赤ちゃんのトイレトレーニング:専門家とママの完全ガイド(いつから?やり方・コツ・進まない時の対策まで)
小児科

赤ちゃんのトイレトレーニング:専門家とママの完全ガイド(いつから?やり方・コツ・進まない時の対策まで)

赤ちゃんのトイレトレーニング(トイトレ)は、子どもの成長における大切な一歩であると同時に、親子の絆を深める絶好の機会です。しかし、日本の多くの保護者の方々が「周りの子と比べてしまって焦る」「保育園からのプレッシャーを感じる」といった悩みや不安を抱えているのも事実です1。この記事では、最新の科学的知見と、実際にトイトレを成功させた先輩ママたちの貴重な経験談を融合させ、保護者の皆様が直面するあらゆる疑問に答えることを目指します。いつから始めるべきか、具体的な進め方、うまくいかない時の対処法まで、信頼できる情報を網羅的にお届けし、皆様が自信を持って、心に余裕をもってトイトレという旅路を歩めるよう、全力でサポートすることをお約束します。

要点まとめ

  • 開始時期は年齢より「サイン」重視:1歳半~3歳が一般的ですが、年齢で決めつけず、お子さん自身が示す身体的・認知的・情緒的な「準備完了のサイン」を見極めることが最も重要です2
  • 「叱らない・焦らない・比べない」が鉄則:トイトレは子どもの自主性を育むプロセスです。成功したら思いきり褒め、失敗しても決して叱らない、ポジティブで忍耐強い姿勢が成功への鍵となります1
  • 環境と心の準備が大切:子どもがトイレに親しみを持てるような楽しい環境作りと、親子双方の心の準備が不可欠です。便利なグッズも活用し、親子で楽しめる雰囲気を作りましょう3
  • 夜間は身体の成長が主役:夜のおむつ外れは、昼間とは別物です。夜間の排尿コントロールはホルモン分泌など生理的な発達が関わるため、焦らず、5~6歳を過ぎても続く場合は専門家への相談も視野に入れましょう4
  • 家庭と保育園の連携を密に:保育園に通っている場合は、ご家庭と園の方針や進捗状況を密に共有し、一貫したアプローチで子どもをサポートすることが、混乱を防ぎ、スムーズな移行を助けます5

1. トイレトレーニングの基礎知識

トイレトレーニングを成功させるためには、まずその本質を理解することが大切です。これは単なる技術の習得ではなく、子どもの心と体の発達に寄り添う教育的なプロセスです。

1.1. 赤ちゃんの排泄機能の発達

赤ちゃんの排尿や排便は、生まれてすぐは本人の意思とは関係なく起こる「反射」によるものです。しかし、成長とともに神経系や関連する筋肉が成熟することで、次第に膀胱や腸の動きを自分でコントロールする能力が備わってきます2。この生理的な発達は、機械的に教え込んで習得できるものではありません。米国小児科学会(AAP)なども指摘するように、子どもが身体的に準備できていない段階でトレーニングを始めても、効果がないばかりか、親子双方にとってストレスの原因となり得ます2。大切なのは、反射的な排泄から、自分の意思でコントロールする意識的な排泄へと移行する、子どもの自然な発達プロセスを理解し、尊重することです。

1.2. トイレトレーニングとは?目的と心構え

トイレトレーニングの真の目的は、単におむつを外すことではありません。子どもが自分自身の体のサインを認識し、自立してトイレを使えるようになるための「教育プロセス」です6。この経験を通じて、子どもは自分の体をコントロールする自信と、生活スキルを身につけ、大きな自己肯定感を得ることができます。
このプロセスに臨む保護者の心構えとして、最も重要なのは「忍耐強さ」「前向きな姿勢」、そして「他人と比較しない」ことです1, 7。子ども一人ひとり発達のペースは全く違います。周りの子が早くおむつが外れたからといって焦る必要は全くありません1。保護者がリラックスし、失敗を恐れずに温かく見守る姿勢こそが、子どもが安心して挑戦できる環境を作り出し、最終的な成功へと繋がるのです7

