されているとして、日本、EU、米国いずれにおいても、化粧品への配合量に特別な法的規制は設けられていません4。ただし、資生堂のように、企業によっては刺激を最小限に抑えるために使用量を自主的に調整したり、よりマイルドな洗浄成分を代替として使用したりする動きも見られます4

成分表示での確認名

  • ラウリル硫酸Na (Sodium Lauryl Sulfate, SLS)27
  • ラウレス硫酸Na (Sodium Laureth Sulfate, SLES)7
  • ラウリル硫酸アンモニウム (Ammonium Lauryl Sulfate)4

7. BHAとBHT (BHA and BHT)

概要と主な用途

BHA(ブチルヒドロキシアニソール)とBHT(ジブチルヒドロキシトルエン)は、製品の品質劣化を防ぐために使用される合成の酸化防止剤です23。化粧品に含まれる油分やビタミン類などが、空気中の酸素によって酸化し、変色したり異臭を放ったりするのを防ぐ役割があります。口紅、クリーム、乳液、ヘアオイルなど、油性成分を多く含む製品に主に使われます23

科学的に指摘される懸念

BHAとBHTについては、内分泌かく乱作用や発がん性の可能性が指摘されており、科学的な評価が続けられています。

  • BHA (ブチルヒドロキシアニソール):
    • 発がん性の可能性: IARCはBHAを「ヒトに対して発がん性がある可能性がある(Group 2B)」に分類しています。また、米国カリフォルニア州のプロポジション65リストでは「既知の発がん性物質」として記載されています4
    • 内分泌かく乱作用: EUでは、内分泌かく乱物質の評価優先リストに含まれ、検証が進められています4。生殖機能への悪影響も懸念されています8
  • BHT (ジブチルヒドロキシトルエン):
    • 内分泌かく乱作用: BHAと同様に、EUでは内分泌かく乱物質の評価優先リストに含まれ、安全性の検証が続けられています4
    • その他の毒性: 長期間の使用による甲状腺、肝臓、腎臓への影響や、皮膚アレルギー、脱毛の可能性を指摘する報告もあります23

これらの懸念から、資生堂や一部のブランドでは、自主的にBHAの使用を中止しています4

国内外の規制状況

日本: BHTについては、化粧品への配合制限はありません。BHAは、食品添加物としては厳しく制限されていますが、化粧品への使用は法的には禁止されていません。しかし、その安全性への懸念から、実際に化粧品に使用されることは稀です。
EU: BHA、BHTともに化粧品への配合は許可されていますが、安全性に関する評価が継続的に行われています4。今後の評価結果によっては、規制が強化される可能性があります。

成分表示での確認名

  • BHA, ブチルヒドロキシアニソール
  • BHT, ジブチルヒドロキシトルエン23

8. エタノールアミン類 (Ethanolamines)

概要と主な用途

エタノールアミン類は、ジエタノールアミン(DEA)、トリエタノールアミン(TEA)、モノエタノールアミン(MEA)などの化学物質の総称です。化粧品では、製品のpH(酸性・アルカリ性の度合い)を調整したり、水と油を混ぜ合わせる乳化剤や乳化安定剤として、クリーム、ローション、シャンプー、染毛剤などに広く使用されています28。コカミドDEAのように、洗浄成分や泡立ちを良くする成分として配合されることもあります。

科学的に指摘される懸念

エタノールアミン類自体の毒性は比較的低いとされていますが、製品に含まれる他の成分と反応して、より毒性の高い物質を生成する可能性が大きな懸念点となっています。

  • 発がん性物質(ニトロソアミン)の生成: DEAやTEAは、製品中に共存する亜硝酸塩などのニトロソ化剤と反応して、「ニトロソアミン」という強力な発がん性物質を生成する可能性があります8。ニトロソアミンはIARCによってヒトへの発がん性が指摘されている物質群であり、皮膚からも吸収されることが知られています29。動物実験では、ニトロソアミンの一種であるNDEAが肝臓がんや腎臓腫瘍を引き起こすことが示されています29
  • 臓器毒性・生殖毒性: DEAについては、動物実験で肝臓や腎臓への蓄積や、男性の生殖機能への悪影響(精子の構造変化)が報告されています29

