【専門医監修】妊娠中の性行為:不安解消と安全な知識Q&Aでスッキリ解決
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【専門医監修】妊娠中の性行為:不安解消と安全な知識Q&Aでスッキリ解決

妊娠は、女性の人生において最も喜ばしく、そして同時に多くの変化と不安をもたらす時期です。特に、妊娠中の性生活というデリケートな問題については、「赤ちゃんに影響はない?」「流産や早産のリスクは?」といった疑問や心配を抱え、パートナーとどう向き合えば良いか悩んでいる方も少なくありません。多くのカップルが、確かな情報がないまま性生活を控えたり、逆に不安を抱えながら関係を持ったりしているのが現状です12。この記事は、JAPANESEHEALTH.ORG編集部が、国内外の産婦人科医や主要な医療機関の最新の指針に基づき、そうした皆様の不安を解消し、安全な知識を提供するために作成しました。医学的根拠に基づいた正しい情報を得ることで、安心してマタニティライフを送り、パートナーとの大切な絆を育む一助となれば幸いです。

要点まとめ

  • 基本的には安全: 妊娠経過が順調であれば、妊娠中の性行為は母子ともに安全です。胎児は羊水や子宮、粘液栓によってしっかり守られています34
  • 流産・早産との関連は低い: 多くの医学研究では、正常な妊娠において性行為が流産や早産の直接的な原因となる証拠はないとされています。初期の流産のほとんどは胎児の染色体異常が原因です5
  • 避けるべきケースを知ることが重要: 出血、前置胎盤、切迫早産など、医師から安静の指示が出ている場合は、性行為は絶対に避けるべきです46。個別の状況については必ず医師に確認してください。
  • コンドームの使用を推奨: パートナーが固定であっても、性感染症(STI)の予防や、精液に含まれるプロスタグランジンによる子宮収縮の誘発を防ぐため、コンドームの使用が強く推奨されます。これは日本の専門学会からの重要な勧告でもあります78
  • コミュニケーションが鍵: 体調や気持ちの変化についてパートナーと率直に話し合い、お互いを尊重することが、心身ともに満たされた関係を維持するために不可欠です1

妊娠中のセックス、本当に大丈夫?基本の理解とよくある誤解

多くの妊婦さんが抱く最大の疑問は、「妊娠中の性行為は、本当にお腹の赤ちゃんにとって安全なのか?」という点です。結論から言うと、妊娠経過が順調で、医師から特別な注意を受けていない限り、妊娠中の性行為は安全であるというのが、米国家産婦人科学会(ACOG)3、英国国民保健サービス(NHS)9、そして日本の多くの産婦人科医1011に共通する見解です。

赤ちゃんは安全?子宮内の保護メカニズム

自然は、子宮内の赤ちゃんを非常によく保護する仕組みを備えています。性行為が赤ちゃんに直接的な害を及ぼさない理由は、この精巧なバリアにあります34

  • 羊水(ようすい): 赤ちゃんは羊水の満たされた羊膜嚢(ようまくのう)の中に浮かんでいます。この羊水が衝撃を吸収するクッションの役割を果たします。
  • 強靭な子宮筋: 厚く強力な子宮の筋肉が、外部からの物理的な影響を防ぎます。
  • 頸管粘液栓(けいかんねんえきせん): 子宮の入り口である子宮頸管は、妊娠中は粘液の栓で固く閉じられています。これが細菌などの病原体が子宮内に侵入するのを防ぐバリアとなります。

これらの保護機能により、性行為中にペニスが赤ちゃんに直接触れたり、傷つけたりすることは物理的に不可能です。

よくある心配事と医学的な真実 (Q&A形式で)

