かかとのひび割れ:原因・全治癒ガイド・効果的な予防法を専門家が徹底解説
皮膚科疾患

かかとのひび割れ:原因・全治癒ガイド・効果的な予防法を専門家が徹底解説

かかとのひび割れは、見た目の問題だけでなく、時に痛みを伴い、日常生活に支障をきたすこともあるつらい症状です1。特に乾燥が厳しい冬や、素足になる機会が増える夏に向けて、多くの方がこの悩みを抱えています。しかし、適切な知識とケアで、この問題は改善・予防が可能です。この記事は、JAPANESEHEALTH.ORG編集部が、複数の皮膚科専門医の医学的知見及び公開されている診療ガイドラインに基づき、かかとのひび割れの根本原因から、ご自宅でできる徹底的なセルフケア、医療機関での専門的治療、そして再発を防ぐための効果的な予防法まで、科学的根拠を基に包括的に解説します。この記事を読むことで、あなたは自身の症状を正しく理解し、すこやかで美しい足元を取り戻すための具体的な道筋を見つけることができるでしょう。

要点まとめ

  • かかとのひび割れの最大の原因は「乾燥」ですが、外的刺激、生活習慣、水虫(足白癬)や糖尿病などの基礎疾患も深く関わっています23
  • ケアの基本は、尿素やワセリンなどを含む保湿剤による徹底的な「保湿」です。入浴後の清潔な肌に塗るのが最も効果的です14
  • 角質ケアは、硬くなった角質を優しく除去するのに有効ですが、「削りすぎ」は逆効果になるため、頻度と方法を守ることが重要です5
  • 痛みが強い、出血がある、セルフケアで改善しない、または糖尿病などの基礎疾患がある場合は、自己判断せず速やかに皮膚科専門医に相談することが不可欠です6

1. かかとのひび割れとは?症状の段階とセルフチェック

1.1. かかとの皮膚構造とひび割れが起こるメカニズム

足の裏、特にかかとの皮膚は、体の他の部分とは異なる特徴を持っています。最も大きな違いは、皮脂を分泌する「皮脂腺」がないことです2。これにより、自ら潤いを保つ能力が低く、非常に乾燥しやすい状態にあります。さらに、体重を支え、歩行時の衝撃を吸収するため、皮膚の最も外側にある「角層」が全身で最も厚くなっています。この厚い角層も、乾燥や絶え間ない圧力、摩擦にさらされることで柔軟性を失い、硬化していきます。硬くなった角層は、歩行などの動きに追従できなくなり、やがて亀裂、すなわち「ひび割れ」が生じてしまうのです7。健康な皮膚の生まれ変わり(ターンオーバー)が乱れることも、古い角質が溜まりやすくなる一因となります。

1.2. ひび割れのサインと症状の進行度

かかとのひび割れは、多くの場合、段階的に進行します。ご自身の症状がどの段階にあるかをセルフチェックすることが、適切なケアの第一歩です。

  • 初期症状: かかと全体が乾燥し、白っぽく粉をふいたようになります。細かく浅い亀裂が見られ始めますが、この段階では痛みはほとんどありません。
  • 中等度の症状: 亀裂がより明確で深くなり、皮膚がめくれ、赤みが見えることがあります。歩いたり、体重がかかったりすると、チクチクとした軽い痛みを伴う場合があります。
  • 重度の症状: ひび割れが角層の下の真皮にまで達し、深く「ぱっくり」と割れた状態になります。出血や強い痛みを伴い、歩行が困難になることもあります。この状態を放置すると、亀裂から細菌が侵入し、感染症を引き起こす危険性が高まります7。兆候としては、ひび割れの周りが赤く腫れる、熱を持つ、膿が出るなどが挙げられます。

1.3. 医療機関を受診すべき危険なサイン

ほとんどのかかとのひび割れはセルフケアで改善が期待できますが、以下のような危険なサインが見られる場合は、自己判断を避け、速やかに皮膚科を受診してください。

  • セルフケアを2週間以上続けても、症状が全く改善しない、あるいは悪化している1
  • ひび割れが深く、出血を伴う。
  • 痛みが強く、歩行などの日常生活に支障が出ている5
  • ひび割れの周囲に赤み、腫れ、熱感、膿など、感染症が疑われる症状がある。
  • 糖尿病、末梢血管障害、免疫不全などの基礎疾患がある方。これらの疾患を持つ方は、小さな傷から重篤な感染症に進行するリスクが高いため、特に注意が必要です。