国内外の規制状況

ニトロソアミン生成のリスクから、特にDEAに対する規制は国際的に厳しくなっています。
日本: 現時点では、DEA、TEA、MEAともに化粧品への配合を直接制限する法規制はありません。
EU: ニトロソアミン生成のリスクを重視し、DEAの化粧品への使用を禁止しています29。TEAについては、配合できる濃度や共存させてはならない成分など、厳しい使用条件が定められています。
この点においても、日本の規制はEUに比べて緩やかであり、消費者が潜在的なリスクに晒される可能性があると言えます。

成分表示での確認名

以下の名称が成分リストに含まれていないか確認することが推奨されます。

  • DEA, ジエタノールアミン28
  • TEA, トリエタノールアミン12
  • コカミドDEA (Cocamide DEA)8
  • ラウラミドDEA (Lauramide DEA)8
  • MEA, モノエタノールアミン

9. タール色素 (Coal Tar Dyes)

概要と主な用途

タール色素は、かつて石炭を乾留して得られるコールタールを原料として製造されていたことから、その名が付けられました。現在では、その多くが石油製品を原料として合成されています。非常に鮮やかな色を出すことができ、安定性も高いため、口紅、アイシャドウ、チークなどのメイクアップ製品や、染毛剤の着色料として広く使用されています23。日本の成分表示では「赤色〇号」「黄色〇号」のように、「色+番号」で表記されます。

科学的に指摘される懸念

一部のタール色素には、発がん性やアレルギー誘発性の懸念が指摘されています。

  • 発がん性: 最も懸念されるのは発がん性です。原料であるコールタール自体は、IARCによって「ヒトに対して発がん性がある(Group 1)」に分類されています8。タール色素の中には、動物実験で発がん性が確認されたものや、構造的に発がん性が疑われるものがあります。このため、食品添加物としては使用が禁止されているにもかかわらず、皮膚に直接塗布する化粧品には使用が許可されている色素が存在します30
  • アレルギー: タール色素は、皮膚炎やじんましんなどのアレルギー反応を引き起こす原因となることがあります25
  • 国際的な規制の違い: ある国では安全とされて使用が許可されている色素が、別の国では毒性や危険性が懸念されて使用が禁止されている、というケースが少なくありません25。これは、各国の安全評価基準や考え方の違いによるものであり、消費者を混乱させる一因となっています。

国内外の規制状況

タール色素は、その安全性への懸念から、各国で厳格なポジティブリスト制度によって管理されています。使用できる色素の種類、純度、使用できる製品の部位(粘膜、毛髪、爪など)が法律で細かく定められています。
日本: 厚生労働省の省令「医薬品等に使用することができるタール色素を定める省令」に基づき、化粧品に使用できる色素が定められています6。例えば、「赤色219号」や「黄色204号」は、爪や髪に使用する製品にしか配合できません6
EU・米国: 日本と同様にポジティブリストで管理されていますが、許可されている色素の種類や規格は日本のものと完全に一致するわけではありません。

成分表示での確認名

  • 赤色〇号、黄色〇号、青色〇号、緑色〇号 など25
  • 例:赤202, 黄4, 青1

10. 重金属類 (Heavy Metals)

概要と主な用途

鉛、カドミウム、水銀、ヒ素、アルミニウム、クロムなどの重金属類は、化粧品に意図的に配合されることは通常ありません。しかし、鉱物由来の天然原料(マイカ、酸化チタン、酸化鉄など)に不純物として含まれていたり、製造過程で偶発的に混入したりする可能性があります23。唯一の例外はアルミニウムで、一部の制汗剤(アルミニウム塩として)や、着色料(アルミニウムレーキとして)に意図的に使用されることがあります18