2. いつから始める?開始時期のサインと目安

「一体いつから始めればいいの?」これは多くの保護者が抱く最大の疑問でしょう。ここでは、一般的な時期の目安と、それ以上に大切な「子どもからのサイン」について詳しく解説します。

2.1. 一般的な開始時期

日本国内外の多くの情報源では、トイレトレーニングを開始する一般的な時期は1歳半から3歳頃とされています3。日本の調査でも、2歳代でトレーニングを開始する家庭が多いというデータが見られます8。ただし、これはあくまで目安です。AAPのような専門機関も、特定の年齢を推奨するのではなく、子ども個々の準備状況(レディネス)を重視するよう強調しています2

2.2. 赤ちゃんからの準備完了サイン

年齢という数字よりもはるかに重要なのが、お子さん自身が発する「準備ができたよ」というサインです。これらのサインは、身体、認知、そして心の3つの側面から観察することができます2

サインの種類 具体的なサイン
体(身体的サイン) – おしっこの間隔が2時間以上空く、または昼寝後におむつが濡れていないことがある2
– 一人でしっかりと歩け、座ったり立ったりできる2
– 簡単な衣服(ズボンなど)を自分で上げ下げしようとする2
– うんちの時間が比較的規則的になってきた2
知能・言葉(認知的・言語的サイン) – 「おしっこ取ってきて」のような簡単な指示を理解し、従える2
– 言葉やジェスチャー、表情で「おしっこ」「うんち」といった排泄の意思を伝えようとする、またはおむつが濡れている不快感を知らせる2
– 大人がトイレを使うことに興味を示す、おまるや便座に座りたがる2
– 大人の行動を真似したがる傾向がある2
心・社会性(情緒的・社会的サイン) – 濡れたおむつや汚れたおむつを不快に感じ、替えてほしがるそぶりを見せる2
– 「自分でやりたい」という自立心が芽生え、何でも自分で試したがる2
– 親を喜ばせたい、褒められることを好む気持ちが見られる2
– 極端なイヤイヤ期(第1次反抗期)の最中ではなく、比較的協力的な姿勢が見られる2

2.3. 開始時期を見極める際の注意点

すべての子どもに当てはまる「完璧なタイミング」は存在しません。子どもの個性を尊重することが何よりも大切です1。また、家庭内に大きな変化がある時期(引越し、第二子の出産など)や、子ども自身が病気のときなどは、トレーニングを開始するのを避けるべきです9。これらのストレスは、子どもの学習プロセスに悪影響を及ぼす可能性があります。
季節も考慮すべき点の一つです。特に日本では、衣服が薄着で洗濯もしやすい春や夏に開始する家庭が多い傾向にあります3
さらに、保育園や幼稚園からのプレッシャーも無視できない問題です。一部の施設では、進級などを理由におむつ外れを期待されることがあります10。しかし、大切なのは園のスケジュールではなく、お子さん自身の準備状況です。保護者は園と積極的に対話し、子どものペースを最優先に考え、協力体制を築いていくことが求められます1

3. 準備編:トイレトレーニングを始める前に

焦らず、万全の準備を整えることが、スムーズなトイトレへの第一歩です。物と心の両面から準備を進めましょう。

3.1. 心の準備(保護者と子ども)

保護者の方へ:まず、完璧を求めないことが大切です。失敗はプロセスの当然の一部と捉え、気長に構えましょう11。あなたの前向きで楽観的な態度は、必ずお子さんにも伝わります。
お子さんへ:おむつ以外の場所で排泄するという新しい概念に、まずは興味を持ってもらうことから始めます。「トイレは怖くない、楽しい場所」というイメージを作ることが目標です。絵本を読んだり、トイレに行くごっこ遊びをしたりして、自然にトイレという存在に慣れさせていきましょう12