具体的な心配事について、医学的な見地から一つひとつ解説していきます。

Q1: 妊娠中のセックスで流産しますか?
いいえ、ほとんどの場合、直接の原因にはなりません。特に妊娠初期(~12週)に起こる流産の約80%は、受精卵自身の染色体異常など、胎児側の要因によるものとされています3。これは、お母さんの行動とは無関係に起こる、自然淘汰のプロセスの一部と考えられています。2025年に発表された臨床関連の scoping review でも、11の研究(1991年~2023年)を分析した結果、ほとんどの研究(8/11件)で性行為と早産との間に関連性は認められませんでした5。ただし、医師から切迫流産(流産しかかっている状態)と診断されている場合や、性器出血がある場合は、子宮収縮を誘発する可能性のある行為は避けるべきです。
Q2: オーガズムは赤ちゃんに危険ですか?
いいえ、危険ではありません。オーガズムによって子宮が軽く収縮することがありますが、これは通常、短時間で一過性のものです。正常な妊娠経過の場合、この程度の収縮が陣痛につながったり、赤ちゃんに害を及ぼしたりすることはありません1011。むしろ、リラックス効果をもたらすこともあります。ただし、切迫早産のリスクが高いと診断されている場合は、オーガズムによる強い子宮収縮も避けるべきと指導されることがあります。
Q3: 赤ちゃんはパパやママの行為を見ていますか・感じていますか?
いいえ、赤ちゃんが性行為そのものを「見て」いたり、何が起きているかを「理解」したりすることはありません1012。子宮の中は暗く、赤ちゃんの世界は羊水に包まれています。お母さんの心音が速くなったり、オーガズムによって子宮が穏やかに揺れたりするのを感じるかもしれませんが、それは不快なものではなく、むしろ心地よい揺れと感じる可能性さえあります。
Q4: 挿入は赤ちゃんに直接当たりますか?
いいえ、絶対にありません。前述の通り、赤ちゃんは子宮頸管、粘液栓、羊膜、そして羊水によって何重にも守られています。ペニスが到達できるのは腟の奥までであり、固く閉じた子宮頸管を越えて赤ちゃんに触れることは不可能です4

妊娠中のセックスのメリットと潜在的なリスク

安全性が確認された上で、妊娠中の性生活はカップルにとっていくつかの利点をもたらす可能性があります。しかし、同時に知っておくべきリスクも存在します。

精神的・身体的なメリットとは?

医師の許可があり、カップル双方が望む場合、性行為は単なる肉体的な行為以上の意味を持ちます。

  • パートナーとの絆を深める: 妊娠による身体的・精神的な変化の中で、親密な時間を共有することは、お互いの愛情やサポートを再確認し、絆を強める助けとなります13
  • ストレス軽減とリラックス効果: オーガズムによってエンドルフィンやオキシトシンといった「幸せホルモン」が分泌され、心身のリラックス、ストレスの軽減、そして安眠につながることがあります14
  • 身体的なメリット: 骨盤底筋の運動になったり、妊娠後期には血圧を安定させる効果がある可能性も指摘されています14。また、妊娠中は骨盤周りの血流が増加するため、より強いオーガズムを感じる女性もいます。

知っておくべき主なリスクと予防策

メリットがある一方で、リスク管理は不可欠です。特に以下の3つのリスクについては、正しい知識と予防策が求められます。

リスク1:性感染症 (STI) の感染

妊娠中は免疫機能が変化するため、カンジダ腟炎などを含め、感染症にかかりやすくなることがあります6。性感染症(クラミジア、淋病、ヘルペス、HIVなど)は、母体だけでなく、胎児の健康に深刻な影響(早産、低体重、先天性感染など)を及ぼす可能性があります15

予防策: パートナーが一人であっても、妊娠が確定してからの性行為ではコンドームを正しく使用することが極めて重要です。これにより、新たな感染症のリスクをほぼ完全に防ぐことができます。また、妊娠初期の検診でSTIのスクリーニングを受けることも大切です。

リスク2:早産・前期破水

これは多くの妊婦さんが最も心配するリスクの一つです6。精液にはプロスタグランジンという子宮収縮を促す物質が含まれており、これが陣痛を誘発するのではないかという懸念があります10。また、オーガズムによる強い子宮収縮や、感染症が早産の引き金になる可能性も理論的には考えられます。
しかし、最新の医学研究では、妊娠リスクが低い女性において、これらの要因が早産につながるという明確な証拠は見つかっていません5。むしろ、いくつかの研究では保護的な効果(妊娠期間を延長する可能性)さえ示唆されています5