科学的に指摘される懸念

微量であっても、重金属類は人体に有害な影響を及ぼす可能性があります。

  • 鉛 (Lead): 特に毒性が高いことで知られています。神経毒性があり、体内に蓄積しやすい性質を持ちます。子供の発達中の脳に深刻なダメージを与える可能性があり、少量でも問題となります17。妊娠中の女性が曝露した場合、胎児に影響を及ぼすリスクも指摘されています23。口紅などの製品から、意図せず摂取してしまう可能性が懸念されます。
  • アルミニウム (Aluminum): 制汗剤やアイメイク、口紅などに使用されます18。神経毒性や発がん性(特に乳がんとの関連)について長年議論されていますが、現在のところ、化粧品の使用による健康リスクについて、科学的なコンセンサスは得られていません18。しかし、さらなる研究が必要とされています。
  • その他の重金属: カドミウムやヒ素は発がん性物質として知られ、水銀は強い神経毒性を持ちます。

国内外の規制状況

重金属類は、その高い毒性から、不純物として化粧品に含まれる量について、各国で厳しい上限値が設定されています。製造販売業者は、原料の品質管理と最終製品の検査を通じて、これらの基準を遵守する責任があります4
日本: 「化粧品基準」の総則において、「保健衛生上の危険を生じるおそれがある物」の配合を禁じており、これには有害な重金属類が含まれます31。企業は、原料の供給源を厳選し、不純物を継続的に監視する自主的な管理体制を敷いています4
EU・カナダ: 重金属の不純物に対して、具体的な上限値を設けるなど、非常に厳しい規制を課しています。

成分表示での確認名

鉛やカドミウムなどの有害重金属が成分リストに記載されることはありません。これらは管理されるべき不純物だからです。アルミニウムは、以下のような名称で表示されることがあります。

  • Al, アルミニウム18
  • 水酸化Al, 酸化Al
  • アルミニウム・ジルコニウム化合物8

第2部:日本の規制と世界の動向 – 私たちは十分に守られているか?

化粧品の安全性は、各国の法規制によって担保されています。しかし、その規制のあり方は国によって異なり、特に新しい科学的知見への対応速度には大きな差が見られます。この部では、日本の化粧品規制の枠組みを概観し、国際的な動向と比較することで、日本の消費者が置かれている現状と課題を浮き彫りにします。

日本の「化粧品基準」:その仕組みと限界

日本の化粧品の安全性は、主に医薬品医療機器等法(旧薬事法)に基づき、厚生労働省が定める「化粧品基準」によって規律されています6。この基準は、2001年の規制緩和を機に導入され、それまでの個別承認制度から、事業者の責任において安全性を確保する制度へと大きく転換しました32。化粧品基準の主な柱は以下の通りです。

  • ネガティブリスト制度: 化粧品への配合を禁止する成分を定めたリスト(別表第1)です6。ここには、医薬品成分や特定の化学物質(第一種特定化学物質など)、その他毒性が明確な物質が含まれます31。リストに掲載されている成分以外は、原則として事業者の責任で配合できることになります。
  • ポジティブリスト制度: 特定の目的で使用される成分群について、使用できる成分の種類と配合量の上限を定めたリストです。防腐剤(別表第3)、紫外線吸収剤(別表第4)、タール色素がこれに該当します6。このリストに載っていない成分を、これらの目的(防腐、UV吸収、着色)で使用することはできません。

この制度の根底には、「リストにない成分については、製造販売業者が自らの責任で安全性を立証し、保証する」という考え方があります32。これは事業者の自由度を高める一方で、消費者は事業者の倫理観と技術力に安全性を委ねることになります。

欧米の規制との比較:予防原則から見える日本の課題

日本の規制と欧米、特にEUの規制を比較すると、安全性に対するアプローチに根本的な違いが見えてきます。そのキーワードが「予防原則(Precautionary Principle)」です。予防原則とは、「科学的な不確実性が存在する状況であっても、深刻かつ不可逆的な損害の恐れがある場合には、予防的な措置を講じるべきである」という考え方です。EUの化学物質規制は、この原則に強く根ざしています。一方で、日本の規制は、科学的に有害性がほぼ確定した後に対応する「追随型」の傾向が強いと指摘されています33。この違いが、具体的な成分の規制内容に表れています。