2. なぜ起こる?かかとのひび割れの多様な原因

2.1. 最大の原因「乾燥」:環境要因と内的要因

かかとのひび割れの最大の引き金は、皮膚の水分不足、すなわち「乾燥」です。これは、外的要因と内的要因の組み合わせによって引き起こされます。外的要因としては、湿度が低い冬の空気、エアコンや床暖房などの暖房器具の使用が挙げられます28。特に日本の住宅で一般的な床暖房は、足元から直接水分を奪いやすいため注意が必要です。内的要因には、加齢による皮膚の水分保持能力の低下や、体質、水分摂取不足などがあります。これらの要因が組み合わさることで、皮膚の乾燥状態である「皮脂欠乏症」が引き起こされ、ひび割れに至ります9

2.2. 「外的刺激」と「生活習慣」:摩擦・圧力・血行不良

日常生活における物理的な刺激も、かかとの角質を硬化させ、ひび割れを誘発する大きな原因です。サイズの合わない靴や、クッション性の低い硬い靴、ヒールの高い靴は、かかとに過剰な圧力や摩擦を与えます5。また、長時間の立ち仕事や、硬いフローリングの床を素足で歩く習慣も同様のリスクを伴います。さらに、冷え性などによる血行不良は、皮膚細胞に必要な栄養や酸素を届けにくくし、皮膚のターンオーバーを乱す原因となります1。これにより、古い角質が剥がれ落ちずに蓄積し、角質肥厚とひび割れを招いてしまうのです。

2.3. 「水虫(足白癬)」:かゆくないタイプに要注意

かかとの頑固なガサガサや角質肥厚が、実は水虫の一種である「角質増殖型足白癬」である可能性も少なくありません3。このタイプの水虫は、一般的な水虫のように強いかゆみを伴わないことが多く、単なる乾燥だと思い込んで放置されがちです。しかし、白癬菌という真菌が角層に寄生して増殖することで、角質が厚く硬くなり、結果としてひび割れを引き起こします10。自己判断で保湿ケアだけを続けていても改善しない場合は、この可能性を疑い、皮膚科で真菌検査(顕微鏡で菌の有無を確認する検査)を受けることが非常に重要です。

2.4. 「基礎疾患」との関連:糖尿病・皮膚疾患など

特定の内科的疾患や皮膚疾患が、かかとのひび割れの原因となる、あるいは症状を悪化させることがあります。最も注意が必要なのは糖尿病です。糖尿病の合併症である神経障害により、足の感覚が鈍くなったり、汗の分泌が減少して皮膚が乾燥しやすくなったりします。また、血流障害は、皮膚の治癒能力を低下させ、小さな亀裂から潰瘍などの深刻な足病変(糖尿病足病変)に進行するリスクを高めます11。その他にも、乾癬やアトピー性皮膚炎、掌蹠膿疱症といった皮膚疾患が、かかとの角化やひび割れを引き起こすことがあります12

3. 自宅でできる!かかとのひび割れ徹底ケアガイド

3.1. 基本の「保湿ケア」:正しい保湿剤の選び方と使い方

かかとのひび割れ対策の根幹は、何よりも「保湿」です1。保湿剤を正しく選び、効果的に使用することが改善への近道です。保湿剤には様々な成分があり、それぞれの特徴を理解すると良いでしょう。

  • 尿素: 硬くなった角質を柔らかくする作用(角質溶解作用)と、水分を引き寄せて保持する作用を併せ持ちます7。ひび割れケアの第一選択肢の一つです。
  • ワセリン: 皮膚の表面に油分の膜を作り、水分の蒸発を防ぐことで皮膚を保護します。刺激性が低く、ひび割れが深い場合にも使いやすいのが特徴です5
  • ヘパリン類似物質: 高い保湿効果と血行促進作用、抗炎症作用を併せ持つ成分で、医療用としても広く使われています。
  • セラミド: 角層細胞のすき間を埋め、皮膚のバリア機能を維持する重要な成分です。

保湿剤を塗る最も効果的なタイミングは、入浴後10分以内の、皮膚がまだ潤っている状態です19。清潔なかかとに、保湿剤を優しくマッサージするように擦り込まず、たっぷりと塗り広げます。夜寝る前に保湿剤を塗った後、綿や絹などの通気性の良い靴下を履くと、保湿成分が浸透しやすくなり効果的です1。特に乾燥がひどい場合は、保湿剤を塗った上から食品用ラップを巻いて数分間置く「ラップパック」もスペシャルケアとして有効です1

3.2. 「角質ケア」の正しい知識:削るべき?頻度は?