3.2. 必要なグッズの準備

トイトレをサポートしてくれる便利なグッズはたくさんあります。お子さんの性格やご家庭の状況に合わせて、必要なものを選んでみましょう。

トイレトレーニングに役立つ日本の人気グッズ
グッズ 説明と選択のポイント
おまる(ポータブルトイレ) – トイレを怖がる子でも、リビングなど慣れた場所で始められるのが利点13
– デザインが安定していて、子どもが座りやすく、洗いやすいものを選びましょう。キャラクター付きのものも人気です。
補助便座 – 大人のトイレに設置し、子どものお尻にフィットさせるアイテム。初めからトイレに慣れさせたい場合に14
– 両脇に取っ手があると子どもが安心できます。アンパンマンなどの人気キャラクターのデザインは、子どものやる気を引き出します15
踏み台(ステップ) – 補助便座とセットで必須。自分で便座に座れるだけでなく、足が床に着くことで安定し、排便時にいきみやすくなります3
– 表面や足の裏に滑り止めが付いている、丈夫で安定感のあるものを選びましょう。
トレーニングパンツ – 濡れた感覚が子どもに伝わりやすいように設計されたパンツ。3層、4層、6層など吸水量が異なり、紙タイプと布タイプがあります13
– 「おしっこが出た」という感覚を自覚させ、次のステップに進むための橋渡し役となります。
絵本・おもちゃ – トイレをテーマにした楽しい絵本は、子どもがトイレに親近感を持つための強力なツールです16
– トイレに好きなキャラクターのポスターを貼るなど、楽しい空間を演出するのも効果的です。
ご褒美シール・スタンプなど – トイレで成功したらカレンダーにシールを貼る、といった「見える化」は、子どもの達成感とモチベーションを高めます17
– 小さな成功体験を積み重ね、自信につなげることが目的です。
防水シーツ・着替え – 特に夜間のトレーニングや、始めたばかりの頃の「もしも」の事態に備えて。失敗した時の後片付けの負担が減り、親の心の余裕につながります3

3.3. トイレ環境の整備

子どもにとってトイレが「安全で、明るく、楽しい場所」になるように工夫しましょう。好きなキャラクターのステッカーで飾ったり、小さなカレンダーとご褒美シールを置いたりするのも良いアイデアです12。おまるや補助便座、踏み台がぐらつかないよう安全性を確認し、子どもがいつでも自分でアクセスしやすいように配置することも重要です18

4. 実践編:トイレトレーニングの進め方

いよいよ実践です。ここでは、子どもが自然にトイレに慣れていくための具体的なステップを、順を追って解説します。

4.1. STEP 1: トイレに慣れ親しむ

最初の目標は、トイレを「怖くない、面白い場所」と子どもに認識してもらうことです。保護者がトイレを使う際に(もちろん配慮は必要ですが)子どもを一緒に連れて行き、誰もが使う自然な場所であることを見せるのも一つの方法です2。また、トイレをテーマにした絵本を一緒に読んだり、おまるや補助便座に服を着たまま座って遊んでみたりすることから始めましょう3, 13。この段階では、排泄を強要する必要は全くありません13

4.2. STEP 2: タイミングを見計らって誘う

子どもがトイレという場所に慣れてきたら、次はおしっこやうんちが出そうなタイミングで誘ってみます。一般的に、朝起きた直後、食事の前後、お風呂に入る前、お出かけ前、そして夜寝る前などが成功しやすいタイミングと言われています3
同時に、子どもが出したがっているサインを見逃さないことも重要です。例えば、遊んでいる最中に急に動きを止める、股間を押さえる、顔を赤くしていきむ、そわそわするといった行動がそのサインです19。その瞬間を捉え、「おしっこ、行ってみる?」と優しく誘いましょう。もし子どもが「イヤ」と言ったら、その気持ちを尊重し、無理強いはせず、また次の機会を待ちましょう7

4.3. STEP 3: 座らせてみる・排泄を促す

子どもが同意してくれたら、おまるや補助便座に数分間座らせてみます。この時、退屈しないように短い絵本を読んだり、歌を歌ったりするのも良いでしょう7。排泄を促す言葉は、「シーシー」「うんち、うんち」など、子どもに分かりやすく、家庭で決めた楽しい言葉を使うと効果的です2。決して否定的な言葉は使わないようにしましょう。最も大切なのは、子どもが嫌がったり怖がったりしたら、すぐにやめることです。無理強いは逆効果にしかなりません7