  • PFAS(有機フッ素化合物)の規制に見る対応の遅れ: 第1部で詳述した通り、ニュージーランドは世界で初めて化粧品へのPFAS使用を全面的に禁止し、米国の一部の州やEUも厳しい規制に向けて動いています1。これらは、PFASクラス全体の潜在的なリスクを重視した予防的な措置です。対照的に、日本では化粧品に特化したPFAS規制はまだ始まっておらず、国際的な潮流から取り残されている状況です1。この「規制の遅れ(Regulatory Lag)」は、新たな健康懸念が浮上した化学物質に対して、日本の消費者が他国の消費者よりも長く曝露され続けるリスクがあることを意味します。
  • パラベン類の規制に見るリスク評価の深度の違い: EUでは、科学的知見に基づき、内分泌かく乱作用がより強いとされる長鎖パラベン(プロピル、ブチル)に対して、短鎖パラベン(メチル、エチル)よりも厳しい配合上限値を設定しています15。これは、リスクの大きさに応じて規制内容を細かく調整する、科学的で精緻なアプローチです。一方、日本の「化粧品基準」では、すべてのパラベンを「合計1.0%」という一つの枠で管理しており、個々のリスクの違いが規制に反映されていません34
  • 予防原則の具体例: デンマークでは、EU全体の規制に先んじて、3歳以下の子供向け製品への一部のパラベン(プロピル、ブチル)の使用を独自に禁止しました18。これは、感受性が高い乳幼児を保護するための、まさに予防原則に基づいた判断です。

このように、日本の規制が十分に機能している側面がある一方で、国際基準、特に予防原則の観点から見ると、消費者の保護が万全とは言えない課題が存在することも事実です。

「無添加」「オーガニック」表示の落とし穴

消費者がより安全な製品を求めて手にする「無添加」や「オーガニック」といった表示。しかし、これらの言葉が必ずしも安全性を保証するものではないことを理解しておく必要があります。

  • 「無添加」の曖昧な定義: 驚くべきことに、日本には「無添加化粧品」に関する明確な法的定義が存在しません28。これは、メーカーが「自社が独自に定めた特定の成分を配合していない」というだけで、「無添加」と表示できることを意味します。例えば、かつてアレルギーの原因として問題になった「旧表示指定成分」102種類を配合していないだけで「無添加」と謳う製品もあれば、単に「パラベン無添加」や「香料無添加」を意味する場合もあります12。消費者がイメージする「化学物質が一切入っていない」という意味とは大きくかけ離れているケースがほとんどです。
  • 見えない成分「キャリーオーバー」: さらに問題を複雑にしているのが、「キャリーオーバー成分」の存在です25。キャリーオーバーとは、原料を抽出したり、品質を安定させたりするために使用された成分が、最終製品にごく微量残存するものの、表示義務が免除されている成分のことです。例えば、ある植物エキスを抽出する際に防腐剤としてパラベンが使用された場合、そのエキスを配合した最終製品が「パラベンフリー」と表示されていても、実際には微量のパラベンがキャリーオーバーとして含まれている可能性があります25。透明性の高いメーカーは、こうしたキャリーオーバー成分についても情報を公開していますが、法的な義務はないため、多くの場合は消費者の知るところとなりません。

これらの事実から、「無添加」や「オーガニック」といった言葉は、品質保証のラベルというよりも、消費者の安全志向に応えるためのマーケティング戦略の一環として機能している側面が強いと言えます。言葉のイメージに惑わされず、全成分表示を自らの目で確認する姿勢が不可欠です。

第3部:消費者としてのアクションプラン – 明日からできる安全な製品選び

これまでの科学的分析と規制の現状を踏まえ、この最終部では、消費者がより安全な化粧品を主体的に選ぶための具体的な行動計画を提案します。ゼロリスクは存在しませんが、知識を武器にすることで、リスクを最小限に抑えることは可能です。