厚く硬くなった角質は、保湿剤の浸透を妨げるため、適度な角質ケアは有効です。しかし、その方法と頻度を誤ると、かえって皮膚を傷つけ、症状を悪化させる可能性があります5。やすりや軽石を使う場合は、必ず入浴などで皮膚を十分に柔らかくしてから、一方向に優しく動かしてください。痛みを感じるほど強く削ったり、毎日行ったりするのは禁物です。角質を削りすぎると、皮膚の防御反応でさらに角質が厚くなろうとすることがあります。無理に角質を剥がしたり、ハサミで切ったりする行為は絶対にやめましょう1

3.3. 「入浴法」の見直し:洗いすぎず、温めて血行促進

日々の入浴習慣も、かかとの状態に影響します。熱すぎるお湯(42℃以上)や長時間の入浴は、皮膚の保湿に必要な皮脂まで奪ってしまい、乾燥を助長します13。お湯の温度はぬるめ(38~40℃)に設定し、ゴシゴシと強く洗うのは避け、保湿成分が配合された洗浄剤をよく泡立てて優しく洗いましょう14。入浴は血行を促進する良い機会ですが、入浴後は皮膚から水分が急速に失われるため、すぐに保湿ケアを行うことが何よりも重要です9。また、足の冷えが気になる場合は、足湯も血行促進に効果的です15

3.4. 「履物と靴下」の選び方:かかとを守る工夫

かかとにかかる負担を軽減するため、履物の見直しは非常に重要です。自分の足のサイズや形に合った、衝撃吸収性の高い靴を選びましょう。ヒールが高すぎる靴や、足先が窮屈な靴は避けるべきです2。夏場にサンダルを履く機会が多い方も注意が必要です。かかとが直接外部にさらされるため、乾燥や刺激を受けやすくなります2。靴下は、汗をよく吸収し、通気性の良い綿や絹などの天然素材がおすすめです。足を清潔で乾燥した状態に保つことが、水虫などのトラブル予防にも繋がります。最近では、保湿成分を配合した特殊な靴下も市販されています16

3.5. 「食生活」と「生活習慣」の改善:内側からのケア

皮膚の健康は、体の中から作られます。健康な皮膚のターンオーバーを維持するためには、バランスの取れた食生活が不可欠です。特に、皮膚や粘膜の健康を保つビタミンA、抗酸化作用のあるビタミンCやビタミンE、皮膚の再生に関わる亜鉛、そして良質なたんぱく質や脂質を十分に摂取することを心がけましょう15。また、十分な睡眠、ストレス管理、適度な運動は、全身の血行を促進し、ホルモンバランスを整え、正常なターンオーバーをサポートします1

4. 市販薬(OTC医薬品)の上手な活用法

4.1. 尿素配合クリーム:濃度と効果、選び方のポイント

ドラッグストアなどで購入できる市販薬(OTC医薬品)の中で、かかとのひび割れに最もよく使われるのが尿素配合クリームです。尿素は、硬くなった角質(タンパク質)を分解して柔らかくする作用と、水分を角層内に取り込んで保持する保湿作用を併せ持ちます。市販の製品には尿素濃度が10%のものと20%のものがあり、一般的に、角質が非常に硬くなっている場合は20%のものが推奨されます4。複数の臨床研究で、特に糖尿病患者の足の乾燥や亀裂に対して、尿素配合クリームの有効性が示されています1718。ただし、深いひび割れや傷のある部分に塗ると、強い刺激を感じることがあるため注意が必要です。

4.2. ワセリン・その他の保湿剤:特徴と使い分け

ワセリンは、皮膚の表面に膜を張って水分の蒸発を防ぐ「エモリエント効果」に優れた成分です。化学的に安定しており、アレルギーや刺激のリスクが非常に低いため、敏感肌の方や深いひび割れがある場合でも安心して使用できます5。ただし、ワセリン自体に水分を与える効果はないため、入浴後など皮膚に水分が残っている状態で塗るか、他の保湿成分(ヒアルロン酸やグリセリンなど)と併用するのが効果的です。最近の研究では、基本的な保湿剤(エモリエント)療法が皮膚乾燥症(乾皮症)の管理に幅広い臨床的利益をもたらすことが、システマティックレビューによっても確認されています19

4.3. ひび割れ保護・治療用絆創膏(ハイドロコロイドなど)

ひび割れが深くなり、痛みを伴う場合には、保護・治療用の絆創膏が役立ちます。特にハイドロコロイド素材の絆創膏(「キズパワーパッド」などの製品で知られています)は、傷口から出る体液(滲出液)を吸収してゲル化し、傷を治すのに最適な湿潤環境を保つ効果があります5。これにより、痛みを和らげ、外部の刺激や細菌から傷口を守り、皮膚の自然治癒を促進します。また、塗るタイプの「液体絆創膏」も、小さなひび割れを保護するのに便利ですが、深い傷や出血している部位には使用できないことが多いので、製品の注意書きをよく確認してください14

5. 専門医による治療:皮膚科では何をする?