4.4. STEP 4: 成功したら褒める・失敗しても叱らない

これはトイレトレーニングにおける黄金のルールです。たとえほんの少しでもおまるやトイレで排泄できたら、「すごいね!できたね!」と、具体的かつ大げさなくらいに褒めてあげましょう3。抱きしめたり、ご褒美のシールをあげたりすることも、子どもの大きな自信と意欲につながります3, 17
逆に、失敗してしまった時は、保護者が冷静でいることが何よりも重要です。がっかりした顔を見せたり、叱ったりすることは絶対にしてはいけません。「大丈夫だよ」「次はできるといいね」と優しく声をかけ、静かに後片付けをしましょう1。叱責は子どもの心に恐怖心や羞恥心を植え付け、排泄そのものを我慢してしまう「機能性排尿障害」などの深刻な問題につながる可能性も指摘されています20

4.5. STEP 5: トレーニングパンツへの移行と布パンツへ

トイレでの成功が増え、子ども自身も自信をつけてきたら、トレーニングパンツを導入してみましょう3。トレーニングパンツは、おむつより濡れた感覚が分かりやすいため、子どもが「おしっこが出た」という結果と原因を結びつけて学ぶのに役立ちます。そして、トイレで排泄できる割合がさらに増え、事前におしっこやうんちを教えてくれるようになったら、いよいよ普通の布パンツへの移行を考え始める時期です13。もちろん、この段階でも失敗はつきものですから、焦らず進めましょう。

4.6. うんちのトレーニング

多くの子どもにとって、うんちのトレーニングは、おしっこよりも難しく、時間がかかる傾向があります。隅っこに隠れたり、しゃがみこんだり、いきんだりといったサインを根気強く観察しましょう21
ここで注意すべきなのが「便秘」です。便秘で排便時に痛みを感じると、子どもはうんちをすること自体を怖がり、我慢するようになってしまいます。これが更なる便秘を招くという悪循環に陥ることも少なくありません12。日本小児栄養消化器肝臓学会(JSPGHAN)も、便秘のある子どもにトイレトレーニングを無理強いせず、まず便秘の治療を優先するよう注意を促しています20。食物繊維の多い食事や十分な水分摂取を心がけ、必要であれば小児科医に相談しましょう。

4.7. 男の子と女の子のトイレトレーニングの違い

基本的な原則は男女で同じですが、いくつか小さな違いがあります。男の子の場合、初めは女の子と同じように座っておしっこをするように教えるのが一般的です。座ってできることに慣れたら、父親などが見本を見せながら、立ってする方法を教えてあげると良いでしょう22。女の子の場合は、感染症予防のために、拭く時は「前から後ろへ」という正しい拭き方を教えることが重要です22。一般的に女の子の方が完了時期がやや早い傾向があるとも言われますが、これも個人差が非常に大きいです。

5. 夜のトイレトレーニング

夜間の排尿コントロールは、昼間よりも生理的な発達が大きく関わるため、別のプロセスとして捉える必要があります。

5.1. 昼間と夜の違い

夜間に膀胱をコントロールできるようになるには、①夜間の尿量を減らす抗利尿ホルモンの分泌が十分に発達すること、②一晩中の尿を溜められるだけの膀胱の容量が大きくなること、という2つの身体的な成熟が必要です13。これらはトレーニングでどうにかなるものではなく、体の成長を待つしかありません。そのため、夜のおねしょ(夜尿)は、昼間のトレーニングの失敗を意味するものでは決してありません。

5.2. いつから始める?