予防策: ここでもコンドームの使用が有効な対策となります。精液が直接子宮頸管に触れるのを防ぐことができるからです8。また、お腹に強い圧迫をかけたり、激しい動きをしたりすることは避け、もしお腹の張りや痛みを感じたらすぐに中断し、休むことが重要です。

リスク3:出血や感染(STI以外)

妊娠中はホルモンの影響で子宮頸管が充血し、非常にデリケートになっています。そのため、わずかな刺激で少量の出血(接触出血)が起こることがあります4。また、腟内の常在菌のバランスが崩れると、細菌性腟症などを引き起こすこともあります。

予防策: 性行為の前後は、お互いにシャワーを浴びるなどして清潔を保ちましょう。挿入は優しく行い、腟内を傷つけないように注意が必要です。もし性行為後に出血が続く、量が多い、または腹痛を伴う場合は、すぐに医療機関に連絡してください。

時期別アドバイス:妊娠初期・中期・後期・臨月の注意点

妊娠期間は、大きく初期・中期・後期の3つに分けられます。それぞれの時期で、母体の状態や注意すべき点は異なります610

1. 妊娠初期(~15週)の性行為

つわりや眠気、だるさなどで性欲が減退する女性が多い時期です。また、胎盤がまだ不安定で流産のリスクが相対的に高いことから、日本の医療機関の中には、この時期の性行為は慎重になるか、控えるように指導するところもあります6。パートナーの体調と気持ちを最優先し、もし行う場合でも、お腹に負担のかからない体位で、優しく行うことが大切です。出血や腹痛がある場合は、絶対にやめてください。

2. 妊娠中期(16週~27週)の性行為

一般的に「安定期」と呼ばれ、つわりが落ち着き、体調も安定してきます。胎盤もしっかりと完成し、多くの女性が心身ともに最も快適に過ごせる時期です。性欲が戻ってくることも多く、医師の許可があれば、適切な注意を払いながら性生活を楽しむのに適した時期と言えるでしょう10。ただし、お腹が少しずつ大きくなってくるため、腹部を圧迫しない体位を選ぶ工夫が必要になります。

3. 妊娠後期(28週~39週)の性行為

お腹がかなり大きくなり、体の動きが制限される時期です。少しの動きでも息切れしたり、腰痛を感じたりすることもあります。性行為を行う場合は、お腹を圧迫せず、女性が体勢をコントロールしやすい体位(後背位、座位、側臥位など)を選ぶことが不可欠です1016。また、この時期はお腹が張りやすくなるため、少しでも張りや痛みを感じたらすぐに中断し、安静にしてください。早産のリスクがわずかでもある場合は、特に慎重な判断が求められます。

4. 臨月(36週~)の性行為と「陣痛ジンクス」

「臨月に性行為をすると陣痛が来る」という、いわゆる「陣痛ジンクス」を聞いたことがあるかもしれません。これは、精液に含まれるプロスタグランジンが子宮頸管を熟化させ、オーガズムによる子宮収縮が陣痛を誘発する可能性がある、という医学的根拠に基づいています10。実際に、予定日を過ぎた妊婦さんに対して、陣痛促進の一つの方法として医師が勧めるケースも海外ではあります。
しかし、これはあくまで「陣痛の準備が整っている」状態での話です。日本の産婦人科診療ガイドラインでは、この方法を積極的に推奨してはいません7。自己判断で行うのは危険が伴います。もし試してみたい場合は、必ず事前にかかりつけの医師に相談し、許可を得てからにしましょう。感染予防のため、コンドームの使用と清潔の維持は臨月においても必須です。

【重要】性行為を絶対に避けるべきケース

以下のいずれかに当てはまる場合、母体と胎児の安全を最優先し、妊娠期間中の性行為は完全に避けるべきです。これは、米国家産婦人科学会(ACOG)やメイヨー・クリニックなど、国際的な医療機関が共通して警告している事項です34。日本の臨床現場でも同様の指導が行われます611