実践ガイド:全成分表示を読み解く

日本の化粧品は、2001年から全成分表示が義務付けられています32。このリストこそが、製品の正体を知るための最も信頼できる情報源です。

  • 基本ルールを理解する:
    • 配合量の多い順に記載: 成分は、配合量の多いものから順に記載されています。リストの最初の方に書かれている成分ほど、その製品の主成分であると言えます。
    • 1%以下の成分は順不同: 配合量が1%以下の成分については、順不同で記載することが許可されています32。したがって、リストの後半に記載されている成分の配合順位は、必ずしも実際の配合量を反映しているわけではありません。
    • 「香料」「着色料」の一括表示: 香料や着色料は、個々の成分名ではなく、「香料」や「赤色〇号」といった形でまとめて表示されることが多く、その中にどのような化学物質が含まれているかを知ることは困難です25
  • チェックリストの活用: 化学名は複雑で覚えにくいため、本レポートで後述する「避けるべき成分名チェックリスト」をスマートフォンで撮影したり、メモしたりして、買い物の際に参照することをお勧めします。
【表2】避けるべき成分名チェックリスト
注意すべき化学物質群 成分表示名(日本語 / INCI名) 特に注意すべき製品タイプ
ホルムアルデヒド放出剤 クオタニウム-15, DMDMヒダントイン, イミダゾリジニル尿素, ジアゾリジニル尿素, ブロノポール 全ての製品(特に洗い流さない製品)
パラベン類(特に長鎖型) プロピルパラベン (Propylparaben), ブチルパラベン (Butylparaben) 全ての製品(特に洗い流さない製品、乳幼児向け製品)
フタル酸エステル類 「香料」 (Fragrance/Parfum) との表示に注意(フタル酸フリーの記載がない場合) 香りのある製品全般、マニキュア、ヘアスプレー
PFAS(有機フッ素化合物) ポリテトラフルオロエチレン (PTFE), パーフルオロ~, ~フルオロ~ ウォータープルーフ製品、ファンデーション、化粧下地
紫外線吸収剤(懸念成分) オキシベンゾン / ベンゾフェノン-3, メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 日焼け止め、UVカット機能のある化粧下地・ファンデーション
エタノールアミン類 DEA / ジエタノールアミン, TEA / トリエタノールアミン, コカミドDEA クリーム、ローション、シャンプー、染毛剤
BHA BHA / ブチルヒドロキシアニソール 口紅、クリーム、乳液(現在は使用が稀)

具体的なステップ:より安全な化粧品を選ぶために

1. まずは避けるべき「トップ5」成分を覚える

10の化学物質群すべてを一度に覚えるのは困難です。まずは、特にリスクが明確であったり、国際的に議論が活発であったりする以下の5つのグループから意識することをお勧めします。

  1. ホルムアルデヒド放出剤: IARCによる明確な発がん性評価(Group 1)があるため。
  2. 長鎖パラベン(プロピル/ブチル): EUでより厳しい規制が敷かれている内分泌かく乱作用の懸念から。
  3. PFAS: 「永遠の化学物質」としての蓄積性と、国際的な規制強化の流れから。
  4. オキシベンゾン: 内分泌かく乱作用と環境への影響の両面から懸念が強いため。
  5. フタル酸エステル類: 「香料」という表示に隠れている可能性があり、内分泌かく乱作用が懸念されるため。

2. 製品タイプ別のリスク評価

すべての製品で同じレベルの厳格さを求める必要はありません。製品がどのように使われるかによって、リスクの大きさは変わります。

  • 洗い流す製品 (Rinse-off): シャンプー、洗顔料、ボディソープなど。肌との接触時間が短いため、成分が体内に吸収されるリスクは比較的低いと考えられます。ただし、ラウリル硫酸Na(SLS)のような強力な界面活性剤は、短時間でも肌のバリア機能を損なう可能性があるため、敏感肌の場合は注意が必要です4
  • 洗い流さない製品 (Leave-on): 化粧水、美容液、クリーム、ファンデーションなど。肌への接触時間が長く、一日中肌の上に留まるため、成分が経皮吸収されるリスクが高まります。防腐剤や紫外線吸収剤など、懸念される成分については、このカテゴリーの製品で特に慎重に選ぶべきです18
  • 粘膜に使用する製品: 口紅、リップクリーム、アイライナーなど。唇や目の周りの皮膚は非常に薄く、吸収率が高い部位です。また、口紅は食事の際に意図せず口から摂取してしまう可能性があります。そのため、タール色素や重金属(不純物として)など、毒性が懸念される成分には最大限の注意を払うべきです6