5.1. 皮膚科受診のタイミングと診断プロセス

セルフケアで1ヶ月程度試しても改善が見られない場合や、先に述べた「危険なサイン」が見られる場合は、迷わず皮膚科を受診しましょう2。皮膚科では、まず問診で症状の経過や生活習慣、基礎疾患の有無などを詳しく聞き取ります。次に視診でひび割れの状態を詳しく観察します。もし水虫が疑われる場合は、その場でかかとの角質を少量採取し、顕微鏡で白癬菌の有無を調べる「直接鏡検(KOH法)」という検査を行います10。これにより、原因が乾燥なのか、水虫なのかを正確に診断することができます。

5.2. 処方される主な薬剤(塗り薬・飲み薬)

診断に基づき、症状に応じた薬剤が処方されます。

  • 保湿剤: 市販品よりも高濃度の尿素製剤や、高い保湿効果を持つヘパリン類似物質などが処方されます9
  • ステロイド外用薬: ひび割れに伴い、炎症(赤み、かゆみなど)が強い場合に、その炎症を抑えるために処方されます。
  • 抗真菌薬: 水虫が原因と診断された場合に処方されます。通常は塗り薬が基本ですが、角質増殖型のように薬剤が浸透しにくい場合は、飲み薬(内服薬)が必要になることもあります20
  • 角質溶解薬: サリチル酸ワセリンなど、非常に硬くなった角質を積極的に柔らかくするための塗り薬が用いられることもあります。

5.3. 皮膚科で行われる処置(角質除去など)

症状によっては、医師や看護師による専門的な処置が行われることがあります。例えば、分厚くなりすぎた角質を、医療用の器具を使って安全に削り取る処置(デブリードマン)などです7。これは自己処理とは異なり、皮膚の状態を正確に見極めながら行われるため、安全かつ効果的です。また、深い亀裂が開かないように、特殊なテープで固定する処置(Strapping)が行われることもあります7

健康に関する注意事項

  • この記事で提供される情報は、一般的な知識の提供を目的としており、個別の医学的診断や治療に代わるものではありません。
  • かかとのひび割れに関して、特に痛みが強い、出血がある、感染の兆候が見られる、または糖尿病などの基礎疾患をお持ちの場合は、自己判断でケアを続けるのではなく、必ず皮膚科専門医にご相談ください。

6. 【特に注意】糖尿病患者さんのかかとケア

糖尿病をお持ちの方は、かかとのひび割れを含む足のトラブルに最大限の注意を払う必要があります。糖尿病の三大合併症である「神経障害」「網膜症」「腎症」に加え、「足病変」は非常に重要です。神経障害により足の感覚が鈍くなると、傷があっても気づきにくくなります。また、血流障害は、傷の治りを悪くし、免疫力の低下は感染症にかかりやすくさせます。このため、かかとの小さなひび割れが、気づかないうちに重篤な潰瘍や壊疽に進行してしまう危険性があるのです21。米国皮膚科学会(AAD)などの専門機関は、糖尿病患者のための詳細なフットケアガイドラインを推奨しています14。尿素を含む保湿剤が糖尿病患者の足の乾燥や亀裂改善に有効であるという研究報告もあります17

糖尿病患者さんのフットケアの基本は、毎日自分の足を観察し、「洗う・乾かす・保湿する」というサイクルを徹底することです。小さな変化も見逃さず、異常を感じたらすぐに主治医や皮膚科医に相談してください。

– 日本糖尿病学会および関連医療機関の一般的な推奨事項に基づく

7. かかとのひび割れを繰り返さない!効果的な予防法

つらいひび割れが改善した後、その良い状態を維持し、再発を防ぐためには、日々の地道な予防ケアが何よりも重要です。治療で学んだことを、ぜひ生活習慣の一部として取り入れましょう。