  • 原因不明の性器出血がある場合: 出血は、前置胎盤や常位胎盤早期剥離など、危険な状態のサインである可能性があります。
  • 前置胎盤(ぜんちたいばん)・低置胎盤(ていちたいばん)と診断されている場合: 胎盤が子宮の出口を塞いでいる、または非常に近い位置にある状態です。性行為の刺激で大出血を引き起こす危険性が非常に高いです。
  • 切迫早産(せっぱくそうざん)または切迫流産(せっぱくりゅうざん)と診断されている場合: 子宮収縮を誘発するあらゆる行為を避ける必要があります。
  • 子宮頸管無力症(しきゅうけいかんむりょくしょう)と診断されている場合: 子宮の入り口が緩みやすく、早産のリスクが高い状態です。
  • 前期破水(ぜんきはすい)をしている、またはその疑いがある場合: 羊膜が破れて羊水が漏れ出ている状態です。細菌感染のリスクが極めて高くなります。
  • パートナーが性感染症(STI)に感染している、または感染の疑いがある場合: コンドームを使用しても、100%防げるわけではありません。妊娠中の感染は非常に危険なため、パートナーの治療が完了するまで性的な接触は避けるべきです。
  • その他、医師から安静の指示が出ている場合: 自己判断せず、必ず医師の指示に従ってください。

診察時に「性生活を送っても良いですか?」と直接聞きにくい場合は、「お風呂以外で何か生活上の制限はありますか?」と尋ねることで、医師から必要な指示を得やすくなります10

安全で快適なセックスのための具体的工夫

医師から許可が出た場合でも、妊娠中はいくつかの工夫が必要です。体位の選択、そして何よりも大切なコミュニケーションについて解説します。

5-1. おすすめの体位(ポジション)

基本原則は「お腹を圧迫しない」「女性が動きや深さをコントロールしやすい」「無理のない姿勢」の3点です101617

体位 説明
側臥位(そくがい) 女性が横向きになり、パートナーが後ろから挿入する。お腹への圧迫が全くなく、妊娠期間を通して最も推奨される体位の一つ。
後背位(こうはい) 女性が四つん這いになり、パートナーが後ろから挿入する。女性が自分の楽な角度に調整しやすい。
座位(ざい) パートナーが座り、女性がその上にまたがる。女性が挿入の深さやリズムを完全にコントロールできるため、安心感が高い。
スプーン位 お互いに横向きになり、抱き合うようにして挿入する。親密さを感じやすく、リラックスできる。

逆に、女性が仰向けになる正常位は、妊娠中期以降はお腹の重みで下大静脈という太い血管が圧迫され、気分が悪くなる(仰臥位低血圧症候群)可能性があるため、避けた方が良いでしょう。

5-2. コミュニケーションとパートナーの役割

妊娠中の性生活において、技術的な工夫以上に重要なのが、カップル間のコミュニケーションです。日本の調査でも、妊娠中にセックスレスになったカップルの理由として、「妻の体調を気遣って」「なんとなく」といった、すれ違いや気遣いからくるものが上位を占めています1。男性側も、どう接していいか分からず戸惑っていることが多いのです218

  • 気持ちを正直に伝える:「今日は疲れているから、ハグだけにしてほしい」「不安だから、優しくしてほしい」など、具体的な言葉で伝えましょう。「言わなくても分かってくれるはず」という期待は禁物です。
  • 感謝を忘れない: パートナーの気遣いや協力に対して、「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えることが、良好な関係を維持する上で非常に重要です。
  • 一緒に学ぶ: この記事のような信頼できる情報を二人で読み、知識を共有することも、不安の解消と相互理解につながります。