夜のおむつ外しを開始する決まった年齢はありません。明確なサインは、「昼間のトイレがほぼ完璧になり、朝起きた時におむつが濡れていない日が続くようになった時」です23。日本のデータを見ても、4~5歳、あるいはそれ以上になっても夜間におむつを使っていたり、おねしょをしたりすることは、正常な発達の範囲内と考えられています8

5.3. 夜尿(おねしょ)対策とコツ

  • 就寝前の水分を控える:寝る1~2時間前からは、水分の摂取を控えめにしましょう。特に利尿作用のあるジュースなどは避けた方が賢明です4
  • 寝る前と起床後のトイレ:寝る直前に必ずトイレに行き、朝起きたら一番にトイレに行く、という習慣をつけましょう4
  • 体を冷やさない:体が冷えると尿意を感じやすくなります。寝室の温度を適切に保ち、冬場は腹巻などでお腹を温めるのも効果的です4
  • 夜中に無理に起こさない:おねしょをさせないために夜中に保護者が子どもを起こしてトイレに行かせるのは、子どもの睡眠リズムを乱すだけで、自律的な排尿コントロールの発達には繋がりません3
  • 焦らず、叱らない:朝、おむつが濡れていなかったらたくさん褒めてあげましょう。逆におねしょをしてしまっても、絶対に叱ったり罰したりしてはいけません。精神的なストレスは状況を悪化させるだけです23。防水シーツなどを活用し、保護者も「仕方ない」と大らかに構えることが大切です。

健康に関する注意事項

  • 5~6歳を過ぎても、週に数回以上おねしょが続く場合や、一度おねしょがなくなったのに再び始まってしまった場合は、「夜尿症」という治療が必要な状態かもしれません。小児科や専門医に相談することをお勧めします4
  • 便秘はトイレトレーニングの大きな妨げになります。排便時に子どもが痛がったり、便が硬かったりする場合は、まず便秘の改善を優先してください。安易な自己判断はせず、かかりつけ医に相談しましょう20
  • トレーニングを厳しく行いすぎると、子どもが排尿・排便を過度に我慢してしまい、膀胱炎や便秘、機能性排尿障害などを引き起こすリスクがあります。子どもの心と体のサインを最優先してください20

6. トイレトレーニングが進まない・困ったときの対処法

トイトレの道のりは一直線ではありません。停滞したり、後退したりするのはごく自然なことです。焦らず原因を探り、対処していきましょう。

6.1. 一般的な原因と理解

うまくいかない背景には、様々な理由が考えられます。①まだ身体的・認知的に準備が整っていない1、②保護者のアプローチが厳しすぎる、③便秘などで一度痛い思いをした12、④弟や妹が生まれるなどの生活環境の変化9、⑤もともとの頑固な性格など。原因が何であれ、保護者が自分や子どもを責めないことが、解決への第一歩です1

6.2. 具体的な対処法

もしトレーニングが親子にとって大きなストレスになっているなら、思い切って一度お休みするのも有効な手段です。数週間から数ヶ月、完全にトイトレのことを忘れ、おむつ生活に戻るのです。この中断期間が、子どもの心と体の成長を促し、再開した時には驚くほどスムーズに進むことがあります。

– 多くの育児専門家や先輩ママたちの共通したアドバイス1

その他にも、おまるの種類を変えてみたり、ご褒美の方法を変えたりするなど、アプローチを少し変えるだけで状況が好転することもあります。何よりも、楽しい雰囲気を取り戻すことを目指しましょう12。そして、決して他の子と比べず、我が子のペースを信じて、一貫した態度で根気強く関わっていくことが大切です1

7. 保育園・幼稚園との連携

多くの子どもが日中の大半を過ごす保育園や幼稚園との連携は、トイトレを成功させる上で極めて重要です。

7.1. 情報共有と方針の統一

家庭での進捗状況、成功した方法、困っていることなどを、連絡帳などを通じて担任の先生に具体的に伝えましょう5。逆に、園での様子(トイレに行くタイミング、成功・失敗の回数など)も詳しく教えてもらうことが大切です。家庭と園で、褒め方や失敗した時の対応、使う言葉などをできるだけ統一することで、子どもは混乱せず、安心してトレーニングに取り組むことができます5。園でのトイレの時間を聞き、休日もその時間に合わせて誘ってみるなど、生活リズムを連携させることも効果的です24

7.2. 園からのプレッシャーへの対応

園によっては、進級などを前に「おむつを外してほしい」というプレッシャーを感じることがあるかもしれません。しかし、繰り返しますが主役はあくまでお子さん自身です。もし園の方針がお子さんの発達段階に合っていないと感じたら、保護者は子どもの代弁者として、園と正直に、しかし建設的に話し合う必要があります1。「家ではこのような状況で、本人の気持ちを尊重しながら進めたい」という考えを伝え、相互理解を深め、協力体制を築いていくことが理想です。