3. 信頼できる情報源の活用法

断片的な情報に惑わされず、信頼性の高い一次情報にアクセスする習慣をつけましょう。

  • 公的機関: 厚生労働省、日本の国立環境研究所(NIES)、国際がん研究機関(IARC)、世界保健機関(WHO)、EUの消費者安全科学委員会(SCCS)などのウェブサイトは、客観的で科学的な情報を提供しています。
  • 企業の成分ポリシー: 資生堂のウェブサイトのように、自社の製品に使用する成分や、使用しない成分に関する方針を詳細に公開している企業もあります4。こうした透明性の高い企業姿勢は、製品を選ぶ上での一つの信頼の指標となり得ます。

4. シンプルな成分構成の製品を選ぶ

必ずしも「成分が多い=高機能で良い製品」とは限りません。むしろ、成分の種類が多いほど、予期せぬアレルギーや皮膚刺激のリスクは高まります18。また、有効成分よりも、製品のテクスチャーや安定性を保つための添加物の方が多く配合されているケースも少なくありません18。特に敏感肌の場合や、原因不明の肌トラブルに悩んでいる場合は、できるだけ成分構成がシンプルな製品を選んでみることが、リスクを減らすための一つの有効なアプローチです。

結論:美しさと健康を両立させるための科学的アプローチ

本レポートを通じて、化粧品に含まれる潜在的に有害な化学物質について、その科学的背景から国内外の規制状況、そして具体的な消費者としてのアクションプランまでを包括的に分析してきました。重要なことは、化学物質に対して過度な恐怖心を抱くのではなく、科学的根拠に基づいてその「リスク」を冷静に評価する視点を持つことです。完璧に「安全」な製品や「ゼロリスク」は存在しません。天然由来の成分であっても、アレルギーを引き起こす可能性はあります。美しさを追求することは、私たちの生活に豊かさと喜びをもたらします。その追求が、自らの健康や将来の世代、そして地球環境を犠牲にするものであってはなりません。本レポートで提供した知識とツールが、読者の皆様一人ひとりが、美しさと健康、その両方を賢明に選択するための羅針盤となることを願ってやみません。最終的に求められるのは、情報を鵜呑みにするのではなく、自分自身のリスク許容度を理解し、主体的に製品を選び取るという、科学的で自律した姿勢なのです。そのためには、今後も信頼できる情報源から学び続けることが不可欠です。

よくある質問

Q1: 「天然由来成分」「植物由来成分」なら100%安全ですか?
A1: 安全とは限りません。天然由来や植物由来の成分でも、人によってはアレルギー反応を引き起こす可能性があります(例:ウルシ科の植物エキスなど)。また、天然原料は産地や収穫時期によって品質にばらつきが出やすく、不純物(重金属や農薬など)が混入するリスクもゼロではありません。安全性は「天然か合成か」で決まるのではなく、成分そのものの性質と、その純度や品質管理によって決まります。
Q2: 子供用の化粧品は大人用より安全に作られていますか?
A2: 法的には、子供用化粧品と大人用化粧品に明確な区別や特別な安全基準は設けられていません。しかし、多くのメーカーは子供の皮膚がデリケートであることを考慮し、刺激の少ない成分を選んだり、アレルギーテストを実施したりするなど、自主的な配慮を行っています。ただし、デンマークが3歳以下の子供向け製品に一部のパラベンを禁止したように18、より感受性の高い層への配慮が求められるという考え方もあります。最終的には、大人用と同様に全成分表示を確認することが重要です。
Q3: このレポートで挙げられた成分を避ければ、化粧品のリスクは完全になくなりますか?
A3: リスクをゼロにすることはできません。化粧品には、ここで取り上げた以外にも数多くの化学物質が使用されており、個人の体質によっては予期せぬ反応が起こる可能性は常にあります。このレポートの目的は、現在科学的に特に懸念が指摘されている成分を理解し、それらを避けることで「リスクを大幅に低減する」ことにあります。新しい研究によって、今後新たなリスクが発見される可能性もあります。継続的に信頼できる情報を得て、自分に合わないと感じた製品は使用を中止することが、最も基本的な安全対策です。
免責事項
この記事は情報提供のみを目的としており、専門的な医学的アドバイスを構成するものではありません。健康上の懸念がある場合や、ご自身の健康や治療に関する決定を下す前には、必ず資格のある医療専門家にご相談ください。

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