5-3. 性交以外の親密な触れ合い

性欲が湧かない、または体調が優れないときは、無理に性交にこだわる必要はありません。親密さは、性交だけで育まれるものではありません1011

  • オーラルセックス: 正常な妊娠では安全とされていますが、腟に息を吹き込む行為は絶対に避けてください。空気が血管に入り、生命に関わる「空気塞栓症」を引き起こす稀なリスクがあります710
  • アナルセックス: 腟と肛門は近いため、細菌が腟に移動して感染を引き起こすリスクがあります。もし行う場合は、ペニスや指、おもちゃなどを肛門から腟へ直接移動させないこと、そしてコンドームを交換することが必須です10
  • 乳首への刺激: 強い刺激はオキシトシンの分泌を促し、子宮収縮を引き起こす可能性があります。特に妊娠後期や早産リスクがある場合は、長時間の強い刺激は避けた方が賢明です10
  • その他の触れ合い: 手をつなぐ、キスをする、マッサージをし合う、抱き合って眠るなど、愛情のこもった触れ合いだけでも、十分に心のつながりを感じることができます。

健康に関する注意事項

  • この記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の医学的アドバイスに代わるものではありません。妊娠中の性生活に関する決定は、必ずかかりつけの産婦人科医に相談の上、その指導に従ってください。
  • 性行為中またはその後、お腹の強い張り、規則的な痛み、出血、破水感など、普段と違う症状が現れた場合は、直ちに性行為を中止し、速やかに医療機関に連絡してください。

よくある質問 (FAQ)

Q1: 性行為の後、少し出血しました。大丈夫でしょうか?
妊娠中は子宮頸管が充血しているため、少量の接触出血は起こり得ます4。通常は茶色やピンク色のおりもので、すぐに止まります。しかし、出血が鮮血である、量が多い、生理痛のような痛みを伴う、または出血が続く場合は、前置胎盤や早産など他の原因も考えられるため、すぐに医療機関に連絡してください。
Q2: 妊娠してから、まったく性欲がなくなりました。異常ですか?
全く異常ではありません。つわり、疲労感、ホルモンバランスの急激な変化、体形の変化への戸惑い、母親になることへの不安など、多くの要因が性欲の減退につながります1019。これは非常に個人的なもので、時期によっても変動します。罪悪感を感じる必要は全くありません。パートナーにその気持ちを正直に伝え、理解を求めることが大切です。
Q3: パートナーは一人ですが、それでもコンドームは必要ですか?
はい、強く推奨します。理由は2つあります。第一に、前述の通り、精液に含まれるプロスタグランジンによる子宮収縮の誘発を防ぐためです。第二に、妊娠中はカンジダなどの常在菌のバランスも崩れやすいため、感染予防の観点からも重要です78。日本の産婦人科診療ガイドラインでも、感染予防の観点からコンドームの使用が勧められています。
Q4: どのような症状があれば、すぐに医師に相談すべきですか?
以下の症状が一つでも見られた場合は、次の健診を待たずに、すぐに医療機関に連絡・受診してください46
・持続する、または量が増える性器出血
・規則的なお腹の張りや痛み(1時間に4回以上など)
・水っぽいおりもの(破水の可能性)
・強い腹痛や腰痛
・発熱
Q5: 腟内射精は避けるべきですか?
はい、コンドームを使用しない腟内射精は、妊娠全期間を通して避けるのが最も安全です810。プロスタグランジンによる子宮収縮リスクと、気づかないうちに感染症を媒介するリスクがあるためです。特に、早産のリスクがある場合や妊娠後期には、より慎重になるべきです。

結論

妊娠中の性行為は、多くのカップルにとって喜びであると同時に、不安の種にもなり得ます。最も重要なことは、医学的に正しい知識に基づき、個々の状況に応じて安全性を確保することです。妊娠経過が順調であれば、適切な配慮と工夫のもとで、性生活は母子ともに安全であり、パートナーとの絆を深める貴重な機会となり得ます。しかし、出血や切迫早産などのリスクがある場合は、ためらわずに休む勇気が必要です。
最終的な判断は、ご自身の体調と、かかりつけ医との相談に基づいて行ってください。この記事が、皆様の不安を和らげ、パートナーとオープンに話し合い、お互いを尊重し合える関係を築くための一助となることを心から願っています。

免責事項
この記事は医学的アドバイスに代わるものではなく、症状がある場合は専門家にご相談ください。

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