よくある質問 (FAQ)

Q1: イヤイヤ期がひどくて、全くトイレに行きたがりません。どうすればいいですか?
A1: イヤイヤ期とトイレトレーニングが重なると、本当に大変ですよね。この時期の子どもは「自分で決めたい」という気持ちが非常に強いため、命令や強制は逆効果です22。「トイレに行く?行かない?」と選択を迫るのではなく、「アンパンマンの便座、見に行こうか」「どっちの色のパンツにする?」など、トイレに関連する楽しい選択肢を提示するのが効果的です。それでも頑なに拒否する場合は、無理強いせず、前述の通り「思い切って一度お休みする」のが最善の策かもしれません。イヤイヤ期が少し落ち着いてから再開する方が、結果的に近道になることも多いです1
Q2: うんちだけは、どうしてもトイレでできません。いつもパンツにしてしまいます。
A2: うんちのトレーニングは、多くの子どもにとって最後の難関です。まず考えられるのは、便秘によって排便時に痛みを感じ、トイレで出すのが怖くなっている可能性です12, 20。食事や水分の内容を見直し、かかりつけ医に相談するなど、便秘のケアを最優先してください。また、子どもは排便時に隠れたがる習性があるため、トイレという開けた空間が落ち着かないのかもしれません21。まずは「うんちはこのおまるでしようね」と、リビングの隅など子どもが安心できる場所に専用のおまるを置いてみるのも一つの手です。パンツにしてしまった場合も決して叱らず、「次はトイレでできるといいね」「教えてくれてありがとう」と伝え、安心感を与えることを優先しましょう。
Q3: 昼間はパンツで過ごせるようになったのに、急にまた失敗が増えました。後退してしまったのでしょうか?
A3: これは「トイトレあるある」で、多くの親子が経験する「後戻り」と呼ばれる現象です。弟や妹が生まれる、引っ越し、入園など、生活環境の変化によるストレスが原因であることが多いです9。また、何かに夢中になって遊んでいる時に、トイレに行くタイミングを逃してしまうこともよくあります。これは決して保護者のやり方が悪かったわけでも、子どもが怠けているわけでもありません。後退と捉えず、「今は少し疲れているんだな」と考え、一時的にトレーニングパンツに戻したり、声かけの頻度を増やしたりして、優しくサポートしてあげてください。叱らずに安心感を与えることで、子どもはまた自信を取り戻していきます。
Q4: 何歳までにおむつが外れないと、発達の問題を心配すべきですか?
A4: おむつが外れる時期には非常に大きな個人差があり、「この年齢までに外れなければ異常」という明確な基準はありません。一般的に、昼間のおむつが4歳を過ぎても外れない場合や、特に5~6歳を過ぎても夜尿が頻繁に続く場合は、一度かかりつけの小児科医に相談してみると良いでしょう4。医師は、何か医学的な原因(膀胱の機能やホルモンの問題など)が隠れていないかを確認し、保護者の不安を取り除いてくれます。ただし、発達障害(自閉スペクトラム症など)のあるお子さんは、感覚の問題やコミュニケーションの困難さから、トイレトレーニングに特別な配慮と時間が必要な場合があります25。心配な場合は、地域の保健センターや発達支援センターに相談することも重要です。
Q5: 外出先のトイレを嫌がります。どうしたら良いですか?
A5: 見慣れない場所、特に音が大きかったり暗かったりする公共のトイレを怖がる子どもは少なくありません。まずは、比較的きれいで明るい、デパートや支援センターの多目的トイレ(子ども用便座が設置されていることが多い)から試してみましょう。携帯用の補助便座を持参するのも良い方法です。また、出かける前に必ずトイレを済ませる習慣をつけ、外出中はこまめに「トイレ大丈夫?」と確認することも大切です。もしもの時のために、着替え一式とビニール袋、そしておむつを1〜2枚カバンに入れておくと、保護者の心のお守りになり、焦らずに対応できます。