  • 毎日の保湿習慣: 症状がなくても、入浴後には必ずかかとを保湿する習慣を続けましょう1
  • 適切な角質ケア: 角質が硬くなってきたと感じたら、削りすぎないよう注意しながら、週に1〜2回程度の優しい角質ケアを行います。
  • 足に合った靴選び: かかとに負担をかけない、クッション性の良い靴を選び、足を締め付けないようにしましょう。
  • バランスの取れた食事と水分補給: 皮膚の健康に必要な栄養素を意識的に摂取し、体の内側からも潤いを保ちます。
  • 生活環境の整備: 特に冬場は、加湿器などを使って室内の湿度を適切(50〜60%が目安)に保つ工夫をしましょう。

よくある質問 (FAQ)

かかとのひび割れはどのくらいで治りますか?
症状の重症度やケアの方法によって大きく異なります。初期の軽い乾燥や浅い亀裂であれば、毎日の適切な保湿ケアで1〜2週間程度で改善が見られることが多いです。一方、深く割れて痛みを伴うような重度の場合は、改善に1ヶ月以上かかることもあります。もし水虫や他の皮膚疾患が原因の場合は、その治療が完了するまで時間はさらにかかります。セルフケアを2週間続けても改善の兆しが見られない場合は、皮膚科専門医に相談することをお勧めします1
尿素クリームは毎日使っても大丈夫ですか?副作用は?
尿素クリームは、基本的に毎日使用して問題ありません。ただし、濃度が高い製品(20%など)は、人によっては刺激を感じることがあります。特に、ひび割れて出血していたり、炎症を起こしていたりする部分に塗ると、しみるような痛みを感じることがあるため、そのような場合は使用を避けるか、より刺激の少ないワセリンなどに切り替えるのが賢明です4。長期使用における重大な副作用の報告は稀ですが、使用中に赤みやかゆみ、刺激感が続くようであれば、使用を中止し医師や薬剤師に相談してください。
子供のかかともひび割れますか?ケア方法は大人と同じ?
子供の皮膚は大人よりも薄くデリケートですが、ひび割れが起こることはあります。特に、裸足で遊ぶことが多い、乾燥した環境にいるなどの場合に起こりやすいです。ケアの基本は大人と同じく「保湿」ですが、使用する製品は子供の敏感な肌にも使える、低刺激性のものを選んであげてください。尿素などの角質を柔らかくする成分は、子供には刺激が強すぎる可能性があるため、まずはワセリンやセラミド配合の保湿剤などから試すのが良いでしょう。症状が改善しない場合や、ひどく痛がる場合は、小児科または皮膚科に相談してください。
水虫だった場合、家族にうつさないためにはどうすればいいですか?
水虫の原因である白癬菌は、感染者の皮膚から剥がれ落ちた角質(垢)の中に潜んでおり、これを他の人が素足で踏むことなどで感染が広がります。家族への感染を防ぐためには、まず、足ふきマットやスリッパ、爪切りなどを共用しないことが最も重要です20。お風呂から上がった後は、足をよく乾かし、すぐに自分のタオルで水分を拭き取ってください。また、白癬菌は湿った環境を好むため、浴室や脱衣所をこまめに掃除し、乾燥させておくことも大切です。そして何よりも、感染している本人が皮膚科で適切な治療をしっかりと受けることが、家族を守る一番の方法です。
特定のかかとの部分だけが繰り返し割れるのはなぜですか?
特定の部分だけが繰り返しひび割れる場合、その部分に集中的に圧力がかかっている可能性があります。これは、歩き方の癖(例:重心が外側にかかる)や、足に合っていない靴、特定の立ち仕事の姿勢などが原因と考えられます。インソール(中敷き)を使用して足裏にかかる圧力のバランスを調整したり、靴を見直したりすることで改善する場合があります。また、稀にタコ(胼胝)やウオノメ(鶏眼)の下にひび割れが隠れていることもあります。原因がはっきりしない場合は、一度皮膚科医に相談し、足の状態を診てもらうことをお勧めします。

結論

かかとのひび割れは、多くの人が経験するありふれた悩みですが、その背後には乾燥から生活習慣、さらには病気まで多様な原因が隠されています。本記事で解説したように、まずはご自身の症状と原因を正しく理解し、日々の「保湿」を中心とした丁寧なセルフケアを実践することが、改善への最も重要な一歩です。角質ケアや入浴法、履物の見直しといった少しの工夫が、大きな違いを生むこともあります。しかし、セルフケアには限界があることも忘れてはなりません。痛みが強い、出血がある、長期間改善しないといった場合は、ためらわずに専門家の力を借りてください。正しい知識を身につけ、ご自身の足と向き合うことで、すこやかで快適な毎日を取り戻しましょう。

免責事項
この記事は医学的アドバイスに代わるものではなく、症状がある場合は専門家にご相談ください。

参考文献

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