結論

トイレトレーニングは、子どもの成長における自然な過程の一部であり、決して競争ではありません。この記事でご紹介した知識やステップはあくまで一つの指針です。最も大切なのは、目の前にいるお子さん自身の心と体の声に耳を傾け、その子に合ったペースで進めることです。

一つ一つの小さな成功を親子で喜び、たとえうまくいかない日があっても、それは親子の絆を深めるための貴重な経験だと捉えてみてください。保護者の皆様が自信と愛情を持って寄り添うこと、それがお子さんにとって何よりの励みとなり、この大切な成長のマイルストーンを乗り越える力になります。ご自身の直感を信じ、必要であれば専門家や周りのサポートを頼りながら、この一度きりの特別な時間を、ぜひ楽しんでください。

免責事項
この記事は医学的アドバイスに代わるものではなく、症状がある場合は専門家にご相談ください。

参考文献

  1. もしかしたら早すぎるのかも?! トイトレが進まない時は一回やめてみるのもアリ. ベネッセ 教育情報サイト. 2021. [引用日: 2025年6月9日].
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  3. トイレトレーニングはいつから始める?時期の目安・進め方とコツ…. ベネッセ 教育情報サイト. 2021. [引用日: 2025年6月9日].
  4. 【5歳・6歳】夜のおむつが取れない…。からだの発達をふまえたおねしょの原因と対策. Conobas. [引用日: 2025年6月9日].
  5. 保育園と家庭でのトイレトレーニング成功ガイド 効果的なタイミングと工夫. あけぼの保育園. [引用日: 2025年6月9日].
  6. 【パパ・ママ必見】トイレトレーニングを始める時期と基本の進め方. パソナフォスター. [引用日: 2025年6月9日].
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  8. オムツの卒業は何歳?トイトレのスタートや完了の時期 – KIDSNA STYLE. [引用日: 2025年6月9日].
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  10. みんなどうしてる?~トイレトレーニングについて考えてみよう~. こしがや子育てネット (越谷市). [引用日: 2025年6月9日].
  11. トイレトレーニングのヒント. 札幌市子育てサイト. [引用日: 2025年6月9日].
  12. 【小児科医が解説】トイレトレーニング(トイトレ)成功のコツ…. もりのこどもクリニック. [引用日: 2025年6月9日].
  13. 〔トイレトレーニング〕トレパンマン はじめてトイトレナビ. トレパンマン. [引用日: 2025年6月9日].
  14. 【脱!紙おむつ】トイレトレーニングで必要なもの5選&始める目安…. asoppa!. [引用日: 2025年6月9日].
  15. 補助便座のおすすめ人気ランキング【2025年】. マイベスト. [引用日: 2025年6月9日].
  16. 【保育】 絵本 を使ってトイレトレーニング トイトレにおすすめの 絵本 10選. ほいくコレクション. [引用日: 2025年6月9日].
  17. トイトレに欠かせない!おすすめトイトレグッズ総集編 – ママびより. [引用日: 2025年6月9日].
  18. 悩める!トイレトレーニング. 新川崎ふたばクリニック. [引用日: 2025年6月9日].
  19. 排泄 2歳児 | 保育の実践情報や実践事例なら日本保育者未来通信. [引用日: 2025年6月9日].
  20. こどもの便秘 – ガイドライン. 日本小児栄養消化器肝臓学会. [引用日: 2025年6月9日].
  21. トイレトレーニング 方法(2歳2ヵ月でチャレンジ! 苦戦…). ベネッセ 教育情報サイト. [引用日: 2025年6月9日].
  22. とっておきの子育ての話(おむつはずし(2歳編)). 仙台市. [引用日: 2025年6月9日].
  23. 夜のおむつはずれについて. moony(ムーニー). [引用日: 2025年6月9日].
  24. トイレトレーニングは家庭と保育園の連携が大事!進め方のコツもご紹介 – 子育てポケット. [引用日: 2025年6月9日].
  25. 発達障害の子どものトイレトレーニング|進め方のコツは? – ハッピーテラス. [引用日: 2025年6月9日].
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